サカイクがお届けする新着記事一覧 (4/34)
子どもが夏休みで普段より接する時間が多く、サッカーと子育てについて考えることも増える時期ではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、親のかかわり方に関する記事をランキングでご紹介します。サッカーを頑張るわが子をサポートするための参考になることがたくさんありますので、記事配信当時に見逃した方も、いま一度ご覧ください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>第3位2児の父・松井大輔さんが語る、サッカー少年少女が「楽しい」「上手くなりたい」と思うようになる親のかかわり方第3位は、松井大輔さんのインタビュー記事でした。元Jリーガーで、フランス、リーグ・アンなど海外経験も豊富な松井大輔さんの子育て論。松井大輔さんが実践している子どものやる気の引き出し方は、「ああしろ」「こうしろ」といった命令口調でないのに、「自分もやろう!」と気持ちが刺激される方法でした。サッカー上達に一番大事なのは本人のやる気です。子どものやる気を引き出したい保護者の皆さんは、いま一度ご覧ください。記事を読む>>第2位「サッカー少年少女の親として何より大事なのは、子どもをプロにすることではない」昌子源選手の父・昌子力さんが語る親の心得第2位は、昌子源選手のお父さん、昌子力さんのインタビュー記事。息子の昌子源選手(町田ゼルビア)はプロになり、日本代表としてワールドカップにも出場しましたが、親として一番大事なのは子どもをプロにすることではない、という昌子力さんのインタビューは、今サッカー選手を育ている保護者の関心を集めました。プロになることの大変さを知っているからこその持論や、これまで長く育成にかかわってきた経験から、育成年代に必要なことを聞かせてくれました。夏休みで時間がある今、じっくり読んでみてください。記事を読む>>第1位干渉しすぎて自立を阻害する「ヘリコプターペアレント」になってない?過保護にならないための対処法第一位は、過干渉についての記事。親のあり方について目にする機会が増え、保護者の皆さんの「過干渉」への関心も高くなっていることを感じさせます。聞きなれない「ヘリコプターペアレント」というワードにも興味を持ってみてくださった方も多いのではないでしょうか。過干渉で子どもの自立を妨げるのは親としても本意ではないですよね。見守りとサポートは匙加減が難しいものですが、大きくなっても自分で決められない子にしないために、具体的な対策を紹介していますので改めてご確認くださいませ。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が子どものサポートについて考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2024年08月15日サッカーのポジションで「ウイング」は、前線左右両サイドの攻撃的なポジションです。主に3トップを採用した際に配置される、左右のサイド(タッチライン沿い)を主戦場とします。サイドハーフよりも高い位置で、ドリブルで仕掛けたりクロスボールをあげることはもちろん、中に切れ込んでシュートを放ったり、逆サイドからのクロスボールに合わせてゴールを狙ったり、より得点に直結するプレーが求められるポジションです。<目次>1.ウイングの役割2.ウイングに必要な能力3.有名なウイングの選手4.まとめウイングの役割ウイングは、主にサイド midfieldの位置で、タッチライン際を上下動するポジションです。主な役割は以下の通りです。チャンスメイク:ドリブルやパスでサイドを突破し、センタリングでゴールチャンスを演出します。得点:サイドからのカットインや、クロスに飛び込んで自らゴールを狙います。守備:相手のサイドバックやウイングの攻撃を封じます。ウイングに必要な能力スピード:サイドを突破するために必要不可欠です。ドリブル:相手をかわして突破する技術が必要です。パス:精度の高いクロスやパスでチャンスを演出します。シュート:カットインからのシュートや、クロスに合わせたヘディングシュートなど、様々な形でゴールを狙う能力が必要です。スタミナ:攻守において、サイドを何度も上下動する必要があるため、高いスタミナが求められます。有名なウイングの選手リオネル・メッシ(アルゼンチン)クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)ネイマール(ブラジル)モハメド・サラー(エジプト)などまとめウイングは、スピードとテクニックを活かして、チャンスメイクや得点に大きく貢献するポジションです。現代サッカーにおいて、非常に重要な役割を担っています。
2024年08月13日夏季休暇のこの時期、サッカーと子育てについて考えることも増えるタイミングではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、「厳しい指導」や「ダメ出し」をしていた指導者・親が変わったという記事をランキングでご紹介します。サッカーを頑張るわが子をサポートするための参考になることがたくさんありますので、記事配信当時に見逃した方も、いま一度ご覧ください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>第3位違和感を感じながらも怒る指導をしていたコーチが、チームの保護者に「180度変わった」と言われるようになったきっかけ第3位は、かつて厳しい指導をしていたコーチが始動スタンスを真逆に変えたきっかけの記事でした。「厳しい指導」とは怒鳴る指導ではありません。最近は減っているとはいえ、未だにそのような指導をしている方もいます。現代の指導はそうじゃない、と思いつつも周囲に影響され大声で怒鳴る指導をしていたコーチがかつての自分を振り返り、自分自身が変わったことでチームもよくなり、保護者からも好評をいただくようになった、という体験談がリアルで興味を引いたようです。実際どんなきっかけや心の変化があったのか、いま一度ご覧ください。記事を読む>>第2位子どもの自立より「自分が世間にどうみられるかが大事」な親たちが心を入れ替えた、サッカー少年の親の心得10か条第2位は、子どもより自分の世間的評価を気にしていた保護者の心が軽くなった記事。「親の自分がどうみられるか」を気にするあまり、先回りして子どもの行動をあれこれ制限して管理しがちだった保護者のみなさんが変わったきっかけ、に関心が集まりました。「自分も子どものサッカーをもっと楽しんでいいんだ」と、保護者の皆さんの心が軽くなったお話、ぜひご覧ください。記事を読む>>第1位「何やってんだ!」と叫んでいた親たちが変わったサッカー少年の親の心得10か条とは第一位は、子どものミスに「何やってんだ!」と叫んでいた親たちの応援が変わった記事。子どものサッカーを見ていると、ミスや粗が気になって「何してるんだ!」と言いたくなった経験がある親御さんは多いのでは。ですが、ダメ出しは子どもを委縮させ、チャレンジしなくなってしまいます。わかってはいるんだけど......、という親御さんもいるでしょう。そしてそれを見て苦々しく思っている方も。そんな親御さんたちの応援スタンスが変わった、という点に多くの保護者やチーム関係者が興味を持ってアクセスしてくれました。育成年代の子どものサッカーで一番大事なことは何か、親も子も楽しんでサッカーにかかわれる親の心得をご確認ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。現在、希望チームに「親の心得10か条」を配布しています。ご希望の方はこちらからお申し込みください>>サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2024年08月13日ボールを運ぶことはできてもゴール前での連携がうまくいかず、決定的なチャンスが作り出せない。どうしたら攻撃に厚みが出せる?という質問をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、シュートチャンスにつなげるための選手配置や仲間との連携について具体的な練習メニューとともにお伝えします。(取材・文島沢優子)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<1年生から始めた子と4年生から始めた子がいてレベル差がある、歴の浅い子はチームを分けて基礎から教えるべき?<お父さんコーチからの質問>いつもご指導やアドバイスを参考にさせていただいております。クラブチームを指導している保護者兼コーチです。今担当しているのはU-12年代です。チームの悩みですが、攻撃の厚みが足りず、なかなかシュートまで持っていくことができません。具体的には、ボールを前に運ぶことはできても、最終局面での連携がうまくいかず、ゴール前での決定的なチャンスを作り出せていません。速い子がドリブルで仕掛けるだけの単調な攻撃になりがちです。手詰まりになった時に味方との連携で裏に抜けるとか、そういうのがあまりできません。このような課題を解決するためには、どのような練習方法が効果的でしょうか?攻撃の厚みを増し、シュートチャンスを作り出すための具体的な練習メニューがあれば、ぜひご教示いただければ幸いです。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。「速い子がドリブルで仕掛けるだけの単調な攻撃になりがち」とあるので、つまりはパスをつなげられないため足の速い選手がドリブルすることになってしまうのでしょう。もしくはまわりがその子についていけないのかもしれません。■ドリブルを効果的に使うにはタイミングと場所が大事!「どこで使うか」を教えようドリブルを効果的に使うには、タイミングや「場所」の選択が必要です。ゴールから遠い場所からドリブルで突っ込んでいってしまえば、ひとり抜いても次のディフェンスにつかまります。ご相談者様のチームの子どもたちはもう6年生なので、だんだんスピードについていけるようになっています。そこで、ドリブルしてしまう子には「君の速さをどこで使うか考えよう」と言い、まわりの選手たちにも先述したことを説明してください。子どもたちが知っている海外の有名選手のプレーを例に挙げるとわかりやすいかもしれません。「世界のサッカーを見てごらん。足の速い選手はサイドにいるよね。例えば、フランス代表のムバッペや日本代表の三苫は左サイドにいるよね」などと話してみてください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■速い子をどこに置くかでシュートチャンスが変わるドリブルが速い子をサイドに置いてそこから展開すると、他の子が真ん中に走り込めばゴールに近づくのでシュートが入りやすくなります。もしくは、ボールをつなぎながら敵陣に入って、他の子がペナルティエリアの手前くらいからいいスルーパスを出してあげると、足の速い子がそれに合わせて飛び込めます。そうではなく、速い子がひとりで真ん中からドリブルで抜け出したとしても、シュートしかありません。他の子は追いつけないので、要するに孤立したプレーになります。相手のゴールキーパーが前にはじいたり、相手ディフェンスがシュートをカットしてゴール前にこぼれたとしてもボールを拾えません。他にも、足の速い子がディフェンスの裏に抜け出して、バックの選手からロングボールをもらうやり方もあります。縦にポンと蹴るので「縦ポンサッカー」などと揶揄されますが、ひとつの点の取り方です。ただし、そればかりだと攻撃に厚みが出ません。中盤を省略するのでボールを持つ回数を増やしたいジュニア世代には頻繁にやってほしくない戦法でもあります。■全員攻撃参加のつもりで上がる、奪われてもすぐに味方が取り返せる位置にいるやってほしいのは後ろにいる選手がもっと押し込むこと。みんなが攻撃参加するつもりでゴールを目指して上がって行けば、どこかでボールが引っかかっても味方がボールを取り返せるようにしておきます。これはプロのチームでも同じ作戦をとっています。大人のサッカーになると、ハイプレスでボール取って高い位置から攻めます。もし相手にボールを奪われても、押し込んでいれば複数の選手が敵陣にいるのですぐに奪って攻撃に転じることができます。とはいえ小学生はハイプレスまでやる必要はないでしょう。■2対1の練習でワンツーの感覚を養おう練習についてはまず2対1をやってみてください。攻撃の形を考えたとき、例えば足の速い子にボールを当ててワンツーパスを受ける。ワンツーはダイレクトパスでなくていいので、パスを出した子がもう一度もらうために走れば一瞬2対1になります。ボールをもらってまた裏に蹴れば、足の速い子はゴール前でフリーになります。その感覚を養うためにも2対1をやって、そのなかでワンツーのトレーニングをしましょう。プロチームのビデオを見せてあげるのもいいでしょう。イメージをふくらませるのに役立ちます。■欧州の子は5歳でもパスがつなげるのに日本では無理?指導者が語るその理由先日、対面式でドイツ在住の指導者と対談をしました。その際に、スペインのビジャレアルで仕事をされている佐伯夕利子さんがネットにあげていた5歳児の練習を撮影したビデオの話になりました。小さな子どもたちが実に見事にパスをつないでいます。私たちは「日本の小学1年生でも、どこにいればボールがもらえるかを伝えれば理解できますよね?間に相手守備の子がいて、その子の後ろに隠れているともらえないけれど、どこにいったらもらえる?と理解を深めながらトレーニングすればいいよね」といった話をしました。そんな話をしたときに、会場に来られていた方が「いや、そんなことはできない」とおっしゃいました。そこで「どうしてそう思われるのですか?」と尋ねたら、「(小学1年生では)ボールの止める・蹴るができないのに、そんな(パスを回す)ことができるわけがない」と話してくださいました。そこで私たちは説明しました。「小学1年生はうまくボールを止めたり蹴ったりはできないけど、動きは理解できますよね?」■ほかの選手の位置や動きも理解させるから「みんなで守り、みんなで攻撃」の意識が育つ守備の子の後ろにいたらパスする子には自分が見えないから、守備の子から離れて味方に見えるところに行ってみる。もしくは守備の子の前に動いてみる。そんなことを子どもに問いかけながら答えを導き出します。子どもは自分で答えた動き方を「あ、それいいね。やってごらんよ」とコーチに言われると、うれしくてやろうとします。パスする側もその子が見えるから蹴ってみる。そうやって動き方がわかるようになるのです。欧州の子たちはそんなふうに育っています。みんなで守る、攻撃する。そうやって育っています。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■問いかけながらサポートの概念を育てよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)足が速い子はひとりでドリブルしたくなります。そこで「でも、どう?その子はひとりぼっちにならない?」とみんなに問いかけてください。そのことは6年生だから理解できはずです。「仲間がひとりぼっちにならないためにはどうしたらいいのかな?」そんな問いかけから、サポートの概念が育つのです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年08月11日夏休み、学校がないので子どもがダラダラしている姿が気になってイライラしがちな保護者に向けて、宿題や課題を自ら行うようにするには「脳の使い方」が大事だと前編でお知らせしました。脳の使い方とは、脳が動きやすいに設定をつくってあげること。それによって、誰でもパフォーマンスをあげることができるとのことでしたが、後編ではサッカーに活かせるポイントを『あなたの人生を変える睡眠の法則』の著者である菅原先生に教えていただきます。生活リズムを整えることは、スムーズに2学期をスタートするためにも大事なことなので、ぜひ皆さんも参考にしてください。(取材・文木村芽久美)<<前編:夏休み、ダラダラ過ごす子どもにイライラ!親をイラつかせるダラダラ解決のカギはたった4日間の「脳の使い方」にあった親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■生活リズムを整えるために、「光環境」に気を配り睡眠ホルモンを出そう前編でも生活リズムについてはふれましたが、まずは脳の設定の前に、朝の光が大切だということをお伝えしました。同様に、夜の光環境にも注意が必要なのだそうです。「例えば、夜、部屋の照明が天井の四隅がきれいに見えるくらいの明るさ(500ルクス)で3時間位過ごすと、メラトニンという物質が大人だったら半分位、お子さんの場合は90パーセント位減るっていうデータもあります」と菅原先生は話します。メラトニンとは脳の松果体と言われる部分から分泌されるホルモンのことで、自然な眠りを誘うためにとても重要なことから「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。夜に明るいところで過ごしていれば単純に眠くならなくなってしまいます。お子さんに早く寝てほしいのであれば、生活に支障のない範囲で部屋を暗くしてみて眠くなる環境を作ってあげることが大切です。■生活リズムがうまく刻めているかどうかはどうやって判断すればいい?朝の光と、夜の暗さでメラトニンのリズムが整うと、「早く寝なさい!」と注意しなくても、自然に眠そうな様子になるそうです。「例えば、浴室の照明を消して脱衣所の照明だけで入浴したり、入浴後はリビングの照明を暗くするなど、生活スタイルに合わせて暗くなる時間を決めておけば、自然に眠くなるリズムが出来上がります」と菅原先生は言います。子どもは、眠くなると眠気に抗ってはしゃいだり、大きな声でしゃべったりすることがあります。これは、脳の中で起きている神経の活動と眠る神経の活動がせめぎ合っている状態。このせめぎ合いは脳にとって負担なので、眠い時に眠っておけば脳はラクになるし、脳をラクにしてあげれば明日の朝は頭が冴えるよ、ということを伝えることも大事です。脳のために行動しよう、と考えれば、睡眠を上手に使おうと考えることができるはず。「おやすみ」と言って、お子さんが自分から寝に行ってくれたら、それは「メタ認知」(自分と脳を切り離して認知し、客観的に把握すること)を使って、リズムをつくることができている証拠です。■上手に昼寝をするためにはどうすればいい?成長期のお子さんは、練習の後など、昼寝をすることもあると思います。菅原先生によると、これから眠くなることを見越して、先に昼寝をしておき、昼寝後の頭をスッキリさせることは、大人になってからも使える、高い技術なのだそうです。子どもの頃から、上手に昼寝ができるようにしておきましょう。座って寝られるのであれば睡眠の脳波は出ないので、起きた時もすんなり起きられますが、横になって寝るのであれば、10分後に起きるのか、それとも1時間後に起きるのかなど、どの位で起きるのかを設定しておくと良いと言います。「昼寝をする前に『○分後に起きる』頭の中でつぶやけば、その時間には心拍数が上がってきて、スッキリ目覚めることができます。しかも、練習するほどピッタリ起きられるようになります。」もし昼寝の途中でお子さんを起こす場合には、「何分後に起こす?」などと先に話しておくといいでしょう。また最低7時間は起きている状態で夜をむかえた方が良いので、夕方は昼寝をしないように気をつけた方が良いそうです。■サッカーノートを続けるカギも「4日」だった「サッカーノートを書くことが難しい」「うちの子はなかなか続けられない...」といった声をよく耳にしますが、環境設定を工夫し、難易度を低くしてあげることが大切なのだと言います。ノートを決まった場所に置いておき、練習を終えて帰宅したらそのままノートの前に行く動線をつくってみましょう。また、練習の前に日付だけ書いておくなど、ちょっとだけ手をつけておけば、脳は、続きを書きたくなります。」前編で脳が苦手なことを避けると良いとお伝えしました。※脳が苦手なこと:あいまいな予想や予定、同じ場所で色々なことができてしまうこと、2つ以上のことを同時に行うことですので、書く場所を決めておく、帰宅からノートまでの動線をつくる、「ノートを書く」と言う。そして、それらを4練習日続けると、無理なく自然に続けられるでしょう。■サッカーのパフォーマンスアップにもつながる、メタ認知の習得前編でも触れたメタ認知(自分と脳を切り離して認知し、客観的に把握すること)ができれば、夏休みの宿題や苦手な教科も、脳を上手に使うための材料になり得ます。課題(宿題)をどうやってクリアしていくのか、脳がどうやったら宿題をやりやすくなるのか、まるでゲームをするように考えられたら、お子さんも楽しくできそうな気がしませんか?「脳の設定ができる力がつけば、それはサッカーのパフォーマンスアップに繋がります」と菅原先生は言います。大好きなサッカーであっても、やっていく中で小さな課題がたくさん出てきます。その小さな課題のクリアの仕方を、夏休みの宿題を通して覚えることができるのです。夏休みもあと残りわずかですが、宿題も意図して取り掛かかれるといいでしょう。菅原洋平(すがわらようへい)作業療法士、ユークロニア株式会社代表、アクティブスリープ指導士養成講座主宰国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニアを設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!』(文響社)などがある。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年08月09日子どもが夏休みで普段より接する時間が多く、サッカーと子育てについて考えることも増える時期ではないですか?本日は、少年サッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」で2024年1月から7月に配信した記事の中でみなさんの注目度が高かった、親の悩み解消記事をランキングでご紹介します。サッカーを頑張るわが子をサポートするための参考になることがたくさんありますので、記事配信当時に見逃した方も、いま一度ご覧ください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>第3位部屋干しのにおい対策は「干し方」ではなく「洗い方」!洗濯王子に聞いた、におわない洗濯のコツ第3位は、部屋干しのにおいについての記事でした。泥汚れ、部屋干しのにおいはいつの時代も親の悩みですよね。大事なのは干し方ではなく洗い方だった、という事実に驚きと興味を持っていただけたようです。洗濯王子が教える、お手持ちの洗剤だけで今すぐできる方法なので記事を見逃した方も、一度見たけど改めて確認したい方もこちらからご覧ください。記事を読む>>第2位サッカー少年のママたちの大敵「人工芝」先輩ママがやってる対策を紹介第2位は、ママたちの大敵「人工芝」の記事。子どもがサッカーを始めると、技術がどうこうの前に「人工芝問題」にぶつかります。洗濯機に入れる前の下準備も必要だし、洗っても全部は取れない。気づくと床付近の壁紙にもついてる!など保護者の大敵「人工芝」。先輩ママたちによれば「取り方」だけじゃなく、「そもそもつけない方法」があるのだとか。人工芝に悩まない家庭はない。ということで注目を集め、上半期2位でした。予防するだけでも洗濯がだいぶラクになるので、いま一度確認してみてください。記事を読む>>第1位子どものやる気が見えない時どうすればいい?先輩ママがやってる声掛けなどを紹介第一位は、子どものやる気が見えない時の親の対応についての記事。自主練もしない、練習も行きたがらない時がある。最近なんだかサッカーに対してのやる気が感じられない。というのも親の悩みとしてよく聞かれます。先輩ママであるサカイクアンバサダーの皆さんが実際にどうしているか、という体験談に多くの関心が集まった結果となりました。やはり実体験だからこそリアリティーがあって、参考になりますよね。高校生のサッカー少年をもつお母さんからは、小学生年代のお母さん方へ「焦る必要ないよ」というアドバイスも。「高校生になると、今までサッカーが好きで続けてることにすごい価値を感じるようになりました。仲間やいろんな人とふれあえて。そう思うと、小学生の時は『もっとうまくなって欲しい』と思っていたけど、大事なのはそこじゃなかった......」ぜひ記事で全文をご覧ください。記事を読む>>いかがでしたでしょうか。これからも親御さんご自身が子どものサポートについて考えるきっかけになったり、チームがよくなるきっかけになる記事を配信していきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2024年08月08日ずっとベンチの娘。試合でもほとんどパスが回ってこないし、本気で走ればいいのに、いつも遅いしボールに追いつくのを諦める。親が助言しても「無理!」と突っぱねる。娘のスポ少に振り回されてるのに、そんな態度にうんざり。どうしたら子どものサッカーを楽しめるの?というお母さんからの悩み。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<5年生より弱い6年生。6年だけで戦うか、実力主義でいくのか迷います問題<サッカーママからの相談>娘はスポ少に所属してますが、ずっとベンチでした。6年生になりそれなりには出してもらえるようになりましたが、試合でもほとんどパスが来ずボールタッチの回数が下の学年の子よりも少ないです。自分でもそれは分かっている上ですねたり、「無理!頑張ってる!」と私たちの助言を突っぱねます。本気で走ればもっと速く走れるのに、何だかいつも遅い、諦める、ボールを待つの繰り返しです。下の兄弟も振り回され、文句ばかり言う娘にうんざりした父母(私たち)が怒るという流れが毎回です。どうしたら親も子も楽しめるか知りたいです。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。試合に出られないわが子に対し、親御さんが意欲が足らないと怒ってしまう。これは少年サッカーあるあるのひとつ。どの競技にもよく聞かれます。そして、それは私が少年スポーツにかかわり始めて20年弱になりますが、普遍的な問題のようです。■わが子が頑張っているように見えないとイライラしてしまうのはよくあること以前も「息子が自主練をしない、積極的にボールにかかわらない、スクールで友達とおしゃべりをする、ドリブル練習を最後までやらず諦めてしまう」という悩みが舞い込みました。私も皆さんと同じように子育てをしてきたので、目の前のわが子の立ち振る舞いにイライラしてしまう気持ちはよくわかります。私の息子もサッカーをしていましたが、走れない子でした。他の選手が一生懸命走っているのに、ひとり下を向いたまま歩く姿にこちらはあきれ果てていました。一緒にビデオで観ながら「なんで地面見てるの?ボール見なきゃダメじゃん」と怒っていました。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■走らないのではなく「走れない」のかもしれないところが数年前のことです。高校から部活動のエンジョイサッカーに転換し成人した息子が「俺、小学生のころ、なんであんなに走れなかったのか、わかったよ」と行ってきました。アメリカ大陸でも発見したかのように目を輝かせています。息子はフォワードでした。私は「きついのが嫌だったんじゃないの?」と冷たく言い放ちましたが、違っていました。「動き方がわからなかったんだ」サッカーの成り立ちがわからなかった。コーチは走れ、走れと怒るけれど、どこをどう走ればいいかわからなかった。高校くらいから少しずつ分かり始めたけれど、成人して海外のサッカーをたくさん見るようになって、よりサッカーの戦術眼が磨かれたそうです。よって、現在草サッカーを楽しんでいますが「小中学生のころよりも、いま走れるんだよ」と嬉しそうに言うのです。そこではたと気づきました。息子は少々こだわりの強い子でした。人と同じようにすることをよしとしない。自分が論理的に納得がいかなければ腰が上がらないところがありました。根性論好きの大人が好む「がむしゃら」というやつが苦手でした。ああ、走らなかったのではなく、走れなかったのだ。私はそうやって怒ったことをとても後悔しました。子育て自体は、親がガミガミ言ったとて子どもが変わることはあり得ないことを、脳科学や心理学を学んで理解していました。サッカーで走れないことも、息子自身の問題だとうすうすは悟っていましたがネチネチ言ったと思います。■自分と他社の「課題の分離」をすることそこで、アドバイスをひとつ。オーストリアのアルフレッド・アドラーが提唱し、後継者たちが発展させてきた心理学の体系である「アドラー心理学」をご存知でしょうか。そのなかに「課題の分離」という概念があります。アドラー心理学の中心的な考え方のひとつでもあるこの「課題の分離」は、自分の課題と他者の課題を明確に区別したほうがいいよ、という考え方です。自分の課題については真摯に向き合い責任を持ちますが、他者の課題には立ち入らないようにする。 他者の課題に不必要に介入することは、相手への支配や依存につながる危険性があるためです。ところが、親子や夫婦、はたまた上司と部下のように、関係性が近ければ近いほど分離できません。■お母さんの主観と娘さんの課題を分けるこのことを娘さんに当てはめてみると「試合でほとんどパスが来ずボールタッチの回数が下の学年の子よりも少ない」のは娘さんの問題です。お母さんが「本気で走ればもっと速く走れる」というのはお母さんの主観であり、「何だかいつも遅い、諦める、ボールを待つの繰り返し」であることも娘さんの課題です。もっといえば、娘さんがそれを課題であると考えるかどうかも娘さんの問題であり、お母さんの課題ではありません。それらは本人にしかコントロールできませんし、その結果試合に出られなかったり、上達できなかったとしても、それも含めて子どもの体験です。■子どもは親と別人格、自分の力で力強く歩めるようにすることを考えよう子どもは親の思うようにすることなどできません。自分とは別人格であり、親たちとは異なる時代を自分の力で力強く歩めるようにするにはどうしたらいいか考えましょう。それは、親が子どものためにできることをしてあげるだけでいいのです。経済的に許す限り必要なものを与える。毎日おいしい食事を作る。汚れたユニフォームを洗ってあげる。サッカーのお当番をやる。加えて子どもの心理的安全を確保できるよう、夫婦間の人間関係をなるべく良好に保つ(けんかばかりしていると子どもが安心できません)。そして、それらをエンジョイする。それで十分です。二度と戻らない子育ての黄金期を、娘さんのダメなところばかりを数えて暮らしますか?お母さんがおっしゃっているように、楽しく子育てしたいのであれば、お母さんたち親が変わるしかありません。■「頑張らない子」を育てているのは誰?(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)以前、都内のサッカースクールで指導していた30代のコーチが私にこう言いました。「親が子どもに『なんで頑張らないの!?』と怒っています。でも、そういう子どもを育てているのは誰なんですか?って僕は思う。天に唾(つば)してるわけですよね」顔に唾が落ちてきませんか?本気で走っているかは本人しかわからないことです。じりじりしますが結果も含めて達観して待ちましょう。待つ時間は、わかり合う時間です。娘さんのサッカーからまずは距離を置くこと。それって誰の課題だっけ?と常に考えること。「課題の分離」をぜひ実践してください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年08月07日夏休み中の自由な時間、子どもが長時間ゲームをしたりゴロゴロしていると、無意味にダラダラしているように見え、イライラしてしまう保護者もいるようです。イライラしたくないために、子どものスケジュールを詰め込むという人もいます。一見、時間の無駄のように見える「ダラダラ」も、「脳の設定」次第で自分をコントロールできるようになるようです。『あなたの人生を変える睡眠の法則』の著者である菅原先生に脳を上手に使えるようになるために大切なことをうかがいました。夏休みもそろそろ折り返しという方たちも、今からでも実践してみてください。(取材・文木村芽久美)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■脳には使い方があるということを理解する「脳が良い状態になるように自ら設定してあげると、やりたいことをやりたいようにできるようになります」と菅原先生は言います。自分と脳を切り離して認知し、客観的に把握することを「メタ認知」といいますが、この能力が身についていると、良いパフォーマンスをうむことができるのだそうです。メタ認知は脳の使い方を練習すれば、誰でも習得することができるのです。脳を上手に使うためには、設定をしてあげる必要があるのだそうです。例えば「朝起きたら宿題を1問だけ解いてみる」というように、これくらいだったらできるかも......。と思えるような楽なことから始めてみると良いようです。■自分は「監督」で脳が主役と考える菅原先生は「自分はプレイヤーではなくて、『監督』として、自分が頑張るのではなく、脳ががんばれる環境をつくってあげることが大事です」と言います。脳の特性に合った環境や順番、やり方を設定してあげれば、脳は上手に動くようになるというのです。「自分ではなく、脳が頑張れるようにする」と考えると、「できない」という思考から、「やってみよう」という思考に変わります。思考が変われば、具体的な対策が立ちます。胃やほかの臓器と同じように、「脳」も臓器のひとつだと理解し、使い方を学んで設定してあげれば良いのです。■宿題をやろうとしてたのにゲームを始めちゃう......の改善は、迷いをなくすこと脳には3つ苦手なことがあるのだと菅原先生は教えてくれます。まずは、この3つを避けた設定をすることを理解しましょう。1.あいまいな予想や予定が苦手例えば、宿題をやろうとしていたのにゲームをやり始めてしまう......。というのはよくある話です。こんなときは、頭の中で「宿題をやらなきゃ」とつぶやいていることが多いですが、これでは予定があいまいで脳にわかりにくい。ゲームをやり始めた原因は、誘惑に負けたからではなく、予定があいまいだったからです。そこで「宿題をやる」とセリフを変えれば、脳に分かりやすい命令になって実行できるそうです。2.何をする場所なのかわからない状況に置かれることが苦手脳には場所と行為をセットで記憶するという特徴があるのだそうです。ゲームもできるし、宿題もできるし、寝ることもできる......。というように、同じ場所で色々なことができてしまうと、脳は何をすればいいのかわからなくなってしまいます。脳は、見えた物に手を出す仕組みで、見えたのに「やらない」と判断するには、とても多くのエネルギーを使って神経活動を抑制しなければならないそうです。そこで、勉強やゲームをそれぞれ決まった場所で行い、その場所ではそれ以外のことはしないようにすると、すぐに取り掛かれて、なおかつ切り上げやすいと言えます。3.脳は2つ以上のことを同時に行うのが苦手「ながら作業」は、効率の良いように思えますが、脳は、2つ以上のことを同時に行うと疲れやすいそうです。作業をするときはひとつずつ行うよう設定をしましょう。■親子で動線作りを確認してみるやろうとしていたことをつい先延ばしにしてしまったり、面倒臭いとストレスに感じてしまう場合、動線がうまくいっていない可能性があるのだそうです。「行動がつながる動線が作れているかどうか、親子で確認してみてほしい」と菅原先生は言います。例えば、「先に宿題を済ませようと思っていたのに、ゲームをしてしまった」とお子さんが言うならば「動線はどうなっていたっけ?」と聞いてあげましょう。玄関から自分の部屋に行く途中にゲームが置いてあれば、ゲームをするのは当然です。大切なのは、あくまでも脳からどのように見えているかを一緒に確認することだそうです。脳は、見えていれば手を出してしまうことが分かれば、脳のために、必要な物だけが見える動線をつくってあげようと思えるでしょう。■朝の光を浴びて、脳と体のリズムを作ることが大事脳は起きてから4時間までが一番頭が良く、冴えているのだそうです。その時間帯をうまく活用して、1日をより良く過ごしたいものです。そのためには、朝に脳と体のリズムをスタートさせる必要があります。脳と体のリズムを整えるのにとても重要なのが「光」です。「お子さんは、光に対する感受性が高いので、目覚めたら、脳に光が届けることが重要です」と菅原先生は言います。通常、子どもの脳には、起きてから約14時間後、6時起床の場合は20時には眠くなるリズムがあるそうですが、朝の光に当たらなければ、夜になっても眠くならず、夜更かしや寝つけない原因になることがあります。朝の光といっても何も外に出なければいけないというわけではなく、目覚めてすぐ、窓ぎわ1メートル以内に入りさえすれば、脳に光は届けられるそうです。お子さんが朝起きたら、まずはカーテンを開けて、窓際に行く動線をつくってみましょう。■習慣化のカギは「4日」人間の生体リズムである「3.5」日を超えるよう親子で一緒にやってみよう「脳を使って主体的にお子さんが動くようになるためには、親御さんが対等な立場で話すことが大事。だからこの夏休みは親御さんもお子さんも同じように脳の使い方を変えてみて、自分の体験を話してほしいんです」と菅原先生は言います。例えば、帰宅したらそのまま浴室に行って風呂洗いをしたら、すんなり湯張りできてお風呂も早く済ませられた。動線を変えるだけで、お風呂が面倒くさく感じなかった......。というような話をお子さんと共有してみましょう。他人の体験を聞くと、お子さんも試したくなりやすいですし、実験感覚で楽しめればお互いにできたことを報告できて、前向きなコミュニケーションになります。また、私たちが生きていく上で持っている生体リズムとして「3.5日リズム」というものがあり、3日で飽きてしまうという性質があります。よく言う「三日坊主」はこれにあたるのですが、そのリズムを破って4日間続けてしまうと、やらずにはいられなくなるのだそうです。メタ認知を習得することはより良い人生を送ることにもつながります。自分で自分をコントロールすることができるようになるので、当然学校でもサッカーでも役に立つのです。この夏休みを利用して、自分の脳の使い方について、親子で共有してみてください。後編では、サッカーをもっと楽しみ自ら成長できる子になるための脳の使い方をお伝えします。菅原洋平(すがわらようへい)作業療法士、ユークロニア株式会社代表、アクティブスリープ指導士養成講座主宰国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニアを設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『すぐやる!』(文響社)などがある。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年08月06日成長期の小中学生の子どもたちにとって、食事はとても大切。サッカーという激しいスポーツをしているなら、たくさん食べてほしいところですが、少食や偏食の子どもの食事に悩む保護者は多いものです。そこで、成長期ならではの栄養摂取に関しての基本から応用までを管理栄養士の坂口望さんに聞きました。家庭でできる具体的なノウハウから、親の気持ちの置き所まで、今日からできる対策です。ぜひご覧ください。(構成・文:小林博子)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■まずは身長を伸ばすことを目指して「サッカーや野球などに真剣に取り組んでいると、大きな体作りを目指す保護者は多いものです。でも小中学生の体づくりとしてまず意識してほしいのは身長を伸ばすこと」取材の最初にそう話してくれた坂口さん。体格は後から大きくすることはできますが、背が伸びる時期は限られているからだと言います。理想論としては、縦にも横にも大きくしたいところではありますが、それを小学生のうちから望むのは難しいと思う、とのことです。そのために大切なことは2つ。・3食、しっかり食べること・早く寝ることこれは、坂口さんが実際に3人のお子さんを育て、よかったことだと実感していることでもあります。なんだか基本的なことに思えますが、意外とできていないご家庭は多いのではないでしょうか。「長男と次男は野球、未っ子の長女はバレーボールをしています。3人とも身長が高くて大きいので、周りからは私の仕事柄もあり、栄養摂取がしっかりできているからと思われがちです。でも我が家では睡眠時間も食事と同じくらい重視してきました」どんな栄養を摂るかは大切なのですが、まずは難しいことは抜きに「3食をしっかり食べる」そして「21時には寝る」を実践することから始めることがおすすめだそうです。まずは基本的な生活習慣を確立し、そのうえで摂るべき栄養素を工夫すること。それが「縦にも横にも大きなスポーツに有利な体づくり」へ導いてくれます。夜練習や塾で帰宅が遅く、毎日21時に寝るのが難しいという子もいるはず。その場合は、「できる限り早く寝る」「早く寝られる日はなるべく早く寝る」を意識すると良いそうです。■成長期の子どもの「食事の適量」が知りたい!食事と睡眠をしっかりとれる生活習慣が身に付いたら、成長期の子どもが食べるべき具体的な食事量が知りたいところですね。でも身長や体重、運動量によって適量はまちまちです。確実に知りたい場合は栄養士さんへの個別相談を行い、体の計測や採血などをして数字を出してもらうものですがなかなか難しいはず。そこでおすすめの計算方法は「基礎代謝量の約2倍のカロリー」を知ること。これが成長期のサッカーなど激しい運動をする子どもに必要なエネルギー量となります。なお、基礎代謝量の計測は家庭にある体重計でも、ものによってはすることができます。また、身長と体重からある程度の基礎代謝量も調べればわかるので、それを目安にしても良いでしょう。例えば、12〜14歳男子だと約3,000Kcalが1日に必要なエネルギー量になります。提供:坂口望さん■まずは糖質をしっかり摂り、身長と体重を測ること1日に必要なエネルギー量がわかったら、それを目指して食べながら、身長と体重が順調に増えているかをチェックするようにしましょう。身長も体重も数字の伸びが鈍化してきたら、エネルギー不足かもしれないことがわかるようになります。成長期に最も必要なのは「糖質」、つまりエネルギー源です。「性別、体重、運動量にもよりますが白いご飯を1食250〜300g×3食」が、子どもたちが1日に摂るべき糖質量の目安。3食を均等に割ったグラム数なので、朝昼晩合計で「750~900g」を目標にしましょう。■少食な子が必要量を食べられるようになる3つのコツちなみに、一般的に、大人サイズのお茶碗1杯のご飯の量は150gと言われています。毎食1回おかわりをする量と考えると、なかなかに多いですよね。少食で量を食べられない子には苦痛でしかないのでは。そこで、1日に必要なエネルギーを摂取するためにできる3つのコツをご紹介します。①脂質を味方につける脂質は糖質よりも少ない量でカロリーが高いため、エネルギー量を効率的に摂ることができます。脂身がある豚肉や牛肉を選ぶ、鶏肉は皮付きにする、ブリは天然よりも脂身の多い養殖ものにするなどの工夫でプラスしていきましょう。ただし、胃もたれしやすい子にこの方法は向いていないので注意しましょう。②野菜は「今は」優先順位を下げてOK食生活の悩みで保護者から多く挙がる「野菜を食べない」という悩みに関しては、成長期かつ少食・偏食な子どもに関しては優先度を下げていいと坂口さんは話します。「とにかくエネルギーを摂ってもらいたいので、ごはんと肉・魚が最優先。野菜を食べることでそれらが減ってしまうことがないようにしたいです。また、大人が意識する"サラダファースト(野菜を先に食べてから糖質やたんぱく質を食べること)"も無視してください。野菜はごはんと主菜を食べられたら最後に......、で良いくらいです」③丼ものを増やして皿の数を減らす主菜に副菜が複数......というメニューは見た目だけで量が多そうに見え、少食な子はそれだけでプレッシャーになってしまうかもしれません。そこでおすすめなのが親子丼やカツ丼などのどんぶりメニュー。同じ量でもお皿の数が少ないだけで食べやすくなります。■エネルギーが枯渇する時間を作らないことがポイント小中学生の子どもたちの食習慣で特徴的なのが、朝ご飯から給食までの時間がかなり空くこと。7時前には朝食を食べて学校に行き、給食は13時近いという学校がほとんどではないでしょうか。朝ご飯をたっぷり食べないと、お昼前にエネルギーが枯渇してしまいます。この「枯渇」の時間を少なくすることも成長期の栄養摂取のポイントです。そのため、朝ご飯をしっかり食べることは特に意識してほしいことなのだとか。「成長期なんだから朝からたくさん食べなさい」と親がどんなに言っても、素直に聞き入れる子どもは少ないはず。そこでぜひ実践してほしいのが、保護者のみなさんも朝ご飯をしっかり食べる姿を子どもに見せること。朝食を食べない親御さんには大変かもしれませんが......。同じ方向をみて一緒に「食トレ」ができる環境が子どもの食に対する意識の変化に良い影響を与えるはずです。■食事にも主体性を。自分の意思で「食べる」子どもに坂口さんは、長男が大切な試合の直前に熱中症になってしまったことがあり、その際にお子さんが自ら「しっかり食べなくてはいけない」と気づいた日があったそう。それ以降、本人の食への意識が大きく変わったという実体験から、親が何度も「食べなさい」と言うより、自らの意志で「食べよう」と思うことが大切だと語ります。なりたい自分になるために、どう食べるかを本人に語ってもらうために、こんな問いかけをしてみてはいかがでしょうか。・憧れのあの選手みたいになりたいならどうしたらいい?・どうやってああいう身体になる?・食べるためにどうすればいい?・どうやって食べる量を増やす?サッカーで良いパフォーマンスをすることと、身長を伸ばして体を大きくすること、どちらにも多大な影響がある食習慣。大切なことなだけに保護者の悩みはつきませんが、成長期の今に特化した考え方もあることがわかりました。子どもの気持ちを尊重しながら、あたたかく見守っていきたいですね。次回は、サカイクアンバサダーさんの食事に関する悩みの解決策や、この時期ならではの熱中症対策につながる食事法をご紹介します。坂口 望MOGUらいふ代表管理栄養士、公認スポーツ栄養士として、選手の栄養相談や栄養セミナー講師、アスリート向けの献立作成などを行っている。プライベートでは高校生から小学生までの、スポーツをする3児の母。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年08月02日EURO2024で見事12年ぶりの優勝を果たしたスペイン代表。大会前は優勝候補ではなかったにも関わらず、イタリア、ドイツ、フランス、イングランドと名だたる強豪国を打ち倒し、優勝に相応しいパフォーマンスを見せ続けました。決して選手層で圧倒していたわけではないスペイン代表は、大会最年少出場であるラミン・ヤマル選手をはじめとした、若い選手の活躍が特徴的でした。開催当時16歳だった青年が大会随一の活躍を見せたのは、スペインの育成力の高さがうかがえたといえるでしょう。長年ラ・リーガの解説を務め、自身でスペインの育成年代の指揮をしたこともある小澤一郎さんは著書『自主練もドリブル塾もないスペインで「上手い選手」が育つワケ』で、スペインの育成について語っています。本記事ではその一部を抜粋してお届けします。(写真提供:小澤一郎)■スペインの「普通のサッカー」とは何かスペインの育成年代は特別な練習はしておらず、魔法のようにサッカーが上手くなる練習法もありません。プロサッカーの最先端の戦術トレンドを無闇に追いかけているわけでもなく、日本で流行中の「ドリブル塾」のような個別の技術に特化したスクールもありません。本当に、「普通のサッカー」をやらせているだけです。より具体的に書くと、サッカーを始めたばかりの5~7歳の子どもの練習でも、ごく普通にシステムがあり、各自のポジションがあり、ポジションごとのタスクが与えられるサッカーをしています。つまり、スペインのサッカー選手たちは、子どもの頃から「戦術的な指導」を受けています。子どもたちは様々なシステムや戦術を経験しながら、それぞれの場面で求められるポジショニングなどを、しっかり指導されているのです。言い換えれば、サッカーの基礎や本質を、子どもの頃からしっかり教えているということです。それが可能なのは、スペインには「育成年代は選手の土台となる能力を育むもの」という極めて真っ当な考え方が浸透しているからでしょう。元日本代表監督の岡田武史さんも「スペインの選手が16歳までにサッカーのプレーモデル(型)を覚えることに強いインパクトを受けた」といったことを著書『岡田メソッド』(英治出版)で書かれていましたが、同じように驚く日本人は多いはずです。日本の育成は、小さい頃は基礎的な足元の技術を身につけたうえで、試合では自由にプレーさせて、そこから徐々に戦術を教えていく...という流れになっており、スペインとは順番が逆だからです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■「認知」「分析」「決定」「実行」のプロセスがあるという共通認識この本では「普通のサッカー」や「サッカーの本質」といった言葉を繰り返し使います。そこでまず、スペイン人のサッカーの捉え方を簡単に紹介しておきます。まず、サッカーの本質を理解するうえで知っておいてほしいのが、スペインの「PAD+E」という概念です。(イラスト提供:小澤一郎)これは、サッカーのプレーの4つのプロセスを表す、以下のスペイン語の頭文字をとったものです。・ぺルセプシオン[Percepción 認知]・アナリシス[Análisis 分析]・ディシシオン[Decisión 決定]・エへクシオン[Ejección 実行]最初のぺルセプシオン[認知]とは、周囲に目を配って敵味方、スペースなどの周辺状況を把握することです。その次のアナリシス[分析]は、認知した状況を自分なりに分析することです。次のディシシオン[決定]は、分析した状況を踏まえて、「右にトラップしよう」「左にドリブルしよう」「ワンタッチではがそう」とプレーの選択を決めることです。そして最後のエヘクシオン[実行]が、実際に行うプレーになります。日本においては、最後の「実行」の部分のドリブルやパス、シュートの技術ばかりが注目され、その技術が高い選手が「サッカーが上手い」と言われることが多いです。しかし、ボールの扱いの上手さは、「サッカーの上手さ」の一側面に過ぎません。スペインには「認知」「分析」「決定」の能力が高く、「サッカーを上手くプレーする選手」という意味での上手い選手がたくさんいます。具体的にどんな選手が「サッカーを上手くプレーする選手」なのかというと、試合の場面や、監督から求められた役割に応じて、常に適切で効果的なプレーを選択・実践できるような選手です。日本人が使う言葉で言えば「サッカーを知っている選手」という言葉に近いかもしれませんし、スペインでは「プレーすることを知っている」と表現します。サッカーのプレーに「認知」「分析」「決定」「実行」という4つのプロセスがあることは、実際にプレーをする子どもはもちろん、その保護者の方にもぜひ知ってほしいことです。足元の技術(「実行」の能力)を磨くことだけが「サッカーが上手くなること」ではないと理解できると、サッカーへの取り組み方は大きく変わるはずです。
2024年07月29日未就学児や1年生から始めた子もいれば、4年生からサッカーを始めた子もいるチーム。技術差があるけど一緒に練習しても大丈夫?レベル差で分けて、基礎から教えたほうがいいの?という質問をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、レベル差のあるチームでみんながうまくなる方法を、具体的な練習メニューとともにお伝えします。(取材・文島沢優子)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<ケンカやいさかいが絶えないチーム、真面目な子に迷惑がかかるから解決したいけど、どうすればいい?<お父さんコーチからの質問>初めまして。今年の2月からサッカーの指導者(見習い)をはじめた者です。(指導年代:U-10)同じような質問がこれまでもあったと思いますが、改めて教えて欲しいです。1年生からサッカーをしている子と4年生から始めた子では実力差があるのですが、どういう練習方法がいいですか?練習でサッカー経験の長い子と短い子を混ぜてもよいものですか?レベル別にグループ分けをして、歴の短い子たちに基礎から教えた方が良いのでしょうか?また個人によりやる気の差があるのですが、小学生のやる気を上げられる練習方法もお願いします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。皆さんがおっしゃるところの「実力差」は主に止める蹴るという足元の技術かと思われます。でも、私はその技術のあるなしにかかわらず、戦術的な練習をしてもらいます。講習会などで「技術がないのにそんな練習をしていいの?」といった意見は多く聞かれます。よって、そこに来た子どもたちに「今から試合するよ」と言うと「え?試合するの?」と不思議そうな顔をします。■技術=止める、蹴るだけではないサッカーの成り立ちを理解させる練習をして対面パスをしたり、コーンドリブルをして足元がうまくならないと試合をしてはいけないと思い込んでいるようにも見えます。大人から「うまくなるためには練習しろ」と言われるので、そのためには止める・蹴るができないといけない。技術をそんなふうにとらえているようです。どうかそのような考え方をやめてください。低学年からでもサッカーの成り立ちを理解するために、ゲームや2対1などオープンスキルの練習をたくさんやらせてください。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■仲間に「教える」というのも学びになる初心者の子どもには、先にサッカーを始めていてある程度できる子たちが教えてあげればいいのです。うまくいかない仲間をどう助けるか。そんなことを考えて工夫するのも大きな学びになります。例えば、初心者の子がボールを止められなかったら、ミスしたその子を責めるのではなく、パスしたほうの子にも「名前を呼んだり、パスするよって言ってあげるとやりやすくなるね」と大人がアドバイスしてください。また、4年生くらいならばレベル分けせずにやったほうがいいでしょう。5年生ならば高学年とやることもあるので、時には分けてやる必要はあるかもしれません。いずれにしても、子どもたち個々のプライドもあるのでそこを考慮して大人は動きましょう。■楽しくなることが最優先!トレーニング中の様子をよく観察しようモチベーションアップについては、最初は外発的な動機付けからスタートしてもいいでしょう。楽しくなることを最優先します。提案したトレーニングが楽しそうかどうかをよく観察してください。そして楽しくなるのはどうしたらいいか?を考え続けることです。とはいえ、どの子でも楽しめる万能な練習はありません。ほとんどの場合、その練習がはまる子、はまらない子に分かれます。はまるトレーニングが多くなっていくと、「やりたくない」という子は減ります。半分以上の子が楽しんでくれれば、最初はそうでもなかった子どもたちもつられて一緒にやるようになります。■考案した練習メニューがはまらないときには......それでも、そうじゃない子は出てくるので、そういった子どもとどう向き合うかが課題になります。まずはそういう子たちに気づいてあげましょう。コーチが「あまり楽しくないかな?じゃあ、メニューちょっと変えてみよう」とか「やり方をもう少しやさしくするね」と提案してください。そうすることで「コーチは自分を見てくれている」という信頼感にもつながります。■全員が参加できて楽しめる、結果的に上達する練習メニュー例その逆で、練習がうまくいかなかったり、子どもが楽しめず集中できないと「やる気がない!」などと子どものせいにする指導者は少なくありません。どうかベクトルを自分に向けて工夫してください。工夫のひとつは、勝ち負けがあるメニューにして、そこにペナルティをつけることです。例えばあとで入ってきた子どもたちがシュートを入れると10点にする。あるいは、その子たちからパスをもらってゴールを決めたら10点にする。遅れて入ったためまだ力が追い付いていない子どもたちを主役にします。そうすれば孤立することなく、一緒に楽しめます。パスがたくさん集まるため、そういった子どもたちの練習になり結果的に上達します。このように、あるルールでやったとき、子たちがどう考えてくるか。そこを観察します。じゃあ次はこんなふうにしてみるけど、どうかな?と、子どもたちに提案し意見を聞きます。より全員が参加できて、全員がより楽しくなるかたちを追求するのです。■日本サッカー協会が伝えている「練習のオーガナイズ」とは以前、小学校の巡回指導の際にサッカー経験のある男子はゴールしても0点で、サッカー経験のない女子が決めたら2点という設定にしました。すると得点にならないのに、サッカークラブに通っている子どもたちが終始自分たちだけでサッカーをし続けました。他の子どもはほぼコートに立っているだけでした。そんなときは、さらにまたルールを変えます。「じゃあ、次はこんなルールにしたら君達はどう考えますか?」と問いかけます。若干ストレートな表現になりますが、子どもたちを困らせるような提案をする。それが、サッカー協会が皆さんに伝えている「練習のオーガナイズ」です。私の練習を見に来られた方々が「めちゃめちゃカオスな時間ですね」と感想を述べられます。何が起きてるかわからない。でも、確実にサッカーをしている、と。とはいえ、そもそもサッカーの試合はカオスになります。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■中学生でも鳥かごでダイレクトの指示が入ると動き方がわからなくなる(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)先日、私が指導する中学生に5対2の鳥かごをしてもらいました。5人は移動しながら、動きながらパスを回してもらいます。途中で私が「はい、ダイレクトで回して」と伝えると、全くできなくなりました。集めて「どうしましたか?」と聞いたら、「難しい」と首をひねっています。5人が動くから、ごちゃごちゃになって「どこに行けばいいかわからない」と言います。そこで、「相手が上手くもらえるところを探してみよう」と伝えました。もうひとつ「最初からできなくて当たり前だから。できなくていいんだよ。こんなときどうしようかなって考えることが一番大切なんだよ」と伝えました。考えてやってみたけどうまくいかなかった。相手に何度も取られる。でも、そこで投げ出さず、失敗を繰り返さなくてはうまくならないのです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年07月26日5年生より弱い6年生。前の監督がこの子たちの年代の時にちゃんと育成してくれなかったので、下の学年でやることを6年生の今やってる。6年生のレベルが全体的に低くて、5年生を出さないと勝てない。優しくて仲の良い6年生全員を出してほしいけど、最後の試合まで半年しかなくて勝てない状況に焦る......。というお母さんからの悩み。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<チームメイトに「いらない」と言われる発達障害の息子。いじめだと思うが親が口を挟んじゃいけないのか問題<サッカーママからの相談>ら1年位誘われて入り、約1年になります。6年生は全部で9人しかいません。 一人は故障で長期休んでおります。現在息子はCBをしております。体幹やキック力もありゴールキックも任されており足も学年1速いので活躍しております。 息子はこれでいいのですが、チームに幾つか問題がありまして。それは、6年生が5年生より弱いということです。6年生だけだと勝てません。混合チームだと6年生で4名がベンチ組です。最後の大会まで半年なのに。聞いた話だと、今の5、6年生が4、5年生の時に監督がサボってろくな練習や試合が全く出来ないまま6年生になったそうです。なので全体的なレベルがだいぶ低いのです。監督が変わって少しずつ強くなってきたのですが、問題は6年生のみだと勝てないことです。要はこのまま思い出を作るのにサッカーをするのか? それか、勝てるチームを目指すのか? 監督としては6年生で編成する方針らしいのですが、正直チーム強化が間に合うのか微妙なところです。 ベンチ組が育たないので試合では5年生が出てきます。4、5年生の時の事は子どもたちの責任ではないので、試合に出れないのは可哀想な気もするのです。 優しくてみんな凄く仲良しなので全員試合に出て欲しいのです。最近になって6年生だけの試合も組んでくれるのですがやはり負けてしまいます。もうあと半年しかないのにこの状況に内心焦っております。今月くらいから各ポジションの動き方や裏への走り方、スペースの作り方などに取り掛かった位です。下の学年で学ぶことを今やっているのは前監督の責任です。(保護者が色々と訴えても変わらなかったようです)今の監督に変わってからもの凄く情熱的に、時に厳しく時に優しく育てて貰っているのですが、なんせいきなり実力主義に変わったので正直子ども達に酷な気がしております。ただみんな練習がキツイやら長いやら文句は言ってますが、基本的には楽しんでいるようです。とりとめのない相談になってしまいましたが、これから保護者としてどう考えると良いのかアドバイス頂けると幸いです。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。お気持ちを率直につづっていただけているようです。勝つ喜びも味わわせたいけれど、6年生全員で試合をさせてあげたい。そんな親心が文面から伝わってきます。しかしながら、愛情にあふれた親心の表現方法を間違えてしまうと、子どもにとって良くない結果につながりかねません。指導者が交替するなど環境が変わるなか、息子さんを含めチームメイトたちはそこに対応しようとしています。そのそばでお母さんがさまざま意見を言ったり、考えたり、動くことがプラスになるのかどうか。その一点を考えてみましょう。■あなたが焦ってもチームの状況は変わらないそこで私から、いくつかの「そもそも論」をお話させてください。チームがどんなメンバーでどう戦うのかといったことを考えるのは、指導者とプレーする選手たちです。負けが続いて焦っているとのことですが、お母さんが焦ったとて状況は変わりません。いくら子どもを預けている保護者だからといって、このメンバーでこう戦ってくださいと指導陣に意見もできないでしょう。つまり、「そもそも」親の出る幕ではないのです。無論、コーチの指導に暴力性があったり、それが原因で子どもの心身に支障をきたしたりしているのなら、親として抗議するのは当然ですし話し合いが必要でしょう。しかし、ご相談文からはそこまでの緊急性は感じ取れません。しかも子どもたちはサッカーを楽しんでいるようだと書かれています。ここは静かに見守ってあげればいいと思います。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■思い出作りと勝てるチーム、どちらかに絞るものではない次に「このまま思い出を作るのにサッカーをするのか? 勝てるチームを目指すのか?」とありますが、そもそもどちらかに絞るものではありません。子どもは試合に勝ちたくてやっています。6年生全員で出て、どこまでできるか挑戦すればいいと私は思います。6年生全員での出場を「思い出作り」などと形容せず、「みんなで楽しくサッカーできればいいね」と見守ってあげませんか。現在指導している監督さんは「時に厳しく、時に優しく育てて貰っている」とあります。具体的にどんな指導かわかりませんが、アメとムチのような古い指導でなければいいがと少し心配になりました。その監督さんも、お母さんも「そもそも」厳しさの意味をはき違えていないでしょうか。■たくさん指示を与えるより、自分で考えさせるほうが厳しい指導かもしれないサカイクで連載をされている池上正さんがジェフ千葉で中学生チームを指導したときのことです。試合中に保護者から池上さんにこんな声が飛んだそうです。「どうして何も言わないんですか?相手のコーチはたくさん指示を出してますよ」それに対し池上さんは「いや、私は選手が自分で考えてプレーするかどうかを見ています。実は日本一厳しいコーチかもしれませんよ」と答えました。怒鳴ったり指示命令する指導は子どもの自立と成長を阻みますが、多くの大人が怒鳴ったり、叱ったり、煽ったりする態度からしか「厳しさ」をイメージできません。しかし、池上さんは「主体的に取り組まなければ、君は何も獲得できないよ」というメッセージを込めた態度を貫いていました。それこそが真の厳しさだと私は考えます。怒鳴ったり指示を与える言動は、実は甘やかしているのかもしれません。怒って刺激を与えているのですから、それは「世話を焼いている」ことになります。それは時に「過干渉」になります。繰り返しになりますが、過度に干渉する大人は子どもの自立と成長を阻みます。このことは現在、教育界や幼児教育、保育の世界でも少しずつ認識されています。■言葉には魂が宿るもの「ベンチ組」という言い方はやめようご相談文を読むと、お母さんは前の監督を全面的に否定していますね。彼のせいで「ベンチ組が伸びなかった」と書かれています。レギュラーの親御さんがそうではない子どもたちを「ベンチ組」と形容するのは、たとえ本人たちの目の前でなくいてもやめましょう。単なるひとつの言葉ですが、言葉には魂が宿るものです。また、前監督を見たわけではありませんが、もしかしたら楽しくサッカーをさせて子どもたちの伸びしろを残していたのかもしれません。試合の勝ち負けや子どもの出来栄えだけをみるのは、そもそも良いことではありません。まずは親としてボランティアで指導されているコーチへの感謝の気持ちを表すことが、子どもへの良い教育になります。■子どもの輝く姿を見たいあまり、ストレスが溜まっているのでは(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)「とりとめのない相談になってしまいましたが」と書かれているように、お母さん自身、とても揺れているように見えます。わが子は主軸のセンターバック。子どもの輝く姿をみたいあまり、ストレスが溜まっていないでしょうか。6年生だけで出ても試合に勝てる強いチームを期待しているのでしょう。お母さんは「優しくてみんな凄く仲良しなので全員試合に出て欲しい」と願う一方で、6年生だけの試合で負ける姿に「あと半年しかないのに」と焦っています。恐らくどちらも正直なお気持ちでしょう。負けるとお母さんは悔しいようですが、一番悔しいのは子どもたちです。悔しがる子どもたちに「でも、よく頑張ったよ」と結果ではなくプロセスに注目してあげるのが大人の役目です。そういったことを踏まえて、「そもそも」何のために息子さんにサッカーをやらせているのか、ここをあらためて考えてみましょう。そのためにも、半月でもいいので息子さんのサッカーと距離を置くことをお勧めします。落ち着いて「何のために」をじっくり考えてみてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年07月24日「ヘリコプターペアレント」という言葉を聞いたことがありますか?これはアメリカで生まれた言葉で、「子どもの周りを常にヘリコプターのように旋回し、過度に干渉する親のこと」を指します。愛情から来る行動ではありますが、子どもの成長に悪影響を及ぼす可能性があると言われています。前回に続き、心理カウンセラーのあさくらゆかりさんに、ヘリコプターペアレントの特徴や弊害、そして対処法についてお話を伺いました。(取材・文鈴木智之)(C)たむらさいか<<前編:干渉しすぎて自立を阻害する「ヘリコプターペアレント」になってない?過保護にならないための対処法親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■ヘリコプターペアレントの特徴心理カウンセラーのあさくらさんによると、ヘリコプターペアレントには、以下のような特徴があります。1. 子どもがすべき問題解決を親がしてしまう2. 子どもがすべき決断を親がする3. 自分の理想を子どもに押し付ける4. 子どもが失敗する体験を奪う具体的な例として、あさくらさんは次のように説明します。「幼稚園児ぐらいだと『そのおもちゃ貸して』『いやだよ』と言われたときに、どうしようかって一緒に考えられるといいんです。でも『貸してあげなさいよ』とか『順番でしょう』『今度はうちの子の番よ』と、親が代わりに言ってしまったり、その子の親に言ってしまうことは、ヘリコプターペアレント的な行動と言えます」年齢が低いうちは、仕方のない場面もあるかもしれませんが、いつまでも親が子どもを子ども扱いし続けることは、長期的に見ると、大きな弊害が生まれます。「幼い頃だと、今日着る服とか、何を食べるかといった、小さなことから始まり、思春期や成人になってくると、どこに進学するのか、どこに就職するのか、どんな人と結婚するかなど、本来自分で決めることを、親が決めてしまうことがあります。これはかなり危うい行動です」■失敗する経験を一度もさせてもらえずに社会に出たら......過度な干渉は、子どもの成長にさまざまな悪影響を及ぼします。特に、自立心の欠如、問題解決能力の低下、自己肯定感の低下、社会性の未発達などが挙げられます。あさくらさんは、なかでも「失敗経験の重要性」を強調します。「失敗も挫折も一つもしたことがない、傷つかないまま大人になって社会に出たら、どうなるでしょうか。経験したことしか、自分の人生の自信にはなりません。いくらインターネットで見たり、本で読んでも、経験しないと自分のものにならないんですね。だからこそ、その子がチャレンジする環境を作り、ときには失敗を経験させることも必要だと思います」■監視と見守りの違いヘリコプターペアレントの行動は、名称の由来どおり「監視」に近いものです。大切なのは、子どもを監視するのではなく、見守ることです。あさくらさんは、監視と見守りの違いを、次のように説明します。「コンビニに監視カメラがついているのは、万引きの防止のためです。つまり、店員がお客様を信用していないから、カメラで監視しているわけです。一方で見守りは、安全な状態かどうかに注意を払うことです。つまり必要なときに手助けをするのが、見守りだと言えます。だから親御さんには『監視ではなく、見守る』スタンスでいてほしいです」■失敗した時に「お母さんが言ったからだ」と他責な考えの子にしないために見守り、必要な時にそっと手を差し伸べる。それが、理想的な関わり方です。しかし「必要な時」を見極めるのは難しいもの。その見極め方をあさくらさんはこう言います。「大人が先回りして手助けするのではなく、子どもの方から『お母さん、助けて』と言ってきた時に、対応するのが理想的です。カーナビに例えると、間違った場所に着いてしまったら、それは住所を入力した人の責任ですよね。同じように、親御さんが細かく指示ばかり出していると、お子さんは指示を待つようになり、その結果、失敗したときに、『自分は悪くない。お母さんが言った通りにしただけ』という他責思考になってしまいます」■他責思考ではサッカーでも伸びない(C)たむらさいかこのような考え方のクセがつくと、困ることがたくさんあります。サッカーのプレーで言うと、コントロールミスしたときに、他責の人は『何でそんなところにパスするんだ、お前が悪い』となり、自責の人は『パスをうまく受け取れなかった自分が悪い』と考えます。どちらの考え方が、子どもを成長に導くのでしょうか?それはもちろん「自責思考」です。自責思考を持つことで、自分の成長に焦点を当てることができます。サッカーの現場では「自分に矢印を向ける」という言葉がよく使われていますが、これはまさに「他人に原因を向けるのではなく、自分ができることを考えよう」「自分の成長に目を向けよう」という意味を表しています。■ヘリコプターペアレントにならないための心構え最後にあさくらさんは、ヘリコプターペアレントにならないための、親の心構えを教えてくれました。・境界線を設定しましょう(※サッカーのことはコーチに任せる)・失敗を恐れずに試させましょう・アドバイスをやめてみましょう・子どもに任せて決断させましょう・物理的な距離を置いて、見ないようにしましょう・アドバイスしすぎないで10秒待ってみましょう・自分の時間や趣味を大切にしましょうなかには「子どものサッカーを観るのが趣味なんです」という人もいるでしょう。そこで、あさくらさんは「お子さんのサッカーを見に行ってもいいんです。楽しみにしてもいい。でも時と場合、さらには、やり方によっては子どもに害があるかもしれないということを知っておくのは重要だと思います」とアドバイスをくれました。■サッカーは子どもの自立心や決断力を育むのに最適なスポーツお子さんの成長を願う気持ちは、誰しも持っています。今回の記事は、そのためのアプローチを振り返る、良いきっかけになったのではないでしょうか。サッカーは子どもの自立心、決断力を育むためにも最適なスポーツ。サッカーを通じて、お子さんの成長を見守る方法を、見つけていきましょう。あさくらゆかり公認心理師・心理カウンセラー一般社団法人日本ライトカウンセリング協会代表理事、株式会社kikiwell所属カウンセラー・統括責任者幼稚園教諭・保育士・公立小学校学級支援員を経て心理カウンセラーに。2007年1月より(株)kikiwellが運営するキキウェルメンタルヘルスサービス(旧:聞き上手倶楽部)に所属。ライトカウンセラーとして活動開始。「聞ける人ほどうまくいく」をスローガンに、カウンセラー養成講座の講師を務めている。また「聞かせて下さい、あなたのお話」、このひとことを熱く胸に抱え(株)kikiwellで電話カウンセラーとしても活動している。【カウンセリング実績】キキウェルメンタルヘルスサービスのカウンセラーとして 17年間で、のべ14,000件以上の電話カウンセリング、3,600件のメールカウンセリング実績。最長連続カウンセリング11時間。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年07月23日子どもたちのいさかいが絶えないチーム。「ケンカしててサッカー上手くなるの?」と問いかけをしているが変化が感じられない。来年高学年で公式戦も始まるし焦る。なにより真面目に練習している子に迷惑がかかっている。お父さんコーチとして自分に何ができる?という質問をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、ご自身の経験をもとにアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<守備のトレーニング、奪ってからのポジティブトランジションを上手くいかせるにはどうすればいい?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。子どもが所属している少年団で父親コーチをしています。(指導年代:U-8、U-10)ご相談ですが、1番の悩みは子どもたちの不協和音です。技術の相談でなくて申し訳ないのですが、けんかや言い合いが絶えません。他の真面目に練習をしている子たちが迷惑している状況です。基本的には子どもたち同士で解決した方が良いと思って見守っています。中にはけんかを注意する子もいますが、相手の子が受け入れられず状況が変わらない事がほとんどです。私としても「けんかをしていていいの?それでサッカーは上手くなるのか?」などの問いかけも繰り返していますが、子どもたちの変化を感じる事ができずにいます。本当に変化していないのか、変化に気付けていない自分の捉え方に問題があるのか、悩みは深まるばかりです。来年からは高学年として公式戦にもいかねばならないメンバーがいる中で、チームをまとめようと焦る気持ちも出ているのだと思います。問題は子どもたちではなく、自分の考え方、とらえ方だと自覚しており、なんとか抜け出すきっかけを模索する日々です。纏まりのない悩みですが、どうしていけば良いのか御意見を頂きたいです。よろしくお願い致します。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。指導されているのが8歳以下と10歳以下とあります。このカテゴリーは、やんちゃ盛りでまだまだ自分を律することは難しい年代です。つまりギャングエイジに近い層と言えます。■今の対応でOK、ケンカしないよう無理に押さえつけない方が良いいざこざが起きる年代なので、ある程度のけんかは仕方がないでしょう。いさかいが起きた際に「それでサッカーは上手くなるの?」と問いかけている、と書かれています。良い対応です。そうやって大人が言い続けて育てるしかありません。逆に「絶対けんかするな」とか「けんかするならボールは触らせない」などと走らせるようなことはしないでください。無理に抑えつけて言いたいことが言えない空気になるのは良くありません。ご相談文に「けんかを止める子もいる」とあるので、引き続き「みんなで注意しよう」とことあるごとに伝え続けてください。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■飛び級などもケンカの原因になりがち、両方のケアをその一方で「来年からは高学年として公式戦にもいかねばならないメンバーがいる」とあり、そこが心配です。全員ではないかもしれませんが、一部の子どもだけ高学年の試合に呼ばれる。つまり、飛び級する子どもが出てくるようです。そうなると、それが引き金になって、けんかの種になりがちです。飛び級する子どもも、そこに入れない子どもたちについてもケアする必要があるかも知れません。■犯人捜しではなく、みんながサッカーを楽しむにはどうしたらいいか話し合うこういうとき、いじめたり暴言を吐いた子どもが誰なのかといった犯人捜しをするケースが多いようですが、それはやらないほうがいいでしょう。仮に目星がついていたとしても、個人を特定するのではなく全体の問題にすべきでしょう。例えば「チームワークってどんなことなのかな?」「チームワークがいいチームって、どんなチーム?」などと問いかけて、選手全員とコーチとで話し合ってもいいでしょう。「みんなにも起きるよ。どうしたらいいかな?」と当事者として考えてもらいます。さまざまな意見が出ると思うので、そこでコーチが「選手同士がいつもけんかしてるようでは、チームワークがいいとは言えないかな」と話してもいいかと思います。とはいえ、試合をしている場面で大きなけんかが普段と同じようにあるのであれば、少々重症かもしれません。言い合いが頻繁に起きるようでは、みんながサッカーを楽しめないことを伝えてください。そのうえで、「みんながサッカーを楽しむにはどうしたらいい?」と問いかけて、考えてもらってください。そうではなく、試合でけんかすることはなく、まとまってプレーできるのなら大きな問題ではなさそうです。■すぐには解決できない問題だ、とどっしり構えていよう次に、コーチご自身のことです。焦っているかも?と自問自答しています。それは十分考えられます。課題解決は遅いより速いほうが良いかも知れませんが、結果を急がないようにしましょう。この問題が起きたからこそ「みんなが仲良くなるには?」「チームワークとは?」と子どもは考えることができ、学べるわけです。このことに限らず、すぐには解決できないのだ――そんなふうに構えておいてください。少し長い目で、うまくいかなかったとしても仕方ないな、というくらいどっしり構えてほしいです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■池上さん自身、いさかいが絶えないチームを担当した時に行ったこと(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)私自身もいさかいが絶えないチームを担当した経験があります。争っている2人だけの問題にせず、チーム全体の話にしました。これは男子の中に2人だけ女子がいる中学生のサッカー部の話です。女子2人。他の十数人は全員男子。中学生男子は下ネタのようなジョークを女子に向かって言いたくて仕方がない年頃です。しかし、それを女子は嫌悪しています。もっと言えば、男子の中もそういう話が嫌な子もいます。仲間に嫌な思いをさせるのは良くありません。これから先、同じことが起きないようにするのはどうすべきか?そういったことを話し合ってもらいました。すると、仲裁に入る、両方の言い分を聞くなど、さまざまな意見が出てきます。常に話し合うことで解決するという経験をさせてあげましょう。■時に対立したり、意見を言い合うことは成長のプロセスとして大事けんかしろとは言いませんが、時に対立し自分たちの意見を言い合うことは、成長のプロセスとして重要です。自分が発言するときに「こういうふうにしゃべったほうが相手を尊重できる」などと学びがあります。例えば練習の中で、けんかしている子ども同士をペアにしてもいいでしょう。それもコミュニケーションが円滑にできるようになるひとつのやり方です。そのためにも、いつも練習する相手を変える習慣をつけておきましょう。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年07月22日子どもの成長を願う親心が、逆効果になることがあるって、ご存知ですか?最近、「ヘリコプターペアレント」という言葉をよく耳にします。これは、ヘリコプターがホバリングするような形で上から子どもを見張り、子どもがつまづきそうなリスクがあったら急降下して排除してしまう、自分で判断できる年齢になっても子どもに逐一関わり続ける親を指す言葉です。サッカーの現場でも常に子どもの近くにいて動きを全部監視し、試合が終わるたびに着替えを手伝いにチームのテントに入ってきたり、子どもの1日のすべてを把握しようとするような保護者がいます。この問題について、長年、子育て相談に携わってきた心理カウンセラーのあさくらゆかりさんに話を聞きました。サッカーを題材に、子どもの自立を促す具体的な方法を紹介します。(取材・文鈴木智之)(C)たむらさいか<<関連記事:あなたは大丈夫?過干渉タイプチェックシート親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■子どもの行動を監視し何かあったら急降下「ヘリコプターペアレント」とは子どものサッカーを応援したい。サポートしたい。もっと上手くなってほしい! など、子を思う気持ちから、ときに過保護や過干渉になってしまう......。それが「ヘリコプターペアレント」と呼ばれる行動に現れてしまうことがあります。ヘリコプターペアレントとは、常に子どもの周りを飛び回り、不都合なことがあったときに急接近して干渉する姿が、ヘリコプターに似ている様子を表した、アメリカ発祥の言葉です。サッカーの現場だと、試合が終わるたびチームのテントに入ってきて子どもの着替えを手伝ったり、子どもたちに自立を意識させたいと遠征の引率人数が決まっているのに「心配だから」とほとんどの親がついてきて身の回りのことを世話していたり、子どもの1日をすべて把握しているような親御さんが増えているという声を聞きます。中には、保護者エリアが決まっているのにいつの間にかベンチの後ろ、コーチのすぐ後ろに立ち逐一指示を聞き漏らすまいとして、休憩中に我が子にダメ出しする親までいるとのこと。そのような、子どもに干渉しすぎることの弊害などについて心理カウンセラーのあさくらゆかりさんに聞きました。■過保護・過干渉になる親の心理あさくらさんは「親御さんの思い自体は素晴らしいものです。でも、その思いが強すぎるあまり、親御さんの行動が、お子さんにとってマイナスになっていないか。立ち止まって考えてみるのもいいかもしれません」と、優しく語りかけます。そもそも過保護、過干渉になる親の心理として・我が子可愛さゆえ・親としての責任感(きちんと育てなければ、という重圧)・自分の夢を子どもに実現させる、子どもは親の育児の成果(優秀な子を育てた自分の価値が上がる)といったものが考えられるのでは。と教えてくれました。■自分ではなく親の価値観で物事を決める「インナーペアレント」とは?「子どもの側からすると、親が近くで見ているだけでも『心理的に干渉されている』というストレスがあるのに、何かあったときに急接近してきて干渉するとなると、物理的なストレスにもなりますよね」さらに、こう続けます。「私がカウンセリングをお受けしたケースで、成人したお子さんが、親にされた行動で辛かったと言うのが、過保護、過干渉です。小さい頃から、親が子どもの決定に口を出したり、何でも親が決めてしまうことで、お子さんの中に『自分の親なら、こう言うだろう』という思考が生まれ、自分ではなく、親の価値観で物事を決めるようになります。それを『インナーペアレント(自分の中にいる親)』というのですが、その思考が強制力を持っていたり、価値観が社会に合致してない場合、お子さんは非常に生きにくくなってしまいます」この状態が続くと、お子さんにとって、ネガティブな影響が出てしまうことは明らかです。「そうならないために思春期や反抗期があるのですが、そこをうまく通れなかったお子さんはかわいそうです。反抗する機会さえ作らせてもらえないほど、常に見張っていて、何かあったらすぐ親の方から来る。そして、親が提案したことに反抗させない。そうなると、反抗期として成立しないですよね」■ヘリコプターペアレントの弊害あさくらさんはヘリコプターペアレントの弊害として、次の要素を挙げます。・1人で問題解決ができない・自分を好きになれない・ネガティブな思考になりがち・精神的に不安定になりやすい・自己決定ができない・他人の評価を過剰に気にする特にサッカーのような団体競技では、自立心や問題解決能力が重要です。「一流のサッカー選手で、問題解決能力が低くて、依存体質がある人っていないですよね」というあさくらさんの言葉は、とても示唆的です。■ヘリコプターペアレントにならないために(C)たむらさいかでは、ヘリコプターペアレントにならないために、どうすれば良いのでしょうか。あさくらさんは、具体的な対策を提案してくれました。「例えば、練習の準備をいつも親御さんがしているのであれば、お子さんに任せてみるのもいいかもしれません。ほかにも、新しいソックスを買うといったときに、お子さんに選ばせてみましょう。いつもお母様が準備したり、選んでいるのであれば、お子さんは戸惑うかと思いますが、『自分でやってみる?』『自分で選んでみる?』と聞いてみましょう。そのときに、お子さんが喜ぶか、嫌がるかを見ていただきたいです」このときに、お子さんが「自分ではできない、決められない」「面倒だから、お母さんがやって」と言ってきたら、危険信号かもしれません。「お母様の提案に対して、お子さんが『うまくできるかな』『やってみたいけど不安』というのはOKだと思います。そこで『じゃあ一緒にやろうよ』とふたりでやることで、やり方がわかったり、自信がつき、次からはひとりでできるようになるかもしれません」■子どもの問題解決能力を阻害しているか、他責思考にしてしまっているか確認する方法日常生活の中にも、親の関わり方によって、子どもの問題解決能力を阻害していないか、他責思考になっていないかを測る方法があります。「例えば、食事のときに、お味噌汁を洋服や床にこぼしてしまったとします。基本的に大人が『シャツを脱ぎなさい』『雑巾で拭きなさい』など、解決方法を提示しますよね。でもそこで、親御さんの方から『こぼしちゃったね。どうしようか?』と言って、お子さんに問題を解決する能力があるのか、見てみるのはいかがでしょうか」問題解決の具体的な方法を思いつくのか、その手順に沿って解決できるのかを、見てみる作戦です。「そこで、呆然として何もできなかったらまずいですよね。反対に、急いで行動してくれたら、その子に問題解決能力が備わっていると言えます」■サッカー上達のために必要な思考力、問題解決能力は、チームだけでなく家庭でも育てられるサッカーが上手くなるためには「自分で考え、ピッチ上の問題を解決する能力」が必要です。それはサッカーの時間だけでなく、日頃の親の関わり方からも育むことができます。過保護・過干渉は止めて、お子さん自身に考えさせ、決断させる。その繰り返しが、ピッチ内外で、自立した人間へと成長していくための、大切なことと言えるでしょう。次回の記事では「ヘリコプターペアレントにならないための、親の心構え」について、あさくらさんに解説していただきます。あさくらゆかり公認心理師・心理カウンセラー一般社団法人日本ライトカウンセリング協会代表理事、株式会社kikiwell所属カウンセラー・統括責任者幼稚園教諭・保育士・公立小学校学級支援員を経て心理カウンセラーに。2007年1月より(株)kikiwellが運営するキキウェルメンタルヘルスサービス(旧:聞き上手倶楽部)に所属。ライトカウンセラーとして活動開始。「聞ける人ほどうまくいく」をスローガンに、カウンセラー養成講座の講師を務めている。また「聞かせて下さい、あなたのお話」、このひとことを熱く胸に抱え(株)kikiwellで電話カウンセラーとしても活動している。【カウンセリング実績】キキウェルメンタルヘルスサービスのカウンセラーとして 17年間で、のべ14,000件以上の電話カウンセリング、3,600件のメールカウンセリング実績。最長連続カウンセリング11時間。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年07月17日ジュニアからプロ選手まで、日々の自主練や技術習得に役立つと評判の「テクダマ」。テクダマは、独自のバランス設計により不規則にボールが変化するため、身体の反応や対応力の向上に繋がります。これは、サカイクやコーチユナイテッド等を運営する株式会社イースリーと、技術と身体操作を高めるドリブル指導で有名な三木利章コーチが、試作を重ねて制作したボールで、様々なレベルの選手が使用し、技術向上に役立てています。今回、テクダマを使ってトレーニングをしてもらったのが、一昨年の「ジュニアサッカーワールドチャレンジ」で優勝し、上田綺世選手や古賀太陽選手など、多数のプロ選手を輩出するマルバサッカースクールです。「テクダマ」を使った、マルバの選手&コーチは、技術向上にどのように役立てるイメージを持ったのでしょうか?1対1で勝てる選手へ!ドリブル・リフティングに最適なテクダマ>>■反応が鍛えられるマルバサッカースクールは、「1対1をベースに、世界で活躍できる選手の育成」を掲げ、上田綺世選手や古賀太陽選手など、数多くのJリーガーや海外で活躍する選手を輩出してきました。そのマルバサッカースクールで指導を行う江口亮介コーチは、テクダマを使った指導法について、次のように話します。「テクダマはボールの芯がぶれるので、リフティングやドリブルがしづらい点が良いところです。ボールの動きが予測できない分、ボールをさわる際に調整をする感覚に意識を向けることができます」マルバサッカースクールに通う、水上零仁くんは「テクダマは何度か使ったことがあります。ボールがぶれるので、『絶対にここにボールが行く』というのがなくなり、軸足を置くところや(ボールに触る)タイミングの練習になる」と、ボールコントロールの向上に役立つことを実感していました。また、縦への推進力が持ち味の相良勇人くんは、「テクダマを使って1対1やパス、ドリブルをやってみたのですが、どこにボールを置くかがすごく難しかった。反応が鍛えられると思います」と、感想を話してくれました。■繊細なボールコントロールの習得に役立つ江口コーチは、テクダマを使った具体的なトレーニングに「コーンを使ったジグザグドリブルや、1対1のトレーニングで使うといいと思います」と提案。1対1の場面では、「テクダマはぶれるので、このボールでトレーニングをすることで、普通のボールに戻ったときに、ボールへのストレスを感じずにプレーができるようになると思います」と、繊細なボールコントロールの習得に役立つことを示唆しました。ジュニア年代では、土やクレーコートで試合をすることも多く、イレギュラーバウンドに対応することが求められます。江口コーチは「テクダマは、整備されていないグラウンドと同じような感覚が味わえます」と話し、「自分が小学生のときにテクダマがあったら、もう少しサッカーがうまくなっていたんじゃないかなと感じます」と、笑顔を見せます。■技術に磨きをかけようテクダマは技術習得に役立つだけでなく、「ある程度、コントロールやキック、ドリブルができる選手に使ってもらって、さらに技術を磨き上げるのにもいいと思う」と江口コーチ。また、ジュニア年代で技術を身につけることの重要性については、「技術や感覚があることで、中学・高校に行ったときに『それは当たり前にできるよね』というところから、技術以外のサッカー観や、サッカーを知るところに力を入れられると思う」と、早い段階で技術を習得することが、後のサッカー理解の向上につながることを強調していました。プロを目指してたくさんの選手が集まり、切磋琢磨するマルバサッカースクール。江口コーチは「いま以上に、もっとたくさんの選手がJリーグで活躍して、若くして海外へ飛び立って、ワールドクラスになる選手が出て欲しい」と、目標を話してくれました。マルバサッカースクールの江口コーチも認めるテクダマの効果を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。 テクダマを使った練習で、ボールコントロール能力と反応力を磨き、1対1で勝てる選手へと成長しましょう!
2024年07月12日華麗なドリブルを武器に、世界の強豪と渡り合った松井大輔さん。2010年の南アフリカワールドカップで、日本中を熱狂させた彼の足跡は、多くのサッカーファンの記憶に刻まれています。そんな松井さんは京都サンガやジュビロ磐田、横浜FCなど、Jリーグでの活躍はもちろん、フランスのル・マンやグルノーブル、ロシアのトム・トムスク、ブルガリアのスラビア・ソフィアなど、6カ国13クラブでプレーしました。現在、松井さんは自身の経験を次世代に伝えるべく、サッカーコーチとして新たな挑戦を始めています。今回のインタビューでは、松井さんに「将来海外でプレーするために、小学生年代にしておきたいこと」をテーマに語っていただきました。語学力の重要性、文化適応の秘訣など、実践的なアドバイスは、若い選手の道しるべになるでしょう。(取材・文鈴木智之、写真:新井賢一)(C)新井賢一<<前編:2児の父・松井大輔さんが語る、サッカー少年少女が「楽しい」「上手くなりたい」と思うようになる親のかかわり方親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■話さない選手にはパスは来ない松井さんは、海外でのプレーを目指す若い選手に対し、現在の環境で最善を尽くすことの重要性を強調します。「まずはなにより、今いる環境で、しっかりと自分のプレーをすること。日本サッカー協会の育成システムはしっかりしているので、才能ある選手は必ず見出されます。クラブもスカウトを通じて、小学生の段階から優秀な選手を探しています。焦って海外に行こうとするのではなく、日本で実力をつけてからでも、遅くはないと思います」松井選手が海を渡ったのは、23歳の頃でした。最初の行き先はフランスです。「やっぱり、語学は大切だと感じました。サッカーはボール一つあれば誰とでも交流できますが、言葉ができれば、さらに深いコミュニケーションが取れます。僕はフランスに8年いたので、日常会話には困らない程度でしたが、最初の1年間は集中的に勉強しました。チームが家庭教師をつけてくれて、その後は自分で雇って学びました」サッカーはチームスポーツであり、コミュニケーションが重要です。海外では、自己主張しなければ、いないものとみなされる傾向があります。「チームメイトと会話をして仲良くならないと、なかなかパスがもらえません。話さない選手には、パスが来ないんです。だから、しっかりとコミュニケーションを取ることが必要で、言葉でコミュニケーションが取れないなら、プレーで結果を残すしかありません。結果を残せば、自然と周りも認めてくれて、パスをしてくれるようになります」■その国の人や文化を知ること、何でも食べられることも大事海外で暮らすとは、新しい文化の中で生きることでもあります。松井さんは、こんな風に心がけていたそうです。「僕が心がけていたのは『フランス人になろう』という意識です。フランス語を話すこともそうですが、人々の文化や考えを知ろうと努力していました。また、何でも食べられるようにしておくことも大切だと思います」サッカー選手にとって、海外の食事は重要なテーマです。体作りの面からも、効果的な栄養摂取は欠かすことができません。「僕がチームに入った時、身長は下から2番目でした。日本では平均的な身長(175cm)でしたが、海外では平均以下です。最近のサッカー選手はアスリート化しているので、体の大きさや当たりの強さも求められます。将来を見据えて、段階的に体づくりをしていく必要があります。日本の高校生も今は筋トレをしていますし、中学生も体幹トレーニングをしたりと、積極的に取り組んでいますよね。そういった面では、徐々に良くなってきていると思います」■強い体を作るには十分な睡眠と栄養も必要ⒸYOKOHAMA FC強い体を作るには、練習だけでなく、十分な睡眠と栄養も必要です。松井さんは、小学生の頃から、「よく寝ること」を意識していたそうです。「僕は小学6年生まで、毎晩8時に寝ていました。十分な睡眠が取れたことは、成長に良かったと思います。野球の大谷翔平選手も言っていますが、睡眠は成長にとって、絶対に必要なものです。とくに小学生のときは、早く寝て、朝早く起きることを心がけたほうがいいと思います」■先輩から多くのことを学ぶ幼少期から、自分の体に目を向けてきた松井さん。プロ選手として長く活躍する過程で、先輩選手から多くのことを学んだそうです。なかでも、日本サッカー界の伝説的存在である三浦知良(カズ)選手からの、影響は大きかったと言います。「僕が42歳まで現役を続けられた理由の一つは、カズ(三浦知良)さんやシュン(中村俊輔)さんという、素晴らしいお手本が近くにいたからです。30歳から35歳、36歳と年齢を重ねていく中で、おふたりから多くのことを学びました。食事は何を食べるべきか、睡眠の重要性、ケアの方法、筋トレの仕方など、先輩方が見本を示してくれたことは、自分のキャリアにとって、すごく大きなことだったと思います」長い現役生活の中で、たくさんの経験をしてきた松井さん。それを若い選手に伝えることが、自らの指名だと感じています。特に、育成年代の指導に注目しているそうです。なぜなら、この時期こそが、選手の成長に最も重要だと考えているからです。「指導者として、育成年代のスペシャリストになりたいと思っています。多くの人は、トップチームの指導を目指します。しかし、トップレベルの選手に対しては、あまり教えることがありません。一方、育成年代には、教えることがたくさんあります。成長期、いわゆるゴールデンエイジと呼ばれる、もっとも伸びる時期に関わることで、日本サッカーのレベルを底上げできればと思っています」松井さんの言葉には、世界で戦った経験と、次の世代を育てたいという強い思いが込められています。彼の教えが、日本サッカーを担う子どもたちの成長にどのように役立っていくのか。今後の活躍が楽しみです。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年07月12日2010年の南アフリカワールドカップに出場し、世界の強豪と渡り合った松井大輔さん。京都サンガやジュビロ磐田、横浜FCといったJクラブだけでなく、フランスではル・マンを皮切りに、4クラブでプレー。ロシアのトム・トムスクやブルガリアのスラビア・ソフィアでもプレーするなど、海外経験豊富な選手でした。そんな松井さんが、現役を引退した今、サッカーコーチとして挑戦を始めています。子どもたちにサッカーの楽しさを伝え、次世代の才能を育てる。世界で培った経験を、どのように日本の子どもたちに還元しようとしているのでしょうか。松井さんの育成哲学と、保護者の関わり方について、話をうかがいました。(取材・文鈴木智之、写真:新井賢一)(C)新井賢一親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■スクールでドリブルクラスを担当現在の松井さんの活動は、多岐にわたっています。グラウンドでの指導はもちろん、テレビ出演やイベント参加など、様々な形でサッカーの普及に尽力しているようです。「今年の4月から、横浜FCのスクールコーチとして、小学生にドリブルを教えています。それ以外にも、浦和レッズではロールモデルコーチとして、高校1年生から3年生を指導したり、ジュニアやジュニアユースの選手と一緒にボールを蹴ったりしています」松井さんの代名詞と言えば、華麗なドリブル。その技を次の世代に伝えることに、特に力を入れているそうです。なぜドリブルにこだわるのか、その理由を語ってくれました。「世界的に見ても、メッシ、ロナウド、エムバペ、グリーズマン、グリーリッシュ、ネイマールなど、ドリブルの上手い選手がいる国が強いです。ドリブルを教えるコーチは少ないので、自分にしかできない指導をしていきたいと思い、横浜FCに提案したところ、すぐに動いてくれて、スクールの『ドリブルクラス』を始めました」■ドリブル指導は「ロジックと反復」を重視ⒸYOKOHAMA FC松井さんの指導の特徴は、現役時代の経験をもとに、創意工夫を凝らしたアプローチです。「練習メニューは自分で考えています。例えば、フラフープを使って間合いを示したり、様々な工夫をしています。僕が8年プレーしたフランスでは『あるもので何かを作り出す』という発想や工夫が重視されるので、そのような考え方のもと、面白い練習をしたいと思っています」ドリブル指導のキーワードは「ロジックと反復」だといいます。「ドリブル指導では、ロジック的なものと感覚的なものの両方を教えています。そこを言語化しながら、練習メニューに組み込んでいます。人によって特徴は違うので、その選手には何が合っているのかを考えながら、まずは練習して、見直して、分析してといった形で進めています」その指導の根底には、自身の幼少期の経験があると言います。当時を振り返り、遊びの中で学ぶことの重要性を語ってくれました。「小学生の頃は、遊びの中でドリブルを習得しました。映像を見たり、漫画を見たりして、自分の癖になるようなドリブルを作っていきました。サッカークラブが休みの日は、1人で練習することも多かったですし、友達と公園に行って、ひたすらミニゲームをしていました。いわゆるストリートサッカーですよね」■親はサッカー経験者ではなかった子どもたちの成長には、親のサポートが欠かせません。しかし、その関わり方には難しさもあります。松井さんは自身の経験を踏まえて、親たちにアドバイスを送ります。「自分の親はサッカー経験者ではありませんでしたが、寄り添ってくれて、自分の決定を支えてくれました。親は子どもの決定を尊重し、必要な時に少し修正する程度で良いと思います」一方で、熱心すぎる親の姿も目にすることがあるそうです。そんな親たちに、松井さんは、次のようにメッセージを送ります。「熱心に取り組むのはいいことです。ただ、親がやらせすぎて、子どもがサッカーを嫌いになってしまうケースを見てきました。何より大切なのは、子どもが楽しいと感じること。『サッカーをやりたい』『もっと上手くなりたい』という気持ちが、子ども自身から湧いてくることが重要です。子どもの思いを第一に考えることが、サッカーを楽しみ、長く続ける秘訣だと思います」ここで松井さんは、自身の子育て経験についても語ってくれました。「僕には小学生の男の子が2人いて、下の子はサッカーをしています。でも、レギュラーではないんです。そこで、ぼそりと『久保建英くんは、子どもの頃公園で練習してたってよ』『知り合いのあの子は、毎日20分公園で練習していたらレギュラーに選ばれたんだって』などとささやいて、やる気を出すように刺激しています(笑)」松井さん自身、小学生の頃、陸上をしていた父親と一緒に、朝早く起きて走りに行ったこともあったそうです。「その経験から、自分の息子に『俺は小学校の頃、朝から走ってたんだよ』と言って、一緒に走ったこともありました。それも1日、2日しか続かないんですけど(笑)。でも、それでいいんです。子育てには様々なアプローチがあると思います。大切なのは、子どもの反応を見ながら、効果的な方法を探ること。子どもに合ったやり方を見つけていく過程そのものが重要だと思います」■親ができるサポートは送迎、睡眠、食事最後に、松井さんは親たちへ、熱のこもったメッセージを送ってくれました。「親が親身になって、子どものサッカーに取り組むのは素晴らしいことです。でも、熱を帯びすぎると逆効果になることもあるので、力を入れすぎず、やりすぎずというのが一番いいのではないでしょうか。子ども自身に『楽しい!』『上手くなりたい!』という気持ちが湧き上がるアプローチは何かを、考えてみるといいですよね」子どもの気持ちが何よりも最優先。それはサッカーに限らず、必要なことかもしれません。そして、さりげなく、親が楽しみにしていることを伝える。そのような距離感がいいのではないでしょうか。「たとえば、ゴールを決めたときに『すごかったね』と褒めたり、『次の試合も楽しみにしているよ』と伝えることで、子ども自身、『親は楽しみにしてくれているんだ』と、モチベーションが上がりますよね。それに加えて、送迎であったり、睡眠、食事をしっかりサポートすることが、親としてできる、一番の手助けだと思います」世界で活躍した選手であり、2児の父の視点を持つ松井さん。その言葉には説得力があります。お子さんのサッカーに対して、「どうすればいいんだろう?」と悩める保護者のみなさんに、とても参考になるアドバイスになったのではないでしょうか。次回の記事では「海外でプレーするために、小学生年代にしておきたいこと」をテーマに、お話をうかがいます。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年07月11日スポ少に入ったのも6年生からで、発達障害と協調性運動障害があって運動が不得意。だから他の子たちに「遅い」と言われたり叩かれる息子。チーム全体にいじめの雰囲気がある。本人は「辞めたら何言われるか」と後ろ向きな理由で続けているけど......。子どもの世界に親が口出すのは憚られるけど、子どもだけで解決できる?というお悩みをいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<努力もしないのに「プロになりたい」なんて気軽に言わないで!自主練もしないのに「上手くなりたい」などと言って欲しくない問題<サッカーママからの相談>私の子どもは6年生で、スポ少に入ったのは3か月前からです。周りは早ければ2年生から入団している子もいて、力の差は歴然です。また、発達障害と協調性運動障害もあり、他の子よりも運動が不得意な面もあって、練習中、我が子の番が来るとテンポが遅くなったりすることが見受けられます。そんな時に下級生から遅いと背中をつめられたり叩かれたり暴力的な態度や、乱暴な言い方で責められるようです。また、休憩中には仲間からバカにされる発言が聞かれたり、お前はチームにいらない人間だとハラスメントともとれる言葉が聞かれています。私はチーム全体に我が子をバカにし、いじめる雰囲気があると感じています。子の話を聞いているととても気分が悪くて辞めさせたい気持ちにかられます。しかし、子は辞める気はないらしく続けると言います。ただ、辞めない理由を聞けば、辞めたら誰に何を言われるか分からないから。と言い、スポ少が好きだからとは言いません。子の世界に親が口を挟むのは良くはないと思うのですが、やはり解決は難しいのでしょうか。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。背中を「つめられる」と書かれていますが、つねられるということでしょうか。暴力はもちろんですが、「おまえはチームにいらない人間だ」と言葉の暴力のほうが息子さんのこころの傷になっていることでしょう。息子さんはもちろんのこと、お母さんもどんなにかお辛いことでしょう。それなのに「子の世界に親が口を挟むのは良くはないと思う」と理解を示しており、頭が下がります。■まずは少年団側に相談しましょう私からは二つほどお伝えします。お母さんには、息子さんだけの問題ではないと考えてもらいたいです。いじめ被害に遭っているのは息子さんですが、いじめのターゲットはコロコロ変わるものです。子どもたちが息子さんに向けて行ったような暴力や暴言が許されてしまえば、再びチームの誰かが同じ目に遭う確率は高くなります。そのように考えて、まずはスポーツ少年団側に相談しましょう。説明の順番としては、最初に息子さんの特性をチームのコーチに伝えましょう。10年、20年前に比べれば、発達障害に対する認識は深まっていますが、多くの人が正確に把握しているとは思えません。そのことを踏まえて、自閉症スペクトラムなのか、それともほかのものか、もしくは何かと何かの混合的な特性があるのであれば、なるべく詳しく説明してあげてください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■ただし言い方には注意、「いじめ」と聞くと態度を硬化する指導者もいる次に、以下の主旨を伝えましょう。「ピッチの上や練習はコーチと選手の世界なので技術指導やコーチングについては全面的に任せたい。しかしながら、今回はチームメイトの暴力や暴言がある。そこに対してコーチにはコミットしてほしい」と。なぜならば小学生でもフェアプレーを実践すべきアスリートであり、サッカーはチームで助け合うスポーツだからです。ただし、この話をする際は「いじめられている」とか「いじめている子どもが」というように、いじめだと断定する言い回しはやめましょう。過去に私が相談を受けたお母さんがコーチ陣に相談した際、彼女が「いじめがあって......」と言った瞬間にコーチたちの顔色が変わったそうです。困惑した彼らは「何がいじめなのかわからない」「いじめの定義は何か?」と言い出し、話が違うほうに飛んでしまったと聞きました。したがって、起きたことをお母さんの言葉で総括せずに、事実を淡々と伝えましょう。そのなかで、息子さんがサッカーを好きだということにふれ、チームで活動を続けるためにサポートをお願いしたい旨を伝えましょう。■みんなが楽しくサッカーできる環境づくりをお願いしたい、と強調しようでは、コーチたちは子どもたちにどう向き合ってもらえるといいのでしょうか。一番良いのは、このことをチーム全体の話にしてもらうことです。コーチたちが「誰が暴力をふるったのか」という犯人捜しを始めたり、暴力暴言を浴びせた子どもと個別に話し合うのではなく、あくまでも全体の問題にしてもらうこと。そうすることで全員がこのことに対し当事者として考えられるはずです。無論、そういったことを含めて指導者に対してお母さんがどこまで意見を述べられるかはわかりませんが、みんなが楽しくサッカーができる環境作りをお願いしたいのだということを強調してください。■息子さんには「あなたは絶対に悪くない」と言ってあげよう次に、息子さんと話をしましょう。まず「あなたは絶対に悪くない」のひとことを最初に言ってあげてください。息子さんは何も悪くないのに、チームを去るのはおかしいこと。いじめている子どもたちが、これをいじめだと理解しなくては次にまた誰かがいじめられること。その子たちは中学生になったときも同じことをするかも知れないこと。それらを伝えたうえで「暴力や暴言をやめてほしい」と自分から言う勇気をもってもらえたらと思います。■状況によっては「逃げる」という選択肢もあることを知っておいて(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)子どものいじめや差別の問題と出逢ったとき、私は、いつでも被害者がやめなくてはいけなくなることに強い違和感を抱きます。実際に、いけないことをしたのは加害者なのに、結果的に被害を受けた側が居場所を失うことが往々にしてあります。状況によっては逃げるという行動が必要なときもあります。そうなったときは他チームでやることを視野に入れられないでしょうか。技術が遅れていたり、他の子どもよりも下手だとサッカーをする環境を奪われる。このことが肯定されてしまえば、息子さんはもちろんほかの子どもの未来にも悪い影響を及ぼします。ここはぜひ闘ってほしいです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年07月10日サッカー用品の専門店として知られる、サッカーショップKAMO。町田駅にある町田モディ店は、各国代表やクラブチームのユニフォームを多数取り揃え、スパイクやボールの品揃えも豊富なお店です。また、FC町田ゼルビアのオフィシャルショップも併設しており、ユニフォームやグッズなどのアイテムが、多数並べられています。サッカーショップKAMO町田モディ店で店長を務める、平松潤也さんがおすすめするのが、練習用ボール「テクダマ」です。「テクダマ」は、サカイクやコーチユナイテッド等を運営する株式会社イースリーと、技術と身体操作を高めるドリブル指導で有名な三木利章コーチが、試作を重ねて制作したトレーニング用のボールで、ジュニアからプロまで、様々なレベルの選手が使用し、技術向上に役立てています。はたして、サッカーショップの店長さんは、テクダマを体験し、どのような効果を感じたのでしょうか?サッカーショップKAMOにて、テクダマを体験しよう!個人練習のレベルアップに繋がるサッカーショップKAMO町田モディ店で店長を務める、平松潤也さんは、小学3年生から大学まで、サッカーをプレーしてきた経験を持っています。そんな平松さんがおすすめするテクダマの特長は、「ボールの当たる面によって、回転が変わったり、不規則にバウンドする」こと。平松さんは「テクダマは4号球と同じ重さながら、大きさは2号球サイズとなっており、ボールが小さいため、練習の難易度を高めることにも繋がります」と、感想を話してくれました。テクダマを手に取った印象について尋ねると、「個人練習のレベルアップに、かなり繋がると思いました」と太鼓判を押します。「テクダマは不規則に動くので、イレギュラーバウンドに対応することで、自然とボールに対する対応力や、予測力を身に付けることができます。例えばプレー中、自然に足が出るようになるなど、判断力の部分にもプラスの効果があるかと思います」さらにテクダマを使うと、練習も楽しくなるとのこと。「テクダマ特有の不規則な動きは、子どもの遊び心を刺激するので、練習自体を楽しむことが出来ますよね」いつもの練習をテクダマに置き換えるテクダマを使った練習方法について、平松さんは「特別なメニューを用意する必要はなく、リフティング・ドリブル・トラップなどの『いつもの練習』をテクダマに置き変えるだけで大丈夫です」とアドバイス。「自主練習で使われるケースが多いですが、『最後までしっかりボールを見ること』をテーマとした、ゴールキーパー練習などに取り入れるチームもあるようです」また、サッカー未経験の保護者やお父さんコーチにも、おすすめとのこと。「特別な指導をしなくても、普段のボールをテクダマに変えるだけで技術の向上に繋がるため、お手本が見せられないサッカー未経験の保護者の方にも好評です」これらのポイントが評価され、テクダマは累計16,000球以上も売れている人気商品です。サッカーショップKAMO町田モディ店で体験!サッカーショップKAMOでは、実際にテクダマを蹴ることが可能です。平松さんは「多くのユーザーに使われているテクダマですが、KAMOの店舗では、実際に触って体験することができます。お気軽にご来店の上、スタッフまでお問い合わせください」と、呼びかけます。ぜひ、サッカー用品の豊富な品揃えで知られるサッカーショップKAMO町田モディ店に足を運び、テクダマを体験してみてください。きっと、驚きの体験ができるはずです。サッカー用品のプロもおすすめするテクダマを使い、楽しみながら、技術の向上を目指しましょう!
2024年07月10日20サッカーにつきもののケガやアクシデント。心臓の突然死は年間7万人とも言われています。日常生活では使うことがないので、「使い方が分からない」という親御さんも多いと思いますが、過去国内外でサッカー選手がピッチ内での突然の心停止により命を失ったこともあり、選手の命を守るために、日本サッカー協会でもAED(自動体外式除細動装置)の設置や保有を促進しています。日本サッカー協会のスポーツ医学委員でJクラブのドクターも務める大塚一寛先生(あげお愛友の里施設長)にAEDの重要性などを伺いました。(取材・文:小林博子)写真は少年サッカーのイメージ親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■AEDはためらわず使って「応急処置としてもう1つ、必ず念頭に入れておいてもらいたいのはAEDのことです」と大塚先生。スポーツの現場ではAEDは「絶対必要」と話します。特にサッカーは運動強度が高く、心臓へのリスクも他の競技より高いスポーツです。サッカーの試合中にAEDが必要になったケースや、AEDによって救命できたケースは数えられないほどたくさんありました。選手が突然、心臓疾患で倒れるのは、肥大型心筋症や不整脈といった持病がある人の発症の他に、心臓震盪(しんぞうしんとう)といって、ボールなどが心臓の位置に強く当たって起こる心停止もあります。■救命措置が1分遅れると救命率が10%下がるもし心停止になって倒れてしまったら、1秒でも早くAEDを使うことが救命率を上げることは多くの保護者も知っているはず。日本サッカー協会のホームページにはこのように記載されています。「心停止になった場合、救命処置が1分遅れるごとに救命率が10%低下すると言われています。ですので、5分以内にAEDによる電気ショックを行うことが目標です。 心停止は健康な人にでも突然起こりえます。」出典:日本サッカー協会■AEDの使いかたは意外と簡単パットを張る場所のイラストがあるので初めてでも迷う心配なしAEDは使い方がわからなくても、ケースから取り出してスイッチを入れればガイダンスが流れて初めて触る人でも正しく使うことができるようになっています。基本動作は以下の通り1.AEDの電源を入れる2.電極パットを取り出す3.右肩と左わき腹にパットを貼る4.ボタンを押して電気ショックを流すふたを開けると自動電源ONになりますし、貼る位置はパットにイラストが描いてあるので迷うことはありません。そして、AEDが適応ではない症状の場合には、当てても作動しない仕様ゆえ、誤作動の心配もないのでご安心を。それよりも命を救うためには、とにかくいち早く、ためらわずに使うべきだと心得ておきましょう。■「呼吸をしているし、ただ倒れているだけ」に見えても要注意心室細動など、AEDを使わないと救命が難しい症状が突然起きた時にAEDを使うべきかの判断を迷わせるのが、呼吸です。「ハッハッ」と浅く細かな呼吸を繰り返していたら「死戦期呼吸」といって、心停止直後の症状の可能性が。「呼吸しているから大丈夫」ではないのだと大塚先生は警鐘を鳴らします。死戦期呼吸が現れたら、むしろAED以外では助かる見込みはないと考えられていますので、呼吸に惑わされず、繰り返しますがためらわずにAEDを使いましょう。■AEDの設置場所を覚えておくことAEDがどこにあるか、きちんと調べておきましょうそんな大切な存在のAEDですが、どこにあるか知っていますか。クラブで保有して練習や試合に携帯しているチームなら普段から身近な存在かもしれませんが、高額なのでクラブで購入するのはためらわれることも多いかもしれません。チームで保有しておらず、グラウンドをレンタルしている場合などは意外と設置場所を知らないことがあります。大会などでは運営本部に必ず置かれていますし、グラウンド付近に常設されている場合は案内が出ていることもあります。練習場所や試合会場では、どこにAEDがあるのかを保護者が試合や練習が始まる際に把握しておくのも一刻を争う事態が発生した時にスピーディーな対応ができるかどうかを大きく左右するもの。いざ応急処置をすることになったときに慌てないように、知識はいれておきたいものですね。大塚一寛(おおつか・かずひろ)医師、あげお友愛の里施設長。1996年からはJクラブのドクターとしてチームとともに帯同を続けている。現在はVプレミアリーグの上尾メディックス(女子)のチームドクターも兼任。そのほか、『日本サッカー協会スポーツ医学委員』を務め、全カテゴリーの選手の健康管理(脳震盪・ヘディング・熱中症・整形外科的外傷など)に携わっている。多数の講演にも出演し、現場のノウハウや選手のケガ、障害予防などの啓発活動も積極的に行っている。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年07月05日先日、サカイクに賛同して活動している大東ジュニアフットボールクラブ(以下、大東JFC/島根県)が、「池上カップ」を開催しました。その前日に、サカイクサッカーノートの開発者であるしつもんメンタルトレーナーの藤代圭一さんをゲストに迎え、サカイクサッカーノートの書き方講座を行いました。講座には、大東JFC以外にも池上カップに参加する出雲南FC、FCドミーニ、赤名FC、四絡FCの選手80名弱が参加しました。それを受けて池上カップ後に書いた内容に変化が現れたのか、チームの代表である横山武志さんと選手たち、藤代さんに聞いてみました。イベント前日のセミナーには大東JFC以外の選手たちも参加総勢80名が受講した【送料無料】フォーマット付きで書きやすいサカイクサッカーノート>>■書いた方が良いのは分かるけど、何を書いていいか分からない今回の書き方講座を行ったきっかけは、昨年FCドミーニが開催した池上カップで横山さんがサカイクスタッフにドミーニの選手がサッカーノートを見てもらっている光景を目にしたことでした。「サッカーノートって、書いた方がいいよとみんな言うけど、書き方とか教えてないし、実際何を書いていいかわかんないわけですよ。だから、今回のイベントに来ていただいて直接子どもたちに話してもらえたらと思って」ということでオファーをして実現したとのこと。「藤代さんのセミナーを受けて、1行でもいいから『なんかこれ昨日教えてもらったな』ってことが書けたらOKなんです。それがノートを書く習慣になったりとか、サッカーノートの一歩目になってくれたら十分」と横山さんは語りました。■子どもたちが本音を出せる環境を大人が作る前日のセミナーで学んだことを実践してきた大東JFCの選手たち今回子どもたちに直接接してサッカーノートの書き方を伝えた藤代さん。「書いている量じゃなくて、頭の中にあることがノートに表現できているかで見るんです。そういった点では、対面の方が対話しながらその子を理解できるという利点を感じますね」と感想を語ってくれました。一人ひとりを知ることで、その子が何を大切にしているかが分かり、プレー中の考えなども理解できるようになります。中には自分の本音を書くのが恥ずかしくて、本当は「プロになりたい」と思っているのに隠す子もいます。藤代さんはそういった子どもたちの心情にも理解を示しながら、「自分の夢を誰かからそんなの無理なんて言われる筋合いはないし、何も恥ずかしがる必要もない」と言い、子どもたちが本音を出せる環境を周りの大人が作らなければならない、と語りました。■実際受けてみた子どもたちの反応3人とも書き続けたら成長しそうだと語ってくれました実際今回のセミナーを受けた子どもたちに話を聞いてみました。せなくん(4年生)「試合でどんなことがあったかノートで思い出せるから、次はこうしよう、って考えられる。サカイクサッカーノートを書き続けたら判断力のレベルが上がりそう」そうしくん(4年生)「今日の試合では周りを見てパスをすることが目標だったけど、自分だけでドリブルしちゃうことも多かった。サカイクサッカーノートは出来てないことを振り返って練習できるから、書いていればもっと上手くなると思う」ことさん(4年生)「セミナー参加して書くといいことがあるって思った。サッカーノートを書くときは、自分が『良いところ』だと思うところに丸をつけたり、分かりやすく書くようにしています。そうすると後で振り返りやすいから」藤代さんのセミナーを聞いてみて、それぞれが手ごたえを感じたようです。■練習で接していても見えない選手の考えが分かるようになった日々の練習で接していても、1人ひとりの考えを全て把握するのは困難なもの。大東JFCの横山さんも「実際こちらが思ってたのと違うことを書いてくることって結構あるんです。あ、こんなこと思ってたんだ、とか。それに気づけるだけでもノートを使っててよかったと感じる部分です」と言います。口頭のやり取りだけでは伝わらない考えや気持ちが分かることで、練習のアプローチも変わります。■まずは楽しく続ける!学年が上がったら徐々に具体的なアドバイスを書いたノートを見てもらいアドバイスを受ける四絡FCの選手たちサッカーノートを書くにあたって一番重要なのは「楽しく続けること」と藤代さんは断言します。サカイクサッカーノートでは楽しく目標を立てて、楽しく振り返ることを提供しているので、楽しみながら続けて、高学年になったらより具体的にアドバイスをするのが良いそうです。フィードバックの内容も、「うまくなるために努力しよう」などの抽象的な表現ではなく、どんなこと努力しようかとか、どれくらいやろうかとか、いつやろうか、といった形でより具体的にイメージできるように質問形式で選手に伴走することが大事だと語ってくれました。サカイクサッカーノートには質問が設定されているので、それに沿って書ける内容になっています。ですので、これまでサッカーノートに何を書けばいいか分からなかった子どももスムーズに書けるようになります。ノートに書くために練習や試合で何があったかを記憶する癖もつくので、振り返りの習慣もつきます。楽しみながらサッカーが上手くなるサカイクサッカーノート、みなさんのお子さんにもどうですか?チームでの導入もおすすめです。【送料無料】フォーマット付きで書きやすいサカイクサッカーノート>>
2024年07月04日梅雨の洗濯物がにおう問題を解決すべく、洗濯王子として活躍する洗濯家の中村祐一さんにお話をうかがったところ、「部屋干しのにおい対策は干し方ではなく洗い方」と、予想を覆す事実が。梅雨の時期はにおいもですが、「なかなか乾かない」ことも悩みの種。前日の帰宅後すぐに洗濯したのに朝になっても乾いてない、今日も練習なのに......ということも多々あります。そこで今回は、中村さんの部屋干し方法を教えてもらいながら、よく聞く「部屋干しトリビア」について、そして洗濯にまつわる噂にもお答えいただきました。(取材・文:小林博子)写真はサッカー少年のイメージ<<前編:部屋干しのにおい対策は「干し方」ではなく「洗い方」!洗濯王子に聞いた、におわない洗濯のコツ親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■知りたい「部屋干しのコツ」「洗濯で汚れがしっかり落とせていれば、梅雨時の部屋干しでも洗濯物がにおってくることはない」と、正しい洗濯方法をおしえてもらった前回。筆者も取材翌日から「3つの量を守って3回すすぐ」こと(詳しくは前回の記事へ)を実践し、かなりの効果を実感しています。大前提として、汚れが落ちていれば乾きにくくてもにおってはこないことは理解しつつ、せっかく綺麗に洗えるようになったのだったら、より効果的な干し方もあるようであれば知りたい、そんな思いで部屋干しのコツも教えてもらいました。■部屋干しのコツは、早く乾かす条件を最低1つ満たすこと洗濯物が早く乾くには、・温度:高い方が乾きやすい・湿度:低い方が乾きやすい・空気の流れ:ある方が乾きやすいという3つの条件があり、そのうち最低1つは満たすことが「早く乾くコツ」になる、と中村さん。どんな場所に干すかよりもどうやって干すかが大切だと教えてくれました。・家の中で室温が高いところ(日が当たる部屋など)・換気扇が近くにあり、つけっぱなしにできるところ(ただし料理の油煙がつきやすいキッチンはNG)・人の往来があって風の流れがあるところ・除湿機の近く・扇風機やサーキュレーターの近くなどが該当します。「人が快適に過ごせるところが洗濯物が乾きやすい場所の目安。昼間の南向きのリビングルームや、エアコンが効いて温度や湿度が適切に保たれた部屋などがおすすめです」(中村さん)とはいえ、雨でじめじめした日に洗濯物がたくさん干された部屋ですごすのがやや不快という声も。そんなときは、洗濯物を干す部屋にエアコンで除湿したり、サーキュレーターで風を当てたりして、早く乾かす条件を備えましょう。■洗濯王子が「常に部屋干し」の理由写真は部屋干しのイメージスポーツをするお子さんがいるご家庭のパパでもあり、洗濯のプロである中村さんは、実は家庭の洗濯物は常に部屋干ししているという衝撃の事実が。「洗濯物は外干しがベスト」と思っている親御さんたちも多いのではないのでしょうか。なぜ中村さんが常に部屋干しなのか理由を伺いました。「部屋干し自体が悪いことではないからです。お伝えしたように、しっかり洗濯でしっかり汚れを落とせていればどこに干しても大丈夫です。部屋干しする環境をある程度整えることはもちろん必要ですが、"いつ干してもいい"ということが、洗濯ストレスを大きく減らしてくれています。外干しだと干すタイミングに制限が生まれますし、排気ガスや土ぼこりなどの汚れがついたり、直射日光による衣類の染色へのダメージなども。常に部屋干しすると決めてしまうと、洗濯がとても楽になりますよ」そんな中村さんがおすすめするのは、家の中に「部屋干しスポット」を設けてしまうこと。場所は前述した環境下のほうがいいのですが、家事動線がラクで干しやすいところを優先してもOKなのだそう。例えば洗濯機の横にホームセンターで購入した突っ張り棒をつけて干すスペースにし、サーキュレーターや除湿機を下に置いておくなど。可能であればぜひ作ってみてはいかがでしょうか。■本当?早く乾かす裏ワザ5選の真偽のほどは?この時季になると各メディアでよく見かける梅雨の部屋干し対策のあれこれ。「本当に?」と思ってしまう裏技も多々あります。そこで、部屋干しでも、洗濯物を早く乾かす裏ワザについて、 中村さんに本当かどうかを伺ってみました。1.脱水の時に乾いたタオルを入れる2.干す位置を工夫する3.洗濯物の上下に新聞紙を置く4.洗濯物を裏返して干す5.アーチ干しする出典:部屋干しでも、洗濯物を早く乾かす裏ワザ5選(ウェザーニュース) よりその①脱水の時に乾いたタオルを入れる→脱水時に乾いたタオルを入れることで、タオルが水分を吸って洗濯物が乾きやすくなる中村さん「せっかく乾いていたタオルが湿ってしまうことを引き換えにするほどの時短にはならないので、あえて入れる意味はないと思います」その②干す位置を工夫する→湿度は低い位置に集まる性質があるため、なるべく高い位置に干す→窓際より、空気の流れがある部屋の中央に干す中村さん「これは"YES"です。早く乾く条件にも当てはまります」その③洗濯物の上下に新聞紙を置く→除湿効果がある新聞紙を、洗濯物を干した部屋の床に置いたり、洗濯物の間に挟んだりする中村さん「あまり意味はなく、片付ける一手間も増えてしまいおすすめとは言えません。何より、新聞紙があるご家庭は今は少数派では?」その④洗濯物を裏返して干す→縫い目やポケットが外側になるように裏返して干す中村さん「これはいいと思います。空気に触れる面積を増やせば早く乾きます」その⑤アーチ干しする→長いものを両端に、短いものを真ん中にし、アーチ形に干す中村さん「これも空気が通りやすくなるので正解です。早く乾く工夫の1つですね。ただ、必ずそうしなくてはいけないわけではないです。」■サッカー少年少女の父母からの疑問に回答写真はイメージ目からウロコが何枚も落ちるほどの洗濯ノウハウを教えてくれた中村さんに、サッカー少年少女の保護者が気になる質問をぶつけてみました。Q1:洗濯物がどうしてもにおう場合に使うといいものは?中村さん「いきなり漂白剤や抗菌剤などをつかうのではなく、まずは3つの量と、3回のすすぎの徹底を。それだけで解決することは多いです。一回洗って落ちなければ、2度3度洗って蓄積した汚れをしっかり落としてみましょう。それでも臭った時に初めて、漂白剤や抗菌剤の使用を検討しましょう」Q2:泥汚れをきれいに落とすには?中村さん「3つの量をしっかり意識して洗うだけでかなり落ちるはずです。泥汚れなどは物理的に揉まれたり、叩かれたりした時に落ちやすいので、洗濯機の中でしっかり回転しこすられたり、叩きつけられたりといった動きがでるように、衣類や水の量を調整してください」Q3:洗う時間の目安は?中村さん「最低10分は必要ですが、20分以上は汚れが戻ってくる可能性があって逆効果。長ければいいわけではありません。サッカー少年少女の親が最も気になるであろうソックスで【洗い】の時間を15分前後を目安にしてください」Q4:洗剤の酵素は水につけてから30分後から働くと聞いたことがあるのですが中村さん「酵素が働くには温度、水分、時間が必要です。そのため、洗剤を溶かした40度程度のお湯に30分~2時間ほど浸けおきするというのが酵素入り洗剤の使い方として一般的です。ただし、この家庭用の洗剤の場合、酵素の力よりもお湯の力で今まで落ちていなかった汚れが落ちているということも多いです。酵素を使うことを考えるよりも基本の3つの量とすすぎを見直すほうが先です」Q5:40度のお湯に浸けおきして洗ってもにおいます中村さん「どのタイミングでにおっているのか?を確認してみましょう。使う前や使った直後ににおう場合、まずは基本の洗濯の見直しを。一度で落ちなければ2度3度繰り返して蓄積した汚れを落とします。もし、着ているときまではにおわずに着て少し経ってにおうのならそれは着用によるニオイなので、着替えをすることや、抗菌剤を活用してにおいにくくするなどの対策になります」Q6:夜洗ったら、部屋干しと夜の外干しのどちらかが正解ですか?中村さん「夜は意外と外の湿度が高いので、温度湿度が快適に保たれた室内なら部屋干しのほうが早く乾きます」Q7:汚れた衣類は早く洗った方がいい?雨の日の濡れたユニフォームなどは翌朝まで洗濯を待たない方がいいのではと思ってしまいます中村さん「早く洗わなくて大丈夫!早く洗うよりも、洗う時にきちんと基本の洗濯をすることが大事。翌朝ぐらいだったら汚れ落ちやにおいに大きな違いは生じません。ただし濡れた衣類をそのまま置いておくとカビの発生が心配。洗う前に通気性のいい場所に干しておくなどはしておいたほうがいいでしょう」Q8:乾かなかった衣類を超特急で干すにはどうしたらいい?中村さん「時間があるなら扇風機の風をあててみてください。全く時間がないならドライヤーの温風や、アイロンに頼ってください」■汚れをしっかり落とせれば、洗濯にまつわる悩みは全部解消さまざまな洗濯の基礎知識や裏技を伺いましたが、結局は「洗濯で汚れをしっかり落とす」がどんな問題も解決する基本中の基本なのです。まずは「3つの量を守って3回すすぐ」そこを見直すことから。基本をおさえてきちんと洗濯で汚れが落とせれば、梅雨シーズンはもちろん、これからの洗濯ライフは確実に快適になりそうです。毎日の家事が楽になると、気持ちもぐっと明るくなりますね。面倒だったサッカーの練習着やソックスの洗濯も楽になって、親の負担も軽くなります。ぜひみなさんも次回の洗濯から実践してください。中村祐一(なかむらゆういち)洗濯家。長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。「洗濯から、セカイを変える」という信念のもと、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開いてきたパイオニア。「衣・食・住」における「衣文化」の革新に取り組む。洗濯という側面から、よりよい暮らし方、よりよい社会への変革を目指す。「洗濯王子」の愛称で、テレビ・雑誌など各種メディアにも多数出演。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年07月02日天気予報などで、「真夏日」というワードが聞こえてくるようになり、熱中症が心配になる日々はすぐそこまできています。今年も正しい対策で適切なサポートをしてあげたいですね。医療情報は年々アップデートされるもの。そこで、日本サッカー協会のスポーツ医学委員でJクラブのドクターも務める大塚一寛先生(あげお愛友の里施設長)に最新の熱中症対策について伺いました。(取材・文:小林博子)写真は少年サッカーのイメージ親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■熱中症が怖いのは真夏ではなく春〜初夏まず知っておきたいのは、熱中症の心配をするのは、猛暑日と言われる本当に暑い日だけではないということ。ご存知の方も多いかと思いますが、暑さが本格化しない春から初夏にかけてこそ、熱中症リスクがぐっとあがる時季だということを今から心得ておきましょう。というのも、猛暑や酷暑の日が続くと体が暑さに慣れ(「暑熱順化」と言います)汗をかきやすくなり熱中症になりにくい体になれるのですが、暑熱順化できていないこの時期こそ危険なのです。■暑熱順化できてないのに寒暖差が大きい春から夏が危険気温や気圧など、環境の変化に体が対応できるには5日かかると言われています。南アフリカでW杯があったときも、日本代表の選手やスタッフは試合の5日前には現地入りしていたといいます。本来であれば春〜夏にかけて徐々に気温が高くなっていき、自然に暑熱順化ができるものですが、最近の異常気象や温暖化により、突然昨日より10度も気温が高い日もめずらしいことではありません。春や初夏のそういった日は、体が暑熱順化できていないので熱中症対策をしっかりして欲しいところです。関連リンク【梅雨時期も要注意】気温30度以下でもなる熱中症-知って防ぐ熱中症の正しい知識-■「手の平を冷やす」は有効!ぜひ行って写真は氷で手を冷やすイメージこの1~2年、サカイクの取材でも、試合のハーフタイムや試合後に氷や保冷剤を握っている子どもたちを目にする機会が増えました。最近の少年サッカーの現場で「手の平を冷やす」ことを熱中症対策として行われているようです。それが本当に有効かを大塚先生に伺ったところ「正解」とのこと。「毛細血管の多い手の平や、足の裏を冷やすことが熱中症予防につながるのは医学的にエビデンスがあります。ぜひ行ってください」と太鼓判を押していただきました。手足よりさらに効果が高いのは頸動脈のある首元やそけい部を冷やすことなのですが、冷たいものを当てるのは不快という人は多いものです。大塚先生も「プロでもそけい部を嫌がる選手がいる」と言うほどなので、子どもたちはなおさら嫌がるでしょう。「ハーフタイムに靴下を脱ぐのは面倒ですし、手の平を冷やすだけでも十分です。冷たくて気持ちいいから習慣化できる、という方法が最適だと思います」と、大塚先生。冷えた血液が全身を回ることで体温を効率的に下げることができるというのがこの方法のメカニズムです。手にも動脈は多数あり、手のひらを冷やすだけで深部温熱が2度下がるというデータもあるほどだそう。ちなみに、野球のピッチャーは手のひらを冷やすことで肩や肘の障害率が下がるというデータもあるのだとか。ケガ予防の観点からも習慣化したいものです。首元を冷やすネッククーラーなども最近は低価格で手に入りますので、ぜひ併用してください。■「頭から水を被る」は気温次第で推奨暑い日の練習や試合の合間に氷を張ったバケツに入った水を頭から被る選手も見受けますが、こちらも熱中症対策に有効だと大塚先生は言います。頭皮を冷やすことで放熱し、体の中にこもった体温を下げる効果があります。ただしこの方法には注意点が1つあると大塚先生は注意点を教えてくれました。それは気温が36度5分前後の一般的平熱以下の場合にのみ行ってよいということです。それ以下の場合、発汗しないので放熱できず逆効果になりかねないのだそう。ただし、サッカーをしていたら体温は上がっているので、大体の場合は有効と考えていいでしょう。■「これをすればOK」という安心感はコンディションにもプレーにも良い影響を与えてくれる最後に大塚先生が話してくれたのは「これをすればOKと子どもが思っていることは否定せず、やらせてあげて欲しい」ということでした。熱中症対策に限らずすべてのプレーに通ずる考え方のようです。「例えば敬虔なクリスチャンが試合前にロッカールームでお祈りをすると、セロトニンの量が3〜4割増えた状態でプレーできるというデータがあります。セロトニンは精神安定や痛みを感じにくくするホルモンなので、つまりお祈りをしないよりもしたほうが精神的に落ち着いてプレーができ、身体の痛みも感じなくなるわけです。3〜4割ってすごいですよね」本人にとって必要なことであれば、それは"げんかつぎ"や"おまじない"以上の効果をもたらします。「意味ない、化学的にエビデンスがない」と否定したくなる人もいるかもしれませんが、セロトニンの分泌量の変化は、れっきとしたエビデンスです。試合前に「勝ち飯」を食べること、巻くとプレーがうまくいくというテーピング、お守りのミサンガ、そして「ハーフタイムに氷を握れば熱中症にならない」と思うこと。そういったものを否定せず、ぜひ安心してプレーをさせてあげましょう。■「WBGT」指標や熱中症発症時の処置は変化なし。今まで通りの対応を対策を十分に施しても必ず避けられるわけではない熱中症。なってしまった際の応急処置や対処法は、例年お伝えしている基本を行うことが大事です。本格的な熱中症シーズンが目前に迫る今、サカイクの過去記事にもう一度目を通しておさらいをしておきましょう。大塚一寛(おおつか・かずひろ)医師、あげお友愛の里施設長。1996年からはJクラブのドクターとしてチームとともに帯同を続けている。現在はVプレミアリーグの上尾メディックス(女子)のチームドクターも兼任。そのほか、『日本サッカー協会スポーツ医学委員』を務め、全カテゴリーの選手の健康管理(脳震盪・ヘディング・熱中症・整形外科的外傷など)に携わっている。多数の講演にも出演し、現場のノウハウや選手のケガ、障害予防などの啓発活動も積極的に行っている。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年06月28日まじめで一生懸命、チームでの評価も悪くない息子だが、気分屋なので家で自主練しない。練習に行く回数も増やそうとしないし、声をかけなきゃYouTubeばかり見てる。上手くなるには向上心と自主性が大事であり、継続して練習を行うことが一番の方法だと思っている自分としては、自主練もしないし向上心もないなら気軽に「上手くなりたい」なんて言って欲しくない。とイライラしている。どうしたらいい?というお悩み。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、お母さんに3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<我慢の先に何がある?コーチが怒鳴るチームをやめさせたいのにサッカー経験者の夫が反対するので悩みます問題<サッカーママからの相談>子どもの事なので感情的に書いてしまい、長くなってしまうかもしれませんがご相談させてください。小学2年生の息子は現在週一のチームの練習と、週一のスクールに通っています。どちらもそれなりな評価はもらえているようで、特にスクールの方では本人も「自分は上手い方だ」と自信を持っているようです。チームの方でも試合に出ればある程度点を取っています。サッカーアニメを見たり、Jリーグの試合を見に行ったり、公園に行ったらサッカーしたりと、サッカー自体はとても好きです。本題ですが、今回ご相談させていただきたいのは「向上心」「自主性」「継続性」についてです。息子はどちらかというと真面目な性格で、チーム練習やスクールの時間はしっかり練習に参加しています。しかし、ドリブルの技術はまだまだですし、特にリフティングが苦手なようでスクールで毎月あるリフティングのテストで中々合格できないでいます。チームやスクールではそれなりな評価はもらえているものの、息子より上手い子は普通にいます。本人も「上手くなりたい」「プロサッカー選手になる」と言っており、時々自宅でリフティングしていることもありますが、気分屋な性格のようで、やったりやらなかったりなので、結局上達していません。私が声かけして練習することもありますが、結局長くは続きません。恐らく、現状の出来に満足していて、練習の必要性を感じていないのかなとも見えます。チーム練習は共働きで送迎の時間が取れず週一回の参加になっていますが、最近チームでバスでの送迎をしてくれるようになったので、「参加したら?」と声かけをしましたが、「帰りが遅くなる」「練習をするメンバーが違う」と言って参加しようとしません(実際はそんなに違いません)。何でもそうですが、やはり上手くなるには「上手くなりたい」という「向上心」と、自ら動く「自主性」が大事だと思います。特にリフティングは練習あるのみだと私は考えており、短い時間でも日々練習を「継続して」行うことが、一番の方法だと思っています。私自身サッカー経験は無いですが、SNS等で自分なりに勉強し、時々息子と一緒に練習動画を見る等してアドバイスしたり、自主練するという意欲を持ってもらえるように努めているつもりです。「向上心」「自主性」「継続性」どれも本人次第だと思いますので、極力私は口出しはしたくないのですが、一週間程何も言わないと結局何もせず、YouTubeばかり見ていて、最近イライラしてしまいます。私は、息子がサッカーよりも優先したいことがあるなら本人の価値観なのでそれでもいいと思っているのですが、それなら上手くなりたいなどと言って欲しくもないと思ってしまいます。より上手くなろうと向上心を持てないなら、プロになるなどと気軽に言って欲しくもないです。息子の周りには、上手くなろうと自ら考え、行動している子はたくさんいて、羨ましいと最近思い始めました。子どもの「向上心」「自主性」「継続性」を育むために、親としてどう行動すべきだとお考えになりますか。意見を伺いたいです。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。メールの文章だけでの判断なので、理解が届かない部分があるかもしれませんがどうぞご理解ください。結論から申し上げますと、息子さんがしたいようにやらせてあげてください。その理由を二つほどお伝えします。■息子さんの判断が正解委縮させる指導者の下にはいない方が良いまず1つめ。息子さんの姿がとても具体的に描かれ、お母さんの本音も素直に伺える文章でした。素直で一所懸命な方なのだと推察します。そんなお母さんに3つほどアドバイスさせてください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■8歳の子に対し、大人の部下を相手にしているかのような発言が目立つお母さんはご自分のもつ「子ども観」を一度学び直さなくてはいけないようです。ご勤務先では管理職をされているのでしょうか。目の前にいるわずか8歳の息子さんを、ご自分の部下のように考えておられる印象を持ちました。なぜならば、まるで大人を相手にしているような発言が目立つからです。「上手くなりたいなどと言って欲しくもない」「より上手くなろうと向上心を持てないなら、プロになるなどと気軽に言って欲しくもない」息子が上手くなりたい、プロになりたいと言うので期待していたのに。息子から裏切られた――そんな感情ではありませんか。それは例えば、期待を寄せていた会社の部下が残業せずに仕事を放り出して帰ってしまい、そのことを怒っている上司と似ています。大人は自分の発言や行動に責任を持たなくてはなりませんね。しかしながら大人でもそれができない人はたくさんいます。私も締め切りを守りますと宣言しながら、時々破っています。編集者には申し訳なく思っています。大人でさえ、有言実行は難しいのです。だからこそ「有言実行」というキラキラまぶしい言葉があるわけです。■相手は8歳の子ども大人用の物差しでジャッジしないこと先日、ある場所で遅刻の話になりました。するとある人が「私は生まれてこの方遅刻をしたことがない」と若干誇らしげに言いました。時間を守ることを親から厳しく言われて育ったそうです。それは素晴らしい教育ですねと伝えましたが、常に親に急かされて動く様子が目に浮かび少しだけ気の毒になりました。私は遅刻したことはありますが、ここぞという場面では用意周到に準備をします(原稿の締め切りは編集者が待ってくれるという甘えがあります)。大人ですから、主体的になればしっかりと動くものです。そう考えると、小学2年生の息子さんは大人ではありません。まだ成長過程にいます。もっと「相手は子どもだ」という前提で考えましょう。お母さんという立派な大人の物差しには合わないかもしれないけれど、物差し自体が大人用なのです。■練習に関しての意見は正論だが、子どもにはそれぞれの成長スピードがある「リフティングは練習あるのみだと私は考えており、短い時間でも日々練習を『継続して』行うことが、一番の方法だと思っています」という意見は正論でしょう。が、子育てと一番相性が悪いのが「正論」です。子どもそれぞれに性格があり、成長の早い遅いもあります。早熟な子どもなら、お母さんが見ているときにわざとリフティングの練習をして喜ばせるのでしょうが、息子さんは8歳なりの成長をしているようです。■子どもに難題を強いて上手くできない姿にイライラしているようなもの8歳ならムラがあって当然つまり、子どもに大人の靴を履いて早く歩けと急かしても歩けない。それなのに、お母さんは息子さんがうまく歩けない姿を見てイライラしているようです。大人用の物差しを手に、息子さんをジャッジしてしまうからではないでしょうか。なぜなら、ご相談文には「チームやスクールではそれなりな評価はもらえているものの、息子より上手い子は普通にいます」とか「気分屋な性格のようで、やったりやらなかったりなので、結局上達していません」などと、わが子をお母さんの主観でジャッジする表現が多く見受けられます。まずは、この物差しを捨てましょう。ありのままを受け止めること。「まだ8歳だからね。気分にはムラがあって当然だよね」と子どもの姿を受け止めましょう。■「本人の価値観だから」と言いつつ「それなら上手くなりたいと言って欲しくない」など相反する発言はやめよう2つめは、「ダブルバインド」(二重拘束)をやめること。ダブルバインドとは、二つの相反する価値観を同時に子どもに発信してしまう状態を指します。皆さん、子どもには自由な環境でのびのび育てたいと言います。よって「自分の好きなことを好きなようにやってごらん」と伝えますが、子どもが水泳教室をやめると言い出すと急に「中学、高校とスポーツを続けていく上で大事な土台になるからやめないで」と説得したりします。そうなると子どもは「え?お母さん、どっちなの?」と迷います。戸惑うだけでなく、一貫性のない意見を言う親に対し、子どものなかに不信感が生まれます。親は子育ての軸を変えてはいけません。お母さんのご相談文を振り返りましょう。「極力私は口出しはしたくないのですが、一週間程何も言わないと結局何もせず、YouTubeばかり見ていて、最近イライラしてしまいます」「本人の価値観なのでそれでもいいと思っているのですが、それなら上手くなりたいなどと言って欲しくもない」口出ししたくない。本人の価値観でいい。でも......と相反する価値観は、大人同士であれば「頭ではわかってるんだけどねえ」と慰め合えます。しかし、子どもは、大人の言葉を額面通り受け取る素直な生き物です。スポーツの指導現場で暴言を浴びせて子どもを自死に追い込んだ事件をいくつも取材しましたが、大人たちはそこを理解していなかったと考えられます。■「向上心」「自主性」「継続性」を育むには、自己肯定感が土台になる(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)3つめ。息子さんのサッカーと距離を置きましょう。相談文に「息子の周りには、上手くなろうと自ら考え、行動している子はたくさんいて、羨ましいと最近思い始めました」とあるように、ほかの子と比べ始めています。この本音はすでに息子さんに知られているはずです。バスが出ているので練習を増やしたらというお母さんに息子さんが抗っているのが救いです。お母さんは息子さんが自分の意見を言える親なのです。その事実を大事に抱えて、しばらく息子さんのサッカーから離れましょう。「向上心」「自主性」「継続性」を育むには、自己肯定感が土台になります。自己肯定感を育みたいのに、大人の物差しやダブルバインドに触れてしまうと「僕は僕のままでいいんだ」という自尊心が揺らぎます。お母さんがもっと勉強して、息子さんの自尊心を包める存在になるまで離れましょう。離れることも、子育ての重要な要素です。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキルビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。
2024年06月26日試合の後半に失点が増えるチーム。体力の問題なのか、集中力の問題なのか。守備のトレーニングとうばってからのポジティブトランジションを成功させる方法を教えて、とのご質問をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんが、海外の例やおすすめのメニューを交えてアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<小さくて線が細いU-10年代に浮き球のシュートを教えたい、ボールを浮かせるコツをどう教えればいい?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。学校の部活で顧問をしています。中学生はサカイクの年齢対象外(※恐らく「ヤンサカ」が対象になりますよね)だと思いますが、サッカー経験が浅いのに顧問をやっているため、指導について自信がなく、池上さんにアドバイスをいただきたく投稿しました。チームの課題は、後半から失点が多くなることです。前半は相手と対等に戦えるのですが、体力の問題なのか集中力の問題なのか、後半に入ると1人の選手に3人くらい交わされてゴールを決められてしまうことが多いのです。守備のトレーニングと、奪ってからのポジティブトランジションを上手くいかせるためにはどうしたらいいのでしょうか?中学生なので、練習法でなく座学など知識の部分でも良いのでアドバイスをお願いします。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。サッカー経験が浅く指導に自信がないそうですが、ポジティブトランジション(守備から攻撃の切り替え。攻撃から守備への切り替えはネガティブトランディション)と書かれているところをみると、ご自分で勉強されているようです。ご相談いただいた件について3つほどお話ししましょう。■「疲れていても判断をしなくてはいけない」対人練習で体力と集中力を高めるいつも後半失点してしまうとのことですが、体力が足らないのか、集中力の問題なのか。互いに関係し合う要素ではあります。そこをどう見極めるか。仮に体力だとしたら、むやみに走り込むのではなく、対人プレーの練習メニューをとりいれてください。例えば2対1や3対1をやってみましょう。守備がひとりなので守る側は非常にハードです。スタミナが切れてくると集中して動けなくなってきます。そういった練習をやってください。単なる走り込みはさせないでください。疲れていても、判断をしなくてはいけない状況に追い込むことで成長できるはずです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「体を当てに行け」より「ボールを奪おう」という指示に変えて守備のやり方改善2つ目は、守り方です。体を当てろとか、押さえろという指導者は多いようですが、違う言い方をしてください。それよりも「ちゃんと足を出しなさい」「ボールを取りに行きなさい」と伝えてください。体を当てに行ったり体を押さえにいくと、相手にドリブルですり抜けられることのほうが多いようです。例えば、ジダン(元フランス代表)がやったことで有名になったマルセイユルーレットというターンがあります。あのスキルは、相手とぶつかりそうなときにターンします。したがって、ディフェンス側はぶつかれなくなります。当然ながら先に体を入れてしまえばターンされないわけですが、ちょっとでも遅れてしまうとすり抜けられてしまう。そうすると追いつけません。であれば、体を投げ出すのではなく、ボールを触りなさいと言ってあげたほうがいいというわけです。フランスやドイツなど欧州の国々では、育成の段階で「足を出そう」「ボールを奪いに行こう」と伝えています。一対一で厳しく相手に当たることを「デュエル」と表現したりします。この厳しくいくイメージの持ち方や守備については、この連載でも何度かお伝えしています。すでに180回近く続いているので関連記事がたくさんあります。検索機能を使って調べてみてください。■ポジティブトランジションが上手くいかない原因は、ボールがない時の「判断力」かも3つめ。ご相談文にポジティブトランジションがうまくいかないと書かれています。それを考えると、周りをしっかり見て、早く判断してパスが出せる能力が必要なのかもしれません。それはボールを持っている選手だけの問題ではなく、サポートする選手たちの判断力が重要です。自分たちがボールを持っているときに素早く動かないといけません。そのためには、3対2の練習をおすすめします。守備が2人いるわけなので、3人が全員で動かないとパスが回りません。3対1だとパスコースが必ず2本できるので、そんなに動かなくても済むのですが、3対2になるとそうはいきません。パスコースが1本になる可能性もあります。その1本のパスコースでボールを受けられるところに動いてあげる必要があります。他には、4対4にターゲットマン2人(ゴールマン)を加えたミニゲームがあります。ターゲットマンにボール渡ると1点。得点したら、攻撃の方向が変わります。攻撃してきたチームはそのまま反対側のターゲットマンを目指して攻めるのです。ターゲットにボールが入った瞬間に切り替えをしなくてはいけません。もちろん途中で相手側がボールを奪ったら逆側に攻めます。ただ得点したら逆に攻める。そうするとトランジションが継続され、連続性が出てきます。集中力や体力が自然に養われます。この「4対4プラス2」をぜひやってみてください。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■守備を鍛えることも大事だが、「失点したら取り返せばいい」という考えはもっと大事(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)先日、私が指導しているチームは、15分の練習ゲームを3本行いました。全部で30失点しました。お父さんやお母さんたちを前に、私が子どもたちに「今日の振り返りをどうぞ」と促すと、子どもたちは「相手のボールがとれた」とか「ボールがつながる場面があった」と話してくれました。つまり、こういうところがよかったというポジティブな印象を語るのです。子どものミーティングのあとで親御さんたちに「30点とられても、子どもの感覚はこのような(ポジティブな)ものですよ」と説明しました。そして「それ(失点)を、25、20、10と減らしていくのは私の力です」と話しました。失点が多いから守備を鍛えることは大事ですが「失点したら取り返せばいい」という考え方はもっと重要です。それを植え付けるためにも、大人である指導者のほうが失点に対して精神的にタフになってほしいと思います。私の印象では、失点した子どもたち以上に、指導者や応援している保護者のほうが落胆しているように見えます。そのこともぜひ考えてみてください。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年06月22日サッカーで最も避けたいのはケガですが、時にはどうしても抗えないもの。子どもがもしも復帰に時間がかかるケガをしてしまったら、親としてしてあげられること、してはいけないことはどんなことがあるのでしょうか。日本サッカー協会のスポーツ医学委員でJクラブのドクターとしても長年選手のケガを見てきた大塚一寛先生(あげお愛友の里施設長)は「今、日本代表で活躍している選手のうち、あのケガがなかったら世界で活躍はできていなかっただろうという子が何人もいる」と話します。しないに越したことはないものの、ピンチをチャンスに変えるきっかけにもなりうるのがケガだと言います。気になるその理由について詳しくお話を伺いました。(取材・文:小林博子)写真は少年サッカーのイメージ親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>■ケガからの復帰の目安は?全治数週間など、ある程度の離脱を経た後の復帰時期の判断は難しいもの。プロ選手の場合は、専門の機械を使って大腿四頭筋の筋肉を調べ、解析数値が9割戻っていたら完全復帰の目安にしているそうです。小中学生の場合はそこまで専門的に調べることはほとんどないので、医師と相談の上、無理のない範囲からの復帰が基本に。調べる方法としては、例えば膝や足首のケガの場合は、片足ずつスクワットをして筋力とバランスの左右差がほとんどない事を確認できることを目安にすることなどがあります。なお、小学6年生や中学3年生などで、最後の大会が近いときなどは、多少無理をしてでもピッチに立ちたい、立たせてあげたいと思うもの。そんなとき、医師が選手の体を診て復帰OKと言えなくても、そこは相談......となることも多々あるのだとか。「"愚行の権利"というものがあり、医学的にダメなことでもそれを覆して当事者が決めることは権利として守られています。将来のことを考えると無理をさせたくはありませんが、親御さんと選手の気持ちを優先して相談にのることもあります」とのこと。難しい判断になりますが、自己責任の範囲内で復帰を早めるケースもあるようです。■ケガを糧に、より強く上手くなることだってできるサッカーでのケガでは、相手との接触で起こるものが占める割合はたったの3割。残り7割は非接触時に発生しています(関連記事:「実は5月6月の方がケガが多い」)。非接触時のケガは自分の弱い部分に負荷がかかってしまった時に起こるのが特徴。つまりウイークポイントをケガします。ケガにより体のウイークポイントを発見でき、その部位をリハビリで徹底的に鍛えることで、バランスを整えてより強靭な体にすることだってできるそう。大塚先生がケガからの復帰をサポートした選手の中には、現在日本代表や海外チームで世界を相手に大活躍している人が多数います。「あのときのケガがなかったら、あの選手は代表に選ばれたり、海外チームで活躍できるほどの今なかったかもしれない」と思える選手が何人もいると言います。ケガを糧により良い未来を実現することだってできると思うと、まさに「ケガの巧妙」。起こってしまったアクシデントを未来に繋げるための「今」にできることはどんなことなのでしょうか。■ウイークポイントをストロングポイントに変えられる選手とそうでない選手の違い大塚先生によると、ケガを糧によりパワーアップした選手に共通しているのは「常に質問をして、自分の体にしっかり向き合ってリハビリをアレンジできる」ことだそう。逆に、ケガからの復帰が予定より遅れたり、ケガをきっかけにパフォーマンスが落ちるのは「1日3セットやればいい」など、医師やトレーナーに言われたことを、自分なりに消化せず(創意工夫なく)そのまま実践してしまう選手だそうです。リハビリは自分の体の様子やコンディションに合わせて主体的にアレンジすることがその後を大きく左右します。「天気や湿度で洗濯物が乾く日とそうでない日があるように、人間の体も毎日調子が変わります。毎日同じ事を繰り返すのではなく、回数や内容はその日の体の様子を見て増減させるべき」と大塚先生。とはいえ、その判断は小学生には難しいのが事実。とくに男子は精神年齢が女子より低いため(5歳分違うというエビデンスがあるそう)、お父さんお母さんのサポートが絶対的に必要になります。ちなみにプロの世界では、選手のケガをケアするスペシャリストが複数人います。まずは医師が医学的なところを診て判断し、チームの理学療法士とアスレチックトレーナー、フィジカルトレーナーと連携を取り、段階に応じてさまざまなサポートをします。小学生の場合は、医師以外の3人分を保護者が担うと心得ましょう。大塚先生の診察を受ける小学生や中学生の選手は、診察やリハビリにお母さんやお父さんに一緒に来てもらって、トレーナーとしての目を養ってもらっているのだとか。■「未来日記」でモチベーションを言語化しよう前向きな気持ちは回復を早めるケガをして離脱している時は、メンタル面のサポートも重要になります。特にその時期は目標を失わないことを意識して欲しいそう。そのために大塚先生がおすすめしてくれたのは、「未来日記」を書くことです。長友佑都選手が19歳でケガをした時に書いた未来日記には、1年後にチームのレギュラーに、3年後に日本代表に、5年後に海外チームで活躍すると記されていたそう。見事に実現しています。ただ頭の中に思い描くのではなく、活字にして言語化することで明確なモチベーションが目に見えるようになります。そうすることで、・ノルアドレナリン・ドーパミン・セロトニンのバランスが整ってさまざまなメリットが。前向きなメンタルをキープしやすくなり、結果的にケガの回復もサポートしてくれます。ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンの働き、作用(資料提供:大塚一寛先生)「先日、75歳の女性の外科手術をしたとき、その方は『治ったら孫とアイドルのコンサートで3時間飛び跳ねたい』と話してくれました。私はそれを聞いてこの人は絶対治ると確信したんですよ」と、大塚先生が話してくれたエピソードがありました。前向きにリハビリに取り組むことで、中脳からドーパミンが分泌されます。ドーパミンにはさまざまな作用がありますが、その1つに痛みを感じにくくする作用も。ストレスを感じた時に分泌されるノルアドレナリンとのバランスが大切で、それを保つのがセロトニンです。目標をもってリハビリに取り組む本人の意識と並行して、親の言葉がけもセロトニンの分泌には大切。褒めてあげる、見守ってあげることを意識するといいそうです。そうすることで、脳内物質がバランスよく分泌され、良好な回復につながります。「ちなみに、未来日記に書くのは真面目なことだけじゃなくて大丈夫です。レギュラーになってモテたいでもOKですよ」(大塚先生)■復帰はまずは強度の低い相手と復帰時は、下級生の練習に入れてもらうなど、強度やスピードを自分自身のレベルより下げた環境からスタートすると良いでしょう。前回の記事で5月6月にケガが多い理由を大塚先生から「新学期でサッカーのレベルが上がること」が原因と伺いましたが、復帰はその逆の理論で、やさしいレベルの中でのリスタートがおすすめとのことです。■自分自身への感謝の気持ちを持つつらいリハビリの日々を乗り越えれば、また楽しくサッカーができる日が来ます。その過程では「引退」や「退部」という文字が頭に浮かび、悩んでしまう瞬間もあるかもしれません。そんなときに親子で感じて欲しいことは「そんな悩みを持てること自体がすでに幸せだ」ということだと大塚先生は話します。「サッカーができる喜び、ケガをするほど思いっきりサッカーができたこと、復帰したら戻れるチームがあること......。すべてに感謝してみましょう。そして何よりも最も感謝すべきはこれまでサッカーを頑張ってきた自分にです。その気持ちがあれば、必ず復帰できます。前向きにひたむきに、そして主体的にリハビリに取り組んでください」今をときめく大谷翔平選手も、高校生時代のケガがきっかけで二刀流として活躍できるようになったことは有名な話です。誰だってケガはしたくないものですが、もしもしてしまったら、よりよい未来をつくるための試練として前向きに向き合えるようにサポートしてあげましょう。「あのケガがあったから、今がある」と言えるいつかのために、親子で乗り越えてください。大塚一寛(おおつか・かずひろ)医師、あげお友愛の里施設長。1996年からはJクラブのドクターとしてチームとともに帯同を続けている。現在はVプレミアリーグの上尾メディックス(女子)のチームドクターも兼任。そのほか、『日本サッカー協会スポーツ医学委員』を務め、全カテゴリーの選手の健康管理(脳震盪・ヘディング・熱中症・整形外科的外傷など)に携わっている。多数の講演にも出演し、現場のノウハウや選手のケガ、障害予防などの啓発活動も積極的に行っている。親が変われば子どもも変わる!?サッカー少年の親の心得LINEで配信中>>
2024年06月20日梅雨の時期は、洗濯物が乾かなくて臭くなる問題に悩まされますよね。サッカーの練習着やユニフォーム、ソックスも部屋干しを余儀なくされます。ですので気になるにおいや乾きにくさを解消する効果的な干し方はしっかり把握しておきたいところ。そこで洗濯王子・中村祐一さんにお話を伺ったところ、肝心なのは干し方ではなく洗い方という目からウロコの回答が。この時期のサッカーの洗濯に悩む保護者の皆さん、ぜひ実践してみてください。(取材・文:小林博子)写真はサッカー少年のイメージ<<関連記事:川崎フロンターレのホペイロに聞いたプロクラブが実践するユニフォーム洗濯のコツサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!>>■特別な準備は不要!「正しい洗濯」は今日からすぐできる梅雨の季節に悩ましい、洗濯物が乾かない&臭くなる問題......。早く乾かして、少しでもにおわなくするための「部屋干しのコツ」を伺うべく、洗濯家の中村さんにインタビューを慣行。ところが、お話の冒頭にびっくりな一言が。それは「干し方ではなく、洗い方を見直してもらうことが最大の対策です」とのことでした。しかも、中村さんが教えてくれた洗濯の方法は、どのご家庭でも今日からすぐ実践できることばかり。ぜひ皆さんも今日からやってジメジメした時期の洗濯の悩みから解放されましょう。■「節水ブーム」と「すすぎ1回ブーム」がもたらした現代の洗濯事情「30年ほど前と比べて、今の洗濯機や洗剤は汚れが落ちにくくなってしまっています」と、衝撃の事実を教えてくれた中村さん。とくに洗濯機にそれが顕著で、理由は「水量の設定」なのだとか。環境問題や家庭の水道料金節約を生活者にアピールすべく、家電メーカーは洗濯機の節水機能を毎年のようにバージョンアップさせています。その企業努力もあり、かつてとは比べ物にならないほど少ない水の量で洗濯が可能になっていることは、一見ありがたいこと。ですが中村さんによると、それにより汚れが落ちにくくなってしまっているというのです。たとえば、洗濯がひと通り終わって干す際に、衣類の一部が全く濡れていなかった、なんてことはありませんか。また、縦型の洗濯機の場合、洗濯槽を上から見たときに、ぐるぐる回っている衣類の上の方が、水に浸かっていないのを目にすることもあるかもしれません。これらは洗濯物の量に合わせて水の量を設定してくれる「自動モード」での洗濯によくあること。しかしそれでは汚れがしっかり落ちたとは言えないと中村さんは話します。また、洗剤の多くがうたっている「すすぎ1回でOK」というのも、実は汚れを落とすという観点では疑わしいのだとか。中村さんが行った実験によると、すすぎ1回でOKな洗剤でも、1回のすすぎでは十分にすすげておらず、2回目のすすぎ時の排水はまだまだ濁っているものばかりだったそうです。すすぎの水が濁るということは、洗剤や汚れが十分にすすげていないということです。■汚れが落ちきっていないから衣類が臭くなる写真は部屋干しのイメージ部屋干し臭問題は、そんな今の洗濯事情が悪化させていると言っても過言ではないのだとか。中村さんいわく、正しく汚れが落ちていれば、部屋干しでも衣類が臭くなることはないのだそうです。部屋干しで衣類がにおうようになるのは、乾くのに時間がかかるからではなく、きちんと洗えておらず、汚れが残っているから。生乾き臭は、菌が皮脂などの汚れを食べて出す排泄物が臭いの原因ですよと言われます。これだけ聞くと、「菌を無くせばいいんだな!」と思ってしまいますが、菌は常在菌でどこにでもいるので、完全になくすことは不可能です。殺菌して服に菌がいなくなっても、着用していて臭いが出るのは、洗った後についた菌が排泄したから。これをゾンビ臭と言う人やメーカーがいたりします。殺菌しても、菌はどこにでもいて、またついてしまう。そう考えると対策は殺菌ではなく、服の上に汚れをいかに残さないか?が生乾き臭の本当の対策です。汚れを落とす洗い方と、洗って落ちた汚れをすすぎ切って服に残さないことが大事なのです。■正しい洗濯に肝心なのは「3つの量」と「3回のすすぎ」のみそういった衣類の汚れとにおいのメカニズムをふまえ、中村さんが推奨するのは「3つの量と3回のすすぎ」だそう。詳しく解説します。【3つの量】とは・衣類の量・洗剤の量・水の量洗濯でしっかり汚れを落とすために大切な「3つの量」です。まずは「衣類の量」これは、洗濯機に入れる衣類の量を「入れすぎない」こと。縦型の洗濯機は洗濯槽の7〜8割まで、ドラム式の場合は半分までを目安にします。「いつももっとたくさん入れている」という方が、特にドラム式ユーザーの方に多いのではないでしょうか。ドラム式の場合、たたき洗いといって衣類をドラムの上から下へ叩きつけて落とすたたき洗いで汚れを落とします。これができるのはドラムの半分程度の量の衣類でないと難しいそうです。次に「洗剤の量」これは、多すぎても少なすぎてもダメ。パッケージに記載されている規定の使用量に忠実に従いましょう。洗剤は洗濯時に一定の濃度がないときちんと汚れを落とすことが出来ません。見た目に汚れが少ないからと少なく入れている、という方も多いのですが、洗剤が一定の濃度ないと汚れをすべて包み込むことができず、洗濯で一度取り除いた汚れがまた衣類に戻ってしまう「逆汚染」が起こるリスクも発生してしまいます。最後は「水の量」前章で解説したように、今の洗濯機は節水機能が優秀なため、自動コースで洗濯をすると水の量が少なくなります。できれば自動コースで設定された量の水より1〜2段階多い水で洗うように水量を調整してみてください。【3回のすすぎ】とはこれはそのまま、「すすぎは3回すべし」ということです。理由は前述したように、たとえ「すすぎ1回でOK」とうたった洗剤でも、厳密にはしっかりすすげていないから。また、中村さんによると「すすぎ3回」は洗濯業界では古くから常識とされていることでもあるそうです。ちなみに、なぜ多くの洗剤が「すすぎ1回でOK」なのかというと、洗剤が衣類に残っても着る人や衣類に影響が出ないとされているから。汚れを濯ぎ切るという意味ではすすぎ1回では圧倒的に足りず、3回するとほぼすすぎ切れるので、プロは3回のすすぎが基準になります。黄ばみや黒ずみなども残った汚れにより徐々に出てきてしまうので、1回のみのすすぎを続けるのはおすすめできないとのことです。■取材翌日の洗濯で実践してみた結果は?「3つの量と3回のすすぎ」は、家にあるものですぐにできることばかり。高校サッカー部男子がいる我が家の洗濯物で取材翌日に実際に「正しい洗濯」を行ってみたところ、確かに洗濯物の気になるにおい(特にソックス)が減ってきました。これまで3つの量はすべて間違っていましたし、すすぎは1回のみだったので、蓄積された汚れやにおいがあるため、1回の洗濯で無臭にはなりませんが、徐々に減ってきているので、効果ありだと実感しています。すすぎの回数が2回増え、時短や節水という観点ではプラスになっているのですが、「洗濯物がちゃんと洗えている→部屋干しも怖くない」と思えることは、それにも勝る価値ありです。正しい洗濯ができたら、さらに知りたいのは正しい干し方。次回はそれについて伺います。中村祐一(なかむらゆういち)洗濯家。長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。「洗濯から、セカイを変える」という信念のもと、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開いてきたパイオニア。「衣・食・住」における「衣文化」の革新に取り組む。洗濯という側面から、よりよい暮らし方、よりよい社会への変革を目指す。「洗濯王子」の愛称で、テレビ・雑誌など各種メディアにも多数出演。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!>>
2024年06月19日子ども自身が、サッカーが上手くなることや勝利を目指すことは大事なことですが、親御さんの方が熱が入ってのめりこんでしまっていることはありませんか。子どもがサッカーを楽しんで自ら伸びていくために大事なことがあります。クラブチーム、少年団などの所属先、チームの強弱やサッカーの上手い下手関係なく、全てのサッカー少年少女の保護者に大事にしてほしい親の心得「サカイク10か条」。サカイクでは4月に希望チームを募り、10か条のチラシを保護者に配布してもらいました。その中のいくつかのチームに、保護者の反応を伺いました。写真はサッカー少年のイメージ<<関連記事:「何やってんだ!」と叫んでいた親たちが変わったサッカー少年の親の心得10か条とはサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!>>■根性論が残る保護者の考えを変えるきっかけにしたかった今回お話を伺ったAさんは、子育てのために地方に移住された方で、自分が育ってきた都市部との考え方の違いに戸惑ったそうです。インターネットが普及し、どこにいても新しい情報にアクセスできるようになったおかげで、旧態依然とした指導に疑問を持つ方、現代の指導について情報をアップデートしている指導者や保護者も増えています。ですが、地域によっては根性論が残っていたり、古い考えが残っていて「夏休みは毎日一日中練習して追い込むことで成長する」と考える人がいますが、Aさんの移住した地域もそのような考えがまだまだ存在するのだと教えてくれました。■子どもの自立より「私が世間からどうみられるか」の方が優先される親がいるまた、子どもの自立ではなく「親の自分が世間からどうみられるか」を優先してしまい、自分がちゃんと育ててないと思われたくない、という思いから親御さんが先回りして子どもの行動を制限したり、あれこれ手を出してしまう現状があるそう。Aさん自身の指導のスタンスとして、子どもが失敗したり恥をかく経験から学んで成長していくことが自立のステップだと考えており、過保護な保護者を変えたいという思いから、これまでもサカイクの記事をシェアしてくれていたと教えてくれました。そんななかで今回の企画を発見し、ご応募いただいたそうです。■親も子どものサッカーを楽しんでいいと分かった写真はサッカー少年のイメージ今回サカイク10か条を配布してみての保護者の反応を伺ったところ、「読んでよかった」という声が聞かれたそうです。「親の自分がどうみられるか」を気にするため、「これしちゃダメ」「あれしちゃダメ」と子どもの行動をあれこれ制限して管理しがちだった保護者のみなさんも、子どもが心からサッカーを楽しむための親の心得を知ることで、「自分も子どものサッカーをもっと楽しんでいいんだ」と心が軽くなったことを語ってくれたと嬉しそうに教えてくれました。■子どもが自らサッカーにのめりこみ上達するための10か条保護者のみなさんが子どものサッカーに一番望んでいることは何ですか?多くの方が「楽しんでほしい」と答えるのではないでしょうか。何事もですが、楽しんで自らのめり込むことが一番の上達の近道です。そのためには親御さんもゆったり見守り、楽しんでくれることが大事です。働き方も多様化しており、仕事の調整など時間の面で大変な部分はあるかと思いますが、子どものスポーツが親の苦行にならないよう、チームとしても運営を改善したり、チーム方針を決めているところも増えています。親御さん自身ももっと子どものサッカーを楽しみましょう。子どもが心からサッカーを楽しむための親の心得「サカイク10か条」はこちら。チームへの配布を希望されるかたは、下記よりお申込みください。サカイク10か条か条チラシをチームへ配布を希望されるかたは、下記よりお申込みください。お申し込みフォームサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!>>
2024年06月18日身体が小さくて線の細い子ばかりだからか、浮き球のボールが蹴れない。大会だと他のチームは蹴れているし、シュートのバリエーションとして教えたいが、どうしたら浮き球を蹴れるようになる?とのご相談をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上のあらゆる年代の子どもたちを指導してきた池上正さんがアドバイスを送ります。記事の最後で浮き球を蹴れるようになるトレーニングも紹介します。(取材・文島沢優子)サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<「相手のマークを外す動き」U-11年代にどう教える?説明下手な指導者でも選手に伝わる方法を教えて<お父さんコーチからの質問>こんにちは。地方の少年団で保護者コーチをしている者です。長年指導されていた代表の方が、年齢もあって現場を退くことになり、数人のお父さんたちと一緒にコーチを始めることになりました。サッカー経験はなく、ライセンスは持っていません。息子の学年だけでなく、いろんな学年を持ち回りで見ている感じなのですが、今回の相談はU-10年代への浮き球のシュートの身に付けさせ方です。身体が小さく細い(筋力がない)子も多いためか、どうしてもボールが浮きません。試合で対戦すると他のチームはゴロのシュートだけでなく、浮き球のシュートを打てる子もいます。シュートのバリエーションとして教えたいと思っているのですが、この年代への教え方としてどんなアプローチが良いのでしょうか?おすすめの方法があればぜひ教えてください。<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。どうしたら蹴られるようになるかという話の前に、まずは小学生年代で浮き球のシュートを打つ技術が必要かどうかを考えてみましょう。■身体的な成長で考えるとU-10年代でパワー系の練習は避けた方が良い私は日本全国さまざまなところで講習会を行っています。集まった子どもから「遠くからシュートを決めるにはどうしたらいいですか?」と質問を受けることは多いです。そこで「君、ちょっと来てくれる?」と小学生を立たせて、私の横に並んでもらいます。「みんな、池上コーチとこの子では、どっちがボールを飛ばすと思う?」そう尋ねると、全員が「池上コーチ!」と声をそろえます。私は「そうだね。でも、みんなも体が大きくなれば、遠くに蹴られるようになるよ」と伝えます。子どもの身体的な成長という点で考えると、パワー系の練習は避けたほうがいいでしょう。例えば、小学生に筋力トレーニングが必要ではないことはずいぶん前から言われています。なぜならば、小学生はまだ骨格がしっかりしていないからです。この点から考えると、小学生のときから浮き球の強いシュートを打つ練習は必須ではありません。決して軽くはないサッカーボールを空中に飛ばすには、相当な筋力を要するからです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■小さくてもサッカーはできるゴールに流し込むのも得点私が講習会で子どもを並ばせて「どっちが飛ばすかな?」と尋ねるのは、コーチにも理解してほしいからです。それは「今は違うことをやればいいんだよ」というメッセージです。パワー系の練習よりも、パスで崩してシュートに帰結するものをやってほしい。そういった練習が子どもたちのサッカーキャリアを明るく照らすことにつながります。保護者の方からは「うちの子は小さくて......やっていけるでしょうか?」と相談されることも少なくありません。私は「小さくても生きる道はありますよ。そういう指導者に出会えればいいですね」と答えます。テレビでサッカーの試合を実況するアナウンサーが「ゴールに流し込みました」という言い方をしますね。そのように得点はできます。もっと言えば、高校生くらいになるとある程度の強いシュートはみんな蹴られるようになります。■体が大きく早熟な子たちは後年に晩熟型の子に負けるようになったりするご相談文にあるように、体が大きな早熟な子どもたちは強いシュートを蹴ることができます。小学生の間はゴールが小さく、ゴールキーパーも大きくはないため、そういった早熟な子たちは簡単にゴールを決められます。そういった子たちが強いチームに集まる傾向はあるようです。ところが、小学生時代はたくさん勝てた早熟な子どもたちが、高校生になると晩熟の子たちに負けるようになります。体格やパワーが全員そろってくる中学、高校と進むと、封じ込まれてしまうのです。パワーを使って勝っていた子たちはテクニカルの勝負ができないからでしょう。小さい頃からできていたためプライドもあるのかもしれません。負けたり、試合に出られなくなるとあっさり折れてしまいます。挫折から立ち直れない傾向が見られます。■小さいころから考える習慣が出来ている子は判断力があるのでのちのち頭角を現す対する晩熟型の子どもたちは、身長やパワーがないためしっかりした技術を身につけながらじっくり育ってきます。おおむね賢い。自分から考え出す力があります。パワー以外のスピードという能力で言えば、飛びぬけた子を除くと皆そんなに遜色なく速く走れるようになります。差は出ません。そうなると、小さいころに「自分は足が速くないからどうしたらいいかな?」と考えた子どもは、いろいろなことにトライできているようです。技術や判断力などプレーに幅があり、どんどん頭角を現してきます。私自身、晩熟型です。サッカーを本格的に始めたのは高校からです。身長が170センチ台で体が小さいセンターフォワードだったので「身長があともう5センチ高かったらなあ」と思ったこともありました。そんなときに祖母井秀隆さんという素晴らしい先輩に出会い、サッカーを教えてもらえました。■ゴールに入ればどんなシュートも同じ1点浮き球のシュートはかっこいいです。子どもも大人も「すごい!」と思ってしまいますね。でも、冷静に考えてください。ゴールに入ればどんなシュートも同じ1点です。浮かせて蹴らないとゴールできないわけではありません。ご相談者様が教えているのは10歳以下なので4年生でしょうか。上述したようにゴールキーパーは大きくありません。浮かせて蹴れると得点しやすいので試合に勝つ確率は上がるでしょう。しかし、そうではない方法で得点するやり方、つまりパスをつないで相手を崩すサッカーを教えたほうが子どもたちのためになります。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■浮き球を蹴れるようになる練習法(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)最後に、強いシュートにならなくても浮き球でゴールできたり、パスをする技術の磨き方をお伝えしましょう。2人1組で互いに10メートルほど離れて立ちます。対面パスです。片方はグランダーのパス。反対側は浮き球で返します。正面から来たボールをダイレクトで蹴って浮き球にしやすいので、試してみてください。逆の子は浮き球を止めておさめなくてはならないので、ボールコントロールの練習になります。自分のほうに転がってくるボールを蹴ると浮かしやすいです。ボールの下のほうを足先でポンと上げます。どう蹴るとボールが浮くか。やりながら子どもたちに見つけさせてあげましょう。少年用のボールよりも小さいハンドボールを使ってもいいでしょう。ゴール前にコーンを立て「コーンに当たらないように蹴ってごらん」と説明します。当てずに入れたら1点です。このように練習すれば、転がってきたボールをキーパーの頭越しに蹴ることができるようになります。強いシュートでなくても得点できます。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2024年06月17日