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ラブバージン【自由が丘恋物語 〜winter version〜 第20話】

ウーマンエキサイト
「楽しいことや悲しいことは歌を聴けばわかるって、前に言ったでしょ。歌は喉で歌うものじゃなくてここから絞り出される物だから」



とカオル先生は胸をトントンと手のひらで叩いた。
桃香は自分の手のひらを胸にゆっくりあてた。カオル先生の大人の部分にちょっぴり近づいた気がする。



その夜、慎吾からメールが届いた。



「今度の日曜日、バイト休みなんだ。よかったらランチ行かない? フットサル誘ってもらったお礼がしたいから。あ、店は自由が丘で。ナポリタンが美味しい和風の店、見つけた。和風ってとこが落としどこ。
Shingo」



とまどった。ふたりきりで会って長い時間を一緒に過ごすと、慎吾は自分に気持ちを寄せることはわかっていた。桃香も慎吾のことはずっと大切にしたい。そばにいないと崩れそうな危うさが慎吾にはある。



冬馬の思いに答えるべきか、慎吾と寄り添い続けるのか。キッチンに置いてあるピンクペッパーの小瓶。きれいな色をしている。自分が慎吾にスパイスを振りかけたのは、よかったんだろうかと思った。




(続く)



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