チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (38/342)
大阪・堺出身のTHE→CHINA WIFE MOTORS(以下、CHINA)とGOOD4NOTHING(以下、GOOD4)が「地元に恩返しをしたい!」という強い想いで2013年にスタートした大型音楽フェス『SAKAI MEETING』。今年は5月21日(土)の堺FANDANGOを皮切りに、6都市でのライブハウスツアー『SAKAI MEETING TOUR 2022』の開催が決定した。「SAKAI MEETING TOUR 2022」チケット情報「野外ライブハウス」というコンセプトのもと開催し続けてきた「SAKAI MEETING」だが、2020年はコロナ禍により開催中止に。2021年は「イベントを楽しみに待つ人たちに少しでも元気を届けることができれば」という想いから、ライブハウスツアーを敢行した彼ら。そして昨年に続き、今回も全国ツアーを開催する。堺FANDANGOでは、CHINAとGOOD4の主催2組が出演、他5都市ではゲストを迎えてアツいパフォーマンスを繰り広げる。チケット一般発売に先駆け、3月23日(水)23:59までオフィシャルHP先行を受付。
2022年03月16日梅棒 14th WONDER『おどんろ』が2022年4月8日(金)から東京・サンシャイン劇場での公演を皮切りに、全国5箇所で上演される。当初、2021年7〜8月の上演が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全公演中止となってしまった本作。一部キャストを変更してのリベンジ上演となる。開幕を前に、出演する小越勇輝、大西桃香(AKB48)、梅澤裕介(梅棒)が合同取材会に参加し、公演に向けての思いを語った。物語の舞台は、トーキョー都タイトー区。人間の生活はNEO妖怪たちのイタズラによって脅かされていた。うだつの上がらないサラリーマン・萬代(ばんだい)はひょんなことから妖怪たちと接触するようになり、生活が一変。不思議な事件に翻弄されるタイトー警察署不思議犯罪課と、よからぬことを企むブラック企業・天堂製薬も巻き込んでーー。人間とNEO妖怪たちの不思議でハートウォーミングな物語となっている。21年夏の公演でもキャスティングされていた小越は「前回は悔しくも一つの公演もできずに中止になってしまったが、こうしてリベンジできるのはすごく嬉しいです。また梅棒というチームに加わって、一からこの作品を作り上げることができる。ワクワクでいっぱいです」と話す。梅澤も「梅棒は記録をいつも残さないので、舞台でしか見ることができない団体。今回、早いタイミングで上演できなかった作品ができるのは嬉しいです。(前回は予定されていなかった)地方のみなさまにも作品をお届けしたい」と意気込む。一方、今回が初参加となる大西。AKB48の活動を通じて、梅棒のことは知っていたといい「めちゃくちゃ踊るすごい方々。私はダンスが苦手な部類なので、梅棒さんの舞台に出られるなんて」と驚いていたが、本番に向け、ストレッチや筋トレをしたり、“特訓”を重ねているという。観客へのメッセージを求めると、梅澤は「いつもの梅棒らしく、ドタバタあり、面白いところがありつつ、大人っぽい情緒的な雰囲気にあふれている素敵な舞台になっているので、楽しみに観に来ていただければ」。大西は「あらすじを読ませていただいたときに、泣いてしまって。期待値爆上げで楽しみにしていただけたら」と話し、小越は「みなさまの記憶の中に残る作品になれば嬉しい」。東京公演は4月17日(日)まで。三重公演は4月19日(火)、四日市市文化会館第2ホール。大阪公演は4月22日(金)〜24日(日)、COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール。高知公演は4月27日(水)、県立県民文化ホール。愛知公演は5月7日(土)〜8日(日)、ウインクあいち。取材・文:五月女菜穂
2022年03月15日音楽×ファッション×食を一挙に楽しめる新たな野外フェスティバル『Grooving jam』が、3月26日(土)・27日(日)の2日間、大阪城音楽堂で初開催される。出演アーティスト最終追加発表として、2日目にAwichが出演することが決定した。「Grooving jam」 チケット情報本公演では、タイトル“Grooving jam”の如く、ついつい身体を揺らしたくなるような音楽を生で感じ、自然に囲まれた開放的な空間で、グルメやファッションも楽しめる一体型のイベントとなっている。今後の出店情報などの最新情報は、オフィシャルInstagramにて随時告知予定とのこと。是非チェックを。
2022年03月15日三島由紀夫がその死の約2年前に、ヒトラーによるナチス党内の粛清事件を題材に執筆した戯曲「わが友ヒットラー」が演劇ユニット「CEDAR」(演出:松森望宏)によって上演される。初日に向け稽古が進む中で谷佳樹、君沢ユウキ、桧山征翔、森田順平が本作への思いを語った。本作のオファーを「とんでもないものが我が身に降り注いできた感覚」と語る谷。膨大なセリフを通じ、ヒットラーの葛藤や権力者としての欺瞞を体現するという難役を任されたが、稽古が始まって「ひとりで考えても意味がないって気づきました。みんなで挑んでいるという感覚が強いですし、いまは玩具を手にした子どものような気持ちでワクワクしています」と語り「演劇の面白さが直球で届く、『すごいものを観た』と肌で感じてもらえる作品になると思う」と自信を口にする。ヒトラーによる粛清の対象となる突撃隊幕僚長レームとナチス党内左派のシュトラッサーを演じる君沢と桧山。彼らが第二幕で繰り広げる1対1での激論は本作の大きな見どころ。君沢は「相手の目を見てセッションの中で生まれるものを感じています。ヒットラーへの友情が日に日に強くなっているし、それが強ければ強いほどヒットラーの決断の大きな負荷になり、この作品の醍醐味になるんじゃないかと思います。守るものがある者同士のすれ違いを届けたいです」と言葉に力を込める。桧山は第二幕でのレームとの対決を「怒涛の40分」と呼ぶ。「シュトラッサーは頭の回転が速く、言葉も巧みな男ですが、そこが一番難しいところでもある。他人を説得するには必死さだけでもダメだし、上から言えば心が離れていくけど、下手に出過ぎてもうまくいかない。あの手この手でレームの気持ちを惹きつけ続けるのがこんなに難しいのか! と感じながらやっています」と苦笑を浮かべつつ、セッションを楽しみにしている様子。森田は三島が割腹自殺を遂げた三島事件当時は高校生。「担任が突然『三島が死んだ』と言って授業が中止になったのを覚えています」とふり返る。大学時代にこの戯曲と出会い「クルップを演じたいと思った」と明かす。「なぜクルップなのか? 当時はクルップがこの3人を動かしている役だと思ったからなんですが、いま稽古をする中で常に新たな発見があって『もしかするとクルップも動かされているんじゃないか?』という思いに行き着いています。日々、全く違うものが見えてきて、まだ先があることにワクワクしています」と笑みを浮かべる。男たちがただひたすら言葉をぶつけ合う。その極上のやりとりを堪能してほしい。
2022年03月15日the chef cooks meの1年ぶりとなるライブが、6月に東京と大阪で決定した。the chef cooks me チケット情報6月18日(土)の大阪公演は、the chef cooks meが主催のイベント「ARROW of Time」の記念すべき第一回公演「ARROW of Time #1」。大阪・梅田Shangri-Laにて、神戸出身の3人組「Episode」をゲストに迎えてのツーマンライブとなる。6月21日(火)の東京公演は、2003年にthe chef cooks meとして初ライブを行い、過去に下村亮介がスタッフとして働いていたゆかりの深い下北沢ERAの20周年イベントへの出演。こちらも都内を中心に活動中の若手5人組バンド「アロワナレコード」とのツーマンライブだ。the chef cooks meとして、2021年5月の野外フェス「森、道、市場」以来、実に1年ぶりのライブ、ぜひ期待して欲しい。2023年には結成20年周年を迎えるthe chef cooks me。周年に向けての今後の活動に注目だ。大阪公演のチケットは、3月21日(月・祝) 23:59までオフィシャル先行(抽選)を受付中。
2022年03月14日初夏の大阪城音楽堂にて、ロックイベント『サウンドクリエーター プレゼンツ “ツキアイタイ”2022』が開催される。「サウンドクリエーター プレゼンツ “ツキアイタイ”2022」 チケット情報アーティストとお客さんとお付き合いしているくらい熱く燃えたい。バンド同士、バチバチ突き合ってほしい。RCサクセションの中で「つ・き・あ・い・た・い」が一番好き。関西イベンター、サウンドクリエーターが、アーティストと観客に対して、姿勢をビッと示すような覚悟の1日を作る。出演アーティストは、SIX LOUNGE、TETORA、CRYAMY、ENTH、TENDOUJI、ROTTENGRAFFTY、G-FREAK FACTORY、プッシュプルポット、ザ・モアイズユー。公演は、4月30日(土)大阪城音楽堂にて開催。チケット発売中。
2022年03月14日mint Music初のミュージカル公演『HIGH FLY YELL!!』が、4月22日(金)から24日(日)まで大阪・近鉄アート館にて上演される。「HIGH FLY YELL!!」 チケット情報城恵理子演じる、私立清涼学院高校に赴任してきた新人教師・真壁ちひろ。かつて歌とダンスで彩られたステージで全国大会優勝を果たしたレジェンド演劇部の顧問に就任する。テンションMAXでのぞむちひろだが、学校の方針転換から部活動が大幅縮小、部員達は夢を失い心は冷え切っていた。友情、愛情、大人の事情。そして反発するライバル教師達。「立ち上がりなさい!あなた達には輝くステージが待ってるんだから!」廃部寸前となった演劇部を立て直すために、ちひろの闘いが始まる――。元NMB48、元宝塚歌劇団、元OSK日本歌劇団、漫才師、役者、様々な分野のキャストが出演するミュージカル公演をお楽しみに!チケットは、3月21日(月・祝)23:59までオフィシャル先行(抽選)を受付中。
2022年03月14日5月5日(木・祝)・7日(土)・8日(日)に大阪・泉大津フェニックスで行われる『OTODAMA’22~音泉魂~“BACK TO THE OFURO”』に11組が追加となり、全出演者が発表された。「OTODAMA’22~音泉魂~」 チケット情報新たに追加されたのは、5日(木・祝)にiri、Cocco。7日(土)にHump Back、04 Limited Sazabys。8日(日)にTHE BACK HORN、マカロニえんぴつ、Lucky Kilimanjaro。終演後に<Closer>としてclimbgrow(初日)、Hakubi(2日目)、a flood of circle(最終日)、2日目のみ開場中にヤユヨが<風呂ントアクト>として出演する。すでに発表されていた、AJICO、clammbon、くるり、GRAPEVINE、The Birthday、TESTSET(砂原良徳×LEO今井×白根賢一×永井聖一)、NUMBER GIRL、ハナレグミ、羊文学、フジファブリック、LITTLE CREATURESは初日。UA、打首獄門同好会、OKAMOTO’S、キュウソネコカミ、クリープハイプ、サンボマスター、TAIKING(Suchmos)、人間椅子、フラワーカンパニーズ、フレデリック、My Hair is Badは2日目。岡崎体育、THE KEBABS、SHISHAMO、四星球、バックドロップシンデレラ、ピーズ、マキシマム ザ ホルモン、ヤバイTシャツ屋さん、ユニコーン、夜の本気ダンスは最終日にそれぞれ出演する。入浴順(出演順)とバス券や駐車券などの詳細は追ってアナウンスされる。また、今年のイベントロゴは、最終日に出演するユニコーンの川西幸一が書き下ろした。チケットは3月26日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、3月16日(水)11:00から21日(月・祝)23:59までセブン-イレブンWEB抽選先行の受付を実施。
2022年03月12日オールナイトニッポンの放送開始55周年を記念して、ニッポン放送の館内を舞台に俳優陣が演技を繰り広げ、その模様を生で配信する舞台「あの夜を覚えてる」が3月20日(日)、3月27日(日)に上演される。本作に登場する新人AD・相原萌花役をオーディションで勝ちとったのは工藤遥。自身もラジオパーソナリティの経験を持つ工藤に本作のみどころ、そしてラジオという媒体が愛され続ける秘密について話を聞いた。本作の企画について、一般の人々と同様に「ネットのニュースで知った」という工藤。まさか、自分が出演することになるとも思わないまま「佐久間(宣行/総合演出)さんと劇団ノーミーツさんが組んで、千葉雄大さん、高橋ひかるちゃんが主演と聞いて、すごい布陣で面白そうな企画だなぁ…とうらやましかった」とふり返る。オーディションの場では、以前、共演した経験がある入江甚儀と久々の再会を果たし、同じチームでオーディションを受けたが、無事にそろって合格となり「顔合わせの日は、『やったね!』ってグータッチしました」と笑う。「オールナイトニッポン」の放送現場で奮闘する人々のドラマを描き出す本作だが「私もパーソナリティをやらせてもらうことがあるからこそ『あるある!』とか『こういうミキサーさん、いるいる!』というリアルな描写が多いです」と語る。工藤が演じるのは、第2部より登場する新人ADの相原。「一度、通し稽古をやった時、プロデューサーの石井(玄)さんから『いるいる、そういうAD』と言っていただけて、ちょっと自信になりました(笑)。生意気なイマドキな若者な感じで、本人は自信満々で『私、革命児なんで』くらいの勢いで入ってきたけど、意外と仕事ができないという…(苦笑)。ラジオに限らず、どこの世界にもいるんじゃないかなと思います」と楽しそうに語る。ラジオという媒体は「その人の本質を聞くことができると思う。話す側も、不特定多数に向けてというより、1対1で誰かに話しかけているような感覚を持っている人が多いし、聴く側もそうやって受け取ってくれるので、ついついいろんな思いをこぼしちゃうし、すごく居心地がいい場所なんです」とパーソナリティと聴き手が、互いを尊重し合い、ある種の“共犯関係”を築ける場所だとその魅力を語る。今回の配信舞台もラジオの楽しさがつまった作品になると自信をのぞかせる。「ラジオの現場をのぞき見するような感覚で楽しんでもらえたらと思います!」
2022年03月11日アメリカ・ニューヨークにあるメトロポリタン美術館所蔵の絵画を紹介する『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』が国立新美術館(東京都港区)で開催中だ。1870年に創立されたメトロポリタン美術館は、先史時代から現代まで5000年以上にわたる世界各地の文化遺産を包括的に所蔵している。今回は、同館を構成する17部門のうち、ヨーロッパ絵画部門に属する2500点あまりの所蔵品から、珠玉の絵画65点を展示。うち46点は日本初公開作品となる。展示は3章構成。まず「信仰とルネサンス」では、イタリアと北方のルネサンスを代表する画家たちの名画17点を紹介。初期ルネサンスのイタリアを代表する画家フラ・アンジェリコ(本名 グイド・ディ・ピエトロ)の《キリストの磔刑》(1420-23年頃)、ルネサンスの巨匠であるラファエロが20〜21歳の時に描いた《ゲッセマネの祈り》(1504年頃)、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《ヴィーナスとアドニス》(1550年代)などが日本初公開となる。続いては「絶対主義と啓蒙主義の時代」と題し、君主が主権を掌握する絶対主義体制がヨーロッパ各国で強化された17世紀から、啓蒙思想が隆盛した18世紀にかけての美術を、各国の巨匠たちの名画30点により紹介。20世紀に再評価された画家であるジョルジュ・ド・ラ・トゥール《女占い師》(おそらく1630年代)、17世紀オランダの画家フェルメールによる異例の寓意画《信仰の寓意》(1670-1672年頃)、生命や現世の富・名声のはかなさの寓意を伝える「ヴァニタス(虚栄)」静物画の典型である、ピーテル・クラース《髑髏と羽根ペンのある静物》(1628年)などが見どころとなっている。最後は「革命と人々のための芸術」。市民社会の発展を背景に、絵画に数々の革新をもたらした19世紀の画家たちの名画18点が並ぶ。オーギュスト・ルノワール《ヒナギクを持つ少女》(1889年)、エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》(1890年頃)、フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲く果樹園》(1888年)、ポール・セザンヌ《リンゴと洋ナシのある静物》(1891-92年頃)、クロード・モネ《睡蓮》(1916-19年)といった名画を見ることができる。会期は5月30日(月)まで。開館時間は10:00-18:00(毎週金・土曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)。休館日は火曜日。ただし、5月3日(火・祝)は開館。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年03月11日壊れかけのロボットと、無気力に生きる主人公の再生の旅を描いた劇団四季のオリジナルミュージカル『ロボット・イン・ザ・ガーデン』が、4月16日(土)まで京都劇場で上演中だ。劇団四季「ロボット・イン・ザ・ガーデン」チケット情報本作は劇団四季が16年ぶりに手掛けた一般向けオリジナルミュージカルで、2020年に東京で開幕。雑誌「ミュージカル」の「2020年ミュージカル・ベストテン」で作品部門第1位に選出されるなど、注目を集める1作だ。原作は2015年に出版されたイギリスの同名小説。世界各国でロングセラーを記録し、日本では今年、映画版『TANG タング』も公開予定だ。舞台は、アンドロイドと人間が共生する近未来。どこか哀愁をまとう小さな四角い旧式ロボットが、ある家の庭へとたどり着く。家の中では、弁護士の妻エイミーが慌ただしく出勤準備をする一方で、張り合いなく過ごす夫ベンの姿。両親を事故で亡くして以来、獣医になる夢も諦めて無気力に日々を過ごしている。庭のロボットを見つけ、興味を持つベンだが、エイミーには「粗大ごみ」にしか見えない。前を向いて歩きたいエイミーと、いつまでも前を向けないベン。ふたりの生活も気持ちも、距離は広がるばかりだ。「タング」だと名乗るロボットは、人間の指示通りに動く“賢い”アンドロイドとは対照的。自由気ままに動き回り、時にはわがままを言ってベンを困らせるが、ベンはいつ停止するかもしれないタングを修理しようと、少しの手がかりを頼りにアメリカ、日本、そしてパラオと、国を超えた旅に出る。ふたりで修理の旅をしていく中で、さまざまな言葉や知識を吸収していくタング。タングを動かし、タングとして声を放ち、感情を表現しているのはふたりの俳優だ。操る姿は観客から見えている状態だが、観ているとその存在を忘れてしまうほど、タングの愛らしさに惹きこまれていく。ベンとタングの旅は紆余曲折しながら進み、後半、思いもよらぬ展開を迎える。タングに隠された秘密が次第に明かされていくのもスリリングで面白い。狭い世界にとどまり前を向けなかったベンが、タングとの出会いをきっかけに外に飛び出し、タングを守ろうと懸命に駆け回る。さまざまな人たちと出会うことで、知らず知らずのうちにベンの心はほどけ、見失っていた大切な人への思いに気付く。閉じこもってばかりでは見つからなかった心の鍵。人との関わりや、相手を思いやることの大切さ。ベンが気付かされたように、心にじわりと届くものがあるはずだ。京都公演は4月16日(土)まで、京都劇場にて上演中。チケット発売中。取材・文:黒石悦子
2022年03月10日昨年のコロナ渦で、結成20周年のお祝い&お祭りが出来なかったORANGE RANGEが一念発起! 長崎・稲佐山にて「ORANGE RANGE大感謝祭Live at 稲佐山~あなたのお代が伝説になる」と題したイベントを開催することが決定した。野外ライブのコロナ感染対策の検証実験イベントとして、今後のエンタメ界の再始動のきっかけとなる意味をもつ、そんな斬新なライブとなりそうだ。今回のライブは、帰る時にお客さんが値段を決めていただく 投げ銭システムを採用。年齢制限なし、誰でも参加可能、そして、ライブ中の撮影OK&ヒット曲中心という盛り上がり必至のステージ。地元・長崎からも吹奏楽、合唱部、ダンサーらが出演、街ぐるみで一緒に盛り上がる…そんな熱い1日となりそうだ。この野外イベントを全国から応援してもらいたいという思いもこめて、楽しいリターンが入っているクラウドファンディングを実施。その他、新しいファンとのコミュニケーションの取り組みとして、NFTやSUZURIを使ったサービスも実施される。公演は、4月2日(土)長崎・稲佐山公演野外ステージにて。詳細は
2022年03月10日新国立劇場で2017年に上演された、小野寺修二カンパニーデラシネラ『ふしぎの国のアリス』が再演される。構成・演出を手がけ、自らも出演する小野寺は、マイムをベースとした身体表現で独特の世界を打ち出し、数々の作品を発表しているアーティスト。再演の舞台を前に、オンラインで話を聞いた。「不条理を形にしたような作品。大好きでした」と、原作、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』について語る小野寺。言葉を介さずに物語や情感を伝える独自の表現を追求しながら、「当時は言葉を使うことに興味があって、キャロルのテキストを子供たちに聴かせたいと、作中にはかなり言葉を入れました。難しくてよくわからない言葉も、子供たちが受け取ってくれたことが新鮮で、“意味合いだけではない何か”ってあるんだなと感じたものです」と、5年前の初演を振り返る。そこここに驚きや笑いが散りばめられた彼ならではの『アリス』は、幅広い世代の観客を魅了。客席には、この物語に初めて触れるという観客も多くいただろう。「ウサギの穴に落ちて、大きくなったり小さくなったりと、『アリス』の世界はいろんなところに飛んでいきますが、それが世界としてちゃんと成り立つための、言い方、ものの動かし方、皆の配置や歩き方などを丁寧にやることで、お客さんは意外にすんなりと入ってきてくれます。視覚的な面白さのある物語ですから、今回はそこをもっとお伝えしたくて、ほぼ喋らないようにしようと考えているんです」本来、この再演は2020年に実現するはずだったが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりリハーサル半ばで中止に。「もう1回やれるなんて思ってもみなかった!」と、喜びを隠せない様子だ。「アリスはどんなことにも臆さず、自分からどんどん向かっていくところが魅力的。今僕たちはまさに不条理の中で生きているけれど、もっと楽しくとか、より能動的に何かを受け取るということを彼女から学ぶべきではないか。この作品はまさに今、やるべきことだと感じていて、何かしらお伝えできるよう頑張りたい。心からそう思います」昔読んだ原作はうろ覚え、ワクワク感も忘れがちという大人も、きっと夢中にさせる舞台になる。小野寺も「自分の中で忘れかけていたものを思い出す時間になってくれれば」と、穏やかな笑顔を見せた。公演は3月18日(金)〜21日(月・祝)、新国立劇場小劇場にて。チケットは発売中。文・加藤智子
2022年03月09日舞台版『千と千尋の神隠し』が帝国劇場で上演中だ。原作は、言わずと知れた宮崎駿監督によるアニメーション映画の最高傑作で、『レ・ミゼラブル』の世界初演の潤色・演出を担うなどしてきたジョン・ケアードが翻案と演出を手掛け、今回が世界初演となる。開幕直後の3月3日(木)、千尋役の橋本環奈、上白石萌音、湯婆婆/銭婆役の夏木マリ、朴路美(いずれもWキャスト)らが開幕にあたっての思いを語った。会見時、一足先に初日を迎えた橋本は「無事に幕をあげることができたので、最後まで必死に千尋として生きていって、走り抜けたい。これからどんどん全体を通して成長できたらいいなと思っております」と話し、一方、まだ初日を迎えていなかった上白石は「このご時世に予定されていた日に初日が迎えられること、本当に嬉しくありがたく思っています。こんな時期に劇場に足を運んでくださる方々の気持ちに応えられるよう、日々楽しく丁寧にやっていきたいです」などと話していた。夏木は「幕は開きましたけど、ジョン・ケアードは決して諦めないので、日々ブラッシュアップして、毎日毎日いいものになっていくと思います。お客様も皆様いろいろご配慮くださっているようで、本当に感謝しかない。初日を迎えられることが信じられないような気持ちですが、頑張っていきます」と意気込み、朴も「改めて感じているのは、コロナ禍でのものづくりの大変さ。みんなで努力をしてきて、今この場に立っています。スタッフ、キャスト一同、熱いハートをもって、ものづくりに本当に真摯な人たちに囲まれた幸せな現場。心を一つにして、湯屋一同心を揃えて、みなさんをお迎えできるように日々頑張っていきたいです」。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが本舞台を観劇したといい、「お世辞なしに本当に面白かったです!とにかくジョンの演出とキャストのみなさんが素晴らしくて、原作へのリスペクトが感じられて嬉しかったです。印象的なシーンを言い出したらきりがありませんが、キャストが大勢出てくるシーンはどのシーンも気持ちが高揚しました。映画の公開から20年が経っていることを考えると、キャストの方々の中には、当時まだ生まれたばかりだった方もいて、幼い頃に映画『千と千尋の神隠し』をご覧になっている方もいる。その経験が舞台の迫力につながっているような気がして、感慨深いです」などとコメントを寄せた。それに対して、橋本は「これだけお褒めの言葉をいただけるのは、本当に嬉しい」と語り、上白石は「映画を何度見たか分かりませんし、フィルムコミックや絵にずっと励まされ、お手本にしながら、稽古を進めてきました。作品の素晴らしさに支えられて、助けられることもあれば、やっぱりその素晴らしさを壁に感じることもあって。鈴木さんにそういっていただけて、ホッとしています」と涙ぐんだ。東京公演は3月29日まで。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年03月08日三島由紀夫作『薔薇と海賊』が2022年3月4日(金)東京芸術劇場シアターウエストにて開幕した。美しい言葉の応酬と台詞量に、気づけば夢のような世界へと引き込まれているあっという間の3時間だ(休憩2回含)。童話作家・楓阿里子(霧矢大夢)は、娘の千恵子(田村芽実)に自分の童話の登場人物であるニッケル姫の扮装をさせて暮らしていた。ある日、楓家に、自分をその童話の登場人物であるユーカリ少年だと思い込む青年・帝一(多和田任益)が、後見人の額間(大石継太)に連れられてやってくる。白いドレスのニッケル姫/千恵子に会い、帝一は大興奮し、「このお家に住みたいな」と言い出す。はじめはたしなめていた阿里子も、帝一とのめくるめく童話の世界についての会話がはずみ、ふたりは急速に心を通わせていく。霧矢は、純潔を重んじる阿里子の凛とした佇まいで存在感を放つ。対する多和田は、自分を勇気あるユーカリ少年だと信じる無邪気さをまっすぐに演じる。帝一の上下白のスーツは純真さの表れだろうか。三島由紀夫の美しいせりふが、ふたりの童話をめぐる会話の端々から零れ落ち、舞台を彩っていく。しかし楓家にはほかに、朝帰りばかりの夫(須賀貴匡)とその弟(鈴木裕樹)が暮らしており、帝一の登場によってふたりの阿里子への思いも揺らいでいく。この兄弟と、千恵子、額間、手伝いの勘次(飯田邦博)と定代(羽子田洋子)、楓家に出入りするセリ子(篠原初実)とチリ子(松平春香)などが、それぞれの人生観を吐露しながらドタバタと物語を動かしていく。その様子は滑稽で喜劇的だ。客席からは何度も笑い声が起こる。初演は1958年に文学座にて。三島由紀夫の書いた言葉は時代を感じさせるが、童話そのものみたいに彩り豊かだ。そのせりふを誠実に届けようとする俳優達により、言葉の宝石が舞台に散りばめられる。舞台は白い半透明のカーテンで囲まれ、阿里子の純潔の向こう側が見え隠れするようでもある。洗練された衣装、鮮やかで上品な照明、おとぎ話の世界から聞こえてきそうな音楽、目に焼き付く映像……ファンタジックな世界観と、各登場人物の生々しさを両立させる大河内直子の演出が、童話のような独特の世界に観客を誘う。三島自身が中心となり結成した劇団浪曼劇場が1970年に上演した際には、三島自身が客席で涙を流しながら観ていたそうだ。そして全公演が終了した2日後に命を絶った。死の直前にあえてこの喜劇を上演した三島。彼が望んだ「夢の世界」を阿里子と帝一が背負っているのかもしれないとも思える、胸に刺さる幕切れが印象的だった。上演は3月13日(日)まで。チケットぴあにて、各公演3日まで指定席前売券、各公演3時間前まで当日引換券を販売中。3/10(木)はライブ配信もあり、視聴チケット販売中。その後、大阪公演あり。【取材・文】河野桃子
2022年03月08日フランスを代表する世界的なシャンソン歌手エディット・ピアフ。彼女の人生を、その名曲の数々と共に描く『ピアフ』は、2011年に栗山民也演出のもと、大竹しのぶが初めて演じて以来、「ピアフが大竹しのぶに舞い降りた!」と多くの称賛を受け、上演を重ねてきた。2016年には第67回紅白歌合戦で「愛の讃歌」を熱唱。2018年にはピアフ楽曲をCD化した『SHINOBU avec PIAF』をリリースするなど、公演ごとに自身が演じる“ピアフ”像を深化させている大竹しのぶに、本舞台の魅力と、5度目となる再演への思いを聴いた。エディット・ピアフとの出会いは、20歳のとき中村勘三郎(当時・勘九郎)が貸してくれた1冊の本『わが愛の讃歌─エディット・ピアフ自伝─』。それから美輪明宏の『愛の讃歌〜エディット・ピアフ物語〜』や、ロンドンで本作のオリジナル舞台『ピアフ』を観て、“すごい人”だとは思っていたが「まさか自分が演じることになるとは思ってもいなかった」と振り返る。貧民街で生まれ、路上で歌っていた10代から、歌手として認められ、情熱的な恋に身を焦がした若き日。そんな“バラ色”の日々もつかの間、最愛の恋人の死、2度の交通事故、モルヒネ中毒…と、さまざまな悲劇に見舞われた壮絶な人生が、舞台では短い場面の連続で一気に描かれていく。「ピアフのジェットコースターのような人生を、目の前でお見せできるのが舞台の醍醐味。彼女の恋や絶望を、生の肌感覚で一緒に感じとっていただけると嬉しいです。どんなことがあろうと、人を愛することと、愛を与えることを忘れず前に進んでいったピアフは、まるで愛の塊のような存在。舞台を通して、そのエネルギーを皆さんと共有できればいいなと思っています」。大竹は劇中で『愛の讃歌』『バラ色の人生』『水に流して』など多数のナンバーを披露。「物語にそって流れていく楽曲が、この舞台の大きな要素。歌にはお芝居とはまた違う力があると思います。だからこそ、みなさんの心に届くよう、きちんと歌わなければという使命感は強いですね」と意気込む。「初演よりも再演、再演よりも再々演と、やればやるほどハードルは高くなっていくので、5度目となるともう本当に…頑張るしかないです」と笑顔で締めくくった大竹。ピアフとして生き、ピアフとして歌う大竹の“魂の舞台”に期待が高まる。公演は、3月18日(金)まで東京・シアタークリエ、3月25日(金)~28日(月)大阪・森ノ宮ピロティホール、4月1日(金)~10(日)福岡・博多座にて。博多座での上演は今回が初となる。チケットは発売中。
2022年03月08日昨年8月に宝塚歌劇団を退団した元月組トップスターの珠城りょうが、1stコンサート『CUORE(クオーレ)』を開催する。「在団中含め、初めてのコンサートです。コンセプトは“新しい世界に飛び出す”。新しい球城りょうをお見せしたい」と意気込む珠城に話を訊いた。早くから注目を集め、近年では珍しい入団9年目という速さでトップ就任した珠城。人柄がにじむ温もりある舞台姿、ダイナミックなパフォーマンスに人気が高く、記憶に残る舞台を数々送り出してきた。「私はすべての表現は心がベースだと思い、心を一番大事にしてきました。その気持ちが伝わったらと思い、タイトルをイタリア語で心を意味するCUOREにしました」と、タイトルに込めた思いを明かす。内容も、珠城のやりたいことが詰まっている。「構成・演出・振付は私の希望で川崎悦子先生にお願いしました。宝塚でも振付なさっていますが在団中にご一緒できなかったのと、私は(川崎が多く振付として関わっている)劇団☆新感線がとても好きなのもあり、先生にお願いできたらと。選曲なども先生とご相談している最中ですが……在団中にOfficial髭男dismさんの『Amazing』のカバーをリリースしたのですが、それを初めて生パフォーマンスします! 宝塚の楽曲も何曲か歌います。それも自分が演じたものではなく、ファンの皆さんが「珠城さんでこの役が見てみたかった」と言ってくださっていたものの中からチョイスしようと思っています」と構成の一端を明かしてくれた。昨年退団したばかりの元雪組スター彩凪翔、元星組スターの愛月ひかるがスペシャルゲストとして出演するのも話題。一見、接点はなさそうに見えるが……?「意外と組が違っても生徒同士の交流はあるんですよ。愛月さんは一期上なのでお話する機会も多く、男役について、お芝居について熱く語ったことも。彩凪さんも、気付いたらよくお話しするようになっていました。意識し刺激も受ける関係です。お二方ともプライドを持って舞台に立つ姿がカッコよく、いつか一緒に芝居ができたらいいねというお話はしょっちゅうしていました。でもなかなか共演は難しく、最後はコロナ禍で『タカラヅカスペシャル』(年に一度、組を超えスターが一堂に会するイベント)もないまま卒業してしまったので、今回同じステージに立てたらいいなとご相談させていただきました」とのこと。夢の共演に期待が高まる。「在団中は毎日生きていくことに必死だった。今はのんびり生活しています」と穏やかに笑うその姿からは“新しい自分”を楽しんでいることが伝わってくる。今まで見たことのない珠城に出会えるに違いない。公演は4月30日(土)から5月3日(火・祝)に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、5月13日(金)から15日(日)に東京国際フォーラム ホールCにて。取材・文:平野祥恵
2022年03月08日宝塚歌劇団花組で男役スターとして活躍し、昨年7月に退団した瀬戸かずや。18年過ごした宝塚から新しい世界へ一歩踏み出した瀬戸によるファーストコンサート『The ALSTROEMERIA-アルストロメリア-』が2022年4月29日(祝・金)から東京・サンシャイン劇場、5月6日(金)から大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで開催される。コンサートの開催にあたり、瀬戸は「宝塚の男役としてこれまで歩んできたものがありつつ、卒業をして、これから自分がどんな風に変化していくのか、ちょうど境目のときだと思っています。今しかできない表現を探りながら、あらゆる面をお見せできたら」と心境を語る。タイトルにある「アルストロメリア」とは花の名前で、「未来への憧れ」や「凛々しさ」という花言葉を持つという。「私の愛称が『あきら』なので、「A」から始まるコンサート名がいいなと思っていました。花組出身ですし、アルストロメリアはいろいろな色がある花。コンサートでは自分もいろいろな色を表現できたら面白いと思って、選びました」と命名の由来を明かす。元花組トップスターのANJU(安寿ミラ)が構成・演出・振付を手掛けるほか、元月組トップスターの真琴つばさや、元花組トップスターの真飛聖らの出演も決定。瀬戸は「私が宝塚と出会うきっかけを作ってくださった憧れの真琴さんと、一緒に舞台をつくってきた真飛さん。このお二方がご出演を引き受けてくださったという事実だけでも幸せで胸がいっぱい。お二方と舞台をつくることができる時間を大切に、楽しんでいきたいです」と興奮した様子だった。退団後に感じる変化を尋ねると「時間の流れ方が変わった」と瀬戸。「朝起きて、お昼がきて、夕方が来て、夜が来て。当たり前のことかもしれないんですが、ちょっとした日々の変化や喜びを感じるようになったんです。そういう些細なことの積み重ねをいっぱいしていきたい」と話す。ジムに通ったり、マシーンを使ったピラティスやゴルフを始めたりしているそうで「いろいろなことに挑戦できる時間があって、嬉しい」。コンサートを楽しみにしている観客へのメッセージとして「宝塚を卒業して、男役ではなくなった瀬戸かずやとして、今、みなさまにどんな姿をお見せできるのか。私自身も楽しみです。『こんな一面もあったよ』とか『こんな姿も見せちゃうよ』とか、自分自身も挑みながら楽しみながら、みなさまのお力をお借りして素敵なコンサートをお届けしたいです」と話した。東京公演は4月29日(祝・金)~5月1日(日)。大阪公演は5月6日(金)~7日(土)。取材・文:五月女菜穂
2022年03月07日舞台版『千と千尋の神隠し』が帝国劇場で上演中だ。原作は、言わずと知れた宮崎駿監督によるアニメーション映画の最高傑作で、『レ・ミゼラブル』の世界初演の潤色・演出を担うなどしてきたジョン・ケアードが翻案と演出を手掛け、今回が世界初演となる。開幕直後の3月3日(木)、千尋役の橋本環奈、上白石萌音、湯婆婆/銭婆役の夏木マリ、朴路美(いずれもWキャスト)らが開幕にあたっての思いを語った。会見時、一足先に初日を迎えた橋本は「無事に幕をあげることができたので、最後まで必死に千尋として生きていって、走り抜けたい。これからどんどん全体を通して成長できたらいいなと思っております」と話し、一方、まだ初日を迎えていなかった上白石は「このご時世に予定されていた日に初日が迎えられること、本当に嬉しくありがたく思っています。こんな時期に劇場に足を運んでくださる方々の気持ちに応えられるよう、日々楽しく丁寧にやっていきたいです」などと話していた。夏木は「幕は開きましたけど、ジョン・ケアードは決して諦めないので、日々ブラッシュして、毎日毎日いいものになっていくと思います。お客様も皆様いろいろご配慮くださっているようで、本当に感謝しかない。初日を迎えられることが信じられないような気持ちですが、頑張っていきます」と意気込み、朴も「改めて感じているのは、コロナ禍でのものづくりの大変さ。みんなで努力をしてきて、今この場に立っています。スタッフ、キャスト一同、熱いハートをもって、ものづくりに本当に真摯な人たちに囲まれた幸せな現場。心を一つにして、湯屋一同心を揃えて、みなさんをお迎えできるように日々頑張っていきたいです」。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが本舞台を観劇したといい、「お世辞なしに本当に面白かったです!とにかくジョンの演出とキャストのみなさんが素晴らしくて、原作へのリスペクトが感じられて嬉しかったです。印象的なシーンを言い出したらきりがありませんが、キャストが大勢出てくるシーンはどのシーンも気持ちが高揚しました。映画の公開から20年が経っていることを考えると、キャストの方々の中には、当時まだ生まれたばかりだった方もいて、幼い頃に映画『千と千尋の神隠し』をご覧になっている方もいる。その経験が舞台の迫力につながっているような気がして、感慨深いです」などとコメントを寄せた。それに対して、橋本は「これだけお褒めの言葉をいただけるのは、本当に嬉しい」と語り、上白石は「映画を何度見たか分かりませんし、フィルムコミックや絵にずっと励まされ、お手本にしながら、稽古を進めてきました。作品の素晴らしさに支えられて、助けられることもあれば、やっぱりその素晴らしさを壁に感じることもあって。鈴木さんにそういっていただけて、ホッとしています」と涙ぐんだ。東京公演は3月29日まで。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年03月07日3月8日(火)の国際女性デーに開催される、「AMUSE PRESENTS SUPER HANDSOME W LIVE」。宝塚歌劇団退団後も広く活躍する柚希礼音、愛希れいか、ミュージカル女優として躍進を続けるソニン、映像の演技力も評価されている村川絵梨、清水くるみ。モデルだけならず女優としても活躍の場を広げる石田二コル、三吉彩花。ドラマ、映画の出演で注目を集める恒松祐里、堀田真由といった、「ハンサム」なアミューズ所属女性アーティストが勢ぞろいする本公演。本番を目前にした公演稽古場を取材した。この日は全員で披露する楽曲を中心に、各曲の通しを実施。稽古場に入ると通していたのが、2019年に上演したミュージカル『FACTORY GIRLS』より「自由の国の娘たち」。女性たちが自立を目指し、団結を歌うナンバーはソニンの力強い歌い出しから、清水、石田、島が続く。柚希も加わり、公演を観た人はもちろん、観ていない人にも聞きごたえのある一曲を仕上げていた。続く『ヘアスプレー』より「You Can‘t Stop the Beat」は稽古場でも盛り上がった一曲。清水のイキイキとした歌唱に続き、メンバー同士がペアで歌うパートは見どころだ。マスクの着用もあり1曲通した後は息切れする姿も出るほどのパワフルなナンバーだが、お互いに立ち位置や振り付けを細かくチェックし合う。続いて、ディズニー『アルティメット・プリンセス・セレブレーション』より「Starting Now」、映画『The Greatest Showman』から「This is Me」のドラマティックなナンバー。歌唱指導担当からのアドバイスの後も、愛希は不明点を積極的に確認したり、それぞれが歌いあってみたりと真剣な様子で向き合う姿に、ますます公演への期待が高まった。様々なバックグラウンドを持つ出演者が揃う稽古場では、柚希がダンスを、ソニンが歌唱を中心にメンバーを牽引。柚希は合間に、三吉にポージング、石田には体の使い方のコツを、一緒に動きながら教えていた様子が印象的。ソニンは曲ごとにバンドのアレンジについても積極的にディスカッション。若手メンバーへのアドバイスも行うなど、チームのまとめ役として頼りになる姿を見せた。ミュージカル楽曲からは他にも『WICKED』『Dream Girls』『PROM』『ファントム』、そしてBLACK PINK、Perfumeも披露予定。多彩なジャンルで活躍する彼女たちが挑戦する、新たなハンサムライブのステージをお見逃しなく。公演は3月8日(火)13時、18時の2回公演。Bunkamura オーチャードホールにて。また18時の回はPIA LIVE STREAMにてライブ配信も実施する。チケット発売中。
2022年03月07日青春期の甘く切ない気持ちと憂鬱さを鮮明に描いてきた三月のパンタシア。4枚目となるフルアルバム『邂逅少女』(かいこうしょうじょ)が、3月9日(水)にリリースされる。作家陣に、の子(神聖かまってちゃん)や山内総一郎・金澤ダイスケ(フジファブリック)、新進気鋭のボカロP、水野あつや遼遼などが参加。新たな“出会い”を経て様々な彩度のブルーポップが誕生した。三月のパンタシア チケット情報また、THE FIRST TAKEへの出演も決定!3月4日(金)22:00より『青春なんていらないわ』がプレミア公開される。そして、初の東阪ツアーがまもなくスタートする。公演は、3月18日(金)大阪・なんばHatch、3月27日(日)東京・Zepp Haneda(TOKYO)にて。チケットは発売中。
2022年03月04日10月に開幕する2022/2023シーズンで開場25周年を迎える新国立劇場。新シーズンの上演ラインナップが発表され、オペラ芸術監督の大野和士が出席して会見が行なわれた。オペラ公演は全10演目で、そのうち次の3本が新制作。●ヘンデル《ジュリオ・チェーザレ》(10月)リナルド・アレッサンドリーニ指揮/ロラン・ペリー演出●ムソルグスキー《ボリス・ゴドゥノフ》(11月)大野和士指揮/マリウシュ・トレリンスキ演出●ヴェルディ《リゴレット》(2023年5~6月)マウリツィオ・ベニーニ指揮/エミリオ・サージ演出《ジュリオ・チェーザレ》は本来、2年前の4月に上演されるはずだった舞台の、念願の登場。2011年パリ・オペラ座制作のプロダクションは、幻想的な博物館を舞台に、シーザーとクレオパトラの恋と政治の駆け引きが描かれる。バロックの旗手アレッサンドリーニがカラフルで刺激的なヘンデルを聴かせてくれるにちがいない。《ボリス・ゴドゥノフ》は新国立劇場とポーランド国立歌劇場の共同制作。演出のトレリンスキは同劇場の芸術監督で、METなどでも活躍する注目の人。題名役はロシアを代表するバスのエフゲニー・ニキティン。《リゴレット》はビルバオ・オペラとリスボン・サン・カルロス歌劇場の共同制作。イタリア・オペラの巨匠ベニーニが指揮する。大野は芸術監督就任以来、レパートリー拡充を重要な課題に掲げ、1シーズンの新制作演目をそれまでの3本から4本に増やして上演してきたが、それがいったん元に戻ることになる。大野によれば、コロナ禍のために2019/20シーズンの後半5演目が上演中止になったことなどの経済的ダメージによるもの。来季のレパートリー演目についても、この2年の間に延期された演目が入ってきたことで、自身の当初の構想に照らすと多少例外的なシーズンになるなど、苦しい事情も吐露した。なお、大野芸術監督が指揮する《ボリス・ゴドゥノフ》《ラ・ボエーム》(2023年6~7月)と、1997年開館時のこけら落とし演目で5年に一度上演している《アイーダ》(2023年4月)の3演目は、「開場25周年記念公演」と銘打って上演される。《ボリス》《ボエーム》の2本は大野自身の指揮で、新しい時代の狼煙を上げるという。いまだ収束の見えないかコロナ禍や世界的な政情不安が渦巻くなか、芸術に何ができるのか。25周年の新国立劇場がそれをどのように示してくれるか、期待して注目したい。(取材・文:宮本明)
2022年03月04日2010年に三浦大輔が書き下ろし、自ら演出も手がけた『裏切りの街』を12年ぶりに再演。そこで三浦と、主人公・菅原裕一の恋人・鈴木里美役の萩原みのりに話を訊いた。「人が人を裏切る瞬間、しかもその曖昧さを作品にしたいと思ったんです」と三浦が語るように、この物語はフリーターの裕一と主婦の橋本智子が、何となく不倫を始めるところから動き出す。稽古はまだまだ序盤。だがすでにふたりとも「難しい」と声を合わせ、三浦は「単純に前回よりも劇場が大きくなるので、曖昧さにフォーカスした芝居をどう観客に届かせるのか」と現状の課題に挙げる。萩原は「難しくて死にそうです」と顔をしかめつつも、「自分に対しての言葉はもちろん、他の方につけている演出を聞けることが本当に贅沢で。緊張感もすごいですが、めちゃくちゃ幸せです!」と声を弾ませる。ほぼヒモ状態の裕一を献身的に支える里美というのが、萩原の役どころ。三浦は「すごく役のことを理解してくれていて、この彼女といると窮屈になったり、ちょっと逃げたくなるだろうなって感じでちゃんと演じてくれている。だから今回、少し台本を変えてみたんです。従来の里美像から変化を持たせた方が面白いかなと。萩原さんが出来る人だとわかっていたので、こちらにもそういう欲が出てきました」と萩原に大きな期待を寄せる。初演の映像と2016年の映像版を見たという萩原は、「里美としての答えがすでにふたつあり、つい寄せてしまいそうになるんです。でも気持ちが伴っていないせいか、すぐ三浦さんにバレてしまって。その分自然と、自分の中の里美を探しに行けている感覚はありますね。あと菅原役の高木(雄也)さんご自身はとても明るい方ですが、文字で読んだ時の裕ちゃん(=菅原)と、高木さん演じる裕ちゃんの印象がちょっと違う。高木さんだからこその裕ちゃんをどこか少しかわいいなと思いつつ、抱きしめているような感覚が里美にはずっとありますね」と、この再演ならではの里美像を掴み始めているようすだ。※高木の「高」ははしごだかその高木に関して三浦は、「これまで多くの人が演じてきた菅原ですが、高木くんの場合は“陽”の菅原になるかなと思っていました。ただその陽の部分を演技に乗せるには、彼の中にストッパーがあるみたいで。その殻を破った時に、高木くんらしい菅原が生まれるんじゃないかなと思います」と予想。このカンパニーから、いかなる『裏切りの街』が立ち上がるのか。その開幕を楽しみに待ちたい。東京公演は3月12日(土)に新国立劇場 中劇場で開幕。その後、3月31日(木)よりCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて大阪公演を開催する。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2022年03月04日『乃木坂46』一期生として活躍後、舞台を軸足に活動する俳優の井上小百合。念願のシス・カンパニー公演初出演となる舞台『奇蹟』の稽古が進行中だ。物語は記憶を無くした名探偵(井上芳雄)と相棒の医師(鈴木浩介)が“迷いの森”に導かれ、過去と現在を彷徨いながらとある怪事件に挑む物語。「奇跡」ではなく、あえて宗教的意味合いの「奇蹟」にこだわるスピリチュアルなミステリーだ。井上は謎の女性のマリモ役。現在と中学時代の“2役”を行き来する謎めいた存在を演じる。「奇蹟 miracle one-way ticket」 チケット情報「子どものマリモが何を思い、どういう大人たちと関わってきて今のマリモになったのか。単に子ども、大人と分けて演じるのではなく、その流れを考えながら役作りしています。観る人には善悪色んな解釈を楽しんで頂ければ」と話す。脚本の北村想が「つじつまが合うものを作ってしまったらつまらない」と言い、演出の寺十吾も「こんな戯曲は初めて」と舌を巻く本作。色んな価値観や感情、解釈ができる「多様性のある作品」だけに、役作りでは百戦錬磨の俳優たちも「物凄く脳みそを使う!」と頭から湯気を出すほど。根気強く何度も作家とディスカッションを交わす現場は「新鮮な体験」と声を弾ませる。「北村さんの返答も『様々な受け取り方ができるように演じて下さっても良い』と、役者次第な所もあって物凄くプレッシャーを感じます。プランを持ち寄って答えを合わせていく感じがルービックキューブみたいで。今この座組だからこそできる面白さがある」。事務所の先輩の鈴木浩介からは、役者同士のキャッチボールが何より大事とアドバイスを受けた。「アイコンタクトでも心のキャッチボールでも深い部分のやり取りがないと成立しない作品なので。相手のことを考える時間が長い、それが本当に面白い」と現場の臨場感を口にする。見せ場のひとつが“迷いの森”を彷徨う場面。「テトリスをやっているみたいにめちゃめちゃセットが動くんですよ!映像も駆使しているので、場面転換を見ているだけでも面白い」。加えて主演コンビも愛さずにはいられないと言う。「鈴木さんの役はひとりでボケてツッコんで、演出が加わる度にどんどん面白くなる。本当に完成形が楽しみ過ぎる」。主演の井上芳雄は本読みの段階から役への理解が凄かった。「それは作家の北村さんも『びっくりしました』と仰るほど。こういう役者さんになっていけたらと間近で思えた体験でした」。自身の見所には井上芳雄の歌唱シーンをあげる。思わぬ形で参加すると言い「めちゃめちゃ面白いシーンになりそうなので、本当に楽しみにしていて欲しいです」。日増しに強くなる作品への理解とチームの結束感。最後は「お客さまも迷いの森に入り込む“体感型の舞台”になれば面白い。一緒に楽しんで頂ければ」とアピールした。東京公演は3月18日(金)から4月10日(日)まで世田谷パブリックシアター(※3月12日(土)~17日(木)は公演中止)、大阪公演は4月13日(水)から17日(日)まで森ノ宮ピロティホールにて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2022年03月04日久本雅美と藤原紀香が老姉妹役で舞台初共演、錦織一清の演出でブラックコメディに挑む。アメリカの劇作家、ジョセル・ケッセルリングが1939年に発表した作品で、ブロードウェイやウエストエンドでロングラン上演されたヒット作。ニューヨークに住む慈善家の老姉妹アビーとマーサが振る舞う“おいしいぼけ酒”を巡って繰り広げる奇想天外な物語だ。老姉妹に巻き込まれる登場人物には、渋谷天笑、納谷健(劇団Patch)、惣田紗莉渚、室たつきら多彩なメンバーが集う。達者な久本と老女役に初挑戦の藤原が、作品の魅力や意気込みを語った。「毒薬と老嬢」 チケット情報久本は藤原を「気さくで表裏のない男前で、華がある。私はその華に負けないように咲きたいです!(笑)」と話し、久本を「姉さん」と呼ぶ藤原は「愛のある笑いを持っている人。お肌つるつる、瞳キラキラでめちゃくちゃ美人です!」と互いの印象を語る。ブラックコメディを演じることについては「無理に笑わせるというより、クスッと笑ってもらえる技術が必要だと思います。ナチュラルに演じ切ることができれば」(久本)、「私にとっては大きなチャレンジです。学ぶこともたくさんあります。自分の持っているものと組み合わせて、新しいものを生み出していきたいです」(藤原)。今回、ふたりのセリフは関西弁で上演され、老姉妹による丁々発止のやりとりも大きな見どころだ。「ふたりとも関西人ですし、漫才とまではいきませんが、おもしろいものになるんじゃないかとワクワクしています」(久本)、「関西弁での舞台は初めてですが、故郷の言葉なのですごくうれしく楽しみです」(藤原)。物語には安楽死や高齢化社会への風刺がテーマに含まれ、初演から80年を経た今も色あせない。そんな作品の魅力について「作中にさらりと投げかけている“何が幸せなのか”や“命の大事さ”などのテーマは、時代を越えても変わらない共通したものだと思います。演じる意欲を掻き立てられ、やりがいのある舞台だと感じています」(久本)、「物事の考え方や価値観は人それぞれ。演じる側もお客様も、それぞれに感じることができるからこそ、長い間愛されてきた作品なんだと思います」(藤原)とそれぞれに語る。ふたりとも今作に挑む意欲は満々だ。「老若男女がさまざまなことを考えながら楽しめる作品です。なによりも『楽しかったなぁ』とお客様全員に思っていただける舞台にできれば」(久本)、「コロナ禍の制約の多い中、劇場へ足をお運びくださるお客様に少しでも楽しんでいただき、明るくなっていただけるように一生懸命につとめます。ぜひ、若い方にも観ていただきたいです!」(藤原)。公演は3月16日(水)~20日(日)の東京・新橋演舞場を皮切りに、3月26日(土)・27日(日)愛知・御園座、4月2日(土)福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール、4月9日(土)・10日(日)北海道・道新ホール、4月16日(土)~24日(日)大阪・大阪松竹座を巡演。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2022年03月03日小林香が作・演出を手がけるオリジナルミュージカル「The Parlor」が、美弥るりかを主演に迎え4月29日より上演される。そこでキービジュアル撮影現場に潜入、作品の魅力に迫った。タイトルにある“PARLOR”とは、3代にわたる女性たちが大切にしてきた場所を意味する。そこは曾祖母の時代には談話室に、祖母の時代には美容室に、母の時代には喫茶室へと姿を変え、そこに集う人々の憩いの空間となってきた。そして娘の時代へ……。美弥は母の死後、そんなPARLORを離れ、アメリカで成功をおさめた孤高のゲームクリエイター・円山朱里を演じる。撮影が行われたのは、都内にある築75年以上の洋風建築。建物内にはさまざまなアンティーク家具が並び、PARLORを訪れた人々の歴史を表しているかのようだ。そんななか美弥は、赤いラインの入ったパンツに、柄物のショート丈のジャケット、その奥には蛍光グリーンの鮮やかなタートルネックという衣裳で登場。抜群のスタイルとミステリアスな雰囲気を併せ持つ美弥だけに、難しいこんな組み合わせですらしっくりと着こなしてしまう。作・演出の小林も撮影現場に同席。作品の世界観や役どころに合わせ、随時アドバイスを与えていく。撮影は、ベロア地のソファに座ってのカットからスタート。小林が「今日の美弥さんは一段と賢そうでいいね。ゲームクリエイターっぽい」といたずらっぽく笑うと、美弥も「それは良かった」と微笑み、一気に場が和む。だが美弥演じる朱里には暗い過去があり、小林からも「笑顔はなしでOK」とのひと言が。すると美弥も瞬時に対応。傷を抱える朱里の内面が伝わるような、切なくも寂しい表情に目が釘づけになる。撮影は少しずつ場所を変えて進んでいく。外からの柔らかな光に包まれた美弥が、窓際に佇むカットでは、その場にいた一同から思わず「わー、きれい!」と歓声が上がるほど。デザイナーからも、「絵になり過ぎて言うことがないです」と太鼓判を押されていた。PARLORに集う人々の姿を通し、現代におけるさまざまな問題が浮かび上がる本作。そしてそのなかには、ジェンダーに関するものも。現場で小林から美弥に投げかけられた、「子供のころピンクの服を着ていた?当たり前のように赤いランドセルを使っていた?」という言葉も、実は物語の核心を突く重要な問い。もしかすると小林の稽古はすでに始まっていたのかもしれない。その後も撮影は順調に進み、1時間ほどで終了。その仕上がりをモニターでチェックしていた美弥も、「大丈夫です」と満足気な表情を見せる。作品の世界観が少しだけ垣間見えた撮影。ここから稽古場へ、そして本番の舞台へと向かうなかで、本作はいかなる熟成を遂げていくのか。信頼厚い小林と美弥だけに、その期待値は高く設定しておいても問題なさそうだ。取材・文:野上瑠美子
2022年03月03日北村想の書き下ろしを、寺十吾が演出する舞台『奇蹟 miracle one-way ticket』が、3月18日(金)、東京・世田谷パブリックシアターで幕を開ける。「日本文学シアター」シリーズでおなじみのふたりによるこの話題作に出演するのが、乃木坂46を卒業後、俳優として活躍する井上小百合だ。深い森に迷い込んだ記憶喪失の探偵・法水連太郎(のりみずれんたろう)と、彼を探しに来た親友で医師の楯鉾寸心(たてほこすんしん)。なぜ法水はこの森にやって来たのか…というところから物語は始まる。本作の魅力を、井上はこう語る。「今までに出会ったことのないようなミステリーだなと思いました。脚本の想さんいわく、『エンターテインメントをミステリーで味つけしただけ』だと。ミステリーと言いつつ、笑える面白いシーンもありますし、法水役の井上芳雄さんが歌ったりもする(笑)。すごく新鮮で、斬新で、ちょっと前衛的な作品になるんじゃないかなと思います」井上演じるのは、法水、楯鉾の前に突如現れる女性マリモ。「彼女が善なのか悪なのか、それはきっと最後までわからないと思います。見方によって、本当にいろいろな受け取り方ができる役どころなので。そんなマリモがふたりに対して、どういう立場で接していくのか。それを今模索しているところです」演出の寺十とは、本作が初の顔合わせとなる。「寺十さんは俳優としての顔もお持ちなので、俳優目線で演出を考えてくださる方だと思います。『こうしてください』と振付のような演出をつけるのではなく、『こういう心持ちでいると、こういう行動が取れるかもしれないね』といった感じで、こちらの感情を引き出し、自然と動けるようにしてくださる。私にとってはとてもやりやすいですし、素晴らしい演出家さんだなと思います」とはいえ独特な文体と世界観を有する北村作品。それだけに苦戦もしているようで…。「本当に難しくて、役者への“挑戦状”みたいな感覚もあります。想さんから、『あなたはこの役、どうやって演じますか?』と言われているような…(苦笑)。ただ自分ひとりで、というよりかは、皆さんと一緒に、相手役がこう来るからマリモはこう、みたいな感じでお稽古を進めることが出来ている。しかもこのキャストですから!めちゃくちゃ頼りまくっていますし、とても贅沢で豊かな現場だなと。私自身、ここまで作品を深く追求したことがなかったので、本当に勉強になりますし、成長出来ているのではないかと思います」東京公演は3月18日(金)から4月10日(日)まで世田谷パブリックシアターにて上演(※3月12日(土)~17日(木)は公演中止)。その後、4月13日(水)から4月17日(日)まで森ノ宮ピロティホールにて大阪公演を開催する。両会場ともチケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2022年03月03日子供のための音楽祭としては世界最大級となる「こども音楽フェスティバル」が、5月4日(水祝)~7日(土)の4日間にわたって開催される。東京・赤坂のサントリーホールで記者発表会が行われた。このプロジェクト、本来は2年前に開催予定だったがコロナ禍で延期。時期を見きわめ、満を持しての初開催となる。かねてから若年層向けの音楽プロジェクトに積極的に取り組んできたソニー音楽財団とサントリー芸術財団が初めて手を携えて実現するもの。期間中は、サントリーホールで行なわれる18のコンサートを中心に、近隣ホテルやホール前の広場などの周辺施設も巻き込んで、0歳児や未就学児から、小学生、中高生、さらには妊婦のためのコンサートなど、年齢に合わせた多様な企画が同時多発的に繰り広げられる、まさにお祭り。しかも出演者が豪華。ソニーとサントリーが本気を出せばこうなる!という、日本を代表するそうそうたる顔ぶれが揃う。それでいて入場料はリーズナブル。子供は500円から、大人でも最高で3,000円と、家族で出かけても財布にやさしい設定がうれしい。会見では、公式アンバサダーを務めるピアニストの清塚信也がその意気込みを語った。「演奏活動の一方で、素晴らしい音楽を紹介したいという強い思いが、いつもある。だからアンバサダーという立ち位置はとてもうれしい。音楽は言葉と一緒で、まずはサウンドに触れて、自然な気持ちで楽しんでほしい。音楽は楽しいんだということを身体に入れて、それを他の人に伝えたいという気持ちになってくれたら、それが音楽の根源だと思う。世界でも類を見ない大規模な子供のための音楽祭。日本の音楽史にも影響を残すのではないか。ワクワクしている」清塚は、同時配信されるオンライン番組の総合パーソナリティも務める。ホール公演のライヴ配信だが、演奏の様子をただ流すのではないのがポイント。「私の強い思いを聞いていただき、無料でお届けできることになった。なるべく面白い、ちゃんとした『番組』になるよう、アイディアをこらしていろいろ仕掛けていきたい。ご期待ください」さまざまなメディア出演ですべらないネタを披露している清塚のトーク力については説明不要だろう。配信には、人気お笑いコンビのかまいたちが出演する日も。もちろん清塚自身はコンサートにも出演して演奏を聴かせてくれる。GWはファミリーで気軽にクラシック音楽に触れてみよう!(取材・文:宮本明)
2022年03月03日活躍著しい劇作家・演出家の蓬莱竜太が、広島市の企画プロジェクトで地元の劇作家と共作し、2017年に広島で上演した『広島ジャンゴ』。今回、フィクションとエンタテインメント性を高めて再構築、『広島ジャンゴ 2022』として上演する。物語の舞台は現代の広島の牡蠣工場。周囲にまったく合わせようとしないシングルマザーのパートタイマー・山本(天海祐希)に手を焼いている、シフト担当の木村(鈴木亮平)。ある日木村が目覚めると、そこはワンマンな町長(仲村トオル)が牛耳る西部の町・ヒロシマだった!?子連れガンマン・ジャンゴとして現れる山本、木村はなぜかジャンゴの愛馬・ディカプリオとして、町の騒動に巻き込まれていく…。ダブル主演の天海と鈴木が、作品と意気込みを語った。COCOON PRODUCTION 2022「広島ジャンゴ2022」チケット情報何度も観てきた蓬莱作品への初参加を喜ぶ、山本役とスゴ腕ガンマン・ジャンゴ役の天海。「深くて鋭いところを突かれるけれど、最後にはどこか希望がある。蓬莱さんの世界観の一員になれることが楽しみです」。鈴木は2019年の『渦が森団地の眠れない子たち』に続き2回目の参加だが、もともと蓬莱作品のファン。「次に舞台をやるとしてもぜひ蓬莱さんと」という思いが早くも叶った。今回演じるのは、木村役としゃべれてラップもできる馬のディカプリオ役。「すごく翻弄される役であり、物語を回していく役。やりがいがありますし、燃えますね」。映画『カイジ 人生逆転ゲーム』以来、13年ぶりの共演となるふたりは「初共演のようなものなのでとても楽しみですし、とても頼りにしています。単純に私より身長の高い方と横に並べるのはすごくうれしい(笑)」(天海)、「前回はまだ先輩方のお芝居を観ている時期。そんな僕とも会話してくださり、その後ずっと拝見してきていたので今回ご一緒できるのは感慨深いものがあります」(鈴木)。広島弁が飛び交う異色の西部劇とは?「職場の飲み会って行かなきゃいけないの?というテーマが西部劇になり、西部劇のフィルターを通すことでいろいろな問題がより浮き上がってくる。演劇でしかできない世界で、それを余すところなくお客様に伝えられたらと思います」(鈴木)、「西部劇の形ですが、そのまま現代につながる話で本当におもしろい作品。必ずどなたかは自分と似ている役柄が出てくると思います。もう、精一杯やるだけ。熱量を感じていただけたら」(天海)。ふたりともこれからの稽古が楽しみだと話す。作・演出の蓬莱もコメントを寄せた。「東京から広島にやって来た人が主人公のお話。東京の人は東京側の視点で、大阪公演ではぜひ西に住む方の視点で楽しんでほしいです」。取材・文:高橋晴代
2022年03月02日柿澤勇人とウエンツ瑛士が“双子”に扮するミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』。初日を約1ヵ月後に控える稽古場では、マスク姿のキャスト・スタッフによる気迫のこもった一幕の立ち稽古が行われた。1983年に英ロンドン・ウエストエンドで初演され、ローレンス・オリヴィエ賞を獲得した本作。日本でも1991年以降に繰り返し上演されている。二卵性双生児として生まれたミッキー(柿澤)は実の母親と貧しさの中で暮らし、エドワード(ウエンツ)は裕福な家庭に引き取られた。正反対の環境で育った二人は互いに双子であることを知らないまま幼少期に出会い、厚い友情を育む。成長した両者を待ち受ける運命とは──。カンパニーを率いるのは、ミュージカル初演出の吉田鋼太郎。1991年の日本初演を含め、3度サミー(ミッキーの兄)役として参加していた彼は、当時をヒントにしながらも決して過去にとらわれることなく、この数奇な人間ドラマをより魅力的に立ち上げようとキャストに熱く語りかける。最たる例が、ミッキーとエドワードが出会うシーンに表れていた。野生味あふれる“悪ガキ”に成長した柿澤ミッキーに対して、育ちのよいウエンツエドワードはどこまでも素直で行儀正しい。こう受け止めている二人に、吉田は「エディを一瞥したミッキーは“俺の方が強えぞ”って感じで前に出るの」「エディも意に介さずミッキーに近づいて」と指示。「人見知りしないのがジョンストン家の血だよ」と二人のルーツを改めて認識させる。すると次のターンで柿澤とウエンツは人物造形を磨き上げ、緩急あふれた魅力あるシーンに仕上がった。こうした説得力ある芝居の積み重ねが、引っ越してしまうエドワードを思い浮かべ、喪失感まじりにミッキーが歌うM18〈長い長い日曜日〉に活きる。互いに欠けているものを挙げ、「ミッキーになりたい」「エディになれたら」と憧れる両者の想いを知ると、彼らを待ち受ける二幕ラストが切ない。母親同士の“芝居合戦”も注目だ。夫に捨てられ生活に困窮し、楽な暮らしをしたい一心のミセス・ジョンストン(堀内敬子)と、子宝に恵まれないミセス・ライオンズ(一路真輝)は、M6〈我が子〉でそれぞれの思惑を見せる。堀内は「こんなお屋敷で育てばご飯の心配はいらない」と子どもを手放すことで生まれる可能性をしたたかに歌い、一路は「おもちゃは独り占め」と環境のよさをアピール。煩悩の根底に母性愛を覗かせるのも、結局はエゴなのか。議論したくなった。公演は3月21日(月・祝)~4月3日(日)に、東京・東京国際フォーラム ホールCにて。その後、愛知・福岡・大阪と巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年03月02日