恋する資格と幽霊部員【彼氏の顔が覚えられません 第18話】
何を考えているのかわからないたくさんの顔に、一斉に見られているという状況。あまり気持ちのいいものではなかった。いや、表情が読めた方が、よほどプレッシャーなのだろうか。
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どちらにしても、正直に言うしかなかった。
「私はべつに、先輩のこと好きじゃありません」
堂々と、2年の先輩の告白を台無しにしてしまう言葉を。
ドッとわく宴会場。「うわ、フラれた!」「まじダッセェ! 最高!!」「ひーっ、ひーっ、腹イテェ!!」。
当事者である2年の先輩も、次の瞬間、へなへなへな、という感じに肩を左右に揺らしながら、膝を曲げて縮こまった。
やがて上体が後ろに倒れ、背中がぴったり床にくっつく。完全に崩れ落ちている。そのコミカルな動きは、さらに周囲の笑いを誘った。
ちょっとホッとした。これでなんとなく、丸く収まった気がした。
宴会が終わって寝室に戻る。女子同士、4人の部屋。クジで決まっただけのあまり馴染み無いメンバーだったし、午前3時くらいだったから、「いい加減寝なきゃ」って言って。
特にガールズトークをすることもなく、歯磨きをして布団に入り、電気を消して。