元旦とジェンガ【彼氏の顔が覚えられません 第8話】
元旦を迎えた。クリスマスから今日の日が急にやってきたような気がするけど、しょうがない。大きなことがとつぜん起こると、その前までの記憶は軽くふっとんでしまうものだ。
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目覚めると、見慣れない天井、6畳の和室。隣には男性が寝ている。
「ん、もう朝かぁ~?」
あくび混じりの声をあげる彼。「おはようございます」と言うと、彼は顔をぎゅいっと素早くこちらに向け、
「…あれ、なんでイズミちゃんがいんの?」
「なんでって、先輩が誘ったんじゃないですか」
「あ…そうだっけ…うん、そうだ。あー、だんだん思い出してきた…やべぇ、頭痛ぇ」
寝ぐせだらけの頭に手を置く。
表情は読みとれないけど、それだけでだいぶ、つらそうなのがわかる。
「きのう、ずいぶん飲んでましたもんね」
「あはは、どんだけ飲んだんだっけ…」
「八海山の一升瓶、一人で一本カラにするくらいです」
「…おぉ、まじか」