ジャーナリスト。音楽家、アーティストのインタビュー、アート評を中心に活動。女性誌で、表紙からインタビュー、ファッション、美容、書評まで担当した経験を基に、2006年から婚活サイト「エキサイト恋愛結婚」で、お悩み相談への回答コラムや婚活コラムを執筆。著書に「日本の貴婦人」(光文社)など。
体にいいものを食べたい、という気持ちを持たない人はいないのではないでしょうか? とはいえ美食への欲望も捨てがたく、かといって巷に溢れる健康本や料理本から、あれはダメ、こうでなきゃ、と主義主張を押しつけられると、う~ん、無理! と、途中でサジを投げてしまいそうな不甲斐ない自分がいました。 撮影 野中元 写真提供 NHKエンタープライズ そんな中、これさえ飲めば…といった一時的な流行に踊らされたり、厳格過ぎる食事療法の信者に改宗したりせずに、人生の基本にできるようなものと出会えたらいいなあ、とはずっと思っていたんです。 楽しみながら一生続けられて、自分も周囲も地球をも幸せにできる、と信頼できるものと。それがスローフードの母、アリス・ウォータースで、私の内面に静かな革命をもたらしました。 40年以上前、有機農法の畑を作るよう農家に働きかけるところからスタートしたアリス・ウォータースの活動は、並大抵の苦労ではなかったはず。でも現在、私たちは彼女の料理哲学に触れて、素材を活かしたシンプルな料理を味わう心地よさを、今すぐ享受することができます。 それは、どこか懐かしく、田舎のおばあちゃんのご飯みたいな親しみのある世界観。ただ、みんなが一度失ってしまったものを取り戻すことは至難で、それをゼロから始めたアリスの勇気と尽力に感動せずにはおれません。彼女の提唱する9か条を挙げておきますね。 〈アリスの提唱する9か条〉 1.持続可能な方法で、環境に配慮して作られたものを食べるようにしましょう 2.旬なものを食べましょう 3.ファーマーズマーケットで買い物をしましょう 4.庭で野菜やハーブなど食べられるものを栽培しましょう 5.ものを大切にし、堆肥をつくってリサイクルしましょう 6.料理はシンプルに五感を使うようにしましょう 7.みんなで一緒に料理をしましょう 8.みんなで一緒にご飯を食べましょう 9.食べ物は尊いということを忘れずに 撮影 野中元 写真提供 NHKエンタープライズ 料理するアリスを見て、自分も作りたいなあ! NHK BSプレミアムの「アリスのおいしい革命」という番組で、自分のハーブガーデンを嬉しそうに歩きまわり、ファーマーズマーケットで楽しそうにお買いもの、プロというより普通のお母さんみたいな感じで料理するアリスを見て、地に足の着いた穏やかで生き生きした姿に惹かれました。 全然セレブ風でも気取ってもいないんです。作り手が醸し出すテクスチャー(雰囲気)からの影響って、すごく大きいなあと思いました。 それで、自分でも作ってみたくなったんです。『アリス・ウォータースの世界』という本は読ませるレシピで、「ガーデンレタスサラダ」で3頁、「バスタをつくる」という項目で5頁と、素材の選び方から調理の応用編まで体系的に深く学べます。 『アリスのおいしい革命』は、アリスのお話をNHKエンタープライズ取材班がまとめてレシピにしているので、わかりやすいコンパクトな実践編。私にはこの2冊が非常に役立ちました。 作ったのは、「カリフォルニア風 魚のスープ」「ガーリック・マヨネーズ添えのトマトサラダ」「ガーデンサラダ」ですが、魚のスープのためにフェンネルというハーブを、人間の上半身が隠れるくらい大きな株で入手(渋谷のフードショーで普通に売られてました)した時は、すごくエキサイトしました。 これを、葉も株もふんだんに使うのですが、作ってる時の気分はもうすっかりアリスで、アガるんですよ、これが(笑)。自然との一体感、自分も自然の一部であるという実感がこんなに幸せとは! ぜひお試しくださいな。 ・ アリスのおいしい革命 (NHK BSプレミアム) 2014年3月17日 (月)午前11時20分~【再】手作りパンとアリスの仲間たち ・ アリス・ウォータースの世界 (小学館) ・ アリスのおいしい革命 (文藝春秋)
2014年03月12日