「診察や検査の一部の保険適用外も制度上は可能」と議員は指摘…高市政権の“OTC類似薬”保険適用外しで“受診控え”に識者が警鐘

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「診察や検査の一部の保険適用外も制度上は可能」と議員は指摘…高市政権の“OTC類似薬”保険適用外しで“受診控え”に識者が警鐘

風邪で1万3千円の診療費では受診控えが起こるのは無理もないかも(写真:beauty_box/アフロイメージマート)



「本法案を通じ、将来にわたり国民の皆さまが安心して医療を受けられる基盤を堅持してまいります」

5月13日に審議入りした参院本会議で、そう語ったのは高市早苗首相(65)だ。

高市首相が言う“本法案”とは、市販薬と同じような成分や効果を持つ「OTC類似薬」を病院で処方してもらった場合、一部を医療保険から外すことで、新たに患者に負担を上乗せする制度のこと。

今回、対象となる薬は77成分・約1千100品目。解熱鎮痛剤の「ロキソニン」や、皮膚薬の「ヒルドイド」、花粉症薬の「アレジオン」「アレグラ」、痰切り薬の「ムコダイン」、便秘薬の「マグミット」など身近な薬も含まれるため、患者団体からは、「継続して治療を受けにくくなる」といった不安の声も上がっている。

「自民・維新連立政権は、昨年の連立合意で、OTC類似薬を保険適用から外し、医療費を抑えることで“現役世代の負担軽減”を進める方針を打ち出しました。処方薬は保険適用で市販薬より安く手に入るため、その差額分を患者に負担させようという狙いがあります」(全国紙記者)

新制度導入のための健康保険法等改正案は、先月末に衆院を通過。今月13日から始まった参院審議で可決されれば、来年3月から導入される見通しだ。

「導入後は、通常の窓口負担に加え、薬剤費の25%が“特別料金”として上乗せされます」(前出・全国紙記者)

政府が“現役世代の負担軽減”をうたう一方で、その効果を疑問視する声もある。


「今回の新制度導入によって軽減される保険料は、月額わずか33円、年間でも約400円程度にすぎません」

そう指摘するのは、開業医や勤務医らが加盟する全国保険医団体連合会(保団連)の事務局員・上所聡子さん。むしろ「負担増になる」と、こう続ける。

「たとえば、薬価が1千円の場合、これまでは3割負担なら支払いは300円でした。ところが新制度では、まず薬価の25%にあたる250円が“特別料金”として上乗せされ、さらに残り750円の3割分225円も負担することに。消費税も含めると、窓口負担は約500円となり、これまでの約1.6倍になるのです」
つまり、これまで保険でカバーされていた薬代の一部が自己負担となることで負担が増大し、医療控えが進む可能性もあるのだ。

■診察や検査の一部まで保険適用外にすることも可能

実際に、保団連などが今年3月に実施したオンラインアンケート調査には1カ月で8千件以上の回答があり、〈生きるためにはアレルギーの薬が欠かせない。これ以上の負担増になれば死活問題だ〉などという不安の声が寄せられたという。

政府は、負担増による受診控えを防ぐため、子どもやがん・難病患者、入院患者、低所得者などは除外する見通しだが、上所さんは、「線引きは患者を分断することになる」と指摘する。


さらに問題なのは、こうした“保険外し”の動きが、「OTC類似薬のみならず“診察”や“検査”などにも広げられる可能性があることだ」と指摘するのは、衆議院議員の辰巳孝太郎さん(共産党)。その理由を、こう解説する。

「現在、参議院で健康保険法等改正案の審議が進んでいますが、問題なのは、その条文の書きぶりです」

条文には、〈代替性が特に高い薬剤を用いた療養その他の適正な医療〉と記されている。

「ここでいう“代替性が特に高い薬剤”とはOTC類似薬のことです。しかし気になるのは、その後に続く“療養”や“医療”という文言です。つまり条文上は、薬だけでなく、その薬を使った治療や検査、手術などにまで、保険適用外の対象に広げられるとも読める内容になっているのです」(前出・辰巳さん、以下同)

実際に、辰巳さんが衆議院の厚生労働委員会で上野賢一郎厚生労働大臣に問いただしたところ、大臣も「そのように読めるかもしれない」と認めたという。

「現時点では、対象はOTC類似薬に限られています。しかし、政府が“軽い症状”と判断した風邪や花粉症などについて、診察や検査の一部まで保険適用外にすることも、制度上は可能になってしまうのです」

風邪で受診した場合、3割負担なら初診料が約900円、コロナ・インフルの抗原検査を受けると約1千500?2千500円だ。
薬代は別としても、窓口負担は高くても4千円前後で収まる。しかし今後、もし風邪が保険適用外となれば、3倍近い約1万3千円の窓口負担を支払うことになる。

「そもそも、風邪かどうかわからないから病院に行くわけです。検査を受けた結果、『ただの風邪でした』となることもある。それなのに、『風邪ですね。では10割負担です』という話になったら受診控えが増え、重大な病気が隠れていても発見が遅れてしまいます」

しかも、この法律が成立すれば、その後は厚生労働大臣の告示だけで、国会を通さずに対象を広げていくことも可能になるという。

「まさか、風邪が保険適用外になることなんてないだろう」と過信してはいけない。

「現在は、25%の追加負担で審議が進められているOTC類似薬でさえ、『将来的には、全額自己負担?、つまり保険適用外にすることも制度上は可能だ』と大臣が国会で答弁しているのです」

それが現実になれば、医療は“ぜいたく品”になりかねない。


高市首相は「国民が安心して医療を受けられる基盤のための改正」と説明するが、果たして本当にそうなのか?。今後の国会審議を注視する必要があるだろう。

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