2015年3月25日 10:00|ウーマンエキサイト
真冬の街灯の下で【自由が丘恋物語 〜winter version〜 第31話】
「ずっと友達ではいてくれよ。練習も試合も見に来いよ」
「…うん。もちろん」
冬馬は最後まで男っぽい。かっこよかった。カフェを後にして、駅まで並んで歩いた。街灯の光は冬になるとやけに冴えてキラっとしている。ふたつの影がくっつきそうでくっつかない距離を保つ。人通りが少ないところで、冬馬が立ち止まった。
「桃香、1回だけ」
「なに?」
「キスしたい」
「え?」
「俺へのクリスマスプレゼントってことで」
立ちすくむ桃香を抱き寄せ、冬馬は唇を重ねた。桃香はとまどったが、なぜか心地よく感じてしまい逃げることができなかった。
「ばか、桃香のばか。なにやってんだ私」
桃香はその夜、また自分を責めた。ラブバージン。男の人に振り回される弱い自分。髪の毛をかきむしり「生まれ変わらなきゃ」と何度も叫んだ。
(続く)
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