「おとこ」は、女から見れば、厄介で愛しい存在。だからこそ、もっと知って、遠ざけたくも、近づきたくもなる。そんな「おとこ」をもっと知ることができる本を、各界で活躍中の3人に紹介していただきました。 読んで「おとこ」を予習するもあり、復習するもあり。ぜひチェックしてみて。 【書評家・豊崎由美さん推薦】 ■『ある夜、クラブで』クリスチャン・ガイイ野崎 歓 訳 一度は地に足のついた暮らしをしていたのに、音楽の陶酔に負けた主人公。あまりにも思いがけない出来事が彼を襲う。フランス本国でベストセラーになった恋愛小説。集英社1600円 「あらすじを説明すると、ある種のフェミ系の皆さんがお怒りになるような話ではあるのですが、元ジャズピアニストの主人公シモンがなんたってチャーミング。だめんずマニア垂涎の言動に萌えに萌えること必定です」(豊崎さん) 【書評家・藤田香織さん推薦】 ■『ヒーローインタビュー』坂井希久子 スカウト、思いを寄せる女性、後輩選手や因縁のあるベテラン選手などが関西弁で口々に語る仁藤という男の魅力。ほろっとさせられる人情ストーリー。角川春樹事務所1600円 「たぐいまれな才能を持ちながら、試合後に一度もヒーローインタビューのお立ち台に上ることなく引退したプロ野球選手・仁藤全。彼の周囲の人々が語る本当の英雄ぶりによって、興奮と感動をお約束」(藤田さん) 【書店員・新井見枝香さん推薦】 ■『男役』中山可穂 宝塚歌劇団の大劇場では、50年前に舞台事故で亡くなった伝説の男役スターの亡霊が現れるという伝説が。新人公演の主役に抜擢されたひかるが見たものとは?KADOKAWA1600円 「低い歌声、大きな身ぶり、華やかな容姿と匂い立つ色気…どんなに見つめても追いかけても、ゴールはない。関係性は永久に変化しない。だから宝塚の男役に、女たちは安心して『男』を求め続ける」(新井さん) ◇とよざき・ゆみ1961年生まれのライター、書評家。『TV Bros.』などで多くの書評連載を抱える。『まるでダメ男じゃん!』(筑摩書房)など著作も多数。 ◇ふじた・かをり書評家、エッセイスト。著書に、『だらしな日記』シリーズ(幻冬舎文庫)、『ホンのお楽しみ』(講談社文庫)など。共著『東海道でしょう!』も好評。 ◇あらい・みえか書店員。三省堂書店有楽町店勤務。webサイト「cakes」などで書評連載を持つほか、店舗でも作家を招くトークイベント「新井ナイト」などを開催。 写真・多田 寛 ※『anan』2015年5月13日号より
2015年05月09日