誤解を招くタイトル(標準的なもので半径数km大きいものは50km。流れ星を科学する)を、変更いたしました。大変申し訳ございません(2012/04/20マイナビニュース編集部)夜空を華やかに飾る流れ星。その中でも、ある決まった時期に多くの流れ星が出現するのが「流星群」と言われるものです。今回は、そんな流星群を科学的な視点からとらえてみたいと思います。■流星群と彗星(すいせい)の深い関係流星群の代表としては、毎年8月中旬のお盆時期に見られる「ペルセウス座流星群」や、2001年11月に大出現をして話題となった「しし座流星群」などが有名です。これらに代表される流星群には、実は彗星と深い関係があるのです。まずは彗星から説明していきましょう。彗星というと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。過去に観測されたものとしては、1986年に出現した「ハレー彗星」や1996年に出現した「百武彗星」、1997年に出現した「ヘール・ボップ彗星」などがありますが、このうち、1つぐらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。中でも、76年周期で太陽の周りを回っているハレー彗星のように、一定周期で太陽の周りを周回している彗星のことを「周期彗星」と呼びます。そして、この周期彗星の存在こそが、流星群の出現と深い関係にあるのです。■ 彗星は何からできている?さて、これらの彗星は一体何からできているのでしょうか。彗星の本体のことを「核」と言いますが、この核というのは、細かな岩石や金属など、たくさんの塵を含んだ氷の塊でできていると考えられており、その形状から一般的には「汚れた雪だるま」(最近では「凍った泥だんご」とも呼ばれます)とたとえて表現されます。また、その大きさは、標準的なもので半径数km程度、大きなものになると半径50km程度に達するものもあります。■ 彗星の進化このような彗星は、太陽から遠く離れているときには、周囲の温度が低いため、核がほぼ裸の状態でいますが、それが太陽からある一定の距離(およそ2~3天文単位=約3億~4億5000万km)以下に近づいてくると、太陽の熱によって、氷が激しく気化を始め、それにより、核の氷の中に含まれていた塵が放出されます。このとき、同じく気化した水やそのほかの物質が気体となって核の周りを取り囲むため、放出されたそれらの塵は、核から吹き出すこれらの気体の流れに乗り、核の引力に逆らって、ゆっくりと核から離れていきます。その後、これらの塵は、その放出されたときの初速度の差や方向の違いにより、時間がたつにつれ、核からさらに離れていき、核の前後に長くのびるようになります。そして、それはやがて彗星の軌道上に広く散らばっていき、彗星が太陽に接近するたびに、この現象を繰り返すことによって、どんどんと進化していくわけです。■ そして流星群の出現へ勘のいい人はすでにお気づきだと思いますが、楕円(だえん)軌道をした周期彗星の中には、地球の軌道と1年に1回、同じ時期に交差するものがあります。すると、地球はその彗星の軌道上に散らばっている塵とぶつかり、それらが地球の大気の摩擦熱により燃えて発光することで、流れ星となって見えます。このような仕組みにより、毎年決まった時期になると流星群が現れるというわけです。なお、地球上から肉眼で観測できる流星は、直径数mm以上の塵だと推定されています。ちなみに、ペルセウス座流星群などは、長い時間をかけて彗星の軌道全体に塵が分散したため、毎年見ることができ、しし座流星群などは、まだその彗星軌道の一部にしか塵が散らばっていないため、大出現する年と少ない年があるわけです。■ 流星群を見るときのコツ流れ星が実際は同じ明るさで発光していたとしても、その発光地点と、それを観測している人との距離によってその明るさは当然異なって見えます。もっと詳しく言うと、距離が2倍遠くなれば、その明るさは1/4倍になるというように、観測地点から見える明るさは、その距離の2乗に反比例するという法則があります。このことから、暗くてもいいからたくさんの流星を見たい人は低い空を眺め、逆に、数は少なくても明るく光る流星を見たい人は高い空を見上げるのがポイントとなります。■まとめ今回は流星群がどのようにして作られるのかを、科学的な視点からとらえてみました。こうして見てみると、彗星が長い年月をかけて撒き散らした塵のおかげで、地球では美しい流星群として見られるという、宇宙の長い歴史によって築き上げられた神秘を感じ取ることができますね。(文/寺澤光芳)●著者プロフィール小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
2012年04月20日願い事を3回言えれば願いがかなうとされ、子供のころから知っている身近な天文現象の1つとして「流れ星」があります。空の明るい都会では、あまり見ることはありませんが、空の暗い山や田舎へ行けば、普段でも数分~数10分に1個程度の流れ星を見ることができます。今回は、そんな夜空を美しく彩る立役者、流れ星について紹介したいと思います。■ 流れ星の正体そもそも、流れ星の正体は一体何なのでしょうか。流れ星は、その名の通り「宇宙に見える星が流れている現象」だと思っている方もいるかもしれません。しかし、実はもっと近く、地球の大気中で起こっている現象なのです。どういうことなのか、もう少し詳しく説明しましょう。宇宙には、さまざまな塵(ダスト)が多く存在します。これらが、引力に引っ張られて地球の大気圏に突入すると、大気との摩擦熱で燃えるときの光が、地上からは流れ星として見えるという仕組みです。その中でも、特にサイズが大きく、大気圏内で燃え尽きなかったものは、地表まで到達し隕石(いんせき)として発見されることになります。では、どうして宇宙空間にこのような塵があるのでしょうか。その要因としてはいろいろありますが、彗星(すいせい)が通った後に残していった塵だったり、隕石のカケラだったりといったものが宇宙空間には多く漂っています。これらがすべて、流れ星のもとになっている塵というわけです。■ 流星群とは?一般的に、流れ星は空のあちこちで現れ、さまざまな方向に流れていきます。しかし、年に数回、多くの流れ星が一度に出現する現象を見ることができます。さらに、その多くの流れ星たちが、ある一点から放射状に降り注いでいる場合、それらの流れ星をまとめて「流星群」と呼んでいます。流星群の代表としては、毎年8月のお盆ごろに見られる「ペルセウス座流星群」や2001年に大出現して話題となった「しし座流星群」などが有名ですので、どこかで耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。これら流星群の中でも、毎年決まった時期に出現するものを「定常群」、数年~数十年おきに活発に出現するものを「周期群」、突然活動するものを「突発群」と呼び、「ペルセウス座流星群」は定常群、「しし座流星群」は周期群にあたります。そのほか、突発群の代表としては、1956年12月に突如出現し、南極へ行く途中の第1次南極越冬隊によっても観測された「ほうおう座流星群」などが知られています。■ 流星群の名付け方ところで、なぜ流星群にはそれぞれ「ペルセウス座」や「しし座」のように、星座の名前が付けられているのでしょうか。それは、その流星群が出現する場所と大きな関係があります。先ほど、流れ星がある一点から放射状に降り注いでいる場合、それらの流星をまとめて「流星群」と呼びます、とお話しましたが、この中心となる一点のことを「放射点」または「輻射点」と言い、この点がどこの星座に属しているかによって、付けられる名前が決まります。つまり、この点がペルセウス座の付近にある場合には「ペルセウス座流星群」、しし座の付近にある場合には「しし座流星群」となるわけです。ちなみに、しし座流星群の放射点は、ちょうど獅子の顔の付近にあたります。■ 日本で見られる流星群たち現在、観測できる流星群には、主なものでおよそ20個程度あります。その中でも、1月上旬に見られる「しぶんぎ座流星群」、8月中旬に見られる「ペルセウス座流星群」、12月中旬に見られる「ふたご座流星群」は、毎年ほぼ安定して出現数も多いことから、三大流星群と呼ばれています。ちなみに、「しぶんぎ座」という星座は、今はもう残っていませんが、かつて、この放射点のあたりには「壁面四分儀座」という星座がありました。現在では、りゅう座とうしかい座の境界付近にあたりますが、放射点までの距離がどちらの星座の中心からもが遠いことから、「しぶんぎ座流星群」という名前が今も使われています。■まとめこのように「流れ星」や「流星群」は、宇宙に漂う塵がそのもとになっていたわけです。また、流星群にも、その出現するタイミングによって、いろいろな種類があることが、お分かりいただけたでしょうか。都会に住んでいると、なかなか出会う機会のない流れ星ですが、たまには暗いところに出掛けて行って、ゆっくり空を眺めながら流れ星を探してみるのもいいかもしれませんね。(文/寺澤光芳)●著者プロフィール小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
2012年04月19日