■看護師の仕事は好きだけど、パートナーや子どもはほしい
綾香さんのように暗くなりすぎずに後悔の念を話してくれる人が僕は好きです。逆に、「恋愛でも仕事でもいままでの選択はすべて正しかった。私って成功者!」みたいな人には共感しません。人生はそんなに単純なものではないと思うからです。
いま歩んでいる道は最善ではないかもしれないけれど、他人の助けを借りながらなんとか楽しく生きぬいていくのが本当だと思います。
現在の病院での仕事には、自信を持って取りくめている綾香さん。できれば定年まで働きつづけたいと思っています。看護師はひとりでも生きていけるように選んだ仕事です。
ただし、パートナーや子どもは欲しいと切実に思っているようです。
「両親も共働きで、母のほうが収入が多かったので、男性には高収入や高学歴は求めません。うちの病院の医者はプライドがすごく高くて社会性はゼロな人が多いので、男性としての魅力は感じませんね。30代以降で独身の人は完全にこじらせ系です」
このような分析をしてしまう時点で綾香さんも少しこじらせ系です。周囲の男性を素直に尊敬できた20代のころには戻れません。かといって、謙虚で誠実なだけの男性にもおもしろみを感じないようです。
「以前からお世話になっている60代の方に相談したら、私より7歳上の税理士さんを紹介してくれました。
とにかく普通の人。
見た目はおじさんだし、話もまったくおもしろくありません。会話をすべて私に丸投げするんですよ。お断りをしてしまいました。謙虚ならば誰でもいいと思っていたけれど、やっぱり誰でもいいわけではなさそうです」
じつはいま、綾香さんには気になる人がいます。どんな人なのでしょうか。思わず身を乗りだして聞いたのですが、「大宮さんにはいえません」となぜか教えてくれませんでした。
ここまで赤裸々に話していてくれたのになぜ? 疑問が残ります。僕に話すと恋の成就が遠のくと思っているでしょうか。
そんなことはありませんよ!
「大宮冬洋の薄口アドバイス」
最終回にふさわしい「こじらせアラサー女性」が登場してくれましたね。現在32歳の綾香さんは、ファッションや化粧を含めた外見、立ちふるまい、仕事の余裕などの面で、おそらく過去最高に美しくなっているタイミングだと思います。それだけに、男性に求める基準も知らず知らずのうちに高くなっているのです。綾香さんへのアドバイスは残念ながら思いつきません。というのは、改善するべきは僕たち男性のほうだからです。外見も中身も同世代の女性におよばなさすぎる。ちなみに、このような恋愛相談室に来てくれるのも圧倒的多数は女性です。問題意識すらない男性のほうがはるかに問題だ、と僕は思います。
「お互いにすてきな大人の男になろうぜ」という趣旨で男性たちと語りあいたいと思うこのごろです。
迷えるオンナの懺悔室 スナック大宮の「今夜も薄口アドバイス」