「怖くてショックで頭が真っ白になってしまいました。もちろん、返信はしていません。メールの文面を彼に転送したら、速攻で電話がかかってきました。普段は絶対に謝ったりしない人が平謝りでしたね。結局、朝5時ぐらいまで電話で謝られつづけました」
女性読者からは反発を買うかもしれませんが、僕の男友だちは「浮気をするなら嫁にはいうな。嫁にいうなら浮気をするな」をスローガンにしています。飲酒運転撲滅の標語みたいですね。綾香さんの彼の場合は、浮気をする相手をまちがえたとしかいいようがありません。
何度か逢瀬を重ねただけの相手の携帯を盗み見して見知らぬメアド宛にメールを送るなんて、正常な人なら絶対にやりませんからね。結果として、最悪の形で浮気がばれてしまったのでした。
忍耐強い綾香さんは彼とすぐに別れることはありませんでした。しかし、一度でも決定的に信頼関係を裏切られると元に戻ることはできなかったようです。
口げんかをするたびに綾香さんが浮気の件を持ちだし、彼は「あんなに謝ったのに」と逆ギレすることが増えました。
「私は30歳になっていたので、この人に固執してもいいことは何もないと、思いきって別れました。その後は、半年に一度ぐらいは食事をする友だち関係になっていますが、相変わらずの自意識過剰なナルシストぶりにはちょっとうんざりしています。恋人だったら許せたことも、単なる友だちだと面倒くさいと感じてしまうのですね」
■プロポーズしてくれた元カレが忘れられない
身勝手すぎるマザコン研究者の彼には一切の未練を感じさせない綾香さん。
ただし、さっぱりと前を向けない理由もあります。学生時代から8年間も付きあっていた元恋人のユウイチさん(仮名)が忘れられないのです。
「私は4年制の看護学科で、彼は6年制の医学部の学生でした。彼は2歳年上の先輩だったので、卒業した年は一緒です。私はすぐに結婚したかったのですが、彼は研修医として働きはじめたばかりだったので自信がないといわれてしまいました」
その2年後、ユウイチさんのほうからプロポーズがありました。仕事にも慣れてきたのでしょう。しかし、今度は綾香さんが断ってしまったのです。
「ちょうど仕事がおもしろくなっていた頃でした。
外科に所属していたので、エネルギッシュで頼りがいのある先生(医者)たちと新米の彼とを比較してしまいました。いま思えば、彼は外見も性格も最高の男性だったんです。あのときにプロポーズを受けておけばよかったな…」
綾香さん、率直に語ってくれてありがとう。もしかすると、ユウイチさんは結婚した途端にDV男に豹変(ひょうへん)して、あなたはいまごろお墓の中で眠っていたかもしれませんよ。彼のことは「たまに思いだして甘酸っぱい気持ちを楽しむ」程度に留めておいたほうが良いと思います。