東横線 【自由が丘恋物語 〜winter version〜 第1話】

桃香は自由が丘が好きだ。女性に人気の街と昔から有名だが、なぜたくさんの女性がこの街を訪れるのかなんとなくわかる。センスのいいカフェや雑貨屋さんが多いだけではない。街が小ぶりで、女性が歩きやすい。1日あれば路地裏の店まで覗き見ることができる。

「私の手の中にある街」感が魅力だ。仕事モードバリバリの緊張感ある街ではない。威圧的なビルもない。
ビシっとしたスーツ姿で決める必要もない。カツカツと攻撃的な音が鳴るパンプスは似合わない。

お気に入りのゆるいファッションで鼻歌を歌いながら歩くには最適サイズ。友達と二人で歩けば、三メートルごとに「感じいいモノ」が視界に入って話題がはずむ「わっ、あれ、かわいくない?」と喜べる。歩きながらキョロキョロしてもおかしくない、おもちゃ箱の街。

桃香は少しでも長い時間この街にいたかった。iTunesで軽い曲を耳に流し込みながら街を見渡す。音楽と一緒だと街の色がワントーン明るくなる。
いつか自由が丘を歌にしてみたいとふっと思った。

(続く)
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