私は元同僚である夫の真っすぐ仕事に向き合い懸命に働く姿に引かれ、のちに結婚に至りました。勤務先での夫の姿を見ていたので、家事や育児もしっかりやってくれるであろうと思っていた私。しかし、共働きなのに夫は家事や育児に協力してくれず、私ばかりに負担がのしかかる日々。この話は、そんな家庭での夫の姿はこれが原因なのかもしれない…と気付いたお話です。結婚してから家庭のことは何もしない夫私と夫は勤務先で出会い、夫が懸命に働く姿ややさしい人柄に惹かれてお付き合いするように。プライベートでも私のことを優先し、尽くしてくれていたので、「結婚してからもいい家庭を築いていけそう」と感じ、結婚を決心しました。しかし、結婚してからの夫は想像とかけはなれていたのです。共働きなのに家事はほとんど何もしません。食べたお皿は出しっぱなし、洋服は脱ぎっぱなし、出したものは出しっぱなしと、何もしない状況で新婚生活を送っていました。しかし、当時の私は夫が大好きだったためか尽くすことに喜びすら感じ、何も言わず夫の身の回りのお世話をしていました。「さすがに子どもが生まれたら少しは家事に協力的になってくれるかな?」とも思ったのですが、子どもが生まれてからも夫は子どもが危なくないように見守っているだけで、それ以外の家事や育児は一切しません。何度も夜中に目覚める子どもに私が格闘しているときも夫は知らんぷり。とはいえ、1年間の育児休暇中は、「夫は仕事を頑張っているから私が家事と育児は頑張らなきゃ」と思っていました。そして、子どもが生まれて1年後、私は職場復帰することに。不満をぶつけても変わらぬ夫仕事に復帰したばかりで慣れない日々の中、子どもの夜泣きも続きついに私のストレスはピークに。夫に、「共働きなのになんで何も手伝ってくれないの? 私たち2人の子どもなんだよ? 私たち夫婦だよね? 協力し合うべきじゃないの?」と泣き崩れるように訴えかけました。それまで私が感情的になって夫に不満をもらすことはなかったため、夫はかなり驚いた様子。「負担かけ過ぎてごめん。これからは協力するようにする」と言ってくれたのでその言葉を信じることに。その翌日から、夫は気持ちを入れ替えたのか、家事や育児を手伝ってくれるようになりました。しかし、それはほんの数日に過ぎず、1週間ほどたつと以前のように再び何もしない夫に。再度気持ちをぶつけようとも思いましたが、今回は下手に出ることにしました。夫にしてほしいことは「○○してくれると助かるんだけど」と伝え、してくれた後には感謝の気持ちを伝えるようにしたのです。しかし、それをずっと続けているうちに今度は、「夫は基本的なことでも言われないとできないのか?」と感じるように。2人目が生まれても気が向いたときに家事を手伝う程度で、夫の行動に大きな変化は見られませんでした。そして、私はそんな夫を見て、夫に協力してもらおうとすることすら諦めてしまったのです。義母との会話の中で意外な事実が発覚ある日、義母から義父と結婚してからの話を聞く機会がありました。私はお義父さんがいつも片付けや掃除などをしている姿を見ていたので、「お義母さんとお義父さんっていつも協力し合っててすてきな夫婦ですよね」と義母に伝えました。すると「何言ってんの? お父さんは結婚してから20年ぐらいは家のことはほったらかしで、だらしない人だったのよ」と言うのです。詳しく話を聞くと、義父は毎日洋服は脱ぎっぱなしで片付けもせず、身の回りのお世話は全部義母がやっていたとのこと。また、「子どもが泣きついても平気で出かけちゃう人だったのよ」とも言いました。これらの話を聞いて「なるほど! 夫は、そんな義父の姿を見て育ったからこうなったのか!」と納得。義母に「今のようにお義父さんが家庭のことに協力するようになったのは、何かきっかけがあったんですか?」と問うと、「んー、私はあえて何も言わなかったの。でも、今のお父さんのようになるのに20年はかかったわよ。あなたたちは今、結婚して10年ぐらいよね? あと10年ぐらいしたらお父さんみたいになるかしら?」と笑いながら言うのでした。まとめ「親の背中を見て子は育つ」という言葉は本当なのだと痛感。正直、義母の言葉に「あと10年もこの状況を我慢しなければならないの?」と絶望を覚えました。今も夫には、家事を手伝ってほしいとお願いするときもありますが、気が向いたらやってくれる程度。そんなことが続き怒りを覚える瞬間も多々ありましたが、笑い飛ばしながら話をする義母の姿を見て、「それを乗り越えてきたからこそ今の仲睦まじい義母と義父の姿があるのだな」と感じました。この先、夫も義父のように行動に変化が生まれるのかはわかりません。けれども、義母のようにいつか笑い飛ばせる日が来ることを祈りながら、今後も夫との人生を歩んでいきたいと再認識した出来事でした。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。マンガ/☆まかりな☆著者/akaringo元気いっぱいの兄妹に翻弄(ほんろう)されつつも子育てを楽しむママライターです。何事も全力で! をモットーに日々過ごしています。
2024年04月12日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。物語の最後に、恒例の不適切なお詫びテロップが2024年と表記されて出てきたとき、「やられた!」と思わず唸ってしまった。柔らかく、ねっちりと細かく、時に目詰まりを起こす令和の対人関係。ドラマの序盤から「話し合いましょう」と歌いあげ、SNSとの向き合い方を何度も考え、そして「寛容になりましょう」と歌い、息苦しさを横に広げて風通しをよくする方法を今作は提示してきた。そして最後に、今この2024年さえも変化していく時代のごく一部にすぎないと、縦の広がりを見せる。鮮やかで、目からうろこが落ちるようだった。いかにも昭和的な価値観の男が令和にタイムスリップする。そこで経験する騒動を通して、令和と昭和の対比をコメディとして描き、大好評を博した『不適切にもほどがある!』(TBS系金曜日22時)。最終回では小川市郎(阿部サダヲ)は昭和に、向坂サカエ(吉田羊)とキヨシ(坂元愛登)は令和にとそれぞれの時代に帰った。純子(河合優実)は大学に合格し、パワハラの冤罪で休職していた渚(仲里依紗)は昭和で元気を取り戻して復職し、失恋で落ち込んでいた秋津真彦(磯村勇斗)と新しい恋をする。元の場所に戻りながら、皆それぞれにアップデートして少しだけ幸せになった。同時に、小川市郎が知ってしまった自分と娘の寿命については、解決も変化もしない。回収しなかった部分は、脚本家・宮藤官九郎と作り手が、人の生死とりわけ災害死を描くにあたって尽くした誠意なのだろうと思う。一方で、最終回の回収は、キヨシが昭和で仲良くしていた不登校の友人・佐高(昭和パート榎本司・令和パート成田昭次)のその後である。令和の少年らしい柔らかさでキヨシは佐高に寄り添って、いつも部屋でゆるゆるとゲームをしていた。別れ際、キヨシは「学校なんてさ。自分と気の合わないやつがこの世界には存在するってことを勉強する場所だけどさ…」と、佐高に淡々と話し始める。1人か2人、友達が見つかれば、他は死ぬまで会わなくていい奴らなんだから。俺は佐高くんにあえて良かったし。それは学校のおかげだし。気が合う奴とは繋がれて、合わない奴とは関わらなくてすむ…便利なもの、もうちょっと辛抱すれば沢山出来るからさ。キヨシが令和に帰った後、佐高はキヨシのいない学校に登校するようになり、中学を卒業する。ただ1人でも、真心で思ってくれる誰かがいて言葉が届けば、小さくても一歩を踏み出せる。若い日の母親と出会い、人間関係の悩みを聞いてもらって、子供のように唇についたナポリタンを拭いてもらった渚が、それで元気を取り戻して仕事に戻っていったように。佐高や井上(昭和パート中田理智・令和パート三宅弘城)の卒業式、小川は「お前らの未来は面白いから!」と言って、ヒップホップとともに生徒を送り出す。本ドラマの主題歌『二度寝』を担当する、『Creepy Nuts』の二人が昭和に来て居残りしているという粋な展開であった。爆笑して『二度寝』を聞きながら、胸が熱くなった。旅立ちにあたって、未来は楽しいぞ、良いものだぞと灯火のように明言してくれる誰かがいるというのは本当に幸せなことだ。一見万事に細やかで配慮の行き届いた令和の世の中だけれども、いま、若い世代に未来はいいものになると確信と共に語れる大人は少ないように思う。改めて自分もまた、昔話よりも未来を語れる大人でありたいと思う最終回だった。笑いと悲しみ、華やかな騒々しさと沁みるような感動。様々な混沌を包み込んだこの作品において、阿部サダヲはまさにクドカン作品そのものを体現するような見事な演技を見せてくれた。そして、娘の純子を演じた河合優実は、しなやかな自我と思春期の淡い揺らぎを鮮やかに演じきって、私たちを魅了した。これからのキャリアが非常に楽しみな俳優である。最後に、いつか10年・20年が過ぎた後に、2020年代はどんな時代として語られるんだろうかと思う。あんな面倒くさい社会なのか、あんな効率の悪い社会なのか、あの頃は良かったなのか。そうして遠く俯瞰できるようになった頃に、このドラマをふと思い出すだろうし、その未来でも宮藤官九郎が辺境に立ち続けて書く作品を見て、笑ったり泣いたり出来ていたらいいなと思う。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年04月01日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。ムッチ先輩(磯村勇斗)と並ぶ『不適切にもほどがある!』(TBS系金曜22時)の癒し枠・秋津くん(磯村勇斗)が何気にアプリ婚活を始めて、その入力条件のあまりの細かさに笑ってしまったけれども、そこまで分類したいのは失敗したくない、いや、できないからなんだろうなと思う。令和のこのご時世、現役世代はトライアンドエラーする余裕がない。そして昭和と令和を繋ぐ、平成の30年間という時間は、ITやSNSの普及で他人の成功も失敗も沢山『見える』のが当たり前になる過程でもあった。恐ろしい失敗例を沢山見てしまう我々は、どこかしら大成功とはいえずとも失敗はしない選択肢に傾いてしまう。そのために分類して要素を細かく分析する。65点あれば上等、当たって砕けられない時代なのである。昭和61年を生きている小川市郎(阿部サダヲ)は中学校の体育教師。情に厚いし面倒見も良いが、多様性にも弱者への配慮にも意識は低く、ガサツだ。その小川市郎が昭和から令和にタイムスリップして、騒動を起こしながらも様々な人たちと関わっていく。そんな中で小川は令和に生きる自分の孫・渚(仲里依紗)と出会い、自分と娘の純子(河合優実)が阪神淡路大震災で死ぬことを知る。知ってしまった娘の寿命に心を痛めながらも、どうすべきかの結論は出ない。一方、小川とは逆に令和から昭和にやってきた向坂サカエ(吉田羊)と息子のキヨシ(坂元愛登)は、それぞれ恋に友情にと昭和の暮らしを満喫していたが、それにも異変が起きようとしていた。前回の『失敗したらダメですか』も相当に突き刺さる内容だったが、今回の『分類しなきゃダメですか』もまた、社会に投げかけられた鋭い問いかけの槍だと思う。そしてラベルを貼って、分かりやすく見える部分だけをやたらと持ち上げたり、やたらと叩くという現代の世論の極端さにおいて、分かちがたい要素でもある。9話で、個人的に心に残る好きなシーンがある。純子の墓を囲んで、小川・渚・ゆずる(古田新太)・サカエ・井上(三宅弘城)がそれぞれに純子を想う場面である。父、娘、夫、後輩、それぞれの立場で彼らは純子の人生を想う。それぞれの目線だけれど、そこに体温のある一人の魅力的な女性が浮かび上がる。何もかも上手くいった恵まれた人、パワハラした人、Z世代、老害。それは『そんなんだから』という無責任な言葉と、一面的なレッテルで分類され評価される薄っぺらさとは対になるものだ。それにしても、娘を傷つけられた怒りにまかせて父・ゆずるが歌い出すのはミュージカル『コーラスライン』の名曲『ONE』風の何かだし、歌詞にあろうことか『ワンチャン』などとぶっ込むし、途中で心臓病のゆずるは倒れ込む。倒れ込む背中に渚がかけたガウンを跳ね飛ばして更にキレキレに踊るゆずる、痛々しくも救急車に収容されてもなお歌うゆずるに、小川がかけた言葉は…。「ゆずるくん…ジェームス・ブラウンみたいになってる!(おそらくソウルの帝王・ジェームス・ブラウンのマントプレイを指しているものと思われる)」これこそ宮藤官九郎の『わかるやつだけわかればいい』名場面の一つだと思う。いつにもまして、怒るところか笑うところか泣くところか爆笑するところか、よく分からない混沌としたこの最高の一幕に、クドカンのドラマもまた安易な分類なんか受け付けない無二のものだと痛感するのだった。頑張っているから頑張れと言ってはならないのか、一人で頑張ったら逆に迷惑になるのか、異性への褒め言葉は全て地雷なのか、SNSの人間関係にどう対するか、老害の『害』って何なのか、視聴者としてエンタテインメントの楽しみ方はどこにあるのか、一度失敗したら二度と許されないのか、そして今回、安易に人を分類していいのか。今作の作り手は、決して単に『昭和は良かった』ではなく、令和で多くの個人が持つ配慮や優しさはそのままに、集団心理として過敏になりすぎる息苦しさに何らかの落とし所はないのかと問いかけているように思う。次回はいよいよ最終回である。きっと膝を打つような見事な着地が見られるだろう。切なくて毒が効いていて笑えて愛おしい。このドラマの面白さを分かりやすく説明するのはやっぱり難しい。けれども、見た者にとって忘れがたいドラマになるのは間違いない。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年03月26日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。決して多数派ではないSNSでの意見が、ネットの記事がきっかけで不自然にクローズアップされ、それがSNSにフィードバックされて本格的に火の手が上がる。一度燃えたら、不自然な着火かどうかはもう関係がない。焼け野原になるまで悪評は燃え続けるし、何なら燃え尽きても数年後にまた火がつくこともある。そんな現代の悪意の錬金術を、毒とブラックコメディを散りばめて見事に描きだした『不適切にもほどがある!』第8話だった。時は昭和61年。中学の体育教師、小川市郎(阿部サダヲ)は妻と早くに死に別れ、娘と二人で暮らしている。お節介で心根は熱いが、いかにも昭和の男らしく、配慮やリテラシーはない。そんな小川が偶然令和にタイムスリップしてしまう。昭和とは価値観の違う社会で騒動を起こしつつ、その明快な言動が面白がられたりもしている。しかし小川は、令和で知り合った犬島渚(仲里依紗)が自分の孫であること、そして自分と愛娘の純子(河合優実)が、阪神淡路大震災で死ぬことを知ってしまう。一方、小川とは逆に令和から昭和にやってきた向坂サカエ(吉田羊)と息子のキヨシ(坂元愛登)もまた、昭和に居場所を得つつあった。今回のエピソードは、スキャンダルと世間について。一度でも反社会的なスキャンダルで糾弾されたタレントは、二度と元の場所で働くことは許されないのかという問いかけである。一度だけの「魔が差した」不倫で、地位を失った7年目のアナウンサー・倉持を小関裕太が好演している。「なるほどこれは魔が差して流されたなー」という優しい風情で、過去を悔やみ、悩み、詫び続ける普通の感覚の男性である。倉持の表舞台への復帰に最後まで反対する栗田(山本耕史)が、実は自身も不倫の経験者で、妻の知人達から17年も過去の不倫を糾弾され続けていると明かされる。その場面の薄ら寒さ、気味悪さと、そして小川の絶妙なタイミングの「気持ち悪っ」の一言で、全てに合点がいく感覚は何とも言いがたい。その衝撃の食事会の後、倉持は迷いを捨てて表舞台に復帰する。誰に何を償って、どう家族としての時間を生きるか。倉持のようにイバラの道を選んでタフになるか、栗田のように時折攻撃されるのを甘んじて受けて生きるか、それぞれの道なのだろうと思う。ただ、他人からの糾弾にどう向き合うかはそれぞれとして、これは不倫そのものを肯定するエピソードではない。たとえ20年近く経っても、家族にも、属するコミュニティにも噂と傷は残る。おそらくその先も、数十年も残り続ける。なかなかにゾッとする描き方ではあった。過去の宮藤官九郎による作品を演じた名優たちが、ゲストとして次から次に登場するのも今作の大きな楽しみだが、今回ついに『クドカン作品のミューズ』、キョンキョンこと小泉今日子が本人役で登場している。昭和のシーンでは衣装のみ。ちらりと映る赤いチェックのワンピースに、『木枯しに抱かれて』を歌っていた頃かなと懐かしく思った。令和では58歳の小泉今日子として、年齢を重ねた美しさと、茶目っ気をもっての登場だった。思えばキョンキョンはどの年齢の時も、彼女自身を誤魔化そうとしなかった。58歳の今も、ちゃんと年相応に美しくて、素敵だ。おそらく若い世代が見て、年齢を重ねていくのが怖くならない、人生が楽しみになる生き方のお手本のひとりだと思う。そして最後に、ドラマの癒し枠・ムッチ先輩(磯村勇斗)は、依然無垢でおバカな癒し枠のまま令和から昭和に帰っていった。昭和に青春の輝きを放っていたムッチ先輩は令和の今、随分と恰幅のいいおっさん(彦摩呂)になっていた。キョンキョンが素敵なおばさんになって、錦戸亮が古田新太になって、磯村勇斗が彦摩呂になるらしい38年間という時間だけれど、でも生きていたらとりあえずそれでいいよね、と笑い泣きしながら思ってしまう。よくタイムリープの物語では、悪い未来を変えるために過去で奮闘するけれど、小川市郎は過去の自分達の人生が報われる未来であってほしいと願って未来で闘っている。昭和生まれとして時に理解できない今の時代を嘆くより前に、次の世代の為に、そして自分たちの為に、よりよい社会になるようもっと足掻かなくちゃなと、ふと思った。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年03月18日若いころからおしゃれに無頓着だった私ですが、アラフォーになって「推し」ができたことで大変化! 一念発起して派手な服を買ったのですが、娘のひと言に傷ついてしまいました。K-POPにハマり人生初の推しが私はもともと自分の身なりに無頓着なうえ、20代は仕事に追われ、30代は育児に追われて、自分のために時間をかける余裕がありませんでした。メイクやおしゃれもおざなりで、軽く身なりを整える程度。人前に出られるギリギリ最低限の格好で20~30代を過ごしてきた私ですが、40歳を目前にして転機が訪れます。夜中にダラダラとYouTubeを見ていると、とあるK-POPダンサーの動画が気になり、何とはなしに動画を再生してみました。その動画を見た瞬間、雷に打たれたような衝撃が! 彼のダンスにどハマりし、人生初の「推し」ができました。そしてその日から「推し」の動画を視聴することが、毎日を生きる糧になったのです。彼の動画を見るうちに、多忙なスケジュールをこなしながら、語学やレッスンを頑張る姿を尊敬するように。そしてちょっと忙しいくらいで、自分磨きをしない私自身を恥ずかしく思うようになりました。推しのおかげで努力が実を結ぶ!?そこで私は一念発起! 健康のためにストレッチを始め、メイクやおしゃれにも気をつかうようになりました。自分磨きをするようになってからというもの、ストレッチのおかげで肩凝りや腰痛が解消され、スキンケアに注力した結果、肌ツヤも明らかに改善。服装にも気をつかうようになった私は、自分の体形をキレイに魅せる服を買い、いくらかマシな見た目になりました。その結果、子どもの授業参観のときに「◯◯ちゃんのママ、キレイだね」とまで言われるようになったのです! 努力が実を結んだことを「推し」に感謝するとともに、とてもうれしい気持ちになりました。私を見た娘からの衝撃のひと言自信がついた私は、以前から気になっていた服を買おうと決めました。「推し」がキラキラのパンツをカッコよく着こなしていたのですが、それに似たスパンコールのタイトスカートをネットで見かけて大興奮! これを買えば私も「推し」に近づけるかも……と考えて、思い切って購入しました。届いた服は、ゴールドでスパンコールのタイトスカートでしたが、トップスとうまく合わせれば意外と落ち着いた色合いです。「推し」とおそろいのスカートをはいてウキウキしていた私の部屋に、いきなり娘が入ってくると、彼女の息をのむ音が聞こえました。娘は私を見て、「ママ、マ〇ケンサンバみたい!」。そのひと言を聞いて、私はヘナヘナと崩れ落ちました。たしかによく考えれば、ゴールドのスパンコールといえばマ〇ケンサンバ。ストレッチを始めたとはいえ、大きなおしりはそのまま。タイトスカートというよりは、立派な着物のようです。まとめアラフォーになっておしゃれに気をつかうようになったとはいえ、付け焼刃では太った体形までは変えられません。おしゃれ上級者への道のりはまだまだ遠いなと思い知らされた出来事でした。「推し」におしゃれの道を開いてもらい、娘に客観的に指摘してもらったことに感謝して、これからも精進していきたいと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。マンガ/☆まりかな☆著者/大野 肉美結婚15年目、小学生と幼稚園の2児の母。大手外資系金融会社を退職後、出産を機に主婦に。現役時代に培ったレポート作成の経験を活かして、現在はライターとして活動している。
2024年03月15日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。勿体ないと思うこと。宮藤官九郎の連続ドラマは、視聴者の評価が高まれば高まるほど、完結に向けて視聴者の輪が閉じる。もちろん作り手としてそんなことは決して意図していないはずだが、緻密な構成が知られているために、未見の視聴者の間に「後から見てもちゃんと分からないでしょ」という空気が醸成されてしまう。面白いと言えば言うほど輪が広がらないもどかしさはファンにもあるが、何より一番もどかしいのは作り手だろう。『不適切にもほどがある!』7話はそんなもどかしさと、視聴者にとっての面白さとは何かについて深く考えさせられる回だった。小川市郎(阿部サダヲ)は昭和の中学の体育教師。『地獄のオガワ』というあだ名の通り、デリカシーも配慮もないが、情に厚い男である。妻とは早くに死に別れ、娘の純子(河合優実)と二人で暮らしている。その小川が偶然、令和にタイムスリップしてしまい、その明快かつ大胆な言動が意外と有り難がられてテレビ局のアドバイザーに。しかし、令和で知り合った犬島渚(仲里依紗)が純子の娘、つまり自身の孫だと知り、更に小川は9年後に自分と純子が阪神大震災で死ぬことを知ってしまう。その事実を純子に言えないまま、小川は純子を令和に連れてきて渚と純子の夫・ゆずる(古田新太)に会わせる。小川の中でも、知ってしまった娘の寿命をどう捉えたらいいのか答えはまだ出ない。一方、令和から昭和へやってきた、向坂サカエ(吉田羊)と息子のキヨシ(坂元愛登)はマイペースに昭和での生活を楽しんでいる。キヨシは不登校の同級生、佐高(榎本司)とラジオを通した縁でようやく会えるようになっていた。先週に引き続き、小川は大御所とオワコンの境界線上のベテラン脚本家・エモケン(池田成志)の、新作ドラマの立ち上げに絡んでいる。始まる前から制作側が前評判に神経を尖らせる様子は、いかにも令和のドラマの現場という感じである。SNSでリアルタイムにドラマの感想をポストする人々に対する小川の「そいつら見てねえな!」というツッコミや、「大事なお客さんだし。この人達の承認欲求はここで満たされてるわけですから」という羽村由喜(ファーストサマーウイカ)のセリフが、非常に耳が痛い。SNSと切っても切り離せぬ令和のテレビ制作・視聴を描くこのエピソードで、とりわけ印象深かったのは、純子をデートに連れ出したナオキ(岡田将生)が淡々と語った『好きなドラマ』の評価だった。「ぼく、ドラマって全部通して見たことないんですよね。たまたまテレビつけたらやってて。6話とか7話だけ見て。その回が好きならぼくにとってそれは、好きなドラマです」おそらく今この国で一番巧妙に伏線を張り、ストーリーの美しい多面体を構築する脚本家・宮藤官九郎が書き上げたこのセリフ、複雑な余韻の言葉を噛みしめてみる。本来は一つのフィクションを楽しむのに、初回から画面の隅から隅まで注視してSNSで語りあう楽しみ方も、あるいは言葉として語らず胸の中で噛みしめる楽しみ方も、ナオキのような偶然の断片的な楽しみ方も、正誤も上下もないはずである。楽しみ方に『べき』はない、好きに見てくれればいいというなんとも風通しのいい、力の抜けたセリフ。同時に、どこから入ってもらっても構わないという意味で、プロとしての矜持を感じさせる言葉でもあった。今後、テレビで放送されるドラマがどんな流行を辿るかはともかく、当面はSNSで多くの人々が感想を共有しあう流れは変わらないだろうし、作り手もそれを前提にしてドラマ制作やプロモーションをすることになるのだろう。まるでクドカン本人が来し方行く末を棚卸したかのような今回のエピソードを見て、ドラマのファンとしては語る言葉の有無に関係なく、作品を好きだと思う純度は大切にしたいと思うのだった。そして、この20年、毀誉褒貶(きよほうへん)と視聴率の容赦ない荒波をもがきながら泳ぎ続けるクドカンという脚本家が、やっぱり好きだと思った。令和で純子とナオキは何を見つけに行ったのか、不登校が結んだ少年二人の縁はどこに着地するのか、昭和で始まってしまいそうなサカエの恋愛はどうなるのか、そして知ってしまった娘の寿命を小川はどう見届けるのか。伏線を回収してほしいというより、笑顔と希望のあるラストだといいなと願う。さて、次回はここまでどんなシリアスな展開にも、その天真爛漫さで我々視聴者の笑いの癒し枠だったムッチ先輩がついに令和に降り立つ。その無垢さゆえに、小川市郎以上に危険な不適切の嵐が吹き荒れるかもしれない。楽しみで仕方がない。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年03月12日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。本人にはとても話せない、さしさわりだらけの未来の話題で、小川市郎(阿部サダヲ)が娘に語ったのは、三原じゅん子が国会議員になった話と、加藤茶が年の差婚をしたことと、萩本欽一が老齢で大学に入ったこと。浮き足立つその場が、それで一旦落ち着いた。現実にも気まずい会話の場で時々そういうことはあるから、改めて芸能というものが人々の人生に果たす機能について考えた。このドラマで、クドカンは昭和と令和のテレビを描きながら、時代を超える芸能そのものの役割についても描こうとしているように見える。昭和61年を生きる小川は『地獄のオガワ』とあだ名をつけられる中学の体育教師。妻を早くに亡くし、高校生の娘の純子(河合優実)と暮らしている。昭和の男の典型のごとく、心根は熱いがデリカシーもリテラシーもない。その小川が偶然令和にタイムスリップしてしまう。不適切な言動で騒動を起こしつつ、その明快さが逆に受けてテレビ局でアドバイザーを務めることになる。そんな中で、小川は自身の孫にあたる犬島渚(仲里依紗)と出会い、自分と純子が9年後、阪神淡路大震災で死亡していることを知ってしまうのだった。一方、小川とは逆に、令和の社会学者・向坂サカエ(吉田羊)と息子のキヨシ(坂元愛登)は、昭和にやってきて小川の部屋に滞在している。キヨシは不登校でまだ出会ったことのない同級生・佐高を気に掛けていた。前回、小川本人と純子の寿命が明らかになってしまうという衝撃の展開とともにドラマは折り返しを迎えた。それを受けて、6話ではいずれ来ることが分かっている悲しみにどう向き合うか、解決できない問題をどう受け止めるかということが、悲喜こもごも交えながら描かれていた。とりわけ印象深いのは、「どうなるか分かってる人生なんて、やる意味あるのか」と、娘の運命を嘆いた小川の言葉と、それに応えた「今考えてもその時考えても分からないなら、今の日々を楽しく、好きなように生きたらどうだろう?」というサカエの言葉だった。そこにはなぜ生きていくのかという、人生そのものへの問いかけがあり、解決できない不条理や痛みを抱えて生きる人に対し、極力誠実であろうとする返答がある。それにしても、小川とサカエのひそひそ話の最中に寝ぼけて現れた純子は何も聞かなかったのだろうか。純子は、令和で娘の天命を知ってもしばらく知らないふりを通した、小川市郎の娘である。気っぷのよさも愛情深さも、それを素直に言えないところも、小川から受け継いだ娘である。本当に小川とサカエの態度から何も察しなかったのかは、この先に向けて気になるところだ。知ってしまった娘の寿命に親としてどう向き合うか。胸に迫る展開ではあったが、宮藤官九郎らしく容赦ない笑いと心が緩むような優しいエピソードも随所に散りばめられている。令和で制服姿の純子を見て「あばずれてる!」と感極まって泣くゆずる(古田新太)の姿にはもう錦戸亮が重なって見えるし、半ばオワコン化しつつあるベテラン脚本家の代表作に、ギャングが暗躍する公園が舞台のドラマを自虐気味に挙げるところも容赦ない。そして、自分が母の寿命を縮めたのではないかという不安と、シングルマザーの道を選んだのは正しかったのかという迷いに揺れる孫の渚が、純子の率直な言葉に救いを得るラストの3分は、思わず目頭が熱くなった。張りめぐらした伏線の鮮やかな回収もクドカンだけれども、不意打ちでこういう優しさを仕掛けてくるのもまた、クドカン作品の魅力である。目下、このドラマでは柔らかいがどこか息苦しい令和の世を、昭和の明快さで解決する展開が目立つ。けれども令和の柔らかさが、昭和の野蛮さで傷つく誰かを包んで救うことだってあるはずだと思う。見た目は昭和のヤンキーだけど、心は令和の柔軟さを持ったままのキヨシは、学校から弾かれた同級生とどんなやりとりを交わすのか。チェーンロックを外した向こうには、何があるだろうか。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年03月04日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。最初に小さなひっかかりがあった。2話の最後、「今日、正人くんどうしたの」という質問に「お父さんが見ててくれるから大丈夫」と答えた犬島渚(仲里依紗)の言葉。渚の親の世代で、一人で乳幼児をきちんと預かることが出来る老父は珍しいんじゃないかと思った。その小さなひっかかりの答えを、今回知ることになった。1986年に生きる小川市郎(阿部サダヲ)は、生徒に『地獄のオガワ』とあだ名される中学の体育教師。あだ名の通りハートは熱いがガサツ。ジェンダー、パワハラ配慮なし。そんな小川市郎が、令和の現代にタイムスリップしてしまう。令和の世にはあり得ない雑な言動で騒ぎを引き起こすものの、その破天荒さがうけてしまい、テレビ局でアドバイザーを務めることに。小川はテレビ局で働くシングルマザーの渚と意気投合し、いい雰囲気になりかけるが、小川の娘・純子(河合優実)の名前から、渚は小川の孫だと判明する。しかし渚が会ってほしいと連れてきたのは、渚の父親で『ゆずる』と名乗る男(令和・古田新太昭和・錦戸亮)だけだった。二人の話によると純子は離婚して海外に行ったというが、どうも様子が怪しい。そして小川と逆に、令和から昭和へタイムスリップしている向坂サカエ(吉田羊)と息子のキヨシ(坂元愛登)は、不登校でまだ出会ったことのない同級生の存在を知る。クドカンドラマの中に潜むのは…ドラマ全体の折り返しに、宮藤官九郎がアクセルを踏み込んできた。怒濤の笑いと胸にせまる悲しみがごちゃ混ぜになって、それをエピソードとしてまとめあげる。その腕は宮藤官九郎ならではだ。そもそも古田新太の若い頃が錦戸亮という無理筋を、前半は『覇者』『肩パッド』『許しを請うダンス』で大笑いさせておいて、それでも最後には見る者を思わず泣かせてしまうのである。クドカンの頭の中では、笑いと哀しみの境界線でどんな化学変化が起きているのかと改めて不思議に思う。軽薄に見えて実は誠実で愛情深かった婿が、最初に作りたいと願ったのが義父の背広なのも、純子が父を東京まで迎えに行ったのも、採寸が上手くいかなかったのも、飲食店で朝まで語り明かしたのも、何もかもそれぞれの愛情ゆえだった。その互いの愛情のベクトルが父と娘をこの世から連れて行ってしまう残酷さに、ただただ胸が詰まる。『あまちゃん』(NHK)『いだてん』(NHK)『俺の家の話』(TBS系)そして今作。クドカンが描くドラマには、ありふれた愛おしい日々の中に影のように災害や死の不条理が潜んでいる。だがその理不尽と同じくらい、そこから日常に立ち戻る人々の営みも丁寧に描かれる。真実を告げ、深々と詫びて頭を下げたゆずるに、小川が「で?背広は?」と力強く促した言葉は、それでもきっとお前はあの背広を縫い上げただろう、絶望の中で仕事を全うしただろうという確信あってのものだった。そして、最後に背広姿の小川を見て、渚が誇らしげに「当たり前だよ!父さんが仕立てたんだから!」と言ったその言葉一つで、父と娘で寄り添って生きた年月が分かって胸が熱くなる。ゆずるが縫い上げたそれは、まさしく『父の背広』であった。スーツでもジャケットでもなく背広。裏地に漢字で名前が縫われた背広。背広を着てタバコを取り出し、火をつける小川市郎は実に格好よかった。タフな昭和のお父さんの格好よさだった。そして、それは令和の今は通用しない失われた格好よさであるからこそ、尚更素敵に見えた。ちなみに宮藤官九郎は、その作品の中で美形を美形に見せなくする名人である。数多くの時代をときめくイケメンたちがクドカンの手にかかると「残念な愛すべきポンコツ」になってしまうのである。錦戸亮は、そんなクドカンの魔力で大いに輝く俳優である。今回も顔は良いのに何だかなあ、な男に見事にハマっていた。やっぱりクドカン作品の錦戸亮は、とてもいい。今回は切ない令和パートではあったが、昭和ではキヨシが見知らぬ不登校の同級生と繋がろうとするエピソードが始まった。このドラマの中で、マスメディアの主流として描かれるテレビとは対照的な魅力を持つメディアとして、ラジオがピックアップされようとしている。そして、仮に自分自身の天命を受け入れたとしても、果たして小川は愛娘の死を黙認できるのだろうか。少しでも光がさす展開になるといいなと思う。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年02月27日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。確かに昭和歌謡は強烈だった。歌姫テレサ・テンの歌の多くは婚外恋愛を前提にした歌詞だし、黒沢年雄の名曲『時には娼婦のように』を子供の頃に歌番組で聴いて、親に「娼婦ってなに?」と無邪気に聞いてしまった昭和世代も多いことだろう。『不適切にもほどがある!』(TBS系金曜22時)の4話の中では、秋元康プロデュースの代表曲として『セーラー服を脱がさないで』が出ていたけれども、同じ時期の他の秋元康プロデュースのヒット曲のタイトルは『バナナの涙』『象さんのすきゃんてぃ』などである。タイトルからパンチが効きすぎである。現代の感覚だとこれはないなと感じるけれども、そう感じる変化の一線がどこかに明確にあったわけではない。徐々に徐々に、昭和から令和へと私たちの感じる基準は変わっていったのである。1986年、中学の体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)は『地獄のオガワ』と呼ばれるゴリゴリの昭和の教師である。ハートは熱いが、体罰ありセクハラあり配慮なし。妻を早くに亡くし、娘の純子と暮らしている。その小川が、偶然令和の現代にタイムスリップしてしまう。昭和の価値観で令和の世で騒動を引き起こすが、その破天荒さが逆に令和では受けたりもしている。好青年の秋津真彦(磯村勇斗)や、テレビ局で働くシングルマザー犬島渚(仲里依紗)といった、小川を助けてくれる人もいる。そして渚とは妙にいい雰囲気になっている。一方、小川とは反対に令和から昭和に、ひと組の親子がタイムスリップしていた。社会学者の向坂サカエ(吉田羊)と息子のキヨシ(坂元愛登)である。フィールドワークとしてやってきたサカエは昭和で小川の家に居候しているが、息子のキヨシと中学生の頃の夫・井上昌和(中田理智・三宅弘城)が気づかずに仲良くなることに困惑していた。今回のメインは、SNSとの距離感。昭和のオヤジならずとも耳の痛いテーマである。令和でスマートフォンの使い方に慣れてきた小川は、仕事のグループチャットで同僚に絡みまくった挙げ句に既読スルーされて怒りだしてしまう。その様子と対照的に、昭和ではキヨシが授業中に飛び交う折りたたまれたメモに翻弄され、純子との待ち合わせを忘れて会えないままになってしまう。どんな時代であっても、行き交うメモなりSNSなりで小さなコミュニケーションが人を夢中にさせるのは変わらないのと同時に、モバイルがない時代の『人が外で会う』ということの心許なさを描く巧みさが印象に残った。モバイルがない時代の恋愛は、相手と連絡が取りづらいその分、現実にその場に居合わせたかどうか、偶然の要素が今よりもずっと大きく、その分だけ危うかった。モバイルの普及は、恋にせよ仕事にせよそういう『人と会う』ことの不確定要素を小さくしてきたけれども、その分現代の私たちを息苦しくしているのは言うまでもない。だからこそ、純子を部屋から連れ出したキヨシが言った「スマホないのに、純子見つけられた!雨の夜、スマホ使わずに純子に会えた!」という、言葉に詰め込まれた驚きと喜びがストレートに胸に響く。結局のところ、SNSで交わされる小さなやりとりの大半は、昭和の授業中に飛び交ったメモと同じように、楽しかったり気をもんだり悲しかったりもするけれど、後で考えたら漫然として覚えていないようなものかもしれないと思うのだった。そして、現代の私たちはSNSを通じた人間関係の難しさに時折ため息をつくけれども、もしかしたら30年、50年後には「なんであんな息苦しい関係性をみんな我慢していたのだろう?」と不思議に思う日が来るかもしれない。パンチの効いた昭和の歌の歌詞を、「どうしてこれで大丈夫だったんだろう」と今、不思議に思うのと同じように。ここまでに小川市郎と渚が良い雰囲気になりつつも、どうやら血縁なのではないかと匂わせる描写はいくつもあったが、今回のラストで少しだけその答えが提示された。クドカン作品のキーマンを演じてきた古田新太の登場とともに。明らかに闘病中の姿で現れた古田新太演じる男は、渚の父と名乗り、更に小川市郎を『おとうさん』と呼ぶ。あまり幸せそうには見えない様子と、なぜこの場に純子は来ないのかという疑問が不穏に渦巻く。楽天的な昭和の終わりから、バブルの終焉を経て、長い停滞の平成へ。昭和を生きた人々が何を背負ってきたか、何を捨ててきたか、宮藤官九郎は描こうとしている。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年02月19日几帳面な性格で、何ごとも効率的かつ合理的にしたい主義の夫。最近では家事の時短テクや裏ワザにハマり、わが家でもすぐに実践しようとします。困るのは、そのたびに家事のルールが増えていくこと。中でも、洗濯物の畳み方の新ルールは、かえって私の家事負担を増やすことになったのです。思わず「そんなに言うなら自分でやって!」と私が伝えたところ、夫にとある変化が……。家事の裏ワザが大好きな夫の困った行動とは35歳の私と39歳の夫は、結婚10年目の夫婦です。几帳面な性格の夫は、家の中の収納や片付けに対しても“効率性”や“合理性”を求めるタイプ。机の引き出しや食器棚、クローゼットの中など、とり出しやすい場所にきちんとものが収まっていないと気になるようです。一方、私はというと、もともと整理整頓や片付けは好きなほうですが、夫ほどではありません。つい食器を違う場所にしまったり、服を置きっぱなしにしたりしては、夫に注意されることもしばしばです。夫のおかげで家の中は常にすっきりと片付いた状態。不要なもので収納がいっぱいになる、ということも、わが家では無縁です。そんな夫が最近ハマりだしたのは、よくメディアで紹介されているような家事の裏ワザ。行きつけの美容院にライフスタイル系雑誌が置いてあるようで、髪を切りに行っては熟読し、新たな裏ワザをうれしそうに仕入れてくるのです。困ったのは、夫がその裏ワザをわが家に導入するたびに家事のルールが増えていくこと。夫によってさまざまなルールが細かく決められるようになり、だんだん覚えきれなくなっていました。新ルール追加で逆に家事負担増に…私たちは共働き夫婦ですが、夫のほうが遅く帰ってくるため、家事のほとんどを私が担当しています。そのため、夫が家事の裏ワザを私に伝授するのは「家事負担を減らそうとしてくれてるのかも」と楽観的に捉えていました。しかし、そのうち夫の真意は違うのかも……と思うように。というのも、夫はすべての家事にまんべんなくこだわるのではなく、自分が気になる部分にだけルールを追加しているからです。夫の決めた家庭内ルールの中でも特についていけなかったのが、テレビでもよく紹介されていた“服が自立するような畳み方”。最初に聞いたときは「え? 服が立つってどういうこと……?」と理解できなかったのですが、服を四角く折り重なるようにたたむと、側面を底にして縦置きできるようになるんだとか。たしかにこの方法で衣服を畳み、立たせた状態のまま収納すれば、見た目もきれいで取り出しやすくなりました。まさに几帳面な夫が好きそうな効率化がかなう家事テクです。ただ、この畳み方を毎日続けるのは、意外にも面倒……! というのも、わが家は夫婦2人しかいないにもかかわらず、夫の仕事関係の洗濯物が多く、毎日たくさんの衣服を畳まないといけないのです。今までだったらササっと畳んで済んでいたはずが、「立つように……」と意識しないといけません。ただでさえ洗濯物を畳むのに時間がかかっていたのに、夫の追加した新ルールによって、かえって私の家事負担が増えてしまいました。もう無理!夫のルールを拒否した結果最初は夫のルールを守ろうと心掛けていたものの、だんだんと以前の畳み方に戻ってしまう私。そうすると夫が「畳み方が違うよ」と、自ら服を畳んで見せてくるのです。夫がそっと床に置くと、私の目の前でしっかりと自立する洗濯物。それを見ていたらますますやる気が失せて、思わずため息がこぼれてきます。そして、ついに我慢できなくなった私は「そんなに言うなら自分の分は自分で畳んで! 」と、夫に冷たく言い放ってしまいました。すると、夫は少し考えてから「たしかに……そうするよ」とあっさり快諾。いつの間にか“洗濯物を畳むのは私の仕事”と無意識に思い込んでいたせいで考えつかなかったのですが、最初からこうすればよかったのです。それからというもの、夫は自分の服を自分で畳むようになり、私の家事負担がぐっと減りました。これをきっかけに他の家事も分担しようという動きに。このときばかりは、夫の家事ワザ好きが良い方向に働きました。まとめ夫から伝授される家事の時短テクや裏ワザはどれも「やってみたい! 」と思わせるものばかり。最初は、私も乗り気でした。しかし、そのせいで夫はどんどんルールを課すようになり、私も断りづらくなっていたのかもしれません。それも、服の畳み方の一件を機にお互いの意見を言い合えるように。今では「自分がこだわりたい家事は自分で」という新ルールが採用されています。これからは、メディアで紹介されているような家事ワザをなんでもかんでも実践するのではなく、わが家に合うものだけ取り入れていこうと心に決めました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。マンガ/☆まかりな☆著者/水野文子(34歳)8歳・3歳の男の子兄弟を育てています。最近、頑張っているのはエイジングケアと宅トレ。やんちゃすぎる息子たちのパワーに負けぎみな30代ママのリアルな体験談をお伝えします。
2024年02月16日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。遠い遠い昭和の時代、ドラマもバラエティも歌番組も、そこに出ている人たちは人ではあるけれど、なんだか生身の人ではないように感じていた。それは私自身が幼く、人生経験が希薄だというのもあったけれど、同時にその頃はテレビに出ている人たちが、本当はどんな人でどんな生活をしているかを知る機会は今より極めて少なかった。そしてあの頃、随一の巨大なメディアだったテレビに出ている人たちは、画面に映る自分達の『役割』とイメージを良くも悪くも堅固に守っていたのである。昭和を生きるゴリゴリの体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)。妻と死別し、高校生の娘・純子(河合優実)と昭和の父娘らしく衝突したりお互いを思いあったりしながら暮らしている。そんな小川が、偶然令和にタイムスリップしてしまう。昭和らしいコンプライアンスも配慮もない言動で騒動を起こしながらも、小川の言葉は令和の複雑なトラブルを解きほぐしていく。一方、小川とは逆に令和から昭和にタイムトラベルしてきた親子がいた。社会学者の向坂サカエ(吉田羊)と、その息子のキヨシ(坂元愛登)である。フィールドワークとしてやってきたサカエだが、純子に一目惚れしたキヨシの熱望で昭和に滞在することになる。昭和と令和を行き来する小川と、昭和に滞在している向坂親子。それぞれの価値観を通した過去と未来はどんなふうに見えるか。爆笑とときめきと、時々涙と、そしてなぜか歌とダンスでそれを描き出す『不適切にもほどがある!』(TBS系金曜22時)。3話で描かれるのは、セクシュアルハラスメントに明確な判断基準はあるのかという、極めて、デリケートな内容である。それは現代の火薬庫である。このエピソードにあたり配役されたのは、善人悪人どんな人物にでも変化する万能の名優・山本耕史。そして『いると場がまとまる』スパイスのようなバイプレーヤー八嶋智人。さらに、ヤバいキャラも不思議な可愛げで『あり』に見せてしまう異能のコメディアン・ロバートの秋山竜次。くせの強さがロイヤルストレートフラッシュのような組み合わせで、脚本含め制作はこのデリケートな回を組み上げた。昭和のエロ全開な深夜番組と、令和の配慮でがんじがらめの情報番組を交互に配し、見る側の『不謹慎』を揺さぶってくる。もちろん、エロ全開の昭和の深夜番組を全肯定するわけでもないし(自分が十代で見ていた頃にも居心地の悪さはあった)、どちらもデフォルメされた描写だと理解しながらも、今のバラエティ番組がなぜ没個性になるのか、今のテレビの萎縮具合が痛感できるエピソードだった。今回興味深く感じたのは、サカエが深夜番組の収録でぽつりと呟いたこの言葉である。「偉いよね、あの子たち。なぜ自分がここに呼ばれ、どう振る舞うべきかちゃんと心得てる。求められる役目を、誇りをもって果たしてる」サカエはフェミニズムの研究者である。だが昭和の露骨で野蛮な性差別に呆れはするものの、その価値観でリアルタイムに生きている昭和の人々を全否定はしない。性的な衝動を想起させる、昭和のバラエティとしての仕掛けを『役割』と見抜きつつ、同時にサカエは女性に対する価値観に混乱を起こす小川に「どんな女性も娘だと思って」と助言を送る。「娘に対するように」というエピソードとしての解答は、もちろん全ての人にアドバイスとして届くわけではないし、女性としては「今まだそこ?」と感じる向きもあるだろう。だが、この言葉は脚本の宮藤官九郎が初歩の初歩として、なるべく多くの人に、とりわけ小川市郎のように戸惑う人に初手として届くように選んだ言葉なのだと思う。エンターテインメントを見る際には、それを担い、演じている人々の役割を全うしている姿を没入して楽しむ。同時に、そうやって演じている人々もまた、その役割の外では誰かの家族であり、誰かに大切に思われている、人として『個の存在』であることを認識する。一見矛盾しているように見えるが、その二つのベクトルが我々にとって令和のテレビ視聴の鍵となるのではないかと、もはや心待ちにしつつあるミュージカルを見ながら思うわけなのだった。さて、セクシュアルハラスメントのガイドラインという、価値観は千差万別、コメディドラマとして難エピソードを描ききったかと思えば、次話ではドラマの濡れ場で問題発生らしい。まだいくかクドカン。そして出演の情報のみ発表されて、未だ何の役か出てこない古田新太。まだ全く油断は出来ないのである。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年02月13日夫は結婚する前から料理をしていただけあって、私が忙しいときや体調が優れないときには食事を用意してくれるので助かります。しかし、私の気持ち的に負担となっていることがあります。ぜいたくな悩みのようですが私が困ってしまっている体験談を紹介します。休日にごはんを作ってくれる夫夫の仕事が休みの日は、毎朝夕飯の献立を何にするかを夫婦で話し合っている私たち。そして、昼間に夫と食材を買いに出かけて準備するのですが、メニューやそのときの体の調子に合わせて、どちらをメインに作るかを決めることが多いです。私がキッチンに入ると夫も野菜を切ったり、フライパンで食材を焼いてくれたりととても協力的。料理の好きな夫でよかったとつくづく感謝する日々です。食べ終わった食器も洗ってくれるので、夫の休みの日の夕飯はのんびりと過ごせています。普段は買い物から調理、後片付けまで私ひとりでこなしていて大変なので、つい夫に甘えてしまいます。夫がキッチンに立ってくれるので、時間にも余裕ができ、洗濯物を畳むといった別の家事をしながら夕飯の支度ができることがありがたいです。夫の作るごはんは創作料理キッチンに入ることを嫌がらない夫には感謝しているのですが、実は少し困っていることがあります。それは、夫の作る料理がとても創作的なのです。使う食材の組み合わせを聞いて、「それで何作るの?」と聞いてしまうこともあります。あまりにも独特な組み合わせなので、テレビや会社の人から得た情報なのではと思い、深くは詮索せずにただ作ってくれたものを食べていました。朝食にはパンをよく食べるのですが、フレンチトーストのような甘いパンを作ってくれたことがあります。私は卵と牛乳、砂糖、パンなどで作ったものだと思っていましたが、材料はパンにババロアを卵と一緒にといでオムレツにしたものを挟んだとのことでした。私にはババロアオムレツという発想がなかったので、とても驚いたことを覚えています。味はというと、甘さと塩っ気があり複雑な味わいでおいしかったです。ファストフード店のモーニングでも、甘じょっぱいサンドがありますし、ピザでもデザートピザがあるので、飛び抜けて創作的とは言えませんが、私にとっては忘れられないメニューでした。夫の作る料理は私が考えていたものとは大きく異なることもあり、味の感想などを言うときには少し困ることもあります。褒めないと機嫌悪くなるのはわかるけど夫の作る料理は、食材の組み合わせは意外ですが、味は悪くはありません。海外の食事のようなイメージだと思うと、不思議と夫の作る料理は奥深いと思えるようになりました。ただ、夫からは「おいしい」という言葉が欲しいというオーラが伝わってきて、複雑な味とは決して言えず少しつらかったです。以前、「少しエキゾチックな味だね」と言ったことがあったのですが、あまり喜んではいませんでした。時間と手間をかけて作る夫からしてみれば、家族からおいしいといってもらえることが何よりもの感謝なのだということはわかります。ただ、料理を作ってくれることに慣れると、夫に対して私もつい本音を話したくなってしまうのです。しかし、本音を夫に話したところで喧嘩になったり嫌な顔をされたりするだけで、はたまた料理が嫌になってしまうかもしれないので、グッとこらえています。まとめ夫は料理を率先して作ってくれるので、とても助かるのですが、味が独特なので少し戸惑ってしまいます。きっと珍しい味付けに慣れていなかったので、なかなか私が受け入れられなかっただけかもしれません。ただ、せっかく休日に作ってくれるのですから、私も夫の料理を楽しむようにして、料理が嫌いにならないようにこれからも接していこうと思っています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。マンガ/☆まかりな☆著者/Y.N.(44歳)大学生の子どもが2人。自宅で過ごすことが多くなり、パン作りやお菓子作りに励む。季節感を取り入れた生活が好きで、フルーツシロップ作りもしている。
2024年02月10日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。幼児二人を育児中の知人が、「あのドラマを見ていたら、子供たちがチョメチョメとかニャンニャンとか覚えてしまって。意味も分からず面白がって連呼するの。あれはチビたちのいないところで見なきゃ」とため息をつくのであった。「なるほどねえ」と頷きつつ、幼児の心を捉える昭和の流行語が持つ破壊力や生命力に感心する。そして、その生命力をあのドラマは鮮やかに映し出している。言うまでもなく、あのドラマとは昭和と令和の世を描くタイムスリップコメディ『不適切にもほどがある!』(TBS系金曜22時)である。昭和61年を生きる中学校の体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)。生徒からつけられたあだ名は『地獄のオガワ』。そのあだ名そのままにガサツで粗暴な男である。性別・マイノリティへの配慮は皆無、だが男気と昔気質の優しさはある。妻と5年前に死別し、高校生の一人娘・純子(河合優実)を育てている。そんな小川市郎が偶然現代にタイムスリップしてしまう。配慮のない小川の言動は現代で騒動を引き起こすが、時に膠着(こうちゃく)している現代の問題を解決する。一方、小川とは逆に令和から昭和にタイムスリップしている親子がいた。社会学者の向坂サカエ(吉田羊)とその息子のキヨシ(坂元愛登)である。研究の一環でやってきたらしいサカエだが、親子が現代に帰る間際、純子に一目惚れしたキヨシが帰りたくないと熱望して残ることになってしまう。それぞれの時代で違う価値観に困惑しつつ、小川と向坂親子は様々な人々に出会う。今週のメインテーマは、働き方改革は本当に人々を幸福にしているのか、である。令和で小川が出会ったのはシングルマザーの犬島渚(仲里依紗)。テレビのバラエティ番組のアシスタントプロデューサーで育休から復帰したばかりである。育児は大変だが、仕事への意欲は高い。そんな彼女を働き方改革による上司・部下との断絶と、その分の仕事のしわ寄せが悩ませる。配慮されているはずなのに、なぜか苦しさばかりが増える。意欲を持って仕事をしたくても、意欲を受け止めてくれる相手がいない。脚本家・宮藤官九郎の鋭い聴覚は、働き方改革の狭間に落ちた人たちの、言葉にならない深いため息を捉えたのだと思う。象徴的なのが「独りで抱え込まないでね」「出来ることがあったらなんでも言ってね」といった、よくある親切かつ配慮に満ちた言葉である。そう、親切だしありがたいが、現実にはあまり問題を解決しない不思議な言葉である。その「役に立たない」言葉を、クドカンは小川の一つのセリフできちんと機能させる。「あんたが今、してほしいことが俺に出来ることだよ!」独りで抱え込む人は希望をうまく言葉に出来ないのだとしたら、それを言葉にさせる為にスイッチを切り替える。そして他人に配慮のない、距離感の近すぎる昭和の男がそのスイッチになった。最終的に「働き方なんて自分で決めさせろ」という結論、排すべきは同調圧力という展開は実に鮮やかで胸熱だった。初回で驚かされたミュージカルの場面も、2話目になって、不思議と「きたきた!」という感じで楽しみになってきた。今回は渚の元夫・谷口を演じた柿澤勇人がメインで朗々と歌い踊り、突然ミュージカルが始まる違和感も粉々に吹き飛ばす豪華さだった。このミュージカルのシーンは、公式HPにまとめてアップしてあり、作り手の力の入れようが伝わってくる。おそらくこの調子で、回を追うごとにミュージカルの場面は楽しみになっていくだろう。もう一つ、2話目で興味深く思ったのが、令和から昭和にやってきた少年・キヨシが意外なほどに昭和を楽しんでいる描写である。純子への想いを賭けてムッチ先輩(磯村勇斗)とタイマンを張り、ダチとして認められ、短ランを譲り受けてイケてるヤンキーにクラスチェンジ。愉快なムッチ先輩を演じる磯村勇斗は、こんなにコメディにハマるのかと驚くほどの快演である。それは、SNSなんかまだどこにもない、人の悪意も善意も単純で野蛮な昭和時代。でもその単純で野蛮な時代が変わっていく必要があったから、今の社会があるはずである。そして昭和よりずっと柔らかで優しいはずの令和でも、人々の多くは幸福に見えない。宮藤官九郎の優しいけれども容赦ない目は、笑いと涙の物語の中でその一端を暴くだろう。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年02月05日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。おそらく全国あちこちで、2024年1月26日の22時10分あたり、「昭和生まれの中年がメンタル瀕死になっていたのではないか」と思う。「こんなに野蛮な時代だったか?」「こんなにひどい日常だったか?」と思っただろう。だが記憶をぼんやりと辿るに、ドラマとして詰め込んではいたけれど、全部確かに現実にあったことだった。配慮のない会話も、職場で女性の容姿をからかうのも、教育現場での暴力も、残念なほどに全部あった。少しでも品質の良いカセットテープで音楽を録音しようと必死だった。大体、安売りのテープが『のびて』音が悪くなった時の悲しみといったら、非常に切ないものだった。ついうっかりそんなことまで思い出してしまった。そんな人生に疲弊した中年の心をこてんぱんにする怪作『不適切にもほどがある!』(TBS系金曜日22時)。脚本は、四半世紀近くこの国のエンタテインメントの辺境を開拓してきた宮藤官九郎である。始まりは1986年(昭和61年)、主人公は中学の体育教師で、妻と死別後ひとりで娘を育ててきた小川市郎(阿部サダヲ)。昭和の体育教師という設定を裏切ることなく、周囲への言動は粗雑かつ生徒への指導はスパルタである。その小川市郎が、突如2024年へとタイムスリップしてしまう。現代に張り巡らされたコンプライアンスと配慮の網をことごとくぶち破り、小川の言動はあちこちで騒動を巻き起こす。一方、同時にひと組の親子が逆に2024年から1986年にタイムスリップしてきていた。社会学者の向坂サカエ(吉田羊)と、その息子の中学生のキヨシ(坂元愛登)である。キヨシは小川の娘・純子(河合優実)に一目惚れしてしまい、未来への帰還を拒む。果たして小川は元の時代に戻れるのか、そして向坂親子はどうやって過去にやってきたのか。抱腹絶倒のジェネレーションギャップドラマが始まる。近年、宮藤官九郎は『得体の知れないもの』や『閉じられたもの』に向き合って、それらを見つめるように作品を描いてきた。テレビドラマ『ゆとりですがなにか』(2016年日本テレビ系)では、ゆとり世代とひとくくりにされる世代の複雑さと苦悩を、『監獄のお姫さま』(2017年TBS系)では怒れる女たちの痛みと連帯を、『俺の家の話』(2021年TBS系)では老親の介護という悲しみと困難を。そして今作で宮藤官九郎が掴もうとしているのは、コミュニケーションにおける配慮という、目に見えない『空気』である。それは人と人の間に必要不可欠だけれども、無さすぎれば関係を壊し、有りすぎれば対話を硬直化して錆びつかせる。その、安易に言語化できないものをエンタテインメントとして描きだすために、粗忽(そこつ)さすらも魅力に変えてみせる阿部サダヲの存在は必須である。唯一無二の身体表現で鬱陶しい昭和の中年男に一匙ぶんのかわいげを加味している。居酒屋の一幕、配膳ロボットが延々と炙りシメサバを運ぶ。タッチパネルの誤入力がそのままノーチェックで通ってしまう不条理、さらにロボットが運んだ後で炙りにくるのはアルバイトという、不条理に不条理をたたみかける展開は、宮藤官九郎らしい怒濤の笑いと毒に満ちていて素晴らしかった。さらにクライマックスのミュージカル仕立てのシーンに仰天しつつ、『木更津キャッツアイ』(2002年TBS系)で、時間を逆戻りさせて再度見せる展開に驚いたことを思い出した。他にも篠原涼子を古田新太に変身させてしまう『ぼくの魔法使い』(2003年日本テレビ系)といった「ありなの?」を「面白い!」に昇華させてきたその剛腕で、このミュージカルのシーンも見せ場に磨き上げていくのだろう。そして1986年と2024年を繋ぐゲートを守るのが、40年の芸能人としてのキャリアを信念を持って走り続け、宮藤官九郎作品でも数々の重要な役柄を演じてきた小泉今日子のポスターだというのが、何ともエモい。それにしても、なぜ中学生のキヨシは尾美としのりの名前どころか、生年月日まで知っていたのだろう。昭和のムッチ先輩(磯村勇斗)とそっくりな令和の秋津(磯村勇斗)の関係、小川の娘・純子は令和でどうしているのか、向坂親子はどんな経緯で過去にやってきたのか、そして喫茶『すきゃんだる』に居たシングルマザー(仲里依紗)は何者なのか。何せ物語が進むにつれて点と点が線になり、線と線が面になり、面が立体になる宮藤官九郎のドラマである。これから春まで、昭和パートに悶えつつ、令和になっても決して守りに入らない、名手が描く物語の妙に唸る週末になりそうである。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年01月29日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2024年1月スタートのテレビドラマ『グレイトギフト』(テレビ朝日系)の見どころを紹介します。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。以下、ネタバレが含まれます。これは医療ドラマではあるけれども、いわゆる『医者が難病や重傷の患者を治す』という解決のインターバルをくり返すヒーローの作品ではない。主人公は冴えない病理医で、その上倫理観も中途半端だ。人生の限界が見え始めた中年の男が、今にも手のひらからこぼれ落ちようとしている日常を守ろうとする、泥沼のような綱渡りの物語だと思う。初回の『グレイトギフト』(テレビ朝日系木曜21時)は、ここ最近のサスペンスドラマの主流であるスピード感というよりは、主人公が危うく善悪を揺れながら渡るじりじりした展開に、最後まで目が離せないドラマだった。巨大な大学病院内で元総理大臣の大物政治家が急性心不全で急死。一見何の不審もないその死に、うだつの上がらない病理医・藤巻達臣(反町隆史)が小さな疑問を抱いた。通常では見つけづらい新種の球菌が急性心不全を引き起こしていること、そして元総理の不審死が意図的な殺人だと確信した藤巻は、球菌の危険性を病院の理事長・奥野(坂東彌十郎)に報告する。警察に届けるべきだと訴える藤巻を相手に、奥野の対応は鈍い。一方、藤巻の妻・麻帆(明日海りお)は重い心臓病で同病院に入院しており、新しい治療法を使えなければ命の危機が迫っていた。藤巻は球菌の情報と引き換えに、奥野に新しい治療法の実施を厚労省に働きかけるように迫り成功する。だが藤巻が信頼する妻の主治医で、心臓外科の教授・白鳥稔(佐々木蔵之介)に、この球菌の情報を伝えたことから事態は思いもよらぬ方向に進み、藤巻は大学内の権力闘争に球菌の存在とともに巻き込まれる。白鳥は正義感と共に強烈な権力志向を持った男で、権力を得るために球菌を使って邪魔な人間を排除する共犯を藤巻に持ちかける。それは実質、妻の命と引き換えの脅迫だった。これまで反町隆史が演じてきた数々の名作から浮かぶ彼の印象は、まごうことなく『男らしさ』『明朗さ』『行動力』といったアクティブなものだと思う。だが、今作『グレイトギフト』ではそれらをピタリと封印し、社会になじめない孤独な中年男として登場する。まず人と視線が合わない。会話のタイミングも微妙にずれる。気が弱い上に空気も読めない。既視感のある『忙しい時にはイラッとくる人』の要素がてんこ盛りである。球菌の存在を発表せねばならないと奥野に再三訴えかけるのも、正義感や倫理というよりも、大事になるまえに自分の手から責任を手放したい気持ちのほうが強いように見える。そんな哀れな凡人である藤巻だが、家族への愛はゆるぎなく、妻や娘から冷え切った対応を受けながらも報われない愛を注ぐ。妻の命の為なら、おどおどしながら駆け引きも汚れ仕事も呑み込む姿がなんとも切なく、いじらしい。その藤巻と対照的な存在がふたり。波瑠が演じる検査技師・久留米穂希と、佐々木蔵之介が演じる白鳥である。穂希は藤巻同様にコミュニケーション能力が低くマイペースだが、そんな自分に居心地の悪さや劣等感を感じることはない。殺人球菌に強い興味を持ち、迷うことなく解明したいと思っている。波瑠はどんな役を演じる時も主演級の華やかさを放つ稀有な俳優だが、今作のようなどこか体温を感じさせない、理知的な女性を演じる時にとりわけハマって輝くように思う。そして白鳥は藤巻とは正反対に、明確な理想と医師としての使命感、そして権力を得るためには邪魔な存在を迷わず排除する冷酷さを持った男として立ちはだかる。自分は正しい側の人間であるという自信に満ちた白鳥の微笑にぞくぞくさせられる。善人も悪人も等しく魅力的に演じられる円熟期の佐々木蔵之介、本領発揮の役である。他にも、彼らを取り巻く病院の面々、警察、高級ラウンジと、一癖ある手練れの俳優ぞろいで、果たしてこの殺人球菌をめぐる謎がどこに転んでいくか、人間関係がどう変化するのかは全く予想がつかない。オリジナルストーリーならではの愉しみを堪能できることだろう。今作の脚本をオリジナルストーリーで手がけるのは、黒岩勉。黒岩勉脚本といえば、過去に映画化にもなったヒット作を生み出してきている。コロナ禍を経て、今最も筆の乗った脚本家が描く生と死の物語が、どのような軌道を描くのか楽しみでならない。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2024年01月22日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガを紹介します。歯列矯正をしたかなさんは、食べ物が歯に詰まりやすくなったり、口臭が気になったりすることがありました。婚活の場では、見た目の印象が悪くならないかという心配も。しかし、矯正をしていることを素直に話すと、意外と矯正仲間がいることがわかり……。矯正5カ月後の変化とは?婚活中に歯列矯正すると、印象が悪くならないか心配していたかなさん。ですが婚活の場では「矯正していて、不快に思ったらごめんなさい」と先手を打つことに。すると「俺も今やっているよ」「俺は小さいときに」など仲間が意外といて、矯正あるあるの話で盛り上がることも!矯正して5カ月たつと、かなさんの顔のある部位に変化が起こり……。矯正して5カ月がたち、ちょっとずつ変化が訪れました。矯正前は前歯が邪魔して口を閉じられなくて、歯科医に唇の筋肉が使えていないと言われていました。「矯正したらグッと閉じられるように筋肉がついて、山形の唇になるよ!」とも。そしたら、本当にちょっとした変化ですが、上唇に山形ができている!!人から見たらささいな変化でも超うれしいものなんです。ウフフ♪一方で、歯の動きに筋肉が追いついてないなと実感することもあります。それは、飲み物を飲むとき!矯正前の私は、何かを飲むとき「カン」と言う音が鳴っていました。この音は、前歯で飲み口をホールドする音です。矯正したら前歯より先に唇が触れるようになり、今まで使ったことがない筋肉で飲み口をホールドしなくてはなりません。今まで甘やかしていた分、これが結構大変……。すぐ唇が緩んでよくこぼす(苦笑)。これ、地味に恥ずかしくて、出っ歯矯正の皆さんのあるあるだと思うんですけど、どうでしょう?-----------------「アラフォー双子の矯正日記」は今回のお話で最終回です。アラフォー&婚活中で歯列矯正をしたかなさんの矯正日記には、共感できる悩みや不安がいっぱいでしたね。歯列矯正が気になっているという人は、ぜひ過去のお話も参考にしてみてください!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/川田悟司先生(川田歯科医院院長)川田歯科医院院長。咬み合わせ認定医。長年に渡り、咬合診査・診断をおこなう。☆まかりな☆かなさんのマンガは、このほかにもInstagramで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。 この投稿をInstagramで見る ☆まかりな☆かな(@futagonokurashi)がシェアした投稿 著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2024年01月20日18年前、築10年の中古マンションを購入しました。2年前に子どもが社会人になり学費がかからなくなったので数回繰り上げ返済をおこない、ローン完済のゴールが見えてきました。しかし、それと同時に築30年近い物件だけにあちこちにガタが出てきて……。わかってはいてもついつい後回しにしてしまったことで思わぬ事件になってしまった私の体験談です。リフォームは避けて通れない!?築25年を過ぎたころから、給湯器、お風呂、トイレと立て続けに調子が悪くなりました。これらは生活する上で壊れたら困るため、何とか費用を捻出し早々にリフォームをしましたが大きな出費でした。昨年は玄関ドアの鍵のトラブルがあり、開錠のため鍵穴に鍵を挿し回そうとしても回らないことが何度もありました。ネットで解決方法を調べその都度対応しましたが、このままではいつか家の中に入れなくなることになるのではないかと業者さんに修理を依頼しました。その他にも、備え付け家具の扉のねじが緩んだり外れたりしてしまう頻度が確実に増えています。また、リビングからベランダへ出入りするためのサッシの引違い窓の鍵も調子が悪くなりました(オーソドックスなクレセント錠で、施錠具のハンドルを回転させ、受け具でロックするタイプ)。ハンドルを上に向けておくと開錠、下に向けると施錠するタイプで、ある日ベランダに出るためにハンドルを上げていたのですがちょっと席を外し戻ってくると、ハンドルが自然に下がっていたのです。確認すると、本来ハンドルを回転させるにはハンドルをしっかり握りある程度の力を加える必要があったのですが、上に向けた状態のときに、指先で(ハンドルに)軽く触れただけであっけなく下向きに回転してしまったのです。これは修理が必要だな、と思ってはいたのですが、すっかり放置してしまいました。このことが後に大きなトラブルになるなど、このときは考えもしませんでした。ベランダからリビングに入ろうとしたら窓が開かないべランダに出るための窓がリビングと和室の2カ所にあります。最初に和室の窓拭きをして施錠。次にリビングの窓を外側から磨きサッシに手をかけ中へ入ろうとしましたが、ビクともしません。「えっ? なんで?」と、窓の周りを確認してみるもベランダ側に問題はありません。室内に目をやり、鍵に目をやると……ハンドルが真下を向いて施錠されている! 理由はベランダへ出た際に窓を勢い良く閉めた際の衝撃だと思われました。どうしよう……。和室側の窓は施錠したのでそちらからは入れません。家族は皆出掛けていて、あと数時間は帰らないという状況でした。とりあえず夫に連絡してみよう!と思ったものの、スマホは窓の向こうのリビングのテーブルの上。助けてくれる人も、助けを求める手段も持たないとすれば自力で部屋に戻るしかなく、方法を考えなければなりませんでした。思い付いたのが、わが家は1階です。少々危険ではありますが、ベランダの手すりを乗り越え、数10cm下のベランダ沿いに左右に延びるマンション共用スペース(本来住民の立ち入り禁止となっている公道に面するマンションのフェンスとベランダの間のスペース)に降りて左右どちらかに行けばマンションの敷地の外へ出られます。それから、歩いてすぐ実家へ行って預けてある合い鍵を借りてくれば、オートロックの解除と玄関の鍵が開けられるからこれで解決できるということでした。脱出計画スタート、その結果は運良くベランダには台が置いてあり、それを使って手すりを乗り越えマンション共有スペースに降りることは成功しました。しかし、左の突き当たりまで進んでみると行き止まりで高い頑丈なフェンスが張られています。それなら右側へと進んでみると、こちらも行き止まりで左側よりさらに頑丈なつくりのフェンスに大きな南京錠が掛けられており、マンションのベランダ沿いの端から端のスペース内でしか動くことができなくなってしまったのです。半ばパニックになりながら、「誰か1階の人、ベランダに出てきて!!」と願いながらウロウロすること数10分後、わが家の隣の部屋のベランダに住人の方が出てきて、私に背を向ける位置でたばこを吸い始めました。申し訳ないがこの方に協力してもらうしかない!と驚かれることは承知の上で声を掛けました。かなり驚いた様子で振り向き「なんだこの人!?」という目で私を見るお隣の方。こちらも必死です、怪しい者ではないと訴え、これまでの経緯を説明し、ここから抜け出す方法を確認したいので管理会社のお客様相談窓口へ電話を掛けさせてもらえないかと懇願すると、電話番号を調べてくださり、スマホを貸してくださいました。と同時に、実家にも電話をさせていただきました。その後はお客様相談窓口の方が手際良く対応してくださり、私が本当にこのマンションの住民であるかの確認と、フェンスの開錠は警備会社の方でなければできないので、到着まで少し時間がかかること、出張料金が発生すること、部屋へ戻る際に本人確認が必要ですとの説明を受け電話を切りました。まとめ相談窓口の方との電話終了後、到着した母からベランダ越しに、合い鍵、スマホ、運転免許証を受け取り、その45分後に警備会社の方がフェンスの開錠をしてくださり部屋に戻ることができました。ベランダに閉め出されてから部屋へ戻るまでは約2時間30分。多くの方にご迷惑をおかけしたこと、特にお隣の方には、警備会社の到着時の立ち会いまでしていただかなければならず、1時間以上も拘束されることとなってしまい大変申し訳なかったと今でも思っています。鍵の状態がおかしいと気付いたときに修理をしておけばこんなことにはならなかったのに、と反省しきりです。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。マンガ/☆まりかな☆著者/ブルームーン(53歳)30代でシングルマザーになり、50代で再婚。
2024年01月16日「いつまでも若々しくいること」を「若い格好をすること」と勘違いしたアラフィフの友人。私たちの「年相応の格好にしなよ」という言葉に一切耳を貸さず、10代~20代向けプチプラファッションブランドの露出の高い服ばかりを好んで着ていました。そんな彼女がとあるカフェで遭遇した悲劇とは……。「お若いですね」と言われることが生きがいの友人私には、高校時代から仲の良い5人の友人グループがあります。そのうちの1人は気ままな独身生活を謳歌(おうか)している歯科医師。彼女は20代のころから体重と洋服のサイズが一切変わっていないことが自慢。たしかに食べるものに気を配ったり、週に3回ピラティスやジムに通ったりとそれ相応の努力をしているため、私たち主婦とは比べ物にならないくらい若々しさを維持しています。彼女の口癖は「40歳を超えた女は時間とお金をかけてなんぼ」。月に1度のランチ会ではいつもセンスの良いハイブランドの洋服やアクセサリーに身を包んだ華やかな彼女が主役。彼女が繰り広げる「若い男の子にナンパされた」とか「患者さんにデートに誘われた」といった私たちには縁遠くなった話や、ファッションや美容に関する話は、ため息が出るほど魅力的で「やっぱりキャリアウーマンは違うわね」なんてうらやましく思っていたものです。そんな彼女は、美容院や洋服店の店員さんに、あえて「アラフィフなのよ」と伝えるのが大好き。「そこでみんなが『見えない!お若いですね!』と言ってくれる瞬間が最高に気持ちいいのよ」などとうそぶくのです。歯科助手のひと言が迷走の始まり7月のある日のこと。恒例のランチ会に登場した彼女の姿にみんなびっくり! なんといつものハイブランドコーデはどこへやら、ギャル御用達のお店のロゴが胸元に入ったキャミソールに超ミニスカートのセットアップ姿で現れたのです。高校生の娘がいる仲間の1人が「どうしたの? その格好。うちの娘が着ているブランドじゃない」と言うと、彼女はうれしそうに「うふふ。そうなの。最近、ここのお洋服にはまっちゃって」と答えるのです。なんでも先日、彼女の歯科医院に勤める歯科助手が「先生、本当にスタイルよくてすてき。先生なら、あのギャルブランドの〇〇の服も絶対似合いそう」と言ってきたそう。どんなブランドなんだろう、と気になった彼女は仕事帰りにそのブランド店に立ち寄ると、店員さんに「お姉さん若い! やばい! めっちゃきれい!」とおだてられ、すすめられるままに洋服を購入したとのこと。翌日、その服を着て出勤したところ、スタッフみんなから大絶賛。以来、そのブランドのトリコになったのだそう。しかし不思議なことに、年相応の格好をしているときはあれだけ若く見えた彼女なのに、若者向けデザインの洋服を着た途端、どうひいき目に見ても、無理して若作りしたただのアラフィフに見えるのです。私たちは口々に「その格好はおすすめしないよ。やめたほうがいいよ」と言ったのですが、聞く耳持たずの彼女でした。おしゃれなカフェでの出来事に彼女のプライドは…以来、ギャル服ばかりを着るようになった彼女。毎回肩かおへそを出す露出度の高いスタイルは周りの注目の的。「若作りしているな」という突き刺さるような視線に、一緒にいる私たちがいたたまれない気持ちになるのに、当の本人はどこ吹く風。むしろ、「私が若々しいから注目されているんだわ」とポジティブに捉えているようでした。ある日、そんな彼女のプライドが傷つけられる事件が起こります。恒例のランチ会でとあるカフェに入った私たち。話に花を咲かせていると、若い男の子2人連れが私たちのテーブルの横を通り過ぎたのです。そのうちの1人が友人の顔を見るなり「うわぁ! ババアだった!」とひと言。あっけに取られていると、もう1人が「お前そういうこと言うなよ! 失礼だろ」とその男の子をいさめ、友人に向かって「すいません、こいつが失礼なことを言って」と頭を下げたのです。まさか自分が「ババア」と言われるとは思ってなかった友人、みるみる顔を真っ赤にして「ちょっと用事を思い出したから帰る」とその場を後にしました。その後、彼女はパタッとギャルブランドの洋服を着ることはなくなりました。まとめ後日、「あのときは傷ついた」とランチメンバーのグループラインで胸の内を明かした彼女。私たちは慰めつつも、「以前のあなたのほうがすてきだったよ。やっぱり年相応の格好をするのが大切なんだよ。若々しいと若作りは違うんだよ」とやんわり彼女を諭しました。今では元のセンスのよい彼女に戻ってくれたのでひと安心。年を取ることを否定するのではなく、じょうずに生かすことが大切なんだな、と彼女を見て痛感したのでした。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。マンガ/☆まかりな☆著者/もりはなこ(46歳)高齢出産した娘の育児に毎日奮闘しつつ、迫りくる更年期の陰に怯えるアラフィフです。
2024年01月13日付き合って5年、同棲して3年になる彼がいます。誠実でとてもやさしい彼に惹かれ、近い将来結婚する約束もしています。一緒にいて心地良く、この同棲生活もプレ新婚生活のように毎日が楽しいのですが、1つだけ困っていることがありました。においフェチな私もともとにおいフェチな私は、自分がつける香水や洗濯などの柔軟剤をナチュラルで柔らかい香りにしたり、部屋の空間芳香剤にもこだわったりしていました。付き合い始めのころは、彼のにおいも気になることはなかったのですが、彼との関係も親密になっていくにつれて、素肌のにおいや髪の毛などのにおいに違和感を覚えることが多くなっていきました。それでも彼が大好きだったので、においのことを口に出すことはありませんでした。そんなある日、2人で行く初めての旅行で同じベッドでラブラブな時間を過ごしているときのこと、ロケーションも行為までの雰囲気もバッチリなのに、まったく気が乗らない私がいました。我慢と妥協の日々を繰り返しで…彼が近付くたびについ顔を背けてしまうのです。原因は、彼の体臭でした。その日は、彼にはわからないように事を済ませましたが、安堵感に包まれて横で寝ている彼を見ていると、私が我慢すればいいのだと思ったのです。彼と仲良くなることと彼の体臭が気になることは相乗作用だと思い、最初は自分が我慢すれば……と考えていました。また、時には「これくらいのにおいは大したことではない」と、思い込むことも。ついに我慢の限界を迎えて私の嗅覚が敏感なのかもしれませんが、自分が好きなにおい以外のにおいに過敏に反応しているようにも思いました。気にすればするほど、鼻につくのです。そして、その我慢が限界に達したとき、とうとう、行為中に「無理だ」と彼に告げました。これまで、彼のにおいのことで集中できていなかったことも告白しました。彼はショックを受けていたようですが、「改善できることがあればする」と言ってくれたのです。まずは、男性用の軽めの香水を使用したり、シャンプーも私と同じものを使用するなど、2人の共通のにおいを作るようにしていきました。体臭は、すぐに改善できるものではないと思いますが、それでも私に合わせて頑張ってくれている彼に愛おしさを感じ、2人の関係は深まったように思います。まとめ彼には、私の好みのにおいを強制するようで申し訳ないと思った日々でしたが、アロマや芳香剤などを一緒に買いに行き、私も彼好みのにおいを知る努力もしました。そんな中で、お互いが好きなアロマのおいが見つかり、今では2人が生活する部屋で使っています。まだ少し、彼のにおいが気になることもありますが、彼自身を受け止めることで、仲良し時間の際には気になることが少なくなってきています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。文/モカモコマンガ/☆まりかな☆著者/ウーマンカレンダー編集室40歳を過ぎて心と体の変化に戸惑い、悩むオトナ女子を応援するメディア「ウーマンカレンダー」の編集室です。オトナ女子がおこなっているコスパ良し!時短!ズボラでもできる!リアルなアンチエイジング情報をお届け。医師解説の記事も満載!
2024年01月07日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガ。歯列矯正をしているかなさん。食べ物がよく歯に詰まってしまうのですが、それに気が付くと居ても立っても居られません。思わず、舌を使って歯の詰まりを取ろうとしてものすごい顔になり、デート相手をドン引きさせてしまい……。婚活中に歯列矯正していることについて歯列矯正をしているかなさんは、食べ物がよく歯に詰まってしまいます。デート中も、歯の詰まりに気が付くと気になって仕方がない! 思わず舌を使って歯に詰まったものを取ろうと必死になってしまいました。結果、ものすごい顔をデート相手にさらして、ドン引きされてしまいます。婚活中に歯列矯正すると、見た目の印象が悪くならないか心配していたかなさんですが……。歯列矯正を始める前に、とても気にしていたことがありました。それは、見た目の印象が悪くならないか? ということです!昔、矯正していた友人が飲み会の席で心ないことを言われ、私もそんなふうに思われるかもしれないと恐れていました。だから、いざ婚活の出会いの場では「矯正していて、不快に思ったらごめんなさい」と先手を打っていました。そうすると、「俺も今やっているよ」「俺は小さいときに」など、意外と仲間がいたんです!矯正あるあるの話で盛り上がることも!たまに、俺の友だちには優秀な医者がいるアピールをしてくる男もいますが、ほぼ、みんな肯定的なのです! これは意外や意外でした!もちろん、中には矯正器具に嫌悪感を抱く方もいるかと思いますが、皆さん安心してください!矯正していても意外と婚活は平気です!-----------------歯列矯正していても意外と婚活は平気だとかなさん。もちろん感じ方は人ぞれぞれですが、かなさんのように歯列矯正していることを先に告げ、「不快に思ったらごめんなさい」と伝えるのってコミュニケーションも広がっていいですよね!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年12月31日夫とは結婚前から喧嘩をあまりしたことがありませんでした。しかし、先日あることで激しい夫婦喧嘩が勃発! もう離婚してやる! と意気込んで家庭内別居を決め込んだ私。しかし思わぬことで夫の世話になってしまいました……。今回はそんなわが夫婦の喧嘩の顛末(てんまつ)をお話ししたいと思います。喧嘩なしだった私たちに夫婦喧嘩が勃発夫はおしゃべりが大好きで、ひとりでもべらべらと話すタイプ。そのため一方的に話してきても「うん」と適当に相づちを打っておけば満足しているようでした。結婚前から喧嘩はあまりなく、機嫌が悪くなると夫は黙り込んでしまうので「あ、機嫌悪いな」とすぐに察することができるタイプです。それに喧嘩をしてもお互いに時間がたてば怒りを忘れてしまう性格だったので、これまで激しく言い合うような喧嘩はほとんどしたことがなく、周りからも円満な関係と見られていました。子どもが生まれてからは、ちょっとしたことによるもめごとが増えましたが、大半は夫が悪かったので、私が小言のようにチクチク言うと夫が反省する、というパターンです。そんなある日、子どもの服の衣替えをしようとしたところ、ほとんどの服がサイズアウトしていることが発覚。これまで大きめのサイズのものはあらかじめ数着用意していましたが、予想外の成長に家のアウターやパンツ類がちんちくりん状態です。夫に「服がサイズアウトしているから買わないといけない」と相談したところ「そんなの家にあるの着せとけばいいじゃん。学校は制服があるんだし、普段はそこまで服いらないでしょ?」とそっけない返事。いやいや、子どものものでしょ? ほぼ全部小さいんだよ? と説得するも、基本、夫はケチなので子どもの物を買うときですら消極的なのです。そして自分が習い事をしたことがなかったということから、子どもは習い事をしなくてもよいという意見を持っている夫。習い事の月謝に関しても出すのを渋るくらいのドケチで、そこから子どもに関して出費が多くないか、本当に必要なのかと言い始めるのです。自分の子どものことなのによくそんなことが言えるよねとあきれてしまった私ですが、そこから普段の私のお金の使い方に関してや、光熱費を節約しろなどまで話が広がり、家事一切に関してまでも文句を言いだしたのです。これにはさすがに私も黙っていられず、激しい言い合いに。横で様子を見ていた子どもも二人の剣幕に驚き泣き出す始末です。決して生活に困るほどの経済状態ではないわが家ですが、夫のあまりにも現実を知らない言い分に腹が立ち、「話にならんわ!」と一方的に話すをやめました。夫の顔を見たくないと家庭内別居を決断夫の世間知らずな言い分にはらわたが煮えくり返った私は、とりあえず頭を冷やすために、近所にある実家へ避難しました。実家の母に事の顛末を話すと「しょうもない」とあきれ気味。実家に居座って数時間すると、夫から「どこ?」とスマホにメッセージが来たのですが、これにそっけなく返すと、今度は未読無視です。しかし、自宅に子どもを置いてきているので子どものご飯が心配……。結局スーパーですぐ食べられるものを購入して自宅に帰りました。すると夫は近所のショッピングモールに子どもを連れて行っていたようで、家には誰もおらず。このすきに私は、寝室から自分の賭け布団と枕を子どもの部屋に持っていきました。わが家は私たちの部屋のベッドに子どもと3人一緒で寝ているのですが、夫と寝たくない! と家庭内別居を決意したのです。しかし先日、粗大ごみで来客用のマットレスを捨ててしまったため、うすっぺらい敷布団しかない……。仕方なくその日の夜は薄い敷布団を敷いて寝ることになりました。子どもと家に帰って来た夫は、私の態度を少し気にしつつも、最低限の会話で子どもとお風呂へ。子どもは普段あまり一緒にいられないパパといられることがうれしいようで、それならと私も子どもの面倒を夫に託すことができたわ~と、子どもの部屋でひとり時間を満喫しました。翌日激しい背中の痛みと腕が動かない家庭内別居によって、出産後ほぼ初めてひとりで夜寝ることになり、久しぶりにゆっくり過ごすことになりました。しかしフローリングのせいか、寝心地が悪い……。就寝後も何度も寝返りを打ち、熟睡できないまま朝を迎えました。朝目が覚めると背中に激しい痛みを感じます。起き上がろうとすると、右腕が動かない! やはりフローリングの上に薄い敷布団を敷いて寝たせいか、背中に相当負担がかかったようで、布団から起き上がれなくなってしまいました。もはやひとりでは動けない模様。これは喧嘩や家庭内別居どころではなく夫の力を借りて何とかするしかない……。仕方なく夫に「SOS」を送ると夫からすぐさま「何?」と返事が。「背中が痛くて腕が上がらず体も動かない」とメッセージを返信すると、夫が子ども部屋にやってきました。最初は私が大げさに振る舞っていると思っていたようですが、うめいて動けない様子を見て、ただ事ではないことを察したようです。腕が上がらず、背中に激痛が走るため、身の回りのことができません。夫に支えてもらい、歯を磨いて顔を拭いてもらい、着替えも手伝ってもらうことに。もちろんメイクなんてできる状況ではないため、ほぼ寝起きの姿のまま、病院へ向かいました。診察の結果、やはりフローリングの上で寝て寝返りをしたことで体に負担がかかり、背中を痛めているとのこと。そしてそれによって肩が五十肩のようになっていることが判明しました。しかし肩にヒアルロン注射をしてもらうと、先ほどの痛みはどこへ行ったのかと驚くほど軽くなったのです。そして痛み止めと湿布を処方してもらいました。夫はこの一件で、喧嘩の反省もあってか、数日間は介護をするかのようにやさしく接してくれました。また、喧嘩のもととなった子どもの服に関してですが、子どもとショッピングモールに行った際に、欲しいと言った服を2着ほど購入して帰ってきたのです。まとめ激しい喧嘩をして「もう離婚する!」と息巻いていたものの、困ったときにはどうしても夫の世話にならないといけないということを実感し、悔しいながらも夫の即座の行動に少し感謝しました。数日たち、あの激しかった喧嘩はどこへ……と思うほどお互いに怒りを忘れ、何もなかったかのように喧嘩は終わりました。今回の激しい喧嘩からの一連の騒動で、次があったら今度は夫に子ども部屋に寝てもらおうかと強く思いました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。マンガ/☆まかりな☆著者/IWON(46歳)小学生の母、夫は現在単身赴任中。会社員とWebライターをしている。高齢出産を経て、体調の変化や疲れなどさまざまなトラブルに直面し、若いころとは違うとつくづく感じる今日このごろ。普段はファッション、推し活、グルメなどの情報収集が趣味。
2023年12月30日「男の人はすぐに父親になれない」という話を聞いたことがありますが、私たち夫婦に2人目が生まれても夫は父親にはなれませんでした。これから先も一緒に生活することに不安がよぎった体験談です。 ワンオペの毎日でも夫は…当時、私はフルタイムで勤務しながら2人の子どもを育てており、夫は飲食店で勤務していました。毎日、当たり前のようにひとりで育児や家事をこなし、仕事をしていました。夫は夜勤の仕事だったので、子どもが保育園に通園している間は家でゴロゴロし、子どもが帰宅したころに出勤する生活でした。もちろん生活時間だけでなく、休みの日も合いません。そんな夫が唯一協力してくれるのは、保育園の送迎だけ。子どもの着替えや持ち物の準備、連絡帳の記入などは私がおこなっていました。そして子どもが起きてくる前に朝食や夫の昼食を準備して出社する毎日でした。体調不良の子どもより自分の趣味を優先夫が休日だったある朝、いつも通りに出社した私の元に夫からメッセージが届きました。「息子がせきをしていたので熱を測ったら微熱だった。早退の連絡があるかもしれないけど、保育園に行かせた。俺はこれからバイクに乗ってくる」「え? なぜ? あなた休日だよね? 子どもを休ませて自宅で見てあげられなかったの? それで自分はバイクに乗るの?」と、夫に対してイラ立ちと疑問がたくさんありました。それ以上に、風邪の症状に気付いてあげられず、息子に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。息子の状況が気になりながら仕事をしていると、案の定保育園から「お迎えに来てください」と連絡がありました。すぐに夫に連絡をして迎えを頼むと、「バイクに乗ってるからすぐには帰れない」と言われたのです。私の職場は通勤に1時間弱かかります。仕事を切り上げて帰宅しても、私が迎えに行くよりは夫のほうが早く行けると思ったので、夫にすぐに帰宅して迎えに行くよう頼みました。その後も続く信じられない夫の言動 息子は、39度を超える高熱で食欲がないとのこと。脱水になる可能性もあると思い、すぐに総合病院へ受診するよう伝えました。すると夫から「バイクを普段よりも車に寄せて駐車してあるから倒すなよ! 保険証どこにあるんだ!」と、私への怒りのメッセージが届きました。もう怒りを通り越して、あきれて何も言えませんでした。幸い、息子は点滴をしてもらい回復しましたが、「もう無理かもしれない」と、離婚を決意しました。夫を見ていて、自分の子どもには「愛する人を優先して物事を考えられる人になってほしいこと」「将来は寄り添って共に生活していける人を探してほしいこと」を、幼いころから子どもに言い聞かせています。 まとめ現在は、子どもと3人で騒がしく、楽しい生活を送っています。4人で過ごしていたころよりもはるかに強い絆となって、母子で協力して助け合っています。思いやりの気持ちを持ち、相手目線で考えて行動することの大切さを身をもって実感しました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。文/働きマママンガ/☆まかりな☆著者/ウーマンカレンダー編集室40歳を過ぎて心と体の変化に戸惑い、悩むオトナ女子を応援するメディア「ウーマンカレンダー」の編集室です。オトナ女子がおこなっているコスパ良し!時短!ズボラでもできる!リアルなアンチエイジング情報をお届け。医師解説の記事も満載!
2023年12月30日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガ。歯列矯正をして3カほどたったかなさん。飲み会で知り合った男性とデートし、次の誘いも受けました。けれど、一向に連絡がありません。そんなとき妹から「口が臭い」と指摘され、男性から誘われないのもそのせいだと思い当たり大ショック……。歯の詰まりを気にするあまり、やっちまった!歯列矯正から3カ月ほど、順調に過ごしていたかなさん。飲み会で知り合った男性と食事に行き、いい感じに♪ でも、次の誘いがなくモンモンとしていました。すると妹から「口の中、虫歯みたいな臭いがする」と指摘され、デートの誘いがない理由を思い知ります。また別のデート中、歯の奥に食べ物が詰まり……。歯列矯正をしていると、食べ物が本当によく歯に詰まります。デート中も、歯の詰まりに気が付いてしまうと気になって仕方ない!モゴモゴ、モゴモゴ。舌を使って歯の詰まりを取ろうとして集中するあまり、すごい顔になっていたみたい。な、何その顔? とドン引きしている人が目の前にいました。ぎゃあ、やってもーた!歯の詰まりは人の前で取ったらだめですね。反省(苦笑)。-----------------歯に食べ物が詰まり、舌先でなんとか取ろうとしたかなさん。なかなかうまくいかず、デート相手にドン引きされてしまいました(苦笑)。皆さんもデート中の赤っ恥体験談、ありますか?※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年12月29日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの体験を描いたマンガ。前歯に歯列矯正をしているかなさん。食べ物が歯に詰まりやすいため、携帯の裏に「DAISOのシール付きアクリルミラー」を貼ってチェックすることにしました。その際、携帯のカメラが起動してしまうという失敗もありつつ、矯正して3カ月がたち……。妹に虫歯みたいな臭いがすると言われて…!歯列矯正中のかなさん。食べ物が歯に詰まりやすく悩んでいましたが、携帯の裏に鏡を貼ってチェックする方法をゲットしてひと安心。ところが、妹がその鏡でチェックしている最中に携帯のカメラが起動してしまい、歯の詰まりが丸見えに! 使い方には注意が必要だと悟ります。そんな失敗をしつつ、歯列矯正から3カ月ほど順調に過ごしていたら……。歯列矯正から3カ月ほどたったある日、飲み会で知り合った男性からごはんに誘われました。早速、食事へ。会話も楽しいしいい感じ♪次の誘いもありました!しかし、その日から何日待っても次の連絡はありませんでした。なんで? なんかやらかした?その件を妹に相談すると「ねぇ、口の中、虫歯みたいな臭いがするよ」と。「臭い! しゃべんな!」とまで……。ひどい!デートした男性から連絡がないのも、息が臭かったからじゃないかと。ひどいっ!いや、よく考えたらめっちゃあり得る! 「どうしよーーー!」昔から歯磨きはうまいのですが、虫歯になりやすいと言われていました。歯垢がたまると歯茎が腫れて、歯肉炎になってそこから臭いが発生するようです。昔、親知らずが2本あったときも、異臭騒ぎがあったなぁ……。歯列矯正してから、歯磨き後のフロスが面倒で怠っていたのが原因です。後の祭りですが……。-----------------かなさんに「臭い!」と指摘する妹さん。口臭・体臭って身内じゃないと指摘しづらいところがあるから、気が付けてよかったとも思いますが、かなさんは「最高に傷付ける言葉」だと振り返ります。よかれと思う指摘も、言い方には気を付けたいものですね。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年12月28日「大皿に盛られている料理をすべてひとりで食べ尽くした」「子どもの分まで食べてしまった」など、SNSなどでよく目にする食い尽くし系。10年ほど前離婚した元夫も食い尽くし系と呼ばれる人でした。食べ物に執着が強い次男が似ないと良いなと思っていたのですが、最近「次男も食い尽くし系かも?」思った出来事をご紹介します。食い尽くし系だった元夫離婚した元夫は食い尽くし系でした。ごはんの準備をした後、ちょっと何かの用事をして、さぁ食べようと思ったらおかずを全部食べられていたなんてことは1度や2度ではありませんでした。ほかにも、朝起きると冷蔵庫の中にしまっておいた長女のお弁当のおかずが食べられていたなんてことも。さらには次男が小さいころ、食べるスピードの遅い次男のために私の分のおかずを取っておいたことがありました。ちょっと席を立ち戻って来たら、もうおかずはありませんでした。「全部食べちゃったの?」と元夫に聞くと「もう食べないと思った」と言っていたのを今でもよく覚えています。極めつけは次男が熱を出したとき、長女がマクドナルドのポテトを買ってきてくれたことがありました。しかしその日は熱が高く、次男はポテトを食べることができませんでした。「明日元気になって食べる!」と楽しみに寝たのですが、夜中に元夫が食べているのを発見し、怒りが湧き「今すぐ買って来い!」と買いに行かせたこともありました。このようなことがあったので、次男には元夫に似てほしくないな、似たら嫌だなと、ばく然と思っていました。食べたい気持ちが抑えきれない次男次男が学童に通っていたとき、楽しみにしていたおやつのチョコが食べられなかったことがありました。どうしてもチョコが食べたかった次男は、帰るまで2時間以上「チョコがあるって言ったのに食べられなかった」と先生に文句を言い続けたことがありました。「家に帰ったら食べよう」と言っても納得できず、家でもずっと文句を言っていたのを覚えています。次男は自分の分を食べてしまうと「まだ食べないの? いらないならもらってあげるよ」としつこく言ってきます。後で食べようと取っておくと、数日後には次男に食べられてしまっていることも。「なんで食べちゃうの?」と聞くと「だっていつまでも食べないじゃん。それに結局くれるでしょ」と。あまりにもしつこくちょうだいと言われるので、食べたい気持ちをぐっと抑え、私の分をあげるのですが、次男的には「食べてあげている」という感覚のようでした。次男も食い尽くし系?おかずは大皿に盛るわが家。手作り餃子や唐揚げなど、大量に作る物は数を気にせず食べますが、エビフライや冷凍の餃子などは人数で割り、1人何個まで食べられると各自が考えながら食べるのがわが家のルールです。次男が好きな銘柄のウインナーを焼いたときのこと。次男は1人でウインナーをほとんど食べてしまいました。「数を数えなかったの?」と聞くと、「2人はあまりいらないと思ったから食べた」ということでした。次男いわく、「長男はこのウインナーはあまり好きではないので食べるのは2~3本。ママはいつも食べていいよと言う。長男が2本、ママが1本、残りが自分」という計算だったようです。話を聞いて納得したのですが、次男の「2人はあまりいらないと思ったから食べた」というのが引っ掛かりました。ほかにも、みんなで食べようと思っていたパンを、次男がひとりで全部食べていたこともありました。「なんで全部食べたの?」と聞くと「全部俺の分だと思って」と言っていました。このようなことが何度もあり、元夫と次男は同じような考えで食べているのではないかと感じ、もしかして次男も食い尽くし系なのでは?と思いました。まとめ今までも「食べたかったら声を掛けてから食べてほしい」と伝えていたのですが、「食べたかったら確認してから食べてほしい」「食べようと思った物がなくなっているのは悲しい」ということを元夫とのエピソードを交えながらもう一度伝えました。すると少しずつですが「これ食べていい?」と聞いてくれたり「食べると思って取っておいたよ」と気づかってくれたりすることが増えてきました。親としては、好きな物をおなかいっぱい食べてほしい気持ちももちろんありますが、おいしい物を「おいしいね」と笑い合いながら食べられるようになってほしいとも思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。マンガ/☆まかりな☆著者/谷 海(47歳)おもしろおかしく生きるのがモットーのシングルマザー。
2023年12月15日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。記録された書物が無惨に燃やされたあと、その物語をかつて天璋院と呼ばれた青年が少女に昔語りとして語りはじめたその瞬間、物語はフィクションとして見事に閉じられた。軌道が真円となって、ぴたりと始点に繋がるような美しさで。幕が降りるように暗転する画面を見つめて、思わず深いため息が出た。劇場ならスタンディングオベーションだっただろう。※写真はイメージ男だけがかかる伝染病で、男性の人口が激減した架空の江戸時代。労働と政治の担い手は女性だった。将軍も女性が世襲で継ぎ、そのために大奥に集められるのは男性となった。しかし世代を超えた苦闘により伝染病は克服され男子の人口は増え、開国そして大政奉還とともに男女が逆転した社会は終わりを告げようとしている。天璋院(福士蒼汰)、和宮(岸井ゆきの)、そして三代の将軍に仕え大奥総取締を務めた瀧山(古川雄大)らはそれぞれに新しい人生を模索するのだった。この男女が逆転した『大奥』という物語は、権力を持つ、あるいは持たされた者の生き様と、同時に彼らが世代を無事に繋いでいくために、生殖行為すら管理・評価される残酷さの両面を描く作品である。大奥という場が作られるきっかけになった家光(堀田真由)も、そして大奥の終焉に立ち会うことになる和宮も、ともに本来の性別である女性の姿を失って大奥で生きている。だが家光が自らの半生で深く傷つき、その反動で周囲をも傷つけてきたのとは対照的に、和宮が自分の性に向き合う様子はどこか軽やかだ。伴侶である有功(福士蒼汰)から打掛を掛けられて泣きじゃくった家光の涙と、舅の天璋院から晴れ姿の美しさを褒められて「何いうてはんの。私はいつだって私です」とさらりと答えた和宮のしなやかな魂に、長い時間と価値観の変容を感じ、救われたような気持ちになった。※写真はイメージ今回、春と秋の2クールをかけて描かれたNHKドラマ10『大奥』だが、原作は更にボリュームのある超大作である。今作の脚本家・森下佳子も、尺の都合上割愛せねばならないエピソードが非常に多く、自身も原作のファンであるだけに、それが心苦しかったと語っていた。それでも、「これぞよしなが大奥」と原作のファンが愛する作品のエッセンスは、常にこぼすことなく盛り込まれていたと思う。とりわけ歴代の女将軍たちの個性色とりどりの魅力は、脚本で描きだした輪郭と、俳優陣の熱演で映像化ならではの素晴らしいものになった。吉宗(冨永愛)の凜々しさ、家光の情熱、綱吉(仲里依紗)の退廃的な美、家重(三浦透子)の哀しさ、家定(愛希れいか)の健気さ、そして家茂(志田彩良)の清冽さ。彼女たちの輝きが、支える御台たちや忠臣たちの魅力を更に明るく照らす。いずれも忘れがたい名演だった。※写真はイメージそれぞれの女将軍たちと同じくらい、今回のドラマ化において印象深かったのは、やはり大奥の始まりと終焉それぞれに立ち会う二役を見事に演じきった福士蒼汰だろう。最終話の家光と有功二人きりの御鈴廊下のシーンは、体の関係を終えた二人ではあるけれども、それでも夫婦としての確かな愛があり、同じ方向を向いて歩いていたのだと感じさせる、切なく美しいものだった。そして船上のラストシーン、胤篤(たねあつ)は日本初の女子留学生となる6歳の少女と出会う。梅と名乗るその少女はのちの津田梅子、津田塾大学の創設者である。※写真はイメージ女将軍たちの愛と生きざまと並行するように、今作ではどんな苦境や閉塞の中にあっても学びの喜びは誰にもあると描いてきた。大奥に学びの場を設けた有功、右衛門佐、青沼の教える蘭学で救われる人々、そして平賀源内。学問の幸福というバトンが、女将軍たちの物語という口伝とともに新しい時代を生きる少女に手渡される。心揺さぶられる見事な終幕である。※写真はイメージこの『大奥』という大作を見届けて、記録に残される偉業や歴史の背後には、世代を越えて受け継がれ、記録にも残らなかった誰かの願いや業績が膨大にあるのだということに思いを馳せた。同時に、自分の生きる日々もまた、きわめて小さな欠片であったとしても、何かに繋がるのかもしれないと思う。流れる水は長大な川のごく一部ではあるけれど、そのごく一部の水の無数の集積が海にそそぐ。物語はいわゆる『作りもの』ではあるけれども、時にその作りものは受け取った人の人生に風を通し、明るくする。それは本当に優れた一握りの作品が持つ力であり、このこのドラマ10『大奥』は、間違いなくその一つであったと思う。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年12月15日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。もしも自分が思いもよらない場所で死ぬとしたら、大切な人に、どんな言葉で自分の最期を伝えてほしいだろうか。自分が死んでからも、いつまでも悲しませたくないなら、なるべく相手に執着を残さない言葉を残すかもしれない。逆に同じくらい、愛する人の死に目に会えなかったなら、どんな言葉でその人の最期の様子をききたいだろうか。どんなに思いやりからくる言葉だとしても、それが嘘だとわかるなら、傷ついてでも真実を知りたいのではないか。和宮(岸井ゆきの)を前に、一度は家茂(志田彩良)の望みどおりに嘘を語り、ためらいの後、家茂と和宮ふたりの為に真実を語りだす側近の能登(中村アン)の気持ちを想った。告げた真実は、嘘をついてでも和宮を守りたかった家茂の最期の愛を和宮に届けたのである。※写真はイメージ男女の役割が逆転した江戸時代を描くNHKドラマ10『大奥』(火曜22時)。物語は幕末、歴史上名高い皇女和宮の降嫁まできている。弱体化しつつある幕府の権威を取り戻すべく女将軍・家茂の夫として皇族の和宮が大奥に降嫁するが、やってきたのは男の和宮ではなく、身代わりの姉だった。身代わりであることを周囲にはひた隠しにしつつ、家茂はその優しさと聡明さで和宮と次第に心を通わせていく。しかし家族としての二人の穏やかな日々は続かず、開国をめぐる激動の中で家茂は病身を押して上洛することになるのだった。※写真はイメージやはり今回は岸井ゆきのが演じた和宮の、見るものを一気に引き込む強烈な引力に尽きるだろう。天璋院(福士蒼汰)と同じように、家茂は人の中にある善を信じている。真摯に腹を割って語り合えば、理解し合えると信じている。裏切られたら、それは寛容で包み込む。対して、和宮は人の醜さや残酷さを常に見据えている。他者に期待はしないが、ごく一部の近しいものには愛情や感謝を持って応じるのは、前将軍の家定(愛希れいか)に似ている。天璋院と家定、家茂と和宮。それぞれ陰陽の印のように、互いに欠けた部分を補い合い、一つの円となる夫婦なのである。慶喜(大東駿介)の狡さを「すかんタコ」とバッサリ斬る毒舌の場面も、大阪での家茂の死を知らせに来た瀧山(古川雄大)に対する毅然とした言葉も素晴らしかったが、やはり忘れがたい名場面は、形見の袿と打掛を前にした慟哭だろう。「まあ、やれ言うんやったらやるけれども」呟く和宮の目には、そこにいる家茂の姿が見えている。これは彼女にとって愛する人との『会話』なのである。「前から言おう言おう思てんけど。徳川とか、この国とかそんなん、どうでもようない?そんなんは争うことが大好きな腐れ男どもにやらして。私ら、きれいなもん着てお茶飲んで。カステラ食べてたらそれでようない?」※写真はイメージ泣きながら囁いた言葉は、家茂が生きている間は言えなかったのかもしれない。「上さん」は自分の命よりも国や民衆を大切に想い、苦しむ人を決して見捨てない人だとよくわかっていて、そんな彼女を深く愛していたから、どうでもいいとは決して言えなかった。「あほやなあ」と和宮らしい憎まれ口は、それが恋愛か、友情か、あるいは家族愛か、そんなカテゴリそのものを溶かしてしまうような、深い愛情に満ちていた。今回、原作にはない部分でもっとも印象に残ったのは、京に帰ろうかと迷う和宮に、家茂が宸翰(しんかん)を取り出して一緒にいたいと怒る場面である。原作では、この宸翰は家茂の死後に届けられている。※写真はイメージ今回のドラマではその順番を変えることで、家茂の和宮への愛情がよりはっきりとした輪郭をもって、家茂の主体的なものとして描かれている。更に、互いに相手の服を着て甘い物を食べて楽しもうという家茂の提案もドラマのオリジナルである。互いの服を交換する思いつきが、まだ年若い家茂の少女らしさの希有な発露でもあるし、同時に私はあなたであり、あなたもまた私であるという一心同体を示唆するかのようでもある。※写真はイメージそして、家茂が能登に語る最後の言葉が「大奥に帰りたい」。これも原作では「江戸城に帰りたい」であり、その小さな違いが、私人としての家茂の魂が帰る場所を示していて、更に胸が締め付けられた。ドラマでは原作に加えて、家茂を人間としてより魅力的に見せる工夫があちこちに散りばめられている。200年の時を描き通してきた豪華絢爛な物語も、ついに次回で幕をおろす。映像化にあたって、常に原作のエッセンスを余さず汲み上げ、更に『今』に応じたエピソードを加えてきた今作が、最後に私たちの心に何を残すのか。寂しくもあるが、しっかりと受け止めたい。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年12月08日SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2023年10月スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。異質な存在に触れるとき、人の本質が垣間見えるのだとしたら、若くして将軍になった彼女は、真っ先に相手の身体そのものを案じた。得体のしれない相手だとしても寒いのはいけないと上着を差し出して、その次に出た言葉は、裸を他人に見られたのは苦痛であったろうといういたわりだった。血筋と願いを世代を超えて繋いでいくことがNHKドラマ10『大奥』の縦糸ならば、人の上に立つ器とはどのようなものかは、横糸に違いない。様々な女将軍たちが、希望と苦悩を抱えながら世代を繋いだ物語の中で、最後の『女』である将軍・徳川家茂(志田彩良)と、そのパートナーである和宮の物語が始まろうとしている。※写真はイメージ男だけがかかる伝染病で、男性の人口が極端に減った架空の江戸時代。世の中を動かしたのは女たちだった。政治を行う将軍もまた女で、大奥は将軍の夫となる男達が集められた。苦闘の末に伝染病は克服され、人口比が戻って再び男性中心の世の中となりつつある幕末、家茂はその聡明さと人格を見込まれ、女でありながら十四代将軍となった。幕末の難局を乗り越えるため、公家から夫となる和宮を迎え入れるものの、やってきたのは和宮を名乗る男装した女(岸井ゆきの)であった。シーズン1から続いた長い男女逆転の物語も、いよいよ最後のクライマックスに入ろうとしている。やはり今回の見所は、年若く将軍となった家茂の太陽のような愛情と包容力だろう。このドラマの家茂は広い視野と素直な愛情を持ち合わせた人物である。前将軍の家定(愛希れいか)から、開国について問われた時にも「外国とて武力を振るうのは犠牲の多いことだろう」と意見を述べ、外国人とて同じく人であるというバランス感覚を感じさせた。早逝した家定もまた、同様に聡明で愛情深い女将軍だが、彼女の複雑で過酷な生い立ちが、愛情表現をどうしても抑制されたものにせざるをえなかった。また、そういう分かりづらさが家定の魅力でもあった。一方、家茂の愛情はエネルギーの尽きない太陽のようだ。万人にふりそそぎ、心を温め自然に開かせる。今回、原作になくドラマで加えられた要素で特に印象的だったのは、上洛前、寝室で家茂が和宮に語りかける言葉だった。「民にとっても宮様は光だからです」「そのお方がそこにいらっしゃる、ただそれだけで図らずも救われる人間が山のようにいる。そのようなお方を、世の光と呼ぶのだと私は思います」この場面の会話自体は原作に沿っているが、『光』という単語はドラマの脚本特有のものである。それは和宮の孤独な魂が、家茂の放つ不滅の光に呼応して月のように美しく輝きはじめる瞬間を捉えた言葉だったと思う。※写真はイメージ美しいものに触れることで、初めてその実体を知り、自分もまたそうありたいと自然に願うように、和宮は家茂とのやりとりの中で、初めて将軍の配偶者としての自分の運命と義務に思いを馳せる。総触れに供を連れずに一人で現れ、家茂に付き従う和宮の姿は清々しく美しかった。そして互いに視線を見交わす家茂と和宮の微笑みは年相応の少女めいて、どこか悪戯っぽく、その愛おしさに胸つかれる思いだった。万人を照らす太陽のような女将軍を志田彩良が初々しく真っ直ぐに演じ、そして中性的で、厭世的で、孤独で、しかし心に愛情深さを秘めた和宮という難役を、岸井ゆきのが見事に演じている。口を開けば皮肉ばかりを言うけれど、どこか妖精のような和宮の立ち居振る舞いには嫌な苦みが残らない。※写真はイメージ岸井ゆきのと言えば、NHKの連続テレビ小説『まんぷく』(2018年)でヒロインの姪を、同じくNHKの『恋せぬふたり』(2022年)ではアセクシュアルのヒロインをと、どちらかと言えば無垢で明るい役柄が印象にあったが、今回は陰のある役も見事に演じている。改めて今作の、俳優の既存のイメージを塗り替え、新しい魅力を次々と引き出していく脚本と演出の腕に拍手を贈りたい。心が通じ合い、穏やかな日々を送るかに見えた家茂と和宮だが、家茂の上洛が二人に暗い影を落とそうとしている。幕末から明治維新に向かう激流は、二人の女と大奥の面々をどこに連れていくのだろうか。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなSNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2023年11月30日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの歯列矯正をした体験を描いたマンガ。前歯に歯列矯正をしているかなさんは、食べ物が詰まるとすごく目立ってしまうことが悩みでした。手軽に歯のチェックをしたいと考え続け、100均でお目当ての商品をゲットします。完璧な方法に満足していたかなさんでしたが、妹と食事中に……。カメラが起動していて赤っ恥!前歯に歯列矯正をしているかなさん。食べ物が歯に詰まっていないかチェックするために、シール付きのアクリルミラーをゲットします。携帯はいつも持ち歩くから忘れる心配もなく、携帯が口元を隠してくれるので目立たずチェックが可能。完璧だと思っていました。しかし、まさかの落とし穴があり……。ダイソーで「シール付きアクリルミラー」をゲットし、完璧な方法を見つけたと思っていました。しかし……。妹とごはん中、めっちゃ歯に詰まっていたので指摘すると、早速携帯の裏の鏡でチェックし始めた妹。でも、舌で詰まったものをとるのはなかなか大変なようで、時間が掛かっている様子。すると、携帯のカメラが起動してしまったようで、歯の詰まりが丸見えに!思わず「携帯のカメラ、起動してるよ!」と叫びました! 妹は恥ずかしさで真っ赤。携帯の裏に貼った鏡で歯のチェックをする際は、カメラが起動しないようにご注意くださいね。これがデート中でなかったことだけが救いです……(苦笑)。-----------------かなさんが見つけた商品で歯のチェックをする方法は、たしかに完璧! と思っていたら落とし穴がありましね〜(苦笑)。携帯の裏に鏡を貼って活用する場合は、カメラ起動には要注意ですね!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年11月29日36歳で歯列矯正を始めた双子芸人☆まかりな☆のかなさんの歯列矯正をした体験を描いたマンガ。コロナ禍を機に、妹のまりさんと一緒に歯列矯正をしたかなさん。しかし、矯正器具に食べ物が詰まってしまうことがあり、デート中の対策が急務の課題に。手軽に歯のチェックをしたいと考え続け、ある方法を思い付くと早速100均に駆け込み……。求めていた商品を見つけて大興奮!前歯に歯列矯正をしているかなさんは、食べ物が詰まるとすごく目立ってしまいます。手鏡でチェックする方法を考えつきますが、意外と動きが目立つので却下。もっと手軽に歯のチェックができないか考え続けました。そして、携帯に鏡的なものを貼り付けられないかとひらめきます。早速、100均に行くと望み通りの商品に出合いますが……。携帯に鏡的なものを貼り付けられないかと思い付いて、まずは100均で探すことに。すると、見つけました!ダイソーの「シール付きアクリルミラー」を見つけた瞬間、「これだーー!」と大興奮。携帯は出かけるときに必ず持ち歩くので、鏡を忘れた! という失敗もありません。携帯がいい感じに口元を隠してくれるのもグッド。さらにライトも付けるとより鮮明に歯をチェックできるのです!言うことなし! 完璧な方法を見つけたと思っていました。ところが、妹とごはんを食べていたときに悲劇は起こります……。-----------------「手軽に歯をチェックするために携帯に鏡的なものを貼り付けたい」と思ったかなさん。望み通りの商品が100均にあってよかったですね。100均の発想力もスゴいです!※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者/☆まかりな☆ かな(37歳)双子で芸人・エッセイギャグ漫画を描いています。40歳になった時に自分へのプレゼントが何かできないかと思い、36歳で思い切って矯正をスタート! あまりの痛さにやるんじゃなかった! と何度も思いましたがやってよかったと思える日まで矯正漫画を描き続けます。
2023年11月28日