チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (142/342)
11月から始まる舞台『この熱き私の激情~それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』。36歳の若さで自ら人生に幕を閉じた女性作家ネリー・アルカンの4本の小説をコラージュしたこの作品の上演を記念して、9月、朝日カルチャーセンター新宿にて、「ネリー・アルカンの世界~愛と激情に生きた作家」と題して特別講義が開催された。登壇したのは、出演者のひとり霧矢大夢と、ネリーのデビュー作「ピュタン─偽りのセックスにまみれながら真の愛を求め続けた彼女の告白─」を翻訳した松本百合子。ネリーとはどんな女性だったのか。彼女の小説は舞台でどう表現されるのか。舞台のプロデューサーである毛利美咲の司会で進んだトークから、その片鱗が見えてきた。舞台『この熱き私の激情』チケット情報ネリーのデビュー作に松本が取り組むのは実はこれが2度目だ。2006年に「キスだけはやめて」のタイトルで出版されたものを、この度の舞台上演と、映画「ネリー・アルカン愛と孤独の淵で」が10月より公開されることを機に、新たに翻訳し直したのである。そこに描かれているのは、高級コールガールだった時代のこと、自分が生まれる前に亡くなった姉がいたこと、それゆえに両親に愛されていないと感じていること、そして“女”であることなど、自身の生きづらさだ。再びその世界に向き合った松本は、「ネリーは、美しくならねばならない、若くなければいけないと、いろんな“ねばならない”を抱えて、自分をがんじがらめにしていた人。悲痛な叫びがより強く聞こえてきた」と話す。女として生きることのそんな葛藤や抑圧は、「ネリーほど極端でなくても、どんな女性も感じること。女性としての自分の存在意義を問う瞬間って、どなたにもあると思うんです。だからこそ、舞台ではそこを探求していきたい」と語るのは霧矢だ。だが、「ただ痛みを表現するだけの作品ではない」とも強調する。舞台では、6人の女優とひとりのダンサーが、ネリーが抱え小説に著したテーマをそれぞれに表現することになる。霧矢が担うのは、亡き姉や家族など血縁を語る“血の女”だが、「一人ひとりの女優が放つものによって、闇の中に光が見えたらいいなと思うんです。演劇のすばらしさはそこにあると思うので」。松本も付け加える。「ネリーは自ら死を選びましたが、生と死は表裏一体、それだけ生きたいというエネルギーが強かったんだと思います。その人生は一瞬一瞬が光っていたのではないでしょうか」。身をもって生きることを問いかけたネリーのその激しい魂は、この日の会場を早くも震わせていた。舞台は11月4日(土)から19日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演。その後、広島、福岡、京都、愛知を巡演。取材・文:大内弓子
2017年10月13日10月11日、東急シアターオーブ エントランス特設会場にて「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2017」お披露目ミニライブが開催された。【チケット情報はこちら】本公演は、巨大ツリーや渋谷の街並み、氷の世界などの豪華なセットをバックに、誰もが口ずさめるクリスマスソングの数々をブロードウェイで活躍するシンガーたちの歌、一流ダンサーたちによる迫力溢れるダンスにタップ、さらには華麗なアイスショーによって披露される夢の舞台。昨年日本に初上陸、“劇場”で最高のクリスマス気分が味わえると話題になり、今年も上演が決定。この日登場したのは、2年連続で応援サポーターを務めるフィギュアスケーターで女優の本田望結とホテルの料金比較サイト「トリバゴ」のCMをきっかけにバラエティ番組への出演やMC番組も決まるなどブレイク中のシンガーソングライター、ナタリー・エモンズ。昨年、自身の振り付けでスケートショーを披露した本田は、「今年も参加できるのがすごく楽しみです!昨年はキャストの皆さんが作られているシーンや物語を私が演技する中で壊してしまわないように気をつけて踊ったのですが、今年は一層皆さんと一体感を持って滑れるように頑張りたいです。」と目を輝かせながら意気込みを語った。また今年のショーにシンガーとして出演することが決定したナタリー・エモンズは『レット・イット・スノー』、『All I want for Christmas is you 恋人たちのクリスマス』の2曲を披露。伸びやかで華やかなその歌声に、会場中が一気にクリスマスムード一色に。本田も「歌声がものすごくキレイ!吸い込まれそうだった」とウットリ。ナタリーは今回の出演に「歌うこともクリスマスも大好き!アメリカのクリスマスショーを日本の皆さんとシェアできるのが嬉しいです。」とCMと同様の流暢な日本語で話し観客を和ませた。司会から「今年の公演での楽しみは?」と聞かれ、ナタリーは「望結ちゃんのスケートショーを見るのが楽しみ!」とコメント。本田も「ナタリーさんの歌声を今度はシアターオーブの会場で聞けるのが本当に楽しみです!」と答え、ふたりとも期待に胸を弾ませていた。げきぴあでは本田望結とナタリー・エモンズの対談を掲載中。気になる方は下記関連リンクよりご確認を。クリスマスショー「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド」は12月15日(金)から25日(月)まで、東京・東急シアターオーブで上演。チケットの一般発売は10月14日(土)午前10時より。取材・文:ミカマイコ■ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2017日程:12月15日(金)~25日(月)会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)(東京都)料金:【平日】S席8,800円 / A席5,800円(ともに税込)【土日祝】S席9,800円 / A席6,800円(ともに税込)
2017年10月13日世界最高峰のエンターテインメント集団、シルク・ドゥ・ソレイユの創設30周年記念作品『ダイハツ キュリオス』日本公演が、2018年2月7日(水)よりお台場ビッグトップにて開幕。それに先立ち、10月12日に都内で同公演の記者発表が行われた。【チケット情報はこちら】開始と同時にステージのモニターに映し出された時計が、本作のテーマでもある”11:11“に変わると、客席後方からキュリオスのキャラクターであるクララ、ニコ、ミスター・マイクロコスモス、ジャグラーが登場。また、ステージ上で”ロシアン・クレードル“の生パフォーマンスが披露されると、会場内からは歓声が沸き起こった。パフォーマンス後には、日本公演のスペシャルサポーターとして、藤田ニコル、キャイ~ンの天野ひろゆき・ウド鈴木、サンドウィッチマンの伊達みきお・富澤たけし、LiLiCo、チャラン・ポ・ランタンのもも・小春、そして2003年の「キダム」以来、シルク・ドゥ・ソレイユ日本公演の応援団長を務める小倉智昭がステージに登壇。また、会場に来られなかった中村勘九郎・中村七之助・中村勘太郎、橋本環奈からもビデオメッセージが届けられた。ひと足先にアメリカ・ポートランドで本作を観たという小倉は、「CDのベスト盤みたいなもので、どこから観ても面白いんです」と大きな期待を寄せるとともに、『キュリオス』唯一の日本人アーティストであり、先日クララ役として大抜擢された“池田一葉さん”とのエピソードなどについても熱く語った。その後、さらに演目のひとつ“コントーション”が披露されると、人間技とは思えない柔軟性とコンビネーションにサポーターたちからも驚きの声があがった。ほかにも11月11日が“キュリオスの日”として日本記念日協会から認定されたことも発表されるなど、記者発表は大盛況のうちに幕を閉じた。日本公演は東京を皮切りに、大阪・名古屋・福岡・仙台を巡演。東京公演のチケットは発売中。「ダイハツ キュリオス」東京公演:2018年2月7日(水)~4月8日(日)お台場ビッグトップ(東京都)
2017年10月13日シリーズ累計発行部数250万部を超える井上三太の漫画『TOKYO TRIBE 2』が舞台化。9月に東京公演がスタートし、連日スタンディングオベーションの大盛況。大阪公演は10月21日(土)・22日(日)、IMPホールにて上演される。「TOKYO TRIBE」チケット情報本作は架空都市“トーキョー”に生きる若者たちの日常、愛、友情を過激かつオシャレに描写した作品。漫画読者はもちろん、一大ストリートカルチャーと化してファッションや音楽にも大きな影響を与えてきた。2014年には、園子温監督によりラップミュージカルとして実写映画化もされた話題作だ。今回の舞台では、構成を家城啓之が、演出をダンスエンタテインメント集団・梅棒を主宰する伊藤今人が手掛け、舞台版ならではのオリジナルキャラクターも登場させて展開している。架空都市トーキョーにはいくつもの“トライブ”が存在し、各々の街を縄張りに生活している。そのひとつ、シヴヤSARUのメンバー・海(遠山昌司)も仲間と共に変わらない日々を送っていた。そんな中、海の親友だったメラ(SHUN)が率いるトライブ、ブクロWU-RONZの手によってSARUのメンバーが凄惨な死を遂げる。リーダーのテラ(KEN THE 390)は暴力による解決を禁じたが、彼自身もメラにより殺害。海とメラの過去に関係するスンミ(宮澤佐江)、SARUとWU-RONZの抗争に巻き込まれるハラヂュクJINGS。さまざまな人物が絡み合い、トーキョー中を巻き込んだ抗争へと発展していく…。若者たちによる、HIPHOP、ラップ、ダンスを散りばめながら展開する、胸がヒリヒリするようなストーリーを劇場で体感したい。10月13日(金)には、FM COCOLO 765の『THE MAGNIFICENT FRIDAY』内の演劇専門コーナー「ステージぴあSPOT-LIGHT(スポットライト)」に、伊藤今人と、出演者のひとりで振付も務める植木豪が登場!作品の見どころや魅力をたっぷりと語ってくれる。【番組概要】■FM COCOLO THE MAGNIFICENT FRIDAY「ステージぴあ SPOT-LIGHT(スポットライト)」【放送日時】毎週金曜15:20~15:40【DJ】加美幸伸【10/13(金)ゲスト】伊藤今人/植木豪
2017年10月12日人気ヴァイオリニストの木嶋真優が、実に5年ぶりに待望のリサイタルを開く。木嶋真優 コンサート情報プログラムのメインはプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番。「プロコフィエフから全体のアイディアを練り始めました。十代の終わりにコンクールで弾いて以来一度も弾いていなくて、いつかもう一度戻ってこようと温めていた曲のひとつです」。そしてもう一方の核が平井真美子への委嘱作品《マゼンタ・スタリオン》世界初演。平井は桐朋学園ピアノ科出身の作曲家・ピアニスト。今夏にオンエアされた「過保護のカホコ」などドラマや映画、CMの音楽を手がけるとともに、純音楽も多数発表している。「平井真美子さんは、音を聴けばパッと映像が浮かぶような、メロディックな曲を書く方です。すでに今年の春、ワシントンD.C.の全米桜祭りで演奏した私の6821クインテットのために1曲書いていただきました」。完成して渡された譜面をただ弾くだけの作曲委嘱ではないのがポイント。創作段階から試演や協議を重ねて、ともに創っていくという試みだ。ちなみに「マゼンタ・スタリオン」は「赤い馬」の意味。平井から見た木嶋のイメージだそう。「まだずっと小さかった頃にロストロポーヴィチさんから、『音楽家として成長していくために、必ず、今生きている作曲家たちと一緒に音楽を作りなさい』と言われました。当時はその意味がわからなかったのですが、お客様の層を拡げるためにも、現代の、同じ生活をしている人たちが作り出す景色には意味があると思います。去年の9月に、それをやるなら今だと思いました」『去年の9月』というのは、優勝した第1回上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクールの時のこと。1か月強の長丁場のなかで考えた。「SNSも全部絶って、自分と音楽しかない時間のなかで、『明日うまく弾いて優勝したい』ではなく、自分の将来についてもじっくり向き合うことができました。ヴァイオリンを始めた3歳から今までのうちで、一番意義のある時間だったと思います」優勝という結果だけでなく、むしろその体験を経て自分自身が変わることができたことのほうが大きな成果だったと力強く語る。2月のリサイタルは、そんな新しい木嶋真優を目の当たりにする貴重なチャンスだ。「建築やデザイン、現代アート、そして大好きな食。パリではさまざまなジャンルの人たちと交流が拡がります」4年前からパリを拠点にしている。でもそのきっかけは意外だ。2、3泊の小旅行で訪れた時になんとなく「私はここにいたほうがいい」と感じて、そのまま定住してしまったのだそう。13歳から住んでいたケルンの家には、今もまだ荷物が置かれたまま…。可憐な外見やミューズが降りて来たような舞台姿の印象と異なる、そんな案外大胆なところも、彼女の音楽の魅力となって現れているに違いない。公演は東京・紀尾井ホールにて2018年2月2日(金)19:00開演。チケットは10月14日(土)より発売開始。取材・文:宮本明
2017年10月12日アミューズの若手俳優によるファン感謝祭、通称『ハンサム』が今年も12月25日(月)から27日(水)まで東京・TOKYO DOME CITY HALLで行われる。2005年に始まり、三浦春馬や佐藤健らも参加してきた年末恒例行事が、今年は『HANDSOME FILM FESTIVAL 2017』と題し、新たなチャレンジを行う。小関裕太、富田健太郎、正木郁、溝口琢矢に話を聞いた。HANDSOME FILM FESTIVAL 2017 チケット情報昨年までのLIVE中心から、フィルム(映像)が中心となる今年の『ハンサム』。脚本・構成に鈴木おさむを迎え、映像クリエイター7人とコラボレーションしてつくる映像とともに企画を展開するといい、彼らの本業・俳優の姿が全面に出る内容になりそうだ。今年の出演者は、石賀和輝、石原壮馬、太田将熙、甲斐翔真、金子大地、神木隆之介、小関裕太、富田健太郎、正木郁、松岡広大、溝口琢矢、吉沢亮(※石賀は25日、松岡は26日のみの出演)。20~24歳(公演時)という同世代が揃った。小関は「今回は“僕らの時代”という気持ちがすごくあります。先輩方から受け継いでいるもの、ハンサムへの愛も持ちながら、ワクワクする新しいハンサムのあり方を、この年代でつくりたいです」。映像で共演することを「楽しみ」と語る4人。溝口は「初めに“フィルム”って聞いたときは普段の仕事と一緒だと思いました。でもそうじゃない。鈴木おさむさんと映像クリエイターの方々というものすごいお力添えに対して、経験の浅い僕らはきっと全員で“一枚岩”となって戦うことでやっと成立するんじゃないかと思うんです。通常、映像の仕事で共演者に関与するってほとんどないので、(“一枚岩”になることで)普段とは全く違うカタチで取り組めると思います」。富田も「先輩方のような経験値がない分、軽はずみな気持ちでやるとどうしようもない作品になってしまう可能性もあるわけで。だけど一歩引くようなことはせず、全力でぶつかり合っていいものをつくりたい。そうしたらこの年代にしかできない何かが生まれるんじゃないかな。そこにすごくワクワクします!」。この10月でアミューズに入って2年の正木は「去年のハンサムは僕にとって全てが挑戦で、精一杯でした。まだやっぱり経験は浅いですが、年代は同じなので。新人っていう枠に甘えたくないですし、負けたくない。今年も新しいことにぶつかりながら、ハンサムを愛してくれる人に、僕なりの感謝やしあわせを届けていけたらと思います」。それに対して芸歴が長い小関は「対等でいたいです。『こうしたほうがいいんじゃない?』って言われたいし。逆に隆さん(神木)は尊敬する先輩だけど、ここでは真っ向からいくつもりです!」と笑顔を見せた。公演は12月25日(月)から27日(水)までTOKYO DOME CITY HALLにて。チケットぴあでは10月13日(金)11:00から15日(日)23:59まで、二次プレリザーブを受付。取材・文:中川實穗
2017年10月12日ふだん美術に興味がない人でも、モネやルノワール、セザンヌ、マネ、ファン・ゴッホなどの名前は聞いたことがあるだろう。加えてドガ、ゴーギャン、ピカソといった“超スター級”の画家の作品が集結する夢のような展覧会が、この『至上の印象派展 ビュールレ・コレクション』だ。スイスの実業家エミール=ゲオルク・ビュールレ(1890~1956年)が収集した、世界有数のプライベート・コレクション。まとまって来日するのは実に27年ぶりのことで、2020年にはチューリヒ美術館に移管されることが決まっていることから、その全貌を日本で見られるのは、これが最後のチャンスとなる。その記者発表会が7月12日、東京の会場となる六本木の国立新美術館で行われた。至上の印象派展 ビュールレ・コレクション チケット情報会見では、在日スイス大使館公使のピーター・ネルソン氏が「スイスにとっても重要なコレクション」と、本展の内容が国家レベルであることに言及。続いてE.G.ビュールレ・コレクション財団館長のルーカス・グルーア氏が登壇し、門外不出といわれてきたモネの《睡蓮の池、緑の反映》が日本初公開となることが明かされた。同作品はモネが描いた一連の睡蓮作品のなかでも、高さ2メートル、幅約4メートルもの大きさを誇る大作。モネの死後、アトリエに保管されていたものを、ビュールレが自分の目で見て購入を決めた作品で、モネの最高傑作のひとつと言われている。その後、国立新美術館主任研究員である山田由佳子氏が、本展の構成を解説。テーマごとに分けられた各セクションの中でも、同コレクションの中核を成す印象派とポスト印象派の作品を展示するチャプター4から7は、美術ファン垂涎の傑作が並んでいる。「背景の深緑の茂みがあどけない少女の表情を浮き立たせている」(山田氏)ルノワールの《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》。近代美術の金字塔といわれるセザンヌの《赤いチョッキの少年》や、マネが印象派への興味を深めていったことを示す《ベルビュの庭の隅》、のちの点描のような筆致がうかがえるモネの《ジヴェルニーのモネの庭》。さらにファン・ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ……と、本展の見どころを語れば枚挙にいとまがない。同展は東京・国立新美術館(2018年2月14日(水)~5月7日(月))で開催後、九州国立博物館(同5月19日(土)~7月16日(月・祝))、名古屋市美術館(同7月28日(土)~9月24日(月・祝))でも開催の予定だ。繰り返すが、同コレクションの中から約60点もの傑作がそろって来日するのは正真正銘、これが最後。しかもその半数が日本初公開というのだから、この機会にぜひ目にしておくべきだろう。チケットぴあでは、東京開催分のペアチケットを10月12日(木)午前10時より発売。取材・文佐藤さくらAll images:(c)Foundation E.G. Buhrle Collection、Zurich (Switzerland) Photo: SIK-ISEA、Zurich (J.-P. Kuhn)
2017年10月12日劇団四季のミュージカル『オペラ座の怪人』が、12月27日(水)より6年ぶりに京都劇場で上演される。2015年より演出スーパーバイザーを務める北澤裕輔に、作品への思いや京都公演にかける意気込みを聞いた。劇団四季「オペラ座の怪人」チケット情報本作は、ガストン・ルルーの同名小説をもとにしたミュージカルで、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛を描いた物語。『キャッツ』や『エビータ』なども手がける“21世紀のモーツァルト”アンドリュー・ロイド=ウェバーによる、美しくも重厚な旋律で紡がれる人気作だ。北澤も本作の楽曲に魅了され、劇団四季に入団したという。「元々、音楽大学でオペラ歌手を目指していたこともあり、クラシックに近い、オペラのような曲があることが、僕の琴線に触れました。全曲歌いたいし、聴いていたいと思える作品ですね」。四季入団後、同作ではアンサンブルから始まり、オペラ座の新しいスポンサーのラウル・シャニュイ子爵、支配人ムッシュー・アンドレなどを演じてきた北澤。演出スーパーバイザーとして関わる今、「ますます作品への愛が深まっている」という。「俳優として出ていると、演じることに一生懸命なので、本当の素晴らしさに気付いていなかったのかもしれません。今は曲を聴いているのもワクワクするし、だからこそ作品の立体感や曲のよさを引き立たせたい。今の四季の俳優たちは全体的に歌唱のレベルが上がっているので、高度なことが要求できます。彼らのポテンシャルを最大限に引き出して、お客様を圧倒したいと思います」。醜い容姿を隠すために仮面をつけ、オペラ座の地下深くに身を潜める“怪人”。そんな彼が見せるクリスティーヌへの一途な愛が、胸を締め付ける。「好きという感情を通り越して、恥も外聞もなく愛するあの姿に惹かれますよね。そんな風に生きてみたい。2幕は怪人が必死であればあるほど、ラストシーンがより印象深くなると思うんです。だからそこは感情にまかせて、とにかく必死に愛して、出し切ってほしいと伝えています」。『ノートルダムの鐘』でも演出スーパーバイザーを務めた北澤。京都劇場は「横に広くなく、音をダイレクトに伝えやすいから、緊張感と迫力で魅せたい」と語り、「観たことがない方にはぜひ劇場で圧倒されてほしいし、観たことがある方にも“やっぱりすごい!”と思っていただけるように作っていきたい」と意気込みを見せた。公演は、11月19日(日)まで広島上野学園ホールにて、12月27日(水)より京都劇場にて上演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2017年10月11日2015年に日本に初登場し好評を博したミュージカル『タイタニック』が、2018年10月に東京・日本青年館ホール、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで再演される。本作は豪華客船タイタニック号沈没事故をもとにした物語で、1997年にブロードウェイで初演。『NINE』『グランドホテル』『ファントム』など、数々のヒットミュージカルを手がけたモーリー・イェストンの楽曲と、ピーター・ストーンの緻密なドラマが高い評価を得て、同年度のトニー賞で最優秀ミュージカル作品賞、最優秀ミュージカル脚本賞、最優秀作詞作曲賞、最優秀ミュージカル装置デザイン賞、最優秀編曲賞の5部門に輝いた傑作だ。日本人キャストをそろえて上演された日本版『タイタニック』は、『パジャマゲーム』や『グランドホテル』などの名作を手がけてきた気鋭の演出家トム・サザーランドが初めて日本で演出した作品。本作で登場するのは、設計士・アンドリュースをはじめ、乗船していた実在の人物たち。彼らが胸に抱いていた夢や希望をテーマに、それぞれの“人生”に着目した物語が描かれる。今回、加藤和樹、鈴木壮麻、藤岡正明、戸井勝海らが初演より続投するほか、石川禅、相葉裕樹、霧矢大夢ら実力派の新キャストが集結。また、現在絶賛上演中のミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』会場では、同公演のアンケートにご協力いただいた方に、ミュージカル『タイタニック』の特別先行受付のご案内を送付。初演で大きな話題となった本公演、さらにブラッシュアップされたステージに期待しつつ、いち早く先行情報の入手を!
2017年10月11日昨年日本初上陸したクリスマスショー「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド」が今年も12月15日(金)より東京・東急シアターオーブで開幕する。【チケット情報はこちら】巨大ツリーやステンドグラスが飾られたセットで、シンガーによるクリスマスソングの歌唱や、サンタクロースとダンサーによるタップダンス、舞台上に現れるスケートリンクでのショーなど、様々な趣向でクリスマスの雰囲気を楽しめる同公演。キャストとして「ライオンキング」のカリア・ブラック。「トリバゴ」のCMでお馴染みシンガーソングライターのナタリー・エモンズ。「ディズニー・オン・クラシック」(まほうの夜の音楽会2015/春の音楽祭2017)で来日を果たしたギャレン・マックロバーツなどの出演が決定している。昨年に引き続き今年も応援サポーターを務めるのは、フィギュアスケーターで女優の本田望結。本田はゲストとして12月15日(金)13時の公演に出演が決定している。応援サポーター就任と、ゲスト出演に際し本田は「昨年は2公演ゲストスケーターとして出演したのですが、セットのクリスマスツリーがすごく大きくて、その前で滑れて本当に幸せでした。自分の出番じゃない時は、出演者の踊りや歌を舞台袖で見させてもらったのですが、今自分のいる場所が、日本だということを忘れてしまうくらいアメリカのクリスマスショーの世界にひき込まれました。目を離す瞬間が1度もない素敵なショーです。今年もスケーターとして出演もするので、たくさん練習して最高のパフォーマンスができるように頑張ります」とコメントを寄せている。公演は12月25日(月)まで。チケットの一般発売は10月14日(土)午前10時より。■ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド2017日程:12月15日(金)~25日(月)会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)(東京都)料金:【平日】S席8,800円 / A席5,800円(ともに税込)【土日祝】S席9,800円 / A席6,800円(ともに税込)
2017年10月11日10月8日、ミュージカル『レディ・ベス』が東京・帝国劇場で開幕した。『エリザベート』『モーツァルト!』などのクリエイター、ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイが脚本と音楽を手がけ、日本ミュージカル界が誇る鬼才・小池修一郎が演出し2014年に同劇場で世界初演された作品の待望の再演。初日直前の7日にはメインキャストである花總まり、平野綾、山崎育三郎、加藤和樹が取材に応じ、その魅力と意気込みを語った。ミュージカル『レディ・ベス』チケット情報約45年もの長きにわたり女王として君臨し、イギリスに繁栄をもたらしたエリザベス1世。その女王即位までの波乱にとんだ半生を、知られざる恋なども絡めながら描き出す歴史ロマン大作。主人公であるレディ・ベス(エリザベス1世)は花總と平野が、そしてその恋の相手であるロビン・ブレイクは山崎と加藤がダブルキャストで演じる。好評だった初演キャストがほぼ続投となる再演だが、「初演かのような濃密さでお稽古してきました。いろいろと変更点もあり、新しい『レディ・ベス』をお客さまにお見せできる日がいよいよ来たんだなとドキドキしています」と花總。平野も「新曲もありますし、ずいぶんブラッシュアップされました。登場人物ひとりひとりの心情が繋がっている。ベスも、親子の関係性、家族間の問題、当時のイギリスの情勢が掘り下げられ、それによってロビンとの恋が浮き彫りになってきています」と、初演との違いをアピール。ロビン役のふたりも「ショーアップされていたところが演劇的になり、お芝居の要素が強くなった。前回から比べてかなり濃密な、深みのある『レディ・ベス』になっています」(山崎)、「この物語のテーマは『自由とは何なのか』と『自分は何者なのか』。そこを、演出の小池さんが、それぞれの役に対して明確に与えてくれている」(加藤)と語り、充実の再演となっている様子を話した。近年、映像での活躍も目覚しい山崎は、本作が今年初の舞台出演。山崎は「1年ぶりに舞台の世界に戻ってきて、みんな声デカイな、ミュージカル俳優ってこんな大きい声で喋ってるんだ!と思った(笑)。でも僕はここ(舞台)で育ち、ここがホームグラウンド。ミュージカルに縁のなかった方にもご覧いただいて、これがミュージカルなんだぞという素敵なものをお届けできれば」と心境を語っていた。公演は11月18日(土)まで同劇場にて上演。その後大阪公演もあり。10月25日(水)18:00、11月11日(土)17:00、11月13日(月)18:00はぴあ半館貸切公演、こちらのチケットも発売中。
2017年10月10日大阪が世界に誇る伝統芸能「文楽」の魅力をもっと多くの人に届けたいと、2015年にスタートした『うめだ文楽』。20代から40代の若手技芸員たちによる熱演や、テレビ局が主催する公演ならではの、バラエティ豊かなゲストと技芸員によるトークショーも親しみやすいと好評だ。「うめだ文楽2018」チケット情報毎公演、世代やジャンルを問わず多彩なゲストが登場するトークショー。今回は落語家の桂南光、ヴァイオリニスト・作編曲のNAOTO、モデル・アーティストの三戸なつめ、タレントの石田靖、作家の三浦しをんに決定。公演回ごとにさまざまな目線で文楽の魅力を知ることができそうだ。4度目の開催となる今年は、『傾城恋飛脚~新口村の段~(けいせいこいびきゃくにのくちむらのだん)』を上演。近松門左衛門の『冥土の飛脚』を改作したもので、実際に起こった横領事件をもとにした、歌舞伎でも上演される人気作だ。「新口村の段」は遊女梅川を身請けするため300両の金を横領した忠兵衛が、実父・孫右衛門の住む大和国・新口村へと逃げていく場面から始まる。梅川の孫右衛門を思いやる気持ち、目隠しで対面を果たす父と子など、涙なしには見られない『傾城恋飛脚』のクライマックス。降りしきる雪の中を追っ手から逃れようとする忠兵衛と梅川、美しくも悲しいふたりの姿は必見!『うめだ文楽2018』は、2018年2月2日(金)から4日(日)まで大阪・グランフロント大阪 北館4F ナレッジシアターにて開催。チケットは10月28日(土)10:00より一般発売開始。
2017年10月10日『「ポセイドンの牙」Version蛤』が10月13日(金)に開幕する。本作に出演する岡田達也と愛原実花、脚本・演出を手掛ける伊藤靖朗に話を聞いた。舞台『「ポセイドンの牙」Version蛤』チケット情報本作は、昨年6月に初演された「ポセイドンの牙」の2017年版。海と魚介類と女子が大好きな男子高校生5人組・スイサンズが、財政難に陥った高校を男子校にしないために伝説の“黄金の釣り針”を探しに海に行き……という物語で、エンターテインメント作品でありながら現代社会への痛烈な寓話劇となっている。初参加の岡田は本作について「表面的には笑いが散りばめられてるのですが、根底には、人間が生んだ文明に対する人間の冒涜だったり、人は生まれる時代も選べないし場所も選べないというテーマを僕は感じて。それを決して重くなく、楽しいシーンを交えながらも、じっと考えさせられる脚本です」と語る。少年たちの冒険譚と共に今の社会問題を深く描く本作。1年4か月ぶりという短めのスパンでの再演となるが、2017年版での変化について伊藤は「戦争と人間の業みたいなものを、2016年から2017年、そしてこの夏は殊更に強く感じるようになって。それに僕自身も打ちのめされるのですが、その一方で、負けてる場合じゃないよとも思うわけで。そういったことを男子たちの駆け抜ける姿に乗せたいですし、この作品をこのキャストでつくるというこの行為そのものにも気合いを込めたいです。より一層物事が迫ってきていることを体感できる作品になればと思っています」。そんな今作の稽古を愛原は「再演ってどうしても『初演のときは……』となると思うんですけど、伊藤さんはそうならず、全く新しい作品をつくろうとされているのを感じます。だからなのか、続投キャストと新キャストが両方いる稽古場でも最初から溶け込みやすかった。稽古がすごく楽しいです」。ポセイドン役の岡田と、英語教師役の愛原。岡田は「(ポセイドンは)トリックスター的な存在ですし破天荒な役なので、スイサンズに多大な迷惑と影響を与えられるといいなと今は思っています」、愛原も「スイサンズの子たちの成長に自分がどういう風に関われるか。役柄としても、彼らを俯瞰で見る立ち位置なので。そこを大事に、冷静にやっていきたいです」と、若手とは違う視点で本作に臨んでおり、伊藤も「立ちはだかるおふたりに若者たちがぶつかる、そのダイナミズムをお客様に味わっていただきたい」と語る。「この先を生きていく元気と活力を味わって持って帰っていただけたら」(伊藤)という本作は10月13日(金)から21日(土)まで、東京・紀伊國屋ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年10月10日細貝圭、佐藤祐基、加藤虎ノ介による三人芝居『オーファンズ』が10月14日(土)に開幕する。それに先駆け、稽古場にて取材会が行われた。舞台『オーファンズ』チケット情報本作は、ライル・ケスラー作で1983年にロサンゼルスで初演されて以来、日本をはじめ世界各国で上演される人気戯曲。ふたりで生きてきた兄弟とある男が出会い、傷つけあいながらも人生を再生していく“孤児(オーファン)”の姿を描く物語で、今回、マキノノゾミが上演台本と演出を手掛ける。稽古では、冒頭からトリート(細貝)とフィリップ(佐藤)の兄弟がハロルド(加藤)と出会うまでのシーンを披露。舞台となる兄弟の部屋は散らかっているが、そこでのやり取りから、この状態はいつものことで、それは彼らに手本となる大人がいないからだということが理解できる。その暮らしの中で、盗みで暮らしを支える兄・トリートは、弟への愛がときに暴力や束縛になり、閉じこもりっきりの弟・フィリップは外への興味が押さえきれなくなっている。そんなふたりの前に現れるハロルド。彼が酔っぱらって孤児院の思い出を語る姿には、同じ孤児であるふたりとはまた違う空気が漂い、彼がこの兄弟を見過ごさないであろう希望も感じる。彼らの複雑な心理や状況も、繊細に、けれどクリアに演じられているので、観ていて理解しやすい。稽古後の取材会でマキノは本作の魅力について「人間が剥き出しになっている話なので、俳優も剥き出しでぶつかり合わなきゃいけないし、嘘をつけない。男3人のガッツリした芝居が観られると思います」と話す。稽古が進んでの感想を、細貝は「台本が読みやすいのでスッと入っていける印象だったのですが、いざ稽古に入ると本当に繊細なお芝居なんだとわかりました」、加藤は「とにかく没頭しています。身体も疲れているし頭もパツンパツンなんだけど、ちょっとでも隙間があったら台本を読むような…そんな時間がありがたいです」、佐藤は「噛めば噛むほど味が出る作品で、稽古の度に『ここはこういう解釈でもいいのかな』というのが生まれやすい。泥臭く男3人で演じるのが気持ちいいです」。マキノは本作で「3人をできるだけ色っぽく見せたい」と明かし、「人間って引き裂かれている状態のときに魅力的に見えるので。トリートだったらすごく凶暴なところとそれを必死で抑制しようとするところとか、弟への支配と愛情とか…大きく引き裂かれるほどセクシーに見えると僕は思っていて。そういう状態に3人のコンディションを持っていくことを目指してやっています」と話した。公演は、10月14日(土)・15日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、10月18日(水)から22日(日)まで東京・草月ホールにて。取材・文:中川實穗
2017年10月10日2016年、石丸幹二主演、ヒロインに安蘭けいを迎え、ガブリエル・バリー潤色・演出の新バージョンとして世界初演されたミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』が今秋、早くも再演される。フランク・ワイルドホーン作曲による愛と勇気の冒険活劇は1997年にブロードゥエイで初演。2008年には小池修一郎演出により宝塚歌劇で初演され、安蘭は当時星組男役トップスターとして主演を務めている。ガブリエル・バリーはこのことを尊重し、本作の初演では彼女のために“見せ場”が設けられたほど。安蘭に再演への思いを聞いた。ミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」チケット情報1789年、フランス革命勃発。元貴族らが次々と処刑される恐怖政治が続くなか、イギリス貴族のパーシー(石丸幹二)はフランスの有名女優だった妻マルグリット(安蘭けい)に内緒で仲間と「ピンパーネル団」を結成、無実の人々を救うため暗躍する。フランス政府特命全権大使ショーヴラン(石井一孝)は“元同志”で恋人でもあったマルグリットにピンパーネル団の素性を探って欲しいと囁くのだが……。マルグリット唯一の肉親で最愛の弟アルマン(松下洸平)を巻き込みながら、疑心と愛憎渦巻く物語がスリリングに展開する。夫と元恋人の間で揺れ動く三角関係が肝の話かと思いきや、安蘭マルグリットの見解は少し違うよう。「活動家でもあったマルグリットは信念のある強い女性。ショーヴランに対しては今も昔も同志以上の想いはなかったと思います。一方、パーシーとは出会って6週間のスピード婚だったので一目惚れだったのかな。女性としての気持ちが芽生え、初恋のように弱い部分が出てしまう。また、原作にはパーシーが英国一のお金持ちであったため、セレブ生活に憧れたマルグリットが打算的に結婚したことも描かれていて、なるほどなと。マルグリットも普通の女性なんだなと思ったら、面白く演じられそうだと思いました」初演の際、演出のガブリエルは安蘭が宝塚版初演でパーシーを演じたことを尊重し、「ファンの期待に応えたい」と急遽、マルグリットに歌と立ち回りの場面が追加されたと明かす。「(宝塚版パーシーの劇中歌)『ひとかけらの勇気』は歌詞を変えて数フレーズのみでしたが、私の声であのメロディを聴けてゾワゾワした、と喜びの声も頂きました。終盤の立ち回りはまさかの二刀流!あまりに強くて場面を少し削ったほど。マルグリットの役柄に必要な要素かも悩みましたが、最後はファンサービスの意味も込めて戦い切りました(笑)」。再演では石丸さち子が演出に加わり、ピンパーネル団の顔ぶれも一新される。「繊細に役を深めつつ、石丸(幹二)さんとも相談しながらパワーアップした内容でお届けしたい。前回チケットが入手できなかった方も大勢いらしたので、この機会にぜひご覧頂ければと思います」大阪公演は11月13日(月)から15日(水)まで梅田芸術劇場メインホールにて、東京公演は11月20日(月)から12月5日(火)までTBS赤坂ACTシアターにて上演。チケットは発売中。取材・文:石橋法子
2017年10月10日Kバレエカンパニーの新作『クレオパトラ』が開幕。これまで様々な全幕バレエに魅力的な再振付を施してきた熊川哲也が、満を持して、原作のない完全オリジナルの全幕作品創作に挑んだプロダクションだ。10月6日(金)の初日に先立ち、リハーサルの一部が公開された。Kバレエカンパニー「クレオパトラ」チケット情報第1幕第1場冒頭。舞台は紀元前1世紀、エジプトの首都アレクサンドリアの王宮の居間だ。山本雅也演じるプトレマイオス13世は、あどけない少年の風情。3人の官僚が彼の後見人として剣を教えるが、プトレマイオスにはまだ王としての自覚や能力が身についていない様子。そこに、中村祥子扮するプトレマイオスの姉で妻のクレオパトラが侍女たちを従えて現れる。その威厳に圧倒されるプトレマイオス。クレオパトラに太刀打ちできない彼の弱さが、踊りを通して浮き彫りになっていく。力なく去るプトレマイオスを尻目に、クレオパトラたちは、エジプト絵画さながらの横向きのポーズや独特の手つきで、妖しくエキゾティックな踊りを展開――。公開はここまでだったが、この先、クレオパトラとプトレマイオスの権力争い、カエサルやアントニウスとの恋愛などがどう描かれるのか、気になるばかり。デンマークの作曲家カール・ニールセンの劇的な音楽、斬新な空間使いが特長的なダニエル・オストリングの美術、華麗な中に現代的感性も光る前田文子の衣裳など、見どころ聴きどころは多そうだ。その後の囲み会見で熊川は本作創作の理由を「カンパニーを立ち上げて18年。バレエ団のレパートリーを蓄えていくという使命が、古典芸能を担う人間にはあります。バレエには古典と言えるものが、18世紀後半から1900年代頭までに作られた10数作と、オペラや音楽に比べて少ない。バレエを継承し、裾野を広げていく上では、新しいものにチャレンジしなければなりません」と説明。また、今回挑んだ異国情緒あふれる動きについて「エジプトの民族舞踊にもざっと目を通しましたが、バレエとはやはり違うので、それよりも、自分が培ったセンスや先人たちからお教えいただいたマナーなどを集約してひとつのピースにしました」とし、クレオパトラ像に関しては「国家を背負う女王という運命を背負った女性の賢さ、美しさを表現できればと。最終的には人間だから、そこに情や愛が存在しないといけませんが、愛され魅了されるべき女性に仕上がったのではないかと思います」と述べた。「ご覧いただいたのは作品のごく一片ですが、その後、ナイル川を渡る舟に乗ったり、オクタヴィアヌスがアントニウスを追って鬼気迫るバトルフィールドを展開したりと、興奮せざるを得ないシーンが続きます。満足できる作品が仕上がりました。Kバレエカンパニーから世界に発信できるレベルのものを作ることができたことを誇りに思います」と語る熊川の表情には、手応えと興奮が表れていた。熊川哲也 Kバレエカンパニー Autumn Tour 2017「クレオパトラ」は10月6日(金)、東京・オーチャードホールで開幕。取材・文:高橋彩子
2017年10月06日読売日本交響楽団の2018/2019シーズン・プログラム(来年4月より)が発表された。充実のラインナップをざっと眺めてみよう。まずは指揮者陣。【チケット情報はこちら】2010年から3期9年間にわたり常任指揮者を務めてきたシルヴァン・カンブルランが、来シーズン限りでポストを離れる。メシアンを始めとする現代作品を意欲的に取り上げ、一昨年の欧州ツアーを成功に導くなど、印象的な成果を積み上げてきた彼と読響との集大成となるシーズンだ。来年4月と9月と2019年3月に登場。モーツァルトからロマン派、近代フランス音楽、現代音楽と、彼らしい多彩なレパートリーを聴かせるが、最大の注目はシェーンベルク《グレの歌》だろう(2019年3月)。任期終了間際の大団円。まもなく上演されるメシアン《アッシジの聖フランチェスコ》に続く大規模声楽作品だ。レイチェル・ニコルズはじめ豪華歌手陣を率いての、これまた必聴の公演となる。また、就任披露演奏会の演目で、その後のライヴCDも高い評価を得た、両者にとって記念碑的な作品である《春の祭典》(4月)にも、新たな伝説が加わりそうだ。別れもあれば新たな出会いも。今年9月に首席客演指揮者就任が発表された山田和樹との新コンビは2019年1月にお目見え。藤倉大のピアノ協奏曲日本初演(独奏=小菅優)を含む、3つの異なる趣きのプログラムを振る。もうひとりの首席客演コルネリウス・マイスターからも目が離せない。今年12月のマーラー:交響曲第3番に続く、6月の第2番《復活》に注目。昨年は第6番《悲劇的》を指揮しており、今後の両者のマーラー演奏にも、必然的に期待が膨らむ。客演では、シベリウスやニールセンで注目を集めるフィンランド出身のヨーン・ストルゴーズ(8月)、2032年までかけて進行中のハイドン交響曲全集が話題の、イル・ジャルディーノ・アルモニコのジョヴァンニ・アントニーニ(10月)が、それぞれ十八番のレパートリーを携えて指揮台に上がる。また久しぶりの登場となるバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の鈴木雅明が振る、未完のオラトリオ《キリスト》他のメンデルスゾーン・プロでは、夥しい数の録音で日本にもファンが多いベルリンの名門プロ合唱団、RIAS室内合唱団との共演が特筆される。ソリスト陣では、いずれも昨年登場して評判だった、ヴィクトリア・ムローヴァ(10月・ベートーヴェン)、エマニュエル・パユ(11月・モーツァルト)、そして1932年生まれのスペインの至宝ピアニスト、ホアキン・アチュカロ(2019年1月・ラヴェル)が再共演するのはうれしい知らせ。さらに、エリソ・ヴィルサラーゼ、ピョートル・アンデルシェフスキ、諏訪内晶子、ピエール=ロマン・エラールといった人気のビッグネームも続々登場する。シーズン幕開けの4月定期がマーラーの9番とアイヴズだったり、意外な組み合わせの妙も目を引く新シーズン・プログラム。創立56年目の読響もやる気十分!文:宮本明
2017年10月06日昨年就任した新音楽監督リッカルド・シャイーとともに11年ぶりの来日を果たしたルツェルン祝祭管弦楽団(スイス)。夏のルツェルン・フェスティバルのために、世界の一流オーケストラの首席奏者やソリストたちが結集する特別編成のオーケストラだ。10月6日(金)から始まる公演を前に、シャイーと、フェスティバル総裁のミヒャエル・ヘフリガーらが出席して10月4日に記者会見が開かれた。【チケット情報はこちら】会見会場となったのは、ルツェルン・フェスティバルが東日本大震災の復興支援のために提案し、2013年から2015年にかけて松島、仙台、福島で稼働した494名収容の移動式コンサートホール「アーク・ノヴァ」。今回の来日に合わせて、期間限定で東京ミッドタウン芝生広場に再出現した(すでに終了)。ルツェルンと日本とを結ぶ絆の象徴だ。「ヘフリガー総裁からコンセプトを聞いていたこの建物が実現していること、そこに自分がいることに感動しています」。冒頭にそう述べたあとシャイーは、今回のふたつの公演プログラムについて丁寧に、たっぷりと語った。まずはベートーヴェンの《エグモント》序曲、交響曲第8番、そしてストラヴィンスキー《春の祭典》というプログラム。「世界中で愛されている巨人ベートーヴェンの、異なるスタイルの2曲を聴いていただきます。ドラマチックな深い響きの《エグモント》。モーツァルトやハイドンの伝統を、ユーモアやジョークを交えて描いた交響曲第8番。この交響曲は難しい作品です。ベートーヴェンの書いた速度記号はとても速い。私たちは勇気を持って、なるべくそれに近い速さで演奏するように挑戦します。そして後半は日本の皆さんも楽しみにしている《春の祭典》。このオーケストラはソリストの集まり。個々のソロが際立って、きっと新たな発見があると思います。130人が一丸となって鳴らす最後の一撃は圧倒的。これをベートーヴェンのあとに演奏するのは見事なコントラストではありますが、大きなチャレンジでもあります」もうひとつはオール・R.シュトラウス。《ツァラトゥストラはかく語りき》《死と変容》《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》を演奏する。「有名な《ツァラトゥストラ》では、ドラマチックなオープニングから最後のコーダへの盛り上がりをお楽しみください。《死と変容》は、人間の死の数時間前からの変容・浄化を描いています。疲れ果てた人間の深層を表すようなテーマから、最後の浄化のテーマへと移行するさまは感動的です。しかし私たちはコンサートを悲劇的な死のテーマで終わらせたくないので、非常に楽しい、そしてちょっと皮肉な《ティル》で締めくくります」10月6・7日(土)の東京公演を皮切りに、8日(日)川崎公演、9日(月・祝)京都公演が行われる。シャイーが「年に数週間しか集まらない彼らに、独自の『音』があるのは奇跡だ」と語るスーパー・サウンドが、もうまもなく鳴り始める。取材・文:宮本明
2017年10月06日新国立劇場の2017/2018シーズン演劇公演『トロイ戦争は起こらない』が10月5日に開幕した。栗山民也を演出に迎え、鈴木亮平に一路真輝、鈴木杏、谷田歩ら実力派キャストが、フランス近代演劇の金字塔といわれるジロドゥの傑作に挑む!初日直前の稽古場の模様をレポートする。舞台『トロイ戦争は起こらない』チケット情報外交官でもあったジロドゥが第二次世界大戦開戦の4年前、ナチスが台頭する社会情勢の中で執筆した本作。トロイの木馬で知られるトロイ戦争の開戦をなんとか回避しようと奔走するトロイの将・エクトールの姿を通じ、戦争を繰り返す人間の愚かさ、哀しみをあぶりだしていく。勇将と名高いエクトールだが、この物語で求められるのは“武”ではなく“智”であり言葉の力。栗山はジロドゥの戯曲について「英語のような論理性ではなく、モノローグとダイアローグが混在し、詩のよう」とその難しさを語るが「俳優の肉体を通すことで、その言葉が独特のリズムを持ち、物語を転がしていく」とも。鈴木は自らの大きな体躯を道具とし、言葉を共鳴させながら、戦争回避のための言葉を力強く繰り出していく。だが、その重い言葉の数々が目の前の人々の心に響かないところが、人間の愚かさであり、本作の面白さ。戦争の原因は美女。エクトールの弟、トロイ王子・パリスがギリシャの王妃・エレーヌにひと目ぼれし、誘拐したことから一触即発の状態に陥るが、エクトールの父である王をはじめ、男たちはみなエレーヌに入れあげ「ギリシャにエレーヌを返すべき」というエクトールの言葉に耳を貸さず、「戦うべし」と勇ましい言葉ばかりを並べる。“国難”を前に、略奪愛&不倫で始まり「名誉は守られたのか? それとも一線を越えたのか?」と騒ぎ立てるさまは、まさに現代のどこかの国の状況そっくりである。開戦か否かでいきり立つ男たちと対照的な女たちの姿も印象的。エクトールの妻で、彼を深く愛し信じる強い妻・アンドロマックを演じる鈴木杏、彼の妹で男たちを醒めた目で見つめるカッサンドルを江口。エクトールの母で戦争の愚かさとそれを望む男たちの醜悪さを鋭く指摘するエキューブを三田。栗山が「みんな動物的(笑)! 主張が体に満ちていて、それを相手にぶつけ、関係性が変化していく」と語るように、女優陣の寸鉄人を刺すような鋭いセリフの応酬は大きな見どころ。中でも圧巻は、栗山が「ファムファタール」と語る絶世の美女で、一路演じるエレーヌ。白鳥に化けたゼウスと人間の間に生まれただけあって、終始、何とも言えぬ不思議な浮揚感を身にまとい、男たちを虜にし、グイグイと言葉で切り込んでいくエクトールの攻勢をひらりとかわす。クライマックスはエクトールと谷田演じるギリシャの将・オデュッセウスの会談。共に戦いを望まぬ知将ふたりの話し合いが、なぜ、その後10年に及ぶ戦争へと繋がってしまうのか…? 栗山が「実に演劇的な仕掛けになっている!」と語る終幕の演出を含め、最後の最後まで目が離せない。公演は10月22日(日)まで東京・新国立劇場にて上演中。兵庫公演あり。取材・文・撮影:黒豆直樹
2017年10月06日東京都交響楽団に客演するのは4度目というフィンランドの指揮者、ハンヌ・リントゥ。実力者揃いのヨルマ・パヌラ門下の中ではやや遅咲きの感があるが、フィンランド放送響の首席指揮者としても5年目を迎え、内外で精力的に活躍中だ。東京都交響楽団 チケット情報今年2017年はフィンランドの独立100周年にあたる。その記念の年に彼が都響と満を持して取り上げるのがシベリウスの初期の大傑作《クレルヴォ》!本場からポリテク男声合唱団を迎え、民族色豊かな壮大な絵巻を描く。シベリウス・ファンでない方にもぜひおすすめだ。作品の聴きどころについてリントゥに聞いた。「《クレルヴォ》はフィンランド人による初の大規模な管弦楽曲といえる記念碑的な作品です。当時シベリウスはフィンランドの民俗音楽に関心を抱いており、彼の作品で唯一そうした影響を直接聴き取れる曲です。オーケストレーションの観点からも、その後の交響曲とは異なり、より鮮やかで、彼がこのままの路線で作曲していたらバルトークやストラヴィンスキーのような作風になったのではないかと思わせます。しかし彼は《クレルヴォ》で試みた語法は次につながらないとのちに作品を撤回、純粋な交響曲へと方向を転じたのです」《クレルヴォ》は交響曲と呼ばれることもあるが、リントゥは5つの交響詩から成る連作だと考えているという。ストーリーは民族叙事詩『カレワラ』に基づいており、不幸な星のもとに生まれた主人公クレルヴォの波乱に富んだ悲劇的な人生を、ふたりのソリスト、男声合唱とオーケストラで劇的に描く。「この作品を指揮するたびになんとパワフルな音楽だろうと感じます。若きシベリウスがいかにこの物語に夢中だったかが伝わってきます」とその魅力を語る。「ポリテク男声合唱団とは何度もこの作品を共演してきました。現役学生を主体としているので、彼らの若々しいエネルギーが若者クレルヴォを表現するのにぴったりです」さらにこの日は、なんとアンコールにシベリウスの《フィンランディア》を合唱付きで演奏するという素敵なプレゼントが用意されているそうだ。もちろんフィンランド人にとっては愛国心を呼び覚ます特別な曲だが、リントゥは「世界中どこで演奏しても、その土地の人々の心に訴えかける普遍性を持った稀有な作品」と言う。《クレルヴォ》と《フィンランディア》―フィンランド独立100周年を祝うのにこれ以上ふさわしいプログラムはあろうか?公演は11月8日(水)東京・東京文化会館大ホールにて。取材・文:後藤菜穂子(音楽ライター)
2017年10月06日宝塚歌劇星組公演ミュージカル『ベルリン、わが愛』、タカラヅカレビュー90周年『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』が9月29日、兵庫・宝塚大劇場で幕を開けた。宝塚歌劇星組『ベルリン、わが愛』/『Bouquet de TAKARAZUKA(ブーケ ド タカラヅカ)』チケット情報『ベルリン、わが愛』は、ハリウッドと並ぶ映画の都として栄華を誇った1920年~30年代のドイツ・ベルリンが舞台。ナチスの圧力が強まる中で、理想と現実の狭間で苦悩する映画人たちの姿をドラマチックに描いた物語だ。階段にズラリと座って映画館の客席を表現したり、モノクロ映像を効果的に取り入れるなど、凝った演出でも楽しませてくれる。サイレント映画からトーキーへと移り変わる頃。倒産の危機に瀕しているドイツ随一の映画会社UFAでは、低予算で大衆が喜ぶ娯楽作品を製作することに。そこで名乗りを上げたのが、トップスター紅ゆずる(くれない・ゆずる)演じるテオ・ヴェーグマン。彼は歌入りトーキー映画を格安で製作し、必ずヒットさせるとプロデューサーに約束する…。信頼する仲間と共に、「大衆が喜ぶもの」を作り上げていくテオ。どんなことがあっても揺らがない映画への熱い想いや、目的を共にする仲間を大切にする様は、舞台を愛し、星組を率いる紅の姿にも重なる。トップ娘役・綺咲愛里(きさき・あいり)演じる女優ジル・クラインとのロマンスや、礼真琴(れい・まこと)演じる絵本作家エーリッヒ・ケストナーとの友情は、ナチスが社会に暗い影を落とす緊迫した状況の中で、より温かく、強い絆として浮き立って見える。綺咲が演じるジルは、自信を持てないレビューガールから、テオによって秘めた実力と美しさを引き出され、一躍注目を集める。ジルが内面から成長していくその様を、綺咲は初々しさをまといながら繊細に表現している。礼のエーリッヒは、柔らかい空気感。テオとは強い信頼関係を持ち、お互いに支え合っているような存在だ。また、専科の凪七瑠海(なぎな・るうみ)は、ナチス宣伝全国指導者のヨーゼフ・ゲッベルス役。表情を変えずに淡々と、冷酷な人物として時にゾクッとするような存在感を放っている。第二幕のレビューは、“タカラヅカレビュー90周年”のステージとして、パリのレビューを中心に、華やかなムードで展開。『モン・パリ』などの名曲と共に、幻想的なシーン、ポップなシーン、ジャジーで大人っぽいシーンなど、多彩に繰り広げられていく。クラシカルでありながら、新鮮な演出も取り入れたステージで、紅をはじめ、星組生の個性がキラリと輝きを放っている。11月6日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。東京公演は11月24日(金)から12月24日(日)まで東京宝塚劇場にて。東京公演のチケットは、10月22日(日)10:00より一般発売開始。取材・文:黒石悦子
2017年10月06日12月27日(水)より6年ぶりに京都劇場で上演される劇団四季『オペラ座の怪人』。開幕に向けて、9月28日、劇中ナンバーの披露と合同取材会が金剛能楽堂にて行われた。劇団四季「オペラ座の怪人」チケット情報本作は、フランスの作家ガストン・ルルーの同名小説を原作に、パリ・オペラ座の地下に棲み、歌姫クリスティーヌに恋をする“怪人”の悲しい愛を描いた物語。“21世紀のモーツァルト”と称されるアンドリュー・ロイド=ウェバーが楽曲を手がけた名作で、劇団四季では1988年の東京初演以来、総公演回数6877回を数える人気演目だ。2002年には京都劇場のこけら落とし公演として上演され、同劇場では今回が6年ぶり3度目の上演となる。合同取材会では、演出スーパーバイザーの北澤裕輔とクリスティーヌ・ダーエ役の候補苫田亜沙子が登壇。「本作が大好きで劇団四季に入団した」という北澤は、クリスティーヌの恋人ラウル・シャニュイ子爵などを演じた後、2015年より本作の演出スーパーバイザーとなった。「『オペラ座の怪人』は、楽曲も構成もすべてが完璧だと思っています。演出としては、台本に書かれている楽曲の正確性を一番大事にしたいです」(北澤)。また、『オペラ座の怪人』で初舞台を踏み、クリスティーヌを10年以上演じているという苫田は、「この作品はどこを切り取っても美しいなと思います。20代の頃より30代になった今のほうが、随所により繊細な美しさを感じます。衣裳、舞台美術、すべてが美しいのですが、物語の内容自体がとても美しい。演じるたびにその魅力を感じさせてもらえる作品だなと思います」と作品の魅力を語る。それぞれに印象的な曲やシーンを尋ねると、「クリスティーヌがコーラスガールからメインキャストに上り詰めるシーンで歌う『シンク オブ ミー』という曲が大好き。シーンとしてはやはりラストシーン、クリスティーヌが去ってしまうところでいつも泣いてしまいます」と北澤。苫田は「2幕の『墓場にて』というソロナンバー。その一曲でクリスティーヌはすごく成長するんです。すごく好きでやりがいがあるなと思っています。2幕最初の『マスカレード』という華やかなシーンは、ぜひ楽しんで観ていただければと思います」とコメント。合同取材後、怪人役候補のひとり村 俊英が『ザ・ミュージック・オブ・ザ・ナイト』を能舞台で披露。優しくも切ない、情感あふれる歌声で歌い上げた。公演は、11月19日(日)まで広島上野学園ホールにて、12月27日(水)より京都劇場にて上演。広島公演のチケットは発売中。京都公演は10月7日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、10月6日(金)12:00より「ぴあスペシャルシートS1席」の先行先着プリセールを実施。取材・文:黒石悦子
2017年10月06日11月13日(月)に開幕するミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』の公開稽古と囲み取材が行われ、取材には主演の石丸幹二、安蘭けい、石井一孝、演出の石丸さち子が登壇した。ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』チケット情報本作は、昨年秋にガブリエル・バリー潤色・演出のもと、石丸幹二主演で上演された作品の再演。ブロードウェイ版をベースにフランク・ワイルドホーンの新曲が加わり、“世界初の新バージョン”として好評を博した。1年ぶりの上演となる今作は、新キャストが加わり、演出は石丸さち子が手掛ける。物語の舞台は、フランス革命直後、新政府が元貴族らを次々と処刑する恐怖政治が続くフランス。イギリス貴族・パーシー(石丸)は「ピンパーネル団」を結成し、無実の人々を断頭台から救う活動をしているが、そのことは妻・マルグリット(安蘭)さえも知らない。そんなピンパーネル団の素性を暴こうとフランス政府特命全権大使・ショーヴラン(石井)は執念を燃やす――。公開されたのは、マルグリットに対して夫・パーシーを裏切るよう迫るショーヴランと、そこにとぼけて現れるパーシーという1シーン。芝居、歌唱によって、三者の絡み合う思惑が鮮やかに伝わってくる。最後にピンパーネル団ら全員で歌うシーンは迫力満点で、5分ほどの場面ながら作品の魅力が詰まった公開稽古となった。石丸幹二は稽古について「前回もこの3人でやったシーンですが、1年経ってそれぞれの変化が見えて。今後ほかのシーンも同じようなことが起こるのではないかと期待しています」と手応えを感じた様子。石井は「僕はニコリともしない役なのに、幹二さんが面白いこと言ってくる。笑いを我慢する日々がまた来るんだなと思いました。安蘭けいちゃんもときどき差し込んできますからね!」と笑顔。本作の宝塚歌劇団による日本初演(2008年)でパーシーを演じた経験もある安蘭は「パーシーの台詞を聞いて懐かしさを感じました。『私、もう今は女なんだな』『あの頃には戻れないんだな』と思いました(笑)」と、世界で初めてパーシーとマルグリット二役を演じた女優ならではの感想も。前回は演出補佐として参加し、今作で演出を手掛ける石丸さち子は「前回、ガブリエルさんと苦労してつくりましたので、そこは本当に大事に守りたいです。でも今日、読み合わせをしたら、新しいメンバーが入ることですごく新しい風が吹いてきた。それを生かしながら、知恵と勇気でこの時代を戦う素晴らしい物語を、一致団結して新たにつくりあげたいです」。公演は、11月13日(金)から15日(水)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、11月20日(月)から12月5日(火)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて。取材・文・撮影:中川實穂
2017年10月05日イギリス出身のシンガー、コナー・メイナードが12月18日(月)東京・WWW Xで初来日公演を行うことが決定した。【チケット情報はこちら】コナー・メイナードはオンラインにポストしたカバー楽曲で話題。誰にも真似できないオリジナリティと、ずば抜けた歌唱力でポップ・シーンの未来を担う才能として注目されている。2012年デビューの1stアルバム『Contrast』は全英チャートで初登場1位を記録した。チケットの一般発売は10月28日(土)午前10時より。なお一般発売に先がけてLive Nation Japan先行を実施。受付は10月6日(金)12時から10日(火)午後11時59分まで。■Conor Maynard(コナー・メイナード)来日公演12月18日(月)開場 18:15 / 開演19:00会場:WWW X(東京都)料金:オールスタンディング 8,000円(税込・別途1Drink代)※未就学児入場不可
2017年10月05日10月5日(木)に開幕する、劇団四季『ソング&ダンス65』の公開舞台稽古が3日、東京・自由劇場で行われた。来年2018年に創立65周年を迎える四季の記念公演である。劇団四季「ソング&ダンス65」チケット情報『ソング&ダンス』シリーズは、これまでも劇団の節目ごとに上演されてきた、ショー形式のステージ。劇団のレパートリー作品を中心に、スタンダードナンバーやまだ日本上陸前のミュージカルナンバーなども盛り込み、劇中とは違うアレンジで魅せていく人気シリーズだ。幕開けは、平和への祈りを訴えかける『ウェストサイド物語』の「サムホエア」。今回のコンセプトは「劇団四季の誕生から未来」「祈り」「願い」とのことだが、その思いがダイレクトに伝わってくるナンバーだ。その後も『ライオンキング』『コーラスライン』『ウィキッド』『リトルマーメイド』『クレイジー・フォー・ユー』と、四季が誇る人気作が畳み掛けるように登場。楽器演奏や、シリーズでは初の試みであるフラメンコへの挑戦もあり、様々な角度から、“今の劇団四季”が楽しめる。中には、今年5月に逝去した劇団創立メンバーのひとり、日下武史さんを偲ぶ場面もあり、65年という歴史の重み、そして俳優たちの舞台へかける思いまでもが伝わってくる。2幕では『アラジン』といったディズニー・ミュージカル、『キャッツ』『オペラ座の怪人』などのロイド=ウェバー作品を中心に展開。劇団四季らしい、そして劇団四季にしかできない、これぞといったシーンが続いていく。このシリーズは2000年の『ソング&ダンス オーヴァー・ザ・センチュリー』から、構成・振付・演出を加藤敬二が担ってきたが、今回は新たに脇坂真人、松島勇気、永野亮比己という3人の俳優が振付に参加して作り上げているのも注目ポイント。「もっと劇団の中でクリエイターが育たなきゃいけないんじゃないかと思いました。現役でバリバリ踊っている人たちが、どんどんそういう仕事をしていくことは、劇団にとって必要なこと。思った以上にそれぞれの個性が出ていて、とても面白いリハーサル期間でした。65周年以降の劇団の大きな財産になっていくんじゃないかと思います」と加藤。四季の長い歴史の中に、確実に新しい一歩を刻む記念公演。ファンならずとも、必見だ。東京公演は11月26日(日)まで同劇場にて上演。その後2018年4月より、全国各地での上演を予定している。
2017年10月04日デヴィッド・ルヴォー演出の舞台『黒蜥蜴』製作発表が、東京モード学園にて開かれた。学園の生徒たちも集まった会場には、主演の中谷美紀、井上芳雄をはじめ、キャストが役をイメージした衣裳で登場。ランウェイを活かしたパフォーマンスからスタートして、『黒蜥蜴』の世界の一端を見せた。舞台『黒蜥蜴』チケット情報江戸川乱歩の小説を三島由紀夫が戯曲化し、これまで何度も様々な座組で上演されてきた『黒蜥蜴』。レザーで仕上げられた美しいドレスに身を包んだ中谷美紀を中心に、ダンスを盛り込んだ妖艶な世界を表現した冒頭のパフォーマンスは、美貌の女盗賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎が繰り広げるこの物語が、これまでと違う様相をまとうことを予感させる。続いて質疑応答では、黒蜥蜴を演じる中谷が、「黒蜥蜴は美に執着し、美のためなら手段も問わないという人物。その執着ぶりをおぞましく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私も、朽ちていく美も含め美しいものが大好きなので、共感がありました。黒蜥蜴と明智小五郎、犯罪に取り憑かれたふたりのロマンチックなラブストーリーでもあります。ワークショップをしていても、追いかけているのか追われているのかわからなくなる瞬間がありました。美しく残酷な物語です」と語れば、明智小五郎を演じる井上芳雄が、「犯罪に恋をしてる、犯罪からも愛されているというような不思議な役。真逆の立場にいる黒蜥蜴に惹かれ、ワークショップを通して、見たことのないような愛の形が生まれるのではないかという予感がしました」と意気込む。「素敵なキャストの皆さんに刺激を受けて、たくさんへこたれて、たくさん立ち上がって、本番までに精度を上げたい」というのは、黒蜥蜴に誘拐される早苗役の相楽樹だ。早苗の家の家政婦に扮する朝海ひかるは、「今までに演じたことのない役をいただけたことをうれしく思います。自分がどうなってしまうのか、楽しみです」と話す。そして、黒蜥蜴を慕う雨宮役の成河が、「若くてフレッシュな役なので、最初はお断りしようとしたんですが、ルヴォーさんのこの作品にかける思いに胸を打たれ出演を決めました。誰も見たことのない三島由紀夫の世界を作るその一助になればと思います」と力強く語った。演出のルヴォーは、「まるで夢のように、不思議な人物や光景、シチュエーションが突如浮かび上がる」イメージを目論んでいるという。想像力を刺激する新たな『黒蜥蜴』の誕生である。舞台『黒蜥蜴』は2018年1月9日(火)から28日(日)まで東京・日生劇場、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。取材・文:大内弓子
2017年10月04日劇団「東京マハロ」第20回公演『明日、泣けない女/昨日、甘えた男』が2018年1月18日(木)から28日(日)まで、東京・東京芸術劇場 シアターウエストで上演される。【チケット情報はこちら】「東京マハロ」は、TBS金曜ドラマ『コウノドリ~命についてすべてのこと~』(主演・綾野剛)の脚本を担当する今最も注目の脚本・演出家、矢島弘一が主宰する劇団。出演は、今作が舞台初挑戦となる加藤玲奈(AKB48)、俳優・声優・アーティストと多方面で活動する根本正勝、舞台を中心に活動する輝山立ら。セックス依存症に悩む女性が、己の未熟さと葛藤しながらも生きていく様を、シリアスとユーモアを交えて描く。チケットの一般発売は10月21日(土)午前10時より。
2017年10月03日海老澤健次と鐘ヶ江洸によるイベント『カネエビ』が今年も開催される。3度目となる今回から新たな取り組みが始まる本イベントについて、鐘ヶ江に話を聞いた。【チケット情報はこちら】これまで毎年行ってきたふたりのバースデーイベント「カネエビ祝賀会 vol.3 ~相変わらずゆるりとやるよ~」に加え、「カネエビ2人芝居 vol.1 ~役者の階段のぼる、おれらただの演劇人さ~『であい』Featuring, 菅野臣太朗&開沼豊」として2人芝居を上演する今回。菅野臣太朗と開沼豊がそれぞれ脚本・演出を務める。そもそも『カネエビ』のはじまりは「ミュージカル『忍たま乱太郎』で共演した海老澤くんと僕で、最初はただ単に仲が良くて、ふたりでイベントをやろうかっていう話になって。じゃあWバースデーイベントを、というのが発端でした」と振り返る。そんな風に始まり、ふたりで企画してきたイベントも今年で3回目。これまではトーク中心のイベント「カネエビ祝賀会」のみだったが、「さて今年はなにをしようってときに、役者としてのイベントがしたいねって話をして。じゃあお芝居をしよう、ふたりでしよう、2人芝居だ!と、こういうカタチになりました。それで、作・演出を、ミュージカル『忍たま乱太郎』の演出でお世話になった菅野さんと、(同作で)共演した豊さんにお願いして。ふたりとも“お前らがやるなら手伝うよ!”と言ってくれて、嬉しかったです」今回のテーマ『であい』。これは鐘ヶ江にとって大切な言葉なのだそう。「僕が東京に出てきて、菅野さんと出会い、ミュージカル『忍たま乱太郎』が決まり、海老澤さんとであい、豊さんとであい…『であい』がどんどんつながっていく。今の現場が次につながって仕事なので『であい』に感謝したいねって話を菅野さんとしたことがあって、それからずっと言い続けている言葉なんです。それでせっかく2人芝居をやるならまずはそこだろうってことで『であい』っていうテーマを決めました」「今までの『カネエビ』は僕らのことを知らないと来にくいイベントだったと思うのですが、2人芝居はぜひ演劇を観に来ていただけたらと思っています。ふたりが2作品同時に挑戦して、脚本や演出によってこんなに変わるんだっていうところも面白いと思いますし、僕らの想いも詰まっているので、ぜひ楽しんでほしい。そして最後は『祝賀会』で。こちらは例年通り、ダルダルのうだうだの会です(笑)。どちらもお待ちしています!」海老澤の印象を「お母さんです」と語った鐘ヶ江。性格も特技も違うというふたりが挑戦する「カネエビ2人芝居」は11月1日(水)から4日(土)、「カネエビ祝賀会」は11月5日(日)に東京・シアター代官山にて上演。取材・文:中川實穗
2017年10月03日ぴあが毎号特別編集にて、演劇&ミュージカルの最新情報を発信するフリーペーパー『ステージぴあ関西版』。生活の豊かさを求める“大人のリスナー”に向け、常にクオリティーの高い情報を提案する『FM COCOLO 765』。このふたつがコラボレーションし、FM COCOLO DJ加美幸伸の人気プログラム「THE MAGNIFICENT FRIDAY」内にて、全く新しい演劇専門コーナー「ステージぴあSPOT-LIGHT(スポットライト)」をスタートする。FM COCOLO「ステージぴあ SPOT-LIGHT(スポットライト)」番組情報同コーナーでは、毎週おすすめの作品にスポットライトを当て、出演者や作・演出家などにインタビューしたり、時にはチケット先行受付やモニター招待などリスナーにお得な情報も発信予定。演劇フリークからビギナーまでが楽しめる耳寄りな情報をたっぷりとお届けする。10月6日(金)の第一回放送では、話題騒然のミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』に出演する柚希礼音が登場!公演の魅力を余すことなく紹介する。自身も大の演劇好きであるDJ加美とのトークだからこそ、より公演を面白くさせる見どころが聞けたり、裏話も飛び出すはず!オンエアを楽しみに待っていてほしい。【番組概要】10月6日(金)スタート■FM COCOLO THE MAGNIFICENT FRIDAY「ステージぴあ SPOT-LIGHT(スポットライト)」【放送日時】 毎週金曜15:20~15:40【DJ】 加美幸伸【ゲスト(10/6(金))】 柚希礼音(ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』出演)
2017年10月03日9月28日の初日に先がけて、27日、「ラストダンス-ブエノスアイレスで。聖女と呼ばれた悪女エビータの物語」のゲネプロが、本番と同じく東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて上演された。舞台「ラストダンス-ブエノスアイレスで。聖女と呼ばれた悪女エビータの物語」チケット情報主演の水夏希は、「エビータ」の愛称で知られる、実在したアルゼンチンの女傑 エバ・ペロンを演じる。私生児として生まれながらも、大統領と結婚してファーストレディに。国民からの圧倒的支持を受け、副大統領にまでのぼりつめようとした矢先、子宮がんの進行によりわずか33歳で死去。そんな彼女の激動の生涯を、約2時間30分、ステージの上で演じきる。僅か4人の出演者で構成された舞台は、濃密そのもの。約2年半前にリーディングドラマとして上演された際も出演していた水だが、ゲネプロ終演後、「明日が初日だよね?」と疑うくらいの消耗度だと述べた。「朗読劇から一変して、この四角い舞台と、音楽、動き・ダンス、キャストも含めて一気に世界が広がった分、エネルギーがすごく必要な役だということを改めて実感しました」(水)と、前回上演時との違いもアピール。エネルギッシュな水の演技はもちろん、エビータの夫であるペロンをはじめ、様々な役を見事に演じ分ける福井貴一の芸達者ぶりや、エビータの兄であり、彼女を見守り続けるファンシート役を担う伊万里有の熱演ぶりにも注目したい。また、ほとんど台詞は発しないながらも、独特の存在感と身体表現をもって舞台に奥行きを加えるSHUNも必見だ。贅沢に、生演奏で奏でられるタンゴの調べにのせて紡がれるエバ・ペロン(=エビータ)の生き様。ミュージカルではなく、ストレートプレイという表現にこだわった演出を楽しんで。本公演は、9月28日(木)から10月9日(月・祝)まで、東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERにて上演中。チケット発売中。
2017年10月03日