愛あるセレクトをしたいママのみかた

真冬の街灯の下で【自由が丘恋物語 〜winter version〜 第31話】

ウーマンエキサイト
「ずっと友達ではいてくれよ。練習も試合も見に来いよ」



「…うん。もちろん」



冬馬は最後まで男っぽい。かっこよかった。カフェを後にして、駅まで並んで歩いた。街灯の光は冬になるとやけに冴えてキラっとしている。
ふたつの影がくっつきそうでくっつかない距離を保つ。人通りが少ないところで、冬馬が立ち止まった。



「桃香、1回だけ」



「なに?」



「キスしたい」



「え?」



「俺へのクリスマスプレゼントってことで」



立ちすくむ桃香を抱き寄せ、冬馬は唇を重ねた。桃香はとまどったが、なぜか心地よく感じてしまい逃げることができなかった。



「ばか、桃香のばか。なにやってんだ私」



桃香はその夜、また自分を責めた。ラブバージン。男の人に振り回される弱い自分。
髪の毛をかきむしり「生まれ変わらなきゃ」と何度も叫んだ。



(続く)



【恋愛小説『自由が丘恋物語 〜winter version〜』は、毎週月・水・金曜日配信】

目次ページはこちら
  • 1
  • 2

この記事のキーワード