米Microsoftは6月16日(現地時間)、Windows 10 Mobile Insider Preview ビルド10136をリリースしたことを明らかにした。新ビルドは2015年5月14日リリースのビルド10080から数えて約3カ月ぶり。音声パーソナルアシスタント「Cortana」や「フォト」、および「Lumia Camera Beta」アプリを改善し、5インチ以上のデバイスに対する操作性を向上させた。既にInsider Preview Program参加中のユーザーは、「Windows Phone Recovery Tool」を使ってOSをWindows Phone 8.1に戻し、その後「Windows Insider」アプリでFast ringを選択してから、ビルド10136のインストールという手順を踏む必要がある。本来はビルド10080からビルド10136へそのままアップデートするはずだが、「ビルド10136が抱える問題の1つとして、ビルド10080から正常にアップデートできない点があるため」と、OSG(Operating Systems Group) Data and FundamentalsチームのGabriel Aul氏は説明している。ビルド10136の大きな変更点はUX(ユーザーエクスペリエンス)。PINパッドの透明化やロック画面のスライド、フォントやアイコンなどにも改善を加えている。Aul氏は次のビルドでさらに向上させるとも述べている。さらに、5インチ以上のデバイスへWindows 10 Mobile Insider Preview ビルド10136をインストールした場合、スタートボタンを押したまま片手で操作できるようにUXを改善した。その他にもMMSメッセージの受信やロック画面のハングアップなど、多くの問題を修正。先のAul氏は「開発が順調に進めば、おそらく今年の後半にはリリースできるはずだ」として、さらなるフィードバックを求めている。
2015年06月19日2015年5月29日(現地時間)、Microsoftは高速リングを選択しているユーザー向けに最新ビルド10130をリリースした。別記事で述べたようにWindows 10の開発は7月中旬に終える見込みだが、実質的な6月版となる本ビルドは、アイコンデザインの変更やアプリケーションの動作改善、一部UIに関する改良を加えている。特にアイコンデザインはフラットデザインを目指したビルド10122以前と異なるのが特徴的だ。それではいつもどおり前ビルドと見比べて異なる点を紹介しよう。○アイコンデザインを刷新昨今のUIトレンドはフラットデザインと言われてきた。それまでの立体感を持たせた現実世界的なスキューモーフィズム・デザインからフラットデザインに変更したのは、Windows 8のモダンUIである。だが、モダンUIと旧来のデスクトップを融合せたWindows 10が、両者を両立させることは難しい。そのため、デスクトップアイコンもフラットデザインをベースにした簡素なアイコンを採用してきたことは、本レビューをご覧になってきた方ならご承知のとおりだろう。しかし以前からの噂どおりビルド10130は、そのアイコンデザインを一新させた。そもそもWindowsフィードバックを眺めてみると、"中途半端なデザイン""美しくない"と手厳しい意見が多い。筆者もカートゥーン的なアイコンにはいつまでも慣れず、一抹の不安を感じてきた。OSG(Operating Systems Group)Data and FundamentalsチームのGabriel Aul氏もビルド10130リリースを伝える公式ブログで「以前のプレビュービルドはあまりにもフラットすぎて豊かさに欠けていた」と反省し、スイスのグラフィックデザイン、ドイツのプロダクトデザインを調査して一貫したデザインに更新したと述べている。上図はWindows 8.1/Windows 10ビルド10122以前/同ビルド10130のドライブアイコン及びユーザーアイコンを並べたものだ。ご覧になるとWindows 10はドロップシャドウの削除やオーバーレイアイコンのデザイン変更を行ったことに改めて気付かされる。また、ビルド10130のユーザーフォルダーはWindows 8.1のデザインを模しながらフラットデザイン風にアレンジしたことに気付くはずだ。開発スケジュールを鑑みるとアイコンデザインはこれで決定すると思われるが、7月中旬の開発完了を前提にすると、開発チームにはあと90日ほど残されている。Aul氏は「デスクトップとモバイル上のモノラインスタイルアイコンのバランスを取りながら提供する」と述べており、開発終了までは何らかの変更が加わるかもしれない。○カスタマイズ可能になったスタートメニュースタートメニューに関する設定が可能になったのも本ビルドが備える特徴の1つだ。「設定」の「パーソナル設定\スタート」は文字どおりスタートメニューに関する設定項目を集めたものだが、ビルド10122は「一覧のカスタマイズ」を強制的にグレーアウトし、ユーザーに設定の変更を許していない。その理由は不明だが、ビルド10130は"おすすめアプリやコンテンツ"を推奨する機能やアプリケーション使用履歴、グループ表示の有無を制御できる。なお、何度か再サインインを繰り返してみたが、リコメンドメッセージは確認できなかった。また、Windows 7における「[スタート]メニューのカスタマイズ」ダイアログに相当する「一覧のカスタマイズ」が使用可能になったのも本ビルドから。こちらはスタートメニューの左下に"エクスプローラー"や"設定"、"(電源の)オン/オフ"といった項目の表示/非表示を切り替える設定である。ただし、ビルド10122からアップデートした環境では、各アイコンが消えてしまうバグが残っているため、「一覧のカスタマイズ」から設定を変更してからWindows 10へ再サインインするとよい。これで同項目による設定内容はリアルタイムで反映される。○ジャンプリストとMicrosoft Edgeなどの改善Aul氏が「ジャンプリストのUIを洗練した」と述べているように配色をタスクバーと連動するものに変更した。下図に並べた画像を拡大するとタスクバーとジャンプリストの配色はほぼ同じく、一貫した印象を持つことができる。しかし、「設定」の「パーソナル設定\色」にある「スタート、タスクバー、アクションセンターを透明にする」とは連動しない。同項目のスイッチをオフした状態でジャンプリストを開くと、配色が異なっていることに気付くだろう。もちろんすべてが連動すればよい訳でもなく、フラットデザインはレイヤーの上下関係が分かりにくくなるため、ジャンプリストの配色は固定でも構わないように思えてきた。ベンチマークの好結果で期待を集めるMicrosoft Edgeにも改善が加わり、お気に入りなどを管理する"ハブ"のピン留め機能や印刷機能の向上などがポイントだ。主にフィードバックを受けてのマイナーチェンジだが、他にもフルスクリーンビデオ視聴のため全画面表示の改善も加わったとAul氏は説明している。仮想デスクトップ使用時におけるタスクバーの動作に関して、Microsoftは4月ビルドの時点で、タスクバーに表示するボタンを使用中のデスクトップに限定(="フィルター済みタスクバー")するのか、それとも仮想デスクトップを含めるすべてを対象にする(="グローバルタスクバー")のかユーザーに投票を求めていた。その結果は全体を表示するグローバルタスクバーとフィルター済みタスクバーの満足度スコアは3.8対4.2。その結果「設定」の「システム\マルチタスク」に並ぶ「タスクバーに次の場所で開いているウィンドウを表示する」の既定値は「使用中のデスクトップのみ」としたとAul氏は説明している。もっともこれらの設定は同箇所から自由に変更できるため、特に気にする必要はないだろう。○本ビルドから加わったゲームバーと新仮想プリンターその他にもAul氏は[Ctrl]+[C]キーでCortanaが呼び出せる機能をアピールしているが、同昨日はビルド10122も備えている。もっとも表示言語を日本語にしている場合、Cortanaは使用できず、ビルド10130では同ショートカットキー自体が動作しなくなっていた。これは誤操作を避けるための処置と思われる。以前のビルドで同ショートカットキーを誤って押した際、Cortanaが使用するサーバーへのアクセスが発生していたため、個人的にはありがたい改善だ。ただし、検索ボックスにフォーカスを移動する[Win]+[Q]キーも動作しなくなったため、一時的なものかもしれない。ショートカットキーと言えば、GDC(Game Developers Conference)2015で発表した[Win]+[G]キーの動作をようやく確認できた。下図に示した「ゲームバー」は左から「Xbox」アプリの呼び出し、ゲームのバックグラウンド録画、スクリーンショットの作成、録画の即時開始、設定とボタンが並ぶ。もっとも現時点では未完成らしく、録画機能はいずれも動作しない。スクリーンショットの作成は成功を示すトースト通知が現れるものの、「Xbox」アプリが正常に起動しないため確認できなかった。些末(さまつ)な部分では、仮想プリンターがこれまでの「Print as a PDF」から「Microsoft Print to PDF」に改称……いや、新たな仮想プリンターが加わっている。Aul氏も「以前の"Print as a PDF"は削除して構わない」と述べているとおり、古い仮想プリンターは削除しておこう。ところで上図をご覧になると思い出すように、MicrosoftはXPS(XML Paper Specification)をPDFのライバル電子フォーマットとしてプッシュし、2009年6月には国際標準規格にもなったが、あまり目立った形跡を見付けられないのが現状だ。Microsoft自身の方針変換というよりビジネスモデルの変革を踏まえ、個別のフォーマットにこだわっている場合ではないのかもしれない。○ビルド10130の不明確な動作Aul氏が公式ブログで述べているように、ビルド10130はいくつか既知の問題が存在する。Wi-Fi接続に失敗する場合はPCの再起動を推奨し、タスクバーからのフライアウト(=ポップアップ)失敗や「メール」のハングアップやバックグラウンド同期ミスは、更新プログラムで対応するそうだ。筆者が本ビルドに触れて気付いたのは、先のフライアウトが失敗する際はほぼエクスプローラーがハングアウトしているケースである。例えばスタートメニューやアクションセンターが現れない際、Windows 10に再サインインすると必ずと言ってよいほど、Explorer.exeがハングアップしていることを確認した。また、ビルド10122まで使用できたPIN(暗証番号)によるサインインオプションが選択できず、パスワードによるサインインを強制されるのも本ビルドで出くわした不具合の1つ。こちらは「アカウント\サインインオプション」に「Windows Hello」を追加する際に何らかのコードが加わったため、誤動作を起こしているのだろう。このようにビルド10130は高速リングで提供していることからも分かるように、不安定なプレビュービルドである。もっともAul氏は「ビルド10130がよさそうな場合は低速リング及びISOリリースする」と述べていることから、いずれの問題も簡単に改善するのだろう。Windows Insider Program参加者はこれらの問題を踏まえて、低速リングにとどまるか高速リングを選択するか判断してほしい。阿久津良和(Cactus)
2015年06月01日米Microsoftは5月20日(現地時間)、Windowsインサイダープログラム参加者に「Windows 10 Insider Preview」のビルド10122の提供を開始した。今回のビルドリリースはFastリング設定ユーザー向けになっている。ブラウザ「Microsoft Edge」 (ビルド10122での名称はProject Spartanのまま)がAMDのGPUで頻繁にクラッシュする問題が確認されており、ビルド10122へのアップデートを避けたい場合はWindows Updateの設定をSlowリングに変更するように呼びかけている。ビルド10122では、スタート、Continuum、Edgeブラウザ、ファイルの関連付けなどが改善されている。スタートメニューはファイルエクスプローラと設定が左下に移動し、電源オプションや全てのアプリと釣り合いが取れるデザインになった。またスタートメニューとスタートスクリーンの切り替えを、パーソナル設定に設けたスタート設定に移した。これはタブレットモードへの切り替えと間違うユーザーがいたためだが、混乱を解消しただけではなく、レイアウトの変更によってスタート全体がすっきりとして分かりやすくなった。Continuumは、タブレットモードに移った時に左側のペインが左上のアイコンをクリックした時に現れるように変更された。またスタートのタイルが大きくなっている。Edgeは、JavaScriptエンジン「Chakra」が最新版に更新されており、Octane 2.0、Jet Streamといった64ビットブラウザのベンチマークで競合ブラウザを上回る性能を発揮するという。また開発者カンファレンスBuild 2015(4月29日-5月1日)の基調講演でデモを披露した「新しいタブページ」を備える。トップサイト、MSNからのコンテンツなどが並び、新しいタブページの内容は設定からカスタマイズすることも可能だ。これらのほか、InPrivateモード、スタートへのピン留め、履歴表示、新しいリーディングビュー・アイコン、タブのオーディオインジケータなどが実装されている。ファイルの種類に対して開くアプリを選択したり、デフォルトに設定するのがWindows 8.1ではクラシックWindowsアプリ(Win32)のみ可能で、Windows Storeアプリについてはバナーでの通知のみになっていた。ビルド10122ではこの違いを無くし、クラシックWindowsアプリとユニバーサルWindowsアプリの両方を同じ画面で選択またはデフォルトに設定できるようにした。
2015年05月22日2015年5月20日(現地時間)、Microsoftは高速リングを選択しているユーザー向けに最新ビルド10122をリリースした。今夏リリースを目前にしたWindows 10にとって、残り時間は少ない。そのような状況下でリリースした本ビルドは、バグフィックスを中心に調整や安定性の向上、更なる研磨を目標にしている。そのため目立った変更点は多くないが、前ビルド10074と比較し、変更点をピックアップして紹介しよう。○既定アプリケーションの確認ロジックを変更筆者は当初「5月のプレビューリリースはない」と思い込んでいた。前回紹介したように、4月22日(現地時間)にビルド10061、4月29日(現地時間)にビルド10074をリリースしたからである。もっともこのタイミングで新機能を試すような試みは少なく、OSG(Operating Systems Group)Data and FundamentalsチームのGabriel Aul氏も公式ブログで述べているとおり、調整や安定性の向上といったブラッシュアップが中心だ。それでは変更ポイントを1つずつ見ていこう。これまでのWindows OSにもあった既定のアプリケーションを選択する処理に変更が加わっている。Windows 8.1上のデスクトップアプリは、既定アプリケーションの確認を求めるプロンプトを呼び出すことができるものの、Windows app(Windowsストアアプリ)は不可能だったという。例えば「ストア」からAdobe Photoshop Expressなどフォトレタッチアプリケーションをインストールした後に、JPEG形式ファイルを開くと下図に示したアプリケーションの確認を求めるアプリケーションが現れるという仕組みだ。Aul氏は本仕様がデスクトップアプリとWindows Appの垣根をなくす意味があると同時に、古いデスクトップアプリとの互換性に労力をつぎ込んだと述べている。新たな仕様に合致しないデスクトップアプリをインストールした際は、「システム\既定のアプリ」から変更をうながすプロンプトを表示する仕組みが加わった。○新たなタブから次のWebページにアクセスする「Microsoft Edge」本ビルドのリリースにあたっては大きな問題が残っている。それはAMD製GPUを搭載しているPCでは、Microsoft Edge使用時にクラッシュするバグが潜んでいるのだ。Aul氏はデバイスドライバーを1週間程度で改善し、Windows Update経由で配布する予定と述べている。更にリリース直前にはTwitterで、ビルド10122をリリースすべきか否かアンケートを行っていた。前ビルドを試した方ならご承知のとおり、Microsoft Edgeの名称で使用可能になったのはビルド10122から。劇的な変化はないものの、各所に使い勝手を向上させる改善は加わっている。例えば、Internet Explorerシリーズにあったアドレスバーを選択するショートカットキー([Ctrl]+[L]キー及び[Alt]+[D]キー)を復活させ、新たなタブを開くとピン留めしたWebサイト(サジェステッドコンテンツ)や、MSNニュースのコンテンツ(トップサイト)が現れる仕組みを加えていた。また<他の操作>ボタン(3点リーダーで示されたアイコン)を押すと現れる項目にも変化が生じている。下図はProject Edge(0.11.10074.0)とMicrosoft Edge(13.10122.0.0)のメニューだが、ひと目で項目が増えたことを確認できるはずだ。<Hub>はお気に入りやリーディングリストといった<Hub>ボタンを押した時に現れるメニューを開き、<Make a Web Note>はMicrosoft Edgeで開いたページにメモを書き込み、共有操作などを行う<Webノートの作成>ボタンと同等。<新しいウィンドウ>や<スタート画面にピン留め>は、Internet Explorer 11の機能をそのままインポートしたと考えて構わないだろう。<設定>にも本改善に伴う項目が加わっていた。例えば「起動時に開くページ」は新たに<New tab page>を追加し、「Open new tabs with」のドロップダウンリストからは新規タブに表示するコンテンツをトップサイト&サジェステッドコンテンツ、トップサイトのみ、空白ページの3つから選択できる。○バックアップ機能を再搭載?既にビルド10122を試した方はお気付きのとおり、開発チームのブラッシュアップはスタートメニューなど各所で確認できた。例えばスタートメニューを開くと、<エクスプローラー>と<設定>がメニュー項目の下部に移動し、誤訳の<仕事率>も<オン/オフ>に変更している。その一方で<ドキュメント>を削除しているが、こちらの取捨選択を行う設定項目は見つからなかった。また、スタートメニューを全画面表示に切り替える<スタートメニューを展開>ボタンも取り除いている。その全画面表示の有無は「設定」の「パーソナル設定\スタート」に並ぶ、<デスクトップで全画面表示のスタート画面を使う>で制御可能。ただし、ビルド10074のようにデスクトップを残して全画面表示するスタートメニューではなく、タブレットモードに切り替えた際のスタート画面が現れる仕組みだった。なお、ハイライトカラーが明るくなったのも本ビルドが備える特徴の1つ。下図のようにスイッチオン時は着色するため、全体的に設定状況が分かりやすくなかった。「設定」の項目を徒然(つれづれ)と眺めていると「更新とセキュリティ」にも変更が加わっている。なかでも「バックアップ」には「Windows 7からファイルを復元します」というカテゴリーが加わり、Windows 7のバックアップ機能で作成したデータからの復元をサポートする「バックアップと復元(Windows 7)」の起動が可能になった。名称からも分かるようにWindows 7のバックアップ機能を復元したものだが、バックアップ設定を行うとシステムイメージの作成を行うフルバックアップの設定も行える。ご承知のとおりWindows 8.xはこれらの機能を"基本的"に削除していたため、定期的なシステムバックアップを必要とするユーザーには朗報だ。「更新とセキュリティ」は以前のビルドから存在した「開発者向け」を選択してもハングアップせず、開発者向け機能の選択が行える。「アプリのサイドロード」はストアを経由せず社内のみなど限られた環境でアプリケーションの開発やインストール環境を提供するモード。「開発者モード」はデバイスドライバーやソフトウェア開発者向けの設定だが、いずれもデバイス情報や個人データを送信するセキュリティリスクの確認をうながされる。「更新とセキュリティ\Windows Update」の<詳細オプション>には、<アップグレードを延期する>という項目が新たに加わった。リンク先のヘルプページは未設置だったため、詳しい動作を確認するに至らなかったが、Windows 8.1からWindows 10の様なメジャーレベルのアップグレードに適用されるのではないだろうか。なお、Microsoft Igniteで詳細を発表したWindows Update for Businessに関する設定項目は見当たらなかった。そして重箱の隅をつつく様で恐縮だが、エクスプローラーのコンテキストメニューには気になる項目名が加わった。前ビルドは<OneDriveのリンクを共有する>と直感的な項目名だったが、本ビルドでは<キョウユウOneDriveのリンクを共有する>と不要な語句が残っている。<その他のOneDrive共有オプション>も<タキョウユウその他のOneDrive共有オプション>といった具合だ。スタートメニューの<仕事率>はご愛敬(あいきょう)といえるものの、今回のケアレスミスは正直頂けない。もちろん動作に支障が生じる訳もなく、今後のビルドで改善するはずだが、少々げんなりしてしまった。最後にビルド10122で加わった修正ポイントと既知の問題について報告しよう。本ビルドでは、GPU用デバイスドライバーが原因で発生していたWindows Updateのエラー0x80070103を改善や、IPv4プロパティを変更できなかった問題を改善。また、高DPIディスプレイ上でのフォントレンダリングの調整や、メール/カレンダー/ピープル/天気/マネーといったWindows appを更新している。既知の問題だが、以前のプレビュー版からアップデートした場合、一部のPCで0x80070057などのエラーが発生する。デバイスドライバーのセットアップ情報(.inf)ファイルが原因。システムファイル及びデバイスドライバーのクリーンアップを行い、不要な周辺機器をデバイスマネージャーから削除した後、再アップデートを試してほしいとAul氏は述べている。筆者は問題なくビルド10074からビルド10122にアップデートできたが、同様の問題が発生したISOダウンロードページから新規インストールした方が早いだろう。なお、執筆時点でビルド10122の日本語版ISOファイルは公開していなかった。また、Cortanaの音声に不具合が発生するが、現時点でCortanaは日本語をサポートしていないため、大きな問題とはいない。Aul氏はWindows 10リリース以降もInside Preview参加者に開発協力を求め、多くのフィードバックを求めている。既にプレビュー版をお使いの方は「Inside Hub」や「Windowsフィードバック」を使って気になる箇所を報告すれば、より使いやすいWindows 10が生まれるだろう。今夏リリースまで残り2カ月程度だが、6月のプレビューリリースでどのように変化するのか期待したい。阿久津良和(Cactus)
2015年05月21日米Microsoftは4月29日(現地時間)、Windowsインサイダープログラム参加者に「Windows 10 Insider Preview」のビルド10074の提供を開始した。開発者カンファレンス「Build 2015」で発表した内容も含む最新ビルドで、全ての技術プレビュー版ユーザーにアップデートが提供され、ISO版も用意されている。このビルドから「Technical Preview」だった名称が、インサイダープログラム参加者向けであることを示した「Insider Preview」に改められた。ビルド10074は主にユーザー体験(UX)を改善したビルドになっている。たとえばライブタイルのアニメーションが刷新され、動作や安定性も向上している。デジタルアシスタント「Cortana」もスタートとの融合が図られ、スタートでアプリを検索するとCortanaがシームレスに検索を引き継いで結果を示す。またスプリット表示を用いた操作が加えられ、Cortanaの左側から「Reminders」や「Notebook」などCortanaの主な機能にすばやくアクセスできる。デバイスの使い方に応じてユーザーインターフェイスを切り換える「Continuum」のUXも改善された。タブレットにおいてタブレットモードでアプリケーションを閉じた時に、デスクトップではなく、スタート画面に戻るように変わった。またマルチタスク機能で、スナップ中にウィンドウを閉じられるようになった。インサイダーメンバーからWindows 7の透過効果「Aero Glass」を求める声が多数寄せられており、ビルド10074でA/Bテストを実施する。半数のスタートメニューとタスクバーにすりガラスのようなブラー効果が施され、残る半数は通常の透過率のままだ。インサイダーからのフィードバックを元に採用を判断する。これらのほか、DPIの異なるマルチディスプレイのサポートを改善、Windows標準サウンドを刷新し、Music PreviewアプリとVideo Previewアプリ、Xboxアプリをアップデートした。技術プレビュー版は、Windows 8.1で提供されている「Windows Store」と、Windows 10向けの「Windows Store Beta」を搭載するが、これまでグレー色だったWindows Store Betaのタイルがブルーに変更された。新たにXbox Liveゲームが動作するようになり、アプリ内購入も利用できる。Windows 8.1で動作するPCのWindows Storeで購入したアプリがWindows Store Betaに表示されるようになり、その逆も実現している。
2015年05月01日米Microsoftは4月22日(現地時間)、Windowsインサイダープログラム参加者に「Windows 10 Technical Preview」のビルド10061の提供を開始した。新しいメールアプリ/カレンダーアプリを搭載、様々な機能の改善や不具合の修正が行われている。新しいメールとカレンダーによってパフォーマンスが改善され、すばやくメールとカレンダーを切り換えられる。 メールアプリは3ペイン構成のユーザーインターフェイスになっている。カスタマイズ可能なスワイプジェスチャーをサポートし、削除、フラグ、移動、未読/既読の変更などを左右のスワイプに割り当てられる。またWordの編集機能のようなリッチなメール作成機能を備え、テーブルや写真の挿入、テキストの装飾を簡単に行えるようになった。メールとカレンダーともに、Office 365、Exchange、Outlook.com、Gmail、IMAP、POPなどメールサービスを幅広くサポートする。スタートメニューとタスクバーに透過効果が用いられ、Startメニューのリサイズが可能になった。ほかにも、Startメニュー、タスクバー、アクションセンターに黒のシステムテーマを追加。デスクトップの背景から基本色を自動的に取得するオートカラーのサポートが有効になった。タブレット向けにタスクバーのデザインが改良され、Startボタン、Cortana、タスクビューボタン、通知エリアのアイテムなどがタッチで操作しやすくなった。またタブレットモードで起動するように設定できるようになり、10インチ以下のタブレットではデフォルト設定になる。このビルドで、作成できる仮想デスクトップ数の制限が無くなった。ディスプレイの表示の限界に達したら、作成した仮想デスクトップの1つにアクセスさせるようになっている。ビルド10061は22日時点で、アップデート設定を「Fast」に設定しているWindows 10 Technical Previewに配信されている。「Slow」に設定しているWindows 10 Technical Previewユーザーにはビルド10049へのアップデートを提供せず、Fast設定ユーザーからのフィードバックを見ながらビルド10061をSlow設定ユーザーに拡大するか判断する。Slow設定ユーザーにビルド10049を提供しないのは言語パックに問題があったためで、すでにビルド10049をインストールしたFast設定ユーザーに対して、Microsoftはビルド10049の言語パックのインストールに関する問題を解決する方法の実行を推奨している。
2015年04月24日米Microsoftは4月10日(現地時間)、スマートフォンユーザー向けのWindows 10 Technical Previewの最新ビルドである「Build 10051」の提供を開始した。同ビルドには、3月末にPC向けWindows 10 TPのBuild 10049で初めて提供が行われた「Project Spartan」のWebブラウザが含まれており、スマートフォンでは初のSpartanを利用できるビルドとなる。このほかいくつかの新機能が含まれており、Windows Insiderアプリ経由または、すでにWindows 10 TPを導入しているユーザーは設定メニューから導入が可能。同社では2月上旬からWindows Phone 8.1端末を持つユーザー向けにスマートフォン版Windows 10 Technical Previewの提供を開始しており、Windows Insider Programに登録したユーザーを対象にWindows Insiderアプリを通じてWindows 10の開発中最新ビルドの導入が可能になっている。当初は対象となる端末が旧Nokia(現Microsoft Mobile)のLumiaシリーズ6機種と非常に限定的だったが、3月末にはやはりLumiaシリーズ36機種にまで一気に拡大しており、テスト可能な環境が増えた。今回提供が開始されたBuild 10051の対応機種は基本的に3月末公開のリストに則っており、唯一スケーリング表示で致命的なバグの見つかった「Lumia Icon」(米Verizon Wireless向けのハイエンド端末)の1機種を除く全35機種での利用が可能になっている。最大の特徴はWindows 10 Technical Preview for phonesとしては初の大型アップデートであり、Project Spartanを含む多くの新機能が加えられていることだ。ただしSpartanはデフォルトブラウザにはなっておらず、現在はまだIEとの併存状態であり、デフォルトブラウザとしての機能もIEが選択されている。またReading ViewやReading Listといった新機能もごく初期のバージョンであり、今後ブラッシュアップが行われていくと思われる。このほか、デフォルトで導入されているアプリ(メール、カレンダー、電話、メッセージ、Peopleなど)がすべて新バージョンとなっており、Windows 10 for PCとの共通化アプリである「ユニバーサルアプリ」と置き換えられている。特に地図アプリに関してはユニバーサルアプリ化により、現在Windows 8.1 for PCで提供されている標準の地図アプリと同等程度の機能が提供可能になる。Windows Phone 8.1の地図アプリは日本では利用できないため、これによりWindows Phone端末においても標準状態のまま日本で地図が利用可能になると考えられる。またLumia 1520のような6インチクラスの端末では、新しいアプリ切り替え機能により、現在動作中のアプリがグリッドの格子状で一覧表示され、複数のアプリの中から素早く目的のアプリを選択可能になった。
2015年04月13日2015年3月19日にWindows Update経由でリリースし、同月25日はISO形式ファイルの配布も始まったビルド10041を対象にレビューを重ねてきたが、早いもので5回を数える。そこでビルド10041に関してはひとまず今回を一区切りとし、最後もビルド9926と比較して改善・変更された箇所を中心に報告したい。○「設定」のピン留めはスタートメニューのタイルへ最初に第18回で触れた「設定」のピン留め機能だが、その後スタートメニューの動作を検証していたところ、タイルとして加わることが分かった。今回はこの件から報告したい。Windows 10テクニカルプレビュー ビルド10041の初期状態は多くのタイルがスタートメニュー内に並び、右端にはスクロールバーも用意しているが、スタートメニューの右上に並ぶ<展開/復元>ボタンをクリックしたところ、存在にようやく気付いたというのがことの次第である。ピン留めしたタイルは「設定」の中カテゴリと同じ名称を持ち、他のタイルと同じくドラッグ&ドロップで移動可能だ。ピン留めのオン/オフも可能で試しにタスクバーへのピン留め操作を行ってみたところ、確かにピン留めされるものの、中カテゴリがジャンプリストには加わらない。Windowsストアアプリがジャンプリスト機能をサポートしているのか確認してこなかったが、Windows 8.1でいくつかのアプリケーションを試したところ、ファイルのドラッグ&ドロップによるジャンプリストへの追加サポートしていないようだ。今後もデスクトップを中心に使うことを踏まえると、コントロールパネルの「最近使ったもの」のようにジャンプリストに対応できると便利ではないだろうか。そういえば、"Windowsストアアプリ"という名称もWindows 10ではなくなるようである。MicrosoftでDistinguished Engineerを勤めるDon Box氏のキーノートスピーチをChannel 9で視聴していると、これまで「メトロアプリ」や「Windowsストアアプリ」と呼んでいたものを「Windows App」と定義すると語っていた。これはブランド命名時のトラブルも関係している。MicrosoftがWindows 10デバイスプラットフォーム上で同一のアプリケーションが動作する「ユニバーサルアプリ」への移行を推しているのはご承知のとおり。この2つの要素が相まって、モダン/Windowsストア/ユニバーサルアプリと呼ばれるものはすべて "ウィンドウアプリ"、Win32ベースのデスクトップアプリは「Windows desktop application(デスクトップアプリのまま?)」となるようだ。○P2P機能で更新プログラムを更新可能……?それでは、このところ続けていた「設定」の項目チェックに取りかかろう。最後は「保守と管理」の「Windows Update」からたどれる「更新プログラムのダウンロード方法を選択する」という設定項目だ。画面に並ぶのは複数のソースから更新プログラムのダウンロードを許可するスイッチと、その対象として<ローカルネットワーク上のPC><ローカルネットワーク上のPCとインターネット上のPC>の2項目。冷静に考えればLAN上のWindows 10搭載PCから同種の更新プログラムを取得していないか確認し、Windows Updateサーバーから取得したハッシュ情報などを確認しつつ、外部とのトラフィック量の軽減する仕組みだと予想できる。問題は後者の"~インターネット上のPC"という部分だ。多くのユーザーは更新プログラムに改ざんが加わるリスクを考えてしまうだろうが、ハッシュ情報を始めとするファイルの整合性を確認する手法は多いため、さほど問題ではない。では、P2P(Peer to Peer)技術を用いているのかと問われれば、その可能性は高い。そもそもMicrosoftはWindows Vistaの時点でP2Pネットワークを実現するサービスを標準で組み込み、Windows XP時代もIPv6やP2P機能を追加する「Advanced Networking Pack for Windows XP」をリリースしていた。ちょうどその頃はIMクライアントにP2P機能を実装した「3°(Three Degrees)」のベータテストも行っている。ただし3°は、ビジネスモデルやビジョンを確立できなかったため、リリースには至っていない。他方でP2P技術はWCF(Windows Communication Foundation)の1つとして組み込まれ、現在はSharePoint Workspaceに改称したOffice Grooveの基本的技術として用いられていた。このような背景から更新プログラムの取得方法として、"~インターネット上のPC"として近くのPCから更新プログラム(全体もしくは1部)を取得するのだろう。ただ、約10年前から作ってきたP2P技術をそのまま使うのではなく、2013年にMicrosoftが取得したP2P技術でファイル転送サービスを行うPando Networksを買収しているため、こちらの技術を取り込んだ可能性も捨てがたい。いずれにせよ、P2P機能を有効にする場合、"ダウンロード可能な場合はアップロードする側に回る可能性"も同時に発生する。更新プログラムのアップロードは何ら問題はないものの、1日のアップロード量を制限するISPをお使いの場合、オンラインストレージの利用に続く問題が発生しそうだ。○マウス/タッチ操作で変化するUIここからはWindows 10テクニカルプレビュー ビルド10041の細かな変更点を確認していこう。例えばマウス操作時とタッチ操作時にUIが微妙に異なっていることに気付くだろうか。下図はWinHEC 2015の「Input Platform Enhancements for Windows 10」から抜粋したものだが、Windows 10はタッチ操作の改善を目指し、ペンや指で選択しやすくするサイズ調整機能を内包するという。もっともこれらはデスクトップ/タブレットモードによる差異のようだが、通常のデスクトップモードでもその違いは確認できる。お手元にWindows 10テクニカルプレビュー 10041がある読者はタスクバーボタンをマウスで右クリックした場合と、指で長押しした時の結果を見比べてほしい。コンテキストメニューの行間が大きくなることに気付くことだろう。Surface Proにインストールしたビルド10041で動作を確認してみたが、確かにタッチしやすさはWindows 8.1と段違いである。このような細かい改善はペンや精密タッチパッドにも加わるようだ。章を改めるまでもない細かい変更点は各所で見受けられる。例えば「ストア(ベータ)」にはアプリケーションやゲームといったカテゴリに「映画とテレビ」が加わり、RTM(製造工程版)リリース時は、動画コンテンツのレンタル/購入プロセスを「ビデオ」から移行させるつもりなのだろう。また、ドライブのダイアログを開くと使用状況を示す円グラフのサイズが小さくなっている。また、Windows 10が新Webブラウザー「Project Spartan(開発コード名)」と新HTMLレンダリングエンジン「Edge」を搭載することは既報のとおりだが、その一部機能をInternet Explorer 11で確認できる「Experimental Features(試験的な機能)」の設定項目も大幅に増えていた。詳しく述べていくとWindows 10の話から離れるため割愛するが、モダンWebへの対応は着々と進んでいるようだ。最後に本ビルド10041では確認できないが、今後を見据えた情報として「WDDM(Windows Display Driver Model) 2.0」に触れておこう。最初のアナウンスは2014年開催のBuild 2014のため目新しさはないものの、Direct3D 12 APIを利用に欠かせないため、Windows 10ではWDDM 2.0対応のビデオドライバーは必須となる(ちなみにビルド10041をIntel HDグラフィック4000上で動かした場合、WDDM 1.3のドライバーが組み込まれた)。上図はWinHEC2015のプレゼンテーション資料「Graphics Investments in Windows 10」から抜粋したものだが、ディスクリート(外部)GPUへのディスプレイ接続や、外部ディスプレイに出力する際のDPI/スケーリング調整をサポートするなど、"ちょっと気になる"部分の改善が各所に行われる予定だ。この辺りに関しては2015年5月からのBuild 2015で詳しく説明され、Windows 10の新ビルドで実際に試すことができるだろう。ビルド10041に関するレビューは今回でひとまずお開きにし、新ビルドが登場したあかつきには再び改善点などをご報告したい。阿久津良和(Cactus)
2015年03月30日米Microsoftは3月18日(現地時間)、Windowsインサイダープログラム参加者に「Windows 10 Technical Preview」のビルド10041の提供を開始した。最終版リリースを意識した機能を加えたテクニカルプレビュー版を1月にリリースして以来のアップデートだ。開発版のWindows 10をFastリングで受け取るように設定している場合は、Windows Updateを通じてビルド10041にアップデートされる。ISO版は、Fastリングのインサイダーの反応を見ながらリリースするSlowリングのタイミングで提供開始になる。ビルド10041では、仮想デスクトップのユーザーインターフェイスが改良され、ウインドウの移動が容易になった。これまでウインドウを右クリックしてコンテキストメニューから[移動]を選択していたが、ウインドウをドラッグして仮想デスクトップに移動できる。ウインドウをドラッグして「+」アイコンに持っていくと、ワンステップで新たに仮想デスクトップを作成し、そこにウインドウを移動できる。また、タスクバーの仮想デスクトップの表示が、動作しているアプリケーションに絞り込んだ表示をサポートする。最終的なデフォルト表示は、A/Bテストの結果やインサイダーからの意見を参考に決定する。ビルド9926でXAMLベースになったStartメニューのユーザーインターフェイスも改良された。透明なデザインをサポート。タッチUIで利用しやすいように全アプリ表示のボタンを改善し、全アプリからドラッグ&ドロップできるようにした。また、よく使うアプリのリストからStartメニューにPin留めできるようになった。通知領域からのネットワーク設定へのアクセスには、これまでWindows 8に近いネットワークペインが用いられていたが、より素早くネットワーク設定にアクセスできる新しいパネルが採用された。ワイヤレス接続の切り替えも簡単に行える。デジタルアシスタント機能Cortanaのサポート言語に、中国語、英語(UK)、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語が加わった。また、PhotosアプリがライブタイルでOneDriveの写真をサポートする。パフォーマンスと安定性も改善しており、RAW対応も進められている。Windows Feedbackアプリにフィードバックや提案を絞り込めるフィルター機能と「Me too」機能が設けられた。Me tooは検索結果に表示され、ユーザーが同意する提案や問題にMe tooを押すことで、フィードバックを作成するよりも簡単に意見を伝えられ、Me tooの数でフィードバックのトレンドを判断できる。
2015年03月19日ネット上にWindows 10 ビルド9888がリークされた。流出経路などは不明だが、目にした限りでは開発途中に登場するフェイクではなく、Microsoftがビルドした正規版のようだ。11月にリリースしたビルド9879と比べて、一目でわかるような変化は加わっていない。だが、各所を眺めていくと、わずかながら更新された部分が確認できた。まずはアニメーション効果。ビルド9879で一度削除したウィンドウ描画時のアニメーション効果が復活している。Windows FundamentalsチームのGabe Aul氏はビルド9879における変更点として、「不評だったため(アニメーション効果を)軽減した」と述べていた。だが、異議を唱えるフィードバックが増えたのか、Microsoft内部で意見が分かれたのかは不明だが、本ビルドでは復活している。Task Manager(タスクマネージャー)を眺めていて気付いたのは、<Processes<タブのアプリケーション名において、32bitか64bitかを示す文字列を変更した点だ。「32bit」と表記していたの部分を「WoW」に置き換えている。そもそも64bit版Windowsは、Win32アプリケーションを実行する際に、WOW64(Windows 32-bit On Windows 64-bit)システムを利用している。今回の変更は32ビットのOSやアプリケーションを過去のものとする時期にきたことを意味するのだろう。Windows 10では、settings(PC設定)と異なるモダンUIベースの設定ツール、通称「zPC」を用意すると言われていたが、ビルド9888では両者を融合している。そして新たに検索ボックスを追加した。残念ながら検索ボックスに入力したキーワードは、検索チャームを用いるため意味をなしていない。もちろんこのままリリースするとは考えにくく、settings内で設定項目を絞り込み表示するような仕組みを実装するのではないだろうか。そして、各所で報じられたようにカーネルバージョンを「10」に変更しており、「ver」コマンドによる結果は「10.0.9888」だった。2015年1月に新たなビルドのリリースを予定していることを踏まえると、2014年内にビルド9879以降の新しいアップデートをリリースする可能性は乏しいだろう。さて、前回のレポートで「Windows 10のリリースタイミングが早まる」と予測したが、MicrosoftのCOO(最高執行責任者)であるKevin Turner氏の発言によれば、「来年晩夏と初秋」を予定しているという。通常であれば「と」ではなく「から」という表現になるが、Neowinをはじめとする海外報道では、「late summer and early fall」と"and"を使っている。ここでWindows 8のリリースタイミングを思い出してほしい。RTM(Release To Manufacturing version)に達したのは2012年8月1日(以下、すべて現地時間)、一般リリース日は同年10月26日だ。さらにWindows 7はRTMが2009年7月22日。一般リリース日は同年10月22日である。とすると晩夏にRTM、初秋に一般リリースとこれまでと変わりないリリースタイミングとなる可能性が強まってきたのだ。さらにCredit Suisse Technology ConferenceでTurner氏は「Windows 10の価格体制を発表しておらず、(集客効果を狙った価格設定を行う)特売品になります」「関連するサービスで新たなビジネスモデルへ移行します」と発言している。つまり以前から噂されていたWindows 10の無料化、もしくは無料アップグレードという可能性がさらに強まったのである。すでにOS自体が収益向上に適したソフトウェアではなく、その上で動作するアプリケーションやサービスで稼ぐというビジネスモデルが浸透しつつある。Microsoftがこの方向に進むという声がプラットホームやサービス担当役員ではなく、業務執行を統括するCOOが発したのは重要なポイントと言えるだろう。すでにMicrosoftの中心にWindowsはなく、Microsoft AzureやSurfaceと同列の存在になりつつある。近年の同社がアピールする「デジタルワーク&デジタルライフ」を見てもそれは明らかだ。2015年晩夏と初秋に登場するWindows 10が、現在のシェアをさらに押し上げるか否かは、OSの完成度やMicrosoftの体制が大きく影響するため、その時が訪れなければわからない。ただ、他のサービスや製品と同列に並んでも、ベースとなるWindows 10の成否が同社の鍵を握っている。阿久津良和(Cactus)
2014年12月15日GoogleはこのところGoogle ChromeやChromiumのビルドをLLVM Clangへ置き換える作業を進めている。この活動は2014年11月に入ってから活発になっており、11月に投函されたメールによれば、特定の機能をClangで実装するにはどうすればよいかといった技術的なやり取りが積極的に行われている。GoogleはこれまでMac OS X版のChromeのビルドにClangを使用してきた。Android版のChromeもすでにGCCからClangへの置き換えが実施されているほか、直近ではLinux向けのChromeのビルドがGCCからClangへ置き換わっている。GCCとClangの双方が生成するバイナリの性能はほぼ互角とされることが多いが、Clangはビルド時間が短く、しかもビルドエラーなどの出力が理解しやすいことから開発者に人気がある。GCCをビルドに採用してきたプロジェクトがClangへ移行した例はほかにもある。FreeBSDなどの*BSD系プロジェクトがデフォルトのコンパイラをClangへ変更したほか、LinuxディストリビューションではOpenMandriva LxがClangへ移行している。エンタープライズユースではPlayStation 4の開発環境がGCCからClangへ移行済み。ビルド時間の短さが開発効率に結びつきやすいことがClang普及の後押しになっているようだ。
2014年11月19日米Microsoftは11月12日(現地時間)、「Windows 10 Technical Preview」のインサイダープログラム参加者にビルド9879の提供を開始した。ビルド9879では、高精度タッチパッドで3本指ジェスチャーを利用できる。3本指で上にスワイプ:タスクビュー3本指で下にスワイプ:デスクトップを表示3本指で左右にフリック:前のアプリに切り換え3本指を左右に移動:[Alt]+[Tab]キーと同じ、アプリを選択3本指でタップ:検索OneDriveとの同期のふるまいが変更された。これまでPCにプレースホルダーを設けてOneDriveに存在するファイルを表示し、OneDriveとPCをインテリジェントに融合させていた。しかしながら、この方法ではオフラインでPCを使用するユーザーがクラウドだけに存在するファイル(プレースホルダー)とローカルでオフライン時に利用できるファイルの違いを意識する必要がある。ユーザーからはファイルエクスプローラに現れるファイルはローカルに存在すると見なすというフィードバックが多かったという。そこでファイルエクスプローラに表示されるファイルが全てローカルに存在するように、OneDriveとPCの間の同期を改めた。通知エリアでOneDriveアイコンを右クリックして「Settings」を選び、同期するフォルダの選択、自動保存といったOneDriveとの同期を管理できる。なお、Windows 8.1ではOneDriveアプリ、ファイルエクスプローラなどいくつかの方法でOneDriveのファイルにアクセスできるが、Windows 10ではファイルエクスプローラに一本化する。これらのほか、ファイルエクスプローラのホーム画面にフォルダをピン止めする機能、タスクバーにあるタスクビューボタンと検索ボタンを非表示にするオプションなどが追加されている。またビルド9860で追加されたMKVファイルのネイティブサポートが改善され、Windows Media Playerなどから直接MKVファイルを再生できるようになった。
2014年11月14日