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(Photo by Ignat Gorazd)東京都心部の緑豊かな公園。 平日はサラリーマンの憩いの場、休日はカップルやファミリーで賑わうスポットに、不思議なカフェがある。 緑の地を進むと、現れたのはブルーシートで作られたテントと簡易的な椅子。 机の上にはたくさんの食べ物やお茶が並べられている。まるで宴会のようだ。 お客さんはスーツのお父さんや外国人、身なりのきちんとした女性、お年寄りなど。 そして、経営者は公園在住の2人のホームレスだ。 公式ホームページのないカフェ「エノアール」(Photo by 新宿区ダンボール絵画研究会)東京都内の各公園には、ホームレスの人々が暮らしている一画、通称「テント村」がある。 2003年、自ら率先してこのテント村の住人になった2人のアーティストがいた。 小川てつオといちむらみさこである。 彼らは社会から隔絶され排除されるホームレスの新しい可能性を見出すため「エノアール」という物々交換カフェを始めた。 店舗はない。 あるのはブルーシートのテントと公園の敷地だけ。 公式ホームページもなければ、メディアで大きく取材を受けることもしていない。 明確なメニューもないが、お茶や食べ物などは豊富に揃っているらしい。 そして、エノアールには金銭でやり取りをするという常識もない。 ここは、「物々交換」で成り立つカフェなのだ。 お茶が飲みたければ、お金以外の「お茶に見合う何か」を差し出すことが、このカフェのルールだ。 公式ホームページがないため、エノアールの主な情報はカフェを訪れた人々が発信源だ。 「今日たまたま公園を歩いていたら、ついにエノアールを見つけたので行ってみた!」という人もいる。 まるで幻のカフェである。 客層は老若男女問わず、職業も国籍も問わない。 興味本位で訪れる観光客もいるし、公園生活を熟知している玄人が集まる日もある。 支援団体や思想家が訪れることもあるので、いつも穏やかなわけではないらしい。 自治体の整備の影響で、移転を余儀なくされたこともあるのだとか。 しかし、2016年現在まで「エノアール」は確かに存在していることが、ツイッターやブログの情報から確認できる。 そして、このカフェではおそらく世界で最も自然に「市民とホームレスの交流」が行われている場所ではないだろうか。 ホームレスは新しい文化の担い手(Photo by Ciro Cattuto)エノアール運営者の小川氏のブログには、ホームレスの小屋づくりや生活のポイントなど、ホームレスお役立ち情報が綴られている。 おそらく、ホームレスによるホームレスのためのメディアは、後にも先にも小川氏のブログだけではないだろうか。 そして、彼が書いた記事の中には、ホームレスに対するステレオタイプを打ち崩すメッセージがたくさん散りばめられている。 “ぼくが公園でホームレス生活を始めた最大の理由は、ここから新しい文化が生まれるかもしれない、と思ったからです。 驚く人も呆れる人もいるでしょうが、そうとしか言えません。 外からみていて、ホームレスの人たちには、自由に使える時間がたくさんあり、コミュニケーションがさかんであり(助けあっている)、また様々な人がいる、と思っていて、そういうところから(差別されているということも付け加えることもできます)、文化が生まれてくるはずだ、と思って、そして暮らすことにしたのです。 だから、ぼくの立場からいうと、ホームレスをなくせばいい、という風には思わず、むしろ若い人は家賃を払うために賃労働をせずにホームレスになったらどうか、と提言したいほどです。 (もちろん、そんな簡単に言えることではないのですが)。”出展:小川てつオのブログ「ホームレス文化」 彼は、ホームレスは保護されるべき弱い対象でも、蔑まれて排除されるべき対象でもなく、新しい文化を作り出す者だと主張する。 実際、彼のテントの周りでは、様々な性別、国籍、経歴の人同士が集い、金銭の概念を排除した世界だからこそ芽生える心の繋がりがあるようだ。 家のない者は“憂さ晴らし”の的(Photo by PRODarcy Moore)現在、日本にはおよそ8000人のホームレスが存在していることが厚生労働省の調査で明らかになった。 「家のない者は卑しい」「ホームレスは危険」という価値観は、国内外問わず、古来から存在する。 夜間に公園や河川敷で寝ているホームレスを狙った凶悪な犯罪はなくならない。 今年の5月には大阪府で、ホームレスの布団に火をつける事件が相次ぎ、30代の男が逮捕された。 ホームレスをターゲットにして暴力を振るう者の多くは、その動機を「憂さ晴らし」もしくは「目障りだったから」と語る。 家のない者、所得のない者、仕事のない者は、時に人権まで持っていないかのように扱われる。 暴力を振るわなくても、路上にホームレスが寝ていれば見て見ぬふりをする人が大半だ。 まるで社会において彼らは「いない」もののようだ。 そんなホームレスたちを可視化し、彼ら独自の生き様に可能性を見出したのが小川氏だった。 広がるホームレスの輪(Photo by Bさん)エノアールではこれまでに、様々な催しが行われてきたようだ。 小川氏たちの取り組みを映像に残したドキュメンタリー作品が上映されたり、なんと滋賀県にて出張エノアールが開催されたという情報も入手した。 そしてカフェでは週に一度、「絵を描く会」が開催されている。 カフェを訪れた人が、自由に絵を描くことができる催しだ。 公園に落ちている枝も画材の一つになるのだとか。 そして、描かれた絵は公園の木々に飾られ、店内のインテリアになるそうだ。 これがカフェの名前の由来「絵のあるカフェ=エノアール」だ。 もしも公園でブルーシートのカフェに出会えた時は、「見て見ぬふり」をせずにカフェを訪れてみたいものだ。 お金の代わりに何を持っていこうか考えるだけで、ちょっとわくわくする。 via. 小川てつオ, エノアール, 放浪乙女えくすとら, 喜八ログ, 幻想第一, NAVERまとめ この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“『カフェアート』が仕掛ける「100人の英国ホームレス・カメラマン」?” マニラ、ニューヨーク、ロサンゼルス。見慣れない並びだが、これら3都市の共通点。それは「ホームレスが多い」ということだ。「都市とホームレス」。... ーBe inspired!
2016年07月13日(Photo by Céline Aussourd)この夏、大人がこどもに、こどもはもっとこどもに戻れるバスが、日本を走るという。 その名もCARABINA CAR(カラビナカー)。 CARABINA(カラビナ)って何?と思う方、この写真をみればおわかりいただけるだろうか。(Photo by survival-mastery)今では、カギなどをつけるツールとして認識している人も多いが、もともと登山道具。ロープとハーネス、ハーケンやクライミングチョックなどの支点を素早く確実に繋ぐ登山での必需品なのだ。 そんな様々なものを繋ぎ合わせるツールが名前に入ったバス「CARABINA CAR」。 このバスに行くだけで、発想が自由になったり、友達に話したくなったり、好奇心が刺激される。そんな楽しくて、開放的な 存在を目指しているのだとか。 あの頃を思い出す「こどもに戻れるバス」(Photo by Kosuke Yamato)この「CARABINA CAR」のプロジェクトは、先日7月4日に始動した。 仕掛けたのは、様々なアプローチでワクワクをこどもたちに届けるためのチーム、その名も“CARABINA”。 「ワクワクから始まることで、未来の大人をインスパイアする」を合言葉に、学生を対象に、クライミングにはじまり、釣りやカヤック、キャンプなどの体験プログラム、ペインティングからツリーハウス製作、iPhoneを使っての映像制作などのワークショップを行っているプロジェクトチームだ。(Photo by CARABINA CAR PROJECT)そして彼らの新プロジェクト「CARABINA CAR」では、アメリカでスクールバスとして使われてたいた28人乗りの車を輸入し、「こどもに戻れるような空間」に改装し、こどもから大人までをワクワクさせちゃおうというもの。(Photo by Kosuke Yamato)完成後は、こどもの遊びの拠点として、生活ができるキャンピングカーとして、暮らしのヒントを発信するイベントスペースとして多くの方が利用できるようにするそう。 「CARABINA CAR」の使い方は「無限大」(Photo by CARABINA CAR PROJECT)こどもたちへ遊び場として 、ご家族やパートナー、友人と利用、キャンピングカーとして、 仕事仲間とオフィスとしてモバイルオフィスとして、イベントで多くの方に、ワークショップスペースとして…。 「CARABINA CAR」の使い方は無限大なのだ。 また先日、多くの人を巻き込んでいくためにMotion Galleryでクラウドファウンディングをスタートした。 こどもと大人。自然と人。アイディアとアイディア。遊びと仕事。 CARABINA CARが本来の登山道具「CARABINA」のように、色んなモノとモノを繋ぎ、日本の社会に新しい価値を生み出していってくれることに期待したい。 興味ある方、支援したい方はこちらから。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「校庭」を食べる子供たち。 「アメリカでは、4分に1人、肥満が原因で死亡」「イギリスの子供達は、トマトを見てポテト、ナスを見て梨と回答。」これらの事実を明らかにしたのは、イギリス人シェフで... ーBe inspired!
2016年07月12日(Photo by Reo Takahashi)過去、世界10カ国で16万人以上を動員。 しかも、レディ・ガガやウィル・アイ・アムなどの有名アーティストが参加してきたRockCorpsというフェスが存在する。 そのフェスのクールなところは、お金ではなく誰もが平等に持っている「時間」を提供することの対価として、フェスに行けるというところ。 チャリティは裕福な者だけのものじゃなく、『普通の人』や『若い人』のものでもあるのだ。 (Photo by Reo Takahashi)「私たちのフェスはユニークです」 彼はそんなふうにRockCorpsのフェスを形容した。 今回話を聞いたのは、RockCorpsの創始者の1人でありCEOのスティーブン・グリーン。 RockCorpsは4時間のボランティアへの参加の「対価」として、フェスのチケットを提供するプロジェクト。 インタビューではRockCorpsがユニークな3つの理由を教えてくれた。 ①レディ・ガガ/リアーナ/ニーヨも賛同した、革新的ビジネスモデル(Photo by (C)RockCorps supported by JT)<写真: NE-YOとボランティアする参加者ら>「音楽を使って人々のボランティア活動を促進しようと持ちかけられたとき、何か新しいビジネスモデルを作らなきゃと思った。 従来のやり方じゃ若い人に参加してもらいにくいし、事業の拡大をしにくいから。 でも、様々なアーティストたちが協力してくれるというのは心強かったね。 ちょうどその頃(2001年の9.11後)は企業が社会に影響を与える取り組みが多く、どうなるかわからないけど、そんなアイディアでやってみようということで始まったんだ」 RockCorpsは従来のNPOではなく革新的なマーケティング企業で、世界に大きなソーシャルインパクトを与えている。 これによって、従来のNPO的なチャリティ活動ではなかなか集められない若者層を取り込むことにも成功しているそうだ。 日本では、JTをはじめとする企業が自社のCSR活動としてフェスに協賛していることも強みとなっている。 ②「ボランティア×フェス」で作れる最高の雰囲気(Photo by RockCorps supported by JT)<写真: 宮城県での「チカラをあわせて牡鹿半島の公園づくり!『女川山野草園』の開墾のお手伝い」終了後に参加者にチケットを渡すスティーブン>RockCorpsではボランティアの対価として「フェスへの参加権利」を渡す。そのフェスを「セレブレーション」と呼んでいる。 共にボランティア活動に参加した仲間たちと再会できるからこそ、そのフェスには特別な一体感があるそうなのだ。 RockCorpsのセレブレーションでは、ただ音楽や有名アーティストに会うことを楽しむのではなく、同じボランティア活動に参加した者同士のコミュニティ形成を可能にするのだ。 「これが私の最も楽しみにしている瞬間だ」 参加者一人ひとりにチケットを渡すときについてそう語るスティーブンは、先日も東北でのRockCorpsのボランティア活動に参加し、終了後には参加者に直接セレブレーションのチケットを手渡した。 セレブレーションにも彼は必ず参加しており、そこで参加者たちが自らのボランティア活動を祝福しあう姿を見るのが大好きだという。(Photo by RockCorps supported by JT)<写真: 福島県での「南相馬の子どもたちを喜ばせよう!公園そうじのお手伝い」でのスティーブン(後列の左から3番目)> (Photo by (C)RockCorps supported by JT)「日本でのセレブレーションにはユニークな雰囲気がある。 コンサートに参加するとき、最も楽しみなのは何かとつながっているという感覚だと思う。 他の観客と一体になっているという感覚だ。 RockCorpsのセレブレーションでは、通常のコンサートと異なり、始まる前から観客同士が既に『つながって』いる。 それはコミュニティのためにボランティア活動をした者同士であるからだ。 日本のセレブレーション当日の参加者たちを見ていると、コンサートの1、2時間前には会場にきて、仲間との『再会』を楽しんでいるんだよ」 ③貧富の差は関係ない。誰もが平等に持つ「時間」という対価(Photo by Reo Takahashi)「典型的なチャリティコンサートは参加者がチケットを買い、その売り上げがNPOに寄付されて慈善事業に使われる。 だけど、それでは『普通の人』や『若い人』が参加できないことがあると思うんだ。 若者には、チャリティのためのお金がないことが多いからだ。 そうするとチャリティはお金持ちの人のものになってしまう。 でも、『時間』なら誰もが1日24時間、平等に持っているんだ。 参加者がどんなに裕福でもどんなに貧乏でもいい。 この星で最も民主的なものは『時間』だと、僕は思うんだ。 だから、このフェスでは、人々は『時間』を提供することでボランティアに参加ができるんだ」 ユニークなアイデアが実現させたマイペースな社会貢献(Photo by Reo Takahashi)世界に存在する様々な問題の手助けとなる、チャリティー活動。 しかし、いつからこの活動は「富裕層の特権」になってしまったのだろうか。 世界が抱える問題の手助けは、なにもお金がなくても、不屈の正義の心がなくても、もっとユルく、自分のペースでできるのだ。 ただフェスに参加したいという不純な理由でも、暇だったから4時間を提供したという理由でも、なんでもいい。 チャリティー活動を「民主化」し、ユニークな形の「対価」として参加者に還元する。 そんな「ユルい社会貢献」の仕組みを築いたRockCorpsの活動から、今後も目が離せない。 <全参加アーティスト決定!今年は公式アンバサダーも> RockCorpsのフェスではお金を支払う必要がなく、自分の「4時間」を使ってボランティアを行うことで、4組のアーティストの出演するフェスに参加が可能。 *出演アーティスト・カーリー・レイ・ジェプセン・アジアン・カンフー・ジェネレーション・HY・Aqua Timez*公式アンバサダー・高橋みなみ(Photo by TakeoDec.)ボランティアイベントは、施設の清掃活動やオリーブ栽培、祭りの運営など。 東北3県(福島県、岩手県、宮城県)と首都圏(東京都、神奈川県)で合計4,000人が各4時間ずつ参加できるよう企画されている。 募集期間と実施期間はともに8月末日まで。 気になった方はこちらから。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“世界一有意義な「4時間」の使い方。” あなたは「4時間のヒマ」があったら何をするだろうか?昼寝、買い物、運動、読書、ネットサーフィンなどなど。「自分のため」に使う人が多いだろう。しかし、... ーBe inspired!
2016年07月12日