「モンペと思われても」発達障害の息子を東大に入れた母の闘い
「いろんな人からよく聞かれるんですけど……、正直、なんであの子が東大に入れたのか、母親の私にもわからないんですよね」
秋田県潟上市在住の美容師・菊地ユキさん(51)は苦笑しながら、何度もこう繰り返した。
菊池さんは、地域で初めて発達障害(ADHD)の診断を受けた長男・大夢(ひろむ)くん(23)を、女手一つで育て上げたシングルマザーだ。母の苦労の甲斐もあって昨年春、大夢くんは見事、北海道大学を首席で卒業。そして、東大大学院に入学を果たした。
先日、子育ての思い出をつづった手記『発達障害で生まれてくれてありがとうシングルマザーがわが子を東大に入れるまで』(光文社)を出版した菊地さん。冒頭のコメントは「どうして息子さんは東大大学院に入れたのか?」という記者の問いに答えたもの。
「いったい私の子育ての、何がよかったんですかね~」と、何度も首をひねる菊地さんだが、著書を手に大夢くんの幼少期を振り返ってもらうと、いくつかの特徴的な子育て法が見えてきた――。
「保育園時代から、とにかく忘れ物が異常に多くて。
それに、些細なことでキレては友達に手をあげる。団体行動も苦手で、列に並んでいることもできなくて。