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頼りたい気持ち【自由が丘恋物語 〜winter version〜 第27話】

ウーマンエキサイト
「もしかしたら俺、告白はしてなかったけど、桃香の彼氏気分でいたんだと思う。思い込んでただけってところが情けないけど」



「私はあの頃、受験勉強しなくちゃって、自分なりに恋愛禁止のストッパーをかけてた」



「で、ストッパーがはずれて、大学で誰かと付き合ったんだったよな」



「そう、学部の先輩とね。趣味が合わなくてすぐ別れちゃったけど」



「で、次の相手が慎吾ってわけ? 俺は入り込む余地ないかな」



桃香はうつむいた。慎吾の名前が出て、ふと思い出してしまった。
今頃、携帯ショップでどの機種にしようか悩んでるんだろうなと。慎吾の困った顔は大好きだ。



「冬馬、私わからない。慎ちゃんのことは大事。私がいないとダメになっちゃう気がする。でも冬馬のことも気になってしょうがない。こういうの浮気症っていうのかな」



「いいんじゃない。モテ子ってことで」



冬馬が桃香の髪の毛をチョコっと引っ張った。
桃香も冬馬の前髪を引っ張り返した。冬馬が桃香の手を取り「冷たいな」と言って、ハアっと息を吹きかけた。暖かかった。冬馬はどんな時も自分を守ってくれる、昔からそうだったんだ。急に頼りたい気持ちになった。



ときめいた。と同時に手袋を買う約束をした慎吾の顔もちらついた。あの日、初めて手をつないでくれた恥ずかしがり屋の慎吾。
それなのに、また冬馬がキスしてくれないかと思う欲張りな女心。その日、冬馬はキスをせず、桃香の手をギュっと握りしめただけだった。



(続く)



【恋愛小説『自由が丘恋物語 〜winter version〜』は、毎週月・水・金曜日配信】

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