韓国・釜山を舞台にしたオムニバス映画『Camellia カメリア』の中の一篇「かもめ」に主演した吉高由里子と行定勲監督が8月10日(水)、都内で行われた会見に出席した。釜山国際映画祭とその舞台となる釜山広域市の協力で始動したプロジェクトで、タイのウィシット・サーサナティアン監督と行定監督、地元・韓国のチャン・ジュナン監督が“愛”をテーマにそれぞれ釜山の過去、現在、未来の物語を紡ぎだす。吉高さん主演の「かもめ」では、職人気質の映画カメラマンの男と、彼が街で出会った不思議な空気を醸し出す日本人の少女の儚い愛が描かれる。行定監督にとって、本作は初の海外作品となるが、監督とカメラマン、照明と制作のみが日本人スタッフでこれに吉高さんを加えて5名で渡韓し1週間ほどの撮影を行った。これまで釜山国際映画祭にたびたび出品し、国際的な評価を得てきたこともあって「釜山は僕にとって恩人のような映画祭。デビュー作の『ひまわり』で国際批評家連盟賞をいただきましたが、それがなければ次の『GO』での抜擢もなかった。恩返しの気持ちで参加しました」と熱く語る。吉高さんは監督から「できる限り“無”の状態でいてくれ」と指示されたことを明かし「監督には放し飼いにされました(笑)。それも水槽の魚ではなく、空を泳ぐ鯉のぼりのような感じ。遠くから風を送ってくれて要の部分ではピタッと教えてくださる。開放的な現場でした。でも見えない緊張感があったのは監督のオーラだと思います」と初体験の行定組をふり返った。作品について吉高さんは「水や風のように、つかんだと思っても手のひらには何もない、すり抜けるような感じ。触れているけど形がない、人の気持ちのよう」と独特の表現で一夜の不思議な“愛”について語ってくれた。また、監督は主演を務めた韓国の名優ソル・ギョングを絶賛。「日本から連れて行ったカメラマンが『(彼の)何を撮っても映画だ』と唸っていた。手の大きな男で、グッとつかむと“熱”を持っている」と手放しで讃えた。吉高さんも「絶対なる安心感がありました。いつも役の衣裳で来てそのまま帰るんですがなぜかと聞いたら『この作品を撮っている間、僕はこの役の人物でしかいられない』と。かっこいい!私も日本でやってみようかと思いました(笑)」と異国の名優の役者魂にメロメロの様子だった。『Camellia カメリア』は10月22日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:カメリア 2011年10月22日より新宿バルト9ほか全国にて公開
2011年08月10日清純な少女にセクシー&ダークなヒロイン、女子高生から先生まで新たな作品ごとに華麗な…いや、過激な“変身”を遂げる仲里依紗が、行定勲と初タッグ!2月より携帯放送局BeeTVにて配信中のドラマ「パーティーは終わった」で、妄想を暴走させて成宮寛貴、永山絢斗、高岡蒼甫、林遣都に小出恵介という5人のイケメンたちと恋に落ちるヒロインのマンガ家・十朱(とあけ)を演じている。女性キャストを魅力的に描くことにかけては右に出る者はいない行定作品で、錚々たる共演陣を相手に彼女はどのような輝きを見せてくれるのか?早速、仲さん、行定監督に話を聞いた。――“妄想”と“仲里依紗”という組み合わせは絶妙ですが…。仲:妄想と私?やだ、私って妄想してると思われてんのかなぁ(笑)?確かに妄想好きですよ…というか大好きです!映画観て「あれがこうなったら…」とか「あの人が実は」って勝手に想像を膨らませて話したりするのもすごく好きです。そういう意味では十朱に似てるかも。友人に誘われたパーティーに渋々、参加した十朱。会場で偶然目が合ったイケメン男子とのめくるめく恋の物語が彼女の妄想の中で展開していく。――5つの全く異なる“妄想”の物語ということで、尽くすタイプの女から殺される願望を持った女まで、各話で十朱が見せる表情は全く異なります。どういうイメージで十朱を演じられたんですか?仲:私が勝手に、それこそ妄想で考えているマンガ家のイメージでやりました。根がやや暗めで変な人…という(笑)。一見、「このひと、大丈夫かな?」と思われそうな感じでちょっとやさぐれてて…。でも、そう考えると私と結構似てるかも(苦笑)。私もパーティーとか好きじゃないし。――行定監督は前回、吉田修一さんの原作を映像化した「女たちは二度遊ぶ」がBeeTVで大きな反響を呼びましたが、今回はオリジナル脚本ですね。行定:調子に乗ったBeeTVが「今度は“男たち”で行きたいですね」とか言うわけですよ!続編やればいいのに(笑)。じゃあっていう風で、ひとりの女性マンガ家の妄想の中で生かされるいろんなパターンの“彼”で。映画にせよ何にせよ、やっぱりオリジナルが面白いんですよ。友達の外国人の映画監督と話してても「何で日本人はオリジナルでやんないの?」っていつも言われるんですよ。もっと好きに物語を作ればいいじゃないかって。だから今回、もう次はないかもしれないけど(笑)、好き勝手にやってやろうって。――監督はずっと仲さんと仕事をしたかったということですが…。行定:この人は…何でしょうね?前から謎でしたね。いろんな作品見たけど毎回違うんですよね。この顔が好きでしたね、表情が…。仲:ロバみたいな(笑)?行定:…(笑)。すごく綺麗な顔なんだけど、あえて綺麗にしてない感じ。すごく無防備な表情がしっかりと映ってて。『ハルフウェイ』に出てる仲里依紗を見て「何なんだ?彼女のこの自由度は?」って思ったんです。彼女が走るシーンを見て「この姿、無防備すぎるぞ。大丈夫か?仲里依紗」って会ったこともないのに、いち観客として思った。実際やってみたら…監督、共演者が望む女優なんですよ。その意味で天才ですね。それは、今回、共演した男優陣もみんな分かっていると思う。成宮くんは僕よりも仲さんとの付き合い長いけど、同じこと言っていた。「俺を受け止めてくれる」って。――個人的には仲さんが永山さん演じる恋人との関係を一方的に切ろうとする「捨てたい」と記憶喪失の林さんを思い切り束縛する「抱きしめたい」が女の残酷さ、怖さが出ていて強烈でした。仲さんはこの十朱の心理って理解できますか?仲:(即答で)できます!だってすごく楽しかったんですよ、演じてて(笑)。最初は「捨てたい」が一番難しそうだなと思ってました。しかも相手が永山さんと聞いて、「あの永山さんが、泣きながら女にすがる男?」って感じで全く想像できなかったんです。でも、実際やってみたらもう、目の前にいるのは永山さんじゃなくてムサシ(※永山さんの役名)なんですよ。もう、彼の発するひと言、ひと言にイライラして「何だこいつは?」って気持ちがわき出てくるんです。笑顔がまた憎たらしくて!踏みつけてやりたいって思いましたもん。永山さんがすごいですね、この「捨てたい」に関しては。途中のシーンではムカついて、捨てたいって感じなんですけど、いざ別れる瞬間になるとすごく寂しく切なかったです。この恋愛が私の理想かも、と思いました。いなくなると寂しいというのが(笑)。だから、ムサシみたいな仏のような人がいいかな。――その仏のような人に残酷な反応するのが楽しい?仲:楽しいと言うよりもまずイライラするんですよ。相手に対してもそうだし、そこに振り回されてる自分に対しても。でもやっぱり好きで、それを楽しんでるのかな(笑)。――「抱きしめたい」は真逆で相手を何が何でも自分のものにしたいという女性で、これはこれで怖いですが。仲:この十朱は、「怖いな」って思いながら演じてましたね。でも、そういう人って結構いるのかも…一種の母性本能なんですかね?演じながら「こういう女にはなりたくない」て思ってました。自分が追いかけるというのは、負けた気がするんですよね。私は結構、負けず嫌いなのでそういう意味でもこの十朱が一番共感できなかったです。――では、もし仲さんの妄想で「パーティーは終わった」の第6話を作るとしたら…。仲:執事をしてほしいですね、男性に(笑)。行定:尽くしてほしいのね?仲:もう全てにおいて尽くして、尽くして、尽くしまくる男!行定:じゃあ次は「尽くされたい」で(笑)。仲:大満足です(笑)!BeeTV「パーティーは終わった」公式サイト:■関連作品:時をかける少女 (2010) 2010年3月13日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開© 「時をかける少女」製作委員会2010ゼブラーマンゼブラシティの逆襲 2010年5月1日より全国にて公開© 2010「ゼブラーマン2 ゼブラシティの逆襲」製作委員会■関連記事:ドSから尽くす女に束縛女…仲里依紗の過激“妄想”5段階変化の画像が到着!仲里依紗が妄想の中で成宮寛貴、林遣都ら5人のイケメンとヤバい恋に落ちる?『十三人の刺客』にスタンディングオベーション7分!金獅子に三池監督手応えアリ?ゼブラクイーン×『時かけ』仲里依紗、正反対の2役のコラボポスター完成仲里依紗初海外映画祭「カムサハムニダ」に大歓声「サイコーだ」
2011年02月03日無謀、無茶だなどと思う前に“役者の本能”とでも言うべきものがうずくのか?阿部寛にとって、周囲の声など演じることを思いとどまる理由にはならないようだ。黒澤明の傑作『隠し砦の三悪人』のリメイクに、原作の熱烈なファンの多い司馬遼太郎の「坂の上の雲」(NHK)、東野圭吾の人気シリーズの「新参者」(TBS)など、「オリジナルを超えられない」、「映像化不可能」と言われる作品に次々と出演し、存在感を発揮してきた。そして今回、ヌーヴェルバーグの傑作『死刑台のエレベーター』に出演。製作決定の報に対して、おそらく否定派の方が多かったのではないだろうか?もちろん、それでも阿部さんは演じている…しかも楽しみながら。果たして阿部寛を突き動かすのは何なのか――?“エレベーターに閉じ込められる男”はシミュレーション済み?阿部さんが演じた時籐は、吉瀬美智子演じる愛人の夫を殺害し、逃走を図るもエレベーターに閉じ込められてしまう男。ほぼ全編にわたって阿部さんの演技は狭くて四角いハコの中…。「エレベーターに閉じ込められるって、誰でも夢で一度は見たことあるんじゃないかな?僕がよく見るのは、エレベーターが急上昇して止まらなくなって、100階くらいまで行っちゃう夢(苦笑)。だからある種、シミュレーションができてて、初めて演じるという気がしなかった(笑)。楽しく、孤独に(笑)やらせてもらいました」。映画で、ほかの共演者とほとんど絡むことがないというのもかなり珍しい。「たった一人で追い詰められた人間がどうするのか?それも面白かったですね。僕、『ランボー』なんか好きなんですよ(笑)。それが今回はエレベーター。隙間との戦いです。真四角のハコの中で大の男が繰り広げる必死の戦い。オリジナルを観たときに、最後の最後でドアが開いたときに男が見せる表情がすごく印象に残ってた。その“顔”こそが、この男の人生全てなんじゃないか?と。そういう男を演じるのは楽しかったですね」。「楽しい」とは言うものの、時籐という男の憔悴していく様子は“迫真”という言葉がぴったりの熱演である。相手は見えない中でどのようにあのテンションを保ち、役を作り上げていったのだろう?「今回は運よくと言いますか…蜷川(幸雄)さんの10時間もの芝居を終えた翌日にクランクインだったんです(笑)。それこそ(公演期間の)2か月ずっと追い込まれてて放心状態で。緒方監督からは『そのまま来てください』って言われました。だからもう、脱力した状態で現場に行って、それをそのまま役に移行した。時間が経ってから自分の芝居を見たとき、こんな芝居を演じていたことを忘れていたら面白いだろうなと思いました。計算も何もなく演じた。『覚えてない』ってことはそういうことですから。もう一度同じ芝居やれと言われても、変に考えちゃってだめだろうね」。「自分に肉付けできるように考え、楽しんで演じてます」では、改めて冒頭の質問に戻ろう。「この作品をなぜ映像化?」と反対する者の声が決して少なくない作品になぜ挑戦するのか?その裏にはどんな思いがあるのか?「『原作、オリジナルを超えることはできない』と言われることは多々ありますが、そこで役が自分の一部になる、肉付けをできるようにと考えながら楽しんで演じてますね。例えば『隠し砦の三悪人』で、三船敏郎さんが演じた役をやったとき、あの役のどんなところを盗んで自分のものにするか?僕にとっては馬上のシーンがそうで、あそこだけはあのまま表現してやりたかった。あとは自分流に分解して、最終的な到達点が同じ意味になるようにする、ただそれだけです。今回も本当に有名な作品で、この“力のない男”を演じるチャンスだ!と。フランス映画のフッと力を抜いたあの世界観に身を投じて、自分を映像で客観的に見ることができる。自分の中でもすごい経験になるとね」。常に演じる役から何が吸収できるかを考える。そんな阿部さんのスタイルがうかがえるが…。「リメイクの場合は特にそうかな。(オリジナルの)この役者は、自分の発想にないものを持ってる。それを真似して、盗んで、自分の肉にしようとする。あとは、新しい作品に臨む上ではこれまでと同じことをやるのではなく、できるだけ違う方向に引き離していこう、ということは意識してますね。もちろん、自己満足にだけ陥ったら見ている人は醒めてしまうからそこは気をつけていますが」。つかこうへいとの出会いが教えてくれたこと幾度となく口をつく「楽しい」という言葉。演じることに楽しさを覚えるようになったのは、今年亡くなった演出家のつかこうへいさんとの出会いがきっかけだったという。20年近くも前につかさんの「熱海殺人事件 モンテカルロ・イルージョン」に出演。バイセクシャルの刑事役が称賛されると共に、二枚目役の多かった阿部さんのイメージを一新した。「そのころは自分の幅なんて本当に小さかった。イメージとか、くだらないものが邪魔してて。そこをつかさんが、舞台で強制的に壊してくれた。そのときは理解できなかったんだけど、2年、3年と経つうちに、『あのとき、あそこまでできたんだから今回はこれができるんじゃないか?』と自分で考えるようになった。最初に思い切り広げてもらったから、そこで自分なりの選択肢が持てるようになった。すごく演じるという世界の中で“遊ばせて”もらったんだなと思います」。「僕は決して芝居がうまくない。だからこそ越えたい壁がいろいろあるんです。壁を高く感じ続けているうちは大丈夫かな(笑)と思いますが」。演じ続ける、挑戦し続ける理由をこう語り、“不敵”とも言うべき笑みを浮かべる。。少なくとも彼がチャレンジし続ける限り、どんな「映像化不可能」作品もまずは観てみたい――。そう思わせてくれる笑みだった。■関連作品:死刑台のエレベーター 2010年10月9日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2010「死刑台のエレベーター」製作委員会■関連記事:吉瀬美智子「毛穴が分かる顔アップ」に困惑吉瀬美智子&阿部寛、年代物の貴重なワインを壇上でゴクリ!2つの事件が導く衝撃の結末『死刑台のエレベーター』試写会に20組40名様ご招待阿部寛悪女に悩まされる恋「したことある」仏映画の傑作『死刑台のエレベーター』が吉瀬美智子×阿部寛でリメイク!
2010年10月15日吉瀬美智子と阿部寛主演でフランス映画の名作をリメイクした『死刑台のエレベーター』のプレミア試写会が9月30日(木)に都内で開催され、吉瀬さん、阿部さんに加え、オリジナル版の監督を務めたルイ・マルの息子のマニュエル・マル氏も来場してレッドカーペット・イベント、舞台挨拶が行われた。不倫関係にある社長夫人の芽衣子と若き医師・時籐が、芽衣子の夫の殺害を企てるものの、実行当日に時籐がエレベーターに閉じ込められることから導かれる衝撃の結末が描き出される。吉瀬さんは「ジャンヌ・モローが演じていた役をやると聞いたときはプレッシャーでしたが、本作に参加できて嬉しく思っています」と挨拶。筋金入りの“悪女”と形容される芽衣子については「私は悪女だとは思っていません。覚悟を決めた女性の潔さを演じました」と語った。「悲劇的な男を久しぶりに演じた」という阿部さんは「エレベーターに閉じ込められる役ですが、ここまで極限に追いこまれた情けない男の役はこれまでなかったので、どう演じようかと監督と相談しながらストイックに取り組みました」とふり返った。マル氏はそんな2人について「2人とも素晴らしくて、驚きました!吉瀬さんにはジャンヌ・モローが演じた役をやるという、勇気ある決断をしていただきましたが、知的で破滅的な素晴らしい雰囲気が出ていました。阿部さんも『素晴らしい』としか言いようがないです。圧倒的な演技力で打ちのめされました」と手放しの称賛を送った。53年前の傑作を現代版として甦らせたことについて、阿部さんは「日本で、アジアでリメイクするということに意味があると思います。さすがにエレベーターはレトロなままですが、モノクロをカラーにし、携帯電話もある現代においてこのリメイクを作り上げた監督はすごいです。オリジナル作品を壊すことなく、その世界感に挑むというのは難しいですが、新しいシーンを加えながらそれをやってのけてくれたと思います。すみません、偉そうですね(笑)。実は、9時間近い舞台を終えた次の日に撮影に入ったんです。身も心もボロボロで何も考えられない状態で撮影したので、この作品には違う表情の自分が映っていると思います」と力強く語った。イベントの最後に、マル氏がこの日のためにパリから持ってきたという、オリジナル版が製作された1957年物のワイン、シャトー・マルゴーが登壇陣にふるまわれた。これには「緊張して味が分かるかどうか…(笑)」(吉瀬さん)、「すごく貴重なものですよね?味が分かるかな…。舞台でお酒をいただくのは初めてです」(阿部さん)と2人とも驚いた様子。映画のヒットを祈願して壇上で乾杯!一同、貴重なワインをおいしそうに味わっていた。『死刑台のエレベーター』は10月9日(土)より角川シネマ新宿ほか全国にて公開。■関連作品:死刑台のエレベーター 2010年10月9日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2010「死刑台のエレベーター」製作委員会■関連記事:2つの事件が導く衝撃の結末『死刑台のエレベーター』試写会に20組40名様ご招待阿部寛悪女に悩まされる恋「したことある」仏映画の傑作『死刑台のエレベーター』が吉瀬美智子×阿部寛でリメイク!
2010年10月01日映画『死刑台のエレベーター』の完成報告会見が7月8日(木)、東京・紀尾井町のグランドプリンスホテル赤坂で行われ、W主演の阿部寛、吉瀬美智子らが出席した。フランス・ヌーヴェルヴァーグの旗手、故ルイ・マル監督の名作サスペンスのリメイクで、愛人関係にある男女(阿部さん、吉瀬さん)が、女の夫の殺人計画を試みたものの、男がエレベーターの中に閉じ込められたことから衝撃の結末に至るまでを描く物語。魔性の女に翻弄されて殺人に手を染める役どころの阿部さんは「悪女に悩まされる役はあまり本数をやったことがない。新鮮でした」と楽しんだ様子。役と共感できる?との問いに「武将とか強い役をよくやっていますけど、本来こっちの方があっているかも。ここまでではないけど、こういう恋愛はしたことがあると思います」と照れつつ告白した。愛に溺れ愛する男を狂わす筋金入りの悪女を演じた吉瀬さんは「悪女役は慣れていますが、今回『あの人を殺して、私を奪いなさい』なんて台詞を、こんな素敵な阿部さんに言っている。絶対言えない台詞ですし、楽しんでやらせていただきました」と恍惚の笑み。自身の悪女ぶりについて聞かれると「翻弄してみたいですよね」とやんわりかわしつつ、「そこまで思える男性がいたら素敵だなと。出会いたいなと思いました」と“悪女化”願望を口にした。一方、世界各国の映画会社によるリメイク権争奪戦を勝ち抜いた小椋悟プロデューサーは、「マル家の協力があって実現したこと」と報告。この日、スケジュールの都合で欠席した故ルイ・マル監督の息子、マニュエル・マル監督から寄せられたというメッセージを「出来栄えにとても満足しています。ブラボー」と読み上げた。“大役”をこなした緒方明監督は「小椋さんの言い方が上手かった。『興味あります?』と聞かれて、ないとは言えなかった」と映画人の性を苦笑いで嘆き、「暴挙かと思ったけど快挙は暴挙から始まると言うし、50年前の名作を日本の旬の俳優でリメイクしたらどんなことになるか、面白いと思った」と話した。『死刑台のエレベーター』は10月9日(土)より角川シネマ新宿ほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:死刑台のエレベーター 2010年10月9日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2010「死刑台のエレベーター」製作委員会■関連記事:仏映画の傑作『死刑台のエレベーター』が吉瀬美智子×阿部寛でリメイク!
2010年07月08日