トロント国際映画祭:マックス・ミンゲラ監督作『Shell』
マックス・ミンゲラが監督デビュー作『ティーンスピリット』を引っ提げてトロント国際映画祭を訪れたのは、6年前のこと。エル・ファニングが歌手志望のティーンを演じた青春音楽映画は、ミンゲラが長い間抱いてきた情熱のプロジェクトだった。
今年のトロントで世界プレミアされた監督2作目『Shell』は、まるで違うタイプの作品。女優のサマンサは、ある程度の年齢になったこともあって、あまり仕事を取れないでいる。プレッシャーを感じる彼女は、メディアで話題になっている新たな美容施術を受けることを決意。その企業のCEOゾーイは、実年齢が信じられないほど若々しく、美しい女性だ。成功したビジネスウーマンとして尊敬されるゾーイは、新しい顧客であるサマンサを目にかけてくれ、ふたりの距離は近づいていく。そんな中、サマンサの知り合いで女優のクロエが行方をくらます。
ジャック・スタンリーによる脚本をミンゲラが読んだのは、『ティーンスピリット』を作り終えた後。登場人物たちに強く惹かれ、次はこれを監督すると決めた。ダークなスリラーで、怖い要素もあるこの映画を、ミンゲラは、子供が寝る前に聞かせてもらうお話のようなつもりで作ったという。