『あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか13のコラボ事例に学ぶ「共創価値」のつくり方』(仲山進也著、宣伝会議)が訴えているのは、タイトルにもある「共創」の重要性です。共創とは、わかりやすくいえば「コラボ」。自分の強みと他社の強みを持ち寄ることで、そこにしかない独自の価値を生み出そうという考え方です。■「競争の4P」から「共創の3C」へただし本書が強調している共創とは、「ブランド×ブランド」のコラボ商品などよりも、もっと広い意味合いなのだとか。売り手、買い手、異業種・異形態、営利・非営利、大人・子ども、会社・社会、全部ひっくるめて「共有された理念やビジョンのもと、自分の強みと他人の強みを掛け合わせて価値を生み出すこと」が共創だということ。そして競争から共創へシフトするためには、考え方のフレームワークを「競争の4P」から「共創の3C」へのシフトだといいます。「競争の4P」とは、[1]Product(製品)[2]Price(価格)[3]Place(流通)[4]Promotion(プロモーション)これが「共創の3C」になると、[1]モノ、値段(Product、Price)から【コンテンツ(Content)】へ[2]販促(Promotion)から【対話(Communication)】へ[3]売り場(Place)から【遊び場(Community)】へということになるのだそうです。それぞれを見ていきましょう。■「共創の3C」とは具体的になにか[1]モノ、値段(Product、Price)から【コンテンツ(Content)】へ「価格(Price)」競争や「模倣(Product)」競争といった消耗戦に持ち込むのではなく、自分が売っているものに関する知識・経験と愛情をなんらかの「コンテンツ」として発信していく。そうやってお客様との信頼関係を築き、「この店で買いたい」と思ってもらえるようになるということ。[2]販促(Promotion)から【対話(Communication)】へこのことについて、著者は「魅力の公式」というものを引き合いに出しています。「魅力伝達度 = コミュニケーション量の2乗」つまり、コミュニケーション量が増えれば増えるほど、加速度的に魅力が伝わるようになるということです。重要なのは、一方的な情報発信ではなく、お客様が自分で話したり体験したりする「双方向」のコミュニケーション。[3]モノ・値段(Product、Price)から【コンテンツ(Content)】へ単に商品を並べた「売り場」を増やすだけで価値を生み出すことは不可能。お客様と一緒に「遊ぶ場(Community)」をつくることが価値を生み出すと著者はいいます。そこに参加することによって得られる「心地よい居場所、人とのつながりや学び」が価値になるというわけ。そして、モノを決まった価格で販売するスタイル(静的コマース)から、オークションや共同購入、クラウドファンディングなど、「参加型企画」による動きのあるスタイル(動的コマース)へと移行することが重要だと著者は説いています。*これらの基本を踏まえた成功例も多数紹介されているため、共創の価値をしっかりと理解できるはず。将来のビジネスを成功させるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。(文/印南敦史)【参考】※仲山進也(2015)『あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか13のコラボ事例に学ぶ「共創価値」のつくり方』宣伝会議
2015年10月04日