ありのままの自分とごみ袋【彼氏の顔が覚えられません 第10話】
初夢は、うちの母とマッチョの叔父さんが義理の姉弟同士で再婚するという、わけのわからないものだった。四十路でウェディングドレスに身を包まれた母が、片手を叔父さんに支えられ、もう片手に持った杖をぶんぶん振り回すさまは、なんだか本当にとっても幸せそうだった。
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「こっちはこっちで元気にやってるから、イズミちゃんもそっちでお幸せにね」
叔父さんの方は、ポカンとしてる私に向かってそう言った。ちょうど年末に電話したとき、私に言ったのと同じ声で。
目が覚めて夢だとわかり、なんだか安心したような気もしたけど、同時に少しガッカリもしたような妙な気分だった。まだ寝足りないのもあり、頭の中がふわふわしていた。それで、いま自分がどこにいるのかもわからなくなりかけた。
ゴミ処理場? いや、ちがう。
見慣れた天井、床に転がる、気に入った服やらファッション雑誌やらの数々。明らかに自分の部屋だ。ベッドの下で寝ちゃってたらしい。毛布だけは、ちゃっかり身にまとって。ぜんぜん片付いてない。今日こそカズヤを家に呼ぶ予定なのに。ベッドの上、なぜか主人の代わりに横になっているケータイを見る。画面に表示された時刻は、もう午前10時だ。