綱渡りのような心【自由が丘恋物語 〜winter version〜 第24話】
マリクレール通りから住宅街の細い坂道を抜けて歩いた。
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普通の民家の横にウェディングドレスがディスプレイしてある店がある。アメリカンポップなシャツを吊っている店もある。ユニークなイラストのカードがウィンドいっぱいに張り付いている店もある。
民家が何軒か続き、さすがにもう店はないだろうと思っていると間口が狭い雑貨屋が一段下がったところに存在している。本当に自由が丘は期待を裏切らない街だ。慎吾がさりげなく聞いた。
「クリスマスさ、バイト代で何かプレゼントしたいんだけど、リクエストある? あ、高いのはダメだよ」
「まじで? 嬉しい。
うーん、手袋かな。この手袋おととしに買ったやつで、毛玉できてるんだ」
「よかった。それなら買ってあげられる」
「あ、もしできるなら…」
「なに?」