もとは和菓子屋さんだった下町の一軒家を改装した「カフェ オトノヴァ」。住所は西浅草、つくばエキスプレス浅草駅、田原駅、入谷駅の3つの駅を利用できるので遠回りしても訪ねたいカフェです。黒いテント、ガラス窓に書かれた文字、ステンドグラスがはめ込まれたドア、店内を包む暖かなオレンジ色の光、「カフェ オトノヴァ」の外観はパリを思わせます。ドアを開けると中央の吹き抜けに圧倒され、大きなテーブルの上にはガラス器に入ったアセビが葉を伸ばし2階に届く勢い、レコード店に勤務なさっていたオーナーの渋谷さんならではのDJブースも存在感があります。棚には趣味で集められたアナログ盤がずらり、ワールドミュージックを中心に真空管を通して音楽が流れます。店名の「オトノヴァ」は“音の場” と“ボサノヴァ”をかけて作った造語だそう、店内にはピアノや蓄音機、楽譜プリントのメニューなど、音を感じるものがたくさんあります。日が暮れ始めた時間帯、2階フロアは美しい青色に染まり始めていました。大きな窓から入り込む自然光は季節の移ろいを感じさせてくれそうです。黒いアイアンの手すりに吹き抜けのティアドロップ型のシャンデリア。1階で注文をしてお金を払うシステム、お水はセルフサービスです。テーブルの上にはお花、お隣の方を気にしなくて良いテーブルの距離感は、うれしい気配りです。メニュー構成はイタリアンが中心、ディナーをいただきました。ニース風サラダのツナは自家製、野菜もたっぷりでドレッシングもおいしい。パンチェッタとポルチーニのパスタ。パンチェッタのうまみと芳しいポルチーニの香り、濃厚なソースが、もちもちした太めのパスタ麺に絡んで抜群においしい。パスタ麺は浅草の「開化楼」がイタリアの低下水麺を再現したというもの、ラーメン好きに知られた開化楼ですが、このパスタ麺も素晴らしい出来です。イタリアのマンマ直伝の豚肉の赤ワイン煮は、とろけるほど柔らかく、何とも言えない香りが鼻にぬけ、フェンネルなどが使われているそう、赤ワインにもとても良く合います。スウィーツは美しい奥様担当、テラコーヒーの豆を使ったコーヒーといただいたのは、見た目もかわいい苺のショートケーキとクリームがたっぷり詰まったシュークリームで、どちらもおいしくいただきました。 渋谷さんご夫妻が作り上げた空間はどこを切っても絵になるほど素敵ですが、カフェ飯か…とあなどるなかれ、お料理もスウィーツも本格的で、真剣に愛情を込めて作っていらっしゃるのを感じます。ランチタイムはもちろんですが、ディナーにも心地よい音楽に耳を傾けながらゆっくり食事を楽しんでいただきたい「カフェ オトノヴァ」です。友人とふたり、私たちはご夫妻に笑顔で見送られ、お腹もいっぱい幸せな帰り道になりました。cafe otonovatel. 03-5830-7663東京都台東区西浅草 3-10-412:00-23:00 日・12:00-21:00、木定休 ・公式サイト
2014年12月20日