Maxim Integratedは6月15日(米国時間)、CENELEC A、ARIB、FCC周波数帯のG3-PLC、Prime、およびP1901.2規格に1チップで対応可能な電力線通信(PLC)モデムSoC「ZENO/MAX79356」を発表した。電力線通信の規格および周波数帯は地域や国によって異なっており、従来のPLCモデムはそれらをすべてサポートできていなかった。そのため、電力メーターのメーカーは、各国・地域の規格との互換性を確保するために複数のモデムを開発するジレンマを抱えていた。同製品は、そうした課題の解決を可能とするもので、ソフトウェア設定により、すべての国際規格に対応することが可能だという。また、G3-PLCアライアンスによる3つの主要周波数帯(CENELEC A、ARIB、FCC)とPANデバイスおよびPANコーディネータの認定も取得済みであるほか、将来の規格にも対応が可能だという。さらに、アナログフロントエンド(AFE)とベースバンドを1チップに内蔵しているため、チップ数とコストの削減も可能。通信待ち受け時の使用電力も従来比で80%低減(300mWに対し55mW)することも可能だという。なお同製品はすでに同社のWebサイトおよび一部の販売代理店から入手が可能となっている。
2015年06月16日警察庁は5月26日、産業制御システム用のPLCを標的としたアクセスが多発しているとして注意喚起した。2014年12月に特定のPLCにおいてソフトウェアの脆弱性が発覚し、外部からのリモート操作で任意のコマンドが実行できることがわかった。事態は悪化し、2015年2月には、脆弱性を持つPLCを探索するツールが公開され、5月には、PLCの状態を確認するためのプログラム(PoC)が見つかっている。警察庁では、PCLの脆弱性を標的としたと思われるこパケットを定点観測し、アクセス件数を推移日ごとにまとめている。コード1は、2月に公開されたPLCを探索するツールを使用したと見られ、アクセスの多くが検索サービスを提供する組織からのものであった。また、アクセスを行っている者の実体や、その目的について判明しないアクセスも観測しており、同アクセスは悪用する目的で探索活動を行っている可能性も十分に考えられと分析している。コード2は、5月に公開されたPoCを使用したものと見られる。アクセスを行っている者の実体やその目的について判明していないが、脆弱性を悪用する目的でアクセスを実施している可能性もあると推測している。警察庁では、PLCをインターネットに接続する企業のシステムの管理者に向けて以下の対策をするように呼び掛けている。インターネット上からシステムにアクセスする必要がない場合は、インターネットへの不要な公開を停止するインターネット側からアクセスする場合には、適切なアクセス制限の設定等の対策を実施する使用している製品について最新のセキュリティ情報を確認し、必要に応じてソフトウェアのアップデートやハードウェアのファームウェアの更新などを実施する
2015年05月28日STMicroelectronicsは11月13日、スマートメータ用SoC「STCOMET」がG3-PLCの新プロトコルの認証を取得し、エコシステムが強化されたと発表した。「STCOMET」は、2014年9月にG3-PLC Allianceが発表した新しいG3-PLC認証プログラムを完了した。また、現在稼働中の400万台以上のスマートメータに適用されているPRIME Allianceが策定した最新のPLC規格 PRIME 1.4の相互接続性試験にも合格している。さらに、PRIME 1.3.6の認証取得に加え、S-FSK IEC61 334-5-1、METERS AND MORE、IEEE 1901.2 PLC規格にも対応している。このうち、PRIME Allianceが2014年5月に発表したPRIMEプロトコルの最新バージョンである1.4には、電気的ノイズの多い環境下でも信頼性の高い通信を可能にする新しいロバストモードなど、複数のアップデートが含まれている。「STCOMET」は、相互接続性試験に合格した最初のチップセットで、既存インフラとの互換性を維持しながら、新しい機器での最新技術の活用を可能にしている。そして、G3-PLCは、周波数スペクトルの効率的な使用とノイズの多いチャネル条件下での高いノイズ耐性を実現するスマートグリッド用通信プロトコルである。G3-PLC認証プログラムを完了した「STCOMET」を使用することで、相互接続可能な高性能製品の開発が可能になる。また、STは現在使用されている主要プロトコル規格のPRIME 1.4/1.3.6、G3-PLC、METERS AND MORE、IEEE 1901.2などを対象としたプロジェクトを迅速に開始できる充実した開発エコシステムを有していることを強みとしている。この開発エコシステムでは、プロトコルスタック、リファレンス設計、単相・三相メータ向けのプロトタイプ作成用ハードウェア、電力計測管理ソフトウェアやソフトウェア統合用サポートドライバなどの各種ツールが提供される。この他、「STCOMET」は、プログラムが可能なのに加え、ファームウェアのアップグレードに対応しており、さまざまな市場・分野で使用され、異なるPLC規格に準拠する製品に同一設計を適用することができる。加えて、ARM Cortex-M4をベースとした最先端のアプリケーション処理サブシステム、高精度なメータ用フロントエンド、プログラム格納用の内蔵フラッシュメモリとRAM、プライバシー保護とアンチハッキング保護を実現する専用セキュリティエンジンを高度に集積している。そして、PLCモジュールは、プログラム可能なDSPモデム、包括的な送受信フロントエンド、p-p出力が28Vのパワーアンプで構成されている。最大500kHzまで拡張された帯域幅には、北米で使用されるFCC周波数帯域と日本で使用されるARIB周波数帯域が含まれている。さらに、遠隔操作による設定が可能なため、事業者の長期運用コストを最小化するとしている。なお、パッケージは20mm×20mm×1mmサイズのTQFP176。現在、特定顧客向けに提供中。
2014年11月14日Texas Instruments(TI)は11月4日、自社のPLC(電力線通信)リファレンスデザインがG3-PLCアライアンスの認証を取得したと発表した。同社は、G3-PLCAアライアンスの執行メンバーであり、スマートグリッド向けG3-PLC技術の向上と普及促進に注力してきた。今回の認証取得により、スマートグリッド技術のプロバイダが、同社のG3-PLCソリューションを選択した場合、同標準規格への準拠と相互動作性を確保した上で自社製品を開発できるという。具体的には、TI DesignsライブラリのPEER(サービスノード)、ならびにPANC(コーディネータ)向けリファレンスデザインが、ARIB(電波産業会)とCENELEC(欧州電気標準化委員会)のA周波数帯の両周波数帯で、G3-PLC Allianceのプラットフォーム認証を取得したとしている。認証を取得したPLCソリューションは、PLCに必要な回路を搭載した同社のSOM(システムオンモジュール)ハードウェアデザインと、SOMをAC電源に接続するための回路を含むPLCドッキングステーションを組み合わせた評価キットで提供される。この小型なSOMのリファレンス設計を元にしたPLCモジュールで、PLCネットワークの試作を素早く実現できる。また、これらのモジュールは個別に購入可能なことから、PLCシステムをスマートグリッドの個別要件に適合するようカスタマイズできる。同ソリューションのうち、「TMDSPLCKITV4-CEN」キットは、C2000マイコン「TMS320F28PLC84」とPLC AFE(アナログフロントエンド)「AFE031」を搭載し、欧州地域のCENELEC A(35kHz~91kHz)、またはCENELEC B(98kHz~122kHz)の各周波数帯をサポートする。「TMDSPLCKITV4-ARIB」キットは、C2000マイコン「F28M35H52」とPLC AFE「AFE032」を搭載し、日本のARIB周波数帯(154kHz~403kHz)をサポートする。データコンセントレータEVM(評価モジュール)「TMDSDC3359」は、標準構成でCENELECのA周波数帯をサポートし、アップグレードによりARIB周波数帯もサポートする。なお、価格は「TMDSPLCKITV4」キットが499ドル、「TMDSDC3359」キットが699ドル。すでに販売を開始している。
2014年11月05日パナソニック AVCネットワークス社は10月29日、高速電力線通信「HD-PLC」向けシステムLSIを実現するアナログ回路IPとデジタル回路IPのライセンスを併せた統合コアのライセンスの提供を2015年1月から開始すると発表した。HD-PLCは電力線を使った通信であるため、これを1チップ化する場合、電力に関係したアナログ回路IPと通信に関連したデジタル回路IPを持つシステムLSIが必要であり、すでに同社ではデジタル回路IPに関して、LANの通信規格であるIEEE 1901対応の「HD-PLC」Completeを2010年に、シリアル通信対応の「HD-PLC」insideのデジタル回路IPを2013年よりそれぞれ行っていたが、アナログ回路に対応したシステムLSIが別途必要という課題があった。今回の統合IPは、それらを組み合わせたものであり、これを適用することで、HD-PLC向け1チップ・システムLSIの開発が容易になると同社では説明しているほか、これにより従来に比べ小型・軽量化と省消費電力化が可能になるため、従来に比べ多くの製品へ導入が可能になるとしている。なお同社では今後、さらなる通信の広域化を目的として、通信の長距離化や接続機器の台数の増加に対応した産業用機器向けのライセンスの提供を目指すとしている。
2014年10月29日