『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督がクラウドファンディングを募り、国内史上最高額を達成した、こうの史代原作のアニメーション映画『この世界の片隅に』。このほど、女優・のんが、本作でアニメーション映画初主演を務めることが決定し、待望の本予告映像が解禁となった。すずは、広島市江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19年(1944)、20キロ離れた町・呉に嫁ぎ、18歳で一家の主婦となった。戦況が悪化し、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らす、すず。だが、日本海軍の根拠地だった呉は、何度も空襲に襲われる。庭先から毎日眺めていた軍艦たちが炎を上げ、市街が灰燼に帰し、すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく。それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない。そして、昭和20年(1945)の夏がやってきた――。学生時代から宮崎駿作品に脚本家として参加、『魔女の宅急便』(’89)では演出補を務め、前作『マイマイ新子と千年の魔法』(’09)もヒットした片渕監督が手がける本作。監督は6年の歳月をかけ、戦中戦後の広島・呉の綿密なリサーチと時代考証を行い、こうの史代漫画の世界を色鮮やかに描き出した。そんな本作で、監督が「のんさん以外のすずさんは考えられない」とその声に惚れ込み、のんさんの主演が決定。その一報を受けたのんさんは、「すごく本当に、とんでもなく嬉しくて、なんか地面からふわっと浮いちゃいそうなくらい嬉しかった」と、独特の感性でコメント。もともと「私は戦争や暴力の描写が嫌いで、苦手で、目を向けないで拒んでいたところがありました。(戦争は)非日常なもので別次元のものと思っていたのですが、原作を読ませていただいて、日常と隣り合わせに戦争があったのかもしれないなと感じて、いままで拒んできたものに目を向けてみようと思いました」と、こうのさんの原作を読み、心境の変化があったことを語る。自身が演じる、主人公・すずについては、「感情が沸きたったときに、がーって絵を描いているところがすごく共感しました。すずさんは、ぼーっとしていると言われながらも、パワフルでポジティブなところが好きです。劇中ですずさんがやっているような着物のリメイクにも挑戦してみたいです」と、時代が違えど、まっすぐに誠実に生きる姿や日々を工夫を凝らして楽しむ姿などに共感しながら、演技に臨んだ様子だ。アフレコは「別世界だなというのを痛感しました」とその難しさにも触れ、広島弁の持つ独特のイントネーションに苦労を感じながらも、その響きの可愛らしさを楽しみながら挑戦していたという。また、本作が2015年に行われたクラウドファンディングで日本全国からの熱烈な支持を受け、製作が決定したことについて、「観たい映画を一緒に制作していくという、応援してくださってるみなさんがこの映画を一緒に作っているというのが、本当に素晴らしいことだなと思います。私もそこに参加させていただけることがすごく嬉しいです」と、参加できた喜びを語るのんさん。さらに、「普通に生活しているとか、ただ生きているっていうことが、あぁやっぱり普通っていいな、と思える映画だと思うので、そういうのを感じていただきたいなと思います。そして、ぜひご家族を誘って見ていただきたい。大切な感覚を一緒に共有できると思うのです」と、本作のテーマと見どころにも言及した。アフレコを終え、片渕監督は「すずさんに命を吹き込んでくれて感謝の気持ちでいっぱいです」と彼女を絶賛。「6年前、『この世界の片隅に』をアニメーションにしようと思ってからずっと、すずさんの声を探していました」と言うだけに、「この作品は本当に幸運に恵まれたと思います」と安堵の声を寄せている。完成した本予告では、呉にお嫁にきたすずが、軍港・呉に停留する戦艦大和や戦闘機などと隣り合わせに居ながらも、工夫を凝らして日々を楽しんで生活する姿が映し出されていく。音楽を奏でるのは、シンガー・ソング・ライターのコトリンゴ。片渕監督の前作『マイマイ新子と千年の魔法』で主題歌を担当し、本作では本編楽曲も担当。今回解禁された本予告では、新たにカバーした「悲しくてやりきれない」が使用され、作品の世界観を壮大に歌い上げている。コトリンゴさんは、「すずさんの心情にすごく合っているからと予告編に使用してくださっていた『悲しくてやりきれない』のカバーを、さらにリアレンジしてすずさんに寄り添えるように、生楽器をメインに書き直しました」とコメント。なお、この予告編は今週末より一部劇場にて、のんさんの特別メッセージ付きで上映される予定。『この世界の片隅に』は11月12日(土)よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年08月24日『魔女の宅急便』で演出補を、『マイマイ新子と千年の魔法』では監督を務めた片渕須直監督が、漫画家・こうの史代の「この世界の片隅に」をアニメーション映画化するため、3月からクラウドファンディング・プラットフォーム「Makuake」にて資金調達を実施。このほど、国内最高支援者数を樹立し、劇場版アニメ製作が正式に決定。2016年秋公開予定であることが分かった。絵が得意な少女・すずは、ある日突然、海軍勤務の周作の妻になるために、20キロ離れた町・広島県呉に嫁ぐ。ときは昭和19(1944)年。18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らすが、戦争は激化。すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく中、それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない――。約4年前から片渕監督によってアニメ化の準備が進められていた本作。本格的にフィルムの制作を始めるにあたり、スタッフの確保やパイロットフィルムの制作に賄う資金を調達する目的で、株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングが運営するクラウドファンディングサービス「Makuake」にて資金調達を敢行した。3月9日から5月29日までの82日間の募集期間で、合計支援者数は3,374人、総額は3,622万4,000円を達成し、支援者数としては日本国内での最高記録を更新。金額も当初目標としていた2,000万円を大きく上回る181%の達成率であり、映画作品のクラウドファンディング調達額としては、国内史上最高を記録した。この結果を受け、見事『この世界の片隅に』の製作委員会が正式に発足。全国劇場公開を2016年秋に予定し、配給は東京テアトルが担当するという。アニメーション制作は、日本が誇る老舗アニメスタジオ「マッドハウス」の代表を長年務めた丸山正雄が2011年6月に設立したスタジオ「MAPPA」。プロデュースを、TVアニメ「のだめカンタービレ」「ソードアート・オンライン」を手がけた「GENCO」が務める。宮崎駿監督作品に脚本家として参加した経歴を持ち、自身の監督作『マイマイ新子と千年の魔法』では異例のロングラン上映とアンコール上映を達成した片渕監督が、多くの人の思いが集まって実現した今回の劇場アニメ化で、ささやかな「毎日」を生きることの素晴らしさをどのように描くのか、期待が高まる。『この世界の片隅に』は2016年秋、全国にて公開予定。(text:cinemacafe.net)
2015年06月03日サイバーエージェントが手がけるクラウドファンディング・プラットフォーム「Makuake」にて、漫画家・こうの史代の「この世界の片隅に」をアニメーション映画として映像化するプロジェクトが始動。このほど、3月9日(月)の設立からわずか8日後の3月18日(水)で目標資金調達金額の2,000万円を突破したことが明らかとなった。絵が得意な少女・すずは、ある日突然、海軍勤務の周作の妻になるために、20キロ離れた町・広島県呉に嫁ぐ。ときは昭和19(1944)年。18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らすが、戦争は激化。すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく中、それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない――。文化庁メディア芸術祭「マンガ部門大賞」を始め、第9回手塚治虫文化賞「新生賞」を受賞した漫画家・こうの史代が2007年~2009年の間に掲載した同名コミックを原作に、『マイマイ新子と千年の魔法』では監督を、『魔女の宅急便』(’89)では演出補を務めた片渕須直がメガホンを取り映像化する本作。「片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援」プロジェクトは、本作の公開実現に向け、スタッフの確保やパイロットフィルム制作の費用を調達するため3月9日(月)に設立。開始初日に750万円を集め、5日で1,500万円を超え、8日後には目標金額である2,000万円の資金を調達するに至った。この金額は、映画ジャンルでの国内クラウドファンディングでは史上最高額となり、本プロジェクトの注目度の高さを示す結果となった。制作支援メンバーになると、各金額のコースに合わせて、先行情報配信や先行上映など様々なプレゼントが受けられるほか、本編のエンドロールに自身の名前を載せることもできるとのこと。本プロジェクト終了日は2015年5月29日(金)を予定しており、更なる支援の拡大が期待される。(text:cinemacafe.net)
2015年03月18日文化庁メディア芸術祭「マンガ部門大賞」を始め、第9回手塚治虫文化賞「新生賞」を受賞した漫画家・こうの史代の「この世界の片隅に」をアニメーション映画として映像化するプロジェクトが立ち上がった。このプロジェクトは、サイバーエージェントが手がけるクラウドファンディング・プラットフォーム「Makuake」で設立されたが、5日間ですでに資金援助の金額は1,500万円を超え、Makuakeの支援金額歴代5位の記録となっている。こうの氏が第二次世界大戦前後の広島県呉市を舞台に描き、「漫画アクション」(双葉社)にて2007年~2009年の間に掲載された同名コミックを原作とする本作。絵を描くことが好きな少女・すずと、彼女が突然嫁ぐことになった海軍勤務の周作の夫婦のやりとりを通して、戦時中の庶民の日常を丁寧に描き出す。監督には映画『マイマイ新子と千年の魔法』などで知られる片渕須直。監督は、在学中から宮崎作品に脚本家として参加。『魔女の宅急便』(’89)では演出補を務め、その後もTVシリーズ「名犬ラッシー」(’96)、「BLACK LAGOON」(’06)など数々のヒット作を乱してきた。片渕監督は、今回のプロジェクトについて「空を飛ぶものに憧れて、自由に大空を舞う姿を描き出したいと思った頃もありました。けれど、ぽつんと雲の上に浮かぶことが孤高に見えても結局は一人ぼっちなのだと気づいてからは、地の上で暮らす人の姿を画面に描き出したいと思うようになりました。すずさんこそそういう人です。そしてそんなすずさんは、原作漫画を読んだ人みんなから愛されています。すずさんは戦時中の世界で、毎日の暮らしを営み続ける人です」とコメントを寄せる。さらに戦時下の時代を描く本作について「『戦時中の物語』『空襲の登場する映画』というと『小学校の頃、体育館で見せられた教育映画みたいなもの?』と誤解してしまう向きもあるようですが、そうではありません。原作『この世界の片隅に』は、さまざまに新しい漫画表現を凝らして活躍する、こうの史代さんが心血注いだ力作なのです。愛すべきすずさんのいとおしさを、彼女がそこですごす『世界の片隅』のありさまを、そこに流れた大切な時間を、自分にできる限りの理解をした上で、映画の画面の上に描き出してみたい。そう思っています」と語っている。そんな想いを抱えた片渕監督と本作のアニメーションを制作するのは「坂道のアポロン」(’12)、「残響のテロル」(’14)などのTVアニメを手がけてきた「MAPPA(マッパ)」。また、本作の準備にはすでに4年もの歳月が費やされているとのこと。集まった資金は、作品のためのスタッフの確保や、パイロットフィルムの制作に使用されるとのことだ。資金援助は「すでに1,000万円」と前述で紹介したが、プロジェクトの目標金額は「2,000万円」。片渕監督の想い描く世界が映像となってスクリーンいっぱいに広がる日に期待したい。(text:cinemacafe.net)
2015年03月13日