新年早々の1月3日(現地時間)、アカデミー賞へと続く賞レースのひとつである全米映画批評家協会賞(National Society of Film Critics Awards)の各賞が発表され、イラク戦争を扱った『ハート・ロッカー』が作品賞、監督賞、主演男優賞の3冠に輝いた。全米映画批評家協会賞は1966年から開催されており、その名の通り、全米映画批評家協会に属する批評家によって選出される。アカデミー賞の前哨戦として注目を集める一方で、昨年の作品賞『戦場でワルツを』(イスラエル作品/アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)、2006年度の『パンズ・ラビリンス』(メキシコ・スペイン・アメリカ合作)、さらに過去には黒澤明監督の『乱』も作品賞を受賞するなど、アメリカ以外の国で製作された作品が高い評価を受けることも多々見られる。『ハート・ロッカー』はイラク・バグダッド郊外で爆弾の解体・爆破作業を行う軍の危険物処理班と姿なき爆弾魔の壮絶な戦いを描いた作品。ドキュメンタリーを思わせる臨場感あふれる映像と極限状態での緊張感、人間ドラマに全米から絶賛の声があがっている。監督を務めたのは、ジェームズ・キャメロンの元妻キャスリン・ビグロー。今回の監督賞および、主演男優賞受賞でも分かるように、彼女と主演のジェレミー・レナーにも非常に高い評価が寄せられている。今回の受賞以前にもシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスの映画批評家協会賞で作品賞などを受賞しており、いかに批評家筋の評価が高いかがうかがえる。1月17日(現地時間)に発表されるゴールデン・グローブ賞でも作品賞、監督賞、脚本賞にノミネート。今年の賞レースは当初、『マイレージ、マイライフ』と『NINE ナイン』の一騎打ちと目されていたが、本作はその間に割って入り、一躍、賞レースの鍵を握る注目作品に――。本作以外では、コーエン兄弟の新作『A SERIOUS MAN』(原題)が脚本賞を受賞。また、クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』で、独仏英伊の4か国語を操る、“ユダヤハンター”の異名をとるナチスの大佐を演じたクリストフ・ヴァルツが、『Bright Star』(原題)のポール・シュナイダーと共に助演男優賞に輝いた。批評家賞とは180度異なり、一般の人々の投票で選出するピープルズ・チョイス・アワードが1月6日に発表、さらにゴールデン・グローブ賞は1月17日発表と、年が明けいよいよ本格化してきた賞レース。3月のオスカー授賞式で笑うのは誰だ――?『ハート・ロッカー』は日本では3月6日(土)よりTOHOシネマズ みゆき座、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開。全米映画批評家協会賞 主要部門受賞一覧作品賞:『ハート・ロッカー』監督賞:キャスリン・ビグロー(『ハート・ロッカー』)脚本賞:『A SERIOUS MAN』(原題)主演男優賞:ジェレミー・レナー(『ハート・ロッカー』)主演女優賞:ヨランド・モロー(『Seraphine』<原題>)助演男優賞:クリストフ・ヴァルツ(『イングロリアス・バスターズ』)/ポール・シュナイダー(『Bright Star』<原題>)助演女優賞:モニーク(『プレシャス』)ドキュメンタリー賞:『アニエスの浜辺』外国語映画賞:『夏時間の庭』■関連作品:第67回ゴールデン・グローブ賞 [アワード]第82回アカデミー賞 [アワード]ハート・ロッカー 2010年3月6日よりTOHOシネマズ みゆき座、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開© 2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.A SERIOUS MAN (原題)マイレージ、マイライフ 2010年3月20日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて公開© 2009 DW STUDIOS L.L.C and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved.NINEナイン 2010年3月19日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2008 The Weinstein Company. All rights reserved.イングロリアス・バスターズ 2009年11月20日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開© 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVEDプレシャス 2010年GW、全国にて公開アニエスの浜辺 2009年10月10日より岩波ホールほか全国にて順次公開© 2008 Cine Tamaris ? Arte France Cinema夏時間の庭 2009年5月16日より銀座テアトルシネマほかにて公開■関連記事:『タイタニック』越え見えた?『アバター』旋風止まずオスカー候補も奮闘の全米戦線ブラピ再降臨 vs J・デップ!写真でふり返る来日ハリウッドスター2009【後編】J・キャメロン、滝川クリステルとの対面に「ビューティフル!」『アバター』プレミア106か国で大ヒット『アバター』キャメロンが“新旧”ヒロインに込めた思惑とは…シャイア・ラブーフ、ゴールデン・グローブ賞候補の恋人とL.A.をデート
2010年01月05日第33回日本アカデミー賞の優秀賞ならびに新人俳優賞がこのたび発表され、『ゼロの焦点』、『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』、『沈まぬ太陽』が1位タイの12部門で優秀賞を受賞した。優秀作品賞に選出されたのは、『沈まぬ太陽』に『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』、『ゼロの焦点』、『劔岳点の記』、そして『ディア・ドクター』の5本。『沈まぬ太陽』は先日発表された報知映画賞でも作品賞(邦画部門)を獲得したが、これに続き日本アカデミー賞でも最優秀作品賞受賞なるか?一方、本年度モントリオール世界映画祭で見事、監督賞(根岸吉太郎監督)を受賞した『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』は国内の賞レースも制するか?監督賞を始め、放蕩夫とそれを支えるしっかり者の妻という夫婦役で息の合った演技を見せた浅野忠信&松たか子はそれぞれ主演男優賞と主演女優賞に選ばれた。浅野さんは大ヒットを博した『劔岳点の記』でも同賞受賞と、ダブル受賞を果たしている。多様な作品ジャンルからの選出が目を引くのは、主演女優賞の顔ぶれ。先述の松さんほか、綾瀬はるか(『おっぱいバレー』)、宮崎あおい(『少年メリケンサック』)とコメディエンヌとしての才覚を見せた二人に、『ゼロの焦点』で中谷美紀×木村多江と女優魂をぶつけ合った広末涼子が受賞。さらに、韓国からも、是枝裕和監督からのラブコールで“空気人形”を演じ各方面で高い評価を受けたペ・ドゥナ(『空気人形』)が名を連ねている。外国作品賞には、『スラムドッグ$ミリオネア』、『チェンジリング』、『レスラー』と2009年度アカデミー賞を賑わせた名作が並ぶほか、クリント・イーストウッドが俳優引退を宣言した『グラン・トリノ』、さらに昨年公開した前編に続き大ヒットを記録した『レッドクリフ PartII−未来への最終決戦−』が選出された。そして、今年最も活躍した若手俳優たちに贈られる新人俳優賞には、映画・TVドラマへの出演が途切れることなく続く岡田将生(『ホノカアボーイ』・『僕の初恋をキミに捧ぐ』・『重力ピエロ』)、水嶋ヒロ(『ドロップ』)、溝端淳平(『赤い糸』)に加え、音楽界から彗星のごとく俳優デビューした渡辺大知(『色即ぜねれいしょん』)。女性陣では、榮倉奈々(『余命1ヶ月の花嫁』)、志田未来(『誰も守ってくれない』)、平愛梨(『20世紀少年』)が受賞を果たした。各賞の最優秀賞は来年3月5日(金)にて発表される。主要各賞の受賞作、受賞者は以下の通り。【優秀作品賞】『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』『沈まぬ太陽』『ゼロの焦点』『劔岳点の記』『ディア・ドクター』【優秀監督賞】犬童一心(『ゼロの焦点』)木村大作(『劔岳点の記』)根岸吉太郎(『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』)西川美和(『ディア・ドクター』)若松節朗(『沈まぬ太陽』)【優秀主演男優賞】浅野忠信(『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』)浅野忠信(『劔岳点の記』)大森南朋(『ハゲタカ』)笑福亭鶴瓶(『ディア・ドクター』)渡辺謙(『沈まぬ太陽』)【優秀主演女優賞】綾瀬はるか(『おっぱいバレー』)広末涼子(『ゼロの焦点』)ペ・ドゥナ(『空気人形』)松たか子(『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』)宮崎あおい(『少年メリケンサック』)【優秀助演男優賞】瑛太(『ディア・ドクター』)香川照之(『劔岳点の記』)堺雅人(『ジェネラル・ルージュの凱旋』)玉山鉄二(『ハゲタカ』)三浦友和(『沈まぬ太陽』)【優秀助演女優賞】木村多江(『ゼロの焦点』)鈴木京香(『沈まぬ太陽』)中谷美紀(『ゼロの焦点』)室井滋(『劔岳点の記』)余貴美子(『ディア・ドクター』)【優秀アニメーション作品賞】『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『サマーウォーズ』『映画ドラえもん新・のび太の宇宙開拓史』『ホッタラケの島〜遥と魔法の鏡〜』『名探偵コナン漆黒の追跡者(チェイサー)』【優秀外国作品賞】『グラン・トリノ』『スラムドッグ$ミリオネア』『チェンジリング』『レスラー』『レッドクリフ PartII−未来への最終決戦−』【新人俳優賞】岡田将生(『ホノカアボーイ』・『僕の初恋をキミに捧ぐ』・『重力ピエロ』)水嶋ヒロ(『ドロップ』)溝端淳平(『赤い糸』)渡辺大知(『色即ぜねれいしょん』)榮倉奈々(『余命1ヶ月の花嫁』志田未来(『誰も守ってくれない』)平愛梨(『20世紀少年<第2章> 最後の希望』・『20世紀少年<最終章> ぼくらの旗』)■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜 2009年10月10日より全国東宝系にて公開© 2009 フジテレビジョンパパドゥ新潮社日本衛星放送ゼロの焦点 2009年11月14日より全国東宝系にて公開© 2009「ゼロの焦点」製作委員会劔岳点の記 2009年6月20日より全国にて公開© 2009『劔岳点の記』製作委員会ディア・ドクター 2009年6月27日よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開© 2009『Dear Doctor』製作委員会ハゲタカ 2009年6月6日より全国東宝系にて公開© 2009 映画「ハゲタカ」製作委員会おっぱいバレー 2009年4月18日より全国にて公開© 2009「おっぱいバレー」製作委員会空気人形 2009年9月26日よりシネマライズ、新宿バルト9ほか全国にて順次公開© 2009業田良家/小学館/『空気人形』製作委員会少年メリケンサック 2009年2月14日より全国にて公開© 2009「少年メリケンサック」製作委員会ジェネラル・ルージュの凱旋 2009年3月7日より全国東宝系にて公開© 2009 映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」製作委員会■関連記事:助演男優賞の瑛太に阿部サダヲ「いいな」、鶴瓶「この辱めを…」報知映画賞授賞式報知映画賞『沈まぬ太陽』に栄冠!渡辺謙、瑛太、松たか子、岡田将生ら受賞明日開幕東京フィルメックス「ツイてる」西川美和監督トークイベント満員木村大作監督、浅野忠信からワガママのお墨付きもらい、トークショーでも木村節炸裂“地球滅亡”予告、やっぱり気になる?『2012』北米初登場1位!
2009年12月25日米アニメ界のアカデミー賞と呼ばれるアニー賞の第37回ノミネート作品が12月1日、国際アニメーション協会(ASIFA)より発表され、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリック監督によるファンタジー・アニメ『コララインとボタンの魔女3D』がディズニー・ピクサー最新作『カールじいさんの空飛ぶ家』と並ぶ8部門で、最多の10ノミネートを獲得した。本作は、少女コララインがある日、家の扉の先に見つけた“もう一つの世界”での冒険を描くファンタジー作品。ストップモーション・アニメ独特の世界観や質感が高い評価を呼び、作品賞を始めキャラクター・アニメーション賞、キャラクター・デザイン賞を含む8部門でノミネートされた。アニメ界のアカデミー賞と称され、今後の賞レースを占う意味でも、前哨戦と言われる同賞にあって、これだけのノミネートを果たしたことで、今年の賞レースにおいて一歩リードを果たしたと言えそう。ほかのノミネート作品では、ディズニーのプリンセス・ラブストーリー『プリンセスと魔法のキス』が作品賞を含む5部門8ノミネート、全米でロングランヒットを記録した『くもりときどきミートボール』が4部門にノミネート。また、ウェス・アンダーソン監督による初アニメーション作品で、ジョージ・クルーニーやメリル・ストリープら豪華スターが声優として参加した『Fantastic Mr. Fox』(原題)は監督賞を含む3部門。日本からの参戦では、スタジオジブリ『崖の上のポニョ』の宮崎駿が監督賞に、久石譲が音楽賞に選出されている。果たしてどの作品に栄誉が?授賞式は2月6日(L.A.時間)にて開催。■関連作品:コララインとボタンの魔女 2010年2月、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開© Focus features and other respective production studio and distributors.カールじいさんの空飛ぶ家 2009年12月5日より全国にて公開© WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS.ALL RIGHTS RESERVED.プリンセスと魔法のキス 2010年3月6日より全国にて公開© Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.くもりときどきミートボール 2009年9月19日より新宿ピカデリーほか全国にて公開©2009 Sony Pictures Digital Inc. All Rights Reserved.崖の上のポニョ 2008年7月19日より全国東宝系にて公開© 2008 二馬力・GNDHDDT■関連記事:ノムさん、ウエディング姿の夫人を優しくエスコート「母ちゃんのおかげで私がいる」榮倉奈々、声優初挑戦!『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の監督最新作でディズニー・ピクサー最新作『カールじいさんの空飛ぶ家』独占試写会に30組60名様ご招待『カールじいさん』来日会見にアニマル浜口夫妻が気合いの乱入!世界制覇目指す還暦ランナー・寛平、ニューヨークの街を風船で大冒険!
2009年12月03日来年3月の第82回アカデミー賞授賞式を前に、同賞の名誉賞授賞式「ガヴァナー・アワード」が14日、ハリウッド&ハイランドのグランド・ボールルームにて開催され、往年のフィルム・ノワールのヒロインとして名を馳せ、いまも活躍中のローレン・バコールらが受賞した。85歳のバコールは『マンハッタン・ラプソディ』で助演女優賞候補になった経験はあるが、オスカー受賞はこれが初めて。デビュー作『脱出』で共演し、後に結婚した故ハンフリー・ボガートについて、「わたしに命を吹き込み、人生を変えてくれた」と話した。この日はボガートとの間にもうけた息子であるスティーヴン・ボガートと、死別後に結婚した元夫の故ジェイソン・ロバーズの息子・サムも母親に付き添って来場していた。ほかに、低予算のB級映画の帝王として知られ、最近はジェイソン・ステイサム主演の『デス・レース』などを手がけるプロデューサー、監督のロジャー・コーマン、『ゴッドファーザー』シリーズや『アニー・ホール』から『カイロの紫のバラ』までのウディ・アレン作品などの撮影を担当したゴードン・ウィリスが名誉賞を受賞した。トム・ハンクス、ジャック・ニコルソン、ウォーレン・ベイティ&アネット・ベニング夫妻、モーガン・フリーマン、スティーヴン・スピルバーグといった錚々たる顔ぶれが600人ほど招待された。例年はアカデミー賞授賞式中に発表される名誉賞が、授賞式本番前に授与されるのは初めてだが、TV生中継もないせいか、会場はリラックス・ムードだったという。(text:Yuki Tominaga)授賞式での一幕。ウォーレン・ベイティやスピルバーグ、ジョージ・ルーカスなど錚々たるメンバーと壇上に立つトム・ハンクス。© Reuters/AFLO■関連作品:デス・レース 2008年11月29日より有楽座ほか全国にて公開© 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:意外と運転上手?「デートでも自分が運転したい」アッキーナが車で行きたいのは?バブルの時代再来?ブラザー・コーン「サザン活動休止のいまが復活のチャンス」いま、“死”が爆走する!『デス・レース』試写会に5組10名様をご招待バブルガム・ブラザーズ、コンビ“復活”宣言「一緒にデス・レース戦っていきたい」GTFトーキョーシネマショー2008『デス・レース』試写会に10組20名様をご招待
2009年11月17日