前進座が恒例にしている国立劇場での歌舞伎公演が間もなく開幕する。鶴屋南北作の古典歌舞伎『杜若艶色紫』(かきつばたいろもえどぞめ)は、「悪婆もの」と呼ばれるジャンルの歌舞伎で、主人公のお六は、今風で言うところの「ダークヒロイン」。破戒坊主の相棒とグルになって悪事に手を染めていたが、その悪事をきっかけに実の妹・八ツ橋が殺されてしまい、そこから改心してゆくという物語だ。主人公の悪婆・お六と、花魁・八ツ橋の二役を演じるのは六代目河原崎國太郎。祖父の五世国太郎は「悪婆ものの国太郎」と呼ばれるほど、晩年近くにこのジャンルの役々で名演を残したことで知られる。その三十三回忌の追善公演で、お六、八ツ橋ともに初役でつとめる。「お六は、ただの悪役ではなく、信念を持って行動する女性。頼りない夫の伝兵衛を食わせ、その弟の金五郎のかけ落ちを助けたりする。夫や身内を守るために相棒だった男をばっさり裏切る。自立していて、ある意味、現代的な女性像だと思います。そういう姿が痛快だから、江戸のご見物衆に大いに受けたのではないでしょうか。」文化12年(1815)の初演は、五世岩井半四郎が二役を演じて大ヒットだったという。タイトルにある「杜若」は、上演月の季節の花と半四郎の俳名「とじゃく」にかけたものだそう。南北劇には定評がある前進座が、全員初役で臨む41年ぶりの上演。願哲役の藤川矢之輔の愛嬌ある敵役や、佐野次郎左衛門を演じる嵐芳三郎の二枚目ぶりも楽しみだ。また、公演期間中には、五世国太郎の舞台衣装や写真などのロビー展示や、國太郎も出演するアフタートーク(5/21の15時開演の部)など、先代を偲ぶイベントが企画されている。
2022年05月16日平日午後の「とっておきアフタヌーン」はサントリーホールと日本フィルのコラボ企画。6月の公演には指揮者・鈴木優人とヴァイオリンの石上真由子が出演。ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番とラヴェルの《ツィガーヌ》、メンデルスゾーンの《真夏の夜の夢》を演奏する[6月2日(木)サントリーホール]。“とっておき”が満載の公演だ。まずは、いくつもの“初めて”。6月にブラームスのソナタなどを収録したCDを出す二人。鈴木「でもお客さんの前では初共演なんです」ブルッフの協奏曲は、石上が子供の頃に一番好きだったという曲だ。石上「聴き憶えでよく弾いていました。でもソロでなくオーケストラ・パートを(笑)。旋律のラインがしっかりしているので、弾いていてすごく気持ちがいいんです。もちろんソロ・パートも。魅力的なメロディ・メーカーだと思います」鈴「ごく短い序奏のあとヴァイオリンから始まるので、すぐに石上さんの音が聴けます!ト短調という調性はヴァイオリンがすごく鳴りやすい。ロマンティックな短調で、アフタヌーンというより、昼ドラ悲劇に巻き込まれる感じかもしれません(笑)」石「美しい第2楽章、快活な第3楽章。ヴァイオリン協奏曲の代名詞のような曲です」鈴「これを弾かずにプロになるヴァイオリニストはいないんじゃない?」石「ぎょっ!(笑) 私はプロオケとは初めてです。レッスンでもやらなかったので」鈴「僕もピアノ伴奏は何度もしたけど、指揮はこれが初めてです」石「私はソリストとしてサントリーホールに立つのも初めて。楽しみです」《ツィガーヌ》は石上のとっておき曲。石「いろんな節目の曲です。CDデビューもこの曲がきっかけ。大阪フィルとの演奏がネットに上がってるんですけど、まだ面識もなかった指揮者の坂入健司郎さんが気に入ってくれて、坂入さんの縁で日本コロムビアから声をかけていただきました」ナビゲーター役の俳優・高橋克典が《真夏の夜の夢》を朗読するのも、かなりのとっておき。鈴「克典さんはネットで絵本の読み聞かせをしているんですけど、そのリアル版。シェイクスピアを短くわかりやすくしたものを、音楽と交互に朗読します。序曲以外はなかなか演奏されませんが、今回は物語つきで演奏できる。最後は結婚行進曲でハッピーに。かなり楽しいと思いますよ」石「私、中学生の時、学校の演劇祭で妖精パック役をやりました!」鈴「本当?じゃあ出てもらうおうかな(笑)」(宮本明)
2022年05月16日新国立劇場がオペラ芸術監督大野和士のもとで展開するバロック・オペラシリーズ、その一環として取り組む舞台、グルックの『オルフェオとエウリディーチェ』がまもなく開幕する。指揮者の鈴木優人と、演出・振付・美術・衣裳・照明を担う勅使川原三郎。才気あふれる二人の刺激的なコラボレーションだ。感染拡大予防のためリハーサルは非公開で進められたが、5月上旬に実施された通し稽古の映像には、鈴木と勅使川原の陣頭指揮で、グルックの音楽に真摯に向き合う出演者たちの姿があった。ダンサー、振付家、演出家として国際的な評価を得ている勅使川原。ダンス作品のみならずオペラにも意欲的に取り組み、その身体表現と美意識をもって数々の独創的な舞台を創り上げている。今回の舞台では花器に見立てた円形の舞台装置を用いると明かしていたが、果たして舞台上にどんな世界が立ち上がるのか、自ずと期待は高まる。第1幕第1場、合唱メンバーたちに囲まれ装置の中央に立つのは、オルフェオ役のローレンス・ザッゾ。亡き妻を思う彼の嘆きの歌、その切なげな声が響くと、やがて重々しい足取りの4人のダンサーが登場する。アーティスティック・コラボレーターとして勅使川原の創作で常に重要な役割を担う佐東利穂子と、ドイツの名門ハンブルク・バレエのプリンシパルで、昨年夏に勅使川原版『羅生門』に参加、その世界観を見事に体現したアレクサンドル・リアブコ。また、高橋慈生、佐藤静佳も勅使川原作品に出演した経験を持つ。ファン待望の出演となるリアブコは、勅使川原と佐東が4月にパリで公演を行った際にリアルでのリハーサルが実現したが、それ以外はずっとリモートで稽古を重ね、この通し稽古直前に来日した。空気の中をたゆたうように動く佐東との息の合ったデュエットの美しさは、静けさの中に、私たちを作品世界へとぐいぐいと引き込んでいく力を秘める。エウリディーチェ役のヴァルダ・ウィルソン、アモーレ役の三宅理恵も、勅使川原の身体の使い方に意欲的に取り組んでいた。「このオペラのテーマは、愛の葛藤と矛盾」と動画メッセージで語る勅使川原。「この混迷する時代に共通する普遍的テーマをグルックの美しい音楽とともに上演することは、今の時代にとってとても有意義なことだと思っています」と、充実感にあふれた笑顔を見せていた。公演は5月19日(木)、21日(土)、22日(日)、新国立劇場オペラパレスにて。チケットは発売中。新国立劇場オ文:加藤智子
2022年05月13日聴き逃したら後悔するはず。番組を生演奏で再現するだけのコンサートでない。6月と9月に開催されるNHKスペシャル『映像の世紀』コンサートは、音楽と映像とが、がっぷり四つに組んだ迫真のコラボレーションだ。作曲とピアノの加古隆に聞いた。「NHKスペ「演奏する音楽は『映像の世紀』『新・映像の世紀』のために書いた曲です。しかしそれを今回の構成のキーワードやコンセプトに沿って、そしてピアノとオーケストラという編成を念頭において書き直しました。まず先に、映像抜きのコンサートでも十分に聴いていただけるような音楽を作り、それが完成したあとで、音楽の起承転結や流れを考慮しながら、映像を再編集してもらった。このプロセスは今までになかったものです」つまり音楽も映像もこのコンサートのために生まれ変わったもの。そして同時に、音楽は、映像を説明したり伴奏したりする役割から自由に解き放たれることになる。「どちらが主でも従でもなく、互いが100%のパワーでぶつかり合う形です。しかも生のコンサートですから、それが見る人、聴く人の心に直接飛び込んでくる。その力は大変なものです。そこに今までにない大きな感動が生まれうる。実際、生まれていると思います」コンサートは、映像の始まりから現代までを時代順に追った7つの部分からなる。全体が巨大な音楽作品だと考えてもいいだろう。番組を代表する名曲であるメインテーマ〈パリは燃えているか〉がさまざまに形を変えながら繰り返し登場するのも、まるで循環形式の主題のよう。ちなみに「パリは~」は、パリ破壊を命じたヒトラーの言葉から取った。「パリ」と「燃える」とが、人間の豊かな生活と愚かな戦争の歴史の二面性を象徴し、番組の主旨と「本当にうまく結びついた」と自負する。番組で描かれた20世紀は残念ながら戦争の世紀でもあった。その愚かな歴史が今また繰り返されている。そんな時、コンサートは私たちに何を語りかけるのか。「平和の尊さは、誰もが理性ではわかっています。でも今回はそれを、あえて言葉ではなく、映像と音楽とで、感性に直接語りかける。音楽も映像も、国や人種を超えて語りかけることができます。その2つが今までにない一体感で合体するとで、大変な力強さを生んでいます」長崎公演では広島交響楽団が演奏することも重い意味を持つ。「広島でこの作品を上演した時、やはり何か違うものを感じました。それがエモーショナルな力になる。今度は長崎で、しかも広島からオーケストラが来てくれる。特別な空間、時間になると思います。大いに期待しています」使用ピアノは加古の愛するベーゼンドルファー・インペリアル。その深い響きがオーケストラと共振して、私たちに〝いま〟を問う。『映像の世紀』コンサートは、6月10日(金)東京・サントリーホール、6月26日(日)長崎ブリックホール、9月19日(月・祝)愛知県芸術劇場大ホール。3公演とも指揮:岩村力、ナレーション:山根基世。(宮本明)
2022年05月13日5月29日(日)大阪・BIGCATで開催される『ツタロック DIG LIVE Vol.9-OSAKA-』のタイムテーブルが発表された。「ツタロック DIG LIVE Vol.9-OSAKA-」チケット情報出演アーティストは、ammo、Ochunism、ケプラ、ドラマストア、ねぐせ。、ハク。、pachae、ヤユヨ、ユアネスの9組。今、チェックしておきたい次世代のシーンの主役が集結する本公演、今回は初の大阪開催となる。チケットは、5月14日(土)10:00より一般発売開始。
2022年05月13日ゴツプロ!『十二人の怒れる男』が、5月13日に東京・本多劇場にて開幕。前日夜に公開されたゲネプロの様子をレポートする。なお本記事はネタバレを含んでいるので、鑑賞前の読者は注意して欲しい。テレビドラマ(1954年)として放送され、舞台化・映画化(1957年)もされている本作は、アメリカの脚本家レジナルド・ローズの代表作だ。日本でもさまざまなキャスト・スタッフが挑み、数多くの上演版が存在している不朽の名作を、今回はゴツプロ!初参加の西沢栄治による演出で立ち上げる。会場入りして驚いたのは、四方を客席に囲まれたオープンステージ。舞台空間を額縁のように切り取ったプロセニアム形式が主流だった本多劇場で初めての試みだという。父親殺しの容疑で起訴された少年の罪について、年齢や境遇の異なる12人の陪審員が自分のプライドや信条をもとに審議しぶつかり合う。観客はプロレスのリングや相撲の土俵をイメージさせるこの“コロッセオ”(円形闘技場)で、12人が交わす言葉と感情の応酬を見守るのだ。有罪・無罪を問わず、判決は全員一致でなくてはならない。誰もが少年の有罪を確信する中で、陪審員の一人が「もし我々が間違えていたとしたら」と異議を唱える。少年に不利な証言の疑わしい点を再検証するよう彼が働きかけると、他の陪審員が抱えるさまざまな思い込みや先入観、無関心が浮き彫りになっていく。最終的に全員が無罪に転じる法廷劇の金字塔であることは広く知られている。だからこそ、議論の来し方行く末を通じて炙り出される男たちの“生き様”がどのように立ち上がっているか──。そこが鑑賞のポイントになるだろう。この点において、演出の西沢やゴツプロ!主宰の塚原大助(4号)をはじめとするカンパニーは奇をてらうことなく、硬派なクリエーションに徹した。たとえばそれは、発話している相手に対する“体の向き”に表れる。劇中で偏見にまみれた男が総スカンを喰らい、冷戦沈着で論理的な4号を除く全員から背を向けられるシーンがある。この時ばかりは他人の言動にすぐ同調する男、持論を押しつける男、少年と同じスラム街出身の男、早く議論を終わらせたい男たちが全員一定のモラルで抗議の意を示していた。議論への熱意や少年に対する印象にそれぞれグラデーションのあった一同が見せる良心に、思わず胸を掴まれた。キャストは塚原(4)のほか、ゴツプロ!メンバーの浜谷康幸(11)、佐藤正和(7)、泉知束(8)、渡邊聡(1:陪審員長)、44北川(6)に加えて、関口アナン(5)、三津谷亮(12)、劇団桃唄309の佐藤達(2)、椿組の木下藤次郎(守衛)、山本亨(3)、ワハハ本舗の佐藤正宏(10)、文学座の小林勝也(9)がキャスティングされている。上演時間は約105分(休憩なし)。公演は5月22日(日)まで。チケット販売中。取材・文:岡山朋代※(カッコ)内の数字は、役名となる陪審員の番号
2022年05月13日滋賀ふるさと観光大使を務めるアーティスト・西川貴教が発起人となり、琵琶湖の水質保全と地域振興をテーマに掲げ、毎年9月に琵琶湖岸で開催している、滋賀県下最大の大型野外ライブイベント『イナズマロック フェス 2022』。今年は9月17日(土)・18日(日)・19日(月・祝)の3日間にわたって開催されることが発表された。「イナズマロック フェス 2022」チケット情報2009年にスタートし、今ではすっかり滋賀の夏の風物詩として定着しているこのイベントは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け一昨年はオンラインによる開催、そして昨年は開催中止となったが、14年目を迎える今年は、おなじみの滋賀県草津市の烏丸半島芝生広場での開催となる。開催発表に伴い、雷神ステージ第一弾出演アーティストも発表された。17日(土)に、Da-iCE、西川貴教、Fear, and Loathing in Las Vegas、04 Limited Sazabys、ももいろクローバーZ。18日(日)に、アイドルマスター SideM、打首獄門同好会、THE ORAL CIGARETTES、T.M.Revolution、DISH//、Vaundy。19日(月・祝)に、T.M.Revolution、西川貴教、Novelbright、モーニング娘。’22。チケットは、5月22日(日)23:59までオフィシャル先行(抽選)を受付中。『イナズマロック フェス 2022』▼9月17日(土)~19日(月・祝)滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場<LIVE AREA・雷神STAGE>[17日(土)出演]Da-iCE/西川貴教/Fear, and Loathing in Las Vegas/04 Limited Sazabys/ももいろクローバーZ/他[18日(日)出演]アイドルマスター SideM/打首獄門同好会/THE ORAL CIGARETTES/T.M.Revolution/DISH///Vaundy/他[19日(月・祝)出演]T.M.Revolution/西川貴教/Novelbright/モーニング娘。’22[IGA 17日券/18日券/19日券] 各12,000円(税込)[IGA 3日セット券] 36,000円(税込)【特典グッズ付き】※ブロック指定、立見、入場整理番号付き、3歳以上有料[IVIP(Left/Right) 17日券/18日券/19日券] 各30,000円(税込) 【プレミアム特典付き】[IVIP(Left/Right) 3日セット券] 90,000円(税込)【プレミアム特典付き】※特別観覧席・特別立見エリア有り、入場整理番号付き、3歳以上有料※特別観覧席と特別立見エリアどちらでも観覧可能※観覧席⇔立見エリア間の移動は転換時に限る※特典グッズ付き※専用エントランス、専用クローク、優先トイレ有り
2022年05月13日シンフォニック・ジャズはオーケストラが演奏するジャズ。ジャズ作曲家の挾間美帆がプロデュースする、映画とジャズをテーマにした「TOKYO JAZZ 2022 NEO-SYMPHONIC!CHINEMA JAZZ」が8月19日(金)東京芸術劇場コンサートホールで開催される。「TOKYO JAZZのお祭り感に合うテーマとして、新しい映画音楽を選びました」「新しい」というのがミソで、奇しくもこの1~2年、ジャズと映画を結ぶホットな話題が相次いでいるのだと語る。「スピルバーグ監督が『ウェスト・サイド・ストーリー』をリメイク。ディズニーの『ソウルフル・ワールド』のサウンド・トラックはジャズ・ピアニストのジョン・バティステです。そしてジャズ界隈では大騒ぎになったんですけど、スパイク・リー監督の映画音楽でも有名なジャズ・トランペッター、テレンス・ブランチャードのオペラがニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)で上演されたのです」バティステは、先日発表された今年のグラミー賞で最優秀アルバム賞を受賞した注目アーティスト。ブランチャードのオペラ《Fire Shut Up in My Bones》は、METの歴史上初の黒人作曲家の作品として話題を呼んだ。「映画にまつわるセンセーショナルなニュースがジャズから次々に出てきた。音楽がボーダーレスになってきた証拠。今知ってほしい音楽、今起こっていることをプレゼンテーションしたいと思います」自身もその波に乗る。本年度の日本アカデミー賞最優秀音楽賞の『竜とそばかすの姫』(監督:細田守/音楽監督:岩崎太整)は、シーンごとに異なる音楽家を起用する独特の方法で作られた。挾間もその一人。「音楽家それぞれがインスパイアされて、それぞれのシーンが出来上がる。すごくいいんです」さらに、もはや伝説の『新世紀エヴァンゲリオン』(音楽:鷺巣詩郎)。そのジャズ・アルバムのための編曲にも参加した。もともと、大河ドラマの音楽を書きたくて作曲を学んだ。「動くものに音楽をつけることには並々ならぬ愛があります」と言い切る。共演は今回も東京フィルハーモニー交響楽団(指揮:挾間美帆)。ヴォーカルの中村佳穂(*公演全編にわたっての出演ではありません)のほか、ジャズ界から、石若駿(ドラム)、江﨑文武(キーボード)、黒田卓也(トランペット)、須川崇志(ベース)も参加予定。ジャズとシネマが交差する、その最前線を楽しませてくれるはずだ。(宮本明)
2022年05月13日2018年初演の日本キャスト版『メリー・ポピンズ』が新キャストを迎え待望の再演。初演同様、煙突掃除屋のバートを務めるのがダンサーで俳優の大貫勇輔(ダブルキャストは初役の小野田龍之介)。続投の知らせに大貫は「4年間で学んだことをプラスできる。ワクワクした気持ちが溢れてきました」と合同取材会で意気込みを語った。ミュージカル『メリー・ポピンズ』チケット情報舞台は1910年のロンドン。不思議な力を持つメリーが、子守が居つかないバンクス家に現れたことで騒動が巻き起こる。同名の児童文学が原作の愛と魔法に溢れたミュージカルだ。原作を映画化しアカデミー賞5部門を受賞したディズニーと『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』を手掛けるキャメロン・マッキントッシュがタッグを組み舞台化した。初演時、長期にわたるオーディションでバート役を射止めた大貫。実家のダンススタジオで10代の頃から講師を務めていた経験から「教室で子どもたちに伝える感覚とバートがバンクス家の子どもたちと接する感覚が近くて。本能的にバートはハマり役という感覚があった」。初演時、「初日の幕が上がった時、人生で初めて泣きそうになりました」と語る。初演から4年を経た今「選択肢が増えた」と自信をのぞかせる。弱点に感じていた歌唱はミュージカル『王家の紋章』のイズミル役で鍛えられた。憧れのシルヴェスター・リーヴァイの楽曲を前にダンスを封印、猛特訓の甲斐あり高音への苦手意識が薄まった。続くミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』では初のミュージカル作品での座長に大抜擢。約1年半かけて身体を作り込むと、コロナ禍にも公演を成功へ導いた経験が血肉となった。本作ではバートとしてメリーへの特別な想いを抱きつつ、バンクス家を良くしようと奔走する。「てんてこ舞いだった初演に比べ、再演の舞台ではちょっとした台詞が胸に突き刺さる」と一段深い視点から役作りに挑んでいる。メリー役は濱田めぐみ、笹本玲奈のダブルキャスト。「濱田メリーは隙の無いミス・パーフェクト。尊敬の思いが強いので子犬みたいに撫でてほしいという意識になる。笹本メリーはもう少し人間味があって、尊敬より恋心が大きい。だからかっこつけたくなっちゃう」と。ぜひ見比べてほしい。『チム・チム・チェリー』など耳馴染みのある楽曲、圧巻のダンスシーン、随所に盛り込まれた“魔法”の数々など見どころ満載の本作。「メリーが客席に飛んでいく場面では何度見ても泣けちゃうし、本当に魔法に思えてくる。トリックアートのようなセットや照明も美しく、そこに普遍的な家族の愛のテーマが描かれる。総合芸術として完成されたミュージカルです」と笑顔いっぱいに語った。大阪公演は5月20日(金)から6月6日(月)まで、梅田芸術劇場メインホールにて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年05月12日『SUMMER SONIC 2022』が8月20日(土)・21日(日)の2日間、東京・大阪で開催される。SUMMER SONIC 2022 チケット情報20日(土)東京公演・21日(日)大阪公演のMARINE/OCEAN STAGEは、ヘッドライナーのTHE 1975を筆頭にKing Gnu、MANESKINといった世界のロックシーンを凝縮した見逃せない布陣に。THE 1975のレーベルDIRTY HITSからRINA SAWAYAMA、BEABADOOBIEもラインナップ。MOUNTAIN STAGEはMAN WITH A MISSION、THE OFFSPRING、FISHBONEが中心となったサマソニ印のパンク&ミクスチャーの祭典となる。SONIC STAGEはST.VINCENTをステージヘッドライナーにKACEY MUSGRAVESといったクリエイティビティ溢れるアーティストからSQUIDら注目のアーティストが集結する。そして、21日(日)東京公演・20日(土)大阪公演のMARINE/OCEANは、POST MALONE、ONE OK ROCK、MEGAN THEE STALLIONがひとつのステージで観ることができるという超贅沢なラインナップとなる。MOUNTAINは、東京のPRIMAL SCREAM、大阪のKASABIANをヘッドライナーにしたUKロック勢が大充実。注目のTOMORROW X TOGETHERもこのステージに出演する。SONICはCARLY RAE JEPSEN、CL、GRIFFらポップ・ミュージックシーンの注目アクトがズラリと並ぶ。これで今年の各ステージのカラーが見えてきた。チケットは5月28日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、5月26日(木)23:59まで、大阪公演のチケット先行先着プリセール実施中。
2022年05月12日2022年4月より本格始動したチケットぴあ主催の若手バンドを応援するライブハウス企画「Grasshopper supported by チケットぴあ」。2回目となる「Grasshopper vol.2」は、5月23日(月)下北沢CLUB Queにて「インディアカヌー」「youth」「ORCALAND」の3組を迎えて開催すること決定した。合わせて、5月11日(水)20:00よりチケットぴあにてチケット販売が開始。熱いライブパフォーマンスが注目を集めている3バンドが集結!ぜひこの機会にライブをチェックしてほしい。なお、チケットぴあで前売りチケットを購入すると出演バンドのサイン入り「GrasshopperオリジナルTシャツ」が抽選で1名に当たるプレゼント企画も実施。【Grasshopper vol.2 チケット情報リンク】【Grasshopper supported by チケットぴあイベントサイト】
2022年05月11日ケラリーノ・サンドロヴィッチによる傑作ホラー・コメディ舞台『室温~夜の音楽~』が2022年6月25日(土)から世田谷パブリックシアターで上演される。田舎で二人暮らしをしているホラー作家の海老沢十三(堀部圭亮)と娘・キオリ(平野綾)。12年前、拉致・監禁の末、集団暴行を受け殺害されたキオリの双子の妹・サオリの命日の日に、さまざまな人々が海老沢家に集まってくる。巡回中の警察官下平(坪倉由幸)、海老沢のファンだという女・赤井(長井短)、タクシー運転手の木村(浜野謙太)、そして加害者の少年の一人である間宮(古川雄輝)......。死者と生者、虚構と現実、善と悪との境が曖昧になっていき、やがて過去の真相が浮かび上がってーー。今回、主演する古川雄輝は、およそ3年ぶりの舞台で「楽しみな気持ちでいっぱい」と気持ちを明かす。「映像作品ではなかなか演技指導を受けるような時間が取れませんが、演劇はしっかりと稽古がある。壁にもぶち当たるんですが、何かひとつでも成長できたら」と貪欲な姿勢を崩さない。KERAらしいホラー・コメディ作品。古川は「まさに映像よりも舞台で観たいホラー・コメディ作品ですよね。初めて舞台を観る人は『笑っていいのかな?』と困るかもしれませんが(笑)、誰かがクスッと笑ってくれたら、周りも笑っていいんだと思ってもらえる気がします。日に日に笑ってもらえるポイントが変わりそう」。ちなみに古川自身は「引き出しが多くないとコメディは難しいし、ホラーもそんなに経験があるわけではないので、どちらも慣れたものではないです」と話していた。2010年に開催された新人発掘オーディション「キャンパスター★H50withメンズノンノ」で審査員特別賞を受賞し、芸能界デビューした古川。帰国子女ということで英語が得意で、中国版ツイッターWeiboでは450万人以上のフォロワーがいる“海外派”でもある。だが、今後やってみたい仕事を尋ねると「やりたいことは叶ってきたので、今は具体的にない」。ちなみに新人の頃から憧れは佐々木蔵之介。「ずっとお名前を出してきたので、なんだか申し訳ないのですが。蔵之介さんは、頭が良くて、テクニックがあって、引き出しが多い。人柄も優しく、憧れです」。舞台を楽しみにしている観客へのメッセージを尋ねると、「ホラーとコメディが融合した作品で、見終わった後にすごく不思議な感覚になると思いますので、まずはそれを楽しみにしていただきたい。個人的には久々の舞台。キャストの皆さん、スタッフの皆さんと一緒に一生懸命稽古をしていきますので、ぜひ劇場に来ていただきたいと思います」取材・文:五月女菜穂
2022年05月11日ミュージカル『モダン・ミリー』の製作発表会見が2022年5月10日、東京都内で行われた。本作は1967年公開のミュージカル映画を原作に、映画公開から約30年を経て舞台化したもの。2002年にトニー賞作品賞や主演女優賞などを受賞し、大ヒットしている。本来、2020年4月に上演を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の発出を受けて、開幕直前に公演中止に。今回は、およそ2年半の時を経て、9月7日(水)に初日を迎える予定。演出の小林香が中止決定時にキャスト・スタッフにあてた手紙の中の言葉を借りれば、“大幅な延期”を経て、満を持しての上演となる。モダンガールに憧れて田舎町から出てきたミリー・ディルモント役を演じる朝夏まなとは「お稽古をすべて終えて、やっと劇場に入れるというときに止まってしまいまして。やるせない気持ちと切ない気持ちと、でも仕方ない気持ちもどこかにあって、救いようのない想いでいっぱいだった」と公演中止のことを振り返りつつ、「(小林の)“大幅な延期”という言葉を信じて、2年越しに公演ができることが嬉しいです。2年間、他のいろいろな作品に携わってきて、自分自身が成長できていたらいいと思っています」などと意気込んでいた。ジミー・スミス役の中河内雅貴も「2年前は心が苦しかった時期でもありました。この作品はとてもハッピーな作品で、辛い時にもこの作品の楽曲を聞き直して、自分自身、救われた部分がありました。きっと観てくださるお客様の心もハッピーにしてくれる。ぜひとも劇場に足を運んでいただいて、明日への活力になるような存在でいたいなと思います」と熱弁をふるった。そんな中、ミリーの就職先の社長であるトレヴァー・グレイドン役の廣瀬友祐が「良いのか悪いのか、まったくこの作品の記憶がなくてですね......久々に台本を見たんですが、記憶はありませんでした」と正直に明かすと、会場からは笑い声が聞かれた。それに対し、ミセス・ミアーズ役の一路真輝は「(公演中止という)あの時のショックはかなりダメージとして残っておりまして、それもあってか、私は結構鮮明に覚えておりまして。朝夏さんのタップ、廣瀬くんの不思議な役作り、保坂さんの可愛らしい歩き方。全て忘れていないですよ」と話していた。本作の見どころについて、演出の小林は「金太郎飴のように、どこを切りとってもブロードウェイミュージカルの楽しさが詰まっている。とても明るく楽しいミュージカルで、疲れた心を癒すのにいい作品」。劇中のお気に入りシーンについて尋ねられると、「ふんだんにあるタップのシーン」(朝夏)という意見や「プロローグの場面がすごく好き」(実咲凜音)、「ミリーちゃんとジミーの純粋なラブストーリーが軸にあって、2人を応援したいなと思った」(保坂知寿)などと具体的な回答が寄せられていた。公演は2022年9月7日(水)〜26日(月)日比谷・シアタークリエ 、10月1日(土)、2日(日)大阪・新歌舞伎座で上演される。取材・文:五月女菜穂
2022年05月11日昨年、現在の芸名におけるデビュー50周年を迎えた五木ひろしが、東京・明治座で昭和歌謡の“五大作曲家”を演じる。若手歌手への熱血指導を通じて昭和を彩った音楽の魅力を紐解く『五木ひろし劇場』の構想を、五木本人とゲストの市川由紀乃に聞いた。新春『五木先生の歌う!SHOW学校』舞台版が新型コロナウイルス感染症の影響で公演延期となり、明治座での座長公演は約2年半ぶりとなった五木。「リベンジでもよかったのですが、仕切り直して別の企画を」と考えるようになった背景には、「後進にチャンスを与えたい」──という想いが滲む。その想いが色濃く現れるのは、遠藤実・吉田正・船村徹・服部良一・古賀政男が生み出した楽曲を2日ごとに紹介する「第一部:不滅のメロディ 昭和の五大作曲家を歌う」だ。ゲストは各作曲家がつくった楽曲をレパートリーとする歌手になって、五木演じる作曲家からレッスンを受ける。五木は「たとえば僕が遠藤先生を演じる時、由紀乃ちゃんは山本リンダになって『こまっちゃうナ』を歌ってもらうの」と横にいる市川に語りかける。「遠藤先生がヒットに恵まれず困っていた頃、リンダちゃんを預かって。彼女がレッスン中に発した“リンダ、困っちゃう”という言葉にピンと来て生まれたのが『こまっちゃうナ』だったんです」と五木。芸歴が長いだけあって、作曲家と歌手の間に生じたエピソードが頭の中に数多く入っているという。「歌の背景を“知っている”のが僕の大きな武器」「台本をつくらずアドリブで先生方の偉業を観客の皆さんと共有できたら」と笑う。回によって内容も異なるそうだ。五木渾身のアドリブを受ける市川は、回によって島倉千代子や美空ひばりにも扮する。市川は「名曲誕生の瞬間が形になる。これをエンターテインメントとしてお客様に届けることを第一に考える五木先輩も偉大です」と述べ、「名だたる歌い手の方になることで、私の中に眠る引き出しがまたひとつ開く予感がしています」「五木先輩に感謝しながら、全力でアドリブに応えられたら」と意気込んだ。名曲の歴史を紐解く第一部は、若手にとって歌の本質を掴む格好のレッスンになるだろう。五木は「僕が可能性を感じる子たちに声をかけた」と隣にいる市川をはじめ、ゲストの朝花美穂、辰巳ゆうと、新浜レオン、ベイビーブーに華を持たせる。そんな彼らの新曲やデビュー曲を中心に届ける第二部で、五木は司会に徹する。第三部は五木のワンマンステージ。5月25日(水)にリリースされる新譜「北前船」をラストに歌って盛り上げ、「勇ましい気持ちでお帰りいただけたら嬉しいです」と構成を明かした。公演は、5月13日(金)~22日(日)に東京・明治座にて。チケットぴあではチケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年05月11日劇作家兼演出家のG2が、新作ミュージカル『スワンキング』を書き下ろし。自ら演出も手がける。そこでG2に、本作に寄せる想いを語ってもらった。芸術に傾倒するあまり浪費を繰り返し、“狂王”と呼ばれたバイエルンの国王ルートヴィヒ二世と、“天才”と言われつつ、借金と女性問題に苦しんだ作曲家リヒャルト・ワーグナー。G2はワーグナーの妻に関して書かれた本との出会いから、彼らを中心に据えたミュージカルの創作を思いついたと言う。「その本がまんまお芝居にしたいくらい面白くて、もともと興味のあったふたりの関係に、コージマというワーグナーの妻を絡ませた芝居を作りたい、という直感が働きました。なにより惹かれたのが、僕にも似たふたりの男のダメさ加減(笑)。でも夢を追い求める彼らのピュアさというのは、そのダメなところを補って余りあるのではないかと思ったんです」核となるふたりを描く上で、G2が特にこだわったのが…。「このふたりって仲が良かったのは最初だけで、後はずっと喧嘩しているんですよね。そんな男ふたりが憎んだり、愛したりする姿勢。特に僕は、彼らが格闘している姿がすごく好きで。そういった部分を抽出して描きたいと思いました」A.B.C-Zの橋本良亮がルートヴィヒを、別所哲也がワーグナーを演じる。「橋本くんとは去年、全公演中止になってしまった音楽劇でご一緒し、その時からルートヴィヒにいいんじゃないかと思っていました。感受性が強過ぎる、あまりオープンじゃない王様の役がとても合いそうだなと。別所さんのワーグナーは、これハマり役だと思いますね。先日一曲だけ歌ってもらう機会がありましたが、いきなりイメージ通りで。憎たらしい、嫌な感じの男をうまく演じてもらえそうです」音楽もすべて書き下ろし。三谷幸喜作品でもおなじみの荻野清子が手がける。「僕の演出意図を汲んでもらい、演出代行なくらいの気持ちで曲を作ってもらわないと出来ない芝居なので、荻野さんに参加してもらえたのは本当に嬉しいです。自分でもこれは理不尽だなと思ったオーダーが、芝居の流れ的に、『最初は楽しくて最後が絶望的というのを一曲の中でやって欲しい』というもの。言うは易し、ですよね(笑)。でもそれが見事に出来上がってきて。今回の僕の目標が、『どこから輸入したの?』と言われる作品に必ずすること。ミュージカルが輸入産業になってしまっている、今の日本の演劇界を変えたい。そのために一石を投じるような作品にしたいなと思います」取材・文:野上瑠美子
2022年05月10日東京を拠点に活動するメタルコアバンドPROMPTSが、この夏、初のフルレングスアルバムをリリース。7月8日(金)の東京・Spotify O-WEST公演を皮切りに全国ツアーを開催する。初日の東京公演は、a crowd of rebellion、DANGERxDEER from コロナナモレモモ(マキシマム ザ ホルモン2号店)と競演!ツアーの続報は随時発表されるとのこと。PROMPTS チケット情報チケットは、5月17日(火)23:59まで東京公演のオフィシャルHP先行(先着)を受付中。
2022年05月09日梅田スカイビルにある「絹谷幸二 天空美術館」が、小中学生を対象に募集した「第1回 絹谷幸二 天空美術館 キッズ絵画コンクール」の受賞作品が決定。4月29日(金・祝)より、同美術館にて『キッズ絵画コンクール 優秀作品展』として一般公開されている。絹谷幸二 天空美術館チケット情報「あなたの大切な人たち、自然、まち並み」というテーマで募集された今回のコンクールには、国内や海外から3009点の応募があり、その中から厳正な審査(審査委員長 絹谷幸二氏)により、絹谷幸二キッズ賞 グランプリ1点、部門(小学校低学年・小学校高学年・中学校)優秀賞3点、館長賞1点、佳作賞22点、入選13点が選ばれた。4月29日(土・祝)には、展覧会開幕に先立って各賞の表彰式が行われ、受賞された40人の中から32人が出席。関係者や同行の家族が見守る中、グランプリに選ばれた舛井勝秋さん(小学校4年生)をはじめ、一人ひとりが壇上に呼ばれ各賞の表彰状と賞品が贈られた。グランプリに選ばれた舛井さんは「グランプリと聞いてびっくりしました。この絵はおじいちゃんとおばあちゃんのところに行くときに、いつも気になっていた丘に上の風車を描きました。これで電力を作っていることにも驚き、もっとみんなに知ってもらおうと描きました」と喜びを表していた。また、今回の応募数の多さや全体レベルの高さに、当初募集時にはなかった特別賞が急きょ追加設定され、館長賞として伊藤ひかりさん(小学校6年生)の作品が選出された。審査委員長 兼 絹谷幸二 天空美術館名誉館長の絹谷幸二氏は「絵は上手くなくてもいいんです。むしろ下手な方がその人らしさが出ます。自分が感じたままを描けばいい。絵は心を映す鏡。絵を描くということは元気になる、心を弾ませるということです。そんな観点で、たくさんの作品の中から際立って素晴らしいと思った作品に、賞を贈らせていただきました」と講評。受賞した子どもたちだけでなく同席された保護者に向けても、子どもと一緒に絵を描くことを推奨されていた。『優秀作品展』の特別会場には、今回受賞した40点が展示されている。子どもたちが描いた、のびのびとしたイメージと色彩を、原画ならではの迫力で間近に感じることができ、そのレベルの高さに圧倒されるはず。次世代を担う子どもたちの新しい感性や世界にふれてみてはいかが。6月27日(月)まで、文化勲章受章・開館5周年記念特別展『永遠にあたらしい!! 人類最古の壁画技法 アフレスコ』とともに開催中。注)文中の学年はすべて作品応募当時取材・文・撮影:滝野利喜雄
2022年05月09日昨年、紫綬褒章を受章した俳優の内野聖陽が舞台『M.バタフライ』に主演する。1988年トニー賞受賞作、日本では32年ぶりの上演となる。舞台は1960年代文化大革命の北京。駐在フランス人外交官ルネ・ガリマール(内野聖陽)は、京劇のスター女優ソン・リリン(岡本圭人)と20年に及ぶ愛に溺れる。その実、ソンは毛沢東政府のスパイであり、男だった―――。国家機密情報漏洩の罪により投獄されたルネは、オペラ「蝶々夫人」と対比させながら自らの正当性を観客に説いていく。あまりにも残酷で衝撃的な、実話がベースの愛の物語だ。「M.バタフライ」チケット情報「ぜひ内野さんで」とのオファーを受けて台本を読み「役者として挑戦しがいのある作品」と出演を快諾したと話す内野。「現実に見ていたものがまったく真実ではないと分かったとき、人間はどうなってしまうのか」。そこに興味と面白味を見出す。ルネ役については「ロマンチストなのかな。彼には妻がいて、外交官としての出世を選んだ。愛は捨て去ったつもりでいたが、たまたま東洋の女優に恋をし、彼女に理想の女性像を投影してしまう。女性に擦れていない人で、東洋の神秘性に強い憧れや敬意を持っているような男性。戯曲を読んでいると、とても切なくなる時があります」。続けて「愛には幻想が含まれる」とも。とりわけ恋愛において人は、相手を見たいようにしか見ない。その意味で「僕からも皆さんからも遠くない、誰しもに起こること。ご覧になる方がこれなら騙されるな、と納得できる点を掘り起こしていきたい」と語る。作品の肝であり見どころのひとつに「ルネが東洋の神秘に絡めとられる」様をあげる。そんなルネのみならず、観客をも惑わすのがソン役の岡本圭人だ。内野は「イギリスで7年間の留学経験があり、アメリカでも演技の英才教育を受けている。非常に勉強熱心な方」と岡本の印象を語る。「舞台は2度目で新人に近い初々しさがありますが、役と向き合う粘り強さや気迫を感じる。ルネが真実めいた虚像に絡めとられていくという要の部分も、彼となら丁寧に描いていけるはず」と稽古を心待ちにする。物語は投獄されたルネの独白で始まる。「観客を60年代当時に心地よくお連れする水先案内人のような役。途中でハラハラし、最後にあっと驚くみたいな回想劇のような組み立てです。100%フィクションではないところが興味深い。彼がどういうふうに恋をして、いかに国家機密の罪に陥ったのか。皆さまの心にも起こるであろう間違い、錯覚も含めて楽しんでいただけたら」とアピールした。公演は6月24日(金)から7月10日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて、7月13日(水)から15日(金)まで、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。チケットぴあでは、5月10日(火)10:00から15日(日)23:59まで2次抽選先行を受付。一般発売は5月21日(土)より。ほか福岡、愛知公演あり。取材・文:石橋法子
2022年05月09日アメリカの脚本家レジナルド・ローズの代表作を、西沢栄治の演出で立ち上げるゴツプロ!『十二人の怒れる男』。開幕を約2週間後に控えた稽古場を訪れると、主宰の塚原大助をはじめとする全キャストと西沢が白熱した創作を繰り広げていた。年齢や境遇の異なる12人の陪審員が一堂に会し、父親殺しの容疑で起訴された少年の罪を審議する本作。アメリカのテレビドラマ(1954年)として放送されたのを皮切りに、舞台化や映画化(1957年)が繰り返されているクラシックな法廷劇だ。誰もが少年の有罪を確信する中で、陪審員のひとりが「話し合いたい」と異議を唱える。少年に不利な証言の疑わしい点を再検証するよう彼が働きかけると、他の陪審員が抱えるさまざまな偏見や先入観、無関心が浮き彫りになっていき──。4月中旬からスタートした稽古は、西沢いわく「現代に上演しても違和感のないよう、翻訳を“揉む”時間が長かった」そう。その後、返し稽古でシーンの精度を上げつつラストまで辿り着いたタイミングで取材日が訪れた。見学したのは、初対面の陪審員が席について議論を始める冒頭のシーン。戯曲によれば「今年いちばんの暑さ」らしく冷水器へ一直線する者、煙草に火をつけ一服する者、窓の外を眺める者、カジュアルに雑談する者など、開始5分も経たない12人の登場シーンながらそれぞれのキャラクターが早くも透けて見えた。有罪・無罪を問わず、判決は全員一致でなくてはならない。最初の投票を前に、西沢は流れを止めた。久しぶりに稽古する登場シーンを「懐かしいね」と笑いながら重厚なテーブルを囲むキャストに近づくと「リアルで同じ時間を積み重ねたぶん、打ち解けてしまっていて初めて会った人感に欠けますね」「距離感と緊張感を意識して、もっと他人行儀な感じを出して欲しい」とオーダーする。西沢の演出を経て、初対面のぎこちなさが再び充満する稽古場。異論を唱える陪審員第8号の意見ゼリフをおとなしく聞く流れになると、すかさず西沢が「聞いている間も横でコミュニケーションを図って全体が蠢いているように見せたい」と提案し、キャスト同士で自然とトライ&エラーが始まっていく。中でも合理的で冷静な4号を演じる塚原に、西沢は「セリフの時にボールを持ちすぎだから、相手にすっと投げて」とフィードバックして劇中における議論の活性化を促していた。キャストは塚原(4)のほか、ゴツプロ!メンバーの浜谷康幸(11)、佐藤正和(7)、泉知束(8)、渡邊聡(1:陪審員長)、44北川(6)に加えて、関口アナン(5)、三津谷亮(12)、劇団桃唄309の佐藤達(2)、椿組の木下藤次郎(守衛)、山本亨(3)、ワハハ本舗の佐藤正宏(10)、文学座の小林勝也(9)がキャスティングされている。公演は、5月13日(金)~22日(日)に東京・本多劇場にて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代※(カッコ)内の数字は、役名となる陪審員の番号
2022年05月06日昨年8月に宝塚歌劇団を退団した元月組トップスターの珠城りょうが、退団後初のソロコンサート『CUORE』を開催。大阪公演を盛況に終え、5月13日(金)より東京国際フォーラム ホールCでの幕が上がる。珠城りょう1stコンサート『CUORE』チケット情報入団9年目に異例の速さでトップ就任。温かみのある歌声、スラリと伸びた手脚から繰り出されるダイナミックなダンス、繊細な演技、そして包容力と真っ直ぐさで組を牽引してきた珠城。川崎悦子が構成・演出・振付を手掛ける今回のステージは、チーフパーサーに扮した珠城とともにタイムマシン「CUORE号」に乗車し、時間旅行を楽しむというストーリー仕立てのコンサートとなっている。開演アナウンスは、珠城による搭乗案内。観客を『CUORE』の世界へといざなっていく。黒のサングラスをつけ、グレーのロングコートをまとった珠城がクールに登場するや、Official髭男dismの楽曲『Amazing』で幕開け。珠城が宝塚歌劇団在団中に発売されたSpecial Blu-ray BOX内でカバーした楽曲で、今回が初の生パフォーマンスとなる。温かみのある伸びやかな歌声とキレのあるダイナミックなダンスは健在。髪も伸び、従来のカッコよさに加えて柔らかさが増した印象だ。ロングコートを脱いだ珠城は、一転、上下ともに白、ノースリーブにパンツスタイルの爽やかな衣装や、黄色のブラウスと緑のパンツといったレトロポップな衣装をまとったりと、シーンによってさまざまに表情を変えていく。近未来からスタートし、1930年のアメリカ、宝塚歌劇団時代、1950年代のパリ、現代…と、時空を超えてさまざまな場所へと移るこの時間旅行。その中で、珠城のオリジナル曲や、往年のスウィングジャズの名曲、宝塚時代の印象深い楽曲、ミュージカルナンバーなどを披露していく。観客も一緒に踊り、盛り上がれるシーンもあり、一体感が味わえるのもうれしい。曲の合間には、珠城をはじめ、パーサーに扮したダンサーたちとのコミカルなやり取りも。珠城と上口耕平をはじめとするパフォーマーたちの息もぴったり。カンパニーのムードの良さも伺え、そこにも珠城のおおらかさと求心力が垣間見える。パフォーマンス中は元男役らしいスタイリッシュさも感じさせながら、トークでは肩の力が抜けたような朗らかな表情を見せる珠城。観ている側も思わず笑顔になれる温かいステージ。東京公演は元星組男役スター・愛月ひかるがゲスト出演する回も。ふたりがどんなコラボレーションをするのかお楽しみに。東京公演は5月13日(金)から15日(日)まで、東京国際フォーラム ホールC。愛月ひかる出演は5月13日(金)17:00、14日(土)13:30、17:00公演。PIA LIVE STREAMでは愛月がゲスト出演する5月14日(土)13:30回をライブ配信(アーカイブ配信なし)。チケット発売中。取材・文:黒石悦子
2022年05月06日『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』が東京都美術館(台東区)で開催中だ。1859年に開館したスコットランド国立美術館は、世界でも指折りの西洋絵画コレクションを有する。本展は、そのコレクションの中から、ラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、ブーシェ、スーラ、ルノワールなど、ルネサンス期から19世紀後半までの西洋絵画史を彩る巨匠たちの作品を展示。そのほか、ゲインズバラ、レノルズ、ブレイク、コンスタブル、ターナー、ミレイといったイングランド出身の画家に加え、日本ではなかなか見ることのできないレイバーン、ラムジー、ウィルキー、ダイスなどスコットランド出身の代表的な画家たちの名品も。油彩画・水彩画・素描約90点を通じ、西洋美術の流れとともに、ヨーロッパ大陸と英国との文化交流から、英国美術がはぐくまれた様子を紹介している。展示構成は、スコットランド国立美術館の建物や館内の様子を描いた作品を紹介する「プロローグ」から始まり、アンドレア・デル・ヴェロッキオ(帰属)《幼児キリストを礼拝する聖母(「ラスキンの聖母」)》やエル・グレコ《祝福するキリスト(「世界の救い主」)》などが並ぶ「ルネサンス」、ディエゴ・ベラスケス《卵を料理する老婆》、レンブラント・ファン・レイン《ベッドの中の女性》といった「バロック」と続く。英国のコレクターたちが美術品の購入や文化的教養を深めるために大規模なヨーロッパ旅行をした「グランド・ツアーの時代」では、フランソワ・ブーシェの晩年の作である《田園の情景》やジョシュア・レノルズ《ウォルドグレイヴ家の貴婦人たち》などが見られる。「19世紀の開拓者たち」では、フランシス・グラント《アン・エミリー・ソフィア・グラント(“デイジー”・グラント)、ウィリアム・マーカム夫人(1836-1880)》、クロード・モネ《エプト川沿いのポプラ並木》などを紹介。「エピローグ」では、フレデリック・エドウィン・チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》という圧巻の作品で締め括られる。本展は7月3日(日)まで(休室日は月曜日)。開室時間は午前9時30分〜午後5時30分※金曜日は午前9時30分~午後8時(入室は閉室の30分前まで)。展示室の混雑を避けるため、日時指定予約制。一般1900円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1400円。天海祐希がナビゲーターを務める音声ガイドとのセット券は2400円(5月8日入場分までの期間限定)。なお、7月16日(土)〜9月25日(日)は神戸市立博物館、10月4日(火)〜11月20日(日)は北九州市立美術館 本館でも開催される予定だ。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年05月06日舞台『ロビー・ヒーロー』が2022年5月6日(金)から新国立劇場小劇場にて上演される。本作は、映画脚本家・監督としても有名なケネス・ロナーガンの作。日本初演となる今回は、小川絵梨子芸術監督によるシリーズ「声議論,正論,極論,批判,対話...の物語」の第二弾としての位置づけで、新国立劇場初登場の桑原裕子が演出、浦辺千鶴が翻訳を担う。中村 蒼、岡本 玲、板橋駿谷、瑞木健太郎が出演する。4月下旬、稽古場の様子をオンラインで見学した。物語の舞台は、マンハッタンにある中間所得層向け高層マンションの広いロビー。警備担当のジェフ(中村 蒼)は、人生の目的もなくこの仕事に就いている。真面目で向上心のある上司ウィリアム(板橋駿谷)は、不良の弟が殺人罪に問われ、心配していた。見回りに来た有能な警察官ビル(瑞木健太郎)と、相棒の新人見習いのドーン(岡本玲)。どうも二人は仲がいいようだ。ロビーで待っているドーンに、ビルの訪問先は女性だと口を滑らせてしまうジェフ。動揺したドーンはビルにかみつくが、本採用されないぞと逆に圧をかけられてしまう。翌日、弟のアリバイを偽証したウィリアムに対して、自分が何をすべきか悩むジェフ。ドーンは本当のことを話すのがあなたの責任だと説明するがーー。非常に濃密な会話劇。この日の稽古は、まず冒頭のシーンであるウィリアムとジェフの2人だけのシーンを繰り返した。膨大なセリフはすでに俳優たちの頭に入っていて、今は細かいニュアンスあるいは全体の流れの調整をしている段階。桑原の演出は、基本的に俳優たちのプランを信頼していると思うが、気になったことは細かく指摘する印象を持った。たった4人の登場人物たちが織りなす芝居ゆえ、丁寧につくりあげているのだろう。登場人物たちそれぞれが悩んだり迷ったりしつつ発言し、その発言が思わぬ方向に人を動かしてしまったり、自分の正義や価値観が他人には通じなかったり......。マンションのロビーという空間で繰り広げられる人間模様が描かれているが、それは人種やジェンダー、階層などさまざまに絡み合う差別の実情と、それに抗い、葛藤する人々の姿でもある。自己承認欲求がSNSであふれ出す現代で、さまざまな角度から考えられ、また身近に感じる戯曲。どんな仕上がりになるのか、開幕を待とう。公演は5月22日(日)まで。取材・文:五月女菜穂
2022年05月06日井之脇海が主演を務める『エレファント・ソング』が、東京・PARCO劇場で5月4日に開幕。これに先駆け、報道陣向けのフォトコールと取材会が行われた。カナダの作家ニコラス・ビヨンが2002年に執筆し、翌03年〜10年にはカナダ・モントリオールを中心に世界各地で上演され、14年にはグザヴィエ・ドラン主演で映画化もされた本作。失踪した医師の謎を追う精神病院の院長グリーンバーグ(寺脇康文)を、入院患者の青年マイケル(井之脇)が翻弄する心理スリラーが繰り広げられる。フォトコールで披露されたのは、冒頭の約25分間。姿を消した医師が最後に診た患者として、マイケルがグリーンバーグから事情聴取を受ける二人の出会いが展開された。看護師ピーターソン(ほりすみこ)による「マイケルは普通と違う」「見くびらない方がよい」という忠告をいなしつつ、グリーンバーグはマイケルを待ち受ける。やがてピーターソンに伴われ、マイケルは“象”についての鼻歌まじりで登場した。井之脇は、寺脇グリーンバーグと目を合わせながらも虚空を見つめるような視線を漂わせるなどして“普通と違う”マイケル像を立ち上げる。失踪した医師とまるで関係のない象に関する知識を無邪気にまくし立てたかと思えば、ピーターソンの休暇周期に対して皮肉を言う一面も。次第にその色が濃くなり、質問をはぐらかしつつ「取引に応じれば失踪した医師の抱える事情を教える」と言ってグリーンバーグを翻弄し始める。マイケルの芝居を受ける寺脇も、はじめは「15分で終わる」としながらも次第にマイケルのペースに巻き込まれ、手を焼く焦燥感を覗かせた。「何かあったら呼んで」と言い残して出ていったピーターソンは、呼び戻された際にマイケルへ向かって「お行儀よく」と子どもを手懐けるように注意する。序盤ながらあらゆる伏線が散りばめられており、ひと言たりとも聞き逃せない緊張感が張り詰めた。取材会で、井之脇は「マイケルは愛を渇望する青年」と役どころを紹介しつつ、「マイケルの抱える『自分って何者だろう』という想いと、僕が追求する『お芝居って何?』という問いかけがリンクする瞬間がありました」と稽古を振り返る。寺脇はそんな井之脇を優しく見つめながら「感性が素晴らしく、気持ちでぶつかってくる芝居をしてくれる座長」「僕は還暦を迎えましたが、20代だった頃を思い出して芝居の原点に戻れた」と賛辞を送っていた。上演時間は約100分(休憩なし)。東京公演は5月22日(日)まで。その後、25日(水)に愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール、28日(土)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールと巡演する。チケット発売中。取材・文:岡山朋代
2022年05月06日ゴールデンウィ「丸の内ミュージックフェスメインコンサート」のチケット情報はこちらークに親子で音楽を楽しめる「丸の内ミュージックフェス」。初日の5月3日(火・祝)、東京国際フォーラムホールCには、中川英二郎(トロンボーン)×エリック・ミヤシロ(トランペット)×本田雅人(サクソフォン)というブラス界のトップ・プレーヤーによる最強トリオ「SUPER BRASS STARS(SBS)」が、今回のためにメンバーを加えた「SBS XXL EDITION」として登場する。中川英二郎に聞いた。「2年前、クラシックのアンサンブルのように、管楽器三人だけでやってみようと始めたのがSBSです。それを今回は、原点回帰というか、少し大きな編成のジャズのスタイルと融合させる。リズム隊を入れ、さらにラージアンサンブルのように、トランペット、トロンボーン、サックスを一人ずつ足して編成しました。XXL=ダブル・エクストラ・ラージ・サイズのSBSです」曲目は当日のお楽しみだが、客席を楽しませようと手ぐすねをひいている。「いろんなジャンルの音楽をやってみたいと考えています。ファンクやフュージョンに近い音楽になるので、思わず立ちあがって手拍子しながら聴きたくなるんじゃないかと思いますよ。今は声は出せませんが、楽しいと感じたら曲の途中でも拍手してくれていいんです。ジャズは“コール&レスポンス”のある世界。聴いている人と一緒に作っていくというのが醍醐味です。リラックスして、みなさんも拍手などで自由に表現してください」映像や照明も加わって、派手なステージになりそうだ。「わりとオーセンティックなジャズやクラシックの世界ですが、そういうものを取り入れていくのが僕は好きなんです。音と色と照明がきちっと合った瞬間に視覚からもすごく情報が入ってきて、面白くなると思います」部活などで楽器を吹く吹奏楽少年少女にもぜひ足を運んでほしいと話す。「吹奏楽の子たちは、自分たちでは演奏はするのに、コンサートを聴きに出かけることが少ない。未来のプレーヤーには、本物を目の前で聴く体験は大事です。僕もジャズ・トランペット奏者だった父の影響で4歳の頃からジャズ・クラブに入り浸っていました(笑)。ホールなら環境もいいし、東京国際フォーラムに足を運ぶだけでも、フェスの雰囲気を楽しめる時間になりますから、ぜひ!音楽以外の楽しみもいろいろあります。僕もしょっちゅうあそこで演奏しますけど、行ったら必ずシェイクシャックでバーガーを食べてます!」(宮本明)
2022年05月02日東京で18万人以上を動員した話題の展覧会『バンクシーって誰?展』が、4月23日(土)からグランフロント大阪にて開催され、多くの来場者で賑わっている。バンクシーはイギリスを拠点に、ニューヨーク、中東などで、街中の壁や橋などに風刺の効いた作品を描く正体不明のストリート・アーティスト。2018年、オークション会場で少女と赤い風船を描いた作品が高額落札された途端、シュレッダーで突如裁断されたことでも話題になったが、創作活動の全貌や動機など真相が分かるものは少なく、その存在はいまだに謎に包まれている。「バンクシーって誰?展」チケット情報今回の展覧会は、日本テレビの美術製作チームが映画やドラマのセットづくりの職人を集め、世界で描かれたバンクシーの代表作を周辺の街並みとともに実物大でリアルに再現。入場者は「なぜそこにその作品が描かれたのか」という作品の意図を含めて疑似体験できる。再現された14シーンのほか、アート作品として制作された個人所有の貴重な作品も53点展示されており、一部をのぞいてほぼすべての展示が撮影可能なのもこの展覧会の特徴だ。エントランスを過ぎると、今回の展覧会のメインビジュアルにも採用されている、パレスチナの紛争地帯のガソリンスタンドの壁に描かれた、火炎瓶の代わりに花束を投げる抗議者風の人物の作品が。高さ5mの作品は、写真では伝わらない実物大ならではの迫力と、作品が訴える強いメッセージ性を感じることができる。同様にほかの展示も作品部分だけでなく、作品周りの草花や環境、細かい風景まで含めて再現されているからこそ、その意図が分かる作品も多く、とても見応えのある内容となっている。より詳しく作品の背景などを知るには、展示室入口で同展アンバサダーの俳優・中村倫也さんの音声ガイド(600円)の解説を聞きながら回るのがおすすめ。また、出口前のグッズ売り場では「展覧会カタログ」(1650円)をはじめ、作品をモチーフにした小物や会場でしか買えない限定グッズも30種類以上揃う。また会場隣のカフェ「CAFE Lab.」では、開催期間中バンクシー作品にちなんだコラボメニューが楽しめるのもこの機会ならでは。まるで作品が描かれたその場にいるように、バンクシーが描くストリート・アートの世界に浸れる『バンクシーって誰?展』は、6月12日(日)まで開催。取材・文・撮影:滝野利喜雄
2022年05月02日北海道のオールナイト野外ロックフェス RISING SUN ROCK FESTIVALが、2019年以来、3年ぶりの開催にむけて第 1 弾の出演アーティストを発表した。第1弾出演アーティスト発表では、20組のRSRらしく幅の広いアーティストがラインアップされた。前回開催の2019年に出演予定だったものの、台風の影響で出演を果たせなかった「NUMBER GIRL」のリベンジ出演が決定!「Creepy Nuts」「クリープハイプ」「SUPER BEAVER」「BiSH」「マカロニえんぴつ」「緑黄色社会」などの他、「坂本慎太郎」「Vaundy」がRSRに初出演する。また「怒髪天」や「the pillows」など石狩ではお馴染みの常連アーティストに、唯一のRSR皆勤出演の中村達也が率いる「LOSALIOS」などの出演が決定した。広大な空の下で響き渡る音楽と共に、石狩の大地に昇る、新しい朝日を迎えに行こう。【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2022 in EZO オフィシャル HP】早期購入でお得な【オートキャンプ付通し入場券<まいど割>抽選受付】を受付中!!◎受付期間:4月29日(金・祝)12:00~5月15日(日)23:59
2022年05月02日ミュージカル『EDGES―エッジズ―2022』が2022年4月27日(水)に東京・有楽町よみうりホールにて開幕。本作は、トニー賞6部門に輝きグラミー賞・エミー賞など受賞多数、映画化もされたミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』や、『ラ・ラ・ランド』の作詞、『グレイテスト・ショーマン』の楽曲などを手がけ世界中から注目を集める作詞作曲デュオ、パセック&ポールが、学生時代に生み出した、彼らのデビュー作。“ソングサイクル・ミュージカル”と呼ばれる、1曲で 1つの物語として完結する楽曲がオムニバス形式に連なる、新しい形のミュージカル作品。元吉庸泰の演出のもと、次世代を担うクリエイター陣が集結。世界的ヒットメイカーの若書きを、ダンスパフォーマンスをふんだんに盛り込んだ、クリエイティビティ溢れるステージングで贈る。キャストには屋良朝幸、成河、草間リチャード敬太(Aぇ! group/関西ジャニーズ Jr.)、豊原江理佳、ダンドイ舞莉花、そして植木 豪と、ミュージカル&ダンスのスペシャリストが集結。さらには振付を屋良朝幸×植木 豪の強力タッグが手がける作品。1曲の中で物語が完結するミュージカルではあるが取材会でも植木はただのオムニバスにしたくないと話した通り、「なりたい自分になる」という1つのテーマのものとキャスト全員にスポットが当たる一瞬も見逃せない物語となっている。ゲネプロ後の取材会では、主演の屋良は初日を終えた感想を「これまで2回やってきているが初の6人でのパフォーマンス。個性的なメンバーが揃って新しいEDGESを皆様にみていただけるのが楽しみ」と述べた。今回振付を担当した屋良と植木は苦労したことはあるかと問われると、屋良はいっぱいありますと即答し会場は笑いに包まれた。「自分が作っているのはショーケースだが、それぞれに設定があり演じるものをどう見せていくかというのをみんなと話し合いながら作ったのでパフォーマンスとしてかなり見ごたえがあると思います」と意気込んだ。後輩にあたるリチャードの頑張りをみてどう思うかという質問には「めちゃくちゃいい素材をもっている。いい声を出すし、ダンスもうまい。これを期にミュージカルの世界に羽ばたいてほしい」と回答した。東京公演は5月5日まで。5月8、9日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールでも上演される。
2022年04月28日サン=テグジュペリの名作『星の王子さま』が音楽劇として2022年4月~5月に上演される。王子さま役に、舞台初主演となる河下楽(AmBitious/関西ジャニーズJr)が決定した。河下は「王子さま役に決まった時は、『僕でいいんですか?』と信じられない気持ちでした。でも選んでもらったからには絶対に結果を残そうという気持ちでいます」と意欲十分だ。すでに稽古はスタートしているが、「とにかく新しいことだらけなんです。僕は歌が得意だと言い続けてきたんですが、今回は『景色が見えるように歌いなさい』と言われるなど、技術面の課題がたくさんあります。芝居に関して、演出のKAZOOさんは『自由に自分が思ったとおりに動いていいよ』とおっしゃってくださるので、毎日新鮮でめちゃくちゃ楽しいです」と試行錯誤しながらも、新たな挑戦を楽しんでいる様子がうかがえた。役づくりについては「最初に台本を読んだ時、王子さまは飛行士を怖がっているのかなというイメージがありました。でも立ち稽古に入って『天真爛漫に演じたほうがいいんじゃない?』とアドバイスをいただき、それがしっくりきたので、今のところ無邪気な王子さまになるのかなと思っています」芝居で多くの絡みがある飛行士役の山本一慶の印象を尋ねると「一慶さんはほんまに優しいです。僕は人見知りなんですが、一慶さんから話しかけてくださったり、二人で発声の練習をしている時もアドバイスをしてくださったり、めちゃくちゃお世話になっています。飛行士と王子さまは絡みが多いので心強いですし、お芝居はもちろんのこと学ぶところばかりですから、参考にさせていただいています」とのこと。プライベートで王子さまっぽいところはあるかと質問すると「椅子に座っているときは、王子さま風に足を組んでいるので王子っぽいかなと思いますが、僕はどちらかというと王子さまのお付きの人のほうが身の丈に合っているかなと思っています」と答え、笑いを誘った。公演への意気込みを聞くと「一慶さんと一緒に歌うシーンがあるんです。今はついていくのに精いっぱいですが、本番までには対等に上手く歌えるように頑張ります。日々努力しているので、ステップアップした姿を皆さんにお見せしたいし『観に来てよかった』と思ってもらえる作品になるよう頑張ります!」と力強い答えが返ってきた。文:咲田真菜
2022年04月28日『鈴木敏夫とジブリ展』が4月23日、京都文化博物館にて開幕した。「鈴木敏夫とジブリ展」チケット情報『風の谷のナウシカ』(1984年公開)をきっかけに1985年に設立し、世界中から愛されるアニメーション作品を生み出し続けるスタジオジブリ。その多くの作品製作を高畑勲・宮崎駿両監督と手掛けてきたプロデューサー・鈴木敏夫にスポットを当てた同展に向け、4月22日にメディア向け内覧会を開催。見どころを鈴木本人が語ってくれた。6章から成る展示は、進んでいくごとに鈴木の人生を共に駆け抜けるような構成に。生まれ育った名古屋での子ども部屋を再現したスペース、当時愛読していた文庫本や漫画雑誌が並ぶ第1章に始まり、徳間書店在籍時に創刊した雑誌『アニメージュ』のエピソードや、初披露となるスタジオジブリ設立秘話なども見逃せない。これまでのジブリ映画の宣伝方法や思考力を綴ったコンセプトアートといった貴重な資料も数多く展示される。また、圧巻はラストを飾る第6章。彼の隠れ家“れんが屋”をイメージした空間は、ウィリアム・モリスの壁紙やアンティーク風のしつらえが、まるで物語の世界に飛び込んだよう。そこに、鈴木がこれまで触れてきた約8800冊もの本が一堂に会する。「今まで読んできた本を全部集めて、囲まれることが夢だったんです。実は、本の全リストを見るとベストセラーが1冊もないことに気付かされてね。プロデューサーとしてはいろんなものに触れなきゃいけないんだろうけど、自分の好きなものだけを読んできたんだなぁって、驚きました」と、鈴木はにこやかに語る。これまでの製作においては、観客に楽しんでもらうというシンプルなことだけに集中してきたとか。「『千と千尋の神隠し』(2001年)公開時の特報を、宮崎駿と試写したことがあって。彼は「面白そうだね」って言ったんですよ。自分で作ったのに(笑)。楽しむってこういうことですよね」と、クリエイティブにおける気取らない哲学ものぞかせてくれた。他にもジブリ作品に出てくる名台詞を鈴木の書で立体デザイン化したコーナーや、『となりのトトロ』のブース(平日限定で撮影可)も。さらに、『千と千尋~』の湯婆婆と銭婆による“開運・恋愛”おみくじを引くことができ、おみくじには鈴木書き下ろしのアドバイスが付いている。同展を通し、スタジオジブリを世に知らしめた名プロデューサー・鈴木敏夫のイマジネーションの源泉を垣間見られることだろう。開催は6月19日(日)まで。なお、ゴールデンウィークの土曜日限定でナイトミュージアムが開催!『となりのトトロ』ほか、平日限定のフォトスポットが撮影可能に。ナイトミュージアムのチケットは、音声ガイドと展覧会会場限定の小冊子『名古屋の鬼ばばあ』付き。取材・文:後藤愛
2022年04月28日ゴールデンウィークの4⽉27⽇(⽔)〜5⽉5⽇(⽊・祝)に東京・丸の内エリアで開催される「丸の内ミュージックフェス」は、子供から大人まで楽しめるクラシック⾳楽イベント。5月3日(火・祝)東京国際フォーラム・ホールCの「動物たちのカーニバル」に出演するピアニスト・作曲家の加藤昌則、そしてピアノの萩原麻未とヴァイオリンの成⽥達輝に聞いた。三人が神奈川フィルのアンサンブルとともに演奏するのは、サン=サーンスの《動物の謝肉祭》(室内楽版)。さまざまな動物をユーモラスに描いた親しみやすい作品は、チェロが独奏する美しい〈白鳥〉が特に有名だ。でも実は、自作も含めた他の楽曲のパロディや皮肉がたっぷり入っている。加藤「そういう冗談をお客さんにどう伝えるかも大事。つい真面目に聴いてしまいがちなのですが、すごくストレートにいろんなものをぶつけてくるので、ちょっとクスクスしながら、ひとつひとつのキャラクターを楽しんでもらえると思います」萩原「大人も子供も分け隔てなく楽しめる曲の代表みたいな作品です」成田「子供も純粋に楽しめるし、大人にも響く。サン=サーンスは天秤座なのでそのバランスがうまい(笑)」ファミリー向けの音楽祭。萩原と成田の二人も、生後10か月の愛娘のママとパパだ。わが子を音楽が好きな子に育てたいと願っている親は多いだろう。萩原「親が音楽を楽しんでいる様子を見ると興味を引かれると思うんです。一緒にこういう演奏会を楽しむことが、子供にも良い影響を与えると思います」成田「教育というよりもサポートをしてあげることが大切なんだと思っています。その子がその子らしく育っていけるように手助けしてあげたい」加藤「子供と大人の境界線はどこにあるのかと考えるといつも、僕の精神年齢は中2で止まっていることに気づきます(笑)。大して差はない。それに、普遍性のある面白いものというのは、子供も大人も、それぞれの目線で楽しい。あんまり子供向けということを意識しなくていいのではないでしょうか。GWを、音楽を聴いて家族一緒に過ごすのは、とても豊かな選択。一緒に楽しめる遊び場になればいいですね」成田「クラシックは、演奏者がみんな同じ方向を向いてつまらない顔で弾いているみたいなイメージを覆したいですね。ステージに工夫を凝らしたいなと思っています」加藤「うん。演奏しているわれわれも楽しめるようにやりたいよね」(宮本明)
2022年04月28日