サカイクがお届けする新着記事一覧 (2/35)
味方が抜かれた時のカバーリング、どう動くのかわかってない。抜かれるかもしれないという想定、パスコース限定のためにどこに動くか。それらの判断が難しいもよう。U-10年代にチャレンジ&カバーを理解させるには、どんなふうに教えたらいいの?というお父さんコーチ。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、U-10までに身につけさせたい守備の意識とおすすめのトレーニングを伝えます。(取材・文島沢優子)サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<GKの真正面にシュートしてしまう子どもたち、ゴールの空いているスペースに蹴れるようになるにはどうしたらいい?<お父さんコーチからの質問>はじめまして。地域のクラブで見守り保護者兼コーチをしています。(U-10担当)最近は途方でも少年団が少なく、クラブチームが増えていることを実感します。私のような立場の方が多く、指導を学んだ専門のコーチがいるわけではありません。(公式戦に出場するのでライセンス保有者は数名いますが、D級とかです)ご相談内容は「チャレンジ&カバー」についてです。とくにカバーリングについて、どんなタイミングでどう動けばいいかを伝えるのにおススメの練習法はありますか?チャレンジした選手が抜かれるかもしれない可能性、パスコースを狭めるためには何を見てどう判断するのか、がまだまだ分かっていないみたいで。練習の積み重ねとは思うのですが、いいアドバイスがあれば教えていただきたいです。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。チャレンジ&カバーは昨今、育成年代にも指導する要素として挙げられています。ただ、ご相談者様が指導されている子どもたちは10歳以下です。そのくらいの年齢では、基本的に自分がマークした選手をしっかり守ること、つまり目の前で起こっていることにまずは注意を払うことを伝えたほうが良いでしょう。■チャレンジ&カバーの概念が独り歩きしていないかそもそも論になりますが「チャレンジ&カバー」という概念が独り歩きしているような気もします。ボールマンにチャレンジに行く選手が、抜かれるのが前提のような感覚になっていないでしょうか。マンマークをしっかりしなくてもカバーしてもらえるからOKだと思っているような節があるのです。例えば、抜かれた選手が他の選手に「カバーしてよ」といった態度を見せることがあります。小学生の年代では特に、抜かれた選手はすぐさま追いかけてボールを取り返す習慣をつけたほうがいいはずです。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■自分が抜かれたら他の人が守るのが正解だから走らなくていい?ところが、抜かれるともう追いません。チャレンジ&カバーなので、他の人が守るのが正解だから自分は走らなくていいと考えてしまいます。コーチもカバーさせることに一生懸命になって、抜かれた子どもの動きを見ていません。そうならないよう、抜かれてはいけないというマンマークの意識を中学1年生くらいまでに養いましょう。マンツーマンでゲームするような練習をしてください。そのなかでも誰かが抜かれることはあります。例えば抜かれてシュートまで持ち込もうとしたら、そこに近い人が守る。それがゾーンディフェンスの始まりなので、それを教えましょう。■10歳ぐらいまでは、まずは自分が抜かれないようにするのを徹底させるゾーンディフェンスだと、ボールサイドに寄れば寄るほどの1人のゾーンが狭くなり、ボールから離れれば離れる1人の守像範囲は広くなります。そういったことを10歳くらいで理解するのは難しいので、まずはちゃんと自分のマークを守りなさい、抜かれないようにするためにはどうしますか?ということを徹底させてください。そして高学年になってきたら「自分のマークだけでなく、周りとボールを見ながら守れるようになろう」という意識を持たせましょう。■カバーのタイミングを学ぶのにおすすめの練習メニューそのようにマンツーマンでの守備を徹底的にやったあと、その先に行くとしたら3対2の練習をします。オフェンスでは数的優位の状況でどう攻めるかを会得するメニューですが、守備側の2人はカバーする感覚やタイミングを学ぶ練習になります。ゴールをつけずにライン通過してフィニッシュするかたちのトレーニングをお勧めします。3人を2人でどう守るか。局面によってどのような距離感で守るかを考えさせましょう。オーガナイズする際は、横は試合や練習をするコートの幅でよいのですが、縦の幅を狭めに設定してください。つまり、横長の長方形のようなコートを作ります。なぜならば、縦が長い場合、相手の3人のうちの1人が通過するライン近くまで入ってきてしまうと、2人で守っているので到底間に合わなくなる。そうなると攻防が成立しないし、楽しくありません。オフェンス側にも「横をどう使いますか?」みたいなテーマにしておくと、ディフェンスも早く横にずれることがわかってきます。それはオフェンス側の理解を深めることにも役立ちます。日本の子どもたちは特にですが、ボールを持ったら前にしか行かない傾向があります。縦に長いと練習にならないのです。■練習の意図を理解して設定を考えないと、子どもたちが獲得するものも変わってしまう実際に私の講習会でこの練習をしたことがあります。指導者に説明だけして、さあやりましょうとコートを見たら、コートを縦長に作っていました。私が「これはこういう意図があるので、縦長じゃないやり方にしましょう」と伝えました。大人のほうが、どんな意図でやる練習かをくみ取って自分で考えて設定を考えなくてはいけません。そうしなくては、目的は達成されないし、子どもたちが獲得するものも変わってしまいます。よく言われる「練習のオーガナイズが重要である」というのは、そういうことなのです。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■チャレンジ&カバーという言葉を使う必要はない、大事なのは......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)加えて、3対2で練習するときに「チャレンジ&カバー」と言う必要はありません。ボールマンにひとりがガッツリ詰めて抜かれてしまうと、もう1人が相手3人を守らなければいけなくなります。最初のほうは「2人で守るにはどうするか?」という意識になってもらうことが重要です。自分が絶対に抜かれてはいけないということがわかってくると、次はボールがどこかにパスされたとき、どちらが行ったほうが得かといったことを先に覚えたほうがいいでしょう。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年12月13日エンジョイを標榜しているのに、6年生最後の公式戦でまさかの1人だけ「出してもらえない」。選ばれたのは上手な下級生。同級生と頑張ってきたのにそんな仕打ちある?自分自身もクラブの手伝いや遠征同行してきたけど、それは間違ってたのだと気づいた。と心の整理がつかないままのお父さんからご相談をいただきました。出場機会について悔しい思いをした親御さんはたくさんいるのでは。今回、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、悔しい気持ちの消化させ方について3つのアドバイスを送ります。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<上手くなりたいと言うのに自主練しない。アドバイスも嫌がる息子に頭を悩ませている問題サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>><サッカーパパからのご相談>初めて相談させていただきます。12歳の子どもをもつ父です。息子は、小4から地元のサッカークラブに入り、3年間頑張ってできるだけ休まず頑張って続けてきています。あまり運動が得意ではないのと、団体競技で社会性を学ばせたいという私の考えで入部させました。勝つためではなく楽しく高校までサッカーを続けてくれたら、との考えで勝つより負けの試合の方が多いチームです。各学年の人数が少なく、試合も6、5、4年生の合同チームみたいな感じでした。息子が4年生のときはもちろん試合に出れず、「まだ上の年代が主役だから」と伝え5年生の時も「来年が主役だからね」と言っていたのですが、6年になり、ようやく息子がフルで試合に出れると思っていたら、まさかの「出してもらえない」事態に。今までは5、6年生で公式戦に参加させていたのに、今年は人数が少ないので4、5、6年生で参加することになり、さすがに6年の最後の公式試合はメンバーに選ばれるかと思っていましたのに、6年生でただ一人選ばれませんでした。選ばれたのは、6年生3人中2人(うちは補欠)、5年生7人中5人、4年生は5人中1人。確かにうちの子は上手くありませんが、そこまでする必要があるのかと怒りと疑問を持ちました。それでも本番はきっと出れるよって説明して送り出しましたが、1試合目出番なし2試合目は4点差が付きもう負け確定となったラスト10分お情けで出場。本人も辛かったのに他の子の前では楽しそうにしていて、帰りの車の中では泣きながら「練習に付き合ってくれ」と言ってきました。確かに出場した下級生は私の子より上手です。クラブに通いながら他のスクールに通う子もいたりと、うちの子に比べると多く練習していたと思います。ただ、そこまでして3年間頑張ってきた息子に思い出を経験をさせてあげないクラブはどうなのかと疑問に思います。3人しかいない同学年の子と頑張ってきたのに。今まで私がしてきたクラブのお手伝いや遠征の同行、子どものクラブのためしてきたことは間違っていたんだと思いました。なかなか心の整理がつかずご相談させていただきました。アドバイスお願いいたします。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。試合に出られないわが子を見守るのは親にとっても難しい時間ですね。私も経験があるのでお気持ちお察しいたします。■エンジョイを掲げていても、先発メンバーを出し続けるチームはまだ多い最後の試合で3人しかいない6年生でひとりだけ出られなかったことは、息子さんにとって大きなこころの傷になっていることでしょう。今はまだお父さんも頭に血がのぼっていて、息子さんを2試合で10分しか出さなかったコーチたちを許せない気持ちでいっぱいかと思います。しかしながら、小学生カテゴリーは全員出場を掲げるチームが増えてきたとはいえ、まだまだ少数派。ずっと補欠で試合に出られない子どもが大勢存在するのが現実です。エンジョイをチームのスローガンに掲げているのに、先発メンバーを交替させることなく出場させるチームはとても多いです。例えばこのようなケースであれば「公式戦なのだから勝とうとして何が悪いのか。最後に10分間出してやったじゃないか」と考える指導者も存在します。お父さんから見れば「お情け」に見えますが、コーチ陣からすれば「きちんと試合時間を確保した」と考えているのかもしれません。そもそも少年サッカー指導者が、勝利にこだわってしまうのは自分たちの子ども時代もそのような文化だったので、実力順に子どもを試合に出すことに何ら疑いを持ちません。彼らに悪気はないし、お子さんが傷ついているとも思っていない可能性が高いです。そのように保護者とコーチとでは受け止め方が違うため、子どもを試合に出してもらえなかった親御さんとコーチの方とのトラブルは絶えません。■最後の試合に出してもらえなかった悔しさを、どう消化していくかつまり、いま日本の少年サッカーは過渡期だということです。よって一部の親御さんたちは、指導の質や、子どもの人権に対するコーチらの意識の高さなどをみてクラブを選ぶようになってきました。その点からすると、お父さんが考える理想のチームではなかったのかもしれません。ただし、息子さんは6年生なのであと数か月でこのチームを卒団するわけです。試合に出してもらえない状況をいかにして修正するかという相談ではありませんよね。ご相談文の最後に「なかなか心の整理がつかず相談した」とあるので、今回のことをお父さんと息子さんがそれぞれでどう消化していくか。そこがポイントかと思います。その点から3つほどアドバイスさせてください。■アドバイス①小学生年代ではベンチでも、中学以降中心選手に成長する選手もいる1つめ。まずは、傷ついた息子さんのこころの回復を考えましょう。仲間の前では涙を見せず、親御さんとともに車に乗ってから泣き出した、とあります。しかも、練習に付き合ってとお父さんに言えた息子さんを誇りに思ってください。そのように負けん気を出して前向きな姿勢でいることを、褒めてあげてください。一番身近にいる親から認められることで、自己肯定感を取り戻すことができるはずです。試合に出られなかったことは残念でした。けれど、これで彼のサッカーキャリアが終わるわけではありません。小学生で試合に出られなければ中高でも出られないわけでもありません。もっといえば、小学生時代はベンチスタートだったけれど、中学や高校で中心選手に成長する選手はたくさんいます。■アドバイス②スポーツは「習い事」ではない、本人の意思に任せて2つめ。中学校でのサッカーについては、息子さんの意思を最大限尊重してください。あまり運動は得意ではないのに、お父さんが「団体競技で社会性を学ばせたい」との理由で入部させたとあります。そのことを否定するつもりはありませんが、スポーツは習い事ではありません。息子さんが本当にサッカーが好きで、中学でもやりたければ続ければいいし、やめたいといえばそこは尊重してください。もしサッカーを続けるのであれば、自分の力に見合った環境を探してプレーできるといいなと思います。■アドバイス③出場機会がないと分かっていればチームの手伝いをしなかったのか?(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)3つめ。相談文の最後、「今まで私がしてきたクラブのお手伝いや遠征の同行、子どものクラブのためしてきたことは間違っていたんだと思いました」と書かれています。これは、試合に出してもらえないことがわかっていれば、手伝わなかった、ということでしょうか。お父さんは息子さんを試合に出してもらうために、コーチに良い印象を与えようとチームに協力してきたのでしょうか。恐らくどちらも違いますよね。そんなつもりでお手伝いをしてきたわけではないでしょう。よって、そこを「間違っていた」としてしまうのは、息子さんがサッカーを頑張った3年間を否定することになります。冒頭でも伝えましたが、今は怒りが収まらないことでしょう。しかし、いま息子さん以上に腹を立てていないでしょうか。一番悔しいのは息子さんです。その悔しさに共感してあげるのは、親の務めに違いありません。「悔しいよな。そうだよな」と、共感はぜひしてほしい。しかしながら、息子さんと「同化」してしまっては道を見失います。この悔しさをこれからどう活かすのか、どんなふうに成長の糧にしていくのか。そんなことを息子さんと話し合えたらと思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年12月11日「スポーツ価値創造Company」を目指し、20年以上にわたりスポーツを通した社会課題解決に携わってきた株式会社イースリーは、2024年9月17日に株式会社コチキャリを設立。収入面やキャリア形成に課題を抱えるスポーツ指導者に特化した人材紹介サービス「コチキャリ()」を12月2日よりスタートしました。■スポーツ指導者向け「短時間正社員」人材紹介サービス「コチキャリ」多くの指導者は夕方以降に指導にあたるため、それまでの時間を企業の短時間正社員として就労し、夕方以降をスポーツクラブなどで指導。収入面などに課題を持つスポーツ指導者のデュアルキャリアをサポートします。■不安定な経済環境で若い指導者の成り手不足・離職が課題民間のスポーツクラブにおいても、指導者が正社員雇用されるケースは少なく、アルバイトなどで両立するケースが多くあります。そのため、結婚などを機に離職するケースが多く。若い指導者の成り手不足や離職が課題になっています。また指導者にあった就業支援サービスや情報がほとんどないのが現状です。1.指導専門スタッフの正社員雇用割合は3割以下2.チーム運営者の7割以上が20代の指導者が不足していると回答3.就業支援サービスなどの活用経験なしが7割以上※自社調べ日本の行政機関であるスポーツ庁のスポーツ基本計画でも「地域スポーツの普及・発展」が掲げられ、学校部活の地域移行や総合型地域スポーツクラブへの移行が検討される中、育成年代のスポーツ指導者の人材確保・指導者養成は今後課題となってくるでしょう。■スポーツ指導者に「デュアルキャリア」という新しい選択肢をそこで我々は、厚生労働省も導入を推奨し拡大傾向にある「短時間正社員制度」に着目し、指導以外の時間を企業で短時間正社員として働きながら指導者を継続していくことで、安定的な収入とキャリア形成を目指せる環境を作っていきたいと考えています。■全国8万人の指導者ネットワークで求職者を募集2014年から運営しているサッカーの指導者向けサービス「COACH UNITED」など、指導者とのネットワークを活かして人材を確保していきます。【指導者(求職者)のリーチ】●COACH UNITED月間利用者数:約5万人●COACH UNITED公式LINE:約2万人●COACH UNITED ACADEMY登録会員:約1万人●全国約1,500クラブの代表者■指導者を目指す大学生、専門学校の新卒人材も確保スポーツ指導者を養成する専門学校、大学と連携。また大学生コーチを抱えるクラブとも連携し指導者志望の新卒人材のマッチングも行っていく予定です。■スポーツ指導者が持つスキルを企業の力に変化が激しく先行きが見えないVUCA時代において、どのような仕事でも転用・応用できるスキルである「トランスファラブルスキル」の高い人材が求められています。スポーツの指導で培った指導者のスキルは、まさに現代の企業が求める人材の能力そのものです。雇用機会の提供だけでなく、スポーツ人材の新しい価値創造を行っていくことで、我々が「スポーツ価値創造Company」として掲げる「スポーツに関わる誰もが幸せ(ウェルネス)になる社会を作る」というビジョンの達成につなげていきたいと考えています。【スポーツ指導者が備えるトランスファラブルスキル】①コミュニケーション力②問題解決力③リーダーシップとチームマネジメント④協調性⑤傾聴力とフィードバック力■次世代の子ども支援、地域貢献にもつなげるコチキャリは指導者、企業の課題解決はもちろん、地域、クラブ、選手(子ども)など「社会」にとっても大きなメリットがあります。今後、学校部活の地域移行が進めば、その受け皿となる地域のスポーツクラブにはより多くの指導者が必要になります。デュアルキャリアを実現した指導者が増えれば、クラブも雇用しやすくなり、地域の子どもたちは、より質の高い指導を受けられるようになります。こういった人材を活用していくことは企業においても地域貢献など様々なメリットを享受していけるでしょう。
2024年12月11日10代の頃から年代別代表で数多くの海外遠征を経験し、ポルトガル、カタール、UAE、トルコの4か国のクラブでプレーしてきた中島翔哉選手(浦和レッズ)。それだけ多種多様な異国生活をしていれば、食事面の難しさに直面したこともあったのではないでしょうか。サッカー選手を夢見ている子どもたち、そして保護者にとってアドバイスをいただきました。(取材・文:元川悦子写真:兼子愼一郎)<<前編:海外4か国を渡り歩いたテクニシャン・中島翔哉選手は、なぜ小柄でも活躍できるのか?サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>中島翔哉選手がサッカー少年少女の保護者にお願いしたいこと(兼子愼一郎)■好き嫌いは無いほうが良い。何を食べるかだけでなく、嬉しい、楽しい、幸せな感情も重要今では日本代表の海外遠征時に料理人が帯同したり、海外組の選手が独自に料理人を雇って食事を作ってもらうなど、栄養面のサポート体制が強化されています。しかしながら、中島選手が10~20代の頃はまだまだ環境が整っていませんでした。「僕の場合は好き嫌いがなかったので、どこへ行っても何でも食べられたのはよかったですね。正直、虫とかは食べたくないし、実際、食べる機会もなかったですけど(苦笑)、海外で食べられないものがなかったのは助かりました。代表の遠征に行ったりするとお腹を壊したりする選手もいましたけど、僕はそういうこともほとんどなかったです。食事に関しては、『バランスを考えて』とよく言われますけど、その人に合った食事が大事かなと思います。体の所作や動きのこともそうですけど、やっぱり自分自身との対話をしっかりして、何を欲しているかをきちんと理解することが大事かなと。好き嫌いはあっていいと思うし、素直に食べられるものは必ずある。それでいいんじゃないですかね。結婚してからは妻がおいしいご飯を作ってくれるので、それが一番いいですね。食事って単に物質を摂取するだけではないので、嬉しかったり、楽しかったり、幸せだったりすることがすごく重要ですね」と家族第一の彼らしい言い回しで、食事のポイントを語っていました。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■子どもは自分に必要だと思えば食べる、食生活も押し付けにならない方がいい昨今は好きなものしか食べられなかったり、過度な偏食という子どもも少なくないようです。保護者も頭を痛めるケースも増えているといいます。親としては「子どもの健全な発育発達を考えると好き嫌いは改善しないといけない」「偏食しないように仕向けないとダメ」と危機感を覚えるものでしょうが、中島選手は「子どもファースト」で考えてほしいと願っています。「親は『子どもが喜んでくれる食事を作っている』と考えていても、子どもにとっては『食べさせられている』と感じることもありますよね。子どもは必要だと思えば絶対に食べるし、子ども自身が分かっていることもあると思います。だから、親は自分のことじゃなくて、子どものことを第一に考えればいい。大人の都合を押し付けることなく、心からの愛情を持って食生活を考えてほしいですね」■それって本当に子どものため?親は選択肢を与えるぐらいがいいその考え方は、サッカーにおいても同様です。子どもたちの試合に応援に来る保護者が必要以上にプレッシャーをかけたり、熱くなったりする姿が目につきますが、中島選手はそれも好みません。「小学校のサッカーで、親が横でギャーギャー言っているのをよく見かけましたけど、僕はあれが嫌いで、なくしてほしいと思っていました。ウチの母はサッカー経験者でも何でもなかったですけど、少しうるさかったので、静かにしてほしかったですね」と以前別のインタビューでも語っていたことがありましたが、その気持ちは30代になった今も変わらないと言います。「親が『頑張れ』『しっかりやれ』みたいなことを大声で言っているのを見ると、『誰のために応援しているのかな』と疑問を感じます。それってほとんど自分自身のためじゃないのかなという気がするんです。やっぱり子どもにとって一番いいのは選択肢を与えるくらいの接し方ですね。愛情を持って接していれば、自然とそういう振る舞いになるはずです。親御さんは自分の行動がどういう思いから出ているのかを一度、立ち止まって考えてみるのもいいかもしれないですね」と自身も子を持つ親の1人として、静かに話していました。■サッカーをしている時は心から楽しんでほしい、という中島選手の願い中島選手がそういった発言をするのも、「子どもたちはサッカーをしている時だけは心から楽しんでほしい」という願いがあるからです。人間は成長し、社会に出て、さまざまなタスクを課されるたびに、自由にならないことが増えていきます。サッカーを仕事にしている彼自身も苦手な役割やポジションを課されたり、思うように試合に使ってもらえなかったり、ケガで長期離脱を強いられるなど、思い通りに物事が進まない状況に直面することが少なくありません。だからこそ、子ども時代は純粋にサッカー小僧としての時間を思い切り過ごしてほしい......。そんな切なる願いがあるのでしょう。■プラスの感情や日常生活がプレーに出るそして、アドバイスできる立場ではないけど......、と謙遜しつつもサッカー少年少女の保護者に向けてアドバイスをくれました。「自分はサッカーしかやってこなかった人間だし、何かをアドバイスできる立場じゃないですけど、子どもたちがサッカーをやっている時は、好きにやりたいことをやってもらいたいと思っています。僕自身は周りに恵まれたので、幼い頃からずっとサッカー小僧でいられた。自分にとって居心地がいい人と一緒にいられたら、それは幸せなことですし、そういうプラスの感情や日常生活がプレーにも出るんじゃないかなという気がします。やっぱり楽しかったり、ワクワクしている時の方が体も健康ですし、長生きもできるはず。ただ勝利することに喜びを感じることはないですね。チームや自分がどれだけ上達したかを含めて勝ちたいんです。いつまでサッカー選手を続けられるか分かりませんけど、選手としての時間が終わった時、自分が死んだときに後悔しないような行動をしたい。ずっと生き続けられるのも限らないので、言葉にすると薄っぺらにはなりますけど、今の一瞬一瞬を大事にしたい。そう考えています」サッカーという1つの道をストイックに突き詰めてきた中島だからこそ、言葉には特別な重みがあるし、1つ1つが胸にに響いてきます。サッカーをする子を持つ保護者の皆さんはは今一度、それをしっかりと受け止めつつ、今後の一挙手一投足を考えてみるべきなのかもしれません。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>20
2024年12月10日Jリーグで活躍するプロサッカー選手、柏好文選手は、37歳という年齢にも関わらず、アジリティ(敏捷性)を武器に、攻守に関わり続けるプレースタイルで、多くのファン・サポーターを魅了しています。そんな柏選手に「アジリティの重要性」について、話をうかがいました。体の小さな選手、子どもたちにとって、上達のヒントになる話が目白押しです!(取材・文鈴木智之)■若いときにアジリティを染み込ませたサッカー選手にとって、アジリティ(敏捷性)は、パフォーマンスを左右する重要な要素です。特に攻守の切り替わりや球際の場面で、その真価は問われます。柏好文選手は、アジリティが必要な局面について、次のように語ります。「サッカーにおいてアジリティが必要な場面は、球際の競り合いや、攻守が切り替わる時です。アクションというよりはリアクションの時の方が、アジリティが重要になると感じています」柏選手はヴァンフォーレ甲府でプロキャリアをスタートさせたときから、谷真一郎コーチのもと、アジリティトレーニングを積み重ねてきたそうです。「若い時に体に染み込ませたトレーニングがあったから、この年齢(37歳)までできていると思います。これまで大きな怪我をしたことがありません。もともとの資質が良かったのかもしれませんが、親からもらった素質に加えて、しっかりとトレーニングを積んできたことで、怪我をしない体の使い方や足の運び方が身についたのだと思います」柏選手が取り組んできたのが、ラダーを中心としたトレーニングです。「プロになってから、毎日のようにラダーを踏んでいました。様々な種類のステップや、試合を想定した足の運び方、相手が動いた時に、最も接地時間を短くして、次の動きに移行できるようなステップなど、緻密な動きを体に染み込ませる練習を毎日のようにしていました」■体の無理が利くようになったその効果は比較的早く実感できたそうで、「一年経たずに、足の運びはかなり変わってきました」と振り返ります。「足の運びが速くなったと感じましたし、体の無理が利くようになりました。相手の動きに対するリアクションや、届かないと思ったボールに対して足が出せるようになるといった面でも、大きな変化を感じました。毎日トレーニングすることで、新たな発見があるので楽しかったです」特に印象に残っているのが「接地面についての指導」だと言います。「地面の反動を使って進むことや、足を地面に着くときの歩幅によって、グラウンド状態が悪いと滑ってしまうといった部分は、かなり敏感に指導してもらいました。足の運び方、体の使い方、反転の仕方など、若い時代に毎日のように練習したので、体に染み込んでいます」さらに「谷さんは筑波大学出身で、科学的で理論的な説明をしてくれました。わかりやすいフィードバックをしてくれて、『いまはどこの体の使い方がよくなかったのか』『こうした方が早くなる』といったアドバイスをくれました」と懐かしそうに話します。■小柄な体格がストロングポイントにアジリティトレーニングは、体の小さな選手にとって、特に重要な意味を持ちます。柏選手は言います。「僕自身、体が小さいというウィークポイントを、アジリティによってストロングポイントに変えることができました。僕以外にも、若い時期にアジリティにフォーカスしてトレーニングをしていた選手は、長く現役でプレーしています。そういう意味で、アジリティの重要性はかなり高いと感じています」育成年代の選手たちにとっても、アジリティトレーニングは将来を左右する重要な要素になりそうです。「幼少期に身につけるのと、大人になってから身につけるのとでは、大きな差が出ると思います。足の運びを常に意識しながら頭と体の回路を作ることによって、怪我の予防だけでなく、一歩二歩先のプレーを読むところにもつながると思うので、非常に効果的な練習だと思います」■4マスを集中して取り組むトレーニングには4マスの「タニラダー」が最適だと言います。「4マスは程よい長さですよね。体の使い方のポイントが、わかりやすいと思います。ダラダラと長く続けるよりも、4マスであれば、集中して姿勢や動きの質を意識することができます」アジリティトレーニングは、単なる体づくりを超えて、選手としてのキャリアを大きく左右する重要な要素です。怪我の予防にもなり、体格的なハンデを強みに変える可能性も秘めています。子どもたちにとっては、動きの回路を作る年代に取り組むことで、今後の伸びしろアップに良い影響がありそうです。柏選手は「僕は体が大きい方ではないので、プロになってアジリティを鍛えて、そこで勝負してきました。アジリティを含めたクイックネス、モビリティに意識を向けることで、プロとして長くプレーすることができているので、その重要性は子どもたちに伝えたいですね」とメッセージをくれました。37歳を迎えてもなお、アジリティを武器にピッチを駆ける柏選手。そのプレーに、今後も大いに注目です!
2024年12月10日Jクラブの育成組織、行きたかった街クラブ、トレセンなど、小学生年代でもサッカーで「選考」を経験することがあります。ですが、必ずしも受かるとは限りません。行きたかったチームのセレクションに受からなくて子どもが落ち込む姿を見て、どう慰めればいいのか迷ってしまった経験を持つ親御さんもいるのではないでしょうか。今回は、お子さんがセレクション不合格を経験したことがあるサカイクアンバサダーのKさん(仮名)に、親としてどのような声をかけてお子さんを前向きにさせたのか伺いました。サッカーだけではなく、学校生活や何かに挑戦して失敗したときの声かけのヒントにもなると思いますので、これからセレクションを考えている親御さんも、ひとつの例として参考にしてみてください。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>写真は少年サッカーのイメージ■必ずしも希望したチームに行けるわけではない都市部やJクラブ、有名強豪街クラブがあるような地域だと、セレクションを受けられる年齢になるとこぞって受けだす親子も多くいます。熱心な親御さんだと低学年から情報収集に余念がありません。ですが、多くのチームは指導者がみられる人数に限りがあるため、必ずしも選考結果が希望に沿うわけではありません。Kさん(仮名)のお子さんは、低学年からJクラブのスクールと並行して地元のチームに所属しており、みんなでワイワイ楽しんでいたそうですが、高学年になり本人の「もっと高みを目指したい」」という気持ちから、チームを退団し、憧れのチームのセレクションに挑戦しました。スクールでも上手いほうで、コーチたちにも認められており、期待をもってセレクションに挑みましたが、一度目はいわば補欠として「再選考枠」に。チームに所属できるわけではありませんが、練習に参加させてもらうと共に次回のセレクション参加の権利を得ました。正式な所属選手ではないものの、トレーニングマッチなどにも呼んでもらっていたこともあり、自信をつけて挑んだ2度目のセレクションを受けるも、またしても「再選考枠」。練習やトレーニングマッチに呼んでもらって、指導者にも賞賛の言葉をかけてもらっていたという自負もあり、受けたショックは相当なものだったようです。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>■初めてのセレクション落選で親がかけた言葉最初にセレクションに落ちた時は、何が足りなかったのか自分が一番わかっているだろうという気持ちや、お子さん本人が親に同情してほしいという感じでもなかったそうで「下手に慰めるのもよくないかな」と考え、過剰に声掛けすることはなかったと言います。セレクションがあったのは長期休暇の時だったので、「休みを楽しもうか」「1回切り替えよう。もう一度自分のやりたいサッカーを探してみたら」など前向きな言葉をかけ、それ以降あえてサッカーの話題に触れないようにしていたそう。すると何日か経ってから、お子さんのほうから「自分のやりたいサッカーはさ......」と、やりたいサッカーについて話してきたので、それをじっくり聞いてあげたとのこと。お子さんの性格や年齢にもよると思いますが、わが子が一緒に悲しんでほしいのかどうかをよく見て対応する、という点は一番大事にしたいことではないでしょうか。■2度目のセレクション不合格は大きな挫折に上記のように、お子さんは2度目のセレクションでも希望が叶いませんでした。親であるKさんは、「雰囲気にも飲まれちゃっていたし、即戦力というわけでもなかったので」と振り返りますが、お子さんにとっては2度目の落選に対する落胆は大きく、Kさんはその時のお子さんの姿を「一気に挫折の沼に入っていったという感じでした」と教えてくれました。「チームへの憧れが強くて、2度目のセレクションのために頑張ってきたのにダメだったので『もう、自分はダメなんだ』となってしまって......」(Kさん)これまでずっと「上手い」と評価され、初回で合格はできなかったけれど「再選考」という評価をいただき、練習やトレーニングマッチに呼んでもらえていた事からも、本人が2度目のセレクションにかける期待は相当に大きかったのがわかります。大きなショックを受けた我が子をなぐさめるためにKさんは、「憧れのチームをネタにさせていただきました」と言います。「本当はとても素晴らしいチームなのですが、その時は子どもの力不足には触れずに『あのチームじゃなくてもよくない?あなたの志向するスタイルとちがうんじゃない?』『普段助っ人で入っているチームのほうが見てて楽しいけどな』など、懸命に伝えましたね」チームの悪口を言う必要はありませんが、子どもを慰めるために言い方を工夫する、というのも一つの選択肢かもしれません。■心に受けたダメージで、体にも異変がじつは、憧れのクラブのセレクション合格に向けて努力を重ねたのに叶わなかった、という経験は大きな挫折となり、お子さんの体にも異変が。セレクション後しばらくすると、チック症状が現れたとそう。助っ人参加しているチームの遠征に行った際に、プレーの反応がいつもより遅く、コーチの話を聞いているときに瞼がピクッと動くのに気付いたそう。その場では深く考えていなかったKさんですが、遠征の最終日にはお腹を下してしまい、自分のプレーができず、迎えに来たKさんの前でワッと涙があふれたと言います。「これまでサッカーを知らない私に『どうしたらいい?』なんて聞いてこなかったのに、その時は聞かれて。その後別のキャンプでも瞼がピクピクする症状が出て、これはおかしいなと病院に連れて行きました」(Kさん)■今のチームに入ったら初日でチック症状が消えた写真は少年サッカーのイメージ病院でチック症状と診断され、その後は少しサッカーから離れたそうですが、この秋から知り合いのコーチが指導するチームに所属したところ、初日でチックの症状が消えたそうです。セレクションのためにチームを辞めてから、練習参加や助っ人での試合出場はあったものの、どこにも所属していない不安定さも不安だったのかもしれない。とKさんは言います。これまでは助っ人で入っていたチームも含め、スタメンが当たり前だったお子さんですが、今のチームは上級生がスタメン。お子さんにとっては初めての体験ですが、「見て学ぶ」ことも楽しめているそうです。本当はもう一度憧れのチームのセレクションを受けることもできたそうですが、お子さん自身が『小学生年代ではこれ以上セレクションを受けない』と決めたのだそう。そうした決意と、居場所ができたことで安心感が得られたのかもしれません。「まだ完璧に乗り越えたとは言えないかもしれませんが、チームの中に居場所があるし、サッカーへのモチベーションが戻ってきた気がします」と、再びサッカーを楽しめるようになったお子さんのことを嬉しそうに語ります。そして、「これからも迷うかもしれないけど」と前置きしながら、「子どもの人生だし、自分で決めさせたい。小さい時からそれは実践しているけど、結局は子どもがどう思うかだと思うから」と改めて子育ての軸を確認していました。小学生年代でもチームに所属留守ためにセレクションという選考を経験する子が増えていますが、全員が入りたいチームに入れるわけではありません。落選したとき、落ち込む子どもへの接し方の例として、一つの参考にしてみて下さい。サカイクLINE登録でショップ&イベントで使えるクーポンもらえる>>
2024年12月10日大阪のJグリーン堺を拠点に活動する「AC.gloria girls U15(グローリアガールズ)」は『テクダマ』の監修者としても知られる、三木利章さんが監督を務めるクラブ。創部7年で4度の全国大会出場を誇っています。セレクションなし、平日練習は2回、練習場はフットサルコートという環境ながら、OGは全国の強豪校へ進み、今年度の全国高校選手権出場チームに、多くの選手が名を連ねました。その秘訣と取り組みについて、話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)■OGが全国の高校で活躍セレクションなしの街クラブながら、2年連続で全国大会に出場し、OGが毎年サッカー強豪校に特待生やスポーツ推薦で進学する、グローリアガールズU-15。チームを率いる三木利章さんは「小学生時代に全国大会と縁のなかった選手たちが、グローリアを経て、高校年代で大きな舞台でプレーする機会を得ていることが成果です」と述べます。中学生は小学生と高校生の間に位置する、橋渡しの時期です。三木さんは長年にわたって取り組む『個の育成』について、次のように語ります。「私の役割は、上の年代に進んだ時のベースとなる考え方、概念、技術を植え付け、伸びしろを作って送り出すこと。どのスタイルの高校に行っても対応できるよう、基礎となる土台を広く作ることを心がけています。これには選手の考え方、感性、技術、身体操作、そしてやり切る力が含まれます」グローリアガールズのOGは聖和学園や大商学園を始めとする、全国トップレベルの高校で主力として活躍しています。その根底にあるのが、徹底した個人の強化です。■個の育成にこだわった指導三木さんが掲げるのが『自由自在に動く身体創り』と『自由自在なボール扱い』です。そのためにダンスや体操、リフティング・ボールコーディネーション・コーンドリブルを通じてアプローチしていきます。毎回の練習はダンスや体操から始まり、ブリッジ、横転など、様々な種類の動きを取り入れています。基礎練習ではボールタッチ、コーンドリブル、リフティングといった要素を重視しています。「コーンドリブルでは、アウサイドでボールを押し出す際は、重心移動を意識させたり、スピードを上げること、軸足の使い方を工夫することなど、細部にまでこだわりを持って指導しています」さらに、こう続けます。「その後、1対1、2対2、3対3といった対人の練習に移ります。ここではドリブルの技術や駆け引き、コンタクトプレー、球際の競り合いなどを習得します。これらの練習では勝ち負けがはっきりと分かるため、選手たちの競争意識も自然と高まります」フットサルコートを2面使った試合形式の練習では、あえて大人用のゴールを使って、ミドルシュートの意識を高めたり、守備の素早い寄せにアプローチ。ほかにもタッチ数を制限したり、様々なルール制限をかけて臨機応変さ・柔軟な思考・各ルールの最適解を求めていく脳力を磨いています。レギュラー組の守備陣とサブ組の攻撃陣を組み合わせて紅白戦を実施したり、様々なシステムやポジションでプレーさせる機会を意図的に設けて感じる力・感性を高めていきます。「エコロジカル・アプローチに通じるところがあると思いますが、練習の設定を工夫することで、選手たちは自然と感じたり、考えたり、状況を判断する力を身につけていきます」■2年連続4度目の全国大会出場2024年11月、関西大会で3位に入り、2年連続4度目の全国大会出場を決めた、グローリアガールズ。その道程は平坦なものではありませんでした。三木さんは振り返ります。「私自身、女子チームの指導者として7年目を迎え、新たなアプローチを試みました。これまで全国大会に出場してきましたが、全国では個人の能力差で上回られることも多く、チームとしての対応にも限界を感じていました」そこで今年は4月から全国大会出場が決まるまでの半年間、従来行っていたパスやコンビネーションのトレーニングを行わず、個人の基礎技術を含む『個のチカラ』を高めることに専念したそうです。「1対1、2対2、3対3のドリブルゲームを中心に個人で攻める・個人で守る能力の向上に半年間取り組みました。目標の『全国大会ベスト8以上』を目指すためには、もっと個の力を伸ばさなければいけないと感じたからです」その成果もあり、今年度も3年生全員が希望する高校にサッカー進学が内定やナショナルトレセンに選出されるなど、個の育成面では成果が出ました。一方、パス練習やコンビネーションのトレーニングは行わないため、チームとしての連携は向上せず。関西中学女子サッカーの最高峰である関西リーグ(8チーム総当たり2周りの14試合)では、11節まで1勝しか挙げられず、7位と苦戦を強いられたそうです。「ただ、これは想定の範囲内でした。例年は6:4の割合で個人練習とチーム練習をしていたのが、今年は個人8、チーム2の割合に振り切ったわけですから」そして迎えた9月。個の力が熟してきたチームはリーグ戦で3連勝。勢いそのままに関西大会に乗り込むと、準決勝でINAC神戸に2対3で敗れたものの、3位決定戦に勝ち、全国大会出場を決めました。「チーム対チームの戦いでは、個人の能力差で上回られることも多い」という現実を踏まえ、「個人の局面での成功率・勝率を上げていく」という地道な取り組みが実を結びました。■小学生のアカデミーを開設今年からは小学生対象のアカデミー活動を開始し、毎回30人ほどの選手が集まるなど、盛況の様子。「将来的にはグローリアガールズU-15の選手の7、8割が、アカデミー出身者になることを目指しています」と期待を寄せています。 「なかにはテクダマを使用している選手たちも来てくれているんです。テクダマはあくまでツールですが、身体操作やボール扱いなど、個の能力を高めることの重要性や私の考えに共感してくれている人が集まってくれるのが、非常にうれしいです」特筆すべきは、テクダマの背景にある育成哲学への共感です。単なる商品としてではなく、育成理念に賛同した人たちが購入し、トレーニングに役立てているとのこと。「テクダマを単なる商品ではなく、その背景にある考え方に共感してくれる人が増えているのを感じています。私の考えや発信を知って購入してくれる方も多く、サカイクの記事などを通じて、この考え方が広まれば、自主練に最適のツールとして、テクダマを選んでくれる人も増えていくと思います」 エリート選手ではなく、小学生時代に全国大会に出たことがない、トレセンに選ばれたこともない、決してエリートではない普通の選手たちが「より良くなるために可能性を引き上げる手助けをしたい」と話す三木さん。これからも、彼のもとを巣立つ「普通だった」選手たちが成長し全国各地で活躍することでしょう!
2024年12月06日2023年7月に浦和入りした中島翔哉選手。東京ヴェルディのアカデミーで育ち、中学時代からブラジル留学に赴くなど、早いうちから国際感覚を養う機会に恵まれました。U-17W杯、リオ五輪でも活躍。日本代表でも10番を背負うなど、異彩を放ってきました。所属クラブに目を向けても、ポルトガルのポルティモネンセとFCポルト、カタールのアルドゥハイル、UAEのアルアイン、トルコのアンタルヤスポルと4か国を渡り歩き、異国での数多くの経験値を積み重ねてきました。国内外での経験豊富な中島選手に、それぞれの環境で活躍するために大事なことをうかがってみたのでご覧ください。(取材・文:元川悦子写真:兼子愼一郎)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>中島翔哉選手が語る国内外で活躍するために大事なこと(兼子愼一郎)■大きい選手を「相手にしない」「僕は最初から最後まで海外には適応していません(笑)。ただ、国によって人々の性格やサッカースタイルは違うので、そういうのを理解するのは大事かもしれませんね。中学生でブラジルに行った時は、大きくて強くて速い選手が沢山いました。年上と試合をしたというのもありますけど、それは強く感じました。自分が小さいことも分かっていましたけど、『自分が小さい』とはあまり思っていなかったかな。僕の話は参考にはならないかもしれないけど、大事なのは『相手にしないこと』じゃないですかね」と中島選手は独特の言い回しでフィジカル差を克服する術を語りました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■「なぜ」を考えて探求するのがおもしろいとりわけ、アルアインに在籍した2021年に足首の大ケガを負ってからは、体の使い方や日常の所作などを見つめ直しているといいます。「相手と同じことをやっていたらダメで、不安定を受け入れるというのかな......。自分の体のいい状態というのを探るために、今はチームメートの牲川(歩見)に手伝ってもらって、実験しています。牲川は身長が195センチ、体重も90キロもあって、世界でもそこまでデカい人は滅多にいない。そういう選手に負けないためには、まずムダな動きをなくして速くするという感じですかね。やっぱり"日常の所作"が一番大事なんです。僕自身も以前は、細かく速く動いて俊敏性を生かしてプレーしようとしていました。それって年齢を重ねたらできなくなるじゃないですか。ですけど、現実にはベテランになっても速い人はいる。それがなぜなのかなと考えて、探求するのが、すごく面白いんです」と中島選手は嬉しそうに話します。■ピッチ外の日常の所作が大事自分の体がどう動くか知るとサッカーの動きも変わる彼が注目する"日常の所作"というのは、立ち方や立ち上がり方、歩き方など、誰もが当たり前に行っている動作。その人にとってのいい姿勢や動作が取れれば、優れたパフォーマンスにつながっていくということなのでしょう。「トイレに座る姿勢を例に取ると、背筋をピンと伸ばして真っ直ぐ座っているわけではないですよね。学校で授業を受けていたり、朝礼で話を聞いているときもそう。その人の日常の動きが自然に出るのが一番だと思うんです。それを知るために鏡を見ることもあります。僕が好きな江戸時代の侍は鏡を見て戦わないから、普段はやりませんけど、自分を客観的に見ることも大事なんで、ごくたまにはやりますね。自分の体がどう動くかを知るだけで、サッカーの動きも変わってくるし、俊敏性も出てくる。若ければ若いほど癖は取りやすいでしょうから、自分なりに感覚を磨いていけばいいんじゃないかと思います」と中島選手はジュニア年代の選手に向けて、彼らしいアドバイスを送っていました。「自分は小柄だから大柄な選手には太刀打ちできない」「頑張ってもダメ」と諦めがちな子どもたちもいるかもしれませんが、164センチの中島選手が大男たちを巧みにかわして、数多くのゴールチャンスを演出する姿を目の当たりにすれば、勇気や希望が湧いてくるはず。だからこそ、彼の言葉は大いに参考になるのです。■ドリブルがうまくなりたいなら「中島選手のようにドリブルがうまくなりたい」「自分もフィジカルに恵まれた選手をきりきり舞いさせたい」と願う選手も少なくないでしょう。野心溢れる子供たちに対し、彼はこんな助言も送っていました。「ドリブルがうまくなりたいと思うなら、やっぱり身を任せることじゃないですかね。あとはなるべく最短距離で行くことかな。目の前のスペースが空いているなら思い切って行った方がいい。余計なものを入れないで、自分がやりたいようにやればいいんです。いろんな選手のプレーを見ることもヒントになるんじゃないですかね」■自分の感性を大事にしてこう話す中島選手自身も、ヴェルディジュニアに通っていた頃は元ブラジル代表のロナウジーニョが大好きで、当時の永田雅一監督からバルセロナの映像を見せてもらっていたそうです。「ロナウジーニョが家でもボールをよく触っていた」という話を聞いて、彼自身もボールを抱いて寝ていたというほどの徹底ぶりだったといいます。「ロナウジーニョの試合やフェイント集なんかはよく見ましたし、真似もしました。本当は何も見ないで自分の思う通りにやるのが一番いいとは思いますけど、『うまい選手のプレーを見て練習したい』という気持ちがあるならやればいい。自分の感性を大事にしてほしいですね」中島選手は幼い頃から30歳になった現在に至るまで"サッカー小僧"のまま、ボールを追いかけてきました。そういったアグレッシブかつ貪欲な姿勢を持ち続けられるか否かが、成長への最重要ポイントなのです。彼の言葉から学べることは少なくないと言えるでしょう。(後編に続く)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年12月05日サッカーを通じて子どもの成長を後押ししたい保護者のみなさんへ向けて、不定期に行っているサカイクのオンラインセミナーが11月に開催されました。これまでのべ7000人が参加したサカイクキャンプをはじめ、シンキングサッカースクールで日々子どもたちと接している指導者がこれまで得た知見を提供する場です。今回のテーマは「非認知能力」。最近よく聞く言葉ですが、この非認知能力がサッカーでも必要な理由、サッカーで伸ばせる理由について説明。サカイクが大切にしている非認知能力=ライフスキルも掛け合わせ、わかりやすく解説しました。(構成・文:小林博子)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>非日常の中でサッカーを楽しみながら人間的にも成長するサカイクキャンプ<<わが子の良いところを見つけられない、という保護者におすすめの方法■サカイクコーチによる保護者セミナー今回のセミナーには、菊池健太コーチと柏瀬翔太コーチが参加。二人ともシンキングサッカースクールやサカイクキャンプで活躍しています。菊池コーチはサッカーをする子の父としても、子育ての実体験を踏まえつつ、どうして非認知能力がサッカーでも必要なのか、家庭ではどう伸ばすのかをお伝えしました。質問コーナーでは、小学校の教員免許を持つ柏瀬コーチも参加。今までの知見も踏まえ、アドバイスをしてくれました。これからの社会を生きるために必要な能力、と紹介されているのは知っていますが、実際「非認知能力」とはどんな能力なのか、どう育てればいいのか。同じような悩みや疑問をお持ちの方はきっと多いはず。セミナー中にいただいた質問と回答を記事の最後に紹介するので、最後までご覧ください。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■非認知能力とは?子育てをしているとたびたび耳にする「非認知能力」というワード。これからを生きる子どもたちにとって大切な能力だとぼんやりと知りつつ、それがどんなことなのかや、具体的にどうするとその能力を伸ばすことができるのかなどはあまり理解されていないかもしれません。まずは、セミナーの冒頭に非認知能力を2つの概念でご紹介しました。・生きる土台となる力・テストなどの数値で測れない能力テストの点数やスポーツのタイムなどで測ることができるのは「認知能力」です。その反対の非認知能力は、ひとことで言うならば「生きる土台となる力」。社会性や自分の心の働きを高める能力のことで、子どもの成長にとってとても大切なものであると近年は言われています。■非認知能力=ライフスキル!サッカーで能力を伸ばせる非認知能力は数字で測れない分、力のあるなしを目に見える形で評価することはできません。また、非認知能力には正解がなく、大人にとってもつかみどころが難しいかもしれません。そこで提案するのが、サカイクが子どもたちにサッカーを通して身につけて欲しいと考えている「5つのライフスキル」について知ってもらうこと。サカイクが提唱するライフスキルはと、非認知能力の中から、小学生年代で身に着けてほしい要素を抽出したものです。セミナーで使用したスライドより試合も練習も、チームメイトと協力して動き、常に細かな判断が必要なサッカー。仲間と共に「勝つ」という目標達成に向かって協力し、努力することは非認知能力を伸ばす絶好の場とも言えます。ライフスキルは、「サッカーで勝つ」だけでなく「人としての成長」を重要視しています。この能力があれば、サッカー選手としても社会に出ても、協調性や主体性をもった人間になれ、結果もおのずとついてくることでしょう。■5つのライフスキルをそれぞれ解説サカイクが提唱する5つのライフスキルセミナーで使用したスライドよりサカイクキャンプでは5つのライフスキル身につけてもらうべく、スタッフ全員が常に意識して子どもたちに接します。セミナーでは詳しくご説明しましたが本記事では指導者がどのような接し方や声がけをしているかを簡単にご紹介します。①考える力大切にしているのは「考える機会を大人が奪わない」こと。大人は離れて見守ります。自分で考えてうまくいったことは強烈な成功体験として記憶に残り、さらなる「考える力」につながります。②リーダーシップライフスキルのリーダーシップは、「相手の立場に立って行動すること」です。キャンプ中ピッチの中だけではなく、ピッチ外や部屋でもたくさんみられます。自分が周りのためにやるべきことができたことは大きな自信につながります。③感謝の心「サッカーができることは当たり前ではない」と気づいて楽しんでサッカーをしてほしいです。楽しんでサッカーをすることに関しては、「自分が楽しんでサッカーをする姿を見ることが、保護者や周りの大人は一番嬉しいこと」と子どもたちに伝えています。④チャレンジミスしないようにするのではなく、ミスを怖れずにチャレンジする気持ちに価値があると伝えることから始めます。ただし、「ミスをしてもいい」というわけではありません。キャンプでは「ミスのレベルをあげること」も伝え、常に高い目線でのチャレンジを促します。⑤コミュニケーションサッカーは試合での目標達成(勝利)のために仲間とのコミュニケーションは不可欠です。サカイクが大切にしているコミュニケーションは「プラス」のもの。常にポジティブな言葉を選び、チームの士気が上がる雰囲気作りを重視します。■非日常の中では「非認知能力」が伸びやすいコロナの時期を経て、宿泊を伴う合宿や修学旅行などが中止になってしまい、初めて親元を離れて子どもたちだけで過ごす場となった子も多かったここ数年のサカイクキャンプ。日常から離れ、当たり前が当たり前でなくなる3日間で、参加者はたくましく成長し、その中でライフスキル=非認知能力がぐんぐん伸びます。キャンプに参加するスタッフはその伸びを最大限にすべくサカイク10か条の中で3つ目の項目である「信じて見守る」ことを特に徹底しています。サカイク10か条参加者の保護者のみなさんからも、「参加してから子どもの意識が変わった」「キリッとした顔つきで返ってきた」などのお声があり、サッカーのスキル上達以外の部分で、効果を感じてくださる方が多いようです。■保護者の悩みや疑問にアドバイスセミナー後、ご参加いただいた保護者のみなさんから、家庭での子どもとの接し方に関してたくさんの質問が寄せられました。それらを紹介します。皆さんの抱えていた悩みを解決するヒントになるかもしれません。<参加者からの質問と回答>質問:つい口を出しすぎてしまいます。どう関わったら子どもの成長に繋がりますか?回答:口を出してもいいんです!ただし、本人が苦労することで成長が見込めるような場面では「目をかけて手を貸さず」を意識してぐっとこらえてみてください。質問:「感情でモノを言うな」と言われますが、愛があるゆえに感情が沸き上がるものだと思います。感情的になってしまうのは悪いことでしょうか。回答:大切なお子さんへの愛があるゆえに感情的になってしまうのは自然なこと。悪いことではありません。ただ、発した言葉を受けた子どもの表情は見逃さないで。ただ怒るだけなど一方通行にならないようにするだけで違うと思います。後から客観的に振り返って、言い過ぎたと思ったら次はそうしないようにしてくださいね。質問:小学1年生の子どもに挨拶やお礼をしっかりさせるにはどう促したらいいですか?ちなみに子どもは我が強くあまり親の言うことを聞かない性格です。回答:お子さんも挨拶しなきゃとは思っているはず。まずは大人からいい挨拶をしてあげて良いお手本になってください。キャンプやスクールでもコーチたちから率先して挨拶をするようにしています。元気に挨拶をすると、元気な挨拶が子どもたちから返ってきます。それを続けることで、挨拶の大切さがだんだんとわかってくると思います。質問:親の言うことは聞かないのに、コーチが言うことは素直に聞きます。言い方の問題なのか、親への甘えなのか悩んでいます。回答:それは親子の関係がすごく良く信頼関係があるからこその状況です。成長過程において自然なことです。サッカーが大好きな子どもにとって、コーチは大人の中で"最上位"ですから。だから子どもにとって親の言葉より響くことがある、ってだけなので深刻に悩まなくて大丈夫です。質問:我が子は「友達がやらないなら自分もやりたくない」とサッカーや他の習い事での行動がすべて友達ベースで困っています。回答:素敵なお友達がいて、コミュニケーション力があり仲間を大事にするお子さんなんだと思います。ずっとそのままということはないはずなので、将来自分の意思で友達とは別の何かをやりたいと言うまで寄り添いながら見守ってあげてください。質問:サッカーは自由なものだから、まずはやりたいことにチャレンジをしてたくさんミスをしてもいいと伝えていますが、あまり運動が得意な子ではないので、ミスした分を取り戻せない機会が多く、だんだんチャレンジをしなくなってしまいました。ミスを恐れないようにしてほしいのですが、どう接したらよいでしょうか。回答:うまくいかないことの方が多くて向上心が高まらないのはよくあることです。ライフスキルの「チャレンジ」の項目でもお話ししましたが、「結果としてボールを奪われちゃったけど、その前にここは運べたから良かったよね」とかミスの前後に何があったかも合わせて話をしてみてください。ミスと同じぐらい良かったところを探して伝えてあげることが非常に大事です。また、運動能力の高い低いにかかわらず、子どもは日々成長しています。その成長や変化を認めて伝えてあげることも大切です。質問:主体性のある子になってもらいたいです。親としての心構えを知りたいです。回答:興味のあることに、とことんチャレンジさせてあげることが主体性を育むのに有効です。できれば一緒にその興味のあることに伴走して、子どもができたことを盛大に褒めて成功体験にしてください。どんな些細なことでも、子どもにはキラリと光る何かが必ずあります。その部分に共感してあげましょう。数字などわかりやすい結果では出てこないため、非認知能力が伸びたかどうかはすぐには感じないかもしれません。家庭だけ伸ばすのはなかなか難しい力でもあります。そこで、サカイクキャンプへの参加を選択肢の1つにしていただけたら嬉しいです。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年12月02日ゴールに迫るほど視線がGKにフォーカスしてしまうのか、真正面に蹴ってキャッチされてしまう。焦って強いシュートを蹴るよりも、空いているほうにシュートしたほうがゴールできるよ、と伝えているが中々難しい......。というご相談。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、オシムさんが実践していた方法も交えアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<公式戦が終わってから中学入学までの指導、何をすればいい?中学に向けて11人制の準備をしたほうがいいのか教えて<お父さんコーチからの質問>子どもが通っている小学校のクラブで保護者兼コーチをしています(担当はU-10)。隣に保育園があって、未就学児も一緒に練習しています。高校までサッカーをしていたのでわが子をきっかけにサッカーに携われて嬉しいです。でも自分がプレーするのと教えるのは難しさが違いますね。相談したいのは、シュートするときにキーパーがいないところ(空いているところ)に蹴ることを意識させることです。キーパーとの距離が近づくほど、視線がキーパーにフォーカスしてしまうのか、真正面に蹴ってキャッチされる子が多いです。焦って強いボールを蹴らなくてもゴールはできるから、空いてるところ(取られないところ)に蹴ろうね、とは言っているのですが......。中学年ぐらいだと、脳や体の発達的にも無理はないのかもしれませんが、視線と足元の動きを別にする、というか広い視野をもって判断できるようになるにはどうしたらいいでしょうか。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。キーパーの正面に蹴ってくる子どもは多いです。おっしゃるとおりです。■空いているところに蹴ればゴールになる、という感覚を養うのが大事コーチから「(ゴールの)空いているところに蹴ろう」といったアドバイスはして良いと思います。強いボールを蹴らなくても、空いているところに蹴ればゴールになるよ、と。その感覚を養うことが大切です。子どもたちは、決めたいのでシュートを打つ瞬間、どうしても力んでしまいますから。そのことも考慮して、4年生くらいであれば「あわてずに最後までよく見てごらん」と言ってあげてください。シュート練習でコーチがキーパー役を務めてあげてもいいでしょう。来たボールを単にセーブするのではなく、例えば蹴る瞬間に左右のどちらかに動いてあげてください。コーチが動いたほうと逆の、大きく空いたほうに蹴るよう指導します。その場合、年齢が低ければなるべく大きく動く。高学年なら打つ瞬間に小さく動く。そうやって難易度を調節してあげてください。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■オシムさんも実践していた、関節視野でボールをとらえる練習法似たような練習、といってもプロなのでより高度ですが、オシムさんもジェフの選手たちにさせていました。ギャラリーが多いとさまざまな試みを見せてくれるのですが、ある日ポストシュートの練習を始めました。オシムさんがゴール裏に立ち、選手に「私が指さしたところにシュートを打ち込みなさい」と命じました。そして、選手がシュート動作に入る瞬間、人差し指を上下左右に振って、シュートを突き刺す場所を指示するのです。すると、当時ジェフのエースFWだった崔竜洙(チェ・ヨンス)ら外国人選手たちは全員間違いなく、ノッキングを起こさずなめらかなシュート動作を見せました。ノッキングとは、走ってきて合図が出て蹴るまでに、一瞬躊躇して止まることを指します。外国人選手と違って、当時の日本人選手たちはノッキングしてしまう。動作がぎくしゃくするのです。つまり、外国人選手たちはオシムさんを見ながら、間接視野でボールを見ていましたが、日本人はそれができませんでした。■ゴールを2つ置いて判断させる練習法もうひとつ、子どもにわかりやすいメニューを紹介しましょう。子ども用の小さなゴールを2つ置きます。その真ん中にキーパーがひとり立ちます。子どもたちに「さあ、どっちのゴールにシュートを打ち込みますか?」と言って順番に蹴っていきます。4年生くらいなら、ゴールとゴールの間を1メートル弱ほど空けるといいでしょう。そのくらいならキーパーも守れるかもしれません。ゴールが左右2つあるので、子どもたちにとって判断しやすくなります。真ん中に蹴らずにすみます。キーパーだけが守らなくてもいい。みんなで交代にキーパーをやってどんどんシュートすればいいでしょう。■日常ではしない動きで神経機能を高め、眠っている能力を活性化加えて、ご相談文にある「視線と足元の動きを別にする」という視点は、神経系が発達する小学生にはとても重要です。この神経系の機能を高めるには「ライフキネティック」が有効です。ライフキネティックは世界最先端の脳トレと言われ、ドイツ人のホルスト・ルッツが独自に開発した「運動、知覚、認知を組み合わせたエクササイズ」です。ライフキネティックの運動メニューは、例えば右手と左手で違う動きをさせるなど、年齢や体力に関係なく、誰でも楽しくできるのが特長です。日常ではやらないような動きをすることで、神経細胞間に新しいつながりを作り出す。つまり、眠っている能力を活性化します。そうやってシナプスを増やすことで、情報処理の速度が高まると考えられています。■鬼ごっこなど昔の遊びも神経系の機能を高めるのに効果的神経系の発達を促すメニューは専門書などで入手できますが、いわゆる「昔遊び」をいっぱいしている子どもたちは神経系が優れています。代表的なものが「鬼ごっこ」でしょう。鬼として追いかけるとき、鬼から逃げるとき。相手の動きを予測して反応したり、相手を騙したり、そんなことを私たちや親世代の方々は子どものころからしてきたはずです。しかも、地面がでこぼこしていたり、雑草が生えている原っぱだったり、田んぼだったりしました。そういった経験そのものが、ライフキネティックと同様の効果を生んでいたわけです。フランスでは、小学校にクライミングウォールを設置し、子どもたちが遊んでいます。が、そこには遊びの中で自然に子どもたちの神経系を高め、体のバランスを整えようという狙いもありそうです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■ユルゲン・クロップ監督も実践!神経系はある程度大きくなってからも鍛えられる(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)前述したように神経系は子どもや若年層で鍛えるものという考え方がありましたが、ユルゲン・クロップ監督がライフキネティックを導入して成功させました。ブンデスリーガで、成人のプロ選手たちのトレーニングにこのメニューを取り入れたのです。大人でも訓練すれば鍛えられるのです。日本でもライフキネティックのトレーナーが育っているようですし、取り入れているクラブも増えています。そんなことも参考にして、子どもの力を伸ばしてあげてください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年11月29日感情に任せて怒るのはよくない、暴力暴言など言語道断。という意識は学校やスポーツ、各種習い事の現場でもだいぶ浸透しています。理不尽に怒るのはダメだとわかっているけど、親である自分自身も「怒る」「叱る」の違いを教えてもらったこともないし分からない、でもほめて甘やかすだけでは社会でやっていく力がつくと思えない......。学校やスポーツの場でも甘やかすだけでなく、ダメなことをしたときはきちんと叱ってほしい、という声も。サカイクアンバサダーにご参加いただき、サカイクキャンプやスクールで大勢の子どもの指導にかかわっている、柏瀬翔太コーチに「怒る」と「叱る」、「褒める」について相談してみました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>少年サッカーのイメージ<<わが子の良いところを見つけられない、という保護者におすすめの方法■もともと「怒る」指導はしないよう気を付けているが......サツマさん(仮名)は、未就学児から高校生までの指導を行うスクールの運営者であり、以前よりサカイクの理念に賛同いただいていたそうです。ゆえに、スクールで理不尽に怒ることはしないそうですが、小学生年代だとどうしても些細なことで言い合いが起こり、そのなかで相手の人格を否定するような場面も多々あるそうです。そんな時にはきちんと叱って理解させているつもりだけれども、子どもたちが「どうして叱られたか」を理解してほしいので、改めてサカイクコーチと話して自信を深めたいという思いでご参加いただきました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■怒ることは相手の判断や思考を奪うこと「怒る」と「叱る」の違いについて見解をうかがうと、柏瀬コーチはこのように回答しました。「怒るというのは、子ども自身が振り返って判断し考える回数を少なくする行為だと思っています。怒ってしまうと、相手は『これをしなきゃいけない』と考えや判断をかなり狭めてしまうと思っています。叱るというのは、振り返り考え判断することが『怒る』よりも多く発生する行為だと思うので、そこを基準にしています」悪いことをしてしまった、友達に暴言を吐いてしまった。そんな時に「どうして言ってしまったのか」「この後どうしたらいいのか」を自分で考えて導きやすくさせることが「叱る」という行為ではないかと考えている、とご自身の見解を示しました。■「叱る」とともに原因の「振り返り」をすることで未来に目が向けられるスクールやキャンプなど、最初はおとなしくても仲が良くなると子ども同士の言い合いなど諍いが起こることは珍しくありません。子どもたちのトラブルの時は、きちんと叱って諭すこともあるそうですが、叱ると同時に大切なのは原因の振り返りだと柏瀬コーチは言います。例えば、ファウルがあったか無かったかがキッカケで暴言を吐いた子がいたとして、「どうしてそういう事を言いたくなったのか。何が原因でいま怒っているのか」を本人に振り返らせると、「こういうプレーが嫌だったから」などその子の感情が見えてきます。それに対して「じゃあ、さっきはお互いそのプレーで言い合いになったけど、どうしたらもっと良いプレーができただろうね?」と未来に目を向けさせることを意識しているのだそうです。それを聞いてサツマさんは、「僕もしょっちゅう感情的にはなってしまうんですが、そこは『怒り』を出すのではなく、理解させることを意識するようにしています」と、自身のスタンスに自信を深めた様子でした。■自分たちで発信できる時代、いい指導を広めていく少年サッカーのイメージ聞くと、サツマさんの周辺クラブにはまだまだ怒鳴ったり、「今の時代そんな言葉で指導するのはダメでしょう」と言いたくなるような指導者もいるそう。「運営しているスクールにはいろんなチームの子が通っているので、保護者からも相談を受けるし、スクール生のチームの試合を見に行くと、未だにオラオラ系の指導者もいます。第三者からしても『えっ!?』と驚くような罵声も......」と明かしてくれました。それでも、現代はSNSの普及もあり、良いことをしているチームの情報も伝わりやすくなっています。旧態依然の指導者を変えることは難しくても、自分たちの理念を発信して共感してもらうことができる時代です。指導者自身が情報を発信することで、そこに気づいて賛同してくれる同業者や保護者が増えることによって、子どもたちのサッカー環境を良くする活動を続けていく、とご自身の行動に自信を深め、決意を新たにしていました。■いいプレーは具体的に褒め、人として良くない言動はしっかり叱るサカイクキャンプ今冬も開催が決まっているサカイクキャンプでは、いいプレーは具体的にどこが良かったか褒めます。そして、フェアじゃないプレーや人に危害を加えたり傷つけるような言動が見られたらコーチたちがしっかり叱ります。サッカーを楽しみ、技術が向上するだけでなく、親元を離れ、一人で考える経験をたくさん積む3日間の中で、人間としても成長するキャンプです。サッカー歴、現在のレベル関係なく小1~6年生までどの学年も楽しめるプログラム、選手として伸びるきっかけとなるキャンプとなっていますので、お子さんを参加させてみませんか。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年11月25日感情に任せて怒るのはよくない、という意識は学校やスポーツ、各種習い事の現場でもだいぶ浸透しています。理不尽に怒るのはダメだとわかっているけど、親である自分自身も「怒る」「叱る」の違いを教えてもらったこともないし分からない、でもほめて甘やかすだけでは社会でやっていく力がつくと思えない......。という不安の声もありますよね、サカイクアンバサダーにご参加いただき、サカイクキャンプやスクールで大勢の子どもの指導にかかわっている、柏瀬翔太コーチに「怒る」と「叱る」、「褒める」について相談してみました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>少年サッカーのイメージ<<サッカー経験もないのに監督目線で子どものサッカーに口出しするのをやめさせる方法■「サッカーでつらい思いをする子が出てほしくない」と参加サイトウさん(仮名)は、中1のお子さんを持つお母さんで「夫がサッカー経験者で、今も少年団のコーチをしています」とのこと。サッカー経験者の父親というと、子どものサッカー上達に熱心なタイプと、チームに任せているからと口を出さないタイプがいらっしゃいますが、サイトウさんのご家庭では、父子で「今のプレーの意図は?」など対話をしながらコミュニケーションを図るタイプだったので、ご自身のお子さんに関して「怒る」「叱る」の悩みは抱えていないとのこと。わが子に関しては悩んでいないけれど、チームの中に親が熱心すぎて子どもにあれこれ言ってしまい、練習場に行けなくなるほど精神的に追い込まれた子がいて、身近にいる大人として何かできることはないか、と参加を決めたと教えてくれました。幸いその子は現在回復してサッカーを再開しているそうですが、親の接し方によって大好きなサッカーができなくなる、そんな悲しい子がでてほしくないという切実な思いを抱えての参加でした。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■子どもは大人の思う通りには動かないサイトウさんの悩みに対して柏瀬コーチは、チームの子のために参加いただいた姿勢を称賛し、自身の指導スタンスを教えてくれました。「子どもだって一人の人間であり、自分の思うように動いてくれるものではありません。スクールやキャンプでは、一人ひとり自分と違う考えがあって当然だと心にとめて指導に当たっています」そして、以前スクールで対応したエピソードを教えてくれました。スクール活動中、ピッチサイドから子どもにダメ出しをするお父さんがいたそうで、練習中ずっと「もっと下がらなきゃダメだろう」「もっと上がらないと」「もっと守備を~」など、大声で叫び、子どももお父さんの声を聞き、緊張した面持ちでプレーしていたそうです。その際コーチがとった対応は、保護者に「止めてください」と注意するのではなく、挨拶し少し会話をしたあと「お子さんの良いところってどこですか?」と語りかけること。相手は唐突な質問に戸惑ったそうですが、「家では下の子に優しいんです」「食後に食器の片付けもしてくれたり、いい子なんですよ」など、うれしそうな表情で我が子の良いところがどんどん口をついて出てきたそうです。そのタイミングで「ではプレー中もたくさん良いところがあるので同じように伝えてあげてください」と冗談っぽくお伝えしたら、相手の方にも意図がやんわりと伝わったのか「言い方がよくなかったのかな」と反省されたようで、その日以降ピッチサイドからダメ出しをすることはなくなったのだそう。直接的な言葉で伝えると、相手が機嫌を損ねたり態度を硬化させることもあります。一方、我が子のいいところをコーチも認めてくれると親も嬉しくなりますよね。保護者と指導者の関係性をよくすることも、子どもたちを守ることにつながるとコーチは教えてくれました。これを聞いて、サイトウさんも「なるほど。そういったアプローチがあるんですね」と納得の表情を見せていました。■どうしても我が子の良いところをを見つけられない人は......親御さんたち自身、褒められて育った人が少ない年代ということもあり、人を褒めること自体に苦手意識を持っていたり、自分の子を褒めるのが恥ずかしいとか、くすぐったい感覚を持つ人もいますよね。わが子の欠点や良くないところばかり目についてしまう、どこを褒めたら良いの?と悩んでしまう方も多いもの。そんな方へのアドバイスとして柏瀬コーチは、「他の子を褒めてみる」というアプローチがあると言います。これはもちろん、他の子と自分の子どもを比較するということではありません。自分の子どもばかりに目を向けるのではなくほかの子の良いところに目を向けてみましょう,、という意味です。さらに自分の子には言えなかった「ナイスプレー」などのポジティブな言葉を他の子にかけてみてほしいとのこと。自分の子どもの良いところを見つけられない人でも他の子の良いプレー・行動は比較的見つけやすく伝えやすいですよね。まずは試合や練習などで他の子どもたちの良いところをたくさんみつけ伝える。そういった習慣がついてくることで我が子のプレーを見た時にも「お、今のプレー良いじゃない」「いいディフェンス」など、自然とポジティブな見方になるのだと教えてくれました。そうしていくと自分の子どもに対して褒めるという行動・表現がしやすくなっていくそうです。わが子じゃなく他の子を褒める、つまりは人の良いところを見つけ伝え、表現していくことに慣れていくことが自分の子どもを見る目を変え前向きな言葉かけのきっかけになるのだそうです。初めて耳にしたアプローチ方法に、サイトウさん始め参加者たちは、目から鱗が落ちたような表情で聞き入っていました。■「褒め方」にもポイントがある何でもかんでも褒めるのはダメ少年サッカーのイメージいいプレーは褒める、人に危害を加えたりよくない行動は叱って考えさせる。スクールやキャンプでずっと徹底していることですが、褒めることにも注意点があると柏瀬コーチは言います。それは、何でもかんでも褒めすぎないこと。褒めるときは具体的に言うこと。指導者を始めたばかりのころ、すべてのプレーを褒めていた柏瀬コーチ。ボールコントロール、パス、シュート。一つひとつに「ナイスプレー」と言っていたら、ある時選手に「今、何がナイスプレーだったの⁉」と怒りながら言われたのだそう。全部に「ナイス」と言われても、子どもにとってはどのプレー、どの判断が「ナイス」だったのか伝わっていなかったのです。そこでハッと気づいた経験から、褒めるときも叱るときも具体的に言葉にするようになったのだそうです。具体的にどのプレーがよかったか言ってもらえると、自信もつくもの。この冬も、そんなコーチたちが指導に当たるサカイクキャンプを開催します。サカイクキャンプでお子さんに自信をつけさせてあげませんか。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年11月22日年中からサッカーしているが、公園で友達に誘われてもサッカーしたがらない、サッカー経験者の夫ともサッカーしない。上手くなりたいと言うけど自主練は嫌がる。下手を自覚しているのにバレたくない感じを出すし、上級生が「教えようか」と言ってくれても拒否。本当にサッカー好き?楽しんでるわが子を見たいのに、しんどい。というご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、悩めるお母さんにアドバイスを送ります。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<コーチのアドバイスに聞く耳を持たず言い訳ばかりする息子。父親として何もできず悩みます問題サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>><サッカーママからのご相談>年中からサッカーを習い始め、「サッカーを楽しもう!」と言うチームに小2まで通っていましたが、あまりにも技術が身に付かず。自分でも下手な自覚はあるようでした。公園などで友達に誘われてもサッカーをしたがらない、サッカー経験のある父(夫)ともやりたがらない、なぜサッカーをしているのか親としては分かりませんでした。小3になり、上手になりたいと言うようになったので話し合い、本人の意思で 昔から強いと評判の少年団に入りました。少年団は、みんな基礎がしっかりしていて、勝つ為にサッカー中心の生活をしている子ばかり。やる気がない子には怒るし、上手くなると褒めてくれるような子ばかりです。以前に比べたらドリブルもずいぶん上手くなりましたが、練習中も試合中も周りがガツガツ動くのでボールを触る回数はわずかで、試合に出してもらえるのも勝ちが決まった試合の後半などのみ。コーチも上手な子たちに比べて我が子には期待もしていないのか、特に声を掛けたりもほとんどない状態。 試合から帰宅すると「何もできなかった......」と落ち込んだ様子ですが、だからと言って自主練をするわけでも試合の動画を見返すわけでもありません。練習中も、自分が下手なのを見られたくない、バレたくない、と言った感じが伝わってくるような気まずそうな顔をしていたり、「教えようか?」と上級生が来ても「今はまだいい......」と拒否したり。親としては見ていてもどかしく、サッカーが好きなのかわからなくなっています。辞めることを提案しても辞めたくないと必ず言うし、頑張りたい、上手くなりたいと言うけれど自主練を嫌がったり、「アドバイスされると命令されてるみたいで嫌」と嫌がります。自信がない中でも毎日文句ひとつ言わず練習に通い頑張っているとは思うし、昨日の自分と比べたら上手になったね!と褒めてはいますが、もっとチャレンジしなさい、考えなさい、練習しなさい、と言ってしまっているのも確かです。関わり方がわからず最近しんどいな、と感じています。きっと本人はもっと息苦しい思いをしているかもしれません。楽しんでプレーしている息子が見たいから、もう何も口出ししない、褒める以外は何も言わない、と決めたのですが、試合中ベンチで砂いじりをしている息子を見て叱ってしまったり、結局どうしたらいいのか頭を悩ませています。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。結論からお伝えします。お母さんは何も悩む必要はありません。ご相談文に書かれているように「もう何も口出ししない、褒める以外は何も言わない、と決めた」を貫かれたらいいのです。正しい道をご自分できちんと見つけています。■口出ししない、褒める以外何も言わないの判断はとても良いお母さんが頭を悩ませている対象は、息子さんではなく「砂いじりをしている息子を見て叱ってしまったり」する自分自身ではありませんか。仮にそれをお話ししたら、恐らく「わかってはいるけどできないんです。だから困っているんです」と言われそうな気がします。こうすればいいとわかっているけれどできない。そんなとき、私たちはどうすればいいでしょうか。私が提示したい対策があります。それは、お母さんが「こうすればいい」と考えた理由を深く掘り下げること。例えば「なぜ、そうすればいいのか」。多くの「なぜ?」を考えましょう。そこが腹落ちすれば「こうしたほうがいいんだよねえ」と漠然と感じてきたものが「絶対にこうしよう」という信念に変わります。そもそも、口出ししないと決めたのは、干渉することは逆効果だと感じたからではありませんか。さらに「褒める以外は何も言わない」は否定することが、悪影響だと考えたからですよね。この手法の変更は、とても良いと思います。信念に変えるため、やってほしいことが2つあります。■言葉や行動の表面で判断せず、その裏にある「なぜ?」を考えようまず息子さんの言葉や行動の表面だけ見て判断せず「この子はなぜこうなるのか?」という「なぜ?」を、ここでも考えましょう。例えば相談文に「下手な自覚はある。公園などで友達に誘われてもサッカーをしない、サッカー経験の父親ともやりたがらない」とあります。さらに「辞めることを提案しても辞めたくないと言い、頑張りたい、上手くなりたいと言うけれど自主練を嫌がり、アドバイスされると命令されているみたいで嫌と言う」とお子さんの様子が詳細に書かれています。この状況、私からは、公園でやらないのは友達に何かネガティブなことを言われるかもしれないと予防線を張っているように見えます。サッカー経験のある父親からも同様の予想をしていると思われます。お母さんから見ても、自分が下手なことを知られたくないことが伝わっているようです。この様子からすると、今息子さんは、サッカーに取り組むために必要なエネルギーがなくなっている状態です。車がガス欠のため、自分で懸命に押して動かしているようなもの。ガソリンになる自己肯定感が著しく低下しています。■一見ポジティブだけど「現状のままではダメ」という意図が含まれている声かけになっているそして、それは息子さんのもともとの性格もあるかもしれませんが、周囲の大人たちの接し方に課題があるのかもしれません。砂いじりをしたことを叱るなど最近言い過ぎたということのみならず、息子さんが小さいときからの子育てはどうだったかに注目してみましょう。励ますつもりが「もっと挑戦しなさいよ」などと命令調になっていなかったでしょうか。ああしろ、こうしろと、本人の意見や好き嫌いを無視して指示や強制をしていなかったでしょうか。もっと挑戦しなさい、という言葉は、一見励ましているような、ポジティブな言葉に聞こえます。が、「もっと○○しなさい」は、現状のままではダメだという否定の意味も含まれます。無論、「もっとできると思う。信じてるよ」といった励ましが効果的なタイミングもありますが、それは、すでに子どもがそのことを、ある程度主体的に自分で考え遂行できているときです。今の息子さんには「僕はOK。どんなことがあっても大丈夫」といった自己肯定感が持てていません。それなのに強い言葉や態度で追い詰められるので、「お母さんやお父さんはいつでも助けてくれる」といった心理的安全性も確保されていない。こころのコンディションがよくありません。このような状態なのに「努力しないのになぜサッカーしてるの?」とか「本当にサッカー好きなの?」と自分への評価を突きつけられています。もうお気づきだと思います。これは息子さんではなく、お母さんの問題なのです。「え?私が悪いの?」とショックかも知れませんが、そこを逆手にとってください。■家を安全基地にすることで子どもはエネルギーをチャージできる(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)なぜならば、お母さんが変わりさえすれば、息子さんは変わる。このように考えて、矢印を自分に向けましょう。これが2つめです。ただし、何か新しいことをする必要はありません。冒頭で申し上げたように、すでにお母さんは対策を知っています。「何も口出ししない、褒める以外は何も言わない」これが正解だという確信をもって、ご自分の対応を変えましょう。そして夫にもそのことを伝え、家庭を息子さんが安心して過ごせる安全基地にしてください。そうすることで、息子さんはエネルギーをチャージできます。昨日の自分と比べたら上手になった、などと褒める必要はありません。自分がうまくなったかどうかは本人が一番わかっています。美味しいご飯を作って洗濯をしてあげてください。そして、君がご機嫌に過ごしてくれれば十分だと伝えましょう。何かしなければという足し算ではなく、無駄なことを削っていく引き算で子育てしてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年11月20日子どものサッカー歴、サッカーの上手い下手、チームの強弱関わらず、すべての保護者が大事にしてほしいこと保護者会などで、選手の親御さんに向けて少年団/クラブの方針をお伝えする機会を設けるチームも多いと思います。保護者の中には我が子に「うまくなって高いレベルでプレーしてほしい」と期待をかける親御さんもいるでしょう。ですが、小学生など育成年代においては、結果よりも先に大切にしてほしいことがあります。それが、こちらの「子どもが心からサッカーを楽しむためのサカイク10か条」です。既存メンバーの保護者も、最近チームに入った子の保護者も、子どもがサッカーを楽しんでほしいと思うならぜひ心得てほしい10の項目です。この保護者に大切にしてほしい「サカイク10か条」のチラシを、希望されるチームにお送りします。ご希望のチームは以下のフォームよりお申し込みください。【応募】サカイク10か条チラシ申し込みはこちら>><このチラシが届きます>■サカイクが「親の心得」を作った理由プレーする子ども自身が、サッカーの面白さや楽しさ、プレーする喜びを感じることが大切なのです。それを知る前に、結果ばかりを要求されると、子どもたちはサッカーから心が離れていってしまいます。プレーするのは子ども自身。まずは、子どもたちが心からサッカーを楽しめるよう、親がサポートしてあげることが大切です。そのために、親はどうサポートすればよいのかをまとめたのが「サカイク10か条」です。子どものサッカーに関わるお父さん、お母さんに大切にしてほしい親の心得となっています。子どもが心からサッカーを楽しむための「サカイク10か条」1.子どもがサッカーを楽しむことを最優先に考えよう2.今日の結果ではなく、子どもの未来に目を向けよう3.子どもの力を信じて、先回りせずに見守ろう4.子どもは小さな大人ではないことを理解しよう5.コーチやクラブの考えを聞いてみよう6.ダメ出しや指示ではなく、ポジティブな応援をしよう7.あなたが子どもの良いお手本になろう8.子どもの健康や安全に気を配ろう9.サッカー以外のことを大切にしよう10.笑顔で子どもとサッカーを楽しもうサカイク10か条の説明を見る>>子どもがサッカーを心底楽しみ、自ら伸びていくのに必要な「親・大人の接し方」のガイドラインになるものです。ぜひチームと保護者の皆さんで共有してください。【応募】サカイク10か条チラシ申し込みはこちら>>
2024年11月19日感情に任せて怒るのはよくない、という意識は学校やスポーツ、各種習い事の現場でもだいぶ浸透しています。理不尽に怒るのはダメだとわかっているけど、親である自分自身も「怒る」「叱る」の違いを教えてもらったこともないし分からない、でもほめて甘やかすだけでは社会でやっていく力がつくと思えない......。という不安の声もありますよね、サカイクアンバサダーにご参加いただき、サカイクキャンプやスクールで大勢の子どもの指導にかかわっている、柏瀬翔太コーチに「怒る」と「叱る」、「褒める」について相談してみました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>少年サッカーのイメージ<<毎日怒りっぱなし......。「褒めるのが苦手」な親御さんに、今日からできる簡単な褒め方を伝授■「チームを強くしたい」「困っている保護者に情報を共有したい」と参加イイヅカさんは、小4のお子さんを持つお母さん。ご自身は食育の勉強を10年以上続け、周囲にも情報を共有するなど、子どものサッカーをサポートしているそう。今回はご自身のお子さんの悩みではなく、チームの保護者で悩んでいる方がいたら情報を共有してあげたいとの思いで参加されました。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■サッカー経験者じゃないのに監督目線の夫がダメ出しお子さんが所属しているチームは、自分で考えさせることを主軸にしているため、コーチたちからも「お父さんお母さんは、ああしろこうしろとピッチの脇から言わないでください」と指示があるそうです。現在ではその方針に賛同してわが子のサッカーを見守るイイヅカさんですが、それでも初めのころは「そうは言っても、ルールとか戦術とか色々知らないと勝てないじゃない」と思っていたそうで、試合中お子さんのプレーについてあれこれ言っていたそう。また、「夫がJリーグの某クラブが大好きで。サッカー経験はないけど常に監督目線でプロの試合を見ていて、子どものサッカーにも口を出してしまうんです。」とのこと。サッカー経験者やサッカーファンの親御さんの「あるある」な体験かと思いますが、言われる側の子どもが嫌がることを懸念していると教えてくれました。感情的に怒鳴る、怒るといった行為ではありませんが、子どもにとってはダメ出しされた=注意された、怒られたと感じることもあります。いずれにしても自分を非難されたと感じるものです。■子どもが素直に意見を言えるフラットな親子関係を築くのも、ダメ出し減少に効果的それに対して柏瀬コーチは、「口出ししたくなる親御さんの気持ちも理解できます」と、保護者の感情に寄り添います。そのうえで、こんなアドバイスを送りました。「親側が気になったプレーも、子どもたちは一人ひとり考えてプレーしています。なので、言い方を変えることが大事かなと思います。『あの時はどんなことを考えてプレーしたの?』とか。まずは子どもの意見を聞いてから『お父さんはこう思ったから質問したんだよね』と親の質問の意図も伝えると、お互いの理解が深まり、ダメ出しがなくなると思います。プレーの指摘の前に、素直に意見を言いあえる親子の関係性を築くことが大事だと考えます」親はわが子に関心を持ち、本音を言える関係性を作ること、たくさん話してお互いを理解することが大事だとアドバイスを送ると、質問者のイイヅカさんは、「相手の気持ちを考えた言い方になりそうですね。関係性を良くする、というのは納得です」と笑顔で頷いていました。■モチベーションが上がらない子にどう発破をかける?少年サッカーのイメージ同じチームに所属していても、子どもによって目指す目標、やる気、モチベーションは様々。まして、中・高学年になると公式戦も増えたり、今まで同じぐらいだった子が一気に伸びたりして自分が成長していないように感じたり、親も子も熱量に差が出てくることも少なくありません。イイヅカさんのチームでも、長年所属している子で、少し伸び悩んでいる子がいるのだそう。スランプで自信がなく、最近では練習に行きたくないという日もあるのだとか。親御さんはまじめで熱心ゆえに、自己肯定感が上がる動画を見せたり、もっと褒めればいいのか、もしくは発破をかけた方がいいのか悩んでいるので、いい方法があれば教えてあげたい、と要望をいただきました。■大事なのはチームの雰囲気、指導者だけではなく親たちも協力しようそれに対して柏瀬コーチは、「大事なのはチームの雰囲気」と断言します。小学生年代では、同じ学年でも身長やスピードの差が大きい時期でもあります。中・高学年からチームに入ってくる子との競争も生じ、それまで出れていたポジションで出られなくなることを経験する子も。ですが、JFAも推奨しているように小学生年代は全員が試合に出ることを優先する時期です。柏瀬コーチもそれを踏まえてこのようにアドバイスを送りました。「試合に出るチャンスは必ずあると思います。その中でチーム全体が互いの良くない部分ばかりを指摘するのではなくチーム内で『目的に向かって、こうしていこう』と対策が立てられるといいですね。試合なので当然勝ちたいですし、目的に向かって子どもたち同士、そしてコーチたちも声をかけることによって、調子の上がらない子どもも自然と『じゃあ、今度こんな動きをしてみようかな』と思うものです。良くないところやマイナスな雰囲気が多くならないよう、チーム全体で前向きな声かけをすることが大事だと思います」そしてこう付け加えました。「もう一つ大事なのは、子どもやコーチだけでなく保護者同士が前向きな雰囲気で子どもたちとかかわっていくことも重要です」サカイクキャンプやシンキングサッカースクールで大勢の子どもたちに接してきた柏瀬翔太コーチ■チームに行くのが好きってやっぱりすごいチームに所属したばかりの頃は、「きちんと教えてあげないと勝てないのでは?」といった考えもあったイイヅカさんですが、自分で考えさせるサッカーを通じて、小4の今子どもたちが年齢なりに自分たちのことができるようになり、その変化や成長を目の当たりにして「いいチームに出会えた」と実感していると語ってくれました。そして、長い目で見たとき、目先の勝利より大事だと感じているのは、所属している子どもたちが「チームに行くのが楽しい」と感じている姿だそう。「これだけサッカーが好きって、やっぱりすごい」と、嬉しそうに教えてくれました。座談会のテーマである「褒める」「叱る」に関しても、本音を言える親子関係を築く意識を持ち続け、今後も食事や生活面でのサポートを誓っていました。■ポジティブな声掛けの中で思い切り挑戦ができるキャンプ好きだから頑張れる、というのはとても大事なこと。そして、頑張る気持ち、挑戦する気持ちを奮い立たせてくれるのは前向きな雰囲気です。サカイクキャンプでは、ポジティブな声掛けで子どもたちが挑戦しやすい雰囲気づくりを行っています。いいプレーはしっかり褒め、よくない言動は叱って諭す。たった3日でサッカーでも人間としても成長できるキャンプです。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年11月18日11月9日は「119番の日」。サッカーでも救急救命は他人事ではありません。楽しくサッカーをするためには「安心・安全」があってこそ。救急車を呼ぶシーンに遭遇したときのことや、人命救助について考える時間を持ちませんか。いざというときに的確な行動が取れるよう、まずは親子で知ることが大切です。前回に引き続き、「#命つなぐアクション」の活動のひとつとして横浜F・マリノスのホームゲーム開催日に救護体制サポートチームを率いる日本体育大学保健医療学部の小倉勝弘先生にお話を伺いました。(取材・文小林博子)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■「迷ったら119番」でいい横浜F・マリノスホームゲーム開催日の開門前に、日本体育大学保健医療学部のみなさんが様々な急病の場合を想定して実践研修を行っている様子©F.M.S.C.救急車を呼ぶ番号が「119」だということは知っていても、多くの人はかけたことがないでしょう。前回の記事では、119番に電話したときに何を聞かれるのか、準備しておくと良いことなどを、かつては消防機関で救急車に乗っていた経験もある小倉先生に詳しく解説していただきました。「大げさすぎる?」と、躊躇しがちな119番通報ですが、小倉先生の回答は「判断に迷った時は迷わず119番通報で大丈夫」とのこと。「もしかしたら救急車を呼ぶほどではないかもしれない」と頭をよぎることもあるかもしれませんが、一刻を争う状況と感じた場合は、119番通報をしましょう。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■状況に応じて「#7119」と「#8000」も活用しようなお、119番通報の他に、緊急時にかける「#7119」と「#8000」というダイヤルも存在します。この2つの存在はを知っていても、つい迷ってしまうかもしれません。違いを正しく把握できていないと不要な迷いにつながってしまいます。まずは3つのダイヤルの違いを知っておくと良いでしょう。【1】119主に救急車または消防車を呼ぶための緊急通報ダイヤルで、管轄する消防本部(消防局)の指令センターに繋がります。【2】#7119救急車を呼んだ方がいいのか、病院で医師の診察を受けた方がいいのかについて相談するダイヤルで、救急車の適時・適切な利用を判断します。電話は、救急安心センター事業に繋がり、医師や看護師といった専門知識をもつスタッフが相談にのってくれます。一刻をあらそうと判断された場合はそのまま救急車を呼ぶステップに移行することもあります(開設されていない地域もあります)。【3】#8000「子ども医療電話相談事業」で、休日や夜間に15歳未満の子どもの体調について相談できるダイヤルです。地域の相談窓口につながり、小児科医や看護師が対応してくれます(開設時間が限られている場合もあります)。119番通報は子どもがかけることも、もちろんできます。もしもに備え、緊急時には119に電話をかけることを親子で再確認しておきましょう。119番通報時のポイントや聞かれることについて詳しく紹介しているので、前編を読んでシミュレーションしてみてください。■AEDもためらわず使えるようになりたい横浜F・マリノスのホームゲーム開催時に実施したAED講習の様子©F.M.S.C.サッカーでも、練習中や試合中に選手や観客の方が突然の心停止で倒れたというニュースを何度か耳にしたことがあると思います。サッカー以外でもその可能性は誰しもゼロではありません。119番通報をしたあとにできることの1つとして挙げられるのが、AED(自動体外式除細動器)の使用です。心停止後、1分経過するごとに7~10%ずつ救命率が低下すると言われています。一刻を争う事態ですので、ためらわずにAEDを起動させましょう。AEDの基本動作は以下の通り(機種により異なる場合もあり)1.AEDの電源を入れる2.電極パットを取り出す3.右肩と左わき腹にパットを貼る4.ボタンを押して電気ショックを流すなお、ここで注意することは、AEDを使うにあたりその場所が安全であるかどうかをしっかり確認してから救助を開始することだそう。交通量の多い道路脇や、雷が鳴っているサッカーグランドなどは安全とは言えません。その場合はまずは安全な場所に救助者を移動させてからスタートします。過去の記事でも触れていますが、AEDは流れてくる音声ガイダンスに従えば正しく使えるようになっています。突然の緊急事態に動揺してしまっても、間違えず救助にあたることができる仕組みです。「電気ショックを流すスイッチを押す」ということに躊躇してしまいそうですが、心臓がその必要がない状態であれば作動しないため、思い切って押して大丈夫です。なお、小倉先生によると最近の新しい機種の中には4の「ボタンを押して電気ショックを流す」が自動で行われる「オートショックAED」もあるそう。今後はその機種が増えていくと予想されるとのことです。■AED使用時は心臓マッサージによる心肺蘇生もマストで行うことになるAEDを使用する際は、心臓マッサージも同時に行う必要があります。横浜F・マリノススタッフが実際にAED講習を行っている様子©F.M.S.C.AEDの操作にばかり意識が向きがちですが、実はAED使用時には必ず胸骨圧迫(いわゆる「心臓マッサージ」)をする必要が生じます。その方法も合わせて確認しておきましょう。心臓マッサージの効果的なやり方1.AEDの電源を入れる2.電極パットを取り出す3.右肩と左わき腹にパットを貼る4.ボタンを押して電気ショックを流すメーカーによって若干の違いはあれど、AEDのガイダンスでも、電気ショックを流した後に「心配蘇生を始めてください」「胸骨圧迫と人工呼吸を始めてください」などと流れます。その際は、ガイダンスからメトロノームのようにリズムが刻まれるので、そのリズムに合わせて圧迫します。胸の厚さの3分の1が沈むよう、体重をかけて押します。なお、心臓マッサージは、1分間に100から120回のリズムで行うことが推奨されていますが、リズムがわからない時はアップテンポな曲に合わせてリズミカルに圧迫すれば正しいリズムでできることも小倉先生が教えてくれました。■誰かの命を救うとき、子どもだってできることがたくさんあるサッカーの現場で、大人が一人しかいない状況では難しいのでは?と思われるかもしれませんが、小学生の中~高学年であれば、AEDはガイダンスを聞いて操作することができますし、心臓マッサージもできます。つい先日放映されたドラマで、小学生が一人でAEDを使うシーンが話題になり、考えさせられた人も多いのではないでしょうか。また、もしもの場面では、1分1秒を争う状態ゆえ「役割分担」も重要になります。周りの人に助けを呼びかける人、救急車を呼ぶ人、AEDを取りにいく人、心臓マッサージをする人、それらの分担を指示する人......。救急の場面では小学生にもできることはあります。一人でも多くの人が協力することができたら、結果を左右するかもしれません。「子どもも大切な人命を救う人員の一人です」と小倉先生。それを大人である私たちも念頭においておきたいところですね。「#命つなぐアクション」では、救える命を、ひとつでも増やすために。救う術を、ひとりでも多くのひとに、広めていく活動を継続していきたいと話します。大好きなサッカーを楽しむための土台に「安心・安全」があることを、この機会にぜひ子どもと一緒に話してみてはいかがでしょうか。横浜F・マリノス「#命つなぐアクション」の取り組みの1つとして、救急車やAEDについて日頃から理解を深められるよう、親子で参加できる体験会やイベントも開催している理由でもあります。「倒れている人を見かけたら」という動画も配信。ぜひ1度ご覧になってみてください。動画はこちら>>小倉勝弘日本体育大学 保健医療学部 救急医療学科 救急救命専門指導教員。救急災害医療学修士。救急救命士・防災士として過去には消防機関にて勤務経験もあり。「#命つなぐアクション」のライフサポートチームとして、学生と共にホームゲーム開催時にはスタジアム内を巡回している。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年11月15日公式戦が終了した6年生、卒団まで招待大会や練習試合はあるにせよ、どんな準備をしたらいい?中学に向けて11人制に取り組んでおいたほうがいいの?というご相談をいただきました。この時期、よく聞くお悩みですよね。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、公式戦が終わってから中学までにどんなことをしたらいいのか、ご自身が実践している内容も踏まえ、アドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ゴールキックが奪われ失点に......。ビルドアップのときのポジションや周りを確かめる動きをどう身に着けさせればいい?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。少年団で指導しているパパコーチです。6年生を担当しているのですが、中学への移行期について、どんな練習をすればいいのかご相談です。11月中には全国大会の予選も終わりますが、そのあとも3月の卒団まで練習試合や招待試合など小さな大会もあります。練習日は週2回設けていますが、自由参加になります。6年生は全員中学以降もサッカーを続ける予定と聞いていますが、この時期は11人制でプレーさせたほうが良いのでしょうか。(練習試合や大会は8人制)中学ではプレー人数や時間が変わることは理解していますが、それでもいきなり11人制になると戸惑うという声も聞きます。冬の間は体力づくりや11人制に慣れさせる時期にしたほうが良いのでしょうか。個人的には、たまに遊びに来る程度で、のんびり過ごしてもらってもいいと思っているのですが、ほかのチームが3月後半までトレーニングマッチを組んでいることもあり、保護者達からの圧があるのも事実です。(「トレマしてる子たちより遅れるんじゃないか」「中学入学時点で差がつくんじゃないか」など)その際に指導の注意点などがあれば教えてください。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。まず最初にお伝えしなくてはならないのは、8人制から11人制というように、人数が増えたからといってサッカーの成り立ちが変わるわけではありません。8人制の戦術をしっかり理解していれば、なんら不自由はないはずです。■見る範囲や動く距離は変わるけど、幅と深さの基本がわかっていれば心配ない当然ながら、攻撃にしても、守備にしても、コートのサイズが大きくなれば、見る範囲や動く距離は変わります。パスの長さも変わります。しかしながら、幅と深さを理解して相手を崩していく、もしくは守る。そこは同じであると考えてください。したがって、何ら気にしなくてよいかと思います。それよりも、コーチの中にある戦術的な理解や視野がどのくらい広がっているかなど、卒団までに習熟させたかった目標があるかと思います。そこに向かって練習すればいいと思います。そうすれば、大会がないから目標がなくなるといったことは起きないはずです。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■試合勘は多少維持できたほうがいいが、中学までを完全オフにしても出遅れることはないそのなかで、練習を自由参加にしているのはとても良いことです。ジュニア期の一番の目的は、サッカーが大好きな子どもに育てることです。例えばチームの練習は週2回やるけれど、他のことをしたい子は休んでもOKにしましょう。公式戦はないと思うので、練習試合を最低月2回ほど組んであげるといいでしょう。中学でどんなチームに行くかはバラバラだと思いますが、試合勘は多少維持できたほうが良いので、配慮してあげてください。ただし、練習をしていないと中学で出遅れるなどと心配しなくても大丈夫です。■育成年代のサッカーキャリアの節目は「高校に上がるとき」子どものサッカーキャリアの節目は中学ではなく高校に上がるときです。中学までは学校の部活動やクラブで多くの子どもがサッカーを続けますが、サッカーにある程度本気で取り組むかどうかを決めるのは中学3年生が多いようです。私自身、本格的にサッカーをしたのは高校からです。その3年間で大きく伸びた実感があります。高校で真剣にやるかどうかでそのあとのキャリアが変わってくるのです。中学から高校にかけては、身体的にも第二次性徴期が落ち着くシーズンです。その間、足の速さや身長、体格などの成長も少しずつ緩やかになってきます。高校生ではそれまで以上に賢く、サッカーIQを上げてほしいところです。■サッカーIQをアップさせるミーティングなどもおすすめ中学に上がるまでのこの時期、そういったサッカーIQをアップさせるミーティングや解説をしてもいいでしょう。先日、私のチームの中学生たちの練習で、サッカーでは人の動きはこんなふうになっているよとか、トライアングルをつくるためにはどう動くかといった話をしました。味方に近づきすぎるとどうなるか。みんなで相手からボールを奪うにはどうするか。そういった学習の時間を作ってから、駆け引きの練習をしました。練習では、例えばマンツーマンディフェンスでついてもらいます。自分のマークを外さないことを徹底させます。そうすると、攻撃側はパスが出来なくなります。バッチリ守られているのでパスの出しどころがありません。結果、ドリブルしかしなくなります。そこで初めて「どうやったらパスを回せるか」「パスをつないで全員で攻められるか」という戦術的なことを学び始めるのです。■かつてオシムさんが嘆いていた、本来小学生で学んでおくべきことこれらの学びは、本来なら小学生の時点で経験しておかなくてはなりません。オシムさんが日本でプロの選手でもそのあたりの不足を嘆いていたと記憶しています。よって、「日本人は数的優位の練習をもっとしたほうがいい」とおっしゃっていました。それは、サッカーの成り立ちを理解するには数的優位の練習が効果的だからです。つまり、小学生からしておくべきことをすればよいのです。■試合で体力をつければいいドイツでは6年生は30分ハーフ加えて、体力作りのためにグランドを走らせたりするのも必要ありません。試合をたくさんやって、そのなかで体力をつけてもらえばいいのです。ドイツは6年生は30分ハーフでした。日本の子どもよりも体格に秀でていますが、サッカーには試合の流れがあるのでそれを体感できるよう設計されているのでしょう。冒頭で8人制でもOKと話しましたが、たまに11人でやるのもいいでしょう。6人、7人、8人とさまざまな人数で試合をしましょう。地域によっては、現在は中学1年まで8人制でやっているところもあります。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■中学に向けてこの時期から5号球を使い始める必要はない(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)最後に。この季節、6年生のコーチの方々に「もうすぐ11人制になりますが、なにかやったほうがいいですかね?」とよく尋ねられます。「ちゃんと育てておけば、8人が11人になろうが問題ないですよ」と私は答えます。それとこの時期、6年生の練習や試合でいきなり5号球を使い出す指導者がいます。これもいいとは思いません。無理させず、中学生になったら蹴ればよいのです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年11月14日普段の環境とは違う雰囲気の中、サッカーに取り組むことができるサカイクキャンプ。中にはきょうだいでリピート参加している子たちもいます。夏のキャンプで参加4回目のショウタくん(小5)と妹のヒナちゃん(小2)は、兄妹で参加し続け、キャンプ経験を重ね、少しずつ成長を見せ始めている二人。人間力を磨いてほしいと、サカイクキャンプの趣旨に賛同して参加を決めたご両親に、兄弟で楽しかったキャンプの思い出や実際二人にどんな変化があったのか、お話しをうかがいました。(取材・文木村芽久美)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>サカイクキャンプでトレーニング中のショウタ<<キャンプで学んだ、諦めない気持ちがサッカーと勉強を頑張る日々の心の支えに技術だけでなく心も成長するキャンプの魅力■人間性を磨いて欲しいというお父さんの想いから、サカイクキャンプへサカイクキャンプを選んだきっかけについて「キャンプの内容が、サッカーの技術だけ磨くような、サッカーに特化したキャンプであれば、多分参加はしていなかった」とお父さんは言います。ショウタくんは小学1年生で地元のチームでサッカーをはじめ、サッカー経験のあったお父さんは、ボランティアでコーチをしていたのだそうです。当時、ショウタくんを身近で見守りながら、本当にサッカーが好きで続けられるかなと少し悩んだ時期があったと言います。そんな中、低学年向けに楽しみながら行うトレーニング法をサカイクで学ぶ中でキャンプを知り、「技術だけではなく、人間性を高める」というキャンプの趣旨から、ショウタくんに参加を勧めたのがきっかけだったと言います。ショウタくんも参加者の楽しそうな様子を動画で見て、行ってみたいと思ったのだそうです。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■兄妹での参加、女の子でも安心して参加できる環境初めての参加時、ショウタくんは「初めは緊張したけど、仲間や先輩が優しかった」と2日目以降はもうすっかり馴染め、楽しめたと言います。1年生からショウタくんと同じチームでサッカーを始めたヒナちゃんも、その楽しそうだった様子から、ショウタくんの2回目参加時には、一緒に参加したいとヒナちゃん自身が強く希望したのだそうです。頼れるお兄ちゃんがいるとはいえ、まだ1年生で参加者は男子ばかり。これにはお母さんも「だいぶ心配しました」と振り返りますが、その意志の固さから承諾したのだと言います。ヒナちゃんが参加した時の女子参加者は3人、部屋も一緒だったそうですが、部屋の様子は女子コーチが見守り、困ったことがあった時にも優しく対応してくれ、安心できる環境だったそうです。また、サッカーを始めたばかりのヒナちゃんでも楽しくトレーニングができ、「ドリブルだけじゃなくパスもしている」と普段のチームメイトとは違う動きに刺激を受けたと言います。■参加後、徐々に考えてプレーする様子が見られるようにショウタくんはキャンプでの試合時、仲間がしっかり動いてパスをもらおうとしている様子にも影響を受け、チームに帰ってから動き方などへの意識の変化があったと言います。お父さんもショウタくんについて「何回か参加していく中で、少しずつ変化があった」と、一つ一つのプレーを選択しながら「考えてサッカーをしている。そういうプレーが見られるようになった」と話します。キャンプの内容と、今いるチームでのコンセプトと合っていない部分もあるけれども、その中でも自分でより良いものを選択している様子が見られ、ショウタくんの中で様々な選択肢の中から思考が繋がり、それが良い方向にいっていると感じたのだそうです。■キャンプでの体験を経て、自分から積極的に声をかけられるようにサカイクキャンプでトレーニング中のヒナちゃんインタビューにも自分の意見をはっきり言えるヒナちゃんですが、お母さんによると、コーチとは話せても「自分から知らない子に積極的に話しかけに行くようなタイプではなかった」のだそうです。ライフスキルの「リーダーシップ」について学んだことや「体験の子がいるから、声をかけてあげよう」とコーチからの声かけもあり、「幅広く声をかけられるようになった」と言います。ヒナちゃんのキャンプ参加時には、年上のルームメイトととても仲良くなったのだそうで「手紙をもらった」とうれしそうに教えてくれました。次のキャンプ参加時には、ヒナちゃんがお手紙書いて持っていくのだと楽しそうな様子でした。■兄妹の関係性の中でも養われた、自分で解決する力3回目の参加時、お母さんの仕事の都合もあり、2人だけで新幹線に乗り、キャンプへ向かったのだそうです。途中、財布を落とすアクシデントがあったものの、ショウタくんは自分で対処し、財布は無事見つけられたのだと言います。キャンプでも年下の子にも積極的に声をかけられ、面倒見がいいショウタくんですが、柏瀬コーチによると、一緒に参加するヒナちゃんへの対応は少しずつ変わっていったそうです。「ヒナちゃんが初めて参加した時は、お兄ちゃんらしく困っていたらすぐに助けにいっていたのですが、3回目、4回目の参加の時には、まずは様子を見守って、本当にヒナちゃんが必要そうな時にだけ声をかけるようになりました。自分で最善を考えながら行動しているのが印象的でしたし、大きな変化です」ヒナちゃんについても「困ったらお兄ちゃんを頼っていたのが、キャンプへの参加回数とともにだんだんその回数も減って、自分で色々な行動を決めて動けるようになった」と、成長している2人の様子を教えてくれました。■自分でサッカーの準備ができるように成長した二人お母さんは二人の変化について、普段の生活の時にも自分のことは自分でするようになったと言います。以前はチーム練習の時、水筒を忘れると取りに帰ったりしたこともあり、準備は一応自分ではやらせるものの、こっそり確認していたのだそうです。「今は声を出して確認しながら準備できるようになったのはキャンプのおかげかなと」とその成長について言います。今後どんな選手になりたいか、二人に聞いたところ、ショウタくんは「ディフェンスがしっかりできるような選手」、ヒナちゃんは「長谷川唯選手のようになりたい」と頼もしく答えてくれました。「コーチがポジティブな声かけをしてくれる」「仲間と楽しくおしゃべりしながらの食事が楽しい」と二人ともおすすめのキャンプ。特にヒナちゃんは、今後女子の参加が増えることを期待しているそうなので、ぜひ女の子も参加してみてくださいね!サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年11月13日皆さん知っていますか?11月9日は「119番の日」、救急車を電話で呼ぶときの「119番通報」について理解を深める日です。サッカーにおいても、練習や試合時に急な疾患で倒れたときなど、救急車を呼ぶ必要がある場面もあります。119は身近なものなのです。いざというとき、迅速に救助要請ができるよう、日頃から正しく119番通報ができる心構えをしておきませんか。そこで、横浜F・マリノスのホームゲーム開催日に救護体制サポートチームを率いる日本体育大学保健医療学部の小倉勝弘先生にお話を伺いました。スポーツ中の心臓突然死をなくすための「#命つなぐアクション」についても詳しくご紹介します。(取材・文小林博子)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■「#命つなぐアクション」とは?「#命つなぐアクション」は、スポーツ時の突然死をなくすことを目的に行っているF・マリノスのホームタウン活動のひとつ©F.M.S.C.「#命つなぐアクション」は、横浜F・マリノスが行っているホームタウン活動のひとつです。2011年に急性心筋梗塞で急逝された松田直樹さんの魂を継承していくべく、スポーツ時の突然死をなくすことを目的に活動しています。その活動内容のひとつとして、日本体育大学保健医療学部のみなさんが、ホームゲーム開催時にAEDを携帯してスタジアム内を巡回。体調不良にになった来場者の救助活動を行っています。この連携は2022年から実施しており、2024年10月までの間に55試合を数えました。幸いなことにAEDを使っての救助は行ってはいませんが、熱中症や怪我など救護が必要になった方々に対し迅速な対応ができているそうです。この活動のおかげで、試合を楽しむことを前提に「安心・安全なスタジアム」を提供できています。日本体育大学保健医療学部救急医療学科の学生と救急救命士資格を持つ大学院生/教員のみなさん。松田さんの背番号である「3」の赤いビブスを身につけています。©F.M.S.C.そのほか、2021年には「背番号3」のオリジナルグッズの売上による利益全額を「#命つなぐアクション」(ホームタウンにおけるCPR(心肺蘇生法)・AEDの普及啓発事業)および、ホームタウンの子どもたちへのサッカー普及などの活動費用に充てたり、毎年、命日である8月4日付近のホームゲーム開催日には、「#命つなぐアクションカード」の配布を実施しています。また12月には横浜F・マリノスのクラブスタッフ向けにAED講習会を予定しており、さまざまな取り組みを行っています。横浜F・マリノスのレジェンドである松田直樹さんが練習中に急性心筋梗塞で倒れたように、スポーツ時やスポーツ観戦時に命を失いかねない事態が起こる可能性は誰しもゼロではありません。いざというときに大切な命を救える知識と「術」を、広めています。〈#命つなぐアクション〉サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■スポーツ中の心停止は、決して他人事ではないことだから松田直樹さんの急逝は大きなニュースとなり、多くの人々に悲しみと衝撃を与えました。ついさっきまで元気にサッカーをしていても、突然倒れ、命を失ってしまうようなことが誰にでも起こりうることだと、当時痛感した方も多いのではないでしょうか。海外では試合中に心停止を起こし、救命により一命をとりとめた選手もいました。そのような事例から、「命つなぐ」ためには、いざというときに周りの人が迅速な対応ができるかが大切であることも周知されています。私たちは「いざ」が自分の周りの大切な人にも起こる可能性に備え、知識を深めておきたいところです。■119番通報することを今、想定!記事上でシミュレーションいざ、が起こったとき、まっさきに行うことは119番通報ですが、ほとんどの人は通報したことがないはず。実際その時になると戸惑ってしまうかもしれません。そこで、この記事で119番通報をシミュレートしてみましょう。実際に電話をして救急車が向かうまでの手順を小倉先生が詳しく解説してくれました。【1】スマホ・自宅の電話・公衆電話すべて「119」でOKまずは119に電話します。電話すると指令管制員につながります。【2】「火事ですか、救急ですか」に答える第1声で、「火事ですか、救急ですか」と質問されるので、「救急です」と答えましょう。【3】住所を伝える救急車が向かうべき住所を伝えます。グランドや校庭などで住所がわからない場合は、道路の電信柱に書いてある住所を確認したり、スマホで調べたりしてできれば番地まで伝えられるとベストです。なお、県境などでは隣接する都道府県の消防本部につながることもあります。地域によっては必ずしも近隣とは限らないこともあるので、「○○市立〇〇小学校」など具体的な建物や目標が伝えられることが望ましいです。【4】患者の状況を伝える目の前で倒れていたり苦しんでいる人がどのような状況かを伝えます。指令管制員から「いつからか」「年齢は」など、詳しく質問されるので、それに答えられるよう情報を整理しておくことも望ましいです。なお、年齢や性別は救急隊が搬送先医療機関へ電話する際や申し送りの際の重要な情報ともなります。【5】通報者の情報を伝える・名前・患者(傷病者)との関係性・電話番号を伝えます。救急隊が向かう車内から、詳しい状況について追加の質問があったり、救急車がその住所のどこに(例えば小学校だと正門と裏門どちらが近いのかなど)向かえばいいのかなどを聞かれる可能性もあります。そのため、待っている間もすぐに電話ができる番号を伝えてください。【6】救急車の到着を待つ指令管制員は通報を受け、出場先が確認でき次第、消防署などから出場します。救急車が到着するまでの間は、患者(傷病者)の様子を見ながら救急隊の到着を待ってください。救急隊が到着するまでの間は、当時の状況や時間経過、行った処置などをまとめておくことも望ましいです。■ためらわず「119番通報」で大丈夫!心停止や大怪我など、迷わず救急車が必要な場合のほか「これは救急車を呼んでいいのかな」とためらうシーンもあるはずです。最近では「#7119」や「#8000」などの相談窓口もあるので、不安がある際にはそちらも活用してください。小倉先生はかつて、消防機関で救急車に乗っていたこともあり、「こんなことで救急車を呼んでしまってすみません」と言われたことも何度もあったそうです。不安を感じた場合に通報してしまったことは止むを得ないことなので、一刻を争う状況と感じた場合には、119番通報をお願いします。■救急車を待つ間にできること心停止と思われる状況の場合は、AEDや胸骨圧迫などによる救命を救急車が到着するまでの間に行えると、命を救える可能性が高まります。とはいえ、方法を予め知っておかないといざというときに困ってしまうかもしれません。そんなケースに備え、AEDの使い方やどこにあるのか、胸骨圧迫の方法などを後編では詳しく解説します。また、ホームゲーム開催日には「#命つなぐアクション」の活動の一環として、AEDの使用方法の講習会も行っていますので、ぜひご来場された際は参加してみてください。9月29日にはも三井ショッピングパークららぽーと横浜で「AED講習会」と「防災講和・ワークショップ」を開催しました。12月7日(土)には横浜防災センターでのイベント内でAED講習会の実施を予定しております。詳細はこちら>>※当日のイベント内容は急遽変更になる可能性がございます。小倉勝弘日本体育大学 保健医療学部 救急医療学科 救急救命専門指導教員。救急災害医療学修士。救急救命士・防災士として過去には消防機関にて勤務経験もあり。「#命つなぐアクション」のライフサポートチームとして、学生と共にホームゲーム開催時にはスタジアム内を巡回している。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年11月11日コーチからの指摘に「だって、~が悪い」「あれは、~だから仕方ない」と言い訳ばかりで聞き入れない息子。自分も身に覚えがあるし、大人であっても自分の短所を認めるのは難しい。だけど、そろそろ中学生だし、傾聴力を意識できるようになってほしい。どうかかわればいい?と悩むお父さんからのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、悩めるお父さんに3つのアドバイスを送ります。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカーに向いてない息子。親が他競技への転向を勧めてもいいのか問題サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>><サッカーパパからのご相談>小学校6年生の子どもの父です。息子はGKをやっています。トレセンに選ばれるなど、GKとしての競技力はあるほうですが、足元の技術が低く、足でボールを扱う局面でミスを連発してしまうという課題があります。チームのコーチにも、トレセンのコーチにもいつもそれを指摘されています。「判断を早く!」「持ちすぎるな!」と。しかし、息子はいつも「だって、~が悪い」「あれは、~だから仕方ない」と言い訳ばかりで、アドバイスを聞き入れる姿勢はありません。かくいう自分も子どものころはいつも言い訳ばかりしていましたし、息子の性格は自分の性格を受け継いだのかもしれません。大人であっても、自分の短所を認めることは難しいものです。ただ、自分も大人になり過去を振り返ってみると、もっと周りのアドバイスに耳を傾けていれば、と後悔することも多々あります。この先々の人生においても、周りの意見に耳を傾けられるようになることは重要ではないかと思います。今は、試合や練習を見た際は「良かった点」と「課題」は端的に内容だけを伝えています。「課題」に返ってくる「言い訳」に対しては、特にコメントはしていません(妻は「言い訳するな」とお説教していますが)ただ、このままで良いのかという迷いはあります。 来年には中学生になりますし、そろそろ、傾聴力を意識できるようになっても良い頃ではないかと思います。反抗期に入りつつあるので、親のかかわり方は難しい時期ですが、どのように接するべきかアドバイスを頂けますでしょうか。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。ご相談の中で、お父さんのようにご自分と似た性格傾向があると打ち明けてくれる方は珍しいです。当然ながら、親子は顔や体つき、能力的な部分以外にパーソナリティも遺伝します。新たな視点を与えていただきありがたいです。三つほどアドバイスさせてください。■親は過去の栄光より失敗話を話してあげるようにしてひとつめ。息子さんに対し、ご自分の自慢話を控えましょう。一般的に親は子どもに「俺がお前くらいの頃は......」と過去の栄光を自慢しがちです。特に優秀な親御さんは「少年野球で最初は補欠だったけど自主練をして最後はエースになった」とか、「成績はいつもトップクラスだった」「大学受験のときは睡眠3時間で頑張った」などと、自身の武勇伝を子どもに言ってしまう。自慢する材料があったとしても、そこは能ある鷹は爪を隠すが如く胸にしまいましょう。その理由は、子どもにとって立派であればあるほど、不安をかき立てられるからです。どうしたって乗り越えられない。もう自分には伸びしろがない。「到底お父さんみたいにはなれない」と自己肯定感が下がります。特に、自我が確立する思春期以降は気をつけなくてはいけません。息子さんは12歳なので「前思春期」といって思春期の入り口です。自分と周りを比較して自分が何者であるかを見極めようとする自我を持ちつつあるいま、ぜひそこを意識して接しましょう。それよりもお父さんがやらかした話、つまり失敗談のほうが、子どもの自己肯定感は上がります。なぜならば「そんな失敗をしたのに、お父さんはちゃんと大人になって楽しそうに生きている。僕も大丈夫だ」と思えるからです。そうすれば家庭は子どもにとって安全基地になりえます。子育てセミナーでそんな話をしたら、一度「ちゃらんぽらんでも生きていけるって勘違いしませんか?」と父親らしき男性に質問されたことがあります。そこで「生まれたときからずっと接してきた親がどれだけ仕事を頑張っているか、真面目なのか、努力家なのか、優しいのかなど、お子さんは親を見ています。十分知っています。お子さんとの時間と、お子さんの力を信じましょうよ」と話したら、質問された方は深くうなずいていました。しかも、お父さんは相談文に「自分も大人になり過去を振り返ってみると、もっと周りのアドバイスに耳を傾けていればと後悔する」と書かれています。であれば、そのことを率直に伝えるといいでしょう。あのときこう言われたときに、こうしていれば、もっとこうなったかもしれないと。それなりに生きて来たけれど後悔もある。あくまでどうするのかを選ぶのは君だけど、親がそんな後悔を抱えていることは知っていてくれ。そんなふうに伝えてはいかがでしょうか。■抽象的な言葉を伝えるだけでは反抗するだけあれこれ世話を焼かないことふたつめは、あれこれ世話を焼かないこと。親は子どもに自分と似た短所を発見すると、いら立つものです。多くの大人は自分の悪いところを自認していますが、目の前で似たわが子を見るとそれを見せつけられるようで嫌悪感が湧き出るようです。短所は長所でもあります。息子さんがアドバイスを受け入れられず言い訳ばかりしているのは自尊心、プライドが強い表れかもしれません。世話を焼かれたくない。ある意味「自分を持っている」とも言えます。大人の言うことを聞けば「素直でいい子」と言われますが、流されやすく自分がないとも言えそうです。親としてはイライラせず、ぜひたくさん失敗させてください。奥様は「言い訳するな」と説教をしているようですが、〇〇するなと否定したり、謙虚になれなどと抽象的な言葉を伝えるだけでは、お父さんが書かれたようにこの先思春期になって反抗するだけです。試合や練習の「良かった点」と「課題」など、12歳であれば自分でわかっています。わかっていることを親に言われると腹立たしいものです。息子さんには「わからないことがあれば言って来て。いつでも相談に乗るよ」とだけ伝えて何も言わないこと。息子さんのことは、息子さんに任せることです。■本人が気づかなくては始まらない親は自立させる環境を整えて(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめは、自立させる環境を整えることです。「このままで良いのかという迷いはあります」とありますが、「このままでいいのか?」と本人が気づかなくては何も始まりません。親の役目は、子どもをジャッジするのではなく、子ども自身が自分の中にエネルギーを蓄えられる環境を整えることです。エネルギーがなければ自分の足ですっと立てません。その鍵は「安心・安全」。両親はそこそこ夫婦仲も良く、家庭はリラックスできて安心で安全。どうすれば、自立を妨げない子育てができるかを奥様とともに考えてください。そう考えると、親の役目は運動部活動のマネージャーみたいなものかもしれません。野球部やサッカー部のマネージャーは、選手が自分たちで決めた目標に立ち向かえるようサポートします。選手に「絶対3割打て」とか「居残り練習をやれ」なんて指示しません。選手のエネルギーの創出、つまり力を発揮するのをただただ見守っています。そうやって、勝てばともに喜び、負ければともに泣く。親もそれでいいのです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年11月06日座学で学ぶ「ライフスキル」は、サカイクキャンプの大きな特徴のひとつです。自分で考えることを重視し、教え過ぎないという環境の中、実際に子どもたちに何か変化があるのかどうかは気になるところ。今回、これまで通いキャンプやFC東京コラボキャンプを含めて5回参加をしているケイスケくん(小5)とお母さんに、キャンプの魅力や参加後にどんな変化があったか、お話しをうかがいました。(取材・文木村芽久美)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>サカイクキャンプでトレーニング中のケイスケくん<<コミュニケーション能力が上がり、自然と主体的に。「友だちが増えて楽しい」だけではないサッカーキャンプのリピート理由■1回目のキャンプ参加から、感じられた成長小学1年生からサッカーを始めたケイスケくん。地域チーム入団時にはコロナの真っ只中で活動があまりなく、もっとサッカーの練習がしたいと思い探していたところサカイクの活動を見つけて気になっていたそう。そこで、小学3年生の時にまずは通いキャンプから参加されたのだそうです。友だちもいない状況ということもあり、ケイスケくんは最初こそ参加を渋っていたそうですが、「また行きたい!」と参加したい意思を示したのだそうです。参加後、チームに帰ってから変化があったのだそうで、「試合の後、プレーを振り返ってノートに書いたり、ドリブルやパスについて、考えながら意識的にそれを実行するようになりました」とケイスケくんは言います。「チームに戻ってからのパフォーマンスが良くなっているのを感じましたし、何回か参加する中で、自分で荷物の用意もできるようになりました」とお母さんも効果について話しています。2回目の参加からは、持ち物チェックリストを使いながら自分で準備をするようになり、そこでも成長を感じたのだそうです。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■参加者同士の楽しい経験を経て、自分からコミュニケーションが取れるように取材中、質問に対して言葉を選び、ハキハキと話してくれるケイスケくんですが、意外にも引っ込み思案な性格だったのだそうです。特に初めて宿泊参加した時はとても緊張したそうなのですが、同じ部屋の子が面白く、楽しく過ごせたたり、上級生が話しかけてくれたり、面倒を見てくれたのだとケイスケくんは言います。その経験から「次の参加の時には結構自信が持てたから、部屋でおとなしい子がいたら、積極的に話しかけたり......、ということはありました」と話します。また下級生にも自分から話しかけられるようになり、学校でも下級生との交流会などで、積極的に話せるようになったのだそうです。■トラブルに建設的に対応、自分たちで問題を解決できたまた初めての参加時、部屋で友だちが自分の眼鏡を踏んでしまい、眼鏡が壊れてしまったことがあったのだそうです。すぐに電話でコーチが状況を教えてくれたこともあり、「すぐ連絡してくれたので安心できた」とお母さんも不安はなかったと話しています。当時の様子について、柏瀬コーチは「どう解決しようか......」と考えていた矢先、まずケイスケくんが「これは僕がケースに入れてなかったのも良くないし」と話し始め、自分たちで冷静に解決しようとしたことを教えてくれました。「ケイスケくんが話してくれたことで、部屋の子たちも口々に『俺がここからジャンプしたし』とか、『この2人で鬼ごっこしてたんです』って、皆が状況を正直に話してくれたんです」友だちを責めたり、犯人探しをするのではなく、仲間を尊重し合いながら対応ができ、ケイスケくんも「学ぶことができた、いい経験だった」と話しています。さらに「これからこういう風に生活をしようとか、自分たちの貴重品はしっかりしまっておこう」と解決策まで皆で話し合うことができたのだそうです。起きてしまったことをマイナスに捉えるのではなく、仲間同士、自分たちで残りの生活をより良い方向に変えていこうとしたこと、「仲間とたくさんコミュニケーションを取っていました」とコーチも褒めていました。■楽しかった思い出は、キャンプ3日目の試合と夏のバーベキューサカイクキャンプでトレーニング中のケイスケくん「キャンプの1番の思い出は?」と聞くと、ケイスケくんは3日目の試合が1番楽しいと答えてくれました。総当たり戦で試合をして順位を決めるのですが、1試合目、2試合目......と進むにつれ、最初は点を決めるのが難しかったけれど、チームの仲間同士慣れ始め、「こっちに動いてくれない?」など、お互いに意見を言い合えるようになり、プレーがどんどん良くなっていくのが楽しいのだそうです。また夏キャンプの時にはバーベキューがあり、仲間同士楽しむだけでなく、下級生にも目を配りして食事を配膳してあげられたこと、暑い中でのトレーニングを頑張った後ということもあり、リラックスできて楽しかったのだそうです。コーチが作ってくれた小さいビニールプールもあって良かったと、楽しそうに当時を振り返ってくれました。■ライフスキルが自然と行動の基盤に。モドリッチの話から学んだ、諦めない気持ちケイスケくんはリピート参加の理由について、「キャンプにまた行きたいなって思ったのは、1回目に参加してすごく成長したから。スキル面でももっと上手くなりたいと思ったのと、新しい学びがあった」と言います。新しい学びとは何かと聞くと、「5つのライフスキルです」と即答。さらには「考える力、リーダーシップ、感謝の心、チャレンジ、コミュニケーション」と、内容をすらすらと口にし、普段の生活でも、その5つのライフスキルを基盤にした行動が、自然にできるようになったのだと教えてくれました。ライフスキルの例として、サッカー選手の人間性などを紹介する中で、ケイスケくんは不遇から何度も這い上がり、偉大な選手へと成長したモドリッチ選手の話が強く印象に残ったそうです。キャンプ参加後、例えばライン際で粘れるようになったり、 あと少しで試合終了という時に、どれだけ頑張れるかというところで諦めずに頑張れるようになったと、試合中での意識が変わったのだと言います。■諦めない気持ちが、サッカーと勉強を頑張る支えに今ケイスケくんは中学受験を考えているそうで、サッカーと勉強との両立の中、サッカーで上手くいかないことや悩みも出てきているのだと自身の心境を素直に教えてくれました。ただ、その中でもモドリッチ選手の「諦めない気持ち」を思い出し、気持ちが揺らぐことなく自分のペースで頑張れている様子がうかがえます。最後にどんな選手になりたいか聞いたところ、「どこのポジションでもキャプテンってできるから、どこにいてもチームを支えられる、頼られる存在になりたい」と話してくれました。柏瀬コーチは「キャンプでは気づいて行動するまでが早くなり、周りの仲間へのサポートもできるようになったところが大きく成長したところ。私生活の中から気づいて、自発的に行動できるというのは、サッカーが伸びる選手の条件の一つでもあると思うので、楽しみにしている」とケイスケくんの今後に期待を寄せています。「体だけじゃなく心も鍛えられてた」と、お母さんもおすすめのサカイクキャンプは、楽しいサッカーを通じて、成長するための貴重な経験ができそうです。ぜひ一度体験してみてください。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年11月05日最近は学校でもスポーツの現場でも、子どもを理不尽に怒る場面は減っています。子どもが尊重されて、良い時代になったと実感する一方で、褒めるだけでなく、時にきちんと叱ることも大事なのでは。と感じている親御さんは多いと思いますが、「叱る」と「怒る」の違いがわからなかったり、感情的に怒ってしまっていませんか?そこで今回、サカイクアンバサダーにご参加いただき、サカイクキャンプやスクールで何千人もの子どもたちに接していて自身もサッカー少年の父親である菊池健太コーチに「怒る」と「叱る」の違いや、褒める時のポイントなどを伺いました。3回目は「いつも怒ってばかり。褒め方がわからない」というお母さんの悩みに回答。100%の正解があるテーマではありませんが、ぜひ参考にしてみてください。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>少年サッカーのイメージ<<正解がないからこそ悩む「褒める」「叱る」のさじ加減悩める保護者に7,000人以上指導してきたサッカーコーチが回答■そもそも「褒め方」がわからない......カワハラさん(仮名)は、小4の息子さんに対してサッカーや学校の準備など日常の中で「しゅっちゅう怒っちゃって、何に怒ったかわからないぐらい」だと言います。世のお母さん、お父さん方も経験があるかと思いますが、怒るに至った原因だけでなく、何日か前のことを持ち出して「そういえば昨日だって、○○したよね!?」となることもよくあったとか。小学生年代の子どもをもつ保護者世代の方は、自分自身が褒める育て方より厳しい育て方を経験した方も多く、「どこを褒めたらいいの?」「どんな言葉で褒めたらいいの?」と、褒める行為自体むず痒いとか、難しいと感じている人も少なくないようです。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■失敗してもいい、というスタンスでいればいいただし、周囲の理解を得ておきたいところそれに対して菊池コーチは、こう答えます。「僕は子どもは準備しないという前提を持って接しています」お子さんを持つ父親でもあるコーチは、以前は「あと10分で家を出ないといけないから早く準備して」など先回りして伝えていたそうですが、子ども自身に意識を持たせるために、「遅刻して本人が苦労すれば変わる」というスタンスになったそうです。「やばい、遅れちゃった」と焦ったり、忘れ物をして試合に出れない経験をすることで、次から気を付けるようになるきっかけになるからだと菊池コーチは言います。「そういう小さい失敗は小学生年代にしかできないので。小さい失敗を繰り返して子ども自身の中に経験値として残っていくと思います」と父親としての考えも教えてくれました。ただし、子どもたちに失敗から学ばせようというスタンスは、現代の甲斐甲斐しく世話をする親御さんも増えている中では「放置している」と見なされる事もあるので、周囲に自分の考えを理解してもらうことも大事だとアドバイスを送りました。■大げさに褒める必要はない、難しく考えないでそしてカワハラさんが難しいと感じている「褒める」については、「大げさに褒める必要はありません」ときっぱり。家で何か手伝ってくれた時、何かが上手くいったときなどに「ありがとう」「助かったよ」「上手くいってよかったね」、などプラスの言葉を伝えることが「認める」「褒める」につながると言います。それだけで子どもは「喜んでもらえた」「見てもらえてる」と感じますし、上手くいかなかったときは「じゃあ次どうしたらいいか」を一緒に考えようとしたり、少しずつ自己肯定感が育っていくと伝えました。■親が怒ってばかりだと自己肯定感が下がる?少年サッカーのイメージそもそも「褒めることが下手で、怒ってばかり」の自身の行動が、我が子の自己肯定感を低くしているのでは......とお悩みを打ち明けてくれたカワハラさん。息子さんは、親から見て自己肯定感が低く、何をしても「できない、無理」と言うタイプで、新しいことに中々挑戦できなくなっているのだそう。サッカーは好きで家では自主練をするけれど、最近は精神的な理由でチーム練習に行けないこともあるそうで、移籍も考えているけれど、自己肯定感が低いままだとほかのチームでも同じ状況になるかもしれないと感じている、と苦しい胸の内を明かしました。■子どもたちを取り巻く環境が大きく変わったのも原因そんなカワハラさんの悩みに菊池コーチはこう断言します。「カワハラさんが怒りすぎたせいではないと思います」そして、その原因は子どもたちを取り巻く環境が大きく変わったことも関係するのでは、と見解を示しました。サカイクキャンプやシンキングサッカースクールで7,000人以上の子どもたちに接してきた菊池健太コーチ「この数年でも、子どもたちを取り巻く環境が大きく変わりました。学校も体罰や暴言指導には昔に比べてかなり気を付けていますし、コロナ禍で家族以外との接触が減ったこと、オンラインゲームの普及など、自宅にいながらインターネットで誰かとつながることができるなど、人との関わり合いの部分が、親世代が子どものころとは変わった事が大きいと思います」そして、1番悩んでいるのはお子さんなので、自分や誰かのせいでそうなったと考えて落ち込むより、本人の気持ちに寄り添うことが大事だとアドバイスを送りました。「サッカーも無理して行かせる必要はなく、行ける日があれば行って、ゲームに参加できそうなら入れてもらう、などいろいろな人に協力してもらいながら子どもに合ったペースで進んでいけると良いと思います」それを聞いてカワハラさんは、「褒めなきゃ、褒めなきゃって思っていたけど、日常の中で自分の思いを伝えるとか、そういう小さい積み重ねで良いんだってわかって良かったです」と明るい声になり、心が軽くなったことを教えてくれました。■「みんな同じような悩みを抱えてるんだ」と分かり、心が軽くなったこれまで3人のエピソードを紹介しましたが、座談会の最後に参加した皆さんに感想を聞いてみると「悩んでいるのは自分だけじゃなかったんだなと心が軽くなりました」「親も人間だし、完璧じゃないって改めてわかりました」「もう少し気を楽にして子どもにかかわれそう」など、みんな同じようなことで悩んでいるってわかってなんだか安心した、とみなさん明るい表情で教えてくれました。普段はなかなか人に相談できないことですが、今回の座談会を通じて事前に抱えていた悩みや不安が軽くなったようです。「すぐに完ぺきに実践できるものではないけど、子どもの様子を見ながらもがいていこうと思いました」という言葉に参加者一同うなずいて座談会を終了しました。サカイクが開催している「サカイクキャンプ」では、子どもたち一人ひとりを尊重し、チャレンジしたことなど褒めるべきところはしっかり褒め、人として良くないことをした時にはきちんと叱る、という接し方をしています。サッカーの技術だけでなく、ピッチ外の人間性が大事だということも学べるサカイクキャンプ、この冬も開催予定です。ぜひお子さんを参加させてみませんか?サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年10月30日普段の環境とは違う雰囲気の中、サッカーに取り組むことができるサカイクキャンプ。うちの子も体験させておくべきかどうかと、悩まれている方も多いのではないでしょうか。今回、これまで5回キャンプ参加をしているハルトくん(小5)とお母さんにお話しをうかがいました。リピート参加の理由や参加後の変化について、ご紹介します。(取材・文木村芽久美)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>サカイクキャンプでトレーニング中のハルトくん<<「褒める」も「叱る」も大事サッカーで子どもを伸ばすために必要な「叱る」の定義や適切な声掛けは?■自分で考える力を身につけて欲しいという想いが、参加のきっかけに大分県在住のハルトくんが初めてキャンプに参加したのは小学3年生の時。ご両親は大分から大阪までの遠さや費用を考えると、最初こそ悩まれたそうですが、サカイクキャンプの「自分で考える力」を身につけるという趣旨に強く惹かれたのだそうです。本人の意思を尊重しているご両親は、ハルトくんが少しでも躊躇するようだったら行かせるのをやめようと決めていたそうですが、キャンプの紹介動画を本人に見せ、「参加してみる?」と聞いたところ、躊躇することなく「行きたい」と答えたのだそうです。ハルトくんは双子の弟。お姉ちゃんは積極的な性格で、なんでも意欲的に取り組む一方、ハルトくんはどこに行くにもいつもお姉ちゃんの後を追うような性格で、消極的なのところが少し気になっていたのだとお母さんは言います。「サッカーの技術を身につけさせたいというよりは、自立して自分でしっかり歩いていけるような子になってほしい。私たちが一番大切に考えていることと、キャンプの趣旨が合っていたんです」サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■初めて親元を離れ、最初の夜は布団の中で泣いたハルトくんは恥ずかしがり屋で、インタビュー中も少しずつ言葉を絞り出して話すようなタイプです。そんなハルトくんにとって、小学3年生で参加したこのキャンプが初めて家族から離れた宿泊経験で、初めはとても緊張したそうです。「最初の夜は、泣いたらしいんですよ。布団の中で」とお母さんは当時を振り返ります。ただキャンプ参加後、少しずつ変化が見られていったのだと言います。「学校でも人前で話したり、発表するのは苦手なタイプなんですが、全校集会で自分の目標を言うような場面で手を挙げたって話してくれて」とその成長を嬉しそうに語ってくれました。ハルトくんも「みんなとコミュニケーションが取れるようになった」と自身の変化について実感しているそう。■キャンプの仲間との楽しいコミュニケーション経験が、主体性につながるゴールキーパー経験者というお父さんの影響もあり、ハルトくんはチームでキーパーをしています。最初はボールを怖がってしまい、ゴールの前にただずっと突っ立っている感じだったのだそうですが、キャンプ後に変わってきたのだとお母さんは言います。ハルトくんも「試合中、後ろから声を出したり、仲間を鼓舞してあげられるようになった」と自信を持って教えてくれました。サカイクのゴールキーパーキャンプにも参加し、キーパーとしてのスキルアップにも意欲を見せている様子です。キャンプのどんなところが一番楽しいか聞いたところ、「最初は緊張するけど、みんなと仲良くできたりするのが楽しい」とハルトくんは言います。全国各地から初めて顔を合わせる者同士、次第に声をかけた方が、みんなと仲良くできていいと自分で気がついて、自発的に声かけができるようになったのだそうです。その経験がチームでも生かされ、試合中チーム内で声が出ていない時でも積極的に後ろから声を出せるようになったり、自信を持ってゴールを守ることができるようになり、PKも止められるようになってきたと教えてくれました。■参加回数を重ねることで見られた、子どもの持つ力サカイクキャンプでトレーニング中のハルトくんハルトくんのインタビューを聞き、サカイクキャンプの柏瀬コーチはその成長ぶりを喜び、当時のことを話してくれました。「キャンプの時には『色々な子に声をかけてね』と常に言っているんですが、 2回目、3回目参加の頃のハルトくんは、下級生にも声をかけてはいたものの、その頃はまだちょっとだけ大人の目を意識していた様子でした」ところが小学5年生の夏のキャンプ、コーチたちが子どもたちの様子をこっそり陰で見守っていた時、大人が見ていない環境の中で、ハルトくんが自発的に下級生や初めて参加した同学年の子たちに声をかけている姿が見られ、大きな成長を感じ、嬉しかったと言います。大人の意見が強く残りすぎないで欲しいと、コーチたちは子どもの力を信じて見守ることも大切にしているのだそうです。■コーチも太鼓判を押す、キャンプを通じて自分で積み上げてきた自信キャンプの帰り道、突然ハルトくんに「キャンプに参加させてくれてありがとう」と、ぼそっと言われたのだとか。今まで1回もそんなことを聞いたことがなかったので、お母さんはびっくりしたそうです。言葉にするのが苦手なハルトくんでしたが、コーチから(キャンプに)参加できるのは当たり前じゃないんだから感謝するんだよと言われ、その実感が湧いて言えたのではないかと嬉しそうに話してくれました。そんなハルトくんの将来的に目指す選手像は、「みんなに前向きな声をかけたり、ミスしたら励ましてあげられる、頼られるキーパーになりたい」のだそうです。柏瀬コーチは、感謝する気持ちが持てたり、落ち込んでいる仲間がいた時、前向きな声をかけてあげる・みんなに頼られる存在になりたいというのは、まさにキャンプでも伝えている「ライフスキル」であり、これからも自信を持って進んでいってほしいと太鼓判を押しています。「色々な地域の子と友達になれて楽しいから、キャンプはおすすめ」と言う、ハルトくん。この冬キャンプでも、みんなから頼られる存在となることでしょう。初キャンプに不安があって参加を躊躇している人がいるのであれば、ハルトくんのような先輩がいるから安心ですよ。ぜひこの冬、まずは気軽にキャンプ参加してみてはいかがでしょうか。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年10月28日キーパーのゴールキックが奪われ、得点を決められてしまう。ゴールキック=相手チームのチャンスになってしまっている。ビルドアップを理解させる練習法を教えて。とのご相談をいただきました。ゴールキックが相手のチャンスに、というのは小学生年代でよくあることですよね。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、低学年から理解させたほうがいいビルドアップの指導法を教えます。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ギャップを作ってそこに入る、使うができない。どう教えたらギャップを作る動きを習得させられるか教えて<お父さんコーチからの質問>はじめまして。スポ少で指導をしている者です。担当はU-10です。元々高校までサッカー部で、社会人になっても趣味程度にサッカーをしていました。子どもの少年団入団後、周囲のお父さんに誘われ指導に携わっています。担当はU-10です。指導者ライセンスはまだ保有していません。プレー経験があるのと子どもたちに教えるのでは随分勝手が違うので、悩みます。相談内容は、ビルドアップについてです。まだ強いボールが蹴れないのもあり、ゴールキックが=相手のチャンスになってしまうことが多いです。GKがキック→ボールを奪われ相手にゴールされる、という場面が結構あります。ポジションの修正や、どこにパスを出すか、ちゃんと味方が見えているかなどが課題だと思うのですが、この辺りをどのように教えるのがいいでしょうか?いい練習メニューがあれば教えてください。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。ゴールキックがそのまま失点につながってしまう。少年サッカーにおいて、日本中どこに行っても耳にする話です。そうなる理由のひとつは、ルール上の問題もありそうです。■ドイツでは10歳前後はゴールキックではなく、手で投げてOKなケースが多い例えばドイツでは、10歳前後はゴールキック自体やらせません。ボールがゴールラインを割ると、キーパーが手で持って投げてOKというルールにしているケースが多いです。さらに地域ごとでルールを工夫しています。ゴールキックになると、相手チームの選手たちはハーフラインまで下がらなくてはいけない。そんなルールにしている地域があると聞いたことがあります。育成年代でビルドアップを経験させるために、そのようなローカルルールを設けているわけです。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■DFにボールを預けた後の展開、周りをどう見るか、状況判断を学ぶ必要があるそういったルールを設けてビルドアップできるようにするには、キーパーがディフェンダーにボールを預けた後どう展開するかといった原理原則を学んでもらう必要があります。しっかり周りを見て、状況判断してボールを運ぶには、まわりをどう見るか。ボールが自分のところに来ることで何が起きるか。そういった状況をちゃんと見る。見たら、どこにパスをしたほうがいいかを判断する。それらができるようになるトレーニングをするといいでしょう。■3対2のビルドアップ練習法私がよくやるのは、キーパーと選手2人を合わせた3人に守備2人がつく3対2のビルドアップの練習です。小学4年生くらいであれば、サイズは縦30メートル、横20メートくらいのコートを作ります。そして、3人が攻めるほうの30メートル先の両サイドにそれぞれゴールを設けます。キーパーを含む3人はボールを運んでゴールにパスできれば1点にします。例えば右から左にパスして揺さぶるとうまく相手を外せます。相手にはキーパーはいないので結構簡単に点が入るでしょう。相手の外し方がわかってきたら、今度はそこをドリブル通過できると1点にします。そうすると、あまり低い位置でボールをもらってしまうと、ドリブルを長くしなければいけなくなります。当然相手は取りに来ますし、追いつかれる可能性が高くなります。そうなったところで子どもたちに「どうしますか?」と尋ねます。無理に前に行こうとせず、キーパーを使って逆サイドにボールをふるのか、あるいはもう1人が味方に近づいたり、裏を突くといったことをします。そのような練習をしておけば、試合でゴールキックのときに、どうやってボールを運ぶか理解できるはずです。■高校生も実践している練習メニューこれは今私が教えている高校生たちもやっている練習です。高校生はもう少し人数を多くしますが、狙いは同じビルドアップのトレーニングです。簡単に言えば、両サイドにボールが出て、前のゴールにパスしたり、ベースラインをドリブルやパスで越えれば1点にします。そんなことがだんだんと理解できてきたら、ゴールを三つにします。サイドだけでなく、真ん中に行ってもいいよということです。そうすると、横へのパスだけでなく縦のパスも理解できるようになってきます。■一瞬手詰まりに見えるけど、ダイレクトで返せば有効に展開できるそんな経験をさせてそもそも、すぐ取られるのであれば何が問題なのか。そこを考えなくてはいけません。例えばキーパーがパスしたときに、キーパーが選んだ場所が悪いかもしれません。ほかに、日本の子どもは駆け引きをするという感覚が足らないようです。自分のところにうまく相手を呼び寄せて、他の選手がフリーになるように動くとかそういったことが理解されていないようです。例えば仲間が受けに来てくれた。ところが相手もついてきている。そういうときにわざとその選手に出して、その選手がダイレクトでキーパーに返すと、キーパーがフリーで持って上がれるようになる。そのように、一瞬手詰まりに見えるけれどダイレクトで返すことで有効に展開できる。そんなことを経験させてください。■どうすればフリーになれるか、を理解させる動きを低学年から取り入れよう上述した3対2のビルドアップ練習で、両サイドにゴールがある場合、ダイレクトパスを返されたキーパーはシュートができます。これは「前のサイドの仲間にパスができるんだ」という理解になります。いつも近い人ばかりにパスをするのではなく、少し遠くを見たらここにもパスできるよねという気づきです。すると今度はキーパーに渡ったときにシュートを打たれたくないので、相手がシュートをコース防ぎに行きます。その子にマークされていた子がフリーになってくる。ここでフィールドプレーヤーの2人は相手と2対1の状況になります。この2対1を低学年のうちからやっておけば、どうすればフリーになるかという理解を深めることが容易くなります。その際、指導者が「こう来たら、こうだろ」といったふうに見ている側の枠にはめたくなりますが、そこを我慢しましょう。できるようになるのが狙いではなく、まずは成り立ちを理解すること、そして楽しく習得することに軸足を置いてください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■足元の技術が足りてないだけなのか、理解していないゆえのミスかはきちんと見極めて(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)子どもは周りをよく見て蹴ったんだけど、技術がなくて正確にパスできないことがあります。そこをきちんと見極めることが指導者の仕事です。足元の技術が足りなくてできなかったとしたら「いいよ、いいよ。すごくいいところ見たよね」と言って「あとはしっかり蹴られるようになるといいね」と言ってあげてください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年10月25日最近は学校でもスポーツの現場でも、子どもを理不尽に怒る場面は減っています。子どもが尊重されて、良い時代になったと実感する一方で、「甘やかしすぎでは?と感じる」、「ぬるい環境で育って将来社会で生きる耐性がつくの?」という不安もある、という親の声も聞きます。褒めるだけでなく、時にきちんと叱ることも大事なのでは。と感じている親御さんは多いと思いますが、「叱る」と「怒る」の違いがわからなかったり、感情的に怒ってしまっていませんか?そこで今回、サカイクアンバサダーにご参加いただき、サカイクキャンプやスクールで何千人もの子どもたちに接していて自身もサッカー少年の父親である菊池健太コーチに「怒る」と「叱る」の違いや、「褒める」との使い分けなどを伺いました。今回は、小5の我が子についつい感情的になってしまうお母さんの相談。100%の正解があるテーマではありませんが、ぜひ参考にしてみてください。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>サカイクキャンプやシンキングサッカースクールで7,000人以上の子どもたちに接してきた菊池健太コーチ<<「褒める」も「叱る」も大事サッカーで子どもを伸ばすために必要な「叱る」の定義や適切な声掛けは?■自分が疲れていたりすると、叱るときに感情を乗せてしまうこともカジさん(仮名)は、もともと「褒める」も「叱る」も大事にしたい方針で、今回のテーマに興味を持ってご参加いただきました。前編で菊池コーチが伝えた、「叱る、は未来に向けての言葉」に大いに共感したと言いつつも、サッカーをしている小5のお子さんに対して「普段は意識しているんですが、疲れていたりすると、自分の感情を乗せて言葉を発してしまったりするんですよね」と、褒めると叱るのバランスを大事にした子育ての難しさを明かしました。気持ちと体力に余裕があれば、冷静に対応できることも、疲れているとできないこともありますよね。少年サッカーのイメージサッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■サッカーに悩むわが子を叱咤した方がいいのか悩んだ時もカジさんは、最近までお子さん自身がサッカーで悩みを抱えていたそうで、体にも症状が出るほどだったそう。サッカーが好きで高い意識を持ち、頑張っているのに苦難するわが子を見て、サッカーから離したほうがいいのか悩んだ一方で、叱咤したほうがいいのか悩んだこともあったと言います。■悩んだ経験を持つ子はほかの子に優しくできる子に育つそんなカジさんの悩みに菊池コーチはこう答えます。「うまくいかない時は誰にでもありますが、カジさんがお子さんのことをしっかり観察して寄り添っているので、話し合いをしながら必ず乗り越えられると思います」そしてこう続けます。「小学生の時にそういった悩む経験をした子は、自身の経験により他の人に優しくできる子になったり、アドバイスできる子に育つと思います。大きく成長する時ととらえることもできます」と、お子さんに寄り添う姿勢を称えました。■正解がないから悩む少年サッカーのイメージ菊池コーチの話を聞いて、カジさんは力強く「ありがとうございます」というと、少しすっきりした表情でこう語りました。「小5でこんなに悩んでいるのは心配でしたけど、自分より頑張っているんじゃないかと思う部分もあるんですよね。だから、これからも一人の人間として接してあげようと思いました」そのうえでこのような本音も。「でも、親の立場として悩みますね。『正解』がない分、その子によっても受ける影響は違うでしょうし、自分の選択があっていたか確認する場もない。だから、このような座談会でほかの人の話を聞いて『そっか、そういう考えや方法もあるんだ』と知れることはありがたいです」子どものことを思って言っていても、子どもによっては受け取り方が違うこともあったり、万人に合う「正解」がないから親は悩むのですよね。それでも、たくさんの子どもたちに接してきたコーチのお話やほかの参加者のお話を聞いて、安心をすることができたことは大きな収穫だったといえるでしょう。■褒める、叱るは両方大事前回の記事でもお伝えしましたが、褒めることはもちろんとても大事です。子どもたちだって褒められたら嬉しくなって、もっとやってみよう、と挑戦する子も多いものです。サカイクキャンプやシンキングサッカースクールで7,000人以上の子どもたちに接してきた菊池健太コーチただし、何でもかんでも褒めていればいいものではなく、選手として人間としてもっと伸ばすためには、「未来の話」を多くしないといけません。褒めるばかりではなく、よくないことはしっかり叱り、改善と成長を促すこともこの先伸びるために大事だと、これまで7,000人以上の子どもたちを指導してきた菊池コーチも念を押します。サカイクが開催している「サカイクキャンプ」では、子どもたち一人ひとりを尊重し、チャレンジしたことなど褒めるべきところはしっかり褒め、人として良くないことをした時にはきちんと叱る、という接し方をしています。サッカーの技術だけでなく、ピッチ外の人間性が大事だということも学べるサカイクキャンプ、この冬も開催予定です。ぜひお子さんを参加させてみませんか?次回は、いつも怒ってばかり、そもそも褒めるのが苦手なんです......。というお母さんの相談をお送りします。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年10月23日ギャップを作って、そこで受けてパスをつなげる、裏に抜け出す。ポジショナルプレーでは当たり前の動きだけど、スペースをうまく活用して攻撃する動きができない。相手の嫌なスペースを作ってそこを使うことを教えるにはどんな練習がいい?というご相談をいただきました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、「ギャップを作る」動きを習得する練習法を教えます。(取材・文島沢優子)サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<学年ミックスしないとチームが作れない女子サッカーチーム、全員をうまくするにはどんな指導がいいか教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。少年団で指導をしています。「ギャップで受ける」について教えてください。クラブチームと対戦する機会もあるのですが、強いチームは当たり前のようにそれができてますが、どのように教えたら動けるようになるでしょうか。ギャップを生み出す、うまく使うことを身につけさせるのにお薦めの方法があれば教えてください。質問が稚拙で恐縮ですがどうぞよろしくお願いいたします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。ギャップとは、ディフェンス2人の間のスペースを指します。自然に生まれるスペースというよりも、それぞれがディフェンスを引きつける動きをしてつくるスペースをギャップと言います。■スペースを有効に使えば相手を崩すことができるそのギャップを上手くつく、つまりスペースを有効的に使えば、相手を崩すことができます。これまでのサッカーは、ゲームを支配するために選手たちはボールが受けられるところに動く。(ポゼッション)そのようなサッカーがトレンドとされていましたが、現在は「ポジショナルプレー」と言って、その都度どこに動くのがよいのか、ポジションを修正していくことが求められます。それはすなわち、前述したギャップで受けられるよう相手の嫌なところに行くということです。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■ギャップをつけるようになる練習メニューギャップをつくには、それぞれがポジションを修正しながら動かなくてはなりません。練習方法はネットや本にたくさん出ていますが、ここでは4対2で説明します。6年生くらいであれば十分効果があるかと思います。まずは選手に「相手のディフェンスの間でパスを受けましょう」と伝えます。2人の間にパスを通せたら1点。そんなゲームをします。私がよくやるのは時間を決めて、例えば1分間で何点取れるかを競ってもらいます。「1分間、ディフェンスの2人は変わらないよ。はい、次の2人、入ってください」そのように進めます。選手は点を取りたいので相手ディフェンスの間を狙います。そのためには、相手のディフェンスに「間を空ける」ような動きをしてもらわなくてはいけません。つまり相手に広がってもらうことを考えます。1人のディフェンスが、1人のボールを取りに出ていくと、後ろにいるもう1人のディフェンスが同じようについていってしまうとスペースができないのですが、前にいる1人だけがボールを取りに行くと、そこで間が空きます。その瞬間に、右か左の選手がそこのギャップをつけばパスを通せる。そこで1点です。そのようにして遊んでる間に理解していきます。練習と言っても、遊びの中でボールを回している間におぼえていくと考えてください。■ディフェンスに「チャレンジ&カバー」を意識させるさらに言えば、全員がその能力を上げるためには、日本サッカー協会が伝えているようにディフェンスに「チャレンジ&カバー」を意識させます。一人がボールにチャレンジしに行ってるのに後ろが止まっていてはいけない。カバーするためについて行くとギャップが生まれないのでパスを通せなくなります。そこで、今度はオフェンス側に対し「どうやってギャップを作りますか?」と質問して考えてもらいます。そうすると、「どれだけ速いパス回すか」を考えなくてはいけません。そこでオフェンス側に「4人で10本パスしたら1点」というルールも設けます。ディフェンス側はパスを通されたくないので、ボールを取りに行くしかなくなります。パスを回している間に、ふと後ろのディフェンスがついていけなくて、ギャップが開くことがあります。その瞬間にギャップを狙う。そんなトレーニングです。■子どもたちも大好きな代表戦などを例にして考えてもらおう先日のW杯最終予選オーストラリア戦(10月15日)で、解説をしていた内田篤人さんが「ポケットを取る」という話をされていました。ピッチの最深部からの折り返しをすることができるスペースのことです。このポケットに走り込んでそこに出てくるパスは、まさしくギャップを使うということです。昔の言い方だと「スルーパス」でしょうか。内田さんは「(日本のオフェンスは)外にもっと広げるほうがいいですね」と話していました。オフェンスが広がると、ディフェンダーをつり出せるので、ギャップを通しやすくなります。そこでポケットが狙いやすくなります。後半に交替で左サイドに入った中村敬斗選手はそこへの意識が高かったです。サイドに広がり、ボールを受けていました。内田さんが「もっと彼を使ったほうがいい」と話していたのは、そのような意味でしょう。そんなふうに子どもたちが観ているであろう代表戦を例に挙げて「ギャップを広げるためには何をしますか?」と考えてもらいましょう。そして、相手が広がったら、どうやってそこを狙うか?そんな順番で考えてもらいます。まずは相手を広げるために自分たちが広がる必要があるのです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■ギャップの意識は2、3年生から養っておいたほうがいい(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)2対2のワンツーパスも同じことが言えます。例えばボール持っている選手がいます。それにマークしている選手がいる。もう1人にも同じようにマークされている状況で、ボールがない選手がいったん外に広がると、その選手をマークしてる選手はついていくしかなくなります。そうすると2人のディフェンスの間が空きます。次の瞬間ボールを持っていない選手が素早くデフェンスの間に走り込むと、一瞬2対1になります。パスをした選手がギャップの中に入ってワンツーパスをもらう。そのような感覚は、低学年の2年生、3年生あたりでしっかり2対1をやって養っておいてほしいものです。そうしないと、高学年になった6年生で「ギャップをつこう」と伝えてもすんなり理解できません。トレーニングは下の学年からの積み重ねなのです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年10月20日サッカーは、一瞬の判断ミスが勝敗を分けるスポーツです。その中でも、特に重要な判定の一つが「アウトオブプレー」です。「アウトオブプレー」英語で書くとOut Of Play、なんとなくプレー以外のことだとは想像できますが、具体的にどんなプレーなのでしょうか。この記事では「アウトオブプレー」について解説します。<目次>1.サッカーのルールにおけるアウトオブプレーとは2.アウトオブプレー判定が試合に与える影響3.主審が見るべきポイント4.選手の動きとボールの動き5.ラダーを使ったトレーニング方法6.選手の動きとボールの動き7.まとめサッカーのルールにおけるアウトオブプレーとはアウトオブプレーとは、攻撃側の選手がパスを受けた瞬間、相手ゴールラインよりも身体のどの部分(手と腕を除く)が前に出ている状態のことを指します。ただし、自陣ゴールラインより後ろにいる場合は、アウトオブプレーになりません。アウトオブプレーは、攻撃側の選手が有利なポジションを得ることを防ぎ、フェアな試合展開を維持するために設けられたルールです。アウトオブプレー判定が試合に与える影響アウトオブプレーの判定は、試合の流れを大きく左右する可能性があります。 正確な判定が行われなければ、得点の取り消しや、決定的な得点チャンスを逃すことにも繋がりかねません。そのため、主審は常に選手の位置とボールの動きを正確に把握し、迅速かつ的確な判断を下す必要があります。主審が見るべきポイントアウトオブプレーの判定は、一見シンプルに見えますが、実際には主審は多くの要素を考慮する必要があります。ボールの位置と選手の位置関係アウトオブプレー判定の最も基本となるのが、パスが出た瞬間のボールの位置と、攻撃側の選手の位置関係です。主審は、一瞬の出来事の中で、どちらの選手の足元からボールが離れたのか、その瞬間攻撃側の選手の身体のどの部分が相手ゴールラインよりも前に出ていたのかを正確に見極める必要があります。選手の動きとボールの動き選手やボールのスピードが速い場合、正確な判定はさらに難しくなります。主審は、選手やボールの動きを予測しながら、常に最適なポジションを確保し、視界を遮られないように注意する必要があります。ゴールラインとサイドラインの位置アウトオブプレーの判定は、ゴールラインとサイドラインを基準に行われます。そのため、主審は、常にこれらのラインの位置を意識し、選手の位置関係を正確に把握する必要があります。特に、ゴールラインに近い位置でのプレーや、サイドライン際でのプレーでは、より一層の注意が必要です。まとめアウトオブプレー判定は、サッカーの試合において非常に重要な要素です。正確な判定は、試合の公平性を保ち、スムーズな試合展開に繋がります。主審は、アウトオブプレーの判定を行う際に、ボールの位置と選手の位置関係、選手の動きとボールの動き、ゴールラインとサイドラインの位置など、様々な要素を考慮する必要があります。サッカーファンも、アウトオブプレーのルールや判定基準について理解を深めることで、より一層試合を楽しむことができるでしょう。
2024年10月17日最近は学校でもスポーツの現場でも、子どもを理不尽に怒る場面は減っています。子どもが尊重されて、良い時代になったと実感する一方で、「甘やかしすぎでは?と感じる」、「ぬるい環境で育って将来社会で生きる耐性がつくの?」という不安もある、という親の声も聞きます。褒めるだけでなく、時にきちんと叱ることも大事なのでは。と感じている親御さんは多いと思いますが、「叱る」と「怒る」の違いがわからなかったり、感情的に怒ってしまっていませんか?そこで今回、サカイクアンバサダーにご参加いただき、サカイクキャンプやスクールで何千人もの子どもたちに接していて自身もサッカー少年の父親である菊池健太コーチに「怒る」と「叱る」の違いや、どんな点に注意しているのかを聞いてみました。第一回目は、褒めると叱るの両極端なチームに子どもを通わせているお父さんの相談内容です。100%の正解があるテーマではありませんが、ぜひ参考にしてみてください。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>サカイクキャンプやシンキングサッカースクールで7,000人以上の子どもたちに接してきた菊池健太コーチ<<脳を研究する大学教授も証言「褒める」と「叱る」の両立が子どもの自己肯定感を育む■とにかく褒めまくるチームと厳しい口調のチーム、両方に通わせてるけど......エンドウさん(仮名)は小2のお子さんを持つお父さん。お子さんは、お父さんコーチが始動する少年団と元プロが指導する街クラブに所属しています。2つのチームは空気が全く異なり、少年団は絶対に怒らず、聞いていてむず痒くなってしまうほどとにかく褒めまくる方針、クラブチームのほうはかなりのスパルタで、厳しい口調で始動されるのだとか。少年サッカーのイメージそういった真逆の環境の子どもを置く親として、褒められてばかりだと満足して向上心がなくなるのではないか、かといって怒られてばかりだとサッカーが嫌いになってしまうのでは......。と葛藤を抱えているそう。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>■コーチの回答「叱るというのは未来に向けて言葉を発すること」それに対して菊池コーチは、「僕たちもこれまでサカイクキャンプで7,000人以上の子どもたちに接してきて、普段もスクールで週に約200人近い子に教えていますが、万人に当てはまる『正解』はないなと感じています」と答え、こう続けます。「叱るというのは未来に向けて言葉を発することだと思うんです。例えばサッカーの話をすると、原理原則があって、その原理原則から少しはみ出してしまうと、改善するために話をしてく。その子が今後困らないように話をしてあげるっていうのが、どちらかというと『叱る』かなと思います。それがプラスの言葉であることが前提だなという風に思ってます。一方で怒るっていうのは、真逆の行動で、自分の感情や欲求が満たされない時に言ってしまうことかなと思います」と、「叱る」は、未来に向けて成長を促すための行為だと語ると、質問者のエンドウさんをはじめ、参加者のみなさんは頷いていました。=================================<怒る、叱るの違い>怒る ―― 感情的に自分のイライラや怒りをぶつけるもの叱る ―― 相手の非を指摘し、説明し、きびしく注意を与えるもの。腹をたてているわけではない、相手の成長を促すための行為=================================■親としてのリアルな話に参加者も共感いっぽうで菊池コーチは、指導現場では意識しているものの家庭では中々難しい......、という父の顔ものぞかせます。「我が子もサッカーをしていて、先日テストの結果を持ってきた時『なんでこの点数なんだ? YouTubeばっかり見て勉強してないからこうなるんだよ』と、叱るじゃなく怒る方の言い方をしてしまいました」とご自身の体験を語ると、参加者たちからも共感の声が上がりました。■褒めると叱るはバランスが大事子どもに伝え、諭すイメージサカイクキャンプやシンキングサッカースクールでは、褒めることも大事にしていますが、子どものサッカー経験値によっては求められるものが異なります。サッカー歴が長く経験のある子たちには、経験値の浅い子たちと同じ内容のトレーニングをしていても、「よかった、素晴らしいよ。でも次はこういう風にしてったらいいよね」と、未来の話につなげていくことも必要なのだそう。そういった「褒める」と「叱る」のバランスを取ることが大事なのだと教えてくれました。■褒められるために大人の目を気にした行動をとるようになる懸念もそのうえで、「褒める」だけの懸念点も伝えます。「褒めるばかりだと、それが当たり前になってしまうと思っています。何か指摘されたときに『俺はダメなんだ』と感じてしまったり『今日は褒めてもらえなかった』と、必要以上に落ち込んでしまうんです」褒められるだけの環境にいると、褒めてくれる人の前でお利口さんでいようとするので、チャレンジしなくなるのだそう。上手できれいなサッカーをするけど、子どもらしい自由な発想やプレーがなくなってしまうので、指導者は、子どもたちがコーチの機嫌をうかがわず伸び伸びできるよう工夫したほうがいいと語ります。そのためには、子どもたち一人ひとりの背景にも目を向けて、褒めると叱るのバランスを見てあげてほしいと自身の考えを伝えると、相談者のエンドウさんも大きく頷いていました。■わが子のことになると、ついつい......とはいえ、わが子となると、抑制が効かない時もあるそうで「色々偉そうに語ってしまいましたが、僕自身わが子にはどうしても『怒る』が優先しちゃうんですよね」と苦笑すると、相談者のエンドウさんだけでなくほかの参加者たちも頷き、共感していました。それでも「怒る」と「叱る」の違いを理解して、念頭に置いておくだけでも子どもたちへの接し方が変わるはずです。感情に任せて怒るのではなく、改善し成長に導くために叱る。ぜひ心得ておいてください。次回は、サッカーに迷っている小5の子どもについつい感情的になってしまうお母さんの相談をお送りします。サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>>
2024年10月17日後から入部してきた、スクール2つ3つ掛け持ちの子たちにスタメン奪われた。補欠になったらそれまでの友達とも距離ができ、自信を失っている息子。自分はフルタイムだしスクール送迎とか難しいけど、親の情報収集とお金をかけて良いレールに乗せることで子どものサッカーの運命も決まるの?息子の笑顔を取り戻したい。というご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、悩めるお母さんに3つのアドバイスを送ります。(構成・文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカーに向いてない息子。親が他競技への転向を勧めてもいいのか問題サッカー少年少女が自ら伸びる親のかかわりかたLINEで配信中>><サッカーママからの相談>息子は10歳です。これまではスタメンでした。しかし今年からずっとベンチです。足は遅い方で、現在は明らかにあとから入部してきた子たちに抜かれて置いてきぼりになっています。その子達はスクールを2~3掛け持ちして通っています。送迎も費用も大変だと思います。私はフルタイム勤務なので同じことはできません。そのママたちはそうやって時間とお金をつぎ込んで、子どももちゃんと成績をあげてスタメンを取ってるので親も満足だと思います。やはり自主練ではなく親が情報収集し、より良いレールに乗せられたかどうかで子どもの運命も決まるのかなと思います。うちの子はベンチになってから自信を失い、友達とも距離ができました。友達が離れていってしまったようにも見えます。好きだったサッカーが、練習がうまくいかず、遠い場所の試合に行ってもベンチに座って帰ってくるだけの自分を見て、一番悲しい気持ちなのは本人だと思います。自信がないとできることもできない、できないと「ああ、やっぱりあいつはできない」と思われると恐れる、悪循環です。スタメンの子たちはJ下部のチームのセレクションを受けると言って盛り上がっています。以前は友達だったけど、今は距離が遠くなってしまっているようです。サッカーが好きなら続ければいいと思いますが、試合に出たい、認められたい、そういう気持ちで焦って、苦しそうです。みんなの輪の外にいる状況も苦しいと思います。なんとか壁を越えてほしいのですが、以前のように笑顔が戻って心からサッカー楽しいって思えるように、親ができることはなんでしょうか。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。10歳なので4年生か5年生でしょうか。せっかくレギュラーだったのに、ベンチメンバーになってしまったということで、お母さんの落胆ぶりが伝わります。■時間とお金をつぎ込んでスタメン、に悶々とするより息子さんの笑顔が戻るほうに意識を向けてご相談のメールに「親が情報収集し、より良いレールに乗せられたかどうかで子どもの運命も決まる」と書かれています。サッカースクールの送迎が出来ないフルタイム勤務であるご自分を強く責めていらっしゃるようです。その一方で「ママたちはそうやって時間とお金をつぎ込んで、子どももちゃんと成績をあげてスタメンを取ってるので親も満足」などの部分に、嫉妬心もうかがえます。そういったドロドロした本音を、お母さんはここで吐き出しました。しかし、ここまでにしましょう。これからどうすればいいのかを考えませんか。お母さんが最後に質問された、息子さんが「笑顔が戻って心からサッカー楽しいと思えるよう」親ができることを探しましょう。そのために、私から三つほどアドバイスさせてください。■試合経験は大事、小学生年代は全員出場させてくれるチームに所属したほうがいいまず、ひとつめ。小学生時代は全員出場させてくれるチームに所属したほうが良いかと思います。本来ならば、公式戦で出られなかった子どもがいれば、そのあとに「B戦」といって他のチームの試合に出られなかった子ども同士で試合をさせるべきです。そういった配慮をしてくれるクラブがあれば息子さんに提案してもいいですね。そうすれば、少なくとも「遠い場所の試合に行ってもベンチに座って帰ってくる」といったがっかり感はなくなると思います。とはいえ、すでに中学年から高学年に移行する時期であり、息子さんがチームを移ることを嫌うようならお勧めできません。何をするにも、最終的には本人の意思を尊重してあげてください。■中学以降で伸びる子もいる長い目で成長を見ること二つめは、長い目で見てあげることです。お母さんと似た悩みをお持ちの親御さんを、SNSでよく見かけます。少年サッカーで万年補欠だったお子さんの動向を発信しているお父さんの書き込みをずっと見ていますが、最近その子は中学生になりました。中学ではその子が試合に出られそうなクラブを探して入ったそうで、試合に出て楽しくサッカーを続けているそうです。そういった子どもはたくさんいます。そもそも身体的な成長や、サッカーの技術や戦術眼の習熟度の進み具合は、子どもによって異なります。下級生のときから上手かった子どもが中学や高校で伸びなかったりしますし、逆に少し発達が遅れがちであまり試合に出られなかった子どもが中学や高校で一気に伸びることもあります。そういったことを踏まえて、親御さんは目の前の子どもの姿に一喜一憂する是非を考えて欲しいのです。もちろん一緒に喜んだり、悲しんだりする、子どもの気持ちに共感することは重要です。しかし、お子さんの悔しさや孤独にお母さんが「同化」してしまってはいけません。なぜレギュラーから外されたんだろう。何が足らないんだろう。どうしたらいいんだろう――。そんなふうに、お子さんのサッカーのことばかり考えていないでしょうか?そんな親の感情は子どもに気づかれています。子どもが抱える「レギュラーから外された」という荷物をお母さんは取り除いてあげたいはずなのに、その荷物の上に「レギュラーのあなたでなければ嫌だ」というストレス、つまり新たな荷物を載せてはいないでしょうか。この連載の187回目で、オーストリアのアルフレッド・アドラーが提唱し、後継者たちが発展させてきた心理学の体系である「アドラー心理学」について触れています。そのなかの「課題の分離」という概念です。アドラー心理学の中心的な考え方のひとつでもあるこの「課題の分離」は、自分の課題と他者の課題を明確に区別したほうがいいよ、という考え方です。自分の課題については真摯に向き合い責任を持ちますが、他者の課題には立ち入らないようにする。 他者の課題に不必要に介入することは、相手への支配や依存につながる危険性があるためです。レギュラーになれないのは、息子さんの課題です。お母さんは何も言わず見守っていればいいのです。あまりに楽しくなさそうなら、ひとつめでアドバイスしたように他のチームを探すことに協力してあげてください。■親が情報収集し、良いレールに乗せられたかどうかで決まるは間違い(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)最後の三つめ。冒頭で触れた「親が情報収集し、より良いレールに乗せられたかどうかで子どもの運命も決まる」は間違いです。そのような考えは、課題を分離させずに同化させています。より良い「レール」など存在しません。子どもが自発的、主体的に「おれ、こうするよ」と見つけたものがベストのレール。親は、いかに自発的、主体的に考えられる子どもに育てるかに注目してください。お母さん自身、いまとても良い学びに遭遇していませんか。補欠の子どもの親の気持ちを知ったわけです。ずっとレギュラーだったら、遠い場所の試合に行ってもベンチに座って帰ってくる子どもの心情に気づけた。それだけでも、人として大きな学びです。つまり子育ては子どもを育てるのではなく、子どもに育てられている。私はそう思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年10月16日サッカーのキックにはいろんな種類があります。その中の「トウキック」(トーキック)とは、サッカーにおいて最も基本となる蹴り方の1つで、靴のつま先部分(トウ)を使ってボールの中心を捉え、力強く遠くに飛ばす技術です。正確には足の甲の少し上、足の指の付け根あたりを使って蹴ります。この記事では、トウキックの基本的な蹴り方と、初心者でもすぐ蹴れるようになるコツをお伝えします。<目次>1.トウキック(トーキック)の基本的な蹴り方2.初心者が今すぐ蹴れるようになるコツトウキック(トーキック)の基本的な蹴り方軸足: 軸足をボールの斜め後ろに置く。利き足と反対側の足を軸足にするのが一般的。助走: ボールに向かって斜めに助走する。キック: 軸足を踏み込みながら、足の甲を伸ばしてボールの中心を捉える。フォロースルー: 蹴り終わったら、蹴り足を目標方向に振り抜く。初心者が今すぐ蹴れるようになるコツ最初は、力強く蹴ることよりも、ボールの中心を正確に捉えることを意識しましょう。軸足をしっかりと踏み込み、体重移動をスムーズに行うことが重要です。周りの人の動きをよく見て、イメージトレーニングをすることも効果的です。最近では動画もたくさんありますので、動画を見ながら動きを覚えるのも習得に役立ちます。サッカーでは状況に合わせてキックも使い分けることが大事です。コツをつかんで日々の練習や試合で実践してみましょう。
2024年10月11日