ここにいてもいいの? 誰からも必要とされてないと感じたら…【石井ゆかりの幸福論】
「人間は社会的存在である」という言い方があります。
血縁や地縁、身内としての愛情などの結び付きはその最たるものですが、仕事やお金を通して社会につながっている部分もあります。親として子を育てたり、親族の介護をしたりすることも、一つの「社会的結び付き」、つまり社会との「縁」と言えます。自分以外の人に対してなんらかの役割を得るとき、私たちは社会につながって、そこから、生きるための血流を受け取ることができる、というイメージです。
社会で「役割」や「つながり」を得れば、その場所で暮らしていけます。
それが得られないとき、タイムスリップで放り出されたときのごとく、私たちは路頭に迷います。
「人の役に立ちたい」「必要とされたい」「責任を果たしたい」。
これらは、多くの人が抱く気持ちです。
単なる「願い」ではなく、生きていくための切実な心の叫び、と言ってもいいかもしれません。これらの願いが叶わないとき、私たちは社会との「縁」を失い、路頭に迷って、生きていけなくなるかもしれません。もとい、現代の日本では誰もが、憲法により「健康で文化的な、最低限度の生活」を保証されています。それでも、そうした制度に頼ることを恥じる人が少なくありません。