1973年生まれ。ライター、編集者。専門分野はインテリアデザイン、プロダクトデザイン、地域ブランド、暮らし、文芸、環境問題など。趣味で茶の湯を嗜む。2011年度はメイド・イン・ジャパン・プロジェクト株式会社に所属し、岐阜県のモノづくりを支援するプロジェクトの広報を務めた。
昨年9月に公開され、話題を呼んだドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」に続き、今年6月に再び遺伝子組み換え食品の実態に迫るドキュメンタリー映画が公開される。 一瞬ドキリとなる、そのタイトルは「世界が食べられなくなる日」。 監督は「未来の食卓」「セヴァンの地球のなおし方」などで知られる、フランス人のジャン=ポール・ジョー。彼は自らが結腸がんを患ったことをきっかけに、カメラを通して、食の重要性を強く訴え続けている監督だ。 本作で扱う題材は遺伝子組み換え食品とさらにもう一つ、原子力である。 いずれも20世紀に生まれたテクノロジーで、よく似た特徴を持っている。 それは「後戻りができないこと、すでに世界中に拡散していること、そして生物の体内に蓄積されやすいこと」だ。驚くべきはこの2つを開発したのは米国を中心とする250の同じ企業グループで、世界の半分もの富を支配するのだという。 カメラは、フランスのカーン大学教授による、あるラットの実験を追い続ける。米国モンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシ「NK603」と除草剤「ラウンドアップ」を組み合わせて、2年間ラットに与え続けるという実験だ。 2年はラットの寿命に相当する。現在、遺伝子組み換え食品の安全基準は「ラットに遺伝子組み換え作物を3ヶ月与え続けても問題がないという実験結果」を元にしている。ラットの3ヶ月は、人間の寿命に置き換えると10年。つまり、人間が一生摂取した場合の安全基準には何の役にも立たないということだ。 実験中、ラットは3ヶ月のうちは元気に生きている。ラットに異常が出始めるのは4ヶ月目からだ。そして月日を重ねるごとに、ラットの多くに腫瘍ができ始め、それがこぶのように肥大化していく…。 カメラは、日本の福島県へと移る。奇しくも監督が本作を制作中に、東日本大震災が発生。私たちがまざまざと見てきた、福島第一原発事故が起きた。 事故後も地元に残り続ける、農家や酪農家たちにインタビューする。 「私たちは、安全が“担保”されていない状況で物を作っていいのだろうかと毎日揺れています」。「私たちはもっと不便な生活でも我慢しなくてはなりません。さもなければ、世界の終わりです」。とつとつと語る、彼らの言葉にいたたまれない気持ちに包まれる。 あらゆる命の根幹を脅かすかもしれない2つのテクノロジーについて、もう一度じっくりと考える良い機会となるだろう。 「世界が食べられなくなる日」 2013年6月8日(土)より、渋谷・アップリンクほかにて全国順次公開 監督:ジャン=ポール・ジョー 製作:ベアトリス・カミュラ・ジョー 2012年/フランス/118分/原題:Tous Cobayes? 協力:大地を守る会、生活クラブ生協 宣伝・配給:アップリンク 取材/杉江あこ
2013年05月17日ゼリーやプディング、ケーキなどを作るのに活用する料理の型、タンバル型。その多くがマルや四角のほか、ハートや花などの可愛らしい型ばかり。もちろんそれらも良いけれど、もっと趣向を凝らした料理が作りたい!という人に朗報。イタリアのハウスウェアブランド、アレッシィから、ユニークなタンバル型が発売された。 マリオ・トリマルキ氏がデザインした「イル・テンポ・デッラ・フェスタ」は、実に建築的かつ彫刻的なタンバル型。モチーフとなったのは、なんと世界の古代建築。フランスのモン・サン=ミッシェルをはじめ、さまざまな建築をヒントに形作られた。 日本で発売されるのは、マンゴー、ピーチ、ホワイトの3色で、それぞれに6型あり。商品を購入するとレシピブックも付いてくるので、それを参考に、お寿司やリゾット、サラダ、ゼリー寄せ、ムースなどを作ることも可能。ホームパーティーなどのおもてなし料理にもぴったりだ。実は商品名の「イル・テンポ・デッラ・フェスタ」とは、「パーティータイム」という意味。 素材は上質なプラチナ・シリコン。通常のシリコンより熱に強く、安全性が高いのが特徴だ。−60℃〜230℃の温度に耐性があるので、まさに冷凍庫からオーブンまで対応する。また柔らかく、形状記憶力が高いので、完成した料理を崩すことなく型を外せて、外すときに広げた型もきちんと元の形に戻るという優れものだ。 「イル・テンポ・デッラ・フェスタ」6個セット/5,250円 アレッシィ ショップ 青山 東京都港区北青山3-2-5 Tel. 03-5770-3500 取材/杉江あこ
2012年12月04日この秋、食の安全を考えるうえで見逃せないドキュメンタリー映画「モンサントの不自然な食べもの」が公開される。冒頭でスクリーンに映し出されるのは、パソコンを立ち上げ、インターネットで「モンサント」と打ち込んで検索する女性。彼女はフランスのドキュメンタリー映像作家、マリー=モニク・ロバンだ。 モンサントとはアメリカの多国籍バイオ化学メーカー。かつては枯れ葉剤や牛成長ホルモンなどを開発したことで知られるが、現在の主力商品は除草剤「ラウンドアップ」と遺伝子組み換え作物だ。モンサントは大豆、トウモロコシ、綿、ナタネ、カボチャ、トマトなど、実に20数種あまりの遺伝子組み換え作物を開発してきた。人為的に遺伝子を操作することで、除草剤「ラウンドアップ」に耐性のある性質、殺虫剤を生成する性質などを生み出した。 例えば除草剤「ラウンドアップ」と遺伝子組み換え大豆を一緒に使えば、雑草はすべて枯れて、大豆だけが収穫できるというわけだ。農家にとっては非常に効率的で便利なように思えるが、しかし遺伝子組み換え作物の安全性については賛否両論。健康や環境への安全性は、確実には立証されていないのだ。 さらにモンサントは自社開発した種に対して特許権を取得。モンサントの種を使った農家は、作物を収穫した後に自家採種することは認められていない。もしも自家採種した場合は、特許権侵害として訴えられ、多額の賠償金を命じられることになる。 マリー=モニク・ロバンはインターネット検索で得たモンサントに関するさまざまな公式文書を元に、それらに関係する政府高官や学者、専門家、農家たちへ会いにいく。彼らの証言によって、モンサントの実態が次々と明らかになるのだが、果たしてモンサントの本当の狙いとは…。 ちなみに日本でも遺伝子組み換えの種が一部認可されているが、ほとんど試験栽培のみで、商業栽培はされていない。しかし大豆、トウモロコシ、ナタネ、綿実などの遺伝子組み換え作物自体は輸入していて、多くは食用油や液糖の原料、家畜飼料として使われている。 通常、食品の原料に遺伝子組み換え作物を使用した場合は表示義務があるが、組み替えられたDNAや、それによって生成したたんぱく質が含まれない場合は表示しなくてもよいと決められている。したがって表示がないために、知らず知らずのうちに植物油や飲料水、肉を通して口にしていることはある。 豆腐や納豆の原料に表示されている「遺伝子組み換えではない」。今のところ、私たちはそうした表示を見ることでしか判断ができない。しかし国産トウモロコシや菜種を使った油を選ぶとか、肉を食べるのを控えるとか、少し知識を身につけるだけで判断材料は増える。果敢な女性ジャーナリストによる本作は、食への意識を高めるきっかけになるはずだ。 「モンサントの不自然な食べもの」 監督:マリー=モニク・ロバン カナダ国立映画制作庁・アルテフランス共同製作 2008年/フランス、カナダ、ドイツ/108分/原題:Le monde selon Monsanto 協力:作品社、大地を守る会 9月1日より、渋谷・アップリンクにて公開 取材/杉江あこ
2012年08月24日今、食の安心・安全にとても関心が高まっている。小さな子どもがいる家庭なら、なおのこと。そもそも米や野菜、肉や魚、卵がどのように生産されているのか、私たちは知らないことが多い。本当に安全な食べものとは? 本当に美味しい食べものとは? それらのヒントを教えてくれる本「未来の食卓を変える7人」が発売された。 「未来の食卓を変える7人」は、安全で美味しい農産物づくりに挑戦し続ける農家7人を取り上げたルポルタージュだ。無農薬・無化学肥料の有機農業、無農薬・無肥料の自然栽培など、いずれも慣行農業とは一線を画し、独自の農業や流通、商品開発、レストラン経営などに真摯に取り組む農家の姿を追っている。 例えば奈良県で伝統野菜の復活に取り組み、それを地域コミュニティーの核とした若夫婦農家。農業の根幹となる種の問題、伝統野菜の魅力とそれが消滅していった原因、レストランオープンの話などが書かれている。 「清澄の里 粟」(奈良県奈良市高桶町)三浦雅之さん、陽子さん また酪農も取り上げている。登場するのは、牛乳ではなく「生乳」を日本で唯一出荷する牧場だ。生乳とはつまり殺菌処理をいっさい行わずに出荷できる商品のこと。牛へのストレスはできるだけ少なく、牛の幸せを何より優先する飼育方法について触れている。 「想いやりファーム」(北海道川西郡中札内村)長谷川竹彦さん ただスーパーマーケットで食品を買うだけでは、私たちは農業の現実を知ることができない。農薬や化学肥料がどれだけ撒かれ、どんな過酷な状況で家畜が飼われているのか、その現実を知ると、途端に恐ろしくなるかもしれない。これら当たり前に行われてきたことに疑問を抱き、新しいスタイルや価値観の下で農業を行う人が今、徐々にではあるけれど増えている。本書に登場する7人は、まさにその最先端を行く人たちだ。 巻末にはインターネット宅配やレストランなどのお取り寄せ情報も収録。気になった農家の米や野菜を実際に食べることができる。本当に安全で美味しい食べものは、何より自分の舌で確かめるべし。 「未来の食卓を変える7人」 著者:桜鱒太郎 発行:書肆侃侃房 価格:1500円+税 取材/杉江あこ
2012年05月09日使っても使っても元の形に戻る、愛らしい動物の形をしたシリコン製の輪ゴム「アニマルラバーバンド」。ギュッギュッと握って遊ぶ、顔の形をした不思議な感触のボール「カオマル」。大人も子どもも手に取るだけでふと笑顔が生まれる、そんな生活雑貨をつくっている会社がアッシュコンセプトだ。 アッシュコンセプトは「モノづくりを通して世の中を元気にする会社」として、さまざまな生活雑貨の企画をしている。これらオリジナルブランドの「+d」は個々のデザイナーの発想を大切に、デザイナーとともにつくり上げることを趣旨にしたブランドで、これまでにたくさんのユニークな商品を発売してきた。 そのアッシュコンセプトが満を持して直営店「KONCENT(コンセント)」をオープン。場所は東京スカイツリー開業にともない、注目が高まっている台東区蔵前だ。元は玩具問屋だったという場所をリノベーションした、吹き抜けのある高い天井が印象的な空間だ。 入口手前からギャラリー、ショップ、スタジオとなっており、ギャラリーは各ブランド新作発表やクリエイターの作品発表などを行う場、ショップはアッシュコンセプト取扱商品や独自の視点でセレクトした商品が購入できる場、スタジオはワークショップやセミナーから製品モニター会まで、イベントを開催する場として展開していく。 「コンセント」とはデザイナーと工場、使い手がつながる「差し込み口」という意味。この春、東京スカイツリー見物に出かけたら、ぜひ子どもと一緒に寄ってみたいショップのひとつだ。まるで玩具のようにカラフルでユニーク、それでいて暮らしをスマートにする商品にきっと出会える。 KONCENT(コンセント) 東京都台東区蔵前2-4-5 Tel 03-3862-6018 11:00〜19:00 月曜定休 取材/杉江あこ
2012年04月10日東京ミッドタウン•ガーデン内にあるデザイン施設21_21 DESIGN SIGHTにて、ゴールデンウィークより企画展「テマヒマ展〈東北の食と住〉」が開催される。東日本大震災から1年経った今、日本中で東北の復興に注目が集まっている。そもそも東北が本来持っていた「力」とは何だろうか。本展が焦点を当てるのは、東北の「食と住」だ。 東北には長く厳しい冬を越すための独特の知恵と工夫がある。「食」においては新鮮な食材が採れる期間が短いため、保存食の文化が発達した。水に浸し凍らせながら乾燥させた「凍みいも」や「凍みもち」は、東北ならではの食べものだ。 車麩(山形県彦根市)強力小麦粉に水を合わせる Photo: Yusuke Nishibe 大根を輪切りにして竹串を刺して干した「へそ大根」、寒風にさらしてできる「寒干し大根」や「干し柿」、囲炉裏の煙でじっくりと燻してから漬ける「いぶりがっこ」なども東北を彩る風景の一部として根づいている。 いぶりがっこ(秋田県横手市)大根を漬ける前に燻す Photo: Yusuke Nishibe 干し柿(山形県上山市)皮をむいた柿を天日干しする Photo: Yusuke Nishibe 「住」においては、職人の地道な手技によって作られるものが多い。豊富に採れる秋田杉を使った「曲げわっぱ」や「秋田杉樽桶」、繊細な模様が美しい「樺細工」や「津軽塗」、また天童市で作られるモダンな家具「バタフライチェア」や「柏戸イス」と、工芸品が好きな人には知られているものも多い。 杉桶樽(秋田県大館市)樽のタガを結う Photo: Yusuke Nishibe テマ(手間)とは労力、ヒマ(暇)とは時間。まさにテマヒマをかけたものづくりが、東北の生活を支えてきた。それが東北の特色であり魅力だ。本展ではグラフィックデザイナーの佐藤卓氏、プロダクトデザイナーの深澤直人氏をはじめ、フードディレクター、ジャーナリスト、映像作家、写真家らが出会い、見聞きした東北の「食と住」を展示する。 駄菓子(宮城県仙台市)温かい飴に空気を含ませる Photo: Yusuke Nishibe 約80アイテムの実物を制作プロセスや写真を交えて紹介するほか、ドキュメント映像作品を上映する。東北の復興を応援し、日本中でこの危機を乗り越えていかなければいけない今、本展を通して、まずは東北の文化と精神に触れてみるのはいかがだろう。 宮城県、石橋屋にて Photo: Masako Nagano 「テマヒマ展〈東北の食と住〉」 日時:4月27日(金)~8月26日(日) 11:00~20:00 火曜日休館(ただし5月1日は開館) 会場:21_21 DESIGN SIGHT 東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン•ガーデン内 入場料:一般1000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料 お問い合わせ:Tel 03-3475-2121 取材/杉江あこ
2012年04月02日子どもは好奇心がいっぱい。元気よく駆け回り、遊んで、言葉やモノを覚えていくためには、住まいにもちょっとした工夫が欲しい。リビングデザインセンターOZONEでは、春休みからゴールデンウィークの期間にかけて、子どもと暮らすインテリアをテーマにした展覧会「子どもとつむぐ、住まい時間」を開催する。 リビングデザインセンターOZONEでは、デザイン性の高いリフォームやインテリアを応援するプログラム「OZONEデザインリフォーム&インテリア」を常時実施している。そこで活躍するインテリアデザイナーが、これまでお客様に提案やアドバイスしてきたことを元に空間展示をする。インテリア事例紹介やワークショップなどを通して、インテリアのコツを多面的に紹介する。 今回の見どころである空間展示の1つは、土間のような使い方ができる「広めの玄関」。新築やリフォームの際に、玄関を広く取ることを提案する。ベビーカーや自転車、子どもが外で遊ぶための玩具や道具を仕舞う場所として活用できるからだ。 また、玄関の近くに家族が共有して使える「ファミリークロゼット」を置くのも手。家族全員のコートや帽子、バッグなどを収納すれば、おでかけの際に皆で一緒に身支度ができて便利である。 ワークショップでは収納や片づけの方法、安全な内装材選び、マネープランなどをテーマに実施予定。 子育てを楽しみながら、家族が心地よく暮らせる住まいとは? 本展はそのヒントを教えてくれる絶好の機会と言える。入園や入学、進級を控えた子どもと一緒に出かけてみてはいかが? 「子どもとつむぐ、住まい時間」 日時:2012年3月22日(木)~5月8日(火)10:30~19:00 水曜日休館 会場:リビングデザインセンターOZONE 3階OZONEプラザ 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー Tel. 03-5322-6500 ※掲載写真は前年の展覧会の空間展示、及びワークショップ風景 取材/杉江あこ
2012年03月10日節電が求められる今、電気を極力使わない生活スタイルに注目が高まっている。火鉢や七輪、ロースターを使い、ほのかに暖を取ったり、湯を沸かしたり、調理をしたり…というのに役立つのが炭だ。 もちろん家の中のみならず、野外でも手軽に使えるのが炭の良いところ。でもどう選んで、どう使えばいいの? 火の後始末は? などなど、炭の使い方の基本を知りたい人も多いのでは。 そんな人に朗報なのが、釜浅商店が開催する「第4回 良理道具の会」だ。今回のテーマは「炭の話」。 自社で備長炭を製造販売する「室戸の森」社長・金子あい氏とその社員を講師に招いて、炭の特性や種類、選び方、備長炭にまつわる裏話まで、たっぷりと話を披露してもらう。「炭という道具を身近に感じてほしい」というのが、今回の狙い。今さら聞けない素朴な疑問に対しても、丁寧に答えてくれる。 ちなみに金子氏をはじめ「室戸の森」社員全員は、高知県室戸市にて国産最高級備長炭と言われる「土佐備長炭」炭焼き職人より、備長窯と製炭製法を学んだ経歴を持つ。 台東区の合羽橋道具街に構える釜浅商店は、明治41年の創業以来、「良い道具には良い理がある」をコンセプトに掲げ、日本の優れた技術や道具を紹介してきた。2011年秋からは2ヶ月に一度の頻度で「良理道具の会」を開催。これまで実施してきたテーマは「砥石」「江戸前寿司」「包丁」と、とてもユニークだ。 イベントでは、炭火焼に欠かせない七輪やロースターの使い方も紹介 一般人のみならず、料理人も参加することが多いという「良理道具の会」。プロも注目するイベントとあれば、その信用度は高い。まもなくやってくるアウトドアシーズンに先駆けて、炭の使い方を予習しておくのはいかが? 釜浅商店 「第4回 良理道具の会」 日時:2012年3月20日(祝)17:00〜18:30 会場:釜浅商店ギャラリースペース(包丁・鉄器フロア2階) 東京都台東区松が谷2-24-1 Tel. 03-3841-9357 参加方法:予約制、参加費無料 電話/03-3841-9355またはメール/info@kama-asa.co.jpにて 名前、参加人数、連絡先を明記。定員になり次第、締め切り。 取材/杉江あこ
2012年03月07日豊かな自然や風土、資源に恵まれた岐阜県では、長い歴史の中でさまざまなモノづくりが育まれてきた。その岐阜県のモノづくりを紹介するイベントが、東京ミッドタウンで開催される。 「AKARI 25N」オゼキ 例えば、普段使っている食器。包丁やはさみ。浴室のタイル。ティッシュペーパーやメモ用紙にはじまる紙。木工家具や日用雑貨。これらの多くが岐阜県でつくられているというのをご存じ? 「MOKA」川嶋工業 あまり知られていないかもしれないが、岐阜県はモノづくりがとても盛んな地域。日常生活を見渡せば、あれもこれも…と岐阜県でつくられているものは実に多いのだ。岐阜県には陶磁器、紙、刃物、家具・木工品、繊維、プラスチック、加工食品・酒と大きく7つの産業があり、全国でトップシェアを誇る分野も少なくない。 「FUDOH 織部」不動窯 「春慶弁当箱」西田木工所 そもそも、岐阜県はどこにあるの?と、まだピンと来ていない人もいるかもしれない。位置するのは、日本列島の真ん中。天下分け目の戦いで知られる「関ヶ原の戦い」の関ヶ原があるのも、岐阜県なのだ。 岐阜県は、大きく飛騨地域と美濃地域に分かれる。岐阜県の地形を表す言葉に「飛山濃水」ー飛騨の山、美濃の水というのがある。つまり美濃地方には木曽川、長良川、揖斐川の大きな川が3本流れ、海がないにも関わらず、清らかな水の街を成している。特に、長良川は日本三大清流の1つとも言われ、伝統漁法の鵜飼が有名だ。 「長良川」 飛驒地方には標高3000mを超える飛騨山脈がそびえ、その山間には世界遺産にも登録されている白川郷がある。 「白川郷」 そんな豊かな自然や風土の中で、水、土、木などの資源に恵まれ、さまざまな技術が発達したことから、岐阜県では独自の暮らしの中で、多様なモノづくりを生み出した。 「岐阜和傘」の制作現場 「鳳凰の手紙」古川紙工 陶磁器なら「美濃焼」、紙なら「美濃和紙」や「岐阜提灯」、漆器なら「飛騨春慶」、木工なら「飛騨の家具」、刃物なら「関の刃物」と、一度は聞いたことのある名前もあるはず。 「STEP STEP」日進木工 現在、岐阜県は[岐阜印]これぞ日本!プロジェクトを実施している。高い品質とデザイン、風土や社会に根ざした、質実剛健なモノづくりを全国へ発信し、まだ知られていない岐阜県生まれの商品を広く紹介していくことが目的だ。 このプロジェクトの集大成イベント「山と水のおくりもの展」が、1月末に東京ミッドタウンで開かれる。岐阜県生まれの商品が約200点展示販売されるほか、岐阜県でモノづくりに関わるメーカーやデザイナーらのトークセッション、地元で人気の舞妓のお座敷なども予定。今すぐ暮らしに取り入れたい、素敵な商品が見つかるかも!? [岐阜印]これぞ日本!プロジェクト「山と水のおくりもの展」 日時:1月28日(土)~29日(日)11:00~21:00 場所:東京ミッドタウン ガレリアB1アトリウム 東京都港区赤坂9-7-1 お問い合わせ先:メイド・イン・ジャパン・プロジェクト Tel. 03-5413-3243 取材/杉江あこ
2012年01月17日お正月に欠かせない注連飾り(しめかざり)。注連縄は神域と現世を隔てる結界の意味があり、それを輪形に綯(な)い、稲穂や橙などの縁起物を付けたのが注連飾りだ。玄関口に飾ることで厄や禍を祓い、歳神様をお迎えする清浄な場所を表す。 「玉注連飾り」 お正月の注連飾りづくりには、新しい藁を使う。春に田んぼに稲を植え、夏のまだ青いうちに稲を刈り取り、乾燥させてきれいな藁にする。日本人が生きていくうえでもっとも大切なお米の稲を少しだけいただいて、来る新年に向けて無病息災、家内安全、五穀豊穣の祈りを込めて注連飾りをつくるというわけだ。 「玉注連飾り」 そんな日本の稲作の食することと生きることのつながりや、手仕事の造形の面白さに魅せられたクリエイターの鈴木安一郎さんと安藤健浩さんが、「ことほきプロジェクト」を立ち上げた。彼らが注連飾りづくりを始めたのは1999年冬。鈴木さんの父の下で手解きを受け、現在も手本や資料などを参考に注連飾りづくりの研究を重ねている。彼らにとって注連飾りづくりは、日本人としてのアイデンティティーを再確認し、モノづくりの原点を見つめ直す大切なものであるという。 「鳥お飾り」 新年早々、彼らが生み出した注連飾りが青山桃林堂画廊にてお披露目される。それは必要以上に華美でなく、稲本来の姿を生かした、清い気持ちで春を迎えるのにふさわしい注連飾りだ。中には鳥や海老、眼鏡といったユニークな形も見られる。「注連飾りの造形や素材にはそれぞれの理があり、その決まり事の中で私たちは工夫を凝らしました。したがってまったくのオリジナル作品はなく、いろいろな地方や時代に制作されたものを参考につくっています」と鈴木さんは話す。 「眼鏡注連飾り」 初詣や仕事始めなどの帰り、この美しい注連飾りを観にぜひ立ち寄ってみてはいかが? 会場で気に入った注連飾りが見つかれば、もう次の年に向けて注連飾りを予約注文できる(2月末締め切り)。そして「ことほきプロジェクト」では予約量に応じて、春に苗を植える。1年を通してつくられた大切な藁で注連飾りをつくり、今年の12月には注文者の元に届ける仕組みだ。 「ことほき」 日時:2012年1月4日(水)〜8日(日) 10:00〜19:00(最終日は18:00まで) 場所:青山桃林堂画廊 東京都港区北青山3-6-12 みずほ銀行ビル1階 Tel. 03-3400-8703 取材/杉江あこ
2012年01月04日家庭でもプロ並みの台所道具を使いたい。そんな風に思う人は増えている。東京で飲食業者向けの問屋街と言えば、台東区の合羽橋道具街。調理道具や食器、厨房設備などが豊富にそろい、最近は飲食業者のみならず、一般客の来場がグンと増えているという。 この合羽橋道具街を牽引してきたのが、創業明治41年の老舗料理道具店「釜浅商店」だ。2011年4月にリニューアルオープンをし、ロゴを刷新し、ますます一般客が入りやすい店構えになった。 さらに多くの一般客に合羽橋道具街や「釜浅商店」を知るきっかけになって欲しいと、2012年1月〜2月に掛けて期間限定で「移動式釜浅商店」を開く。場所は国立新美術館のミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」だ。 「釜浅商店」の理念は「良い道具には理(ことわり)がある」。料理道具ならぬ「良理道具」として、100年以上にわたってさまざまな道具を扱ってきた。日本各地で1つひとつ丁寧につくられている道具と、そのつくり手である職人の思いを伝えたい。そうした思いで、道具と料理人をつなぐ役割を果たしてきた。 「移動式釜浅商店」で扱われる商品は、オリジナル南部鉄鍋、南部鉄瓶、釜・かまど、手打ちの行平鍋、打ち出しフライパン、銅のおろし金など。美術鑑賞帰りの人々に、機能美にあふれた「良理道具」は果たしてどのように映るだろうか…。 プロ並みの道具を使ってみたいけれど、合羽橋道具街まではなかなか足を運べなかった人には「移動式釜浅商店」はまとないチャンス。ぜひこの機会に厳選された道具を手に取ってみてはいかがだろうか。 「移動式釜浅商店」 日時:2012年1月11日(水)〜2月27日(月)10:00〜18:00(金曜は20:00まで)、火曜定休 場所:スーベニアフロムトーキョー 東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館B1 Tel. 03-6812-9933 取材/杉江あこ
2011年12月27日東京都台東区の合羽橋道具街にある老舗料理道具店「釜浅商店」から、家庭でも使える、画期的な炭火焼ロースター「YK-T」が発売された。共同開発をしたのは、多くの美食家を唸らせてきたことでも有名な焼肉店「炭火焼肉ゆうじ」。 これは両者が「美味しい肉を焼くこと」を徹底的に追求し、理想の形を求めて、1年掛けて試行錯誤を繰り返し完成させたロースターだ。道具のプロと肉のプロによる究極のコラボレーション商品と言うわけだ。 特徴は、鉄の鋳物とステンレスの2種類の網を採用したこと。その理由は、肉の部位によって美味しさを引き出す方法が異なるためだ。鉄の鋳物はある程度の厚みがあり、それ自体が蓄熱をすることから、じんわり、ゆっくりと火を通すのに向いている。したがって赤身の肉を焼くときに使用。ステンレスは余分な脂を落としながら、直火でサッと焼くのに向いているため、ホルモンを焼くときに使用する。 また、洗いやすさを考慮してロースター本体は金属製に。ただし卓上で使う際には側面が熱くなりすぎると火傷を覆う危険もある。そこで本体内部に工夫を凝らした。空気の層を2つに分け、七輪のように断熱性を保ちながら、空気を多く取り込みすぎないよう、吸排気を制限し、放熱を極力抑えるように設計した。 このロースターは「炭火焼肉ゆうじ」でも今後使われる予定とか。そんな人気店で使用される道具とあれば、炭をくべて、家で本格的な炭火焼にチャレンジしたい人にはぜひおすすめだ。お子さまと一緒ではなかなか訪れにくい焼肉店も、これさえあれば家庭で美味しい焼肉を楽しむことができる。 サイズ:本体W32cm×H16.5cm×D18.5cm 価格:17,200円(2種の網付き) お問い合わせ:釜浅商店本店 Tel. 03-3841-9355 取材/杉江あこ
2011年12月22日