制作会社、WEBサイト編集部、専業主婦を経てフリーライターに。保育士&幼稚園教諭免許を所有するも、自分の子育てにはほとんど生かせていない2児の母。自称・ズボラ主婦日本代表。
8月に開催される『おかあさんといっしょスペシャルステージ2017』埼玉公演のチケット先行販売が6月8日(木)昼の12時から受け付け開始! このステージにはスペシャルゲストとして、なんと“だいすけお兄さん”こと横山だいすけさんも登場します!! ウーマンエキサイトが取材しただいすけお兄さんの記事はこちらから ■『スッキリ!!』での緊張っぷりも大反響! 5月26日放送の日本テレビ系『スッキリ!!』で民放初出演を果たした際には、終始ド緊張の様子でトークをしていただいすけお兄さん。Twitter上では、「緊張してるだいすけお兄さんも最高」、「見てるこっちも緊張する!!」など、どんな姿もママ達は受け入れている様子(笑)。 とはいえ、抜群の安定感で生歌『にじのむこうに』を披露すると、まさに“雨が上がっておひさまが出るように”朝から晴れやかな気持ちに。放送後、すぐにYahoo!リアルタイム検索 話題のキーワードで“だいすけお兄さん”が第一位を獲得するなど、その人気ぶりは衰えを知りません。 ■夏の恒例!「ファミリーコンサート」とはひと味違う大規模コンサート 今回開催される『おかあさんといっしょスペシャルステージ2017』は、渋谷NHKホールなどで行われる「ファミリーコンサート」とは別物。毎年夏に、さいたまスーパーアリーナ、大阪城ホールの2カ所で開かれ、特にさいたま公演では約3万人を収容する大規模なコンサートです。 そのスペシャルさは、観客数だけではありません! 出演者(敬称略)は、花田ゆういちろう、小野あつこ、小林よしひさ、上原りさ、ガラピコぷ~(チョロミー、ムームー、ガラピコ)、『おとうさんといっしょ』からシュッシュ、ポッポ、なお、せいや(映像出演)、そこにゲストの横山だいすけと超豪華。 だいすけお兄さんのみならず、ゆういちろうお兄さんも「かわいい」「爽やか」とママ達からは大人気。そんな2人のお兄さんを一緒に観られる機会、これは見逃せません!! もちろん、ゆういちろうお兄さんとあつこお姉さんの美しいハーモニー、よしお兄さんのダイナミックな体操、りさお姉さんのキレのあるダンスも、会場で観るとテレビ以上に迫力満点! ガラピコぷ~などのキャラクターをあしらった可愛らしい会場限定グッズにも大注目です。 ■今年のテーマは「真夏のパーティー」 公演日程とチケット代金は? 『おかあさんといっしょスペシャルステージ2017』のテーマは「真夏のパーティー」。ゆういちろうお兄さんとあつこお姉さんが開いたパーティーで、歌にダンス…みんな一緒に盛り上がろう!! ということで、まずはチケット情報を要確認。 さいたま公演が8月19日(土)、20日(日)、大阪城ホールが9月2日(土)、3日(日)、各日3公演、計12公演を予定。 チケット代金はS席3,090円、A席2,570円、イベント限定グッズ付きチケットS席4,090円、A席3,570円。全席指定、公演当日に1歳以上からチケットが必要です。 6月8日(木)から開始されるさいたま公演のチケット先行販売(抽選)は、NHKエデュケーショナルが運営するWEBサイト「すくコム」会員限定。無料で会員登録できるので、チケットを申し込む場合には事前登録をお忘れなく。 ■今年はライブ・ビューイングの開催ナシという残念な情報も… 実は近年、さいたま公演の模様を全国の映画館で上映するライブ・ビューイングが開催されていたんです。ライブ・ビューイング会場では一部イベントグッズも販売され、リアルタイムで一緒にコンサートを楽しむことができたのですが、なんと2017年は開催しないという残念すぎる発表が…。 そうは言っても、落ち込んでばかりはいられません。そう、『おかあさんといっしょスペシャルステージ』に参加すれば良いんです! スペシャルステージは収容人数が多いため、通常のファミリーコンサートよりは比較的チケットが取りやすいとも言われています。発売日を忘れずにチェックして、チケットを入手しちゃいましょう! それにしてもだいすけお兄さん、ミュージカル『魔女の宅急便』に主人公キキの父・オキノ役で出演、7月にはママ達待望の全国ツアー『だいすけお兄さんの世界名作劇場 2017』スタート、そして8月にはこの『おかあさんといっしょスペシャルステージ2017』、さらにさらに今秋公開予定のアニメ映画『トムとジェリー 夢のチョコレート工場』では声優に挑戦と、とにかく大忙し! 体調は大丈夫かしら?と親心を抱きつつ、全国のママたち、そしてウーマンエキサイトは、まだまだだいすけお兄さんの活動を追い続けます!! おかあさんといっしょスペシャルステージ2017 公式サイト
2017年06月07日6月10日公開の映画『昼顔』で、待望の女優復帰を果たす上戸彩さん。平日昼間に夫以外の男性との道ならぬ恋に落ちる主婦を描き、社会現象にもなったドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』から3年後を舞台に、禁断の再会を果たす2人を描いた本作。並々ならぬ覚悟で臨んだ映画、そして女優という仕事について、今の想いをたっぷりと語ってもらいました。 ■『昼顔』の映画化は最強の仲間とできるチャンス―「やらなきゃ」と思いました ――大ブームとなった『昼顔』がついに映画化されましたね。 何度か続編のお話をいただいていましたが、1年は育児に専念させてもらっていたので、その1年が過ぎたとき、映画のお話をいただきました。 『昼顔』という自分の好きな作品、しかも映画というのはすごく嬉しかったですね。 ――以前、「『昼顔』ならやりたいと思った」ともおっしゃっていましたよね。 井上由美子さんの脚本、西谷弘監督の演出、そして斎藤工くん、伊藤歩ちゃんという最強の仲間とできるチャンスですよね。このチャンスを活かしたい、やってみたいと思えるタイミングが来たので「やらなきゃ」と思いました。 不安もありましが、家族が『昼顔』の続編を観たいと背中を押してくれました。 ――映画が完成した心境はいかがですか? 見る角度によって、物語の捉え方が全然違う映画だと思います。きっと今回も、「汚い」とか「信じられない」とか言われちゃうだろうけど、2人(紗和と北野裕一郎)なりのドラマがあることは事実。そうは言っても、乃里子(裕一郎の妻)からすると「何言ってるの!?」という話でもあるし…。 イライラして途中で劇場を出てしまう人もいるかもしれないし、そういう人がいても当たり前の内容。けれど、作品を通して自分なりの愛を見つめ直してほしいなと思います。 特に主婦のみなさまには是非“一人映画デビュー”してほしいですね! 自分の恋愛や愛についてじっくり考えることができると思うし、ちょっと空いた時間があれば、“お一人様タイム”に使っていただきたいですね。 ■3年前のドラマ撮影を振り返って ――連ドラ撮影時の役作りについて、エピソードなどはありますか? 撮影前にお稽古みたいな日が1日あって、それは監督が思う役に近づけていく時間だったような気がします。 紗和は不倫反対派だったので、基本的に私は私のままでやらせてもらいました。ただ、初めは実年齢より3、4つ上の設定でしたが、私が世間的にそういうイメージがなかったので、監督と話して少し下げてもらいました。1、2歳の違いですが、観ている人が自然にストーリーに入れるように考えましたね。 ――北野先生はとにかく主婦のみなさんから大人気でしたが、魅力はどこにあるのでしょう? 本当にすごい人気でしたよね! 北野先生の魅力は…不器用なところじゃないですかね。紗和からすると、どこが好きとかではなくて、北野先生が好きと言うか、存在が好きと言うか、すべてが好きと言うか…。 一緒に居ると、お互い自分の中でも知らない自分と向き合える。自分にない世界を持ってる人なんでしょうね。 ――紗和は離婚、北野先生は妻の元に戻るという結末についてどう思いましたか? 個人的には何も思わなかったかも…ただ、結構不評だったんですよ。「なんで紗和だけ一人なの?」って。だけど私はそうは思わなくて、むしろ紗和の方が自分の好きなように生きてスッキリしていたかもしれない。 北野先生にとって、心の無い奥さんと一緒に過ごさなきゃいけないのは大きな罰だし、それを罰と思ってしまうのも悲しいこと。けれど、それが夫婦のあり方なのかもしれないと思いましたね。 人間の心理を深いところを突かれている感じですよね。「こうなるよなぁ」とか「そうするよなぁ」とか、私も思いながら撮影していました。 もちろん紗和もこの3年、ちゃんと責任を感じて乃里子のことを想ってまっすぐ生きてきたと思います。でも、その責任は最後まで貫かないといけないので、またやってしまった紗和ちゃんも紗和ちゃんなんですけどね…。 ■映画での再会シーンは「北野先生しか見えなくて、涙をこらえることしかできなかった」 ――今回、紗和と北野先生が禁断の再会を果たすわけですが、キャスト同士の再会という意味で『昼顔』ならではの秘話はありますか? クランクインは再会のシーンでした。2年というブランクの不安もあったけど、扉を開けて北野先生の声を聞いた瞬間、連ドラで北野先生の放送の声を聞いてさよならを決めた紗和の気持ちに一瞬でフラッシュバックして、涙が止まらなくなっちゃって…。 50cmぐらい離れたところに監督の顔があったんですけれど、それすら気にならないくらい北野先生しか見えなくて、涙をこらえることしかできなかった。そのぐらい胸が苦しかったですね。 そのシーンは映画の中で“パッ”と音がなくなるのですが、自分の心の中でも“パッ”と音が消える…そんな気持ちになりました。 ――北野先生に会いに行ってしまった紗和の気持ちは理解できますか? これは経験者にしかわからないので。「ダメだよ」って首根っこ掴んで止めたいと思いますけど、こればっかりは。もし自分が紗和ちゃんだったら…バッチリ化粧で行っちゃうかもしれないけど(笑)。 ――(笑)。紗和が北野先生に会いに行く前に、洋服の蝶々結びをするシーンがすごく印象的でした。3年間、蝶々結びをするたびに北野先生のことを思い出していたのかなって。 そうですね。紗和にとって、久々に楽しい蝶々結びの時間だったんじゃないかな。もしかしたら、3年間はいつもみたいな縦結びにして、「北野先生結び直しに来てくれないかなぁ」なんて思いながら、わざと間違えていたかもしれないですよね。 ――なるほど、たしかにそうかもしれないですね。連ドラに引き続き出演する乃里子についてはどう思いますか? 連ドラの時は、まだ題材について他人事でしたが、不倫というものが世間に取り沙汰され続け、今回の映画の本を読む時は乃里子の気持ちも理解できる、乃里子目線でも本が読めるようになっている自分がいた。 そこに恐ろしさも感じたし、3年の歴史というものも紗和にプラスできたかなとも思います。 乃里子の気持ちは、誰よりも理解しているつもりだし、乃里子が一番可哀想だと思うんですけどね。乃里子は乃里子で頑張っているんですよね。 ――映画版には、紗和が働く飲食店のオーナー・杉崎尚人(平山浩行)が登場します。 紗和は、ずっと自分の過去を隠して生きてきて、誰とも口を聞けない精神状態だったと思うんです。そんな中、オーナーとだけはどこか通じるものがあったのか、急に隣に座られても避けなかった。そこもまた、人間にある“素直な心“だと思います。 今回は悪人が出て来ないというか、みんながみんな心苦しいところがあって、それぞれの考え方がある。ボタンの掛け違いでもつれてしまっているので、本当はみんなを救ってあげたいですよね。 ――みんな素直で誰も悪くない。だからこそ、胸に迫るものがあるのかもしれませんね。では、映画の見どころを教えてください。 “愛のかたち”ですかね。内容については否定も肯定もできないのですが、違う角度で恋愛を見てもらうことができたらいいなと思います。 やっぱり恋愛とか人間関係になると、誰でも頑固さって絶対に出てくるし、それがまた恋愛のこじれにもなると思うんですけど…なにかの免疫になるかもしれないですしね、予防接種代わりに(笑) ――でも、予防接種も100%予防できるわけじゃないですからね(笑) そうですよ~、怖い怖い!(笑) ■自分がボロボロになるくらいの役と向き合いたい ――『昼顔』のテーマについて意識は変わりましたか? きっと変わっていたら、この作品は受けていないと思います。 やっぱり、こういう役と向き合えた時こそ女優という仕事にやりがいを感じるし、そんな背中を子どもに見てもらうためにも、立ち向かって行かなきゃいけないのかなと。 もし悪い方向に進んだとしたら、自分一人が批判されるわけではないし、自分だけの人生じゃない。それを考えた上でも、胸を張れる作品だと思ったのでやらせていただきました。 ――それって、すごい覚悟ですよね。 そうですね。いい人の役ばかりやっていれば、いいことしか言われないけど、それだと仕事への野心がなくなると思って 。 ――「やるからには仕事にも誇りを持ちたい」というのは、働くママはみんな思っていることかもしれませんね。 本当にそう。やっぱり自分がボロボロになるくらいの役と向き合っていきたい。子どもが大きくなってその作品を見たときに「すげーな、母ちゃん」と思われたいなって思っています。 ――仕事とプライベートとの両立、とてもお忙しいと思うのですが…? もう日々、働く先輩ママ達に頭が上がらないという感じです。まだ私も新米で毎日が初体験だし。想定通りにいかないこともしばしば…。 ただ、現場でも家でも100%の自分でいるっていうのは、自分が後悔しないためにも昔から決めているんです。私の場合、ありがたいことに仕事はリフレッシュにもなっています。 ――それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。 きっと皆さん、疲れない人はいないと思うので、息抜きのタイミングを自分なりに見つけてもらいたいですね。あとは一人で抱え込まないで、たくさん周りの方に甘えて…頑張りましょうっ!! とびきりの笑顔でインタビューを締めくくってくれた上戸さん。トップ女優に上り詰めた今なお力強く歩み続ける彼女が、映画『昼顔』で魅せる儚くも美しい紗和の姿…“お一人様タイム”に是非、劇場でご覧ください。 映画「昼顔」公式HP
2017年06月07日弁護士・大渕愛子さんが、生後5ヶ月のご子息(次男)に頭の形をキレイに整える「頭蓋形状誘導ヘルメット」の装着を開始したとブログで報告したところ、応援する声やヘルメットを装着する目標時間が1日23時間であることへの驚きの声など、さまざまな意見が集まっています。 何を隠そう7歳になる筆者の息子も、「頭蓋形状誘導ヘルメット」経験者。絶壁すぎる頭を矯正した過去があるんです。大渕弁護士のニュースを見て、気になっているママも多いのではないかと思い、参考までに経験談を記したいと思います。 ご存じの方も多い通り、このヘルメットは頭の形が気になる赤ちゃんの頭蓋骨を矯正するというもの。ただし、頭の形をキレイにするといっても、 美容的な観点だけから治療を受けることはできません 。つまり、「ちょっと気になる」程度で連れて行っても、ヘルメットを作ってもらえないこともあるのです。 ■生まれつき頭の形が悪い息子について悩み続けた日々と、治療の決意 息子の頭の形がおかしいと言うのは、生まれた直後から気付いていました。明らかな絶壁、しかも傾いているので、必ず同じ方向を向いてしまう。 それによって、より一層頭の形にゆがみが出てしまう…そんなサイクルの繰り返しでした。なにせ息子、向かせたい方向(左)に頭を傾けて寝せてみても、左側の面積が狭すぎて、“ゴロン”ではなく“パタン”と倒れてしまうほどだったんです。 授乳などで寝不足の中、夜な夜な調べてたどり着いたのが「頭蓋形状誘導ヘルメット」。当時は、まだ日本での治療がスタートしたばかりで、体験談も少なくすごく悩みました。しかも調べによると、お値段なんと約40万円!(当時の価格です) 歯列矯正と同様、保険適用外なのですべて実費。出産などで何かと出費がかさむ時期でしたし、ものすごく悩みました。けれど、「頭蓋形状誘導ヘルメット」の治療を開始できるのは生後3ヶ月~7ヶ月程度と決まっていたし、早めに対処するほうが効果も出やすいという情報から、生後4ヶ月の時に決意して病院の予約をとりました。 治療の前には、もちろん夫とも話し合いをしました。けれど夫は、自分自身が絶壁であることを未だに気にしているらしく、「今なら治るのだから」と快く受け入れてくれました。正直、私は頭の形を気にしたことはなかったので、そんな夫の意見は最後の一押しになりました。 ■想像以上の重度変形! 治療開始時の実際の画像は… そして迎えた来院初日、まずはなぜ頭の形を矯正したいのかをしっかりと確認されました。このとき、「頭蓋形状誘導ヘルメット」は美容的なものではないと、念押しされたことを覚えています。そして、息子の「頭のゆがみ度」を測定しました。 病院に行く前は「この程度なら治療の必要はありません」なんて言われたりするのかな、と心配していましたが、診断結果はかなりの重度変形。良くも悪くも、すんなりと治療に進みました。 このとき、実際にスキャンした息子の頭の画像がこちら。 写真の上部が顔側、下部が背中側 頭に奥行きがない、いわゆる絶壁と言われる「短頭症」と、頭が傾いている「斜頭症」の合併タイプである「短頭斜頭症」という診断結果でした。この傾きっぷり、今見返してもビックリしちゃいます…。 当時、診断してくださった先生によると、頭の変形は見た目だけでなく、耳の位置がずれる、かみ合わせが悪くなるなどのデメリットもあるのだそう。 わが家はメガネ一家なので、息子も将来的にメガネをかける可能性が高く、耳の位置が左右違うとメガネがかけにくいということも気になっていました。 さらに、先生のお話では、頭の形は顔の凹凸にも繋がるといい、絶壁(正しくは「短頭症」)の場合は顔が平坦になりがちなのだとか。たしかに、当時の息子はおでこも出ていないし頬も平らで、顔に凹凸が少なかったんです。先生からは、頭が丸くなると、それと同時に顔にも丸み(凹凸)が出るという説明も受けました。 頭の変形は水頭症などの病気が原因であるケースもあるため、ヘルメットが使用できるかの適応診断も受けました。そして、息子の頭のサイズの模型を作り、オーダーメイドでヘルメットを作成。いよいよ治療がスタートしました。 ■頭蓋骨を矯正するのではなく、骨の成長を誘導するヘルメット 頭蓋矯正と言うと、出来ている頭蓋骨に力を加えて形を整えると思うかも知れませんが、無理矢理頭を押さえつけて矯正するわけではありませんでした。正しくは、「この部分を中心に成長して欲しい」という部分に空間を作り、赤ちゃんの頭蓋骨がそこに合せて大きくなっていくよう促していくのです。 だからこそ、ヘルメットはすべて本人専用のオーダーメイド。それゆえ価格も高くなってしまうのですよね…。 ■ヘルメットが完成!強い意志を持って臨んだ5ヶ月間 さて、実際にヘルメット治療を始めると、まずは慣らし期間として数時間の装着から始まります。そして、徐々に装着時間を長くしていき、大渕弁護士がいうように23時間、お風呂以外は基本的に着けておくという生活になるわけです。 当然、赤ちゃんは少なからず嫌がります。そりゃそうですよね、私だってもしヘルメットを着けて生活することになったら苦痛ですから。どうにか他のことに意識がいくようあやしてみたり、とにかく必至で続けました。 息子は夏に治療をスタートしたので、汗疹なども悩みのタネでした。外来の際には汗疹のクリームも処方され、ヘルメットを外しては薬を塗り、ヘルメットの臭い対策のためにアルコールシートで拭き拭き…。 もちろん、授乳や離乳食、おむつ替えなどの通常育児もあるので、毎日バッタバタ。とにかく「息子のために、頭の形をキレイにしてあげたい」という強い意志だけで乗り切っていました。 ヘルメットは、外出時も装着しておくのが基本。ヘルメットをした息子をベビーカーに乗せて散歩をするとジロジロ見られるし、「頭の病気」だと勘違いされることもしばしば。 ただし、真夏はとにかく暑い! 外でヘルメットなんてしていたら、汗びっしょりどころの騒ぎではありません。熱中症などになってしまったら元も子もないので、本来は持続装着しなくてはいけませんが、筆者は必要に応じて取ったり付けたりして過ごしました。 通院は、3週間に1回程度あり、頭の状態や頭皮のチェック、ヘルメットの調整(キツくなりすぎている部分を削るなど)をしてもらいました。 赤ちゃんを連れて通院するだけでも一苦労。しかし毎回、息子の頭が整っていく画像を励みに続けました。 ■ついにヘルメット治療を卒業!治療終了時の実際の画像は… 一般的に「頭蓋形状誘導ヘルメット」の治療は3ヶ月~6ヶ月で終わり、息子が卒業したのは開始から5ヶ月後。 その時のスキャン画像がこちら。↓ 最初の画像と比較するとこんな感じ。↓ こちらは横から見た形の比較。↓ 親としては、大満足の成果となりました。 ■頭蓋骨変形の原因は私の出産が切迫早産だったから? 本当に悩んでるママたちを思って ちなみに息子本人はというと、ヘルメットを被っていた実体験をまったく覚えていません。もちろん、当時の写真はヘルメットを被っているものばかりなので、ヘルメットをしていたという事実は理解していますが、苦痛として残っているということはないようです。 そんな息子の頭蓋変形の原因は、私の切迫早産と診断されました。重度の切迫早産で、出産まで4ヶ月間入院し、26週以降は子宮頸管長ゼロ。卵膜で持ちこたえている状態だったんです(これは未だに奇跡と病院でも語り継がれているそうです)。かなり早い段階から胎児が下がってきていたため、息子の頭が私の子宮内で変形してしまったのです。 「頭蓋形状誘導ヘルメット」について、賛否両論あるのはわかっています。ヘルメット治療をしなくても、それなりに形は整っていたかもしれません。治療をする、しないは、医師の診断結果と親の判断だと思います。それでも、個人的には「やってよかった」と思っています。 もちろん、子ども一人ひとりの状況によって、医師の診断結果も違うため、筆者の息子の症状がみなさんのお子さんと同じわけではありません。 治療について「親の自己満足」と言われればそれまでかもしれませんが、あのころの私のように、赤ちゃんの頭の形で本当に悩んでいるママ達のためになれば、という思いで記事を書きました。何かの参考になれば幸いです。 本記事に書かれた「頭蓋形状誘導ヘルメット」の体験記事は、筆者の子どもが2010年7月から12月までの治療を受けていた当時の診断結果を元に執筆しています。あくまでも筆者の体験談であり、診断結果は個人によって異なるため、直接医師の診断結果を参考にしてください。
2017年06月02日ミュージカル『魔女の宅急便』で主人公・キキの父親オキノ役を演じる横山だいすけさんにインタビュー! 後編では“歌”のお話を中心に、ゆういちろうお兄さん・あつこお姉さんへの想い、そして気になる今後の活動について聞きました。 写真撮影の際、「変顔もお願いできますか?」というリクエストに「わかりました!」と躊躇なく披露してくれた全力すぎる変顔に、スタッフたちは大爆笑。空気を和ませるのがとっても上手な横山さん、その人柄が伝わるインタビューをじっくりとお楽しみください! ※撮影した変顔は本編後半でご紹介しています! ■「その時代にうたのお兄さんは1人しかいない」…悩みを振り切った決意と覚悟 ――今回ミュージカルということで、歌もガラッと変わりますよね。 そうなんですよ…“歌の色”が変わるので勉強にもなりますし、すごく素敵なメロディ、しかもオケ(オーケストラ)なので、歌っていると『(胸に手を当てて)あぁ、あったかいなぁ~』って自分の中にも温かさが入ってくる感じがします。 ――小学3年生から合唱団に入られていたということで、とにかく歌い続けている人生ですね。 本当に。小さな頃は地域の合唱団で、ただ“大きな声で歌いましょう!”みたいな感じでしたが、歌が好きという感情は3歳ぐらいから自分の中にありました。 ――今まで歌について悩んだことはありますか? うたのお兄さんになりたいと思うようになったのは高校生の頃でしたが、大学に入って歌を専門的にやっていくと決めてからは、色々と考えることもありましたね。 うたのお兄さんになってからは責任もあるし、好きという気持ちだけではいけなくて…NHKに入って音楽の先生に「あなたの歌はつまらない」と言われたこともあるし、長年童謡や『おかあさんといっしょ』の歌に関わってきた方々には、本当にいろんなアドバイスやご指導をいただきました。 僕はそれまで合唱がメインだったので、みんなと一緒に音色を合わせていくことが良しとされていたんですよね。けれども、うたのお兄さんというのは“横山だいすけが持つ音楽性”と“うたのお姉さんが持つ音楽性”を合わせてひとつの曲にしていくっていうところで、アーティストとして自主的に音楽を表現しなきゃいけない。 最初の2年間は、悩みの方が多かったです。子どもの歌って、歌詞がわかりやすくてメロディもそんなに難しくないからこそ、ちゃんと届けるのが難しいなって思うんです。 ――悩みから抜け出したきっかけは何だったのでしょう? 東日本大震災の時に、うたのお兄さんとしてのあり方、横山だいすけとしてのあり方っていうのがガラッと変わりました。番組を見てくれている子どもや親御さん達に、うたのお兄さんとして何ができるだろうと悩む中で、今の自分にできるのは、自分自身が楽しんで、歌に勇気や希望を乗せて届けることなのかなと思うようになって。 「その時代にうたのお兄さんは1人しかいないんだ」と決意して歌うようになってから、それを受けてくれるお客さんとの一体感っていうのはすごく大きなものでした。その経験が軸になって、視野がグッと広がった気がします。 ■あつこお姉さんの成長を見てきた1年間…ゆういちろうお兄さんと2人で新しい『おかあさんといっしょ』を作ってほしい ――『おかあさんといっしょ』を卒業された今、歌に対する考え方は変わりましたか? 自分の核にあるものは変わらないです。横山だいすけの生き方として、子どもを中心に、勇気や希望の歌を届けたいっていうところがありますね。その場が舞台になるのか、テレビになるのかわかりませんが、歌を届けるというのは自分の中ですごく大きなこと。そこにプラスして、横山だいすけとしてできることを色々やってみたいなと思っています。 ――これからもだいすけお兄さんの歌声が聴けるとわかり、安心しました! いやいや~、ありがとうございます(笑)。『おかあさんといっしょ』を卒業する時も、うたのお兄さんが嫌になって辞めるわけではなくて、本当に新しい世代にバトンタッチするという気持ちだったので。 ――ゆういちろうお兄さんは、プレッシャーがすごいのでは? 僕もそう思います(笑)。それは僕がどうこうというより、9年という長い期間務めた後を引き継いでいくっていうのはやっぱりプレッシャーですよね。 去年あつこお姉さんに変わった時、彼女が悩みながらも殻を破って、素敵なお姉さんになっていく姿を一番近くで見せてもらった。あつこちゃんもそれを経験したからこそ、花田(ゆういちろう)くんに教えてあげられることもあると思うし、僕も9年続けてきた中での経験や、歴代のスタッフ達から受け継いできたものを先輩としてできるだけたくさん話してあげたいと思います。 これから彼の良さがどんどん引き出されていって、ゆういちろうお兄さんとあつこお姉さんが、次の『おかあさんといっしょ』を作っていってくれるのかなと思っています。 ■ブログ読者数10万人突破にビックリ!機械に弱く、更新は毎回冷や冷やもの!? ――卒業後も横山さんはものすごい人気ですが、それをプレッシャーに感じることはないですか? プレッシャーっていうのはないですね。いただいたのは、「初めて子どもを持って、支えてもらいました」とか「違う世界に行っても頑張ってください」とか、本当に胸が熱くなるメッセージばかり。自分が核に置いてきたものをこれだけ多くの人に共有してもらって、“一緒に子育てをさせてもらえた、育児の一部分にしていただけたんだ”という喜びのほうが大きいので、僕にとってはエネルギーです! ――ブログも読者が10万人を突破したみたいで…。 ねっ!僕もビックリしました!「な、な、なんだこれは!じゅ、じゅ、10万人だってぇ!?」って。10万人も見てるんだと思いながら一生懸命作ったブログに誤字脱字があったり、写真が載ってなかったり(笑)。 今日も『おかあさんといっしょ』と打ったつもりが『おかあといっしょ』になっていたらしく、「番組関係者のみなさんは、ふだんから“おかあといっしょ”って言ってるのかな?」とか言われたんですけど、全然そんなことはなくて、単純に打ち間違い(笑)。 すごく恥ずかしいですよね。写真もちゃんと載せたしバッチリだと思ったのに…。機械に弱いから冷や冷やものですよ、ほんとに。 ――でもママたちからは、それもまた「かわいい」って思われているはずですよ(笑)。ちなみに番組を卒業された今、“新しい横山だいすけ”を一言で表現すると? 自分の中では“『おかあさんといっしょ』のうたのお兄さん”っていう肩書きは外れたけれど、“うたのお兄さん”の肩書きが外れたという感覚はないんです。子ども達を中心に歌を届けていく存在がうたのお兄さんだと思っていて、それは自分の真ん中に置いておきたいことなので。歌手でもないし俳優でもないし、うたのお兄さんっていうのが一番しっくりくるんですよね。 新しい横山だいすけは…一言で言うとワクワクですかね、“ワクワクうたのお兄さん”! なんかの番組名みたけですけど(笑)。 ――“ワクワクうたのお兄さん”、こちらも楽しみにしています! それでは最後に、読者のパパ・ママへメッセージをお願いします。 まずは、今まで応援していただきありがとうございました。これからも子ども達に歌を届けるという活動を大切にしていきたいですし、他にも楽しさやワクワク、元気をみなさんに届けられるように頑張っていきたいと思っているので、ぜひ楽しみにしていてください! 番外編として、筆者が息子から頼まれた「趣味はなんですか?」という質問について尋ねると、「それはちゃんと答えなくてはいけませんね!」と姿勢を正し、「洋服が好きです。着るだけでなく、見ることも好きですよ。あとはお散歩ですね、おじいちゃんみたいなんですけど(笑)。ただボーっとしてるのが好きなんですよ。現役の時は、よく NHK の横にある公園にお散歩に行ったりしてました」と、驚きの秘話をさらりと話してくれました。 子ども達への愛で満ち溢れた横山さんの活動、今後もワクワクしながら応援し続けたいと思います! ■編集部おまけカット 取材中、終始笑顔で対応してくれただいすけお兄さん。今回お見せしきれない撮影カットもたくさんありました。そのカットの中でも、やっぱり外せないのがだいすけお兄さんの変顔。編集部のリクエストにも快く応えてくれました。爽やかな笑顔からのユーモアたっぷりの変顔カットをその変身ぶりと共にお届けします! (1) (編集部)「撮影開始しまーす! キャー!すてきー!」 (だいすけお兄さん) キラキラな笑顔 (2) (編集部)「変顔もお願いできますかー!!!(すでに大興奮)」 (だいすけお兄さん)「え、変顔も!(もうですか)」 (3) (だいすけお兄さん)「じゃあ、こんな感じでどうでしょう!」 (編集部)「きゃーーー! ありがとうございますーー!」 (4) (だいすけお兄さん)「こんな感じも!」 (編集部)「ありがとうございますーーー涙(感動)」 ミュージカル 魔女の宅急便 原作「魔女の宅急便」は、児童文学作家・角野栄子氏が1982年から2009年までの27年間に渡り執筆した全6巻の児童書。1989年にスタジオジブリが宮崎駿監督でアニメーション映画化し大ヒットし、日本のみならず世界的に有名な作品となる。今なお色あせない「魔女の宅急便」が、若手新進気鋭の制作チームにより、新脚本・新演出のミュージカルとして上演決定。 東京公演 2017年6月1日(木)~4日(日) 大阪公演 2017年8月31日(木)~9月3日(日) ミュージカル 魔女の宅急便 公式ホームページ
2017年05月31日NHK Eテレ『おかあさんといっしょ』を卒業し、新たな第一歩としてミュージカル『魔女の宅急便』に挑む“だいすけお兄さん”こと横山だいすけさん。扉が開き「よろしくおねがいしまーす!」という聞き慣れた声が耳に届いた瞬間、「うわぁ~、だいすけおにいさんだぁ」と、感謝の気持ちが一気に込み上げてきたところから取材はスタート。 「なんとお呼びすればいいですか!?」という質問に「なんでもいいですよ!だいすけお兄さんでも、横山でも、だいすけでも」と、いつもの笑顔で応えてくれた横山さんの“心温まる”インタビューを前後編でお届けします! 前編では『魔女の宅急便』への想いや共演者とのエピソード、そしてご両親との思い出などを語っていただきました。 ■“お友達”から“共演者”へ――「子役さんの演技を見ると、胸が熱くなっちゃいます」 ――『魔女の宅急便』で横山さんが演じるのは主人公・キキの父親であるオキノ役。出演が決定したときの心境はいかがでしたか? お兄さんからお父さんになるって言うのは、僕自身ビックリしました(笑)。うたのお兄さんを卒業して、どういう方向性で進んでいこうかと色々考えていた時にお話をいただいて。僕は結婚してないし子どももいませんが、9年間子ども達とたくさん触れ合う機会があったので、父親役っていうのはすごく嬉しかったですね。自分の中で新しい何かが生まれるんじゃないかなと思って、稽古が楽しみでした。 ――お兄さんからお父さんっていうのは、かなり大きな変化ですよね(笑)。 本当に。今までやって来たうたのお兄さんとは違う“子どもを持つ親の気持ち”を経験することで、これからの活動につながる良いエネルギーになる気がしています。 ――改めてスタートの第一歩がミュージカルという点については、いかがですか? うたのお兄さんは“演じる”というより、どちらかと言うと“ありのまま”の感覚でした。ミュージカルでは父親役を“演じる”ので、今までとはちょっと違って…。子どもが独り立ちすると決めた時、親はどんな気持ちなんだろう、どんな風に演じていけばいいのかなっていう難しさはありますね。 ――やっぱり、周りに子ども達がいないのは不思議ですか? (大きく頷いて)すごく不思議な感覚です! 今回のミュージカルには子役さんもいらっしゃるのですが、僕は今お父さんという立場で稽古場にいるので、その子達が演じている姿とか稽古している様子を見ると、なんだか胸が熱くなっちゃいます。 ――たしかに今までの子ども達は、一般のお子さんですもんね。 そうなんですよ。『おかあさんといっしょ』の子ども達とは、「今日〇〇食べてきたんだよ~!」「へぇ~、そうなんだぁ!」みたいなやりとりをして、“お友達”という感覚で関わってきました。だから共演者として子役さんと一緒に稽古するっていうのは、まったく意識が違いますね。 ――なるほど、それはうたのお兄さんを経験された横山さんならではの感覚ですね。今回のミュージカルは観劇者が大人ということで、意識されている点はありますか? 僕が今までコンサート会場などで見てきた、親子の関わりの中にある“温かさ”は、観る人が誰であっても伝わるものだと思うし、それが届けられたら幸せだなと思っています。 実は今回、娘(キキ)の出発を温かく見守るオキノの役作りには、自分の父親を参考にさせてもらおうと思っていて。父にしてもらったことを思い出しつつ、僕が抱いた感情をどうすればキキちゃんにも抱いてもらえるかなっていうのを考えながら稽古しています。 ■優しい父と元気な母、自分が感じた“両親の懐の深さ”をミュージカルで伝えたい ――オキノと横山さんのお父さんは、似ているところがあるのでしょうか? コキリとオキノの夫婦っていうのが、自分の親にそっくりなんですよ。うちも母が元気いっぱいで、父がその後ろをテクテクついていく感じで。父の方が10歳年上なんですけど、黙って何でもやってくれるような…僕が言うのもおかしいですが、すごく優しい人ですね。 大学時代に母が入院して、父が慣れない手つきで料理を作っている背中を見た時には、僕のほうが泣きそうになっちゃいました(笑)。言葉というより、態度で“温かさ”をくれる父親です。 母は僕に似ていますが、僕の100倍ぐらい元気。あまりに声が大きいから「うるさいよ」って言ったら「母さんが黙るのは、死んだ時なんですっ!」とか言われたりして(笑)。 ――(笑)、とても素敵なご両親ですね。歌の道に進みたいというお話をされた時は、いかがでしたか? 父も母も応援してくれました。とくに父は、早くに自分の父を亡くしているので、自分が苦労した分、子どもには好きなことをやらせてあげたいっていうのがあって。 自分が決めた道なら、どんなことでも応援してあげたいっていう両親の懐の深さみたいなものは、ミュージカルでも伝えられたらと思っています。セリフは決まっているので、言葉じゃないところでうまく表現できたら嬉しいですね。 ■ 初めて会った気がしない!? 子どもがいるキャスト陣と稽古初日から大盛り上がり! ――『魔女の宅急便』の中で、好きなキャラクターを教えてください。 やっぱりキキちゃん好きです。僕も小さなころ旅に出るのが好きで、自転車に乗ってどこでも行っちゃう子だったんですよ。だから、魔女になるために旅立ったキキちゃんが葛藤する姿にすごく魅力を感じます。 作品の中では、人との繋がりの中でキキちゃんが成長していく姿が描かれているけれど、僕も人との縁があってうたのお兄さんになれた。そんなところも通ずるものがあるし、キキちゃんが葛藤しながら困難にぶつかっていく様っていうのは大好きですね。 ――久しぶりのミュージカルということですが、『おかあさんといっしょ』時代と変わったことはありますか? 今回のミュージカル関係者には、自分でもビックリするくらい友人が多いんですよ。劇団四季時代の先輩・後輩もいますし、NHKの時に関わった人もいて、あまり外の現場っていう雰囲気ではないんです。 初めて会うキャストさんも、お子さんがいる方達からは「いつも観ていたから初めてっていう感じがしない!」とか「ブンバ・ボーン!が始まったら、家を出る時間なんですよ」とか話してもらったりして。初日からすごく盛り上がったし、みんな仲良くワチャワチャしてますね(笑)。だから何かが変わったという印象はなくて、居心地よく毎日過ごさせてもらっています。 ――横山さんに「初めて会った気がしない」というのは、全国のパパママみんなが抱く感情だと思います(笑)。では、『魔女の宅急便』の魅力と意気込みを教えてください。 作品自体が初演なのでゼロから作っていますが、稽古を重ねるごとにみんなのエネルギーがミルフィーユのように積み重なって“良い色”になってきています。すごく幸せを感じる現場なので、みなさんのもとに届く時には、温かさがあり、楽しさがあり、ドキドキがあり…素敵なミュージカルになっていると思います。ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです! 終始笑顔で、そして丁寧にインタビューに応えてくれた横山さん。取材後、『おかあさんといっしょ』を毎日観てきた母として「本当にお世話になりました」とお辞儀をすると「いやいや、こちらこそありがとうございました」と、それ以上に深々とお辞儀を返してくれた姿がとっても印象的でした! 後編では、横山さんの歌に対する想いや、『おかあさんといっしょ』時代のエピソードなどをお届けします。 ミュージカル 魔女の宅急便 原作「魔女の宅急便」は、児童文学作家・角野栄子氏が1982年から2009年までの27年間に渡り執筆した全6巻の児童書。1989年にスタジオジブリが宮崎駿監督でアニメーション映画化し大ヒットし、日本のみならず世界的に有名な作品となる。今なお色あせない「魔女の宅急便」が、若手新進気鋭の制作チームにより、新脚本・新演出のミュージカルとして上演決定。 東京公演 2017年6月1日(木)~4日(日) 大阪公演 2017年8月31日(木)~9月3日(日) ミュージカル 魔女の宅急便 公式ホームページ
2017年05月31日亀梨和也 と 山下智久 …このふたりのタッグと聞いて、“あの頃”を思い出して胸がキュンとするママ世代は多いはず。 “あの頃”とは、もちろん “修二と彰” が結成された2005年のこと。 ふたりが歌ったドラマ『野ブタ。をプロデュース』の主題歌 『青春アミーゴ』 は、160万枚以上を売り上げる大ヒット。今回、亀梨×山下コンビでの新曲リリース情報が解禁になったとき、「えっ!?あれから、もう12年もたったの…!?」と別の衝撃もありましたよね(笑)。 ■「ボク運」に感じる懐かしさ…その理由とは? ふたりが再びタッグを組んだのは、現在放送中のドラマ 『ボク、運命の人です。』 (日本テレビ系)での共演によるもの。 このドラマは、ある日突然、自分を「神」と名乗る謎の男(山下智久)に、いままで恋がうまくいかなかったのは、本当の運命の人・湖月晴子(木村文乃)がいるからだと告げられた正木誠(亀梨和也)が、運命の恋を実らせようと奮闘していくラブコメディ。 初めは運命なんて「気味が悪い」と突き放していた晴子も、まっすぐに気持ちを伝えてくる誠に対して徐々に心を開きつつあり、第5話(5月13日放送)ではついに初デート。さらに、車にひかれそうになる晴子を引き寄せるという流れでまさかの初キスまで…。 大人のドロドロとした恋愛ブームが続く中、 純粋で不器用な誠 の姿は愛おしく、ますます盛りあがる恋の行方からも目が離せません! そんな『ボク運』で「神」を演じる山下のどこかつかめないキャラクターは『野ブタ。』での演技を彷彿(ほうふつ)とさせ、脚本が山下主演ドラマ 『プロポーズ大作戦』 と同じく金子茂樹氏ということで、そのドラマのキャラクター“妖精”(三上博史)と “神”が似ているといった声もあり…。 亀梨が主演を務めたこともあるドラマ 『金田一少年の事件簿』 のパロディが登場したりと、初めて観るドラマなのに、どこか懐かしくも思える不思議な感覚に陥っている視聴者も多いようです。 ■話題沸騰の「ボク運ダンス」。亀と山Pに悶絶必至! 亀と山Pが歌う『ボク運』の主題歌 『背中越しのチャンス』 は5月17日、ついにリリース。ドラマのエンディングで木村文乃と3人で踊る 「ボク運ダンス」 は放送当初から話題に。さらには、一部解禁になったMUSIC VIDEOを観るなり 「亀と山P、かわいすぎる」 と悶絶するファンが続出中! 今回のMVには、腕相撲や手押し相撲、玉ねぎのみじん切り対決など、亀と山Pの 真剣勝負 を多数収録。楽しそうにバトルする無邪気なふたりにトキメキが止まりません…。 さらに、“修二と彰”の映像をバックに、当時の制服姿で踊る“亀と山P”の様子も収められるなど、ファンにはたまらない粋な計らいに感謝するばかり。MVにはスーツ姿の亀と山Pも登場し、高校生から大人へと成長したふたりが感じられるのもうれしいところです。 ちなみに『背中越しのチャンス』のカップリング曲 『逆転レボルシオン』 は、「『青春アミーゴ』の アンサーソング 」と言われており、歌詞の随所に「鳴り響いた携帯」「SI」「青春」などおなじみのフレーズが。大人になった今でも2人で1つといったファンの心にガツンと響く内容で、発売前から注目を集めています。 ■大人の魅力もたっぷり亀梨×山下の発言にドッキドキ! 亀梨は『Going!Sports&News』での野球プロジェクトなどを経て、一方山下はジム通いに加えて岡田准一に影響を受けて始めたという武術にも励むなど、ふたりそろって『野ブタ。』時代より体付きが男らしくなった印象。そこに 大人の余裕&色気 という魅力もプラスされ、もはや“最強コンビ”とも呼べる領域に…。 そして先日、『おしゃれイズム』に山下が出演した際、亀梨に「タイプだなぁ」と言われると発言するなど、プライベートでの親密ぶりも明らかに。 いままでもふたりの仲の良さはファンの間で話題になっていましたが、この発言を機にそれは確実のものとなり、「プライベートをのぞいてみたーい!」と、あれこれ想像(妄想!?)している女子も多いはず。番宣やMVで見せる屈託ない笑顔のやりとりに、観ているこちらが思わずニヤついてしまいます。 12年の時を経て、魅力的な大人の男性に進化した亀梨×山下コンビ。今回のユニット名が“誠と神(謎の男)”ではなく “亀と山P” であることから、もしや2ndシングルのリリースもあり得る…かも!? 2回と言わず、彼らに何回でも恋をしたいっ! ということで、期待して続報を待ちましょう!!
2017年05月17日NHK Eテレの大人気番組「みいつけた!」から、初の付録つきムック『NHKみいつけた!SPECIAL BOOK』が5月15日に宝島社より発売されます。気になる付録は「B:MING by BEAMS(ビーミング by ビームス)」デザインのプールバッグ。こ、これは気になります…!! 「みいつけた!」は、月~金曜日に放送中の4~6歳児向け教育的エンターテインメント番組。メインキャラクターは、元気で明るい女の子「スイちゃん」、しゃべるし動けるイスの男の子「コッシー」、優しいけれどどこかテキトーな大人のサボテン「サボさん」。イスとサボテンという不思議な設定が作り出す、独特の空気感が魅力ですよね! 3人の絶妙な掛け合いをはじめ、心に残るキャッチーな歌、オフロスキーやコマ撮りアニメなど、「みいつけた!」には大人も惹かれるコーナーが盛りだくさん。DAIGO演じる「サボダイゴ」や、市村正親演じる「市村トゲちか」など、突如現れる個性的なゲストキャラクター達も話題になっています。 そんな「みいつけた!」で注目すべきは、番組に登場する楽曲を制作しているアーティストの豪華さ。番組開始当初から、エンディング曲「みいつけた!」「あっというまっ!」「わーっ!」の3曲を提供したのはトータス松本。 コッシーが歌う「あしたわらおう」はサバンナ・高橋茂雄(作詞)、スキマスイッチ(作曲)。サボさんが歌う「レッツゴー!サボテン」は斉藤和義(作曲)、同じく「サボさんまいったな」は横山剣(作曲)、クレイジーケンバンド(演奏)、コッシーとスイちゃんが入れ替わってしまう「ふたりはさかさま」は吉井和哉(作曲)、いすのまちの仲間たちが登場する「みんなおんなじ」は森山直太朗(作曲)…などなど、そうそうたる顔ぶれ。 さらに、忘れてはいけないのが「逃げ恥」でのブレイクをキッカケに、NHKでも「おげんさんといっしょ」がスタートするなど今をときめく星野源。彼が作曲したのは「おっす!イスのおうえんだん」「なんかいっすー」「すわるぞう」、そして、筆者が初めて聴いたときに思わず涙をこぼしてしまった「グローイング アップップ」。 “ボクは小さくなれない、イスは大きくなれないよ”と、お気に入りのイスとの別れを受け入れていく姿に胸が熱くなり、“あしたからこのイスはいとこのマーくんがすわるんだ”という言葉に少しホッとしたりして。 家事をしながら横目で観ていた筆者までも、思わず引き込まれてしまったステキな歌詞を書いたのは、あの宮藤官九郎。実は、星野が作曲した4曲すべての歌詞を手掛けているんです。やはりクドカンワールドは、幼児向け楽曲の中でも健在。笑いから涙まで、もの凄い振り幅で視聴者を魅了しています。 今回のムックでは、これまで「みいつけた!」に登場した楽曲名を、作詞・作曲者などの名前とともに一覧で紹介しています。 そのほかにも、「みいつけた!」の歌やキャラクター、「おっす!イスのおうえんだん」の振り付けも紹介。歌と振り付けを覚えて、みやけマンと一緒に歌って踊れば、いっそう楽しめます。 さらに、コッシー役のサバンナ・高橋茂雄、レグの声優で「さぼはらさぼえちゃん」として新エンディング曲「トゲトゲ・シンデレラ」にも出演中の篠原ともえ、サボさん役の佐藤貴史による座談会を掲載。ちなみに、ママたちから素顔がイケメン!?と大人気のオフロスキーももちろん登場予定! 特別付録は、人気ファッションブランド「B:MING by BEAMS」デザインの「“いすのまち”プールバッグ」。コッシーやレグ、ちょうちょうさんやスワリンなど「いすのまちのコッシー」に登場する仲間たちをあしらったキュートなプールバッグ。 しかも、プールから出て着替える際に、濡れたものを分けて収納できる仕切りが付いているなど、実用性もバッチリ! これさえあれば、たくさんのお友達とカブってしまったり、プールシーズンにギリギリに探し始めて良いデザインに巡り会えなかった…という事態も回避できちゃいます! ほかに、ダンボールでできた神経衰弱「ダンボールミックス」を体験できる「ダンボールミックス風『ミニえあわせカード』」も付属。 『NHKみいつけた!SPECIAL BOOK』は「みいつけた!」の魅力をギューッと詰め込んだ、家族みんなが満足できる一冊。ファンの親子には見逃せません! NHK「みいつけた!」SPECIAL BOOK (宝島社) 2017年5月15日発売
2017年05月12日今年の3月でNHK『おかあさんといっしょ』を卒業した、だいすけおにいさん。歴代最長の9年間に渡って「うたのおにいさん」を務めてきたこともあり、卒業の際には悲しみの声や感謝の声がSNSを中心に広まりました。 そんなだいすけおにいさんは、「横山だいすけ」としてオフィシャルサイトが公開されるなど、すでに新たなスタートを切っています! 6月にミュージカル『魔女の宅急便』に出演することも発表され、「もう、だいすけおにいさんに会えないの!?」と“だいすけロス”に陥ったママたちを安心させてくれました。 ■努力で勝ち取った夢!うたのおにいさんは、まさに天職 だいすけおにいさんは、千葉県出身。子どもの頃から歌が大好きで、小学3年生から地元の合唱団に入り、歌を歌い続けてきたのだとか。幼いだいすけおにいさんが、大きな口を開けて歌っている姿…想像するだけでも微笑ましい! 高校でも声楽部に所属し、「うたのおにいさん」を志したのもこの頃だったそう。その後、国立音楽大学音楽学部声楽学科に進学し、音楽づけの生活を送ったようです。 同大学のインタビューでは、七夕の短冊はもちろん、学校に提出する書類の希望職業欄にも「うたのお兄さん」と書いたという逸話も明かしています。 劇団四季に入団してからはダンスをみっちり学び、『ライオンキング』などに出演。そして2008年、第11代目『おかあさんといっしょ』うたのおにいさんのオーディションに見事合格。まさに、夢が叶った瞬間です。 顔よし、歌よし、ダンスよし…そんなだいすけおにいさんでも、努力なくしてうたのおにいさんにはなっていないはず。 子どもたちに近しい存在であるだいすけおにいさんが、“目標に向かって努力し、夢を叶える”ことを体現してくれたのです。 ■歌、変顔、笑顔、子ども思いの姿勢…すべてがママたちの心を鷲づかみ! だいすけおにいさんの魅力といえば、なんといっても飾らない人柄。実際、本サイトで『おかあさんといっしょ』のプロデューサーに取材した際にも、裏表のない「そのままの良い人」というお話もありました。 名物コーナー『かぞえてんぐ』では、数を数えることが大好き…というか、数えずにはいられない天狗という摩訶不思議なキャラクターを好演。 数え終わった後、満足げに「パンパカパ~ン!」と鼻先から様々なアイテムを出すという奇抜な設定ながら、あまりに全力で演じるその姿に、子どものみならず大人たちも惹き込まれていきました。 ほかにも『なんだっけ!?ナーニくん』での物ボケ&ノリツッコミからの変顔、そしてクスリと笑わせてくれるおもしろ発言に、ママたちは疲れた日々にひとときの癒やしを感じてきたのです。 もちろん歌の実力も一級品。『ぼよよん行進曲』『ドンスカパンパンおうえんだん』など、子どもと一緒に元気に踊るような楽曲、『パンパパ・パン』『くりとくり』など大きなカブリものが印象的で愉快な楽曲も、バツグンの声量でサラリと歌い上げてくれます。 『ありがとうの花』など、しっとりと聴かせてくれる楽曲では、より一層だいすけおにいさんの歌唱力の高さが伺えます。 子ども向けの楽曲だからこそ一言一言を丁寧に歌ってくれるので、優しくあたたかな歌声が心に響くのです。 そしてそして、忘れてはいけないのが、だいすけおにいさんが子どもたちに見せる優しすぎる眼差し。収録に慣れない子どもを優しく抱いたり、手を添えてフォローしたり…。 その姿勢から、「本当に子どもが好きなんだ」という気持ちが伝わってきます。 子どもはもちろん、ママたちにとってだいすけおにいさんは、毎日顔を合わせてきた欠かせない存在。家族ではないけれど、芸能人より近い距離にいる、他には代えられない存在なんです。 「一緒に子育てを支えてくれてありがとう」という気持ちになるのも、当然なのかもしれませんね。 9年前…当時3歳だった子どもたちは今、中学生になっているでしょう。どれだけの誠意を持って、だいすけおにいさんが全力でママたちを支えてきたのか。考えるだけでも頭が下がります。 ■だいすけおにいさんの快進撃は止まらない!これからの活動にも大注目 4月26日に発売されたメモリアルブック『おかあさんといっしょ だいすけお兄さん ありがとう、また会う日まで。』は予約が殺到し、早くも売り切れが続出。 6月には、名シーンを多数収録したメモリアルベスト「『おかあさんといっしょ』メモリアルPlus(プラス)」がCDとDVDでそれぞれ発売されることが決定するなど、まだまだだいすけフィーバーは続く予感! 5月にNHKホールで開催される『おかあさんといっしょ ファミリーコンサート』へのゲスト出演も予定されており、参加できる親子がうらやましい…と思っていたけれど、人気・実力を兼ね備えただいすけおにいさん。 今後もあらゆるシーンでお目にかかることができるでしょう。 ちなみに公式ブログも近日公開予定というから、こちらにもご注目。 ありがとう、だいすけおにいさん!そして、これからもよろしくお願いします!! おかあさんといっしょ だいすけお兄さん ありがとう、また会う日まで。 (げんきMOOK) /講談社
2017年04月28日『名探偵コナン』は、毒薬によって子どもの姿になってしまった高校生探偵・工藤新一が、江戸川コナンとして難事件を解決していく推理漫画。原作の連載が20年以上も続く中、4月15日には映画最新作『劇場版 名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』が公開。 今回は、構想段階からアニメ制作に携わり、今作のチーフプロデューサーでもある諏訪道彦さんにインタビューを敢行! 原作者・青山剛昌先生をはじめスタッフたちのこだわり抜いた作品作りの裏側をお届けします。 ■嘘があるからこそ引き立つ、物語のリアル感 ――まずは、『名探偵コナン』誕生の経緯について教えてください。 諏訪 「原作は1994年に『週刊少年サンデー』で始まりました。実は1992年に、講談社の『少年マガジン』で『金田一少年の事件簿』の爆発的な大ヒットがあって。 小学館でもミステリーものを作ろうと考えていた時に、もともと少年サンデーで『YAIBA』や『まじっく快斗』という怪盗キッドが登場する漫画を書いていた青山先生にお願いするという流れがあったと思われます。 コナンは、17歳の主人公が小学校1年生になっちゃう…最初に大嘘をついて、その後の話にはリアリティがという設定です。これはアニメの題材にピッタリと考えて、企画始めて1年半以上かけて1996年1月にTVアニメ化が実現しました。 まずは半年やってみようということでスタートしたけれど、原作は単行本8冊程度しか出ていなかったので、いずれアニメ放送が原作に追いついてしまう。 でも僕は『YAWARA!』や『シティーハンター』でそれを経験していたので、ドラマの脚本が書ける脚本家を集めて、第6話で既に『バレンタイン殺人事件』というオリジナル作品を開発したんです」 ――アニメの制作秘話などはありますか? 諏訪 「僕はよく、30分のアニメを“本格推理定食”と言っていました。美味しいごはん、出汁を取った味噌汁、素材にこだわった一品料理…というように、トリックやストーリーはもちろん、それぞれ一流のものが乗っているこだわった定食のイメージにしよう、と。 そこで、まず初めに番組のフォーマットを工夫しました。しっぽまであんこの鯛焼きのように、30分の中を飽きずに楽しんでもらえるようにしたんです。 たとえばオープニング曲の前にコナンの声で、概要と『たった一つの真実見抜く 見た目は子供、頭脳は大人、その名は、名探偵コナン』という台詞を入れることにした。まずこれを聞けば、この番組の世界観や、やりたいことがわかるようにしたいと思って。 そして最後には、ドラマのように名場面を切り貼りしたような予告編を入れる。当時はこれが意外と難しくて、スケジュールがいっぱいなのに、次回の絵なんて無いよって(笑)。でもこだま兼嗣監督と話して、これだけはやろうと決めました。あとは、予告後の「Next Conan's HINT」。次回も観てもらいたいという思いを込めて、最後の5秒で役者さんたちのコミカルな掛け合いを入れています」 ――声優さん同士の裏話などもあれば、教えてください。 諏訪 「チームワークはすごくいいですね。コナン役の高山みなみさんを座長として、今でも収録の後は声優のみなさんで反省会をという食事会をしています。年に一度は役者も含めたスタッフ20~30人で旅行に行きますし、みなさん「ファミリー」って呼んでいますよ! 収録のことで言うと、林原めぐみさんが演じる灰原哀は、黒ずくめに命が狙われている。本当は仲が良いのに、ジンとウォッカ役の声優さんが収録現場に来るといつもとは違う緊張感がロビーに漂います。 高山さんは、男の子役なので収録時にスカートを履かないとか、園子や小五郎役の声優さんも、プスってやられる時(コナンに眠らされる時)には、ああ今日は台詞が多いんだっていう覚悟を持って臨んでくれています」 ■コナンは背伸びして観るべし!?子どもたちに覗かせてあげたい大人の窓 ――物語には子どもには難しいシーンもある気がしますが、大人が楽しめることを意識しているのでしょうか? 諏訪 「『名探偵コナン』は、お兄さん、お姉さんに憧れる感じで、背伸びをして観てもらいたいと思っています。僕も中学生のころ『刑事コロンボ』を観ていて、飲めもしないのに、お酒にロマンがあるんだっていうことを教えてもらいました。 コナンでもお酒のシーンはよく登場しますが、今はわからなくても、大人の世界を覗ける窓を開いてあげたいんです。子どもだましではなくて、大人が真剣に楽しめる作品にすることが、子ども達の興味に繋がるんじゃないかと思いますね」 ――コナンは推理もので頭も使うし、子どもが観ても良いと考えている親御さんも多いみたいですね。 諏訪 「それは嬉しいですね。アメリカやヨーロッパだと、アニメは子どものためのものって決められてる気がします。なのでミステリーは受け入れられにくい。でも実写映像ではなんでもアリなのに、アニメは違うっていう括り方がおかしいんじゃないかなって。 アニメで深いドラマが描いてもいいですよね。『ドラえもん』のようにファンタジーな作品もあるけれど、アニメ表現の多様さバラエティさっていうのを伝えていきたい。当の子どもたちは勝手に心配しなくても勝手にセレクトしてるし、そこにおもしろさを感じているんですよね」 ■親子の情を描いた作品が、シリーズの転機に ――映画は1997年から毎年上映され、今なお大人気ですね。 諏訪 「1作目を作る時には、2作目があるかなんてわからなかった。だからこそ、やりたいことをすべてやることにしたんです。青山先生も、原作で使おうと思っていた(爆弾解除の)「赤か青か」という話をここで使うことにしたし、犯人役は『刑事コロンボ』の石田太郎さんに演じてもらった。今観ても、良くできた作品だと思いますね」 ――そんな1作目は好評を博し、今回21作目を迎えるわけですが、転機となった作品はありますか? 諏訪 「野沢尚さんが脚本を手掛けた6作目の『ベイカー街の亡霊』(2002年)ですね。5作目までは古内一成さんが脚本を担当していたのですが、野沢さんが自分の子どもに見せたいから『コナン』を書きたいとおっしゃって。 15年も前なのに仮想体感ゲームをして100年前のロンドンに行く。これはすごくチャレンジでしたね。 野沢さんが脚本を書いたきっかけが子どもということもあって、工藤優作と新一の親子の姿を描いたんです。コナンが絶対にしないことに“涙を流す”というのがあるけれど、それに近いところで“諦めない”っていうのもあって。 でも、この作品では『もうダメだよ、父さん』と、一言言わせるんです。ラブコメではなくて、親子の情みたいなもので行くことを押し通した。コナンにとって、新たな扉を開けた作品だと思います」 ――20年以上続く歴史の中で、変わってきたところはありますか? 諏訪 「初めはフィルムでしたが、2001年くらいからテレビアニメもデジタルになったので、映像表現は変わっています。昔が悪いわけではなく、それはそれで味が合って良いんですけど。 あとは、物語の中では1年経っていないのに、ガラケーからスマホに変わっていたりする。けれど視聴者には、それを受け入れてもらえる“コナンの世界”っていうものがあるんだと感じています」 ――原作ファンの間では、物語がクライマックスに近づいているという噂もあるようですね。 諏訪 「先生は、折り返し点は過ぎてるとハッキリ言っているし、結末もちゃんと決めてるそうです。昔は100巻で終わると言っていたけど、今92巻なのでまだまだ終わらないですよね(笑)。 でも、ファンは今までの伏線がどう回収されていくかを待っているし、もちろん先生も自覚されている。新しいキャラクターも出て来るけれど、それが伏線の回収だったりもするんです。 アニメでもエピローグにだけ事件と別の会話が成されたりしてますが、原作のそういう部分は削るわけにはいかないんです。ストーリーには直接関係なくても、いつ、あの時のシーンがそこに繋がることになるかというのがわからないので、抜くことはできないんです。 今回の映画にも、オリジナルキャラクターの紅葉が出てきますが、今後、原作においても物語のどこかで彼女のキャラクターが使われていくかもしれない。でもそれは、お客さんと一緒で僕にも全然わからないんですよ(笑)」 ――あくまで青山先生の頭の中にある、ということなのですね。 諏訪 「そうなんです。1年でテレビアニメは40話くらい放送しますが、そのうち15話前後をオリジナルストーリーで作っています。それを開発するのがアニメチームの大きな仕事ですが、原作に出てくるキャラクターが進むようなことをしてはいけないんです。 ずいぶん前ですが、オリジナルストーリーの中で蘭の携帯を壊しちゃったけど、それが不都合を生じさせてしまって。なので、原作の設定には触れずにオリジナルを作ろう、そのおもしろさで先生に勝負しようということになったんです。 もちろん原作は原作で丁寧にアニメ化して、原作とオリジナルの両方が『名探偵コナン』として成立するよう努力しています。その最たるものが、映画じゃないかと思いますね」 ――ここまで原作・アニメが二人三脚で作っている作品も珍しいのでは? 諏訪 「そうかもしれないですね。オリジナルストーリーが面白くないって言われないように毎回戦ってるつもりです。アニメ制作チームもベストなチームワークを発揮してるからこそ、長年観続けてもらえているんじゃないでしょうか」 ■最新作で描かれる“百人一首”の雅な世界観 ――今作では百人一首がカギとなりますが、注力した点はどこですか? 諏訪 「脚本を担当してくれたコナン初参加の大倉崇裕さんは推理作家で、コナンとしては初めてに近い倒叙的なミステリー。大倉さんはそれができるプロフェッショナルな方です。我々も常に映画を支えてくれる新しい人たちに参加してもらえるよう促しています。 20作目を終えて、今作は第一作に戻ったつもりで「殺人ラブコメ」を丁寧に作りました。大阪・京都の話で百人一首の雅な世界を描いていますが、百人一首のうち、40以上が恋の歌だということが今回のラブコメの基礎にありますね。 1000年以上前の恋愛が、今のキャラクターである男女関係に重なるっていうのは、お客さんにシンクロナイズするんじゃないかなって。トリックは映画を観てもらうしかないけれど、百人一首をどう使うかって言うのは、大倉さんも先生もわれわれもシナリオ会議でウンウンうなって考えました。」 ――映画では、キャラクターの恋愛模様も楽しみのひとつです。 諏訪 「劇場版スタート時は新一(コナン)と蘭は1作品ごとに1cmずつ距離が近づいてる…なんて表現してた時もあったけれど、キリがないので(笑)。今は良い意味でキャラクター遊びになっている気がします。新一が蘭にロンドンで告白しているので、平次もオレだって変な場所では告れないとか気にしていたりして。 今作では平次と和葉の関係が描かれていますが、青山先生の手のひらの中でキャラクターが踊って成長していっていると思います」 ――今後の映画制作について、課題に感じていることはありますか? 諏訪 「平成30年や東京オリンピックを意識して、良い意味で大きな変革期を迎えるかもしれませんね。 原作については何も言えないけれど、劇場版やテレビシリーズも長年続いて、「名探偵コナン」は誰かの一個人では舵が取れない大きさに成長したのは確か。 この豪華客船をこれからどうやって変化させながら成長させていかなければならないか、という覚悟をもって携わっていかなきゃいけないと感じています。 というのも、20作目を迎えるにあたって、実は18作目は20作目を意識した作品になっているんです。さすがに20作目は黒ずくめの話になるだろうと思ったし、先生も18作目の最後に沖矢昴が赤井秀一だとバラすというアニメならではの演出をしようと言ってくれて。 そのラストシーンをまず決めた上で、古内さんに脚本を書いてもらったんです。そんな18作目を作っていたのは、17作目の公開前ですからね。 そのサイクルは今も一緒。今は次のその次のテーマを決めることはできないし、テレビも映画も厳しい世界なので絶対に続くとは限らない。だけど、来る将来をしっかり見据えて、ある程度の青図(展開予想図)を持っていたいと思っています」 ――それでは最後に、子どもたち・パパ・ママへのメッセージをお願いします。 諏訪 「子どもの時を思い返すと、僕は大人のドラマにもドキドキしていた。それは初めて見る新鮮なシーンや、複雑な大人の社会っていうものに対しての感情でした。コナンはミステリーということで、それらの社会が凝縮されて出てきます。 正しい説明かどうかわからないけど、“コナンを観て、早く大人になってね”、 “コナンを観ると、良い大人になれるよ!”と伝えたいですね。犯罪は決して許さないし、反面教師キャラもたくさん出て来ますから(笑)。 劇場版が始まったころは、仕方なく子供のために映画館に行ったけれど、次の年からは今回は行かないのか?と子供をせかせたなんていう内容のハガキをたくさんいただきました。当時の子どもたちが、今は親世代になって来ていると思います。 僕たちも“一回離れたけれど、やっぱりコナンはいいな”と思ってコナンにカムバックしてもらえるよう努力していますし、コナンと一緒に推理して謎解きする楽しさも味わってもらえたら嬉しいです。20年経ってもキャラクターは古びないので、一緒に行く末を見届けてほしいですね」 劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』公式サイト
2017年04月28日「おかあさんといっしょ」インタビュー後編では、うたのおにいさん・おねえさんや人形劇の舞台裏などに迫ります。どんな人が「おにいさん」になるの!? だいすけおにいさんの素顔も含め、ママを代表して取材しました! 前編同様、NHKエデュケーショナル こども幼児部 統括部長・古屋光昭さんと、シニアプロデューサー・平岡ジュンコさん、NHK制作局青少年・教育番組部 チーフプロデューサー・山田淳さんに伺います。 ■うたのおにいさん・おねえさんは、とにかくハード! 古屋 「うたのおにいさんとおねえさんは、芸能人ではありません。昔は芸能人の方もいらしたけれど、今は“芸能人になるんじゃないですよ”っていうのをオーディションでも言い切っています。基本的には、普通の人が当たり前のことを、当たり前にできる感覚、常識を持ち続けられる人。でも、やることはプロの技を求めるんですけどね」 山田 「本当に激務ですよ、希有な人たちです。風邪も引けないですしね」 古屋 「スタジオ収録が年間約200回、そこにコンサートや歌の録音…。とくにスタジオ収録は同じ作業の繰り返しになるので、“あなたたちにとっては200回のうちの1回かもしれないけれど、収録に来た子にとっては1分の1なんだから、常に新鮮な気持ちで”っていうのはお願いしていますね。だいすけおにいさんは歴代最長の9年間だから、2000回近く収録したかもしれません」 ■だいすけおにいさんの素顔と、卒業発表で届いた温かな声 ――だいすけおにいさんの人気はすごいですよね。絶対いい人だって、ママ達はみんな思っています(笑)。 古屋 「彼はテレビのまま、本当にいい人ですよ! そういう裏表のない人たちを代々選んできたんです。おにいさん・おねえさんだけで番組ができているわけではなくて、まわりに収録をサポートする制作スタッフや子どものお世話をする“子ども係”の人、技術の人がいるおかげっていうことを、最初に何度も何度も伝えています」 山田 「出演者っていうよりはスタッフの一員に近いです。子どもたちをスタジオに誘導する時も、おにいさんとおねえさんが連れて行きますから。彼らはスタジオで待っているわけじゃなくて、自分から出向くんです」 古屋 「今回の卒業は、やり切ったからということで本人から申し出があって。発表のときには、視聴者のみなさんの書き込みが本当に温かかったですね」 山田 「だいすけおにいさんには、“お世話になりました”っていう気持ちが大きいみたいです。“子育てを手伝ってくれてありがとう”って」 ――毎朝、顔を合わせていましたからね(笑)。 古屋 「子どもにとっても、お母さんにとっても身近な存在ですよね。それぞれの代、みんな自分のおにいさん、おねえさんがベストって思っている…」 平岡 「だいすけおにいさんへの書き込みを見ると、改めて、育児って不安なんだなって思いました。一緒の時間を過ごすって大きいことなんだなって」 古屋 「親御さんも一番いろいろ悩む時期ですからね。おにいさんとおねえさんはそういう時を共有するので、親御さんにとってすごく近しい存在なんだと思います。」 ――子どもと一対一の育児になりがちな中で、一緒にいてくれる存在という意識が大きいですね。 古屋 「『芸能人じゃない』というのは、そういう良さがあると思うんですよね」 山田 「やっぱり自分の個性を売るっていうのが芸能人としては重要。でも、この番組で欲しいのはそういう面じゃないんです」 古屋 「そうそう。芸能人のオーラみたいなものよりも、信用や信頼、本人の心持ちといったことが重要なんです。よく、うたのおにいさんとおねえさんは信号無視できないとか言われていますが、無茶を言っているのではなく、そもそも交通違反なので子どもにそんな姿を見せられない、そこを納得してもらっています。上から押さえつけて禁止、というのとは違うんです」 ――なるほど。そもそも、そこを納得できない人には務まらないということですね。 古屋 「そうですね。新しいゆういちろうおにいさんも、非常に良い人ですよ」 ■「パント!」が短時間で子どもを惹き付ける理由 古屋 「1981年の “ハイ、ポーズ”から、身体表現のコーナーが始まりました。集団でやる体操に対して、こちらは個のもの。“体操と身体表現”は“動と静”という関係だったんです。最初はヨガや太極拳で、そのあとが新体操やダンス…。現在のパントマイムは、ダンスのように動きが決まっていなくて、おねえさんと子どもで自由な動きができることができないかな?という考えから企画しました。大きな動きは決まっているけど、その通りにやらなきゃいけないわけじゃない。見えない物を表現するという脳の発達と、体の動きを結び付けるコーナーにしたかったんです」 ――以前の「ゴッチャ!」が元気なイメージだったので、正直おもしろいのかな?とも思いましたが、息子が真剣に観ている姿に驚きました。 古屋 「パントマイムって、本来はステージで30分くらいかけてやるものなんです。例えばロボットだったら、実演の前にロボットの話などの前振りをして、子どもの中にロボットをイメージさせる。普通は脳と心が温まってからやるものなのでなんですが、番組はそれができないので、最初に実物を見せることで少しでも掘り起こしてから始めています」 ■大人の常識が通用しない「パント!」の開発 古屋 「開発の際には、たくさんの園でテストしました。同じ3歳でも生まれた月でできることが全然違うし、そもそも3歳は経験量にも相当バラつきがある。なので、どこまでのラインなら理解できるのかっていうのがすごく難しかったんです。風船を持つ動作はできても、“風船になってみよう”って言うと“え?”って感じで。大人だと風船の動きから考えて動くとか解釈するけど、3歳児は物の立場になって動くってことはできない。風船を持つことはできる、でも、自分が風船になって飛ぶところまで発展させちゃうとついていけないっていうことが、実際に子ども達を見るとわかるんです」 ■カメラワークにこだわる! 人形劇と一般的なドラマの決定的な違いとは? 古屋 「人形劇の初代『ブーフーウー』(60年)は、オープニングにネジを巻くシーンがあって、小さな人形たちが動いているというイメージでした。でも、だんだんとキャラクターたちが一緒にエンディングで踊るようになり、子どもたちも慣れてきたこともあって、今のイメージになりました。 ――通常のドラマとの違いはありますか? 古屋 「一番の違いは、幼児に理解しやすい画面構成(カット割り)にしていることですね。ドラマでは2つの映像を繋いで、何かそこに意味を持たせるといった手法もあるけれど、そういうことはやってない。大人向けのものだと、カメラも固定じゃないんですよ。だけど人形劇は、基本的にカメラ位置は変わらないんです」 ――劇場で観ているのと同じ感覚ということですね。 山田 「そう、人形“劇”なんです」 古屋 「それは2歳研の時に、カメラ位置が変わる、つまり視点が変わるということに、子どもはついていけないことがわかったんです。あとは、全身のほうがキャラクターがかわいく見えるということもあって、基本的に引きのサイズで撮影しています。人間じゃないから、いくらアップになっても表情があるわけじゃないので。時々アップは入るけれど、同じ位置からのアップだけですね」 ――人形劇が守り続けていることはありますか? 古屋 「今放送している『ガラピコぷ~』は12代目ですが、人形劇がテーマとしてずっと扱っているのは“他者を知る”ということ。“自分と違う、だけど自分と同じ”という普遍的なことを伝え続けています。それは多様性とか、個性を認めるっていうことだと思うけど、人形劇のテーマはほとんどそれです。それが時代によって設定やセットが変わったりしている。今回は宇宙が舞台で、ロボットが出てくるけど、普遍的なテーマは変わっていないと思います。」 ■「おかあさんといっしょ」は、飽きずに食べられる白いごはん 古屋 「番組制作のすべてにおいて言えるのは、いいものを丁寧に真摯に作っていくということ。僕が入社したときに先輩から言われた例え話ですが、“100万円あったら、1万円でできるアニメを100本作るのではなくて、1本100万円かけて何度も見ていられるいいものを作りなさい”と。開発に半年~1年かかっても、いいものができれば長年使っていけますからね。何かの記録ではなくて、記憶に残る番組なんだと思っています。 逆に言うと注意しなければならないのは、飽きてしまうとダメなんです。作る側も日常になっていくので、飽きが来ないように毎回新鮮な気持ちでやっていかないと、だんだん崩れてしまう。あとは、“子どものもの=こういうもの”っていう既成概念から離れること。新しいことを入れても飲み込んでくれる、非常に懐の深い番組なんです」 山田 「本当にそうですね。この番組だからこそ、やったことのないコーナーにもどんどんチャレンジできますから」 古屋 「相手に伝えたいことがあるときには、相手を知ることが一番大事。まだ理解力の育っていない子どもにも最大限伝わるよう努力すべきだし、どうしたら伝わるか工夫するべきだと思います。でも、なんだかんだいってこの番組の制作は楽しいです。毎回の収録もそうだし、コンサートもそうだけど、自分が作ったものを喜んでくれている姿を間近に見られるのは、やっぱり嬉しいです」 ――お話を聞いて、もっと感謝して観なくちゃいけないなって思いました(笑)。 古屋 「いやいや、正座して見るような番組ではないですから(笑) 『おかあさんといっしょ』は日常に横たわっているもの。飽きずに食べられる“白いごはん”だと思って、これからも観続けてくださいね」
2017年04月25日ママと子どもが日々、お世話になっている「おかあさんといっしょ」(NHK Eテレ)。今回は、長年番組制作に携わってきたNHKエデュケーショナル こども幼児部 統括部長・古屋光昭さんと、シニアプロデューサー・平岡ジュンコさん、NHK制作局青少年・教育番組部 チーフプロデューサー・山田淳さんのインタビューを前後編に分けてお届けします。 前編では、毎日観ていても気付かない、子どもを惹き付けるためのワザとヒミツに迫ります! つい毎日見てしまう、その理由には仕掛けがあったんです。それだけでなく、番組の歴史から、一般の子どもが参加する収録の様子まで、たっぷりとお話を聞きました。 ■あくまで主体は母親だった! 「おかあさんといっしょ」誕生のヒミツ 古屋 「『おかあさんといっしょ』の放送開始は1959年10月。よく日本初の幼児番組かと聞かれますが、そうではありません。初めは週に1回の放送で、情操や情緒を意識した“幼児のためのミュージカル・バラエティ”ではありましたが、『きょうの料理』などと同じく母親向けの実用番組という位置づけでした。 その後、週に5日の帯番組になり、ラジオ『うたのおばさん』のテレビ版として放送されていた『うたのえほん』と1966年に統合されたことで、歌・体操・人形劇という形になりました。ちなみに『うたのおばさん』の流れもあり、初めはうたのおねえさんしかいなくて、うたのおにいさんは1971年に初めて登場したんですよ」 『おかあさんといっしょ』や『にほんごであそぼ』などは在宅向け、『ノージーのひらめき工房』『ピタゴラスイッチ』などは幼稚園保育所向けと分かれており、実は幼稚園保育所向けの番組のほうが1956年から放送が始まっており、歴史は古いのだとか。 ■58年も番組が続いた理由は、止めなかったから!? 古屋 「70年代になると民放でも幼児番組がものすごく増えましたが、80年代で軒並み姿を消していきました。でも、NHKは止めなかった。90年に幼児番組を“幼児ゾーン”としてまとめて放送することにしたのがよかったのだと思います。そして、うたのおにいさん、おねえさんの速水けんたろう&茂森あゆみコンビがとても人気だったこと、さらに99年の『だんご3兄弟』のヒットもあり、そのあたりから、視聴者の感覚もだいぶ変わってきましたね。 それまではテレビ番組に限らず、子どものもの=子どもだまし=粗悪品みたいに言われることもありましたが、80年代以降で大人文化と子ども文化の境目が薄れ始め、大人も子どものものを抵抗なく受け入れるようになります。逆に大人のものよりクオリティが高かったり、丁寧に作られていたりする。子どもの方が余分な情報や付加価値なしに見るので、子どもをよい意味で“だます”方が難しいんです」 ■2歳児を徹底研究&セグメント形式を採用 迷いの70年代からの脱却! 古屋 「話は戻りますが、70年代は迷いの10年だったようです。幼稚園に行く子が増えたことで、家には小さな子どもしかいなくなり、4歳~6歳がターゲットだった『おかあさんといっしょ』と社会状況がズレてきてしまったんですよね。そんな中、1979年に『2歳児テレビ番組研究会(2歳研)』が発足しました。 実はこれ、アメリカの幼児番組『セサミストリート』の影響を大きく受けているんです。日本では英語番組という認識が強いけれど、もともとは子ども番組として専門家が対象年齢や子どもの能力を研究して作り込んでいるんです。2歳研では、『セサミ』と同じように発達心理学・教育心理学・教育工学などの専門家たちを含めて、2歳児を徹底的に研究したそうです」 ――具体的には番組にどのように生かされたのですか? 古屋 「まず、ひとつの番組が複数のコーナーに分かれている「セグメント形式」を取り入れました。 2歳研によって幼児が集中して見ていられる時間は2~3分だとわかった ので、それをひとつのコーナーの目処にすることにしたんです。また、幼児は数ヶ月の差で発達段階が全然違うのですが、対象年齢が異なるコーナーを作れば、どこかのコーナーが楽しめます。セグメントのメリットは、ダメだったらそのコーナーをリニューアルすればいいっていう取捨選択ができることにもあります。素材の反復再利用もできますしね」 ――たしかに再利用はありますね! 映像のサイドにラインが入っている(アナログ画面サイズ)っていう…。 平岡 「名作アニメや良い作り手が手がけた素晴らしい作品など、これは作り直せないなっていうのがあるんです。だから“両側がありませんけど、すみません!”って(笑)」 古屋 「ADさんが “この曲、小さい頃に観ていました!”とか言ってます。20年使ってるものもありますからね。でも、子どもにとってはそんな曲も初めて聞く”新曲“ですから」 ――親の立場からすると、懐かしい曲が流れると嬉しくなります。 山田 「そうですよね! あとは、激しいコーナーの後には静かなコーナー、実写の後にはアニメを放送するなど、内容の強弱にも気をつけています。せっかくのセグメントなのに、同じような内容が続いては意味がないですからね」 ■一分アニメの背景は白!情報量を最小限にする工夫 古屋 「歌の後は人形劇…というように、コーナーは月曜日~金曜日で基本的に同じ順にしています。そのほうが子どもたちも安心できるし、毎日の視聴習慣ということで変えないようにしているんです。 番組を通して言えるのは、色や音などで情報量をものすごく整理しているということ。どうすれば画面に目が行くかとか、物語に集中できるかとか、子どもの情報処理能力を考えて作っています。 たとえば『ともだち8にん』(一分アニメ)は、バックが白。普通のアニメは背景にもたくさん絵が描き込んであるけど、それでは情報量が多すぎる。キャラクターを見てほしいので、あえてお話で扱うものだけを描くようにしています。 一分アニメは『こんなこいるかな』(86年)と同様に、幼児の実生活での事例をたくさん拾って、そのネタをもとにストーリーを組み立てていったんです。 3歳は世界の真ん中に自分がいて、人の立場で考えるってことはできない時期。一緒にいても、ひとり遊びを個々にしていることが多く、協力することが難しいのです。 そんな子どもたちを観て、発想して、題材にしています」 ■歯磨きは上手にできなくていい! 決してお手本ではない生活習慣ロケ 古屋 「『はみがきじょうずかな』や『パジャマでおじゃま』などの生活習慣ロケも、2歳研の頃に始まりました。あのコーナーは、会話もなく、ただ歯を磨くだけという映像を、音楽(スキャット)に乗せることでテレビのコーナーに仕立てたことがすごいと思います」 山田 「歯磨きの様子をただ撮影しただけでは退屈なコーナーになってしまう。音楽の尺に合わせてテンポよく見せる演出が、一見何気なく見えますが発明ですね」 古屋 「コーナーの目的は、自分と同じような子どもがやっているのを見てモチベーションを上げてもらうこと。うまく出来た姿を見せるのではなくて、がんばっているところを見せているんです。 だから、テレビでお手本を紹介するコーナーではないんです。 」 ――“みんながやってるから、僕もやる!”という感覚は、幼稚園や保育園での友達関係と一緒ですね。 古屋 「そうですね。一度はコーナーをやめたんですが、 “子どもが歯を磨かなくなったので、またやってください”という声があって 復活しました」 ■親のほうが必死!? 子どもたちの収録の様子とは? 古屋 「『おかあさんといっしょ』は、一般のお子さんが出ているということが一番の特色かもしれません。子どもが番組に出ているのは、テレビを観ている子どもに親近感をもってもらうためなんです。自分と同じくらいの年代の子どもがやっていることに興味を示す年齢なので、“おもしろそう”とか“やってみたいな”という感情を持ってもらうことを目的にしています」 ――体操に参加せず、端のほうに立っているだけの子もいますよね。親としては“いろいろな子がいてもいいんだ”と安心します。 古屋 「参加する子どもは、ありのままの姿でいればいいと思っています。親御さんはせっかくテレビに映るのにって思うけど、怒るのは逆効果なんです。」 山田 「『おかあさんといっしょ』に限らず、収録中にある子どもがずっと無表情のことは良くあります。でも終わった後に“どうだった?”って聞くと、みんな“楽しかった”って答えるんです」 古屋 「子どもはどこにいても、本当は楽しんでるんだと思うんですよね。収録に来たけれどもお母さんから離れられずにヒザの上で観ているのも楽しいし、体操を後ろのほうで観ている子はそれが心地よかったりする。それはそれでいいじゃないかって思うのですが、親御さんにとってはなかなか難しいですよね。 どうすれば収録に参加した子どもの集中力が途切れないか、どうやって一連の収録を楽しませるか、スムーズに事を運ぶかっていうのは、いろんな工夫やノウハウを組み合わせてやっています。それはうたのおにいさん・おねえさんの中にも引き継がれているし、“子ども係”という子どものお世話をする人たちや、われわれ制作の中にも代々受け継がれてきているんです。 集合場所から移動して、収録が終わってまた同じところに戻ってくるまでに約1時間。それを1日3回やることもあって、本当に驚異的だと言われます。幼稚園単位ではなく、初めて会った知らないもの同士ですからね。以前イタリアの制作会社の人たちが来た時に、「こんなに聞き分けが良くて、この子たちは子役じゃないの!?イタリアじゃありえない!!」って、すごく驚いていましたよ」 後編では3月末をもって卒業しただいすけおにいさんのお話も登場…!
2017年04月25日抱っこ紐だと自由が効かないし、ベビーカーを押しながらショッピングカートを押すのは困難。子どもが少し大きくなっても、子連れでの買い物は大幅に時間がかかってしまう…。 仕事に子育てに忙しいママにとって、玄関先まで商品を届けてくれる宅配サービスは本当に助かりますよね。今回は、ママに便利な宅配サービスをジャンルに分けてご紹介。特に注目のAmazonパントリーについては、気になる疑問を担当者に直撃しちゃいました! ■衣類・雑貨の宅配サービス <ベルメゾン> おしゃぶりから勉強机まで、子どもに必要な雑貨類のほとんどを網羅。取り扱う商品には、ベビー服や育児本、スキンケアアイテムも。 子どもの作品収納ケースなど、痒いところに手が届く品揃えも魅力。「保育園・幼稚園向けの通園服ランキング」は、すぐにでも参考にしたい! HP: <赤すぐnet> ママ向け雑誌「赤すぐ」のインターネット通販。誌面掲載アイテムだけでなく、130cmというキッズサイズまでラインナップ。 とくに、マタニティからベビー期の品揃えが豊富で、出産準備期にもおすすめ。また『妊娠出産育児 みんなの体験記』を毎日更新しており、育児の参考にも。 HP: <赤ちゃん本舗 アカチャンホンポ> アカチャンホンポの公式ネット通販は、オリジナル商品を含むマタニティ・ベビー・キッズ用品が大充実。大型玩具とベビー用ドリンクなどの買い合わせも可能で、3,240円(税込)以上で送料無料。セブン-イレブン店舗で受け取りができるのも便利! 大人気の水99%Superシリーズのおしり拭きを箱買いする人が圧倒的多数。新生児・乳児インナー、カバーオール・ロンパースなど、思うように動けない産後に助かる商品も目白押しです。 HP: ■食品・日用品の宅配サービス <イトーヨーカドーのネットスーパー> 肉・魚・野菜などの食品をはじめ、衣類や医療品まで幅広く揃う。一部店舗では「赤ちゃん本舗」の商品も対象に。 交付日から4年以内の母子健康手帳を提示して「子育て応援キャンペーン」に登録すれば、登録日から4年間は配達料金が税込100円というのもありがたい! HP: <パルシステム> 産地直送をメインに、できるだけ食品添加物を使わないのが特長の食材宅配サービス。農薬削減、放射能検査など、ママに嬉しい取り組みも。 実はおむつや玩具など、子ども向けのアイテムも充実。希望に合わせ、毎週・隔週・月1などのサイクルで、専門スタッフが配達。 HP: <オイシックス> 「子どもに食べさせたい」をテーマに、安全でおいしい食材を厳選。有機野菜を中心に、スーパーではあまり見かけないような珍しい野菜も手に入る。 「KitOisix」という下処理済みの食材キットも便利。ただし、全体的に価格はちょっぴり高め。商品は宅配便で届く。 HP: <らでぃっしゅぼーや> 日本で初めて有機・低農薬野菜の戸別宅配サービスをスタートして27年以上。 アレルギーがある子どもを持つママの声から生まれた“アトピーエイド”商品にも注目! 主食から惣菜・お菓子まで、基準をクリアした40商品があります。 食の安全を目指し、放射性物質の自主規制値を設定。農作業体験ができるツアーなど、食育教育にも取り組んでいます。 HP: ■注目の宅配サービス <ドン・キホーテ マジカプレミアムナウ> 今年2月にMEGAドン・キホーテ大森山王店で開始。スマホの専用アプリを使って注文すると、店舗から半径約 3kmのエリアは最短58分以内に商品が配達されるという驚きのサービス。 最低購入金額は税別2,000円、配達料は税込750円。順次対象エリアを拡大予定。 HP: <Amazonパントリー> Amazonパントリー開発部のマネージャー・黒田淳一さんと、プログラムマネージャー・松井俊祐さんに詳しく聞いてみました! ・Amazonパントリーって? AmazonパントリーはAmazonが提供する食品や日用品の宅配サービス。Amazonパントリーで使用するパントリーBOXは、まさにショッピングカートのようなもの。 通常インターネットではセットやケース単位で販売されることが多い商品も、実店舗と同じ感覚で1個ずつBOXに入れていき、ひとつの箱で届けてもらえるAmazonプライム会員向けサービスです。 特長は、商品ごとにページを開かなくても、検索画面から直接商品をカートに入れられること。箱にポンポン追加していくようなイメージで、商品を選ぶことができます。 価格も安く、スーパーやドラッグストアと同等か、それ以下の値段設定の商品も多数。1箱あたり税込290円の手数料がかかるものの、約1,500点の対象商品から5つ選んで購入すれば、手数料が無料になる「まとめて割引」キャンペーンも定期的に実施しています。 ・品揃えは? 日用品、食品、お酒、ペットフードを中心に25,000点以上。食品にはベビーフードも含み、赤ちゃんグッズも豊富。専門店に行かないと手に入らないニッチなアイテムが豊富なのも特色です。 ・便利なテーマボックスとは? たとえば日用品のテーマボックスは洗剤や掃除グッズがセットになっていて、ワンクリックでテーマボックスにあるものが一気にカゴへ。そこから、自由に商品を追加したり、削除したり、カスタマイズしていくことができます。基本のアイテムがセットになっているので、買い忘れも防げます。 「詰め放題みたいな感覚でいろいろと入れていくのが楽しいという方も多く、リピート率も高いです。最短翌日のお届けですが、日時指定もできるので帰宅後や週末に受け取ることも可能です」と黒田さん。 仕事やお迎えから帰宅する時間帯(21時まで)に商品を受け取ることができるのも、忙しいママやパパの強い味方となりそうです! HP: 私たちのニーズに合わせて、日々進化を遂げている宅配サービス。楽しいはずの買い物に悩むのはもうやめて、日常生活に賢く取り入れたいですね。
2017年04月03日フィンランド出身の画家トーベ・ヤンソンが生み出した『ムーミン』シリーズ。小説・絵本・コミック・アニメーションと展開し、今ではそのアート性の高さから、食器をはじめとする雑貨が一大ブームとなっています。 今回は、そんな『ムーミン』についてのインタビューを2部構成でお届け。長年『ムーミン』書籍の編集に携わってきた講談社の横川浩子さんと、2019年春オープン予定の『ムーミンバレーパーク』広報担当の杉山賢祐さんに取材しました。北欧ならではのゆったりとした時間が流れる、ムーミンの世界をのぞいてみましょう。 ■ムーミン誕生のきっかけと歴史 『ムーミン』は、好奇心旺盛な主人公・ムーミントロールと、その家族や仲間達が繰り広げる物語。国際アンデルセン賞を受賞するなど、フィンランドを代表する児童文学として知られる『ムーミン』ですが、そこには知られざる歴史がありました。 ──はじめに、『ムーミン』誕生の経緯について教えてください。 横川 「トーベ・ヤンソンの母国フィンランドは、昔からスウェーデンやロシアに支配されてきた国。第二次世界大戦中にはドイツの脅威にもさらされました。彼女は若いころ、ヒトラーなどを揶揄(やゆ)する風刺漫画を雑誌に連載していて、そのとき自分のサインに添えて描いた小さな生き物がムーミントロールの原型だったんですよ」 ──ふんわりと優しいイメージのあるムーミンが、風刺誌に登場していたなんて驚きです。 横川 「トーベは、子どもの頃から本が好きでした。戦争でアトリエの窓が割れるほどの空襲がある中で、現実逃避として書いたのがムーミンの物語なのです。 1945年に出版された『小さなトロールと大きな洪水』と、2作目の『ムーミン谷の彗星』(46年)は、どちらもムーミントロールたちが自然の脅威を乗り越えるという危機感のあるストーリーでした。その後、時代的に落ち着いてきたこともあり、3作目の『たのしいムーミン一家』(48年)からは冒険があったり、魔法があったりと、児童文学感の漂う作品になっていったんです。 さらに、1954年からイギリスの夕刊紙「イブニング・ニューズ」にコミックを連載したことで、ムーミン人気は世界に広がりました。一方、トーベは締め切りに追われる日々に疲弊していきます。 6作目の『ムーミン谷の冬』(57年)は、そんなトーベにとって大きな転機といえる作品でした。そのきっかけのひとつは、生涯のパートナーとなったトゥーリッキ・ピエティラというグラフィックアーティストとの出会いです。 それまでは義務感や忙しさから、自分が本当に書きたいものがわからなくなっていたトーベ。でも、トゥーリッキの“今、あなた自身が辛いことをムーミンに反映させてみたら?”という言葉を機に、疲弊したトーベの気持ちが解放されていきました。そして、ムーミンが危機を乗り越えていく作品を書くことで、自分自身も吹っ切れていったんです。 トゥーリッキは女性のグラフィックアーティストで、実はその少し前まで同性愛は犯罪とされていた時代でした。交際も難しかったようです。でもトーベは自分の気持ちに正直に生きることを貫きました」 ──そのような流れがあることを、知らない人が多いかもしれませんね。 横川 「そうですね。でも、そういう物語だからこそ芯がしっかりしているのかもしれません。子どもの頃に読んだ時はちょっと怖かったけれど、大人になって読み返すと“そういう深さがあったんだ”という気付きがあるのが『ムーミン』の大きな魅力だと思いますね。 自然の脅威という点もそうですし、『ムーミン谷の冬』ではムーミントロールが冬にひとり目が覚めてしまうのですが、パパやママが冬眠しているので、自分でなんとかしなくてはいけないという状況を乗り越えていく。そういったところも、子どもの成長と共通するところがありますよね」 ■“声の小さな人”たちへの暖かなまなざし ──作者が『ムーミン』を通じて子どもに伝えたいメッセージはあったのでしょうか? 横川 「子どもに特定したメッセージではないと思います。もちろん子どもが読みやすいように工夫はしているけれど、本音を隠さずシビアな局面やキャラクターも出てきますし。ただ、子どもが楽しんでくれることはトーベ自身にも非常に喜びがあって、子どもからのファンレターには全部手書きで返事を書いていたそうですよ。 トーベは子どもが好きというよりは、居場所のない声の小さな人たちへのまなざしが温かかった。トーベは国内人口の約6%と言われるスウェーデン語系フィンランド人だったために、一般的なフィンランド人とはちょっと違う立場だった、という背景もあるでしょうね」 物語に登場するモランは、みんなから怖がられ、避けられているキャラクター。本人が冷気を帯びているだけで、何も悪いことはしていないのに嫌われる…そんなモランは、シリーズの後期ではムーミントロールと心を通わせる存在にもなっています。 トーベは、弱者も一人の存在として認める。それは子どもに対しても同じことで、姪のソフィア・ヤンソンが島に遊びにきても、何かをしてあげるのではなくて、容赦なく対等に遊んだと聞いています」 ■ムーミンの原点にある、フィンランド流の子育て ──トーベの人を尊重するという考え方の原点は、どこにあるのでしょうか? 横川 「トーベは子どもの頃、夏になると家族で島暮らしをしていました。たとえば嵐がきたら、危ないからといって隠れるのではなく、“みんなで嵐を見に行こう!”という生活をしていたんです。そんな両親に育てられたトーベは、独立心旺盛な子どもでした。森をプチ探検したり、島で泳いだり、大人の本もどんどん読んでいたそうです。 『ムーミンパパ海へいく』(65年)では、突然パパの提案で小さな島に行くことになる。島でもパパは自分勝手だし、ママはいなくなっちゃうし、どうしよう…という状況で、ムーミンは巣のような居所を手に入れます。 ある日、ママがムーミンを見つけるのですが、“帰ってきなさい”ではなく“ママもここでちょっと過ごそうかしら”と声をかけるんです。それは、ムーミンにとってすごく幸せなこと。ママも自分のさびしさをわかってくれている、自分はひとりでここに居てもいいんだと思えますよね。 ママは、しばらくして“じゃあ気をつけてね”と帰って行く。これがムーミン的、あるいはフィンランド的に、子どもにも独立心を持たせるというひとつの現れだと思います」 ──なるほど。私だったら「早く帰ってきなさい」と言ってしまいそうです…。 横川 「そうですよね(笑)。“どうしたの?”と聞かずに受け入れてくれるママの温かさや、ムーミン谷が持っている許容の広さっていうのは、すべてフィンランドならではの子育てからくるもの。資源がない国だから人も資源ということで、小さな子どもへの支援を手厚くしようっていうのが国の政策であり、一般市民にもちゃんと定着しているんです」 ──では、日本の忙しい子育て中のママにおすすめの作品はありますか? 横川 「『ムーミン谷の仲間たち』(62年)という短編集にある『目に見えない子』ですね。ニンニという子の顔が見えなくなっちゃうのですが、それはつまり自分をなくすということ。ここでもやっぱりムーミンママが受け入れてくれて、ニンニはママについて回るんです。 あるときパパが、ママを驚かせようと後ろから忍び寄っているのを見て、“私の大事なムーミンママに何をするの”とニンニが怒ってパパを海に突き落としてしまう。すると、ニンニの顔が元に戻るんです。 要するに、自分の気持ちを率直に表現することで、顔を取り戻した。これは子どもにも大人にも、響くところがあると思います! もちろん思っていることをすべて言えばいいわけじゃないけれど、自分の本当の想いをあらためて見つめなおすことができる。短編なので読みやすいですし、おすすめです」 ■日本でのムーミン ──日本のムーミン人気は、やはり1969年に放送がスタートしたアニメーションの影響が大きいのでしょうか? 横川 「アニメを制作した方達は、『本物を子どもたちに見せたい』という情熱に満ちた素晴らしい人たちだったようです。スタッフの中に宮崎駿さんもいらした時期があったそうですよ。 アニメが放送されたのは高度成長期が落ち着いてきた頃で、少し生活を見直そうよという流れがあった。ムーミンファミリーの温かさや自然、そういうものが時代の流れにマッチしていたのかもしれませんね。一方で現在の人気は、個人を尊重する生き方やデザインなども含めた北欧ブームの影響も大きいのではないでしょうか」 ──日本ではムーミンのグッズが大人気ですが、フィンランドではどうですか? 横川 「本国でもARABIA(アラビア)のムーミンマグは1家にひとつあると言われているし、存在は大きいですね。機能性とデザイン性を兼ね備えていて、お高めですが人気があります。大人が持っていても、決して子どもっぽくならない色使いとデザインですしね。そして、流行っているから欲しいというのでなく、好きなものをずっと大切にという感じです。 お好きな方には、北欧食器の王様といわれる「TEEMA(ティーマ)」シリーズと「ムーミン」のコラボレーションの魅力をまとめた『ムーミンマグ物語』という一冊もおすすめです」 ──これからのムーミンについて、望むことはありますか? 横川 「キャラクターグッズはたくさんありますが、原作を読むとさらにムーミンの良さがわかります。『ムーミン』は、読むときの自分の状態によって、心に響く言葉が違うことがよくあるんです。“この言葉が響くってことは、今、私はこんなところが疲れているのかな? 気持ちが楽になったぞ”って、心の処方箋とでも言えるみたいな…。 子どもたちはムーミンの物語を読むことで、これでいいんだっていう安心や自己肯定が生まれるかもしれない。ムーミンママやパパの行動には、大人でもハッとすることがあります。読書を通して会話も生まれますし、ぜひお子さんと一緒に原作童話を読んでほしいと思います」 ■2019年春、『ムーミンバレーパーク』が埼玉県飯能市に誕生! ここからは、2019年春オープン予定の『ムーミンバレーパーク』PR担当の杉山賢祐さんに伺います。 日本でのムーミン人気が高まる中、埼玉県飯能市に『メッツァ』のオープンが決定。『メッツァ』は2つのゾーンに分かれており、2018年秋には北欧のライフスタイルを体験できる『メッツァビレッジ』、2019年春にはムーミンの物語を主題とした『ムーミンバレーパーク』が開園予定です。 ──まず、『ムーミンバレーパーク』を作ることになったきっかけを教えてください。 杉山 「アニメーションの放送終了もあり、一時ムーミンの関連売上は下降気味でした。そんな中、2008年にムーミン全般の版権を持つムーミンキャラクターズ社が、原作の文学性やアート性を重視した展開をしようと戦略を変えたんです。それ以降、いわゆるキャラクターショップではなく雑貨店にグッズが数多く置かれるようになり、従来のムーミンファンから若い女性までキャラクター人気が復活しました。 2015年にはムーミンの全世界売上に占める日本のシェアは43%となっています。このような人気を受けて、ムーミンの物語を追体験してもらえるようなパークを作り、さらなる物語の理解促進や、新たなファンの獲得につながればと考えています」 ──どのようなテーマパークになる予定ですか? 杉山 「“小さな発見が導く心の豊かさ”が『メッツァ』全体のコンセプトです。毎年発表される『世界幸福度ランキング』で北欧の国々はいつも上位に入っているけれど、その幸福度はどこから来るのかという話になったんです。 ムーミンの物語を構成する要素のひとつに“自然との共生”があり、これは北欧の人たちにも言えること。フィンランドの人は、休日に4時間かけてお気に入りの森へ行き、ただ家族と森の中で過ごして、4時間かけて帰ってくるという話も聞いたことがあります。そのような生活がベースにあって、幸せを常に感じているんですよね。 行った先で大きなことがあるわけじゃないけれど、そこに居るだけで気持ちが落ち着いてハッピーになる。そんな心の豊かさを『メッツァ』で感じてもらい、それぞれの小さな発見を日常生活に持ち帰ってほしいと思います」 ──たしかに心の豊かさはムーミンへの憧れと通ずるものがあるし、今の日本にないものだからこそ惹かれますね。 杉山 「ムーミンのお話を読んでいると、それぞれのキャラクターは意思がしっかりしています。ある意味自己中心的だったりするけれど、自分の気持ちをはっきり言えるし、自分らしく生きている。そういうところにも、もしかしたら日本の人たちは憧れがあるのかな? という気はしますね」 ■“その空間にいること”に価値を見いだせる場所へ ──では、『ムーミンバレーパーク』ならではの特長はありますか? 杉山 「もともと従来のテーマパークとは位置づけが異なり、『ムーミンバレーパーク』はアトラクションに乗って楽しむという受動的なものではなく、みんなで一緒に作りあげていくようなイメージです。『メッツァ』全体でも、想像・挑戦・創造・共有・解放・探究という6つの体験に価値を置いていて、特に自分の心を“解放”できるというのは、他のテーマパークにはない特長かもしれません。 ムーミン屋敷での生活を“想像”したり、湖を渡るジップラインに“挑戦”したり、ワークショップで “創造”したり…。まだ企画を考えている段階で具体的には決まっていませんが、それぞれの施設やアクティビティで6つの体験のうち何かを感じていただけるよう開発を進めています。 よく、テーマパークはお母さんと子どもは楽しいけれど、お父さんは並ぶだけなんて話も聞きますが、男性は自然に行くことが好きな人も多いので、家族みんなで楽しめる場所になるのではないかと思います。 あとは、シーズナルイベントも見どころです。クリスマスやハロウィンなど定番のイベントだけでなく、たとえば『夏至祭』など、北欧で実際に親しまれている季節のイベントも紹介できればと考えています」 ──北欧ならではの季節イベントは、従来のテーマパークではできない体験ですね。なぜ、飯能という場所を選んだのですか? 杉山 「飯能市には北欧童話の世界観が楽しめる『あけぼの子どもの森公園』があり、もともと北欧と親和性がある場所でした。実際、宮沢湖に視察へ行ったとき、湖と森を見て“ここにムーミン谷があるのは想像できる”ということになったんです。飯能の自然は豊かで、蛍やムササビ、フクロウもいるような場所なんですよね。初めは屋内型の施設も検討していましたが、やっぱりムーミンらしく本物の自然がある場所にしようと方向性を変えたんです」 ──すごく大きな方向転換ですね。でも、親の立場からするとリアルな自然を通して子どもが楽しめるというのは、とても魅力的です。 杉山 「自然とキャラクターの世界観が融合するという点は、オリジナリティが高いと思いますね。ちなみに、フィンランドにあるムーミンワールドを参考にしている部分もありますが、基本的に『ムーミンバレーパーク』は完全オリジナルで作っています。ムーミンワールドは年間で約2ヶ月間しかあいてないので、通年営業という点では世界初のムーミンパークと言えます」 ──特にこだわっているところはありますか? 杉山 「できるだけ自然を残して開発するということと、ムーミンの世界に登場しないものを表現するようなアトラクション等は作らないというところです。パークにあるのは物語に出てくる水浴び小屋や灯台などで、ファンの方々がしっかりと追体験できる場所にしたいと考えています。 せわしなく過ごすのではなくて、ベンチに座ってムーミン屋敷を見て空想してもらうとか、ゆっくりとした時間の流れが感じられる空間にしていきたいですね」 ──テーマパークということで、食事メニューも気になるところです。 杉山 「現在計画中ですが、『ムーミンバレーパーク』では、キャラクターをイメージしたものだったり、物語に出てくる料理を表現したりできると、食事が楽しくなりそうですね。北欧文化を食事でも感じていただきたいです」 ──パークを作る上で、課題に感じていることはありますか? 杉山 「パークとして持続性のある場所になっていくためにも、今の子ども達にムーミンを好きになってもらい、子ども自身が行きたいと言うような場所にしたいと思っています。今までファンではなかった人に、ムーミンの世界観や魅力を伝えていきたいっていうのもありますね。 アクセス面では飯能の認知度がまだまだ低く、“すごく遠そう”というイメージがあるようなんです。実際は池袋から特急で40分なので、都内からそれほど遠くない。圏央道もほぼ開通し、『メッツァ』は狭山日高インターチェンジから約6kmなので、決して不便な場所ではないということも知っていただきたいです」 ──最後に、開園を待つ読者のみなさんにメッセージをお願いします。 杉山 「『メッツァ』は“小さな発見が導く心の豊かさ”を体験できる施設。『ムーミンバレーパーク』はムーミンの世界観や物語、キャラクターを通じていろいろと気付いてもらえる場所にしていく予定です。お子さんが五感を使って自然の中で楽しめるパークですので、ぜひご家族の皆さんでムーミンとその仲間達に会いに来てもらえればと思います。グランドオープンまであと2年、楽しみにお待ちください」 <取材協力> ・ムーミン公式サイト ・ムーミン公式Facebook ・ムーミン公式Twitter @moomin_jp ・講談社絵本通信 ムーミンの本 ・講談社ムーミンの本Facebook ・metsa(メッツァ) ・iittala ARABIA
2017年03月27日『ドラえもん』は、言わずと知れた藤子・F・不二雄原作の大人気マンガ。テレビ放送を毎週観ているという人はもちろん、春休みの恒例行事として『映画ドラえもん』を観に行くというファミリーも多いですよね。 現在、シリーズ37作目となる『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』が公開中! ということで今回は、『映画ドラえもん』が世代を超えて愛され続ける理由について、東宝・映画宣伝プロデューサーの土肥直人さんにお話を伺いました。 ■『映画ドラえもん』の歴史 『映画ドラえもん』は、1980年3月に公開された 『ドラえもん のび太の恐竜』 から35年以上も続く人気シリーズ。通常のコミックとは別に描かれていた、藤子・F・不二雄さんの「大長編ドラえもん」が原作だと聞いています。 土肥 「映画の原作として大長編を『月刊コロコロコミック』で連載し、ほぼ同時進行で映画製作をするという流れを1997年の 『のび太のねじ巻き都市冒険記』 まで続けていたそうです。そこからは、先生の意思を継いだスタッフたちが物語を作ってきました」 ――2005年には、ドラえもんの声優が大山のぶ代さんから水田わさびさんに交代となりました。 土肥 「そうですね。映画は1年お休みをして、2006年に声優が代わってから初めての長編作品 『のび太の恐竜2006』 が公開されました」 ――1980年公開の映画第1作目も『のび太の恐竜』でしたが、このタイミングでリメイクするということにはどんな意味があったのでしょうか? 土肥 「声優が代わるタイミングで、監督や脚本家など制作陣も代わったこともあり、新しく始めるのにふさわしい題材はやはり『のび太の恐竜』しかなかったんじゃないかと思います。 映画に限らず、長く続いてきたドラえもんの声が代わるということで当時色々なご意見がありましたが、子どもたちは違和感なく受け入れてくれたと思います」 ■時代背景を反映しつつも、変わらない本質 『のび太の恐竜2006』は大きなターニングポイントだと思いますが、土肥さん自身が転機になったと感じる作品はありますでしょうか? 土肥 「個人的に2011年の 『新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』 は、公開直後に東日本大震災があったので印象に残っています。 この作品は、大人も感動して泣ける映画でしたが、震災直後は“泣ける・感動する作品”より、“気持ちが明るくなれる作品”が好まれるようになった気がして…。 翌年の 『のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜』 や翌々年の 『ひみつ道具博物館(ミュージアム)』 は、主題歌の曲調も明るかったですし、元気が出る作品に見えるよう、宣伝は心がけました。 2014年の 『STAND BY ME ドラえもん』 は、ドラえもんの良さを再認識してくれた人が多い作品になりました。ドラえもんのすばらしさに改めて気づいた人たちが、春の映画も観に行こうという流れができたことは嬉しかったですね」 ――“地球を大切に”といったテーマで描かれている作品が多いように感じるのですが、今昔の映画で変化している部分はあるのでしょうか? 土肥 「技術面での進歩はありますけど、根底にあるものは変わっていないと思います。たしかに 『のび太とアニマル惑星』 (90年)や 『のび太と雲の王国』 (92年)など、地球を大切にしてほしいというメッセージが強く込められているものもありますし、その時代時代に合ったストーリーになっているのだと思います。 でも、キャラクターの性格など根本的なところは変わっていないのではないでしょうか」 ――変わらないということもまた、大人のファンが多い理由かもしれませんね。 土肥 「もちろん、子どもが楽しんでくれることは大前提ですが、大人が観ても感動できるクオリティだと思います。今では、世の中的にアニメを大人が観ることに抵抗がなくなってきているということもありますし、子どものときにドラえもんが好きだった人が、卒業をせずにずっと観続けられるものにしていきたいっていうのはありますね。 『映画ドラえもん』は 入場者プレゼント がありますが、数量限定ではなく入場者全員、しかも子どもだけでなく大人にも配り続けています。こんな作品はなかなか無いですし、コレクションしている方もたくさんいるので、今後も手は抜けないですね」 ■大人が観るとグッとくる…ハイセンスなポスターが話題に 今回、映画のポスターも大きな話題を呼んでいますが、子ども向け作品とは思えない大人っぽい印象を受けます。 土肥 「このポスターは、もともと高橋敦史監督の中にあるイメージを、イラストレーターの丹地陽子さんとヒョーゴノスケさんが描いたイメージボードでした。 夏にティザーポスターを作る際、たくさんあるイメージボードの中から、氷山を見上げているシーンに決めたものの、残っていたイメージボードもどうにか世に出せないかとデザイナーの浜辺明弘さんとも話していて…。 そんな中で、新宿地下通路に大きな広告を出すことになったんです。イメージボードは本来、製作陣が映画のイメージを共有するためのものですが、結果としてそれをポスター用にアレンジした感じですね。 昔ドラえもんが好きだった方が、子ども時代の気持ちを思い出すような、大人が心を惹かれるポスターになっていると思います」 ――たしかに、表舞台に出さずにいるのは勿体ないクオリティです。しかも、キャラクターが後ろ姿だけというのもおもしろいですよね。 土肥 「ドラえもんの強みは、後ろ姿を見ただけでもわかる造形にあると思います。ありがたいことにイメージボードはものすごく反響があり、はじめは新宿と六本木ヒルズだけの予定でしたが、今後は各劇場に貼られるかもしれません」 ■レギュラーアニメとは違う、映画ならではの魅力 ポスター1枚で私たちの心を掴むドラえもんですが、映画ならではの魅力はどこにあると感じますか? 土肥 「テレビアニメは基本的にギャグアニメなので、ジャイアンが結構ひどいことをしたりするんですよね(笑)。でも、映画になるとそんなジャイアンがすごく良いヤツに描かれていたりして、友情とか、子どもたちに大事にしてもらいたい基本的なことが詰まっていると思います。 レギュラーのアニメより、映画のほうがのび太の優しさが際立つエピソードが多いというのも魅力のひとつですね。映画だと、肝心なところでひみつ道具が使えなかったり、ピンチに陥ったりするのも特徴です。 ひみつ道具を使うのももちろん楽しいけれど、道具だけに頼らず自分たちで頑張って解決していくっていうのは、映画ならではのおもしろさだと思います。今年はドラえもんのピンチを救う、のび太の頑張りに注目です」 ――レギュラーアニメと映画の違いは、意識して作られているのでしょうか? 土肥 「藤子・F・不二雄先生が大長編を描かれていたときから、友情が強く感じられたり、様々なところに大冒険に出かけたりといった部分は変わっていません。 やはりF先生が描いてきたドラえもんの世界観から逸脱するようなことは起こらないというのは、大事にしている部分なんだと思います。 根本が変わらないというのは、親御さんからすると、ものすごく安心できることですよね。 『映画ドラえもんって、こういうものだよね』というイメージを持って、お子さんを映画館に連れて行っていると思うので。親世代になった人が、自分が子どものときにドラえもんを観て感じた原体験みたいなものを、お子さんにも味わわせてあげたいなっていうのがあるんじゃないかと。 新作を作るときは、その普遍性にプラスして今の時代に合うものをエッセンスとして取り入れています。 例えば今回は“スノーボールアース”(昔、地球は丸々凍っていたことがある)という仮説がもとになっていますが、『のび太の恐竜』が公開された当時は恐竜が隕石で絶滅したというのは真説ではなかったように、その時代の子どもたちにワクワクしてもらえるようなお話作りを心がけていると思います」 ――正直、『映画ドラえもん』のストーリーは子どもにとって少し難しい部分もある気がするのですが…? 土肥 「僕自身もちょっと難しいんじゃないかと思う部分はありますが、実際にはお子さんがすごく真剣に観ていて、終わった後も『おもしろかった!』と言っているんですよね。おそらく、物語の中で理解していない部分もあると思います。でも、それが逆に親子としての会話に繋がっていくと思うので、それはそれでいいんじゃないかなって」 ――同じ作品なのに、親子で感じ方が違うというのもおもしろいですね。 土肥 「僕が思うに、『映画ドラえもん』の魅力は“日常から始まり、非日常なことが起こって、日常で終わる”ということ。子どもたちにとってドラえもんは、テレビで観るのが日常。だから映画館に行くということ自体が非日常なんですよね。 そんな映画の中でドラえもんが非日常に行くことで、子どもたちも大冒険できる気がするんです。ドラえもんたちと一緒に日常から非日常に行って、日常に帰ってくる…。春休みの良い思い出になると思うので是非お子さんを映画館に連れて行ってあげてほしいし、家族で観てもらいたいです。 パパ・ママはドラえもんの良さをわかっているはずですからね。何世代にも渡り、これからも繋がっていってほしいと思っています」 『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』 3月4日(土)全国東宝系ロードショー! ■原作:藤子・F・不二雄 ■監督・脚本・演出:高橋敦史(『青の祓魔師 ―劇場版―』) ■CAST:ドラえもん:水田わさび のび太:大原めぐみ しずか:かかずゆみ ジャイアン:木村昴 スネ夫:関智一 ■主題歌:平井堅「僕の心をつくってよ」(アリオラジャパン) ■公式サイト (C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ動画・ADK 2017
2017年03月17日イギリス生まれのヤンチャな機関車「トーマス」。ママ世代ではジオラマに模型だった映像が、今ではCGアニメーションへと変化。表現方法は変わっても、子ども達からは変わらぬ人気を集めています。 今回は「きかんしゃトーマス」の日本でのマーケティングを担当するソニー・クリエイティブプロダクツの西岡敦史さんと、長年、同社でクリエイティブを担当してきた久岡たつやさんにインタビュー。トーマスのはじまりは、ある牧師が息子に語り聞かせた機関車の物語。その歴史と、魅力に迫ります。 ■トーマス誕生の経緯と歴史 「きかんしゃトーマス」の原作となるお話は、イギリスのウィルバート・オードリー牧師によって書かれました。それが1945年に出版された汽車の絵本『3だいの機関車』という絵本です。 久岡 「実は最初の絵本に、トーマスは登場しません。最初はエドワード、ヘンリー、ゴードンのお話でした。オードリーさんのイメージだと主人公はエドワードだったと思います。子どもの頃に住んでいた家のそばで働いていた機関車をイメージして作ったみたいですね。 トーマスが出てくるのは、2巻目から。息子であるクリストファーにねだられて、彼がトーマスと名付けたお気に入りの木製玩具をキャラクターとして登場させたそうです」 西岡 「玩具は、もともと緑色の機関車。それで2015年に発表された長編作品『きかんしゃトーマス トーマスのはじめて物語』の中にも、初めは緑だったトーマスが青に塗られるシーンがあるんですよ」 久岡 「トーマスに書かれている車体番号は1番。クリストファーが2歳くらいの時にはその玩具に“1”しか書けなかったから、1番になったという話も聞いたことがあります」 西岡 「ストーリー自体は、幼いクリストファーが病気になったときに、オードリーさんが物語を語り聞かせたのがはじまりなんですよね」 久岡 「イギリスは読み聞かせの文化なので、オードリーさんが自分の好きな鉄道の記憶を紡いでお話を作っていったようです。彼は今で言う機関車好きの“鉄ちゃん”だったと思います」 西岡 「実は現在、その息子が引き継いで本を書いているんですよ。お父さんは26巻までで、27巻からの作者はクリストファーです。トーマスは、イギリスでは70年以上の歴史があるので誰もが知っている3世代キャラクター。日本で絵本が出版されたのは1973年で、原作の誕生から30年近く経ってからなんです」 久岡 「絵本が初めて出版された1945年は、第二次世界大戦が終わった年。本当はもっと早く出したいという話もあったけれど、物資不足でなかなか本が出せず、戦後になってようやく出版できたという経緯があります。物資がなかったので、紙の質も良くないんですよ」 ■トーマスの魅力と、オードリー牧師の願い ひとつの乗り物である機関車を、まるで人のように描いたトーマスの世界。そこには道徳心を伝えたいという、牧師ならではの願いが込められていました。 久岡 「初めて映像を見た時に僕も、機関車に灰色の顔が付いていることにビックリしました(笑)。蒸気機関車は自分で燃料を燃やして動力を作って走っているから、生き物に近いという印象なんでしょうね。頑張って走っている蒸気機関車を観ると手を振る人がたくさんいるっていうのも、そういうことなんじゃないかなって」 西岡 「トーマスは、出てくるキャラクター設定がすごく現実的。ガキ大将もいるし、ワガママもいるし、気が弱いのもいる。個人的にはイギリスならではのリアルな設定だと思います。現実離れしていないから、感情移入しやすい。 一般的に子ども向けのアニメは勧善懲悪がハッキリしているけれど、トーマスはそれがないのが特徴じゃないかと」 久岡 「やっぱり牧師が書いた話だから、道徳心を根付かせたいという思いがあるんだと思いますね。“悪いことをすると罰が当たる、でも反省すればいいんだよ”って。だからお話では、みんなワガママを言って結局失敗するけど、その後、自分が悪かったんだと反省する。また何度も同じことを繰り返すけどね(笑)。 物語の根底は、人の成長を諭すというところにあるのでしょうね。またオードリーさんはお話を作るうえで、子どもが簡潔に理解できるような文体にすること、さらにお話の内容は実際の鉄道であったことをベースにすることを心がけていたみたいですね」 久岡 「後年、オードリーさんは絵本を通じて保存鉄道に関心を集めることを目的にしていたようです。実際、絵本では保存鉄道を舞台にしていたり、ステップニーという実在する蒸気機関車がブルーベル鉄道という保存鉄道の象徴として登場したりしています。 子どもに対しての道徳心と共に、蒸気機関車を忘れないでほしいという気持ちで絵本を書いていたんですね。執筆していたころの鉄道が蒸気機関車からディーゼル機関車に変換する時期だったので、お話ではディーゼルが意地悪に書かれていたりもするのでしょう」 ■紆余曲折を経てアニメ化が実現 初めてのアニメーション化は、1984年。絵本の出版から実に40年近く経ってからでした。長い長い道のりを経て、ある人物との出会いを契機にようやく実現したのです。 西岡 「アニメ化が実現したのは、ブリット・オールクロフトという人物が映像化しようと思い付いたのがきっかけだと言われています」 久岡 「実は、それ以前にも映像化を試みたらしいんですけど、あまりにも出来がよくなかったようでオードリーさんが映像化なんてダメだと却下したみたいです。 ブリット氏はBBC(イギリスの公共放送局)のプロデューサーで、もともとトーマスが好きだったこともあり、どうにか映像化したいと持ちかけました。オードリーは最初前向きじゃなかったけれど、自分が鉄道のジオラマと模型を作っていたこともあって“ジオラマでやればいいのでは?”と提案したらしいということです。 映像化が成功したもうひとつの要因は、監督がデヴィッド・ミットンという『サンダーバード』の制作に携わっていた人だったことかもしれません。制作でデヴィッドと組んだことで、イギリスの特撮技術を生かして、ジオラマを使ったあの世界観ができたんじゃないかと。 実際には、ジオラマのほうがセルアニメやストップモーションアニメよりもコスト的に安かったらしいですけどね。必ず原作から映像化するという約束のもとで、TVシリーズが制作されました」 ■ジオラマの制作秘話 ママ世代には馴染みのあるジオラマと模型による撮影の裏側とは? 久岡 「ロンドン郊外のスタジオの中にセットを組んで、1シリーズ全26話を一度に制作します。山のセットを作ったら、山が出てくるシーンを全話分撮る。それが終わったらセットを変える…すごくちっちゃなカチンコで『よーい!』って(笑)。 できたところから上映するのではなく、26話分を一気に撮影してその後、編集して放送するというシステムだったと思います」 西岡 「撮影に使っていたジオラマは、スタジオいっぱいに広がっていてすごく大きい」 久岡 「周りには空のカーテンがあって、晴れ・夕焼けっていうのを変えながらセットを組んでいました。隣にある工房で、職人さんたちが機関車から建物や小物までを作っているんですよ」 西岡 「今はCGになって表情が豊かになりましたけど、昔は目が動くだけでしたからね。顔の表情も、笑っている顔や怒っている顔をはめ変えたりして」 久岡 「とにかくすべてが手作業だった。煙をタイミングよく出したり、線路に沿った形で天井にもカメラ用のレールを引いて、機関車が走るシーンは列車を機関車たちの目線で撮影した。手作りなので手間がかかる。でも、それだけ映像に存在感がありましたよね」 ■ジオラマからCGへの変換 2009年、従来のジオラマからCGアニメに変換され、ナレーションは森本レオさんからジョン・カビラさんへ。今でも毎年、20~26本程度の新作を制作しているそうです。 西岡 「CGへの変換はコスト面など…時代ですね。ジオラマで撮るとセットも大掛かりだし、人もたくさん必要。やっぱり歴史を知っている人からは“あの味がいいんだ”と反対意見もあったけど、子どもたちは違和感なく受け入れてくれました。 実写からCGになって表現力は格段に上がり、ジャンプや激しいアクションが増えている。全体的にきめ細やかで綺麗ですしね、実写だと限界がありますから」 久岡 「スピード感や機関車の大きさは、CGのほうが伝わっていると思います。カメラワークとして入れなかった場所も映像化できるし、また人間の表情も表現できるようになりました」 西岡 「ただCGになっても、友情やチームワークがテーマであるので変わっていないし、それはずっと受け継がれているもの。勧善懲悪を打ち出すのではなく日常の姿を描いているところも、原作から全然変わっていないですね」 久岡 「うん、作品として一本貫いているところがあるからね。これからも時代の流れで変わっていく部分もあるかもしれないけど、根底にあるオードリー牧師の精神は変わらないでほしいですね」 ■イギリスでのトーマス 過去に何度もトーマス誕生の地・イギリスを訪れているというお二人。イギリスにおいて、トーマスはどのような存在なのでしょうか? 西岡 「オードリーさんが小さな頃に育った家は、重要文化財に近い位置付けで保存されていて、トーマスの絵とオードリーさんが住んでいた期間が記されたプレートが壁にはめ込まれています。彼が最後に牧師をやっていた教会にはトーマスのステンドグラスがあって、文化的なものとして大事にされているんですよ」 久岡 「今でいうところの聖地巡礼もできそうな感じ(笑)」 西岡 「本当に(笑)。イギリスでは歴史も日本より長いので、マーケットとしては大きいです。人口は日本の半分だけど市場は同じくらいあるので、一人あたりのマーケットに対する貢献度は2倍くらいあるのかな」 久岡 「イギリス人は鉄道発祥の国というプライドもありますしね。でも幼児期は乗り物…とくに機関車や鉄道は、世界共通でみんな好きですよね」 ■日本でのトーマス 日本では、1990年にフジテレビ「ひらけ!ポンキッキ」内のコーナーとして初めて「きかんしゃトーマス」が放送されました。今でもNHK教育テレビジョン(Eテレ)で、毎週放送されています。 西岡 「ここ3、4年で、女の子のトーマスファンが増えてきました。テレビで放送されているというのもあるけど、静岡県で本物の蒸気機関車を改造したきかんしゃトーマス号が走っていたり、ミュージカルだったりとライブで楽しむ機会が増えたので、男女の隔てがなくなってきた気がします。 日本でも、トーマスを子どもの頃に観ていたお母さん達が自分の子どもにトーマスを観せるという年代になってきたし、日本の市場規模は間違いなく世界で5本の指に入ります。だからこそ、日本からの要望もある程度は受け入れてもらえるっていうのはありますね。 僕らが権利を預かってから“日本の機関車が欲しい、欲しい”と言い続けてやっと通ったのがヒロ(2010年公開の映画『きかんしゃトーマス 伝説の英雄(ルビ:ヒロ)』で初登場)なんです。D51の人気もあって、反響はすごかったですね」 久岡 「新橋駅にある機関車を観て、子どもが“ヒロ、ヒロ!”って言っているもんね(笑)。作品の中でも、一番印象的なのはやっぱり『きかんしゃトーマス 伝説の英雄(ヒロ)』ですね」 西岡 「僕も同じです。CGになって映画もたくさんの人に観てもらえたし、ヒロの玩具もすごく売れた。劇中にも、日本っぽい木の橋を渡るところがあるんですよね」 久岡 「そうそう、渡月橋みたいな」 西岡 「ヒロは陰の立て役者で、あまりワガママな感じがしない。そんなところも“日本人”がうまく表現されていると思います」 ■歴史的背景とトーマス ヒロがD51をイメージしているように、キャラクターはすべてが世界の機関車やディーゼル機関車をモデルにしています。そのチョイスも、時代にそって変化を遂げてきました。 久岡 「アレンジはしているけれど、基本的にすべて存在する列車。初期の頃は彼の好きなイギリスの蒸気機関車ばかりだったけど、だんだんグローバルに展開していくようになって、外国のキャラクターが増えました。 あとは蒸気機関車の仲間として、エミリーという女の子が出るようになったのも時代の流れ。以前は女の子は客車や問題のあるディーゼルだったりして、メインのキャラクターにはいませんでした」 ■『映画 きかんしゃトーマス 走れ!世界のなかまたち』の見どころ 登場するキャラクター数が多いのも「きかんしゃトーマス」の大きな特長。原作では30程度だったキャラクターが、今では機関車だけでも100を超えるくらいに増えました。今回の映画にも、たくさんの新キャラクターが登場します。 西岡 「『映画 走れ!世界のなかまたち』は、海外では昨年公開されています。昨年はオリンピックイヤーだったので世界中からアスリートが集まるというテーマだったようですね。各国のキャラクターは本当に個性豊か。 しかも日本でいうヒロのように、それぞれの国の機関車を応援したくなりますよね。今回の映画で今までと大きく違うのは、ミュージカルの要素が強く、歌のシーンが多いこと。子どもも物語に入りやすいし、よりキャッチーな映像になっていると思います」 久岡 「昨年はどちらかというとアクションや冒険だったけど、今回は楽しいミュージカル」 西岡 「ちなみに、映像の各キャラクターに声をあてたのは日本が初めてなんですよ」 久岡 「イギリスは読み聞かせの文化なので、ナレーターひとりしかいなかった。最初のナレーションはリンゴ・スターだったし、いろんな人がナレーターを務めてきた。それがCG化するタイミングで、本国でも声あてに変えたんです」 西岡 「この映画では、歌もすべて声優さんに吹き替えてもらっています」 久岡 「日本版では、声優さん達がみんな一生懸命歌っていますよ!」 西岡 「トーマスのアニメ版長編作品としては初めて女性ゲスト声優としてお招きした渡辺直美さんも、アシマというキャラクターにぴったりとハマっているし、歌もガンガン歌っている。すごく上手なので、ぜひ注目してほしいですね」 『映画 きかんしゃトーマス 走れ!世界のなかまたち』 4月8日(土)より、シネ・リーブル池袋、全国イオンシネマ(一部劇場除く)ほかにて全国公開 HP: 【提供】ソニー・クリエイティブプロダクツ 【配給】東京テアトル (c) 2017 Gullane (Thomas) Limited.
2017年03月09日子どもの幼稚園入園をきっかけに、この春お弁当デビューを果たすママも多いはず。「キャラ弁がすごいらしい」なんてウワサを聞くけれど、ちょっぴり面倒だし、不器用な自分にもできるのか?などと心配している人もいますよね! そこで今回は、初めてのお弁当作りをサポートしてくれる便利なアイテムをAmazonライフ&レジャー事業本部ホーム事業部の佐藤美波さんに聞きました。時間がない中でも、子どもが喜んで完食してくれるお弁当作りを目指しましょう。 ■彩り豊かなお弁当を、楽しく手軽に作りたい!! 初めて親元を離れて食事をする子どもにとって、お弁当はやっぱり見た目も大切。お弁当箱を開けた瞬間の「ワ~ッ!」という感動を味わってほしいですよね。でも、子どもが好きなものを詰めてみたら、茶色ばかりの地味なお弁当になってしまった…なんてこともありがちです。 今回はお弁当を華やかに彩ってくれるデコレーショングッズから、定期的にAmazonランキングの上位にランクインしているもののうち、特に人気の商品BEST5を教えてもらいました。新生活が始まる前からちょこちょこ売れ始めるというお弁当グッズ。しっかり予習して、春からのお弁当作りに備えましょう! ■Amazonお弁当デコレーショングッズBEST5 1位 のりパンチ フェイス FG-5103/貝印 2位 アンパンマン キャラ弁つくろう! かんたんキット 2093574/バンダイ 3位 おべんとう抜き型 たのしメール/アーネスト 4位 お弁当 ピック はたらくのりものピック 11本入 P-3170/トルネ 5位 LKVN1/スケーター ■TOP5のここがすごい! 解説&気になる価格は? ▼1位 のりパンチ フェイス FG-5103/貝印 足形のフォルムがかわいいのりパンチ。のりを挟んでカチャッと押すだけで、顔のパーツにカットできます。実は100円ショップなどにも類似品は売られていますが、この「のりパンチ」は刃物の老舗メーカー・貝印が作っているので切れ味抜群! キレイにカットできるので、型を抜いて残ったのりも、パパのお弁当や朝食にも活用できます。裏面にはカバー(受け皿)があり、抜いたのりがバラバラにならないのもポイント。さらに、パーツの組み合わせ次第で様々な表情に仕上げることができるので、これ一つで毎日違う顔のデコレーションが楽しめます。 ■ハサミ & ピンセット DH-7053 「のりパンチ」を使う上で、あると便利なのが「ハサミ&ピンセット」。小さなのりは指だとつまみにくく、一度失敗すると修正が難しいもの。ピンセットを使って、一発で位置を決めるのがベストです。 チーズなどを切る際に使うハサミは、通常のキッチンバサミだと切るのが困難な細かいパーツもカットしやすく便利。お弁当用として、1セットそろえておくのもよいかもしれません。 ▼2位 アンパンマン キャラ弁つくろう! かんたんキット 2093574/バンダイ 抜き型やピックなどがセットになった基本のキット。アンパンマンは男女問わず人気があり、初めてのお弁当作りで、何を買ったらいいかと迷った人におすすめです。定番のおにぎり型だけでなく、下記の写真のように温かいゆで卵を入れるとキャラクターの形にできるというアイデアグッズも。 うずらの卵用はアンパンマン・しょくぱんまん・カレーパンマンがそろい踏みで、いつものゆで卵がパワーアップ! カラフルなバランとピック入りで、彩りもバッチリ。持ち運びできるカード型のレシピ付きなので、そのまま買い物メモとしても使えます。すべてセットで1250円前後と、バラバラにそろえるよりお得かも!? ▼3位 おべんとう抜き型 たのしメール/アーネスト お弁当グッズには見えないカラフルな文字の抜き型セット。カットしたハムやチーズ、薄めの野菜を使って「えんそくたのしんでね」「うんどうかいがんばって!」などのメッセージを書くことができます。「お」など点のある文字もすべて1パーツになっているので、バラバラになることなくスムーズに貼ることができるのも魅力。 小さい「や」や濁点、ハートなどの記号もあり、表現方法は自由自在! お弁当にメッセージを添えたり、一緒に型抜きを楽しんだりすることで、文字に興味を持ち始めた子どもにとっては知育玩具のような役割も。お弁当を食べながら楽しく文字の勉強ができたらうれしいですよね! ▼4位 お弁当 ピック はたらくのりものピック 11本入 P-3170/トルネ お弁当作りの中で、もっとも簡単に見栄え良く仕上げてくれるピック。1本刺すだけで、全体の印象がガラっと変わります。この「はたらくのりものピック」は、潜水艦やトラックなど、乗り物好きにはたまらないラインナップ。幼稚園の場合、一般的に食べ終えた後のピック類はすべてお弁当箱に入れて持ち帰るので、洗えば何度でも利用できます。 フォークで刺すのが難しい小さな食材や、苦手な野菜に刺すなど、子どもが喜んで食べたくなるような工夫を。男の子向けのデコグッズは青や緑などが多いですが、このピックは黄色、赤、ピンクなどカラフルなので、お弁当が華やかに仕上がります。 ▼5位 LKVN1/スケーター ただの型抜きではなく、キャラクターの顔まで作ることができるアイテム。トミカ、ハローキティなどのバリエーションがある中で、一番人気はワンピースなのだそう。100円ショップなどにもお弁当グッズはたくさんありますが、女の子用のアイテムが多く、男の子向け商品が少ないという店舗も…。 そんな中で「男の子用のカワイイお弁当グッズを」と、ECサイトで検索するママも多いのかもしれませんね。にんじんを茹でたものに型押しするなど、夕食のカレーに添えて野菜嫌いの克服に活用する人も多いのだとか。クッキー型としても使えるため、お弁当に限らず幅広く活用できます。 ■時短&最新! 周囲と差が付く! いま注目のお弁当グッズ ここからは、今年オススメのお弁当グッズをご紹介。便利に使えて、お友達にも自慢できちゃう最新グッズは必見です! ▼お弁当用 小分け 保存容器 ベーシック SMT2SL/スケーター 佐藤さん一押しのシリコン製の小分けカップは、忙しいママにおすすめの時短グッズ。事前におかずを詰めて保存しておけば、朝はお弁当箱に入れるだけなので楽チンです。カップのサイズは2種類で、ケースをそのままお弁当箱としても利用OK! アルミカップだと細かいお豆などが移動してしまったり広がってしまったりするけれど、このカップは四角形でしっかりしているので、こぼれにくく安心です。さらに冷凍保存も可能なので、週末の作り置きにも便利! 電子レンジ・オーブン対応で、具材にチーズやマヨネーズを乗せて焼くなど、レパートリーも広がります。 ▼おむすびニャン A-76708/アーネスト 去年の10月に発売され、じわじわと人気が上昇している猫型おむすび作成キット。付属のおにぎり型で炊飯器から直接ご飯をすくって、後ろから押えると立体的な猫の顔が作れます。のりやハム、野菜が切れる専用カッター付きで、毎日いろいろな猫の表情が楽しめます。 実は包丁やしゃもじなどのキッチングッズの中で、猫柄のものは大人気なのだそう。子ども用としてはもちろん、大人でキャラ弁を作りたいという人からのニーズもあるようです。ちなみに犬好きの人には、犬型おむすびが作れる「おむすびワン」もありますよ! ▼おにぎりラップ 18枚入 スター・ウォーズ ペーパーカット ディズニー LBL1/スケーター ラップのように直接おにぎりを包み、付属のシールで留めるだけ。普段おにぎりを作るのと変わらない手間で、見栄えはグンと華やかに。お弁当箱に入れず、お弁当袋にそのまま入れておくこともできます。 一番人気は、かわいらしいスター・ウォーズ柄。ちなみに女の子向けでは、ちいさなプリンセス ソフィアの商品が人気上昇中だそう。 サンドイッチ用のパンをくるくると丸めて包んでもかわいく、お友達とちょっと差がつく最新アイテムです。 「刺すだけ」「押すだけ」「包むだけ」というちょっとのひと手間で、お弁当を華やかにしてくれるデコグッズは忙しいママの強い味方! 上手に活用して、“子どもが笑顔になれる”お弁当作りを楽しみたいですね。 取材協力/出典 Amazonお弁当箱・水筒ストア HP: Amazonホーム&キッチンストア HP:
2017年02月24日子どもから大人まで、幅広い年齢層から愛されているスヌーピー。実は本国のアメリカを除くと、世界的にも断トツで人気が高いのが日本なのだとか。そんなスヌーピーの知られざるルーツを探るべく、六本木にあるスヌーピーミュージアムに行ってきました。 スヌーピーの歴史からキャラクターが持つ“オシャレ感”の秘密まで、同ミュージアム館長の中山三善さんと、クリエイティブディレクター・草刈大介さんに、その魅力をたっぷりと語っていただきました。 ■スヌーピーの生い立ち スヌーピーが誕生したのは1950年。『PEANUTS』というマンガに登場するキャラクターで、もともとは主人公のチャーリー・ブラウンが飼っているしゃべらない脇役の犬でした。でも作者のチャールズ M. シュルツ氏は、スヌーピーを徐々に子犬から人間以上の存在にしていったと言います。 草刈 「シュルツさんが子どもの時に飼っていたスパイクという犬が、とても変わった犬だったみたいで。家族の中では人間の言葉を50くらい理解できると言われていたり、コーラを飲んだり、画鋲を食べちゃうなんてエピソードもあるんです。この時から、シュルツさんの心の中には、普通とは違う“変わった犬”のイメージがあったんですよね。 実は『PEANUTS』の前にも『リル・フォークス』などいろいろなマンガを描いているけれど、そのすべてにおもしろい犬が出てきます。恐らくそこには、小さな時に飼っていたスパイクの影響がある。シュルツさんは『PEANUTS』の連載が長く続いていくに連れて、スヌーピーがスパイクみたいだったらどうだろう?と考えるようになったんです。 深層心理の中にあった“変わった犬”のイメージが、スヌーピーに人間以上のことをさせるようになったルーツであり、大きなキッカケになっています」 ■スヌーピーの今と昔 長年に渡って絶大な人気を誇り続けるスヌーピー。親世代、子ども世代という今昔で、人気のあり方に違いはあるのでしょうか? 草刈 「今はキャラクター人気が先行していますが、昔はコミックの人気があったと聞いています。1967年に『PEANUTS』が日本で刊行されて、現代詩人の谷川俊太郎さんがマンガを翻訳しているっていうのが新鮮だったし、日本で出版されていたマンガと比べてすごくオシャレだった。 表紙は日本語だけど裏表紙が英語で書かれていて、カッコつけて裏面にして置いてみたり…当時の若い子たちは、コミックにすごく影響を受けていたんです。コミック発行から1年ほどでグッズが出るようになって、これは日本のキャラクターグッズの走りでもあります。 白黒のシンプルな絵柄が日本人はすごく好きだし、今までの日本のキャラクターにはないオシャレさがあった。なので当時は、コミックもグッズも両方人気があったんですよね。 今はキャラクターのほうが人気になってしまって、意外とコミックが読まれていない。爆笑するようなものではないけれど、ユーモアがあるコミックのおもしろさが伝わっていないので、ミュージアムではその本来の部分を伝えたいっていうのがありますね」 ■スヌーピーの変遷 スヌーピーにとって、もっとも大きな進化は四足歩行から二足歩行になったこと。他にも50年の歴史の中で、鼻が丸くなったり、お腹がポッコリ出てきたり、容姿が少しずつ変化しています。 草刈 「意図してやっている部分と、描いていたら自然とそうなったっていうのが混ざっているんじゃないかな。たとえば子犬の姿だと、犬小屋の上に乗る姿が想像できないじゃないですか。でも胴長になって手足が動くようになると、人間のすることができるようになる。 そうすることで、もっともっと人間みたいなことをやらせてみようとか、動物の真似をさせてみようかとか考えるようになったのではないかと。60年代になると、二本足で立って、普通の犬じゃできないことをさせるようになりますが、当時はずっと立っているわけではなくて、完全に立つようになるのは70年代になってからなんです。 でも、なぜか晩年の頃になると、普通の犬のように座っているポーズが増えている。実はシュルツさんが新たに犬を飼ったっていうのもあって、それが影響しているっていう話もあるんですよ。マニアックな話ですけどね(笑)」 ■『PEANUTS』に登場するキャラクターの秘密 子ども同士が日常のあれこれを話す様子を描いた『PEANUTS』には、個性豊かなキャラクターたちが登場します。主人公のチャーリー・ブラウンをはじめ、それぞれモデルとなった人物とは? 草刈 「『PEANUTS』には主要なキャラクターが10人ほどいますが、とくにチャーリー・ブラウンはシュルツさん自身の投影だったと言われています。町の中を歩いても誰からも気付かれない…そんな平凡な自分を、チャーリー・ブラウンに重ねていたようです。 でも、必ずしもチャーリー・ブラウンのすべてがシュルツさんの投影ではないんですよ。シュルツさんのことを知る人が言うのは、“全部のキャラクターがシュルツさんの分身である”と。すべてのキャラクターについて、それぞれある部分はシュルツさんの分身であるけれど、そうでない部分もある。 キャラクターの名前は、だいたい彼が出会った人の名前から取っているけれど“その人物=キャラクター本人”っていうわけではなくて。すごくおもしろいですよね」 草刈 「小さな子どもからは、スヌーピーが圧倒的に人気です。一般的にいうと、その次がウッドストックで、次がチャーリー・ブラウン。コミックが好きな人はそれぞれに思い入れがあるし、それぞれ性格付けがしっかりしているので、“自分=このキャラクター”みたいなものが必ず見つけられるようになっているんです。 口が悪くて有名なルーシーや、優しいライナス、勉強が苦手だけど自由に生きているペパーミント パティや、インテリ系のマーシー…。とくにペパーミント パティとマーシーの2人の友情は、今までのキャラクターにはできない役割ができる点でシュルツさんがすごく気に入っていて、60年代後半に初登場してからは、チャーリー・ブラウンと同じくらい出てきます。 キャラクターは全部で70くらいいますが、メインは10人プラス2匹(スヌーピーとウッドストック)。あとはスヌーピーの兄弟関係ですね。ちなみに4月からスタートする展覧会では、そんなオールスターの紹介をします。今回の展覧会でスヌーピーのことがわかり、次回で『PEANUTS』の世界がすべてわかる。そんな流れになっています」 ■『PEANUTS』が伝えたいメッセージ 日本では「名言集」が発売されるなど哲学的な捉え方もされる『PEANUTS』ですが、本来シュルツ氏が届けたかったこと…それは、ちょっと落ち込んでいる人への励ましと、ハッピーを見つけるための勇気でした。 草刈 「そもそも『PEANUTS』は、“コイツまた同じこと言ってる”とか“また失敗した”とか、前からの連なりで常に笑える、微熱のおかしさがあるギャグマンガ。深読みするといいことを言ってたりするけれど、シュルツさんは小難しいことを言おうとしていたわけではなくて、朝、新聞を読んだ時にクスっと笑ってもらいたいなっていうのがあって。 もちろんそれ以上の思いも込めていたとは思うけど、哲学的な部分が前に出すぎるのはちょっと違うのかなって思います。登場する子ども達を通じて、我々が日々感じたり、考えたりしていることが描かれている。特に恋の話が多くて、いろんな一方通行の恋があるけれど、絶対にうまくいかないんです(笑)。 それは、シュルツさんが結婚したかった人にプロポーズしてフラれたっていう苦い経験のせいだと言われているけれど、失恋したってしんみりすることはなくて、そこには必ず笑いもある。失恋も人生の一部だし、みんなが必ず経験していることだから、マンガを通して励ます感じですよね。 友達や親との関係とか、日常のあらゆることでちょっと悩んだとき、『PEANUTS』を読むとなぜか励まされている感じがする。劇的なことは何ひとつない。でも、子どもが言うからすごく受け入れやすくて、かつおもしろいんです。 チャーリー・ブラウンが象徴的ですけど、人生で成功することってあまりなくて、うまくいかないのが当たり前。そこでくよくよしないで、ハッピーなことを自分で見つけていこうよってね」 ■これからのスヌーピー 2015年には映画も公開され、誕生から60年以上経った今なお発展し続けるスヌーピー。中山さんと草刈さんが思う今後の展開とは? 草刈 「スヌーピーの人気は、アメリカでも日本でも高まっています。ビジネスとしてうまくいってるっていうのもあるけれど、今、求められている何かがあるんじゃないかと思います。それは大げさなことじゃなくて、自分と周囲の人のことを考えるのが大切な時代なんじゃないかっていうこと。これから、もっともっと人気が出ちゃうと思いますね」 中山 「2013年に六本木ヒルズでスヌーピー展をやったときに感じたのは、笑顔の多さ。展示室を観たあとにショップ行くと、みんなの目の色が変わるんですよね。それを見て、“すごい!普段の展覧会とは違うぞ”と。アメリカにあるシュルツ美術館は、当然ながらシュルツさんの美術館。 そこは、シュルツさんが何をしてきたかを世に伝える場であるけれど、スヌーピーミュージアムは分館なので、スヌーピーの源がどうゆうものなのかをきちんと説明していく役目がある。“新聞に連載されていた”とか、“全部で18000話くらいある”とか、そうゆう基本的なことを伝えていく。 お客さんも楽しめるし、シュルツさんの奥様や本館も喜んでくれることなので、このミュージアムはとてもわかりやすい役割を担っていると思います。ここに来て初めてスヌーピーの歴史を知った人が、違う角度からもっと深いスヌーピーファンになる。そんなお客さんの期待することが、次のスヌーピーに繋がっていくんじゃないかと。 シュルツさんはお亡くなりになっていますが、スヌーピーはまだまだ進化していくと思いますね」 ■キャラクターとしてのスヌーピーの魅力 人々を惹き付ける力があるスヌーピーには、「単純に絵が好き」というファンも少なくありません。なんとなく感じるオシャレ感…その秘密は“媚びない”というキーワードにあるようです。 中山 「スヌーピーは、コミックとしては大人向け。でもキャラクターとして見たときに、他のキャラクターとは媚び方が違う気がします。スヌーピーのほうから“私かわいいでしょ?”って、まったく主張しない。それは、もともとのスヌーピーの性格があってこそなんですよね。 キャラクターとして可愛くあるために描かれているわけじゃないから、作られたものとは本質が違う。だからこそ、小さな子どもが喜ぶものから、大人が可愛いと感じるものまで幅広く人気があるんじゃないかと」 草刈 「たしかにスヌーピーは媚びていない。すごくシンプルで大人っぽい。それがキャラクターとしての人気を維持している秘密だと思います。スヌーピーの引き算された余白がある絵は、彼が何を考えているかを想像する余地がある。その感じが心地いいんです。日本人はやり過ぎが好きじゃないけど、かといって寂し過ぎるのも好まない。 その絶妙なところをみんなが見つけちゃったのでしょうね」 中山 「細かく言うと、グッズについては描かれている絵を変えたり加工したりしないっていうライセンス上の約束を世界中で守っています。グッズを作るときにはクオリティ管理のために、すべてアメリカ本国のチェックを受けるんですよ」 草刈 「商品全般でいうと、日本のクオリティはものすごく高い。大人がキャラクターグッズを持つっていう文化は、日本だけですからね。だから『PEANUTS』の仕事している大人たちは、日本の商品をすごくいいなぁって言っています」 ■ミュージアムの見どころ&親子で楽しむポイント 会場の中は、大人向けでありつつもオリジナルの映像や覗き穴、展示物など、子どもが興味を持つような仕掛けが盛りだくさん!子どもと大人、それぞれが違う視点で楽しめるスヌーピーミュージアムは、子どもと出かける初めての美術館にもピッタリです。 草刈 「現在開催している第2回展のテーマは「もういちど、はじめましてスヌーピー。」。スヌーピーのことをみんな知っているようで全然知らないので、なぜ作者がスヌーピーを思いついたのかとか、スヌーピーについてもっと知ってほしいと思います。 1950年のスヌーピー誕生から2000年までの代表作を原画で展示して、ハッピーダンスなど有名なシーンは映像でも紹介しています。ミュージアムの中には全部で1000くらいのスヌーピーがいますが、これは二度とない機会。スヌーピーのシャワーを浴びて、ますます好きになってもらいたいですね」 中山 「あくまで美術館なので、走り回るなど他のお客さんのご迷惑になってしまうのは困りますが、高低差がなく比較的安全に作られているので、今までに事故は一度もありません。触ってはいけないものはアクリルケースに入っていますしね。 ミュージアムの来場者を見ると、小さなお子さんのいる親子連れもいますが、大人になった娘さんと一緒に来場する人も多いです。そういった意味でも、親子で来ている人の割合は、ほかの美術館より多いと思います。中には3世代で来場する方もいますし、幅広い年齢層の方が楽しめる美術館になっています」 草刈 「子どもは、コミックの内容まではわからなくてもいいと思います。キャラクターとして小さな時に好きだったという記憶は、確実にすり込まれていきますから。 僕も子どもの時、家にスヌーピーのコミックが置いてあったけど、どこがおもしろいのか正直よくわからなかった。でも、愛着があればきっと馴染みのあるものになるし、ミュージアムがそのキッカケになってくれればと思います」 スヌーピーミュージアム www.snoopymuseum.tokyo
2017年02月22日入園入学準備をする上で、避けて通れないのが持ち物への「名前付け」。バッグやタオルはもちろんクレヨン1本1本にも名前を書かなくてはならず、想像以上に手間と時間のかかる一大イベントです。心のこもった手書きもいいけれど、できれば可愛くキレイに、何よりラクに済ませたい! そんな思いをサポートしてくれる、人気の名前付けグッズについてAmazonに取材しました。文具・手芸部門から、日々忙しいママにはうれしいアイデアグッズが続々登場しますよ。 ■名前付けグッズが手に入るのは手芸店?それとも文具店…? 入園入学に向けて名前を付けるアイテムは、布製品からプラスチックまで、素材も大きさも様々。そもそもどこに行けば名前付けグッズが手に入るのかわからないという声も多く、ECサイトで最新グッズを検索・購入するというパターンが増えているのだとか。実用的なグッズだからこそ、購入者のレビューを重要視する人も多いようです。 ■Amazon文房具部門で人気の名前付けグッズTOP5 まずお話を伺ったのは、Amazonハードライン事業本部 文房具・オフィス用品事業部の小川友梨子さん。文房具に分類される商品の中で、2016年に1年間を通して人気が高かった名前付けグッズBEST5を教えてもらいました。 ランクインしているのは定番商品や、その派生商品が多数。シンプルでありながら、名前付けの機能が細かく行き届いているものが人気を集めています。 1位 【Amazon.co.jp限定】プリントできる布 アイロン接着タイプ 80715 6枚/エーワン(A-one) 2位 おなまえスタンプ入学準備BOX(メールオーダー式) GAS-A/MO/シャチハタ 3位 ラベルライター ネームランド KL-P4AD-SET エントリーモデル アダプター付セット/CASIO(カシオ) 4位 書いた文字が貼れる もじピタ! のセット P-SE-YYSS25-C/ゼブラ 5位 もちものスタンプ メールオーダー式 ミッキー /シャチハタ ■TOP5のここがすごい! 解説&気になる価格は? ▼1位 【Amazon.co.jp限定】プリントできる布 アイロン接着タイプ 80715 6枚/エーワン(A-one) Amazon.co.jp限定の「プリントできる布」(布プリ)は、家庭用のプリンターで文字が簡単に印刷できる綿100%のアイロン接着シート。100円ショップなどで売られている手書きタイプの名前シートも便利ですが、どうしても文字のバランスがおかしくなったり、インクがにじんでしまったり…。 この「布プリ」なら、Webサービスもしくは無料ソフトを使って自分でデザインを決め、プリンターで印刷した「布プリ」をアイロンで貼り付ければよいので楽チンです。最初から最後まで自宅で完結できる上、パソコンを使わずとも一度にたくさんのデザインがプリントできるのも魅力。 洗濯しても色が落ちにくいため、頻繁に洗濯する体操服などにも利用できます。 ▼2位 おなまえスタンプ入学準備BOX(メールオーダー式) GAS-A/MO/シャチハタ 名前7種、イラスト1種という全8個のスタンプセット。購入後、スタンプにしたい名前をインターネットか専用ハガキでメーカーに依頼すると、約10日後に名前スタンプが届きます。紙だけでなく、布・プラスチック・金属にまで押せるので、これひとつでかなりのアイテム数をカバーできます。 印面のサイズが豊富で、名前付けの強敵ともいえる「おはじき」に押せる「豆サイズ」もあるというから心強い! ちなみに通常の「おなまえスタンプ」は自分自身で文字を組み合わせてスタンプをつくるため、兄弟がいる場合やクラス名を変更する際に重宝します。 同じくシャチハタの「おむつポン」は、保育園に持って行くおむつにスタンプができる優れもの。「おむつに名前!?」と驚く人もいるかもしれませんが、多くの保育園ではおむつにも名前を書かなくてはいけません。毎日のことなので、子どもと楽しく名前付けができれば助かりますよね。 こちらも購入後にインターネットか専用ハガキで印字用の名入れをオーダーします。 ▼3位 ラベルライター ネームランド KL-P4AD-SET エントリーモデル アダプター付セット/CASIO(カシオ) 定番ともいえるコンパクトなラベルライター。これ一台でデザインから印刷までできるので、パソコンやプリンターを持っていなくても大丈夫! 一年ごとに名前を書き直す必要がある場合にも、シールタイプなら貼ったり剥がしたりできるので便利です。 ローマ字入力のほかに、携帯と同様、「あ」を2回打てば「い」と入力できるように設定することも可能で、パソコンに慣れていない人でも簡単に操作できます。別売のテープは透明なものや蛍光色もあるほか、抗菌テープやアイロンで貼れる布テープまで幅広くラインナップ。名前付けとしてだけでなく、プラスチックケースなどに貼って、子どもの整理整頓を促すグッズとしても活用できます。アダプター付きで4000円程度という良心的な価格も人気の理由です。 ▼4位 書いた文字が貼れる もじピタ! のセット P-SE-YYSS25-C/ゼブラ 自分で書いた文字やイラストを、テープに転写してシールにするという今までにない異色のアイテム。まずは本体の筆記台に付属の専用ペンで文字を書き、文字の上にテープをかぶせます。空気を抜くようにテープの上から文字をこすると文字がテープの接着面に写るので、そのまま持ち物に貼ったら完成! コップや色鉛筆などの曲面や、細長いお箸など直接名前を書くのが難しいという時に最適です。水に強いためコップや歯ブラシなどの水回りグッズにも利用OK。プリントにはない手書きの温かさを残すことができるので、ハンドメイドが好きなママにオススメ。 子どもが自分で書きたがるけれど、失敗はできない…そんな場面にもピッタリな新感覚の名前付けグッズです。 ▼5位 もちものスタンプ メールオーダー式 ミッキー /シャチハタ こちらは、印鑑のように小さな丸形なのが特長。名前とキャラクターを組み合わせてスタンプをつくることができるので、シンボルマークとしてキャラクターを覚えれば、まだ名前が読めない小さな子どもでも自分の持ち物がわかります。キャラクターではないイラストを用いたスタンプもありますが、中でも人気があるのはやはりディズニーバージョン。 印面はオーダー式で、購入後に名前と希望のキャラクターをインターネットか専用ハガキで連絡すると、後日印面が送られてくるシステムです。見た目のかわいさはもちろん、登園前なのに「ハンカチに名前を書き忘れてた!」なんて緊急時にも、ポンッと押すだけで良いので時短につながります。 ■手芸部門には、イマドキママの要望を詰め込んだ新商品が登場! 文房具だけでなく、お弁当袋や上履き袋、通園バッグなど布製アイテムにも当然必要になる名前付け。Amazonライフ&レジャー事業本部 おもちゃ&ホビー事業部の小西礼恵さんと竹之内恵莉さんには、いま手芸部門で注目の名前付けグッズを教えてもらいました。 ▼ファブリックテープ キャットキャメル 32枚入り 11-232/KAWAGUCHI 2016年に新発売の「ファブリックテープ キャットキャメル」は、一見マスキングテープのように見えるオシャレなアイロン接着テープ。猫型や長方形のテープに文字を書き、アイロンをかければ洗濯しても剥がれません。 ひとつひとつは小さいですが、シールになっているのでズレることなく狙った位置にアイロン接着ができます。上履きの後ろにも貼れる絶妙なサイズで、小さな子どもが柄やマークとして認識できる点も魅力。あえて文字を書かずに、ワンポイントとしてバッグや洋服に付けるというテクニックも。 あまり派手にデコるのはNGという園も多い中で、さりげなくオリジナリティを出すことができます。アイロン接着をせず、コップや鉛筆に貼って使うことも可能。全部で9種類とカラーバリエーションも豊富です。 ▼ネームワッペン ディズニー トイ・ストーリー エイリアン MY550-MY256/パイオニア、ネームワッペン ディズニー 眠れる森の美女 オーロラ MY550-MY248/パイオニア 名前が記入できるアイロン接着タイプのワッペン。ちなみにキャラクターネームラベルの昨年の一番人気はディズニー・ピクサー映画に登場したカーズで、毎年キャラクターものは安定して人気があるのだとか。Amazonでは、例年1月頃からワッペンを検索する人が急増。 店舗に行ってワッペンを探したけれど「違うデザインがほしい」「他にも種類があるのでは?」などと考えたママたちが、インターネット上で調べるという傾向がある模様。たしかに通園バッグなどは卒園までの長期間使うもの。できれば妥協せず、親子で満足できるアイテムとめぐり会いたいですよね。 名前付けは大変ですが、この時期にしか経験できない貴重な機会でもあります。「面倒くさい…」と考え込まず、文字を書くのが苦手、裁縫が苦手、オリジナリティを出したい……それぞれの希望を叶えてくれる最新グッズを活用しつつ、笑顔で4月の入園入学を迎えましょう! 取材協力/出典 Amazon入園・入学ストア HP: Amazon入園・入学手作りグッズストア HP:
2017年02月16日離乳食が始まり、いよいよ本格的に子どもの食生活がスタート。そこで気になるのが、どの時期にどんな食べ物を食べさせれば良いんだろう…ということ。たとえば“1歳から食べられる”というお菓子があるけれど、それを一般的なお菓子に切り替えてもよいタイミングまでは意外とわからないですよね。 そんな疑問を解決すべく、管理栄養士・幼児食アドバイザーで、「管理栄養士ママが教える!子どものからだとこころが育つ! 6歳までの食事のホント」の著者でもある山口真弓さんにインタビュー。私たちがふだん口にする機会の多い食材について、食べてもOKの正しい時期を教えてもらいました! ■そもそもなぜ、子どもは大人と同じものを食べてはいけないの!? 咀嚼、アレルギーなどの問題もありますが、基本的に子どもは消化機能が未熟なため、適切な時期に与えなければお腹をこわすなど体にかかる負担が大きくなります。さらに、初めから味の濃いものばかりを食べてしまうと、脳がそれを覚えてしまい、さらに味の濃いものを欲するようになってしまうのです。味覚が正しく発達しないと、大人になってからも塩分の摂り過ぎなど栄養バランスが乱れやすく、さまざまな病気のきっかけにも。子どもの将来のためにも、親として正しい食事を心がけましょう。 ■食べ物別に調査 ◯◯は何歳から食べていいの? 刺身は2歳から 生魚は食中毒の恐れがあり、アレルギーを引き起こしやすい食材。腸の機能が整う2歳頃からにしましょう。食べさせる際には、なるべく新鮮な刺身を選ぶのもポイントです。家族で回転寿司などに出かけた場合には、ツナやたまごなど加熱調理されたものなら1歳くらいからOKです。 生卵は3歳から 「たまごかけごはん」として手軽に食べられる便利な食材ですが、3歳まではNG。実は、生卵はたんぱく質の中でもっとも消化の悪い食材なんです! 3歳までは加熱した卵料理を食べさせるようにしましょう。 牛乳(飲料)は1歳から 牛乳を飲料として飲ませるなら、必ず1歳を過ぎてから。「カルシウムを摂らせたい」と、たくさん飲ませたくなりますが、牛乳には糖分・脂質も含まれており体に良いことばかりではありません。お水やお茶の代わりに牛乳を飲ませるという習慣はやめましょう。 ハンバーガー・フライドポテトは1歳から 子どもは大好きなファーストフードですが、食べさせる目安は早くて1歳頃から。塩分やカロリーが高く、栄養バランスが偏った食事になってしまうので、食べる量と頻度には注意しましょう。ポテトは「塩をかけないで」とお願いしたり、ペーパーナプキンで油を拭いてから食べさせたりするなどの工夫も大切です。 チョコレートは3歳から 油分や糖分が非常に多く含まれ、虫歯にもなりやすいので3歳以降に。チョコレートといっても種類は様々なので、できるだけ添加物の少ないシンプルなものを選ぶようにしましょう。食べる量には注意し、板チョコであれば3カケくらいを目安にしてください。 スナック菓子は3歳から 大人でもやみつきになるスナック菓子は、当然子どもも大好き。油分はもちろん、糖分も含むので3歳までは避けましょう。それまでは「1歳からOK」などと表記されたノンフライのものを選ぶように。3歳を過ぎても食べ過ぎは禁物で、ポテトチップスなら20g、15枚程度が目安です。 あめ・グミは2歳から 誤飲や虫歯の恐れがあるため、食べさせるのは2歳以降に。あめは、すぐに噛んでしまうことや、誤飲予防のためにも棒が付いているタイプを選ぶようにしましょう。グミは、食事において大切な「噛む」という行為が必要と考えれば、悪い面ばかりではありません。ただし、量の取り過ぎはNG。合成甘味料や着色料などの添加物にも注意しましょう。 アイスクリームは1歳から 食べやすく栄養価も高いので、食欲のない体調不良時などに限って1歳からOKですが、おやつとして食べるのは2歳頃からにしましょう。油分や糖分も多いため、量の目安は子どもの握り拳1つ分程度。なるべく添加物の少ないものを選びましょう。 ケーキは2歳から スナック菓子などと比べると食べる機会が少ないものなので、イベントの際に楽しく食べるということを考えれば2歳頃からOK。「みんなで同じものを食べて楽しむ」ことも、食事の大切な役割のひとつです。ただし食べ過ぎは禁物。カットされたケーキなら1/2程度にしましょう。 ジュースは1歳から 子ども用のジュースなども販売され、中には飲料として日常的に与えている人もいますが、それは絶対にNG。野菜100%といっても、野菜と同等の栄養価が摂れるわけではなく、糖分などの取り過ぎに繋がってしまいます。与えるなら1歳を過ぎてから、薄めて飲ませるなどの配慮も必要です。3歳以降も、日常的に飲ませることは避けましょう。 子どもの発達には、それぞれ個人差があるものです。「○歳になったから今日から食べて大丈夫!」ということではなく、上記の年齢を参考に、歯やあご、体の発達などに合わせて、ひとり一人に合った時期に与えるようにしてくださいね。 取材協力/山口真弓さん ブログ「 管理栄養士ママの三食健美 」
2017年02月04日子連れの外出で、手軽に食事をする場所といえばやっぱりファミリーレストラン。子どもにとって魅力的に見えるお子さまランチですが、親としては「栄養面などを考えるとどうなんだろう…?」と考えてしまうこともしばしば。 今回は、管理栄養士・幼児食アドバイザーで「管理栄養士ママが教える! 子どものからだとこころが育つ!食事のホント」の著者でもある山口真弓さんに、お子さまランチに関するさまざまな疑問に答えてもらいました! 私たちがよく知っている、おなじみのチェーン店のお子さまメニューから、おすすめのお子さまランチも教えてもらいましたよ! ■「お子さまランチ」は親子で楽しむレジャーの一環! 「お子さまランチを食べる上でもっとも大切なのは、あくまでレジャー感です」と山口さん。たしかに、栄養バランスや添加物などのことを考えたら、家庭の手料理のほうが優れているのは当然のこと。ただし、外食は母親の息抜きにもなるし、子どもにとっても普段と違う環境での楽しい食事の経験になります。「いつもは食べられない野菜が食べられた」といったキッカケにつながることもあるので、月に1~2回なら活用しても良いそうですよ。 一般的に お子さまランチのエネルギー量は、500kcal以上のものが多く 、すべて食べきると考えた場合、 3歳~6歳程度を想定していることが多いとか。 今はお子さまメニューの幅も広がっているので、うどんなどであれば1歳ごろからでも少量を食べることは可能。家族みんなで、外食の楽しさを一緒に味わえたら嬉しいですね! ■管理栄養士直伝! ファミレスで子どもにやってあげたい工夫 ファミレスのメニューは、お子さまメニューに限らず見た目が華やかなものが多いですが、その分、油分や塩分などが多く含まれていることがあります。そのため、大人のメニューを子ども用に取り分ける際には、味を薄くするなどの配慮が必要です。「食事のマナーとしては決して良いとは言えませんが…」と前置きした上で、山口さんが教えてくれた対処法を紹介します! 揚げ物は衣を半分はがすべし 唐揚げやとんかつなど、ファミレスの定番メニューには揚げ物がズラリ…。子どもに与えるときは、衣を半分はがして与えるようにしましょう。ちなみに唐揚げの場合、鶏皮部分を取るだけでエネルギーは半減します。衣や皮を避けるという一手間で、余計な油分などをカットすることができるんです。 フライドポテトは紙ナプキンで拭くべし お子さまメニューに必ず付いてくると言っても過言ではないフライドポテト。あらかじめ塩を少なめにするようお願いしたり、テーブルにある紙ナプキンでサッサッと拭いたりするだけでも、摂取する油分や塩分には違いが出るそうです。 汁物には氷を入れるべし 大人用のうどんやラーメン、スープなどの汁物は子どもには味が濃すぎてしまいます。そこで活用したいのが「氷」。汁物に氷を入れることで味が薄まるだけでなく、料理が適度に冷めるので、子どもでもすぐに食べ始めることができて一石二鳥♪ チャーハンなど味付きご飯には白米を混ぜるべし 汁物は簡単に薄められるけど、さすがにご飯類は……というのは早とちり。白米を混ぜることで、その味を薄めることができるのです。チャーハンや炊き込みご飯など、はじめから味が付いているご飯類に活用できる目から鱗のアイデアです! ■管理栄養士ママが選ぶオススメのお子さまランチ4選 ファミレスでの注意点がわかったところで、気になるのはお子さまランチの選び方。たまの外食だから栄養面は気にせずに……といっても、親としては少しでも子どもにとってプラスになるメニューを選びたいですよね。 そこで山口さんに、栄養面だけでなく、見た目や子どもの食べやすさなども踏まえた上で、大手ファミレスチェーン店が提供するお子さまメニューから独自にオススメの4品をピックアップしてもらいました。今回は、アレルギー対応メニューを除いたお子さまメニューからの選出です。是非とも参考にしてみてくださいね! ■おすすめ1「おこさま食育 おにぎりプレート」/ジョナサン なんといっても、自分でのりを巻いて食べるというオリジナリティが魅力。お子さまメニューにおいて、やはり子どもが楽しんで食べられるというのが一番のポイントです。野菜はブロッコリー&かぼちゃの温野菜で、油分などが気になる人はマヨネーズを付けずに与えてもOK。同じくジョナサンの「おこさまうどん」も、卵やにんじんなどの野菜が入っており、素うどんを食べるより栄養が摂れる嬉しい一品です。(注文は小学生以下) ■おすすめ2「キッズカレープレート」/ガスト ガストのキッズカレーは、ブロッコリー、カリフラワー、赤ピーマン、ほうれん草、にんじん、たまねぎという6種類の野菜入り。野菜が細かく刻まれている上、カレーということもあり野菜嫌いの子どもでも大抵は気付くことなく食べてくれるはず。カレーはあまり噛まずにサラサラと食べてしまう子もいるので、枝豆でしっかりとあごの運動を。「消化に良さそう」といったなんとなくの理由で子どもには柔らかいものを与えがちですが、あごを動かして噛むという行為は成長の過程でとても大切なことなのです。※注文は小学生以下。 ■おすすめ3「お子さまうどんせっと(温)」/大戸屋 うどん、かぼちゃのコロッケ、レタスというシンプルな3品でありながら、子どもが食べやすい内容。うどんは1歳程度の小さな子どもでも食べることができ、卵入りなのでタンパク質も摂取できます。コロッケは、油分が気になる場合は衣を避けて中身だけ与えるようにしましょう。一般的に和食店は、ひじき煮やおひたしなど、大人用のメニューにも栄養価が高く取り分けしやすいメニューが多いため、小さな子どもとの外食にぴったりです。 ■おすすめ4「キッズグラタン」/ビッグボーイ マカロニ入りのクリームグラタンは子どもが味覚的に好むだけでなく、炭水化物、脂質、タンパク質を一度に摂取できる優秀メニュー。そして何より、サラダ・スープ・カレー・ライス・ドリンク付きというのが最大の魅力です。バイキング形式で食べたいものを好きな量持ってくることができるので、レジャー感もたっぷり! 量の調整ができるため、比較的年齢が高い子どもでも満足できるのも特長です。※注文は小学生以下。 「おこさまランチ」といっても、内容量は各レストランによって異なります。子どもの消化機能や味覚、食事量に合わせて、適宜メニューを選ぶようにしましょう。家庭の食卓とはちょっぴり違う特別なレジャーとして、ファミレスで楽しい食事の時間を過ごしてみるのも良いかもしれませんね! 取材協力/山口真弓さん ブログ「管理栄養士ママの三食健美」
2017年02月01日クリスマスが過ぎたら、すぐにやってくるのがお正月。大掃除や冬休みの宿題といった大仕事もありますが、忘れちゃいけないのが年末年始のレジャーグッズ。 今回は、総合オンラインストアAmazonのおもちゃ事業部 マネージャー 望月真弓さんに、お正月にオススメの玩具について聞きました。大人数で遊べる玩具の人気ランキングも教えてもらいましたよ! ■やっぱり定番ものが人気! 子どもも大人も自然と笑顔に 年末年始に需要が高まるのは、ルールがわかりやすく幅広い年齢層で楽しめるゲーム系の玩具。ふだんはあまり会う機会がない親戚の人たちに囲まれて、ついつい 引っ込み思案になりがちな子ども でも、ゲームを介して自然とコミュニケーションが取れるというメリットもあります。 中でも人気なのは、やはり誰もが知っている定番商品。お正月は、シンプルだからこそ子どもも大人も夢中になれる“王道玩具”に最注目です。 ■お正月にぴったり! 大人数で楽しめる玩具 TOP5 たくさんの人が集まるお正月は、みんなで楽しく遊びたい! ということで今回は、4人以上で遊べるゲーム玩具について、2016年1月~11月のAmazonでの売れ筋商品をもとに人気ランキングを発表します。 おなじみの玩具が並んでいますが、実はそれぞれ進化しているんですよ! 1位 ウノ アタック/マテル 2位 人生ゲーム ダイナミックドリーム/タカラトミー 3位 任天堂 百人一首 舞扇/任天堂 4位 ジェンガ ウルティメイト/タカラトミー 5位 夜店でおかいものすごろく/アーテック ※複数のバージョンが出ている玩具については、シリーズのすべてを一括りとしてカウントしています。 ■1位 ウノ アタック/マテル 1位はご存じ「UNO」。中でもお正月にオススメなのは、ゲームをより一層盛り上げてくれる「ウノ アタック」。従来通りにゲームを進め、カードを引くタイミングが来たらボタンをプッシュ! 軽快な音とともに、カードが飛び出します。おもしろいのは、このときカードが何枚飛び出すかわからないところ。0枚のときもあれば、2枚、3枚と複数出てくることも。 ドキドキ感たっぷりで、パーティーにぴったりです。 ゲームのルールがわからない小さな子ども でも、ボタンを押す役割として、一緒にゲームに参加できるのも魅力。ほかにも「UNO」は、防水タイプのものや、空白のカードに自分で絵柄を描いてマイルールが作れるものが登場するなど、ロングセラーでありながらまだまだ進化し続けています。 ■2位 人生ゲーム ダイナミックドリーム/タカラトミー 2位は「人生ゲーム」。一番の売れ筋はスタンダードなタイプですが、今回オススメしたいのは『人生ゲーム ダイナミックドリーム』。ボードが通常の1.5倍サイズで、3種類の盤面付き。時間に余裕があり何度か遊ぶ場合でも、複数のパターンで楽しめます。登場する職業はアイドル、声優といった今の子どもたちに人気の職業も。 「人生ゲーム」には小さなポケット版もありますが、圧倒的に人気があるのは大きなサイズ。パッケージがかさばるボードゲームなどは、 帰省前にネットショップで購入し、直接祖父母の家に送る という人も多いのだとか。 ■3位 任天堂 百人一首 舞扇/任天堂 人気マンガ 「ちはやふる」 の影響もあり、人気が高まっているという「百人一首」。中でも人気なのは、価格が1000円程度と手頃な『任天堂 百人一首 舞扇』。 百人一首に関しては、競技用から子ども向けまで膨大な種類があるものの、この商品単独で3位にランクインするほど、超定番の人気商品なのだそう。「百人一首」には知的なイメージがあり、 遊びを通して勉強につながる という点も、親心をつかむ理由のひとつです。 ■4位 ジェンガ ウルティメイト/タカラトミー 4位は「ジェンガ」。1983年にイギリスで生まれた定番中の定番玩具。 スワヒリ語で“積み上げる” という意味の言葉から派生した「ジェンガ」は、ブロックを抜き、抜いたブロックを上に積み上げていくというシンプルなゲーム。 この『ジェンガ ウルティメイト』にはサイコロが付いており、出た目に描かれた色のブロックを抜かなくてはいけません。ちなみに「ジェンガ」には、30周年記念で作られた桐製の高級バージョンも存在します。こちらも気になる方は是非! ■5位 夜店でおかいものすごろく/アーテック 5位は『夜店でおかいものすごろく』。屋台をモチーフにした子ども向けのすごろくで、価格も数百円と良心的。500円を持ってスタートし、夜店に止まったらお金を払って点数付きの景品カードをもらいます。ゴールの際にも得点がもらえ、最終的により点数が高い人が勝利。 夜店というワクワク感を味わいながら、 お買い物の流れが学べます 。光沢のあるしっかりとした紙で出来ていて、多少ならジュースなどをこぼしても大丈夫。「おばあちゃんにあった。200円くれた!」など、あるある要素が子どもの興味をひき付けます。 ■盛り上がること必至! 注目のおもしろ玩具 3選 惜しくもランクインは逃したものの、お正月に注目したいおもしろ玩具をピックアップしてご紹介します! ■ドラえもん しずかの女言(じょげん)トランプ/エンスカイ お正月の玩具として、外せないのがやっぱりトランプ。『ドラえもん しずかの女言(じょげん)トランプ』には、コミックから抜粋したしずかちゃんの名言が描かれています。 トランプをやりながら、イラストに添えられた名言に「クスリッ」と笑える女子向けアイテム。遊ぶための道具としてはもちろん、トランプはちょっとしたプレゼントにも便利。 親戚の子どもに気軽に配れる という用途でも人気があるそうですよ。 ■ダラ猫天国/エポック社 猫好きにはたまらないバランスゲーム。ただ積むだけでなく“かわいく積む”顔を全部こちらに向けて積む”などのルールを作るのもオススメです。 バランス系の玩具はゲームとしてのハードルが低く、説明書を読まなくてもやり方が 感覚でわかる というのが特長。頭をあまり使わないので、お正月に飲み過ぎちゃったパパ達も一緒に楽しめますよ! ■バウンス・オフ! /マテル カードを引いて、描かれた形にボールをそろえる新感覚のボードゲーム。ボールは、手前にワンバウンドさせてからマスに入れるのがルールで、スポッと入る感覚が気持ちいい! 安全面を考えて対象年齢は7歳~となっていますが、ボールを投げることさえできれば参加できるので、大人と一緒に楽しむ分にはもっと小さな子どもでもOK。 なかなか狙ったところにボールが入らないので、想像以上に盛り上がります。 お正月は、家族や親戚とゆっくり過ごせる年に一度の貴重な機会。みんなで楽しく遊べば、笑顔で1年のスタートが切れそうですね! 取材協力/出典 Amazonおもちゃストア HP: Amazonゲームストア HP:
2016年12月29日「コインランドリー」と聞くと、梅雨の時期に洗濯物を乾かしたり、洗濯機を持っていない学生が使ったり……そんなイメージを抱く人も多いはず。でも実は、忙しい主婦こそ活用するべきメリットがたくさん詰まっているんです。一度行ったら絶対にハマる、コインランドリーの魅力について教えちゃいます! ■コインランドリーは贅沢!?そのコスパはいかに…? まず気になるのは、やっぱりお値段ですよね。コインランドリーは高いと思っている人にオススメしたいのが、自宅で洗濯まで済ませ、乾燥のみを行う方法。コインランドリーにある一般的な乾燥機の容量は15kg。家の洗濯機が容量7kgのものであれば、2回分を一度に乾燥することができます。 地域によって違いはあるものの、通常コインランドリーの乾燥機は10分100円程度。30分もあれば乾くので、1回あたり300円です。たしかに、家で天日干しすれば料金はタダ。それに比べたら非経済的かもしれませんが、濡れた洗濯物を放り込んで待つこと30分……乾燥機から取り出しながら洗濯物をたたみ、帰宅後はそれをしまうだけで完了です。家事に育児に頑張っている主婦のみなさん、このくらいの贅沢は許されると思いませんか? ■とにかくタオルがふわふわ! すぐに取り出せばシワもなし!! コインランドリーの利点といえば、なんといっても仕上がりのふわふわ感。家で干すと硬くなりがちなタオル類も、コインランドリーで乾かせば驚くほどふわっふわに仕上がります。乾燥が終わり、温かくてフカフカの洗濯物を取り出す瞬間は、なんとも言えない幸せな気持ちになりますよ! その秘密は、温度の高さ。自家用洗濯機に付属している乾燥機は電気式ですが、コインランドリーはガス式。回転しながら熱風で乾燥させるので、繊維の間まで空気が入り込み、ふわふわに仕上がるんです。 さらには高温のおかげで、乾燥後は軽くアイロンを掛けた後のようにシワが伸びるというメリットも。ただし、洗濯物が冷めると同時にシワになってしまうので、そのままにしておくと家で干す以上にシワになりやすいのでご注意を。時間を見計らって乾燥機の前で待ち構え、乾燥が終わった瞬間にシワになりやすいものを先に取り出し、たたむorハンガーにかけるのが正解です。 ■実は花粉症対策にも そして、これからやってくる花粉症シーズン。外に干すことで洋服に花粉が付着してしまいますが、乾燥機ならその心配はいりません。コインランドリーに洗濯物を入れることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、コインランドリーを活用したほうが、案外衛生的ともいえるかもしれませんよ! ■雨の日はNG!? コインランドリーに行くべきタイミングとは 雨の日に乾かない洗濯物を乾かすという使い方ももちろんアリですが、それではせっかくフワフワになってしまう洗濯物が湿ってしまう可能性が…。行き帰りに、洗濯物が雨に濡れてしまうのも気になりますよね。だからこそオススメしたいのが、晴れの日のコインランドリー! 雨やくもりの日が続き、晴れの日が来たら一目散にコインランドリーへ。晴れた日の昼間なら、空いているというのもポイントです。 洗濯物を干す手間&時間を節約できるだけでなく、天日干しでは手に入らないふわふわ感や殺菌効果、さらにシワ伸ばし効果まで。思い切って一度使ってみたら、あなたもきっとコインランドリーの虜になるはずです!
2016年12月21日12月4日、埼玉県東松山市にある「埼玉県こども動物自然公園」で、シカ科の中で世界一小さいといわれる「プーズー」が日本初公開。「あまりに小さく、かわいすぎるシカだ」という噂を聞きつけて、公開初日に会いに行ってきました! プーズーは、大人になっても体長80cm、体高30~40cm、体重9~10kg程度。チリやアルゼンチンの一部に生息していて、準絶滅危惧種に指定されている希少動物です。商取引が禁止されていますが、今回は学術目的ということで特別に許可を得て、以前から交流のあるチリ共和国サンチアゴ・メトロポリタン公園から寄贈を受けたのだとか。 一般公開前に行われた記念式典には、駐日チリ共和国臨時代理大使のフェリペ・ディアスさんや埼玉県副知事の岩崎康夫さんらが出席。公開されるプーズー4頭の命名式も行われ、オス2頭は「サイ(Sai)」「リオ(Rio)」、メス2頭は「ピナ(Pina)」「スミレ(Sumire)」と名付けられたことが発表されました。 式典会場からプーズー舎までは、園内循環バス「彩ポッポ」で移動。かわいらしい「プーズー号」です♪ テープカットを終えたら、いよいよ「プーズー」とご対面! クリクリとしたつぶらな瞳がなんとも愛らしい「プーズー」たちがお出迎えです。奈良で見るシカとは見た目も迫力も全く異なり、実写版ディズニーの『バンビ』のようなかわいすぎる風貌……こ、これは癒やされます!! 実際には『バンビ』よりも短い足が特徴で、オスには角が生えています。角は細く、争いなどが起こると互いに体を傷つけ合ってしまうため、オス同士は同じ空間で飼育しないようにしているとか。公開初日も、室内でオス1頭、屋外でオス1頭メス2頭が過ごしていました。 ときどき、一生懸命木に鼻先をこすりつけている様子が見られ「鼻がかゆいのかな?」と思ったものの、どうやらそれは勘違い。鼻付近にある眼下腺から出る特殊なニオイを木にすり込んでいるもので、 “マーキング”という行為なのだそう。縄張り意識が強い動物なんですね。 初めてプーズーを見た子どもたちは「かわいい!」「ちっちゃ~い」「これで本当に大人なの?」「足が結構速いね」などと興味津々。日本初公開のプーズーを前に、たくさんの笑顔を見せていました! 「シカや牛などの動物は、口蹄疫などの感染症が心配なので、なかなか来園が難しいんです。今回は学術目的ということで特別に許可を得て来園が実現しましたが、すごく貴重なことなんですよ。日本ではこの園でしか会えないので、是非見に来てくださいね!」と副園長の高木さん。かわいいプーズーなので日本各地で見られたら……思いますが、ワシントン条約などの関係もあり、海外からの寄贈自体が本当に珍しいことなのだそうです。 ちなみに大人になってからもキュートなプーズーですが、その赤ちゃんはそれを上回る可愛らしさなのだとか。体が小さいこともあり、基本的に出産は1頭につき1頭ずつですが、うまくいけば来年の春には赤ちゃんが誕生するかも?という嬉しいお話も聞けました! 「埼玉県こども動物自然公園」は、ほかにも日本では9園でしか飼育していない「コアラ」をはじめ、冬の温泉入浴でおなじみの「カピバラ」、実際の生息地を再現した生態園で過ごす「フンボルトペンギン」などなど見どころ満載。家族で出かければ、プーズーはもちろん、たくさんの動物たちに大人も子どもも癒やされる1日になるはずですよ♪ 埼玉県こども動物自然公園 住所:埼玉県東松山市岩殿554 開園時間:9:30~16:30(入園は閉園1時間前まで) ※2月11日~11月14日は9:30~17:00 入園料:大人(高校生以上)510円、小人(小・中学生)210円 休園日:毎週月曜(休日の場合は開園)、年末年始、2017年1月24日、31日
2016年12月05日■知育玩具の人気が急上昇! でも定義がわからない!? 玩具の選択肢が多様化する中で、いま「知育玩具」の人気が急増中。Amazonが今年6月に実施した意識調査では、なんと 70%以上の親が知育・学習玩具に高い関心を抱いていることが判明。 玩具を通して、なんらかの能力を身につけて欲しいというニーズが高まる一方で、パズルやブロック、積み木という漠然としたイメージはあるけれど、具体的に 「知育玩具とはなんだろう?」 と疑問を持つ人が多数……。 それもそのはず実は、玩具業界に「知育玩具」についての明確な定義がそもそも存在しないのだとか。言われてみると、確かに「頭がよくなる、知識が身につく」など、ぼんやりとしたイメージしか浮かばないですよね。 ■日本とアメリカの玩具に対する意識の差 日本では「玩具=キャラクター」という印象が強く、それ以外の玩具と出会う機会が少ないのが実態。でもアメリカでは、すべての玩具の中で知育玩具が締める割合が、なんと日本の約2倍。日本では、ブロックなどをイメージする人が多い知育玩具ですが、アメリカではSTEM(Science/科学、Technology/技術、Engineering/工学、Mathematics/数学)と呼ばれる理系の能力を伸ばす玩具に注目が集まっています。 ■2016年はプログラミング玩具に大注目! STEM系玩具の中でも、とくに流行しているのが「プログラミング玩具」。 玩具を通して具体的なプログラミング方法を覚えるのではなく、論理的な思考を鍛えるというのが目的です。 日本でも2020年に「プログラミング」を小学校で必修化するという動きがあり、それに伴いプログラミング玩具がますます注目を浴びることは間違いなし。実は2013年頃から子供向けのプログラミング本が発売されたり、文部科学省が手がける「プログラミン」というPC用のコンテンツが登場したりと、日本でも「プログラミング」への注力がじわじわと進んでいるんです。 ■ロボット型玩具で楽しくプログラミング プログラミング玩具として、世界的に大人気となっているのが「プログラミングロボット ダッシュくん」。スマホに登録した通りの動きをしてくれる愛らしいロボット。おもしろい声を出したり、ひょうきんな動きをしたりと、年齢に合わせた5種類のアプリを通して遊びながら自然とプログラミング能力が身につきます。対象年齢は5歳から。 もう少し低年齢向けとしてオススメなのが「プログラミングロボ コード・A・ピラー」。対象年齢は3歳からで、イモムシの胴体に描かれた矢印を組み合わせ、的を目指して道筋をプログラミングするというもの。キュートな見た目で遊びながら論理的思考が身につくと、アメリカを中心に人気を集めています。 ■Amazonが初めて「知育・学習玩具大賞」を発表! 日本と海外の知育玩具に対する思考がわかったところで、やはり定義は曖昧なまま。欲しいというニーズと、情報不足というギャップを埋めるべくAmazonでは、知的発達につながるものを「知育玩具」、英語や計算スキルなどが身につくものを「学習玩具」と定義づけ。 それぞれの玩具について、カスタマーレビューで高い評価を得ているものを選出し、その後、教育心理学者や脳科学者、保育者という専門家の意見を取り入れ、初めて「知育・学習玩具大賞」を発表しました。 ■Amazon 知育・学習玩具大賞 知育玩具部門大賞 「KAPLA カプラ200/KAPLA」 学習玩具部門大賞 「世界の国旗かるた/学研」 審査員特別賞(秋田喜代美氏)「アソブロック BASICシリーズ スペシャルパック ドラゴン/マーゼンプロダクツ」 審査員特別賞(池谷裕二氏) 「サボテンバランスゲーム/プラントイ」 審査員特別賞(駒崎弘樹氏) 「ニューブロック たっぷりセット/学研ステイフル」 アイデア賞 「わごむパターンボード/くもん出版」 Amazon特別賞1 「プログラミングロボ コード・A・ピラー/フィッシャープライス」 Amazon特別賞2 「ローリーズ・ストーリー・キューブス/The Creativity Hub」 知育玩具部門で大賞を受賞したのは、「カプラ200」。同じサイズの木片というシンプルな作りながら、アイデア次第でさまざまな形を作り上げることができます。もとはフランスの玩具ですが、日本では保育園に置いてあることなどをきっかけに広く浸透。とにかく高く積み上げて、崩れたときに「ワー! キャー!」と子どもたちは大興奮! シンプルゆえに、子どもの想像力を広げてくれる のが特長です。 学習玩具部門の大賞は「世界の国旗かるた」。遊びながら国旗や地図が覚えられる、まさに学習玩具の王道的アイテムです。大人でも知らない国旗がたくさんあり、子供とコミュニケーションを取りながら家族で楽しむことができます。 審査員特別賞受賞の中で、とくに注目なのは「サボテンバランスゲーム」。サボテンが倒れないようにサイズの違うパーツを刺していくゲームで、脳研究者オススメの玩具。インテリアとしても活用できるオシャレなデザインも魅力です。脳を刺激するという意味で、子供だけでなく老人ホームなどでも利用されているそうですよ! ■知育学習玩具はシンプル×最新技術の二極化 今年の「知育学習玩具大賞」において、プログラミング玩具は特別賞の「プログラミングロボ コード・A・ピラー」のみとはいえ、 来年以降ますます人気を集めることは必至 。これからの時代、玩具を選ぶ際には、積み木など昔ながらのシンプルな玩具と、最新技術を駆使したハイテク玩具を上手に取り入れる必要があるのかもしれません。 遊びの中でも、少しでも子供の能力を育てたいという親心。玩具のチカラを借りつつ、親子で楽しくさまざまな能力を育んでいけたら素敵ですね! 取材協力/出典 Amazon知育・学習玩具大賞 HP: Amazonクリスマスプレゼント おもちゃ特集 HP:
2016年12月01日気付けばクリスマスはもうすぐそこ! 子どものよろこぶ顔を見るためにも、そろそろプレゼントの準備を始めたい時期ですよね。そこで今回は、 クリスマスプレゼントにぴったりなオススメ玩具 を総合オンラインストアAmazonのおもちゃ事業部 マネージャー 望月真弓さん にインタビューしました。 2016年のトレンドがわかる男女別ランキング も必見です。 ■キーワードは「親子で楽しむ」!ワクワク体験を家族で 例年、クリスマスプレゼントというとキャラクター玩具が人気を博してきました。でも、そんな状況が2015年から変化。玩具の多様化が進み、キャラクターものだけではなく、実際に体を動かす “体験型の玩具” が人気を集めるように。 共働きで、子どもと過ごせる時間が限られているという人には、玩具を一緒に楽しむことで、親子のコミュニケーションや思い出作りにつながるというメリットも。 2016年は、親子で楽しい時間を共有できる玩具 に注目です! ■女の子は“手芸”が本命!つくった作品で新たな遊びも 昨年のクリスマス、糸を使わず手軽に本格的なソーイングが楽しめる「フェルティミシン」を筆頭に、 手芸ブーム が到来! 2016年も引き続き手芸系が人気を集めており、新製品も続々と発売中。今年は レジン でアクセサリーやチャームを作るという玩具も初登場するなど、手芸というくくりの中で裾野が広がり、世代を超えて楽しめる玩具が増えているのだとか。親子で楽しめるのはもちろん、作った作品を 友達同士で交換 しあったりできるというのもポイントです。 ■男の子は“乗り物”強し!親のほうがアツくなる!? 男の子は 「父親と本気で遊べる」 玩具に注目。定番のプラレールに運転できる要素が加わったアイテムや、ラジコン、ピストルなど、定番玩具でありながら、それぞれの特長が進化したものが人気を呼んでいます。従来の玩具をバージョンアップさせることで、より本格的に仕上がっているものが多数。自分が子どもの頃にはなかった 高度な機能に、父親のほうがハマる というパターンも少なくないらしい!? ■2016年「親子で遊べる玩具」ランキング大発表!! 今年のクリスマスプレゼントは、男女ともに 「親子で楽しむ」 がキーワード。そこで、過去1年間のAmazonでの販売数をもとに、 親子で遊べる玩具 をピックアップ。クリスマスプレゼントにオススメの玩具として、 「親子で遊べる玩具」ランキング男女別トップ10 を発表&解説します! 女の子 1位 パーラービーズ 筒入り 11000P/カワダ 2位 シルバニアファミリー お家 はじめてのシルバニアファミリー DH-05/エポック社 3位 ホイップる パティシエスイーツデラックスセット/エポック社 4位 フェルティミシン ハッピーデザイン/タカラトミー 5位 アクアビーズ カラフルいっぱいDX/エポック社 6位 レゴ (LEGO) ディズニープリンセス シンデレラの城 41055/レゴ(LEGO) 7位 新感描スケッチ マジカルイラストレーター/バンダイ 8位 キラデコアート ぷにジェル ゆめぷにアクセDX PG-0/セガトイズ 9位 プラランシェNEO リボンも作れるDXジュエルボックスセット/バンダイ 10位 ロゼットメイク/タカラトミーアーツ 最近ではビーズや布、レジンでオーナメントを作ってツリーに飾っていくなど、 クリスマスに至るまでの過程を楽しむ という風潮もあり、そこで活躍してくれる玩具が続々ランクイン。 1位の「パーラービーズ」は、定番となったアイロンビーズ。バケツに入った 圧巻のボリュームながら1000円台 という値段も魅力。日本では女の子向けの玩具として流行していますが、海外では男の子も普通に遊ぶ玩具だそうですよ! そして今年大注目なのが、8位の「ぷにジェル」。数年前から大ブームとなっているレジンを、子ども用にアレンジ。特別な機械などを使わずに、子供でも比較的 安全にアクセサリーやチャームが作れる と大人気です。 ほかにも2位のシルバニアファミリー以外は、すべて “作る系” の玩具がランクイン。7位の「マジカルイラストレーター」は、専用のメガネを覗くとセットしたイラストが白紙上に映し出され、それをなぞることで絵が完成するという玩具。本格的な見た目が、子供心をくすぐります。10位には、今人気のロゼットを作れるアイテムも。大人も思わず夢中になりそうなアイテムばかりですよね! 男の子 1位 プラレール E7系北陸新幹線かがやき 立体レールセット/タカラトミー 2位 レゴ (LEGO) シティ ポリスステーション 60047/レゴ (LEGO) 3位 野球盤 3Dエース/エポック社 4位 ナーフ N-ストライクエリート ストロングアーム NCV 神連射キット/タカラトミー 5位 プラレール ぼくが運転!マスコン 北海道新幹線はやぶさ/タカラトミー 6位 レゴ (LEGO) テクニック Volvo L350F ホイールローダー 42030/レゴ (LEGO) 7位 スーパーサッカースタジアム サッカー日本代表チームモデル クロスファイアストライカー/エポック社 8位 ドリフトパッケージナノ 01 日産 180SX ブルー/タカラトミー 9位 ワミー ベーシックセット300 13色/コクヨ 10位 I'mTOY カーペンターテーブル/エデュテ 男の子のランキングには、乗り物系やスポーツ系などの定番アイテムがズラリ。テレビゲームでは経験できない、実物を目で見たり、体験したりすることを楽しむ玩具がランクインしています。 注目は、4位の「プラレール ぼくが運転!マスコン 北海道新幹線はやぶさ」。プラレールと運転席をイメージしたコントローラーがセットになっており、運転手気分で列車を停車させたり、バックさせたりすることができるように。 北海道新幹線開通 に合わせた2016年発売にも関わらず上位に食い込む爆発的人気商品です。1位にランクインするなど不動の人気を誇るプラレールに新機能が付いたことで、電車好きの父親の心もわしづかみ! 8位の「ドリフトパッケージナノ 01 日産 180SX ブルー」は子ども向けのラジコンで、2台そろえて父親と競って楽しんでいるファミリーも多く、シリーズは全体的に人気! その中でも飛び抜けて売れているのがこの機種なのだとか。本物のラジコンに近いリモコンで、ドリフトも可能に。一般的にラジコンは高価なので、 手軽に買える価格設定 も人気のひみつです。 9位の「ワミー」は、ブロックのように積み上げるのではなく、 よろいやバッグなど身につけるものが作れる 玩具。実は女の子むけの「ワミー」もあり、こちらも人気のアイテム。製造が 玩具メーカーではなく、「コクヨ」 であることにもおどろきです。 3位の「野球盤」はホームランが打てるようになった現代版。4位の「ナーフ」は、そのスピード感に圧倒される銃タイプの玩具です。10位のカーペンターは大工遊びができる低年齢向けグッズで、知育という意味合いも含めて人気を集めています。 ■おどろきの機能が満載!意外な玩具 3選 プレゼントをもらった子どもがびっくりするような、意外なアイテムもご紹介。手元にある玩具にプラスすることで、遊びの幅が広がります。 「Pechat(ペチャット)」 ぬいぐるみがしゃべれるようにできるボタン型スピーカー。お気に入りのぬいぐるみに取り付ければ、一緒に歌ったり、スマホからの遠隔操作で会話したりすることができます。2016年12月9日発売予定です。 「MaBeee(マビー) 」 電池にとり付けて玩具にセットすると、スマホで玩具をラジコンのように動かすことができる電池型IoT。プラレールやミニ四駆で、スピードを変えるなどの遊び方ができるようになります。 「Moff Band (モフバンド) ブルー ウェアラブル おもちゃ」 / スマートトイ iOS/Android対応 スマホに登録している動きに合わせ、効果音などの音が鳴るバンド。チャンバラごっこやテニスの素振りなど、指定した動きに合わせて音が流れます。 ■クリスマスに注目の玩具 5選 2016年のクリスマスに、「これは大ヒットに期待できる!」という、とっておきの注目商品を紹介します。 「ラブあみDXセット」「あむかわ アミーナ」 今年は編みものが楽しめるリバイバル玩具が話題。30年以上前にブームとなった「おりひめ」という“はた織”ができる玩具を「当時は高くて買えなかった」「あれがほしかった…」という母親たちを中心に、人気を呼んでいます。 「フィッシャープライスプログラミングロボ」 背中に描かれた矢印の組み合わせ通りに前進するプログラミング玩具。目標に向かって矢印を構成するという論理的思考を3歳から養うことができます。知育玩具としてもオススメ! 「かえちゃOh!」 温度によって、アイスクリームの色が変わるお風呂用玩具。氷水をかけると色が変わり、ごっこ遊びなど楽しいバスタイムが過ごせます。 「フィッシャープライス ダンス&ムーブ! バイリンガル・ビーボ(DRD31)」 立つことができるようになった9ヶ月以降の赤ちゃん向けのバイリンガル玩具。子供が思わず一緒に踊りたくなる動きをしたり、歌を歌ったりと大活躍。英語と触れ合うきっかけにもつながります。 トレンドから注目アイテムまで一気に紹介しましたが、クリスマスに贈りたいプレゼントは見つかったでしょうか? クリスマスまで残り一ヶ月。親子共々満足できる、とっておきのプレゼントに出会えますように…! 最新の知育学習玩具をAmazonに取材!子どもに贈りたいクリスマスギフト はこちら! 取材協力/出典 Amazonおもちゃストア HP: Amazon知育・学習玩具大賞 HP:
2016年11月28日