作曲家・林晶彦がデビュー30周年記念コンサートを開く(11月13日(水)・東京オペラシティ・コンサートホール)。なかなかにたくましい、波乱の音楽人生を歩んできた人だ。【チケット情報はこちら】1989年に、京都・丹波高地の山村で行なわれた京北国際芸術祭というイベントで自作曲を弾いたのがデビュー。「世界的打楽器奏者のツトム・ヤマシタさんがプロデュースした音楽祭です。無名の僕にヤマシタさんは45分のステージを与えてくれました」その前年、面識もなかったヤマシタを突然訪ねて交流が生まれたのがきっかけだった。残念ながら詳述する余裕はないのだけれど、そのバイタリティや、まるで奇跡のような出会いのエピソードはちょっとドラマティックだ。林は1955年生まれだから、当時すでに34歳。かなり遅咲きのデビューだ。それまで何をしていたのか。「管弦楽組曲だったと思うんですよ」ロックバンドでベースを弾いていた林少年が、ある日突然クラシックに目覚めたのは、ラジオから聴こえてきたバッハだった。そこから2年間ピアノを猛練習。しかし日本の音楽大学を目指すことなく、いきなり高校を中退して17歳で単身パリへ。アカデミズムとは無縁で、往年の名ピアニスト・作曲家のミロシュ・マギンにプライベートで師事した。「黒板の前で勉強するのは僕の音楽ではないと思った。体験したことが音になるから。ただ、僕は体験したことがはちゃめちゃなんですけどね(笑)。ある音楽家の方に、どんなシステムで作曲しているのかと聞かれたことがあったのですが、システムはないんです。出会った人にインスパイアされて作るので。理論では作っていないんです」20歳のとき、今度は突然イスラエルへ。中東に一触即発の空気が漂っていた1970年代半ばだ。「パリで病気で入院して死にかけて、しんどくてどんな音楽も聴けなくなってしまったときに、ガールフレンドがくれた、イスラエルの歌の入ったテープだけは聴くことができたんです。それでどうしても行ってみたくなった。何のツテもなくテルアビブへ行きました」そこでも音楽は独学。イスラエル・フィルのリハーサルを覗き、楽旅で当地を訪れたピアノのウラディーミル・アシュケナージに飛び込みでレッスンを受けるなど、さまざまな武勇伝。1年後に帰国。芦屋のライヴハウスでピアノを弾いたり、新婚旅行で訪れたインドで2か月暮らしたり。「いろいろやってたけど、思い出せません」と笑う。10年以上フリーランスの音楽家として食いつないだのちに訪れたのが上述のデビューの機会だった。コンサートも、そんな彼の音楽人生の中で、さまざまな縁で出会った仲間たちが集う。ヴァイオリン、チェロ、オーボエ、ソプラノ、能管、打楽器、そしてジャズ・ベース。新曲も3曲。「やったことないようなことばかりで大変なんですけど、僕もワクワクしてます」彼の作品を初めて聴く人にも楽しい、多彩なコンサートになりそうだ。取材・文:宮本明
2019年09月11日無印良品 池袋西武が10月2日から19日まで、企画展「STOCK展-気づきを、備える」を西武池袋本店別館2階の西武ギャラリーにて開催する。“とるにたらないもの”や“ひろったもの”、“つかえないもの”などは、ひとつでは価値が見えにくいものも、少しずつ集めていくことにより、何かの役に立つ糸口や知識となったり、愛着が沸いてきたりする。同展では、参加者たちがいつの日にかと集めてきた、気づきの“STOCK”を展示。自分にとって何が大切なのかを考え、人と物の付き合い方について探ることができるものとなっている。参加者は、伊吹航、Hender Scheme、大谷猶子、織咲誠、黒木晃、黒木啓介、KODAMA TOKI、小宮山雅子、ジャスパー=フェレット、杉本雅代、菅いずみ、高橋邦実、高橋悠、刀根晶彦、トロッコ、永澤萬里野、西本良太、蓮沼執太、林雄司、peater、藤城成貴、マスオ、森川伸二、柳本浩市、山内良介、山野英之、山本千織、横井真一。また、無印良品の収納アイテムの特長や使い方をよりじっくり知ってもらうことを目的とした「くらしと収納」も同時展示される。ものを整理して備蓄するだけでなく、くらしの景色を作ることでもある“収納”のあり方を提案する展示となる。【イベント情報】「STOCK展-気づきを、備える」会場:西武ギャラリー住所:東京都豊島区南池袋1-28-1 西武池袋本店別館2階会期:10月2日~19日時間:10:00~21:00料金:無料
2015年10月02日