「何も言わずにボクの両腕をぐっとつかんで」渡米3年の風見しんご、「娘の死」で真っ暗闇だったころに鼓舞してくれた2人の俳優を実名告白
2007年に交通事故で娘を亡くした風見しんご
「永井大くん版の『サラリーマン金太郎』は2008年の作品。ボクはその前年、2007年に長女を交通事故で失ったばかりでした。仕事は続けていたものの、真っ暗闇の状態。今だから正直なことを言うと、そんな自分に連続ドラマはできるのだろうかと思っていたんです」
こう振り返るのは、風見しんごさん(63)。撮影開始当初は不安を抱えていたが、ベテラン共演者が優しく受け入れてくれたという。
「宇津井健さんは、お会いした最初に、ボクが出演していた『噂の!東京マガジン』の大ファンだとおっしゃってくださったんです。『番組で取りあげる、日常の身近なテーマにこそドラマがあるよね』といろいろ話しかけてくれたので、いつの間にか緊張がほぐれました。
古谷一行さんとは、ヤマト建設の会議室でごあいさつしたとき、何も言わずにボクの両腕をぐっとつかんでくれて……。
ご本人に真意を聞いたことはありませんが、人生で大変な状況にあるボクを鼓舞してくださったんだと思っています。振り返ると、みなさまに気を使わせてしまいました」
一方、主演の永井大にもプレッシャーがあったのではないかと考えている。
「金太郎は、永井くんの先輩の高橋克典さんが演じていたこともあったから、きっと“自分なりの金太郎にするにはどうすればいいのか”と悩んでいたと思います」
その永井演じる金太郎と、久しぶりの再会をして抱きつくシーンが思い出深いという。
「パート2(2010年)の最初ですが、永井くんにボクが駆け寄り、ミニトランポリンで飛び跳ねて抱きつくんです。『しんごさん、何キロですか?』『63キロです』『じゃあ、大丈夫です』ってやりとりしてボクが飛びつくと、子供に高い高いをするように、両脇を持って軽々と持ち上げるんです。それにびっくりして。残念ながら、そのシーンは使われず、普通に抱っこしているものが放送されました(笑)」
撮影終了後、永井から風見さんに提案があった。
「『おつかれさま会をやりましょう。
しんごさんは、ぜひ、ご家族を連れてきてください』って誘ってくれたんです。永井くんは、4歳だった次女をずっと膝の上にのせていてね。いまだに次女は覚えています。一つの作品を撮り終えて、悲しみの底にいたボクや家族をいたわってくれたのでしょう。『サラリーマン金太郎』は家族を大切にする作品であり、弱いものが強くなっていく作品。その世界観のドラマに参加することで、一筋の光を与えられました」
『サラリーマン金太郎』(テレビ朝日系、2008~2010年)
ヤマト建設の社員となった暴走族の元総長・矢島金太郎の、サラリーマンとしての成長と活躍を描いた本宮ひろしの漫画が原作。「サラリーマンをなめんじゃねえ!」と真正面から不条理に立ち向かう、平成なのに昭和感マシマシの熱血ドラマ。
【PROFILE】
かざみ・しんご
1962年生まれ、広島県出身。
1982年に『欽ちゃんの週刊欽曜日』で芸能界デビュー。日本におけるブレイクダンスの先駆者としても知られる。2023年から活動の拠点を米国に。