令和の運動会に「なんだか寂しい…」元教員が明かす、子どもと親を守るアップデート
「えっ、運動会が午前中で終わり?」
「お弁当はいらないの!?」
運動会のお知らせに『午前中で終了』『お弁当は不要』と書かれていて、「昔はもっと一大イベントだったのに、なんだかさびしい」と感じる保護者は少なくありません。
実際、ベネッセコーポレーションの調査などを見ても、昔は秋に1日ががりで開く学校が多かったのに対し、現在は春開催や午前中のみを選択する学校が主流となっており、全国的に大きな変化が起きていることが分かります。
ですが、こうした変化には、子供たちを守るための理由があるのです。
本記事では、元小学校教員の筆者が、今と昔の運動会の違いと、その理由について解説します。
令和の運動会は、親世代の頃と何が違う?
親世代の記憶にある運動会と比べると、主な違いは4つあります。
変化1.『運動会は秋』が当たり前ではなくなった
昔は、運動会といえば秋の行事でした。今は、5〜6月頃に開く学校も珍しくありません。私が勤めていた小学校も、5月末の開催でした。
暑さを避けるため、春に移したり、秋でも11月に遅らせたりする学校が出てきています。
※写真はイメージ
変化2.1日ががりから、午前中だけの開催へ
昔の運動会は、午後まで続く1日ががりの行事でした。お昼になるとレジャーシートに重箱を広げ、家族でお弁当を囲むのが楽しみだった人も多いでしょう。
今は、午前中だけで終える学校が主流です。勤めていた学校も午前中で終わり、お昼は食べずに解散していました。
運動会の後は、そのまま家に帰る子もいれば、朝から「今日終わったら、おばあちゃんたちと焼肉を食べに行くんだ!」と嬉しそうに話してくれた子もいました。
午前中の開催で教員として安心だったのは、気温が一番上がる午後を避けられることです。
運動会の練習では、5〜6時間目に校庭へ出ると、強い日差しに午前中の疲れも重なります。
途中で「頭が痛いです」「体調がよくなくて…」と保健室へ行く子や、日陰で座って休む子もいました。
全体練習の間も、無理をして頑張りすぎている子はいないか、普段以上に子供たちの様子に気を配っていたものです。また、保護者にとっても、朝早くからお弁当を用意する手間や、暑さでお弁当が傷む心配がなくなります。
※写真はイメージ
家族でお弁当を囲む時間がなければ、仕事などで家族が来られなかった子も、1人でお弁当を食べずに済むでしょう。学校にいる間は、家庭の事情に関係なく、どの子も同じように過ごせるのです。
変化3.早朝の場所取りから、学年ごとの入れ替え制へ
かつては開門前から並ぶ場所取りもおなじみでしたが、私が勤めていた学校では、学年ごとに保護者が入れる時間を決めていました。
保護者は混雑を避けられるうえ、写真も撮りやすくなります。
子供たちにとっても、よい変化でした。
運動会明けの休み時間、ある女の子が「『よさこい』を踊ってる時、お母さんたちが手を振ってるのが見えた!」と、嬉しそうに話してくれたのです。
その子は視力があまりよくなかったので、見つけられたのは観覧する人が少なかったからかもしれません。
変化4.組体操や騎馬戦を見直す学校も
かつて、運動会の花形といえば、高学年による組体操のピラミッドやタワー、激しくぶつかり合う騎馬戦でした。
見直しのきっかけの1つは、組体操による怪我の多さです。スポーツ庁は2016年、組体操で年間8,000件を上回る事故が起きているとして、確実に安全な状態で実施できない技は見合わせるよう、全国の教育委員会などに求めました。
現在は、怪我の危険を理由に組体操や騎馬戦を取りやめ、『よさこい』やダンスを取り入れる学校もあります。
「えっ、そこまで?」と驚く小さな変化
細かなところにも、子供たちへの配慮が見られます。
例えば、スタートの合図を音量を抑えた電子音のピストルに変えた学校があります。
大きな音が苦手な子への配慮です。
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また、PTAが子供たちに配っていた運動会の参加賞をやめたケースもあります。予算の見直しに加え、PTAの会員かどうかで対応に差が出ないようにするためです。
形は変わっても、運動会の目的は同じ
そうは言っても、「やっぱり昔のアットホームな運動会のほうがよかったな…」と感じる人もいるかもしれませんね。ですが、子供たちが力を合わせて1つの演技をつくり上げる姿は、今も同じです。
私が勤めていた学校でも、運動会で『よさこい』を踊っていましたが、最初は自分の踊りで精いっぱいだった子供たちが、次第に周りとタイミングを合わせ、一丸となっていく姿が見られました。
時代が変わっても、子供たちの成長を応援するという運動会の一番大切な目的は変わりません。
当日は我が子の出番をしっかり見届けて、帰ってきたら「頑張ったね!」と伝えてみてください。
[文/川田幸寛構成/grapeライフハック編集部]