ネット上では「これだからゆとりは……」といった論調がしばしばありますが、ゆとり世代の新入社員って本当にだめなんでしょうか。実際にそこまでやゆされなければならないほどの問題はあるのでしょうか。むしろ、ゆとり世代は勝手にイメージを植え付けられて苦労していることも多い?就職をしているゆとり世代(※)の男女数名に話を聞いてみました。※ゆとり世代の定義は、さまざまありますが、今回は、2002年度から新学習指導要領が実施された際に中学3年生であった1987年4月2日以降生まれの方を中心にお話を聞きました。■Sさん(87年生まれ/男性/SE)「教育担当から『今年は例年とちがってのんびりしている』とは言われましたが、自分がゆとり世代だという意識はなかったし、そんなものかなあと思いました。むしろ、ゆとりゆとりとマスコミで騒がれて、意識をするようになったところがあるかも。僕は部活でバスケをしていたんですが、自分たちよりも上の世代になればなるほど団体意識が強く、下の世代になればなるほど自由奔放でした。自分たちはそのどちらも見ている世代だったように思います」Sさんは会社でも「ゆとり世代」を引き合いに出されて注意されたことはないそう。Sさんいわく「のんびりやれていい会社」。ゆとり世代としての認識はあまりなく、それに対して卑下する気持ちもなく、ただ静かに毎日を送っているといった印象です。■Yさん(88年生まれ/女性/編集)「メディアがこの制度について叩いていたので、多少の不安は感じていました。子どもながらにこれは大手を振って喜んでいいのか、と。その後、中学から土曜日が完全休日になって、受験をするには学校の授業では足りず、塾に行く子も増え、とにかくこのゆとり教育が社会にハマっている感じがせず、ずっと戸惑っていました。そして、就職難。世間では『ゆとりは間違いだった』なんて言われ、本当に振り回された印象ばかり。運が悪かったとしか思っていません」Yさんはこれまでお話を聞いた方の中では、もっとも「ゆとり教育」の違和感を自覚しつつ、青春時代を送ってきたようです。まだ仕事ではゆとりを理由に何か言われたことはないそうですが、「メディアにはなじられた」と話すYさん。自身もマスコミ系に就職されたようです。思うところがあったのかもしれません。「ゆとり世代」と大きくくくってしまうと、それぞれの人が本来持っているはずの個性が見えにくくなります。お話を聞いたのは二人ですが、考え方は三者三様でした。団塊、ロスジェネなど、世代をくくる言葉というのはいつの時代にも生まれますが、実態を把握しないと見えるものも見えないかもしれません。(根岸達朗/プレスラボ)【関連リンク】2010年新入社員の取扱説明書【男性編】職場にいてほしい後輩ランキング【女性編】感心した後輩の行動ランキング
2010年04月30日