心理学とユニフォーム 【彼氏の顔が覚えられません 第3話】

「そっかぁ、イズミって、メガネかけてるだけでわかんなくなるんだ」

カズヤは言う。ふたり、同じ授業のあと。心理学。

心理学とユニフォーム 【彼氏の顔が覚えられません 第3話】

画像:(c)Kav - Fotolia.com


「かけてても、かけてなくてもわかんないよ。私、人の顔覚えられないから」

「うっそ、マジ? じゃあ、俺の顔も?」

「だから、さっきからそう言ってんじゃん」

「ははは、ひでぇな、それ」

笑った。たぶん、カズヤってば信じてない。べつにいいけど。「おまえ、サイテーだな」ってののしられるよりはマシ。
今までそうだったから。

恋なんて、する前から終わってきた。クラスの女の子に、「○○くんって、カッコイイよね」なんて言われるたび、わたしには○○君の顔が思い出せなくて(それ以前に、目の前にいるクラスメイトの子の顔すら認識できなくて)。カッコイイとか、一目惚れするとか、ぜんぜんイミわかんなくて。


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