ライター、時々編集者、カメラマン。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者兼ライターを経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムをメインに執筆。趣味は陽気にお酒を飲むこと、カオダス写真を撮ること。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』。
いよいよ10月より秋ドラマがスタートしました。忙しいママたちは気になるドラマを録画し、子どもを寝かしつけたあとのおつかれタイムに楽しむ、もしくは録りためて週末にイッキ見、という人が多いのでは? 『相棒 season17』『下町ロケット』というキラーコンテンツのシリーズものや、唐沢寿明主演の『ハラスメントゲーム』、米倉涼子主演の『リーガルV〜元弁護士・小鳥遊翔子〜』などキャラ立ち必至の最新作は、いまや堂に入った安定感を感じます。 でも、今回はママたちがときめくキャスティングで、予測不能な展開に胸が踊りそうな4本に絞り込んでご紹介します。 ■佐々木蔵之介、中山美穂、黒木瞳が織りなす禁断の恋 トップバッターは、独身の人気スター、最後の砦(とりで)といわれる 佐々木蔵之介 が、「初めて挑む王道ラブストーリー」とされる 『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』 (木曜22時~)です。平井堅の主題歌『half of me』を聴くだけで、パブロフの犬がごとく、琴線が揺れてしまうのは気のせいでしょうか? 佐々木が演じるのは、人生の折り返し地点で、妻子がいるのに運命的な恋に落ちてしまう主人公・瀧澤完治役。完治の妻で、なんと娘の婚約者(ジャニーズWESTの藤井流星)と親密になっていく真璃子役に 中山美穂 、完治と旅先で出会い、惹かれ合う目黒栞役に 黒木瞳 。まさに演技力、存在感ともにお墨付きの大人たちが奏でる芳香なアンサンブルが期待できそうです。 大人たちの切ない道ならぬ恋を描くドラマですが、原作が丁寧につむぎ上げているのは、セカンドライフにおける人生の輝きです。すなわち、とことんディープだけど、にごりのない透明感がある純粋な愛。目まぐるしい日常を送るママたちだからこそ、少し現実逃避して、大人たちが体現する崇高な愛のドラマをお楽しみください。 『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』 フジテレビ 木曜22時~ ■織田裕二と鈴木保奈美が27年ぶりに共演。オーラがすごい! フジ月9ドラマ 『東京ラブストーリー』 の 織田裕二 と 鈴木保奈美 が27年ぶりの共演すること、人気海外ドラマ 『SUITS/スーツ』 のリメイク作品という話題が先行し、放映前から話題騒然だった本作。同じ月9の枠で、初回の平均視聴率14.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)というジェットスタートを切りました。 織田が『東京ラブストーリー』のカンチとは対極のキャラクターである、傲慢(ごうまん)なエリート弁護士・甲斐正午役を演じていますが、初回から切れ味抜群です! そして甲斐とバディを組むのが、天才的な記憶力を誇る青年・鈴木大貴(中島裕翔)。こういう特殊能力をもつキャラクターは主人公のポジションにすわることが多いのですが、今回は二番手に回ることで、甲斐の存在感も際立ち、両者ともどもおいしいです。 鈴木は、弁護士たちを束ねる法律事務所の所長兼代表弁護士・幸村チカ役で、凛(りん)としたたたずまいを見せ、好感度大。 当時、カンチやリカにハラハラ、主題歌でドキドキ、少女だったママたちが涙ながらに最終回を迎えた『東京ラブストーリー』。ガラリと違う作風のドラマで変わらずオーラを発している織田と鈴木ですが、オリジナル版の脚本がしっかりしているので、今後のドラマティックな展開に期待が高まります! 『SUITS/スーツ』 フジテレビ 月曜21時~ ■高橋一生が「大人としてどうなのよ?」キャラに ママたちの支持率が高い 高橋一生 が、民放ゴールデン・プライム帯での連ドラ初主演を飾る 『僕らは奇跡でできている』 (火曜21時~)。 高橋が演じる主人公・相河一輝は、生き物が大好きで変わり者の大学講師役です。「大人としてどうなのよ?」という困ったちゃん的なキャラクターですが、高橋が演じると、おちゃめな魅力が上のせされ、なんともチャーミングです。 相手役の 榮倉奈々 が演じる歯科医師・水本育実は、相河とは真逆といえるしっかり者の女子。とにかく自分が「正しい」と思うことに猪突猛進し、ぶつかっていくという生真面目なキャラクター。正反対のタイプである2人が交流することで、予想外の化学反応が起きていきそうです。 また、共演にも要潤、お笑いコンビ・アンジャッシュの児嶋一哉、田中泯、戸田恵子、小林薫という、一筋縄ではいかない面子が大集合し、それぞれの個性を炸裂(さくれつ)。ほっこりするハートウォーミングコメディですが、タイトルにある“奇跡”がどういうものなのか? その着地点に興味津々! 「多様性を受け入れる」「個性を認める」という教育が大事と言われつつ、まだ自分が歩んできた常識ばかりに囚われがちなママたちには、ぜひ子どものなかに見える純真なものを見極めるためにもチェックしておきたい作品です。 『僕らは奇跡でできている』 関西テレビ制作・フジテレビ 火曜21時~ ■こじらせ系アラサーにおすすめドラマ 新垣結衣 と 松田龍平 がダブル主演を務める 『獣になれない私たち』 (水曜22:00~)は、社会現象にもなった 『逃げるは恥だが役に立つ』 や、石原さとみ主演ドラマ『アンナチュラル』で高い評価を受けた野木亜紀子のオリジナル脚本ということで、注目度大です。 新垣が演じるヒロイン深海晶は、常に笑顔を絶やさず、仕事も完璧な“全方位に気を遣うすり減らし女”。松田が演じる根元恒星も、人当たりがよく世渡り上手ですが、じつはまったく人を信用できない毒舌男。 一見、順風満帆に見えるけど、じつはかなりこじらせている人たちで、まさに「あるある」なキャラクター。リアルな心の揺れを描く野木脚本は、おおいに共感を呼びそうです。 ちなみに、新垣と松田の共演は2007年に公開された『恋するマドリ』以来11年ぶりとなりました。いまや、30代となり、俳優としても人間としても奥行きが出てきた2人だからこそ、晶と恒星のもどかしい距離感を、絶妙なさじ加減で演じてくれるのではないかと、いまから楽しみなところです。 『獣になれない私たち』 日本テレビ 水曜22時~ さて、ママたちは、どのドラマが気になりましたか? 今週来週で出そろうので、ぜひともチェックしてみてください。
2018年10月11日ピクサー・アニメーション・スタジオ記念すべき20作品目は、『Mr.インクレディブル』の最新作 『インクレディブル・ファミリー』 です。正義のために戦うスーパーヒーロー一家の活躍を描く本作ですが、今回はヒーローとして怪力を誇るパパが、子育てに大奮闘するという物語になっています。 ママ1人が日々踏ん張る“ワンオペ育児”の話題が絶えない昨今。外面だけではなく中身もともなった“イクメン”は、ママが切望する存在。そんな世相を反映してか、本作では 「パパも子育てしましょう」 キャンペーンが推奨されている気がします。 ■家事がこんなにも重労働とは…パパの子守大変あるある 人々を守るために、体を張って戦ってきたMr.インクレディブルことボブたち一家ですが、戦いでビルなどを破壊してしまったことから、活動を禁止させられます。仕方がないと、すぐに気持ちを切り替えて職探しを始める妻ヘレン。このあたりは、現実を見すえたママらしいなと。 そんななか、ヒーロー復活をかけた任務が入りますが、任されたのはボブではなくヘレンでした。そのことに心からがっかりしながらも、やせ我慢して弱みを見せようとしないボブの表情がたまりません。 良き夫で良きパパであろうとするボブは、ヘレンに代わって、末っ子の赤ちゃんジャック・ジャックや子どもたちの面倒を見ることになりますが、いきなりやってみた家事の大変さに大わらわ。ヘレンがなんなくこなしていた家事業が、こんなにも 手間のかかる重労働 だったことを実感していきます。 前作の終盤で特殊能力を覚醒したジャック・ジャック。本作では家族の前でも無邪気にそのスーパーパワーを放ち、まさに目が離せない状態に。子守でヒゲをそる時間もなく、睡眠不足でボブの目にはクマが。また、ティーンエイジャーの娘・ヴァイオレットとコミュニケーションを図ろうとするも、繊細な思春期の乙女心をまったく理解できないボブは反感を買ってしまう始末。 ヒーローとしてはじつに頼もしいMr.インクレディブルにとって、子育てというミッションは、かなり手ごわいものだったようです。 イクメン映画が登場した社会背景を考える 本作を監督したのは、『Mr.インクレディブル』と『レミーのおいしいレストラン』でアカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞したブラッド・バード。本作には、実生活においてもボブと同じ家長であるブラッド・バード監督の実体験がエピソードとして入っているそうです。 自分自身の子ども時代はもちろんのこと、家庭をもってから、妻とぶつかっては自分が非を認めたり、妻とともに子どもの成長を見てきたりした、子育ての体験談のほか、本作に関わっているスタッフ陣のエピソードも盛り込まれ、より生き生きとした家族のドラマに仕上がりました。 本作は、ピクサー・スタジオの記念すべき20本目の映画でもありますが、すばらしいファミリー映画を作ってきたピクサー・スタジオには「家庭を大切にする」という社風が息づいています。常に時代を映し出す作品を作ってきたスタジオですから、女性の活躍が増え、共働きの家庭も多くなった昨今の家庭事情も反映された作品になった気がします。 ■イクメン奮闘をファミリー映画で描く意義 折しも大ヒット中の 『未来のミライ』 の細田守監督も、ブラッド・バード監督と同じように、自身のイクメン奮闘体験を作品に織り込んでいます。2作に共通するのは、パパ目線で語られる子育ての苦労ですが、ともに理想論や美談を提示するのではなく、ごくありふれた家族の日常を描くことに徹しています。 さらにこの2作が秀でている点は、赤ちゃんや子どもの描写のリアルさを追求することで、「親だった自分も昔は子どもだった」ということを、あらためて思い出させてくれる点です。それをファミリー映画、しかもメガヒット級の娯楽作で描いていること自体、とても意味があると感じています。 いわば客層としての守備範囲が広い。だからこそ、子育て中の親は、親だけではなく、子ども目線にもなれて「昔はこういうことに悩んでいたな」とか「親はこんなふうに子どもを見ていたのか」と若き日の自分に思いをはせることもできる。誰もが映画を観れば、家族へのいつくしみを感じるとともに、親に対する感謝の思いもこみ上げてきます。 折しも夏休みが始まり、家族で観られる娯楽映画もたくさん封切られてきました。『インクレディブル・ファミリー』は、いよいよ8月1日(水)の公開となるので、猛暑が続く夏、ぜひ家族を連れて映画館へ行ってみてはいかがですか? 『インクレディブル・ファミリー』 8月1日(水)公開 パパもママも 3 人の子供も、それぞれ異なるスーパーパワーを持ったヒーロー家族のMr.インクレディブル一家。家事も育児も世界の危機も、驚異のスキルと家族の絆で乗り越える! 日本版声優は三浦友和、黒木瞳、綾瀬はるか、山崎智史ら。
2018年08月01日視聴率も絶好調で、脚本家・北川悦吏子自らアクティブに投稿されているSNS効果も相まって、大いに盛り上がりを見せている朝ドラ 『半分、青い。』 。「恋は盲目」とはよく言ったもので、 鈴愛(永野芽郁) と 涼次(間宮祥太朗) は出会って速攻で恋に落ち、トントン拍子で結婚に至りました。 当然のことながら、結婚してからいろんなものが見えてきて、いまや課題は山積み状態。結婚生活が障がい物競走と化しています。本作では、すいも甘いもいろんな夫婦像が描かれていて、結婚における幸せの価値観について、あらためて考えさせられます。 ■人生崖っぷちの結婚はリスク!? 同じ日に産まれ、青春時代をともに過ごし、ある時期まで密につながっていた鈴愛と幼なじみの 律(佐藤健) 。彼の結婚の一報が入ったのは、鈴愛が漫画家として追い詰められているときでした。人生崖っぷち状態の鈴愛にとって律の結婚は、 今世紀最大のディープインパクト だったに違いありません。 そんななか鈴愛は、100円ショップの短期バイトで入ってきた涼次(間宮祥太朗)と恋に落ちます。もはや恋のブレーキが効くはずもなく、鈴愛は、涼次のバックグラウンドをなにも知らないまま見切り発車した感じでゴールインし、かなりリスキーな結婚生活が幕を開けました。 甘い新婚生活を送ろうとしていた鈴愛でしたが、ふたを開けてみたら、涼次が探してきた新居が彼の叔母・藤村三姉妹の家の離れで、しかもボロ家だったり、引っ越し資金を涼次が勝手に使い込んでしまったりと、ある意味、結婚の落とし穴が多数仕掛けられていました。 もともと何ごとにおいても見通しが甘い鈴愛ですが、人生において重要な選択である結婚についても「やってまった」感が否めません。よく「非常時の恋愛は長続きしない」と言われますが、はたして鈴愛はどうやってトラップを乗り越えていくのでしょうか? ■結婚にみる幸せの価値観の多様性 人は何をもって幸せと見なすのか? 『半分、青い。』に登場する人々を見ていると、それぞれが求める幸せの価値観の違いが興味深いです。誰もが人生の岐路で、自分が良いと思う選択をしているはずですが、そこに見いだす価値観は十人十色です。 裕福ではない、けれど幸せな家庭 を築き上げた鈴愛の両親・晴(松雪泰子)と宇太郎(滝藤賢一)。もともと持病で子どもが難しいと言われていた晴ですが、2人の子どもを授かり、いまやたくましくも良き母となりました。この晴のエピソードは、北川悦吏子自身の体験がベースになっているという声もよく聞きますが、非常に共感度の高いキャラクターとなりました。 また、夢に破れ、 結婚に安定 を求めた鈴愛の親友・裕子(清野菜名)や、結婚せずに漫画家の道を極めた秋風羽織(豊川悦司)の人生観も興味深いです。 秋風はもともと人間嫌いで仕事一筋でしたが、気がつけば職場で疑似家族を作っていました。弟子である裕子を送り出すときは親代わりを務め、鈴愛の女としての幸せを考える親心も知らず知らずのうちに身につけていました。 また、裕子は結婚してから主婦としての幸せを手に入れ、ずっと疎遠だった親との関係性も、子どもを産んでから改善されたようです。 鈴愛のしっかり者の弟・草太(上村海成)は姉の結婚観について「姉ちゃんは 安定よりも夢 を選んだんやと思う」と冷静に語っていましたが、鈴愛はまさに裕子とは真逆の選択をします。でも、考えてみれば、「夢に邁進(まいしん)していく」という鈴愛の生き方がぶれてない証拠なのかなと。 ■鈴愛と律は将来的に結ばれるのか? 鈴愛が結婚式のメッセージビデオを観た時、親しい人々からの祝福のメッセージに感動しつつ、そこに「一番おめでとうと言ってほしい人」である律が参加していないことに気づき、しばし寂しさを覚えます。 これには、ずっと鈴愛と律を見守ってきた朝ドラ視聴者の胸はキュンと痛んだのではないでしょうか。鈴愛は涼次を愛しているけれど、やはり律とともに重ねた年月には勝てないのでしょうか? また、律においても、妻となったより子(石橋静河)との関係性がそこまでしっくり来てない印象を受けるので、今後の展開が気になるところです。 余談ですが、鈴愛と律が産まれたのは7月7日の七夕ですが、近所のスーパーで飾られていた今年の笹に「鈴愛と律が結婚できますように」という短冊を見つけました。自分のことではなく、ドラマの登場人物の幸せを祈った短冊を目にし、『半分、青い。』のお茶の間の浸透度をあらためて実感した次第です。 今後、鈴愛の結婚生活がどう転んでいくのかは、神のみぞ知る、いや北川悦吏子のみぞ知るというところですが、鈴愛には持ち前のガッツで、常にひたむきに生きていってほしいものです。また、鈴愛と律の人生は再び深く交わっていくことは間違いないので、期待したいですね! NHK連続テレビドラマ小説 『半分、青い。』 (月~土)午前8時~8時15分
2018年07月24日北川悦吏子脚本の朝ドラ 『半分、青い。』 が、視聴率的に20%前後をマーク。SNSでも盛り上がりをみせています。 左耳の失聴 というハンデを抱えながらも、明るく生きていくヒロイン 楡野鈴愛(永野芽郁) 。今週はついに漫画家になるという夢を追いかけ、上京することになりました。 祖父のコネで農協への就職が決まっていたのに、それを蹴って、憧れの漫画家・秋風羽織(豊川悦司)のもとで修業することを選んだ鈴愛。それに一番猛反対したのは、母・晴(松雪泰子)でした。 ■子どもが夢をもつことを喜ぶ? 寂しい? 頑固に東京行きを主張する鈴愛を、なにがなんでも止めようとした晴ですが、娘の強い意思を確認したあと、自分を納得させ、その後は娘を応援しようと決意します。 「鈴愛の夢は、お母ちゃんの夢や。娘が夢を持つことはうれしい」と涙ながらに言う晴。でも、 「子どもの巣立ち=親離れ」 でもあるので、寂しい気持ちを抑えることができません。 晴は泣きながら言います。「お母ちゃんは寂しくてたまらん。あんたはもう18かもしれんけど、お母ちゃんの中には、3つのあんたも5つのあんたも13歳のあんたも全部いる。もう大人やと言われても…」 たしかに親にとって子どもはいつまでも子どもであり、そばに置いておきたいのが母心。このエピソードに呼応するように、鈴愛はある夜「怖い夢を見た」と、少女時代のように、母親の布団に潜り込んでいきます。 そして母に「ごめんね」とようやく素直に言えた鈴愛。晴は「泣いてない」と言いながらも涙・涙。母親の寂しさを誰よりもわかっている鈴愛は、母の背中が小さくなっていることを感じたようでした。 ■優秀な子どもをもつ親にも葛藤がある 昔からいわば神童だった、 佐藤健 演じる律。鈴愛が困ったときは、いつも助け船を出してくれたり、さりげないフォローもしてくれた、大切な友だちです。 そんな律が、よりにもよって、大切なセンター試験を、うっかりミスによって受けられなくなるという珍事が発生。原因は、律の家に来た鈴愛が、律と同じクリアファイルを間違えて持ち帰ってしまったため(じつはカメの仕業だったことがあとで判明)。そこに律の受験票が入っていたようで…。 視聴者的には「そんなものがなくても再発行してくれるのでは?」とツッコミたくなるが、そこは抜け目のない北川脚本。律の父・弥一(谷原章介)をとおして「律がそのことに気づかないはずがない」と指摘させる。 「プライドがチョモランマより高い」と言われる律が、そのことを承知で受験に行かなかったのではないかと、弥一は推測。彼は親として、息子が “できる子ならではのプレッシャー” を抱えていたことを理解していたよう。「律は心の奥底でどこかホッとしたのではないかと。僕は心底ホッとした」と穏やかな口調で言います。 律に京大を受けさせたかった母・和子(原田知世)も今回の一件は納得済みの様子。晴が悲しいとき、つねに笑顔を見せ、妻をいたわってきた晴の夫・宇太郎(滝藤賢一)もすばらしいが、弥一もじつにいい夫でした。 ■舞台は東京へ! カリスマあふれるトヨエツに期待 いよいよ舞台は、岐阜から東京へ。豊川悦司演じる秋風羽織先生に、鈴愛は振り回されそうな予感! トヨエツは、北川悦吏子脚本の『愛していると言ってくれ』のシリアス路線とは打って変わり、カリスマ性あふれる変人漫画家役をおちゃめに演じている。 鈴愛を上京させたきっかけは、イベントのときに鈴愛が差し入れた五平餅が気に入ったから、という流れになっていたが、はたして本当にそうなのか!? 鈴愛は、漫画家になるという夢に邁進(まいしん)していけるのか? そしてその夢を応援する律や家族は、今後彼女の発するSOSにどう応えていくのか? 律と鈴愛の関係性がどう変化していくのかも気になるところです。 NHK連続テレビドラマ小説 『半分、青い。』 (月~土)午前8時~8時15分
2018年05月12日朝ドラ 『半分、青い。』 は、3週目に入り、少女期から主演の永野芽郁にバトンタッチされました。 主人公の楡野鈴愛(にれの・すずめ)は、小学校3年生のとき、病気のために 左耳を失聴 。障がいを抱えたことに最初は戸惑いつつも、独自の感性でそのことを受け止め、前へと進んでいこうとします。そんなハンディキャップやコンプレックスを抱えた子どもに対して、親はどうやって向き合っていけばいいのか。朝ドラに登場するタイプの異なる二人の母の接し方から考えてみたいと思います。 ■ハンディキャップがある子どもに親はどう向き合う? 鈴愛が失聴したとき、一番動揺したのは、いや、正確に言えば、動揺をそのまま感情として吐き出したのは、 母の晴(松雪泰子) でした。晴は自分で自分を責め続け、泣き続けてしまいます。 もともと子育てに一生懸命なゆえに、ときには鈴愛をきつく言いすぎることもあった晴。鈴愛が自分の名前をからかわれたことを母親に言えず、それがもとで友だちとケンカし、晴にこっぴどく叱られたこともありました。一時は親子で大げんかとなりましたが、ケンカの理由が明かされたとき、2人の絆はより深いものとなりました。 晴が鈴愛に真っすぐな愛情を注いでいた分、娘の失聴を知ったときの悲しみははかりしれません。普段は能天気でおちゃらけキャラの夫・宇太郎(滝藤賢一)も、ここではユーモア封印で、晴をさとすことなく“聞き手”に徹します。 ショックで寝込んでしまった晴。鈴愛は怖い夢を見ると、すぐに晴のふとんに潜り込みに来ていましたが、このときばかりは、祖父・仙吉(中村雅俊)のふとんへ。その後、宇太郎も同じ布団に潜り込んできたときには、ほっこりしました。家族のなかで、傷ついて立ち上がれない人がいたら、 周りがそっとフォローに回る 。そういう寄り添い方の大切さをしみじみ感じました。 晴は、正論で突き進む母親タイプというより、ひたむきに奮闘しつつ、自分の感情を素直に出しながら、ときにはつまずいてしまう人。そして自分はダメな母親だと自分に烙印(らくいん)を押そうとする晴に、宇太郎は 「 完璧じゃないくらいでいい 。そうでないと息がつまる、鈴愛だって泣き虫なおかあちゃんが好きなんや」 と慰めます。 母親というのは「がんばるもの」「泣かないもの」と言われがち。でも母が感情を素直に出してくれたら、そしてその感情が家族を思っての涙だとしたら、それはきっと家族が自分の気持ち以上にがんばりすぎず、自然でいられるのではないでしょうか。この宇太郎の言葉は、いま現役ママたちもどれだけ助けられたことでしょう。 ■コンプレックスを抱えた子どもを「受け入れる」ということ 晴とはまったく違うタイプで、良き母親を演じているのが原田知世。鈴愛の幼なじみである律の母・和子役ですが、貧しい楡野家とは違い、裕福な家の奥さまで、いつもこぎれいだし、手作りのおやつを作ってくれたりするすてきなママです。 でも、じつは律もぜんそく持ちで、彼自身がコンプレックスを抱えていることを和子は感じているし、晴と同じく病気の子どもを心配する親の気持ちも十分わかっている。だからこそ落ち込んでいる晴に会ったとき「母親としてしっかりして、笑顔でいよう」「 受け入れて、それと一緒に生きる 。本人も、親も、家族も」と彼女を力づけようとします。でも、大人になってから完治することが多いぜんそくと、一生治らない鈴愛の失聴とは全然違うと、晴に言われてしまいました。 自己嫌悪に陥った晴ですが、宇太郎に励まされ、菓子折りをもって和子のもとを訪れます。和子は「ううん」と笑顔で首を横にふり「私、たまに先生みたいな言い方するでしょ。律によく言われる。『ほーら、これから、いい話するぞ』って」と言って、金八先生のモノマネをして見せるんです。 まさに、晴の心を気遣うことができる和子のクレバーさ。余談ですが、この原田知世の金八先生のモノマネのクオリティも高すぎてのけぞりましたが(笑)。 和子の態度は、おそらく理想的なママなのだろうと思います。でもその裏で「受け入れる」を言えるようになるまで、どれほど悩み、苦しんだことか。そしていま、受け入れた子どもとママは、おそらくとても楽になったのではないでしょうか。 ■子どもは親の気持ちをわかっている? 鈴愛の幼なじみの律は頭が良いけど友だちも少なく、少し風変わりな男の子。和子はそれをわかった上で律の個性を伸ばそうとしていきます。だから律が鈴愛たちと糸電話の実験をし、川に落ちたときも頭ごなしに叱りませんでした。また、ちゃんと人の心を思いやれる優しい子に育ったのは、鈴愛とのやりとりを見ても伝わってきます。 鈴愛が失聴した際には、自分も耳栓をして、鈴愛の気持ちを推しはかろうとした律は本当にやさしい子です。いつも相手の立場になってものごとを考えられる子どもに育ったのは、常に懐深く構える和子の人柄が大きいのではないでしょうか。 鈴愛は耳が聞こえなくなってもけっして泣かず、「左耳で小人が踊っとる」という独特の表現をして、平気なふりをします。でも、当然ながら一番衝撃を受けたのは本人でした。 心が許せる律の前で「泣くときが見つけられんかった。 私が泣くとみんなが泣く 」と言って、鈴愛は初めてポロポロと涙を流します。鈴愛は自分が泣いたら家族がどれだけ傷つくかきちんとわかっていました。子どもは、弱いだけでの生き物ではなく、小さくても親を守ろうとする生き物なのかもしれません。 ■人生は、半分雨でも、半分晴れているのかも 雨が降っても、左耳が聞こえない鈴愛は、半分の雨音しか聞くことができません。だから、半分は晴れているようなもの。あらためてタイトル『半分、青い。』の奥深さにうなります。 人生とはそういうものかもしれません。たとえどんな逆境に立たされても、自分の気持ち次第で、そこに明るいトピックを見い出すことができる。また、そんな彼女だからこそ、家族や周りの人々がサポートしてくれるのではないでしょうか。 『オレンジデイズ』や『ビューティフルライフ』でも、ハンディキャップを抱えたヒロインを描いてきた北川悦吏子。その視点はじつにリアルでありつつも、叙情的なモノローグや、悲しさをユーモアで包み込むせりふが、堂に入っています。その美談すぎない希望の描き方も、視聴者の共感を得ているのではないでしょうか。 ヒロイン永野芽郁の屈託ない笑顔を見ていると、「きっとできる!」と、背中を押されるような気がします。主人公たちは高校生になり、バブル絶頂期。家族に、恋に、将来と、抱えきれないほどの悩みをどう駆け抜けていくのでしょうか。 NHK連続テレビドラマ小説 『半分、青い。』 (月~土)午前8時~8時15分
2018年04月18日NHK連続テレビ小説『わろてんか』からバトンを受けとり、永野芽郁主演による新ドラマ 『半分、青い。』 がいよいよ4月2日(月)スタートします。脚本を手がけるのは『ロングバケーション』や『ビューティフルライフ』などで知られる恋愛ドラマの名手・ 北川悦吏子 。朝ドラを手がけるのは初で、オリジナル脚本となります。 ヒロインは、母親のおなかのなかにいるころから描かれるという驚きのはじまり。もしかしたら子どもの誕生から成長までママのように見守る展開となるのかもしれません。そこで放送が始まる前に、『半分、青い。』の見どころをチェックしながら、タイトルに隠された意味を考えてみたいと思います。 ■主題歌は星野源! あらすじをチェック 舞台は、永野芽郁演じるヒロイン楡野鈴愛(にれの・すずめ)の故郷となる岐阜と東京。ちょっぴりうかつだけど、失敗を恐れない鈴愛が、高度成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜け、やがて一大発明を成し遂げるまでの物語となっています。 大阪万博の翌年である1971(昭和46)年に、楡野宇太郎(滝藤賢一)と妻・晴(松雪泰子)の間に生まれたのが鈴愛。幼少期は、毎日野山を駆け回る元気な子でしたが、小学生のときに、病気で片耳を失聴してしまいます。そんな ハンディキャップ を抱えつつ、鈴愛は、漫画家になる夢へとまい進していきます。 数々のドジや失敗をやらかしても、ハンデを背負っていても、いろんな人に支えられながら、前向きに生きていくひたむきなヒロイン、鈴愛。まさに朝からパワーをもらえそうなドラマとなりそうです。 さらに、主題歌「アイデア」を担当するのは、いまやアーティストとしても俳優としても絶大な人気を誇る 星野源 とくれば百人力。星野がNHKドラマに楽曲提供をするのも初となりますが、1日の始まりとなる朝にぴったりなアップテンポの楽曲に仕上がっているそうです! ■ヒロイン永野芽郁の最大の武器とは? 『半分、青い。』の第1週完成試写会に登壇した北川悦吏子が、 胎児のシーン から描くことについて、最初は反対されたと明かしていました。「一週間やるつもりだったけど、お願いだから3日にしてくれと言われて」と笑いながら言っていましたが、実際には2日間で描かれるそうです。 斬新なのは、その胎児に永野が声を当てたという点。もちろん、心の声という設定ですが、永野は「監督から“赤ん坊っぽく”と言われてけっこう悩みました」とのこと。かなりチャレンジングな試みだけに、仕上がりを見るのが待ち遠しいです。 永野芽郁は、人気コミックの映画化『ひるなかの流星』や『帝一の國』、窪田正孝主演のドラマ『僕たちがやりました』などでヒロインを務めてきましたが、しっくりと物語になじむ演技力と、清涼飲料水のようなさわやかな笑顔が魅力です。余談ですが、『ひるなかの流星』で演じた役柄も“すずめ”で、名は体を表すという言葉どおり、すずめのような愛嬌(あいきょう)と愛くるしさが彼女の最大の武器です。 ■「子どもを自立させる」ための母の向き合いかた 本作の前半では、 「障がいをもつ子どもをどう自立させるか?」 というのがサブテーマになりそうな予感。左耳を失聴してしまう鈴愛は、 雨音が片側しか聞こえない ことをおもしろがるようなポジティブであかるい性格の女の子。そして、それを支えるのはやはり母親なのではないでしょうか。 松雪泰子演じる母親・晴は、怒ると怖い肝っ玉母ちゃんですが、じつは涙もろくてお人よし。子育ても一生懸命やるタイプだからこそ、鈴愛に障がいを負わせてしまったことに、とてもショックを受けたことでしょう。 母親としてどこか後ろめたさを感じ、娘を心配しすぎるがゆえについつい言いすぎてしまう。ハンデがあるからこそ、鈴愛にはきちんと自立した人間になってほしい。子どもを育てるときに、だれもが感じる 過保護と過干渉の葛藤 に、晴がどう向き合っていくのか。そしてそんな母の下で、子どもはどのように愛情を受け取り、ハンデを乗り越えていくのか、とても気になるところです。 一方、滝藤賢一ふんする父・宇太郎は、“朝ドラあるある”の優柔不断で能天気なダメおやじキャラ。何かとヘマをやらかしてしまう鈴愛は、父親の血を引いている!? 晴によく怒られている宇太郎ですが、夫婦仲は安泰のよう。 母と娘がぶつかったときも、宇太郎が良い感じでクッションとなるようで、意外と包容力を持ち合わせた父親のようです。子育てはまさに夫婦二人三脚。この2人のバランスこそが子どもに与える影響の大きな要となってくる予感がします。 ■佐藤健、豊川悦司のイケメン枠に、ブレイク候補が追加か 朝ドラといえば、目の保養となるイケメン枠は不可欠な存在。明るくて朗らかだけど、壁にぶち当たってばかりの鈴愛は、王道の“ほっとけない系ヒロイン”。ということは、頼もしい助っ人は不可欠となります。今回の相手役は、マストイケメンかつ実力派俳優、 佐藤健 です。 佐藤が演じるのは、鈴愛の幼なじみ・萩尾律役ですが、意外にも彼は朝ドラ初登板です。律は、鈴愛と同じ日に同じ病院で生まれた幼なじみで、お互いのことをだれよりも理解しあっているという役どころ。 しかも容姿端麗、成績優秀というクールな知性派ながら、繊細さを兼ね備えているというおいしすぎるキャラクター。この時点で設定勝ち、キャスティング勝ちなので、いまから心がざわつきます。 さらに、ダンディなイケメン枠として、 豊川悦司 がスタンバイ。演じるのは、鈴愛の師となる少女漫画家・秋風羽織役。トヨエツといえば、北川脚本のドラマ 『愛していると言ってくれ』 で、聴覚障がい者の画家を演じ、女性陣をメロメロとさせたほどの手腕の持ち主。 鈴愛は、片耳だけの聴覚障がいですが、もしかしたら永野がトヨエツに役作りでのアドバイスなんかを求めたりしたのかも!? 想像するだけでもニンマリしてしまいます。さらに秋風自身はどうやら相当偏屈な男のようで、2人がどんなふうに火花をちらしていくのかドキドキします。 また、朝ドラでチェックすべきは、青田買いのイケメン兄弟枠。今回、鈴愛の1つ違いの弟・楡野草太役に投入されたのは、朝ドラ初出演のフレッシュな若手俳優・上村海成。 草太は、思い立ったら即行動の姉とは対照的で、石橋をたたいて渡る慎重なタイプ。楡野家のなかではだれよりも冷静な判断が下せ、しかも勘がよくて気が利くというモテ男。彼は永野と同じ「nicola」のモデル出身で、ルックスは太鼓判が押されたブレイク候補生! ■タイトルに隠された意味とは? 雨上がりの青空を見て「半分、青い。」とつぶやくヒロイン鈴愛。この言葉は、片耳の障がいを抱えながらも後ろ向きにならず、明るくものごとをとらえて生きようとする、鈴愛のたくましさの表れでもあるのでしょう。また、そうあってほしいという願いもこめられているのではないかと。 もしかしたら愚痴が言いたくなる日でも、雨の朝でも、「半分、青い。」と思えれば、気持ちを切り替えられそうな気がします。いまくじけている人、つらいことがある人への「今日も一日がんばろう」というエールとなるかもしれませんね。 『半分、青い。』 4月2日(月)放送開始 NHK総合(月~土)午前8時~8時15分 公式サイト:
2018年04月01日いよいよ最終週を迎えた朝ドラ 『わろてんか』 。葵わかな演じる主人公てんは、妻、母、夫亡きあとは寄席チェーンの女興行師として「どんなにつらいときでも、笑って乗り越えていく」をモットーに、凛として生きてきました。 舞台は明治から昭和初期の戦争時代。特に後半は、普通に生きていくこと自体が厳しい戦下の激動期です。愛する夫・ 藤吉(松坂桃李) と抱いた「笑いのビジネスを成功させる」という目標がようやく達成されたかに思えたのに、なんとまたふりだしに戻りそうな怒とうの展開に! それでもなぜ、てんは希望を失わず、前進し続けることができたのでしょうか? てんの半生をふり返ってみると、夫との愛と夢に腹をくくった生きざまが見えてきました。 ■松坂桃李に添い遂げる覚悟。高橋一生の役回りは? 愛する藤吉(松坂桃李)と、両親の反対を押し切って駆け落ちしたてん。そのときてんは、母・しず(鈴木保奈美)から喪服を受け取ります。「貞女は二夫に見えず」を物語る白い死に装束は、 「愛した人には一生添い遂げる」 という覚悟の象徴でした。 しずによると、それを縫ったのは祖母のハツということで、おそらく藤岡家の女たちは、もともとそう刷り込まれて育ってきたのかもしれません。 実際、てんの父・儀兵衛(遠藤憲一)としずも 夫唱婦随 (ふしょうふずい)を画に描いたような夫婦でした。すなわち腹をくくり、愛した人に一生ついていくこと。それは『わろてんか』が一貫して描いたテーマでもあり、その愛の力で人生が切り開かれていきます。 てんの息子・隼也(成田凌)がつばき(水上京香)と駆け落ちするというくだりも、そのテーマの反復です。じつは隼也も、母てんや父・藤吉と同じように愛する人と歩む道を選んだに過ぎない。そして息子の駆け落ちにより、てんは初めて自分の両親がどれだけ心を痛めたのかを自ら思い知らされることになります。 隼也と久しぶりに再会したてんが、「わろてるか?」と心配して尋ねるくだりも、その昔、てんが駆け落ち後に再会した父・儀兵衛とのやりとりと同じです。 隼也の笑顔を見て、息子の幸せを確認したてんの表情がじつに味わい深い。愛に生きるという息子を肯定しつつ、じつは自分自身の生き方をも肯定できた瞬間でした。 視聴者としては、藤吉亡きあと、絶大な支持率を得ていた 伊能栞(高橋一生) になびかないのかしら? というほのかな期待もありましたが、てんはまったく揺らがず、これまでどおりの距離感で伊能と交流していきます。 伊能が渡米する前に、てんと2人で“ラストダンス”を踊るシーンでは、友情や同志愛という言葉では言い尽くせない深い絆を感じました。互いの心のうちは、2人のみぞ知るところ。でも、藤吉への愛をまっとうするてんだからこそ、伊能はつかず離れずの大きな愛で、静かにてんを支え続けたのでしょう。 ■女性が働くことが厳しい時代に、てんが多くの人に支えられたワケ 亡くなってからも、幽霊としててんの前に登場し続けた藤吉。これはかなり画期的な試み! 夢枕に立つとか、回想シーンが連打されるというのがこれまでの朝ドラの常とう手段でしたが、やはり『わろてんか』は夫婦の物語ということで、脚本家の吉田智子もそこを貫きとおした感じです。 残されたてんは北村笑店の社長となり、女興行師として会社のかじ取りをしていきます。ここでてんを支えたのが“北村ファミリー”でした。シングルマザー、しかも細腕で社長という重責を背負いながら、てんがくじけなかったのは、やはり社員を含めた大きな家族の存在が大きかったと思います。 幼なじみでずっとてんを支えてきた風太(濱田岳)とおトキ(徳永えり)夫妻はもちろん、永遠の王子キャラである伊能、そして北村笑店の全員が、てんをあらゆる側面で支えていきます。 なぜ、てんは彼らに手厚くサポートされるのか? それは彼女がこれまで彼らを家族として大切にしてきたから。北村家の3つの家訓「始末・才覚・算用」に加え、てんが行動で示した「人財」。まさに 「人は財なり」 ということで、てんは人生において、家族というかけがえのない財産を築き上げました。 もちろん悲しいできごとに涙する局面もありましたが、そういうときも、周りの家族が寄り添ってくれました。情けは人のためならず。つねに人の立場になり、相手を思いやってきたてんですが、その恩恵はそのまま自分に返ってきました。本当に思いやりの大切さを痛感させられます。 ■戦争で焼け野原となった広場で、何かが起こる!? 戦争の建物疎開ということで小屋もたたみ、その後焼け野原となってしまった大阪。てんの目に映ったのは、おそらく絶望的な光景だったと思います。間違いなく、てんにとっての最大の試練となることでしょう。 「一生、わろてんか」 という藤吉の決めぜりふで結婚したてん夫妻。そんな逆境を前に、てんをもう一度立ち上がらせるのは、きっと藤吉と2人で追い求めた夢でしょう。 戦争で物質的にいろんなものを失ったてんですが、「一生、笑って生きていく」と決めた藤吉との約束を忘れたわけではありません。はたして最後の最後で、てんはどんな笑顔を見せてくれるのでしょうか? 夫・藤吉との愛に生き、その夢を支え、いつしか自分の夢としてきたてん。そんな生活はまさに山あり谷ありの連続でした。それでもてんと藤吉夫婦がみせてくれたのは、どんな局面でも笑顔を忘れないことで、希望が生まれていくというメッセージ。 時代は違えども、夫婦を襲う困難な局面、子育てのつらさと喜び、そして働くということに、腹をくくって笑顔で挑んだてんの生き方には、見習いたいものが多くありました。
2018年03月27日第90回アカデミー賞で2部門を受賞し、ディズニー/ピクサー作品の最高峰と呼び声の高い 『リメンバー・ミー』 が3月16日(金)より公開されます。本作の主人公ミゲル役で声優に初挑戦し、すばらしい演技と歌声を披露した 石橋陽彩さん と、愛嬌(あいきょう)たっぷりのヘクター役でおちゃめさと懐の深さの両方を表現した 藤木直人さん にインタビュー。 本作は、カラフルな死者の国を舞台に、何世代にもわたる家族のつながりを描く感動作。音楽が大好きなのに、音楽を禁じられた家庭で育ったミゲルと、陽気だけど孤独なヘクター。そのふたりが交流することで、ある奇跡が生まれます。 藤木さんは親の立場から教育や音楽について、石橋くんは音楽に対する熱い思いや将来像について語ってくれました。 ■子どもが好きなことを禁じる親の役割とは? ――藤木さんは、演じたヘクターのどんな点に共感しましたか? 藤木 :ヘクターの抱えている強い思いは、 「自分が親である」 からこそいちばん理解できる部分。そこが表現の核となりました。でも陽気だけどうさんくさいというキャラクター像が難しかったです。 ――大好きな音楽を禁じられているミゲル。石橋さんは、もしもご両親から音楽禁止令がくだったらどうしますか? 石橋 :僕は幼稚園の頃から音楽が好きだったので、歌を禁じられることは絶対に嫌です。もしも本当に「禁止だ」と言われたら、いろんな人に自分の歌声を聴いてもらい、がんばってふりむいてもらえるようにと努力します。 ――藤木さんは親の立場から見て、どんなふうに思われましたか? 藤木 :今回、ミゲルの家族が音楽を禁じたのには、いろんないきさつがあったわけで。むしろ「音楽は情操教育にいいからやりなさい」というのが普通の親の考えですよね。でも、今回の話で、“音楽”を “子どもにやらせたくないこと” に置き換えて考えてみると、うちも「ダメなものはダメ」と言います。 だけどもしかして 親がダメだと禁じていることが、のちのちに子どもにとってプラスアルファになったり、人生が豊かになったり、将来につながることもあるのかもしれない。自分にその 価値観 が理解できないからといって、禁止することはすごく難しい部分があると思います。 でも、中毒性があるものについては、できるだけコントロールしてあげるのも親の役割なのかなと(笑)。 ■子どもの才能を伸ばすために親ができることはあるのか? ――「チャンスをつかめ」というキーワードが印象的でした。石橋さんはその言葉をどう感じましたか? 石橋 :今回の僕は、本当に チャンスをつかみにいった という感じです。僕は歌が大好きですから。でも、最近は声変わりがあり、自分の歌いたい歌が歌えなくなったりして、悩んだりしていました。いままで歌ってきた高音の女性アーティストさんの曲が歌えなくなってきて、ちょっと十八番(おはこ)がなくなってきたかなと(笑)。 藤木 :十八番(おはこ)! すごいね(笑) 石橋 :得意だと思っていたことができないことは、苦しいことかなとも思いましたが、声変わりが始まり、声が低くなったからこそ 新しいジャンルに取り組める こともできると思い直しました。いまは男性アーティストさんの曲も新しく歌えるようになりました。自分の得意なところが消えてしまうけど、新しいところにチャレンジできるのはいいことかなと思います。 ――藤木さんは、お子さんの才能を伸ばす親の役割についてどんなふうに思われていますか? 藤木 :子どもの成長時期には運動する機会を多く与えるとよいと聞いて、なるべく自分の子どもにはいろんなスポーツをやらせてあげたいとは思っています。 でも、親の心子知らずで。自分も考えてみれば、 “親から押し付けられたもの” はやりたくなかったかなと。僕はスイミングスクールに行かされていたけど、嫌で嫌でしょうがなかった。結局本人が興味をもたないと、それは意味がないことだとも考えています。ただ、 機会だけは与えてあげたい と思って、実際にいろんなことをさせているつもりではいるんですけどね。 とはいえ、僕はそういった子どもの発達や指導方法に詳しくないし、実際に子どもができる前は、そういう情報にまったく目が止まらずにスルーしてきたと思います。自分が親の立場になって初めて、いろんなことを考え始めた感じで。 以前、フジテレビのバラエティ番組で久保田カヨ子さんの幼児教育やヨコミネ式メソッドについて放送しているのを観たことがありましたが、子どもがいなかったらそういう番組を観ることもなかったかなと。実際に観てみると「ああ、こんな方法もあるんだ」と思い、少しずつ吸収していった感じです。 ただ専門的にやっている人たちの方がはるかに詳しいから、そういうところに委ねるのもいいかもしれない。また、国としてある程度は、そういった専門的な人の声をすくい上げて普及していくことも必要なんじゃないかなとは思います。 実際、スーパー園児などをテレビで観ると、「こんなことができるんだ!」とにわかには信じがたい部分もあります。でも、こうやって陽彩くんを間近で見ていると「こんな歌声を出せる子がいるんだ! ここに スーパーキッズがいた! 」と感心してしまう。 もちろんもともとの才能はあったとは思うけど、興味があったからこそ自分からやりたいと思ったのかなと。そう考えると、やっぱり受動的ではダメで、 いかに好きになって能動的になれるかが大事 。結局は本人の資質や努力によるものかなとも思います。 ■藤木直人が泣いた! 父という存在が映画で教えること ――親からの教えで、ずっと守っている事柄があれば教えてください。 石橋 :僕はとくにないですね。帰ったら手洗いとうがいをするとかでしょうか? 藤木 :陽彩くんはえらいね! 普通子どもなんて言っても聞かないものじゃない? 僕もなるべく機会を見つけ、何度も言うようにしているけどなかなか(笑)。 ――音楽をテーマにした本作。今後の音楽との関わりについても聞かせてください。 石橋 :これから音楽だけではなくて、音楽を通じて、今回初挑戦した声優や、以前からやらせてもらっているミュージカルや舞台、ドラマなどをいろいろとやっていきたいです。それらは全部、音楽からつながってきたお仕事なのでもっと挑戦したいです。 藤木 :僕は高2の夏休み前にギターと出会い、衝撃を受けて、ギタリストになりたいと思いました。当時は1日何時間もずっとギターを弾いていたし、逆にギターを取られたら自分には何もない感じだったとも思います。 現在は音楽は趣味に近いかな。音楽は役者以上に才能がないとできないものだと痛感しているので。いまは他の活動を含めて僕を支持してくださる人たちのためにがんばっている感じですが、でも音楽を演奏しているととても楽しいです。 昔ほど音楽に夢中になっていないのかもしれないけど、ギターを弾けるステージという場所があることや、生涯楽しめるものがあるということ自体がとても幸せでありがたいことだと思っています。 ――最後に『リメンバー・ミー』をこれから観る方へのメッセージをお願いします。 石橋 :声優初挑戦でこんな大役を演じさせていただき、光栄でしたが、初めは緊張と不安しかなかったです。でもどんどんミゲルの気持ちに近づくことができたと思います。何ごともまじめで一直線に駆け走るミゲルというキャラクターができたと思います! 藤木 :初めて観たときに字幕も何もなくて台本と照らし合わせながらだったけど、僕は感動して泣きました。ぜひ大人の人に多く観てもらいたいと思いました。もちろん子どもが観ても楽しいし、いろいろな年代の人の心に染み入る話なんじゃないかなと。僕も子どもと一緒に観たいですね。僕の声とか関係なく、きっと楽しんでくれると思います。 『リメンバー・ミー』 公開中 少年ミゲル(声:石橋陽彩)は音楽が大好きで、ミュージシャンを夢見るも、彼の家では代々音楽を禁じられてきた。ある日 “死者の国”に迷い込んだミゲルは、陽気だけど孤独なガイコツのへクター(声:藤木直人)と出会う。果たして2人がたどる運命とは?
2018年03月22日ついに先週、朝ドラ 『わろてんか』 で 松坂桃李 演じる藤吉が、てん(葵わかな)に見守られながら、天(てん)に召されました。 先週第17週は『わろてんか』から『泣いてんか』へ。第16週で再び脳卒中で倒れた藤吉。この最期の時間の使い方は、夫として父として、そして息子、席主として、100点満点だったのではないでしょうか? なぜなら大黒柱である 夫が亡くなる というのは、現代でもとても大きな哀しみと、そして新しい生活への不安が生まれます。しかし藤吉は、愛するてんをはじめ、周りの人々にきっちりとお別れをし、さらにはてんが生きていく術を残して去ることができました。人生、なかなかこうはいきません。 ■松坂桃李、男前すぎる夫としてのラスト 何ごとにおいても詰めが甘くて失敗し放題、おまけに子育てもろくにサポートしなかった藤吉。イケメン松坂桃李のビジュアルをもってしても、女性からのブーイングの声は多く、いつも困ったときに現れる王子・ 伊能(高橋一生) の支持率は上がるばかりでした。しかし、最後の2週で、藤吉株が急上昇。 ここまで北村笑店がビッグになったのは、てんの内助の功はもとより、自分に笑いの才能はなくてもお笑いの目利きだった藤吉の力が大きかったと思われます。だからこそ藤吉は、仕事の采配などをてんにこまやかに教え、妻も立派なビジネスマンとして育て上げていきます。 北村笑店の行く末を案じた藤吉が、生涯の盟友となった伊能に、てんの今後をお願いするシーンは男前すぎ! 藤吉は、伊能に業務提携の打診はもとより、残されたてんをいろんな面でサポートしてもらえないかと懇願します。 水もしたたるいい男(劇中の台詞にもありましたが)の伊能がいまだに独身を貫くのは、てんのことが忘れられないからではないか? 藤吉は伊能にそのことをツッコみますが、ジェントルマンの伊能は、逆に藤吉とてんの夫婦をセットにしての絆を強調します。 実際、ずっと孤独だった伊能が、唯一穏やかに羽を休められる時間が、てんや藤吉といるひとときだったのかもしれません。世にも美しい “二股にならない三角関係” 。これぞ、まさに『わろてんか』最大の醍醐味(だいごみ)でしょうか。きっとこの先、形は変わっても、この関係性はずっと続いて行く感じですね。 ■反抗期の息子にささげた父の言葉とは 母・息子の絆の深さも再確認。久しぶりに鈴木京香演じる啄子が日本に帰国し、藤吉たちと再会します。啄子は、大きくなった北村笑店に感激するとともに、てんや息子・藤吉の成長ぶりを見て心から喜びます。 以前は困ったドラ息子だった藤吉は、いまや正真正銘の親孝行息子に。啄子は藤吉を「天下一の息子や」と賛辞すると、藤吉もこれまで苦労をさせた母に「天下一のお母ちゃんや」と感謝の言葉を返します。 反抗期を迎えたてんと藤吉の息子・隼也(大八木凱斗)は、将来的に北村笑店を継ぐことに二の足を踏んでいた時期がありましたが、藤吉の背中を見て改心。 見舞いに来た隼也に、藤吉は「勉強して、一生の仕事だと思ったら継いでくれ」という父親としての懐の深さを見せます。いやあ、成長しました! ■愛する夫が亡くなったときの妻の覚悟とは 藤吉とてんは、酸いも甘いもいろんなことを乗り越えてきましたが、ずっとふたりがオシドリ夫婦だったことはたしかです。 てんの母で藤吉の義母にあたるしず(鈴木保奈美)が、藤吉の見舞いに来たとき、 「好きな人との苦労は幸せ」 という名言を残しましたが、おっしゃるとおり。逆に山あり谷ありだったからこそ、夫婦の絆が深まったのかもしれません。 「一生、笑わせたる」とてんに宣言して結婚した藤吉は、まさにその言葉をまっとうしました。というか、藤吉のお笑いの原点は、ずばりそこ。「ほんまは たった一人の女の子を笑わせたかった んや」という藤吉の言葉。藤吉ってば、なんてロマンチストなんだと、しみじみ思いました。 てんは藤吉を送り出すとき、しずから手渡された死に装束をまといます。「貞女は二夫に見えず」。てんの静かな表情から、愛する夫と墓場まで添い遂げるという覚悟がうかがえました。 ■残された妻の戦いがはじまる 朝ドラの主人公は、本来ドジ踏んで窮地に立たされてなんぼ、勝負に出てなんぼの役どころです。ある種、トラブルメーカーがおいしい。ところが『わろてんか』において、そのキャラの一端を担っていたのは、ずっと藤吉でした。 「笑いを商売に変える」宣言をしてから、矢面に立たされてきたのは藤吉で、てんは刺さった矢をせっせと抜きつつ、援護射撃をしていくというポジションでした。でも、藤吉なき後、ようやくてんが、真の意味での表舞台に立つことになります。 すなわち藤吉なきあとこそ、てんの真価が問われていくんでしょう。第18週のサブタイトルは「女興行師てん」。これからはてんが先頭に立ち、『わろてんか』のラストスパートをかけていきます。 藤吉の死を嘆いていては、藤吉が浮かばれません。早速、月曜の朝から写真として登場し、てんたちと絡んでいましたが、今後もことあるごとに天国からてんを支えていくことでしょう。 松坂桃李が去ったあと、イケメン枠のテコ入れとして、大人になった隼也役で成田凌が登場します。北村笑店の跡継ぎということで、伊能とのタッグも期待できそう。てんが女席主としていかに奮闘していくのか、今後ともエールを送っていきましょう。
2018年01月31日第15週に突入したNHKの連続テレビ小説 『わろてんか』 のサブタイトルは「泣いたらあかん」。とはいえ、 てん(葵わかな) と夫・ 藤吉(松坂桃李) が二人三脚でやってきた北村笑店は、いまや傘下に15店舗も構え、寄席の商売としては順風満帆な様子です。 勢いに乗る藤吉は東京進出を目指すも、ある日、関東大震災が! 大波乱を迎えそうな今週は、どうやらママたちの支持率が高い、 高橋一生演 じる伊能が大きく揺さぶられる回となるようで、いまからドキドキします。 ■高橋一生のほころびがたまらない! 関東大震災に遭ったキース(大野拓朗)が大阪へ連れてきたのは、“東京のお母ちゃん”と呼ぶ記憶喪失の女性・志乃(銀粉蝶)でした。志乃を見た伊能のただならぬリアクションに気づいたてんが彼を問い詰めると、どうやら彼女は伊能を捨てた母親だったよう。 イケメン青年実業家の伊能は、どちらかというとクールでぬかりがないタイプ。だからこそ、ときどき見せるほころびがたまらないんですよね。 たとえば、心を許すてんや藤吉に見せる子犬のような笑顔や、内面に抱える孤独さには、胸がキュンキュンします。伊能ファンとしては、もっともっと揺さぶって! とリクエストをかけたくなるくらい(笑)。 ■2番手俳優にロス現象が起こる理由 『わろてんか』で、主人公てんと結ばれた1番手俳優は、藤吉役の松坂桃李。ですが、毎朝ママたちがときめくのは、いつもてんのピンチをスマートに救ってくれる王子様・伊能役の高橋一生です。 不器用で直球勝負に出がちな藤吉に比べ、伊能はカーブやスライダーも使い分けられる器用なタイプ。もちろん両者ともそれぞれに魅力はありますが、朝ドラでロス現象を生み出すのは常に 2番手のポジション にいるイケメン俳優なのではないでしょうか。 間違いなくおいしい2番手男。近年のロス代表格は 『あさが来た』 の ディーン・フジオカ 演じる五代様ロス。『わろてんか』では、初期にいきなり“ナレ死”してしまったイケメン兄役の 千葉雄大ロス も記憶に新しいところです。 『ひよっこ』 では、最後まで1番手となる俳優が読めませんでした(苦笑)。有村架純演じるみね子と超ラブラブだったのは、 竹内涼真 演じる島谷。ところがどっこい、2番手だと思われていたヒデ(磯村勇斗)がいつのまにか追い馬のポジションにつけ、気がつけばみね子のハートをかっさらっていました。 思うに、2番手男がママたちにウケるのは、だれのものにもならない独身キャラな設定。ようするに 「イケメン+悲恋=友情」 という黄金の方程式が成立するからなのではないかなと。『あさが来た』五代様のモデルとなった五代友厚は実際には妻子持ちだったにも関わらず、ドラマでは伴侶は描かれませんでした。 もっと深読みすると、『ひよっこ』の島谷ロス(別れた後、ドラマからはフェイドアウト)が思ったよりは引っ張らなかったのは、待望の再登場の際、左手薬指に結婚指輪がはめられていたからではないかと。おそらく親孝行者の島谷は、佐賀の父親がプッシュしていた政略結婚をしたんでしょうね。目ざとく指輪をチェックした視聴者の落胆ぶりがネットでも話題となりました。 ■ママを敵に回したダメ夫・松坂桃李のスゴさ 松坂桃李といえば、近年は人間ドラマにアクション、色ものまでもいける演技派俳優として引っ張りだこです。ルックスも高橋一生より一枚上手だと思いますが、やっぱり藤吉は役どころとしてのおいしさ、もっと言えば、女性への“ひき”には欠けてしまいます。 理由は簡単。1番手は、ヒロインと結ばれてハッピーな分、陰りを帯びないので、当然ながら胸キュンポイントが少なくなります。ただ戦地に行ってしまったり、病死なんてことが起こってしまったら別の話。 でも、中盤までは単なるダメ夫キャラでママたちを敵に回していた藤吉が、いまや海千山千で貫録をつけ、いい感じになってきた気がします。やっぱり、タダでは終わらない実力派スター松坂桃李! 2018年、今後の藤吉に期待していきたいです。
2018年01月11日NHK大河ドラマ『真田丸』の 堺雅人 が、『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズや『永遠の0』(13)の山崎貴監督の最新作 『DESTINY鎌倉ものがたり』 に主演。しかも 高畑充希 とかなり年齢の離れた夫婦役で初共演しています。 本作は、古都・鎌倉を舞台にしたファンタジーで、人間だけでなく幽霊、物の怪、魔物に妖怪、神様、仏様、死神、貧乏神などが住んでいます。堺さんが演じるのは、鎌倉で起こった殺人事件の捜査協力をするミステリー作家の一色正和役。高畑さんは新妻・亜紀子役を演じました。堺さんに年の差カップルを演じられた感想、久々の映画出演についてお話を伺いました。 ■大きな世界のなかの小さな夫婦の物語 ――初の山崎組に参加されてみていかがでしたか? 物語のなかで、いわばホスト役の夫婦である僕と高畑さんが山崎組初参加で、堤真一さんらゲストの人々が山崎組の常連という不思議な逆転現象が起きていました。だから一色家の屋敷からクランクインしたのがありがたかったです。腰を据えて、常連の皆さんを迎えられた気がします。スケジュールに感謝ですね。 監督のお人柄のせいか、とても温かい現場でした。現場にいらっしゃる山崎組常連の方々も、やさしい方ばかり。だれが現場を引っ張ってるのかわからない、ふわっとした居心地の良さがありました。その“ふわりとした感じ”は一色正和のキャラクターのようで、演じる上でも良かったかなと。 ――4年ぶりの映画出演ですが、久しぶりの映画の現場はいかがでしたか? じつは、4年ぶりの映画ということはあまり意識していなくて。ただ始まるときに思ったのは、クランクインが久しぶりだということでした。大河ドラマの現場が長かったせいか、新しく始まるのはこんな感じだったのかと、新鮮に感じました。新しい現場が始まるのは楽しいな、でも怖いなとあらためて思いました。 ――『DESTINY鎌倉ものがたり』の脚本を読まれてどんな感想を持ちましたか? 大きな物語だけれども、よくよく読んでみると 「夫婦という小さな単位の話」 なんですよね。大きな世界の中で起こる小さな世界の話というギャップがおもしろく感じました。まずは、 「妻との関係」 をしっかり演じていくことが、作品全体として大事なところなんだろうと思いました。 作品の規模や上映館数などはまったく考えていなかったのですが、できあがってみれば超大作でした。小さな劇場で高畑さんとふたり芝居をやっていても、同じくらいの楽しみ方ができたんじゃないかという物語で…。シンプルな物語だし、まるで絵本をめくるような風合いの映画だと思います。 ■年の差妻の高畑充希とのラブラブについて 正和は、無邪気で朗らかな亜希子をやさしく見守ったり、ときには彼女にわがままを言ったりと、 “新婚夫婦あるある” のエピソードが作品の中にはいっぱい登場します。 ――高畑充希さんと夫婦役での初共演はいかがでしたか? 高畑さんは同じ時期にNHKの隣のスタジオ(高畑充希さんは朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』に出演)にいらしたので、廊下でときどきお会いする機会がありました。「いつかご一緒したいですね」と言っていたら、今回初共演できることになってうれしかったです。 彼女は撮影当時、まだ24歳で、僕とはずいぶん年が離れていたのですが、なぜかよくわからないけど、同僚か先輩くらいの気持ちで、すごい信頼感を勝手にもっていました。 あとから聞いたら、現場での彼女はすごくビクビクされてたそうで。たしかにキャストは全員ベテランでそうそうたるメンバーだったので、そりゃあ緊張するよなあと。もっとやさしくするべきだったなとあとから思いました。 ――年の差夫婦ならではのやりとりがおちゃめで可愛かったです。 頭から順番に撮っていったのですが、山崎監督から「はたから見て恥ずかしくなるくらい イチャイチャ してください」と言われまして、そこは面食らっちゃいました(笑)。でも、できあがった映像を観たとき、山崎監督から「そのラブラブさが良かった」とおっしゃっていただけたので、僕もそういうふうに演じられて良かったなと思いました。 ――高畑さんも妻としていろんな表情をされていましたが、実際に間近で演技をされてみていかがでしたか? 前半はかわいいけど、後半では正和を守ろうする力強さがあり、生命力にあふれていました。おそらく高畑さんとじゃないと、できない夫婦役だったんじゃないかと思います。 でも、また次にお会いするときはぜんぜん違う高畑さんになっているのだと思います。そのへんの底知れなさも含めて、高畑さんの全貌が見えなかったです。いちばんの妖怪は高畑さんかもしれない(笑)。まだまだこんなもんじゃないと思っています。 ■僕は“方向音痴”の役者だと実感 ――堺さんは長いキャリアのなか、浮足立つことなく、いまも真摯(しんし)な姿勢でお芝居に向き合っていらっしゃいます。何か心がけている点はありますか? この前気づいたんですが、僕はひどい 方向音痴 なんです。方向感覚がある人は、世界が1枚の地図になっているらしく、例えば新宿から渋谷に移動したあと、どんなルートで移動したか、新宿がどちらの方向か、なんとなくわかるらしいですね。僕は毎回毎回、 別の地図 を開く感じなんです。 お芝居でもそうで、僕は前の現場のことはほとんど忘れています。ひどいときには、前のシーンのこともあんまり自信がない。演じるときに、 新しい地図 をいちいち開くんです。その頼りなさが、人には真摯に写るのかもしれない。 ――キャリアを積んでいくと、その地図の精度は上がっていかないのですか? それが精度が上がっていかないんです(苦笑)。方向感覚があれば、将来こうしたいから「今」これをしようという考えがもてると思うのですが、自分はそれができない。この先、僕自身もどこに行くのかよくわかっていないんです。 じつは山崎監督も方向音痴だそうで。そういえば「ここに行きたいからこのルートを通ってほしい」と指定するのではなく、いっしょに新しい地図を作ってくださるタイプの監督さんでした。 もちろんいろんなタイプの監督さんがいらして、それぞれに面白いのですが、今回はそういう山崎組が楽しかったです。 ■ママが映画館でほっこりできますように ――本作をこれから観るママたちへのメッセージをお願いします。 お母さん方は、日々大変な毎日だと思います。だから「お疲れさまです」と心から言いたいです。なかなか映画を観るためのまとまった2時間を取ることは難しいだろうと思います。子どもとお母さんが一緒に映画を楽しめる映画館や上映回が増えるといいですね。 そういった子どもと楽しめる映画館があれば僕も観に行きたいと思っています。また、映画館に安くて良い託児所が増えるといいなあとも思っています。 本作はいろんな方に観てもらいたい映画です。いろんなことを思い出しながら図書館で 絵本を読んでいる ような感覚になる方もいらっしゃると思いますし、 いまの生活 を考えるながら観る方もいらっしゃるかもしれない。いずれにしても、映画館にいらっしゃるときは、ほっこりした時間を過ごせますようにと、切に祈っています。 『DESTINY鎌倉ものがたり』 12月9日(土)より全国公開 ミステリー作家・一色正和(堺雅人)と年若い妻・亜紀子(高畑充希)は、人と人ならざるものたちが仲良く暮らす街・鎌倉で仲良く暮らしている。一色家には、実年齢130歳?の家政婦・キン(中村玉緒)や、正和の担当編集者・本田(堤真一)、貧乏神(田中泯)など、バラエティーあふれる面々が行きかいしていた。ある日、病に倒れた正和が目を覚ますと、亜紀子の姿が消えていた…。 夫婦の尊い絆を軸に、人に優しくする思いやりの大切さなどのメッセージがユーモアに包まれて優しく届けられる本作。まさに夫婦や親子で観るにはぴったりの感動作です!
2017年12月07日いよいよNHKの連続テレビ小説 『わろてんか』 も10週目に突入。 てん(葵わかな) の「ごりょんさん」(昔の良家や商家で使われていた敬称)と肝っ玉母さんぶりも板についてきましたが、まだまだ 夫・藤吉(松坂桃李) の手綱さばきには手こずっているようです。 先週の副題は 「女のかんにん袋」 。てんは文字どおり、 リリコ(広瀬アリス) からもらった「かんにん袋(きんちゃく袋)」に、子育てに非協力的な藤吉への不平不満を叫んでいきます。 それにしても、父親となっても相変わらずダメ亭主のままである藤吉。いや、さらに拍車がかかったというべきか。特に先週は、かなり奥さま方を敵に回したのではないでしょうか? ■妻のかんにん袋が切れるとき 風太(濱田岳) が会いに来たので、てんは藤吉とともに3人で夕食をとろうと待っていました。ところがさんざん待たされた後、酔っぱらって帰ってきた藤吉は、てんの料理をひっくり返してしまいます! 風太はここでもまた、藤吉にブチ切れ。てんの苦労を代弁し、藤吉を叱りつけますが、藤吉は「寄席のことを何もわかってないくせに」と逆ギレ状態に。てんも、藤吉に頼んでいた初節句のかぶとのことを何度も忘れられていたことで怒り心頭です。 このあと、仲直りして食卓を囲むのかと思いきや、藤吉は「疲れたから寝る」と行ってしまいました。これはますますないですよね……。 かんにん袋に「おしめ替えたこともあらへん! 夜泣きしても知らんぷり! いつまでもかぶと買ってこうへん! それでも父親か! 」と藤吉への不平不満をぶちまけるてん。かんにん袋が実際に膨らみすぎて爆発するという演出には笑うしかなかったです。 トキ(徳永えり)から 「男は鈍い」 と言われ、おおいに納得するてん。イクメンなんて存在しないに等しい明治時代、てんたちの独白に、ママたちはおおいにうなずいたのではないでしょうか? ■高橋一生が男の言い分をフォロー 最近、よく目にする 高橋一生 演じる伊能と藤吉の2ショット。伊能は、藤吉の恋敵的なポジションからスライドし、今では良き友人として藤吉をサポートしてくれています。 藤吉について「仕事がおもしろい時期なんだ」とフォローする伊能。高橋一生、相変わらず、クレバーな二番手キャラがしっくり来ていますね。 藤吉は「母親になると、みんな 強なって面倒 なんや」とぼやき、さらに「結婚してへんからわからんのや」とグチりまくりますが、伊能は「失ってから後悔しても遅いぞ」と穏やかにさとします。 うーん。伊能は本当にキャパが広いですね。藤吉の愚痴を流さずに、かといって同意しすぎず、絶妙なさじ加減で受け止めています。ますます伊能株が上がる一方で、藤吉株の下落ぶりが心配な今日この頃です。 ■夫婦間の溝を埋めるには? かんにん袋の緒が切れてから、てんは藤吉とまともに口をききません。そんな2人を見かねた寄席の仲間たちが、なんとかてんたち夫婦を仲直りさせようと、隼也の初節句をみんなでお祝いします。これに感激したてん夫妻。 締めは、これまで何度もてんのピンチを支えてきたトキ(徳永えり)の出番です。藤吉には「おてん様に結婚申し込んだときのお気持ち、隼ちゃんの前で思い出しとくれやす」と、てんにも「何があっても藤吉さんの言葉を信じてついていかはったのに、なんで今は信じてあげられへんのですか?」と詰めよります。 そのとおり!いいぞ、トキ! その言葉にハッとしたてんと藤吉は、あらためて初心に戻り、夫婦の絆を取り戻しました。てんは今後について「お互いに 愚痴はためずにすぐ吐き出す ことです」と笑顔で提案し、めでたしめでたし。 これまでにないくらいに亀裂が入っていた夫婦仲でしたが、仲間たちのサポートによって修復に向かいました。時代は違えど、ママがいろんなことに煮詰まったとき、こういう周りのサポートは非常に大きいなあと実感します。 と言いつつ、週明けには藤吉が、性懲りもなくさらに寄席の小屋を増やしたいと言い出しました(苦笑)。まったく懲りない男ですが、だからこそてんの妻としての度量も大きくなっていくんでしょうね。ますますごりょんさんとして、気張っていってほしいです。
2017年12月05日NHKの連続テレビ小説 『わろてんか』 で、ついに てん(葵わかな) と 藤吉(松坂桃李) がめでたく祝言を挙げました。 ここに至るまでの紆余曲折に泣き笑いの日々でしたが、てんの商才を花開かせた 姑・啄子(鈴木京香) の功績はかなり大きいと言えるでしょう。しかも啄子はもう一度一旗揚げようと、「おなごの夢に年は関係ありまへん」と海外へ旅立つ姿は心意気も粋! 啄子は、嫁いびりをするだけの姑ではなく、お人よしだけどツメが甘い藤吉とてんの夫婦を、みごとに鍛え上げてくれるカッコいい姑でした。 ■姑が嫁に教えた3つの家訓 てんと藤吉が経営している寄席「風鳥亭」。しかし売り上げを伸ばすためにしたことが仇となって、信用がガタ落ち。そんな状態となった風鳥亭を立て直すべく立ち上がった啄子。 夏場の暑い中、てんは、冷やしアメを寄席で売ることを提案。その際も啄子は、店頭でも売って客を寄席に呼び込むようにアドバイスをします。さらにてんは氷の上で瓶を転がして、見た目も涼しく、冷やしアメの瓶をギンギンに冷やして売るというインパクト大のアイディアを思いつき、こちらが大当たり! この“冷やしアメ”はネットでも話題に。関西でも昔からある夏の定番商品で、水あめとしょうがで作った飲み物だそう。 ほかにも、寄席の客の下駄磨きをするてんを啄子が手伝ったりもします。こうした細やかなサービスも手伝ってか、風鳥亭の信用は徐々に回復していきます。そしてついに啄子がてんを 「ごりょんさん」 (昔の良家や商家で使われていた敬称)と認める日がやってくるのです。 <啄子がてんに教えた3つの家訓> 1、節約ではなくて、無駄な出費をせず使うべきときに思い切り使う 『始末』 2、どこに商いの勝機があるかを見極め、誰もやらないことをやるという 『才覚』 3、損をして得を取って帳尻を合わせるという 『算用』 でした。 ここに今回、啄子がてんから教わったという「人=財産」という 『人財』 が加わったのです。 寄席を訪れたてんの母・しず(鈴木保奈美)も、てんの成長ぶりに安堵(あんど)し、啄子に心から感謝します。啄子としずが過去にバチバチの火花を散らせた母親対決をしていただけに、この着地点は非常に感慨深いものがありました。 ■嫁と姑の絆を深めたダメ夫効果! これまで良いところを見つけることが難しかった藤吉。商家に生まれるも商才はなし、笑いの才能もなし。さらには儲け話に引っかかってしまったり。優しいだけの夫(松坂桃李が演じているので顔が良いというのもあるが)にしか見えていませんでした。 そしててんと啄子の嫁・姑関係もずっとギクシャク。しかし、夫があまり頼りにならなかったからこそ、嫁と姑の絆が深まったと言えるかもしれません。さらには根っからの商売人である啄子にとって、その後継とも言える資質を持っているのが息子よりも嫁・てんであることはきちんと見抜いていたでしょう。 藤吉とリリコ(広瀬アリス)の関係にもんもんとするてんに、「ヤキモチは一銭の得にもならん。あの子はウソをつけん子や。藤吉郎を信じた方が得ということです」と、結婚に反対と言っているくせに、てんを叱咤激励。 商才に欠ける息子・藤吉ですが、誠実で優しいところは誰よりもわかっている母・啄子。そんな藤吉を内助の功で支えてきたてんをずっと見てきた啄子は、いつしかてんをサポートする側に回っていました。 てんの商才が開花したのも、嫁姑に絆が生まれたのも、藤吉あってこそ。まさに結果オーライ。夫婦や嫁・姑の関係は、バランスが大事なんだなとあらためて実感させられました。 ■松坂桃李と高橋一生、イケメンすぎる男たち 『わろてんか』の2強イケメン、 高橋一生 と松坂桃李の2ショット。先週、高橋演じる伊能がてんに「君が必要なんだ」と言って、藤吉が大慌てするくだりは、視聴者の胸をざわつかせました。 ふたを開けてみたら、伊能はてんから冷やしアメの売り方を教えてもらいたいというだけだったのですが、啄子は、それを教える代価として藤吉と伊能に客引きをさせました。 イケメン2人の呼び込み効果は絶大で、女性たちは寄席に興味を示します。伊能はさらに、昼間に寄席を開けば女性を集客できるのではないかとアドバイス。この目のつけどころもすばらしく、当時はどこもやっていなかった平日の興行を始めたことで、風鳥亭はますます繁盛。その後、啄子の承諾を得て風鳥亭から「北村笑店」と名を改め、てんたちはますます気張っていきます。 それにしてもイケメン夫にイケメンのビジネスパートナーがいるというてんは、間違いなく果報者で、うらやましいかぎりです。 今週スタートした第9週では、てんと藤吉の間に長男・隼也が誕生。藤吉は、家族を養うために寄席をもう1軒増やしたいと、あらたたな小屋探しを始めたようです。 ただ、てんは子育てと仕事に追われて大わらわ。今週のサブタイトルが「女のかんにん袋」ということで、今後の動向が気になるところ。働くママたちが共感するエピソードがふんだんに出てきそうで、毎回見逃せません。
2017年11月29日NHKの連続テレビ小説 『わろてんか』 が6週目に突入。ついに てん(葵わかな) と 藤吉(松坂桃李) が、笑いを商売にしようと一心発起し、寄席を開こうと大奮闘していきます。 いわば朝ドラは、ヒロインが 人生の障がい物競走 をしていくというのが大前提。藤吉と駆け落ちしてからのてんは、姑の嫁いびりや藤吉の大失態などで、前途多難。でも、そんな逆境を、てんは持ち前のガッツと賢さで切り抜けていきます。 いまやその顔は、苦労知らずのお嬢様から、しっかり者の妻の顔になってきた感があります。 ■ダメ夫・松坂桃李の失態をカバーする妻 てんの親の反対を押し切り、彼女を連れて大阪の実家である北村屋へ戻った藤吉。慣れない米問屋の仕事で、古米や外米などを法外な値段で仕入れてしまったり、挙句の果てには、悪徳業者にパーマ機の粗悪品を売りつけられ、店をつぶしてしまうという大失態をおかしてしまいます。 藤吉って人はいいけど、ぼんぼんで何ごともツメが甘すぎ。しかも、北村屋の仕事を手伝ってきたわけでもないから、やることなすこと空回りしてばかり。少なくともずっと実家の老舗薬種問屋で、父や母の仕事ぶりを見てきたてんの方が、気づかないうちに商才が育まれていたのかもしれません。 本来なら大赤字となるはずだった古米や外米を、工夫した売り方で見事にさばいたてん。この仕事ぶりはさすがのごりょんさん(鈴木京香)も評価しておりました。 夫のピンチをチャンスに 変えたてんの心意気がすばらしい。 また、北村屋を廃業にまで追い込んでしまった藤吉を責めることもなく、 「笑いを商売にしましょう」 と、笑顔で提案できる度量の大きさはもはや脱帽ものです。 ■質素倹約の鈴木京香vs.豪華けんらん鈴木保奈美対決 てんの両親である 儀兵衛(遠藤憲一) と妻・ しず(鈴木保奈美) は、絵に描いたような“夫唱婦随”の夫婦です。しずは常に大黒柱の夫を立て、夫の言うことに従う良妻賢母です。 儀兵衛がてんを勘当したときも逆らいませんでしたが、てんが姑の啄子(鈴木京香)からいけずをされていると知ったしずは、北村屋へ乗り込んでいきます。「質素倹約のごりょんさん 対 豪華けんらんの奥さま」の “鈴木対決” の回は、鈴木保奈美と鈴木京香がどっちも引かない名勝負を繰り広げ、話題に。 結果的には、しずが一枚上手だった感じで女を上げました。そのとき、しずはてんに 「貞女は二夫に見えず」 として、白い喪服を授けます。これは、一度嫁いだ妻は、何があっても夫と墓場まで添い遂げるという意味合いのこと。だから喪服=白の死に装束なんですね。 古風な考え方ですが、凛としたたたずまいのしずが言うと、じつに説得力がありました。しずのDNAを受け継いでいるてんも、今後その教えをまっとうしていくのでしょうね。いまだと時代錯誤と言われてしまうかもしれませんが、カッコ良いしずを見ていると、その生き方には憧れを感じます。 ■助っ人王子・高橋一生に拍手! 北村屋が大ピンチとなり、てんが相談をしに行ったのは、てんの許嫁となるはずだった 伊能栞(高橋一生) のところ。この助っ人王子の参上に、心が躍った視聴者は多かったはず。 ところが、藤吉が悪徳業者から仕入れてしまった粗悪品の契約書を伊能が確認したところ、業者には否がなかったらしい。というか、そもそも藤吉が中身を確認しなかったことが悪いと指摘されました。 伊能はてんのことを心から心配し、自分がてんのことを考えて身を引いたことを告白し、さらに「ぼくはいつでも待ってるよ」という、これまた懐の深さを見せ、女子のハートをわしづかみ。 でも、てんはこの甘い台詞にも一切気持ちは揺らぎません。そう、てんの藤吉への愛は強くて深い。そして「貞女は二夫に見えず」と、さらに腹をくくったてんはもはや無敵です。 今週のてんと藤吉は、寄席の開業を目指して小屋探しを始めました。行く手にはこれまたいくつものハードルが! 芯の強い妻となったてんにエールを贈っていきましょう。
2017年11月08日嵐の 二宮和也 を主演に迎え、『おくりびと』(08)の滝田洋二郎監督がメガホンをとった 『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』 が11月3日(祝)より公開されます。 本作は二宮くん演じる天才料理人が、消えたレシピの解明に挑むミステリーですが、その謎をひもとくと、かけがえのない夫婦愛や家族愛の結晶がちりばめられていました。 ■西島秀俊と宮崎あおいが織りなす夫婦愛 二宮くんが演じたのは、一度食べた味を完全に再現できる絶対味覚 “麒麟の舌” を持つ料理人・佐々木充。ある日、中国料理界の重鎮からの依頼で、幻のフルコース「大日本帝国食菜全席」の復元を依頼されます。 そのレシピは、1930年代の満州にいたもう1人の 天才料理人・山形直太朗(西島秀俊) があみ出したものでした。もと天皇の料理番だった彼は、まさに身を粉にして、日本と他国の料理を融合させた新しいレシピ作りに挑みます。その山形にずっと寄り添うのが、 宮崎あおい 演じる妻の千鶴です。 身重な体でありながら、夫について満州国に移住。完ぺき主義者の山形が、自分を追い込みすぎたり、助手に当たったりした時、千鶴は周りの気づかいもしながら夫が働きやすい環境を整えようとします。当時はまだ珍しかった、レシピを写真に残すことを思いついたのも千鶴でした。 千鶴は才能をもつ夫の一番の理解者で、常に天才料理人の妻として腹をくくっています。夫に従順でありながらもでしゃばりすぎず、陰で支えていくという絶妙な距離感は、まさに 内助の功の鏡 かと。 あおいちゃんは、『神様のカルテ』のシリーズ2作や、同じく滝田洋二郎作『天地明察』など、数多くの作品で夫を立てる賢い妻役を好演してきました。今回は妻としての献身ぶりはもとより、母としての深い愛も紡いでいます。 ■服部幸應監修の豪華けんらんなメニューたち 原作は、伝説のTV番組 「料理の鉄人」 を手がけた作家・田中経一。そしてスクリーンからにおい立って来そうな数々のメニューを監修したのは、同番組で解説を務めた料理界の重鎮・ 服部幸應 です。 もはや芸術の域にあると言いたい「大日本帝国食菜全席」のメニューは、見ているだけでうっとり。味覚だけではなく、視覚にも訴えかけてきます。 また、充が作るオムライスや、 綾野剛 演じる充の幼なじみ柳沢健が豪快に中華鍋を振るチャーハンなども見るからにおいしそう。空腹で観ると、間違いなくおなかがなる映画となっています。 ■料理の最大のスパイスとなるのは愛 現代と1930年代というふたつの時代を行き来しながら、レシピのルーツが解き明かされていく本作。ミステリーとしてのストーリーテリングの巧みさはもとより、本作で特筆すべきなのは、クライマックスの落としどころが、壮大な愛という点です。 愛を渇望していた充と、愛の深さをかみしめた山形。その愛は、料理を介してひとつの大きな愛に結実します。そこで豪華けんらんな料理だけではなく、愛する家族のために作る家庭料理の素晴らしさもあらためて実感。料理の最大のスパイスとなるのは、愛なのかもしれません。 確かに心に残る料理は、作った人や作ってくれた人、いっしょに食べた人などの思い出とセットになっていることが多いですよね。映画を観終わった後、日頃作る家庭料理への向き合い方も少しだけ変わるかもしれません。 『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』 11月3日(金)公開 公式サイト:
2017年11月01日篠原涼子 主演の月9ドラマ 『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』 が、衆院選や台風報道で日本中が大騒ぎしたその次の日というタイミングの10月23日にスタートしました。 篠原が演じるのは、夫も自分も無職になってしまった崖っぷち主婦・佐藤智子役。彼女は子どものために一心発起し、高額報酬を得られるという目的で、市議会議員選挙に立候補しました! その結果、間一髪セーフで繰り上げ当選。次週からはママの市議会議員として奮闘していくことに。 ■生まれた時点で自分の人生は決まっているのか? 智子は、夫の公平(田中圭)とひとり息子の駿平(鳥越壮真)と、お金はないけど慎ましやかな日常を楽しく過ごしていました。 公平も智子も曲がったことができないまっすぐで熱い性格が災いし、ふたりとも仕事をクビになってしまいます。これは大変! 子どもが卵焼きをステーキに見立てて食べる姿がなんとも切ない。ある日、智子は市議会議員の報酬が年収950万だと知ると、無謀にも立候補を決め、夫婦二人三脚で選挙戦を開始します。 智子は街頭演説で、自分の父親がギャンブルに狂い、母親も男にだらしなく、自分は17歳から中卒で必死に働いてきたという過去を激白。そんな彼女が「 生まれた時点で自分の人生が決まる のっておかしくないですか?」と訴える問いかけが、次第に人々の心を動かしていきます。 ■待機児童問題やマタハラ問題に物申す 「幸せなふりはやめよう」 という智子の心意気に共感し、彼女を応援したいと最初に提案したのが、石田ゆり子演じるシングルマザーの平田和美です。 彼女は新聞社の記者でしたが、産休明けに社史編さん室に左遷されたそう。いわゆる 「マタハラ」 でしたが、シングルマザーとして働く彼女は、激務の仕事に就くのは厳しく、その異動を「仕方ない」と受け入れながら、釈然としない日々を送っていました。 和美が智子に待機児童問題について不満をもらすシーンもかなりリアルです。和美いわく「政治家は待機児童を保留児童と言い換えてマニフェストを実践したって言ってるだけ。何も解決していない」とのこと。たしかに! ■子育て中のママの人生は二の次!? 智子も無職なのに保育園に息子を通わせているとネットなどでバッシングを受け、大ピンチ。しかし智子は子どもを保育園から辞めさせたうえで、 「そんなのおかしくないですか!」 と訴える。 無職になったとたん、保育園を辞めさせられたら、就職活動もできない。就職ができなければ保育園が決まらない、保育園が決まらなければ就職ができない、このジレンマにママたちは悔し涙を流しながら、戦っているんだろうと思います。しかも子どもにだって、子どもの世界がある。ママと離れることに泣きながら登園して、ようやく毎日を楽しく過ごせることになったとたん、親の都合によって辞めさせられてしまうのだから。 「子育てを優先したら 自分の人生二の次 なんておかしくないですか!」という言葉には、世のママから拍手が起こったのではないでしょうか。子どもが生まれると、良い母であることを第一に求められてしまい、自分のことを優先することに罪悪感を覚えてしまうママたち。 だからこそこのルールこそ変えたいという訴えに和美が声をかけたママ友のネットワークが団結し、智子に追い風が吹いていき、最終的にはラッキーな繰り上げ当選を果たします。 ■高橋一生や千葉雄大と『わろてんか』の二大イケメンも出演 祖父も父親も政治家というサラブレッド議員の藤堂誠役に 高橋一生 、智子と同じく初当選をした28歳の新人議員・岡本遼役に 千葉雄大 と、朝ドラ『わろてんか』の2人も出演。 とくに準主役というポジションの高橋のシーンは、いきなりシャワーシーンからベッドシーンへというサービスショットから始まりました(笑)。選挙中も智子を応援していたし、今後も不慣れな現場で苦戦が強いられるであろう彼女をサポートするというおいしい役どころとなりそうです。 「本当に幸せになりましょう」と力強く訴えかける智子。『働くゴン!』や『ハケンの品格』などと同様に、弱き者の立場に立ち、「世の中、おかしくないですか!?」と声を挙げてくれる男前な篠原にほれそうです! でも働くママの問題にしても課題は山積み。ママさん議員として、どう戦っていくのか。どうルールを変えていってくれるのか。智子に期待しましょう。
2017年10月28日深掘りされた人間ドラマにうなる、 浅野忠信×神木隆之介 共演の刑事ドラマ 『刑事ゆがみ』 (木曜22時~)。一見、男くさい刑事のバディものに見えますが、中身は人間の悲哀が浮き彫りにされた感動ドラマです。 第2回では、教え子に慕われる女教師の純愛という心を打つ内容。しかし一転、母親側の目線で見てみると、何か心に波紋が広がる回になったのかもしれません。 粗野で適当そうだけど、実は刑事として抜群の臭覚を誇る弓神 (浅野忠信)と、清純派に見えて、出世をもくろむ野心家の新米刑事・羽生(神木隆之介)。今回の2人が捜査したのは、中学校の国語教師・早杉千里(水野美紀)が何者かに襲われた強姦未遂事件でした。 ■息子をたぶらかしたのは、母親と同じ年代の教師だった!? 自宅で仮眠中に襲われた千里を暴漢から助けたのは、彼女が勤務する中学校で教育実習をしていた大学生・打越将也(中川大志)でした。居合わせた将也が犯人と争った結果、割れた花瓶の水で足を滑らせて頭を強打! 病院に搬送されましたが、意識不明の重体になってしまいました。 もともと心臓が弱く、生死の境をさまようことになってしまった将也。千里と息子の関係性を疑っていた母(黒沢あすか)は、将也に会いに来た千里の面会を全身で拒み、罵倒します。 千里役に演技派女優の水野美紀、千里の教え子・将也役に “国宝級イケメン” と騒がれた 中川大志 、そして将也の母親役を、近年、普通のおばちゃん役が板についてきた黒沢あすかがふんしています。 親子ほど年の差がある千里と将也の恋愛に猛反発する母は、将也の容体が急変した中、訪ねてきた千里に怒り心頭です。黒沢が実際に3人の子をもつ母親ということで、複雑な表情にはかなりリアリティを感じます。 実際にもしかわいい息子が将来連れてきた彼女が、自分と同じ年齢だったら…。息子を大事に思うからこそ、反対してしまう親も多いのではないでしょうか。 ■『昼顔』の斎藤工がまさかの下着泥棒役! ドラマの演出が『昼顔~平日 午後3時の恋人たち〜』の西谷弘監督ということで、主婦たちの間で絶大な支持率を誇る 斎藤工 がゲスト出演。生真面目で不器用な北野先生役とは打って変わり、彼が演じたのは筋金入りの下着泥棒役でした。 人を食ったようなキャラがこれまた最高で、事件の犯人をミスリードしていくという重要な役どころです。羽生を小バカにするくだりも愉快です。 ちなみに、今週の “神木キュン” のハイライトシーンは、下着泥棒が盗んだ下着の数々を手にし、むっつりした表情を浮かべるくだりです。いやあ、神木くん、もう大人ですもんね。 ■弓神の名言「人を守るためのウソもある」 冒頭で、子どもたちに剣道を教える羽生は「武士にとってウソやごまかしは卑怯(ひきょう)なことなんです」と解きます。例によって弓神が「 人を守るためのウソ もあると思います」とツッコミを入れたため、羽生が大ブーイング。 弓神のこの言葉が、今回のテーマです。実際には、強姦未遂事件は存在せず、千里が将也の将来を守るためについたウソだったことが後半に明かされていきます。千里と将也の純愛こそが事件の真実だったのですが、弓神の「人の気持ちなんて通じ合う方が奇跡だからな」というせりふもじつに味わい深い。 事件解決後、再び子どもたちに武士道を説く羽生。「ウソが人を守ることもあります。それでもやはりウソをついてはいけないと私は思います。周りのことも自分自身のことも苦しめます。これは心に留めておいてください」 そう、今回の事件を経て、羽生は弓神の言葉の意味をかみしめたよう。羽生が弓神と接することで、少しずつ成長を遂げていくように、きっと神木くん自身も、敬愛する浅野忠信から、何か大切なものを受け取っているに違いない。今後も2人を見守っていきたいです。
2017年10月25日NHKの連続テレビ小説 『わろてんか』 の3週目で、ついに てん(葵わかな) と 藤吉(松坂桃李) が駆け落ちしてしまいました。紆余曲折をへて、互いに惹かれ合っていった2人。ようやく藤吉の口から「俺の嫁はんになってくれ」のひと言が出ました! 鳴かず飛ばずの旅芸人だったはずの藤吉ですが、じつは米問屋の跡取り息子でした。どっちにしても分が悪い。老舗薬種問屋「藤岡屋」を継ぐべき長女・てんとは絶対に結ばれない運命です。 この時代、商家の跡を継ぐぼんぼんやお嬢様はほぼ見合い結婚が当たり前。本作を見ていると、あらためて 「結婚=幸せ」 という価値観について考えさせられることが多いです。 ■ロミジュリ効果? 障害があるほど恋は燃える けがをした藤吉をかくまったことが父・儀兵衛(遠藤憲一)にばれて、蔵に閉じ込められたてん。毎夜てんのもとに通う藤吉は、ロミオとジュリエットばりにロマンティックで、朝から視聴者の胸は高鳴りました。 その後、てんに求婚した藤吉は、予想どおり父・儀兵衛(遠藤憲一)の逆鱗(げきりん)にふれますが、これはまあ、予想どおりの展開です。 『あさが来た』のあさと新次郎のように、許嫁(いいなずけ)と互いに惹かれ合うのが理想的だけど、『わろてんか』の場合、そうはいかず。実際、ロミジュリのように、恋は障害があるほど燃え上がるものですから。 しかしロミジュリだとその先にあるのは悲劇。もちろん本作ではそうはならないと思いますが、“障害の恋”がどのように“生涯の愛”へと変化していくのかが楽しみです。 ■結婚するのなら濱田岳や高橋一生がおすすめ? 藤吉の恋の好敵手というべき存在が、縁談の相手・ 伊能栞(高橋一生) と、てんの幼なじみ 武井風太(濱田岳) 。最初は外見や身分をどう見積もっても勝ち目がなさそうな風太でしたが、ふたを開けてみれば、意外と男らしく、てんへの愛は誰よりも深そうで高感度大です。 3週目までは、風太の一途な思いがかなり視聴者の心を揺さぶったのではないかと。ただし、てんのハートはまったく揺さぶられてなかったのは残念なところ。藤吉の胸ぐらをつかんで激怒したり、伊能のもとへ走り、てんとの縁談をまとめようとしたり、風太の行動力も心を打つものでした。 第三者から見れば、風太のような人と結婚すればきっと幸せになれるのに…と思えてしまうのに、そうは事が収まらないところに、「結婚=幸せ」価値観の不思議さがあります。 また、ただの噛ませ犬に終わらないであろう伊能が、今後てんと藤吉のカップルにどこまで食い込んでくるのかも興味津々です。 ■まずは結婚してみる。てんの母・しずの結婚観 鈴木保奈美演じるてんの母・しずは、強面の儀兵衛に寄り添いつつも、けっしてでしゃばらない良妻賢母。しずと儀兵衛は、絵面的に見れば“美女と野獣”ですが、じつにバランスの取れた夫婦です。 しずがてんの縁談について儀兵衛と話し合っていたとき、自分も結婚する前は儀兵衛の堅物ぶりが心配だったことを本人の前で語っていました。その発言に少しショックを受けた様子の儀兵衛が何とも可愛らしかったです(笑)。 しずの「不安はあったけど、一緒に暮らしているうちに、愛情っていうのはこうやって育まれるんやとしみじみ思ってなあ」と言ったときの満ち足りた表情からは、夫婦として刻んできた年輪を感じました。いろんな夫婦像がじつに味わい深いです。 4週目では、てんにさらなる障害が! 駆け落ち後、ふたりは藤吉大阪にある藤吉の実家に身を寄せますが、藤吉の母・啄子(鈴木京香)は二人の結婚を認めずに猛反対。てんはいわゆる姑いびりを受け、お嬢さまなのに女中扱いされてしまいます。 これまた、いばらの道となりそうですが、愛する2人で乗り越えていってほしい。そしてこれからも毎日わろてんか!
2017年10月24日浅野忠信 が民放連続ドラマに初主演、しかも、刑事役初トライの 神木隆之介 との共演です。鳴り物入りでスタートしたフジテレビの連続ドラマ 『刑事ゆがみ』 (木曜22時~)は、第1回からキャストとスタッフの気合いがみなぎっていました。 原作は希代のストーリーテラー、 井浦秀夫 の同名コミック。『刑事ゆがみ』は、浅野忠信演じる役名・弓神適当(ゆがみ ゆきまさ)と、弓神が捜査上の“ゆがみ”を目ざとく見つけるというダブルミーニングでしょう。 弓神はその名のとおり、一見、粗野で“適当”な男に見えるけど、じつは鋭い洞察力の持ち主。違法捜査も平気で行うのは、すでに犯人をピンポイントで見抜いているから。そんな弓神が、生真面目な熱血漢に見えて、じつは出世をもくろむ野心家の新米刑事・羽生虎夫(神木隆之介)と凸凹タッグを組んでいきます。 ■犯人が二転三転! 予測不能な殺人事件 ある日、歩道橋下で女子大生の押田マイ(小倉優香)の死体が発見。死亡推定時刻は深夜1時で、当初はお酒に酔った被害者が誤っての転落死と予想されました。ところが弓神はその死に不信感を抱き、若きハッカーの“ヒズミ”こと氷川和美(山本美月)にマイの情報を調べさせます。 弓神は、事件当日にマイと一緒にいた友人・倉間藍子(大後寿々花)と会い、マイが電車内で痴漢をされた男を捕まえて以降、嫌がらせを受けていたという情報を仕入れます。弓神が羽生と共に痴漢騒動のあった駅を尋ねると、当日勤務していた駅員・坂木望( 杉咲花 )は偶然、羽生の中学時代の同級生でした。 痴漢疑惑の男をサラリーマンの沢谷(岡田義徳)にしぼり込み、弓神と羽生が彼の自宅を訪問すると、妻(小倉優子)は、沢谷が毎日残業をしつつ、家庭サービスもしっかりする理想的なマイホームパパだと話します。その後、いろんな事実が発覚していき、事件の意外な真相が明かされていきます。 ■セクシーな浅野忠信と大人に成長した神木隆之介に胸キュン 一見、適当でいい加減な男に見えて、獣のような動物的臭覚と直感で見事に犯人を見抜く弓神にしびれました。いつもながら浅野さんの肩の力を抜いた自然体の演技がさすがでしたし、憂いをにじませたまなざしが何ともセクシーです。 神木隆之介は、初々しい新米刑事というステレオタイプを少し崩した 腹黒さがミソ 。さらに初回で 「25歳の童貞」 というレッテルを貼られてしまう羽生の清純さも神木ファンのツボでしょう。スーツを着こなす神木くんを見て「大人になったわねえ」と母目線で見守る人も多いはず。 ちなみに最初のショットは、瞳のクローズアップ。眼に映り込んでいるのはどうやら弓神。そこからカメラはにらみをきかせた神木隆之介を映し出します。このファーストショットで「このドラマがただものではない」という意気込みをビンビンに感じました。 演出をメインで手がけるのは、福山雅治主演 『ガリレオ』 や、草なぎ剛主演 『任侠ヘルパー』 、上戸彩×斎藤工共演の 『昼顔~平日 午後3時の恋人たち〜』 などの西谷弘監督。 カメラワークやテンポが実にドラマチックで映画的。実際に演出したドラマは数多く映画化もされていますが、隅々まで行き届いた“画”に注目してください! ■『メアリと魔女の花』神木隆之介×杉咲花が意味深すぎる! 浅野忠信、神木隆之介のほか、男前な同僚刑事役の稲森いずみ、口がきけない美人ハッカー役の山本美月。このレギュラー俳優陣だけではなく、毎回ゲスト俳優陣も超豪華です。 第1話のゲストは、杉咲花、岡田義徳、小倉優子、大後寿々花、小倉優香。そうです、この夏大ヒットした 『メアリと魔女の花』 での神木×杉咲の共演が実現しました。 個人的には、神木くんと共に 天才子役 として名をはせ、何度も共演している『SAYURI』の大後寿々花との顔合わせにも心が躍ったのですが、ここでは『メアリと魔女の花』の2人のくだりをご紹介。 2人は中学時代の同級生という設定でなんだかいい雰囲気に。思わず拍手をしてしまったのが、杉咲さん演じる坂木望が、羽生に傘を貸すというくだりです。なんと開くと虹の模様が! これは SEKAI NO OWARI が歌った『メアリと魔女の花』の 「RAIN」 のサビ「虹がかかる空には雨が降ってたんだ」そのものです。 さらにドラマの最後には、羽生の前に本物の虹がかかるという用意周到なオチまで用意。これはお見事でした! 来週のゲストは、西谷監督と『昼顔』で組んだ斎藤工や、福山雅治主演のドラマ『ラヴソング』で組んだ水野美紀なので、これまた楽しみです。 ということで、『刑事ゆがみ』は期待どおり、いやそれ以上のクオリティーの高さで、SNSも盛り上がっております。最後は、『サマーウォーズ』での神木くんのこの名台詞で。これからも面白い展開を「よろしくお願いしまぁぁぁすっ!! 」
2017年10月18日10月から初回視聴率20.8%という華々しいスタートを切った朝の連続テレビ小説 『わろてんか』 。朝ドラはつかみが重要ですが、数字を見ても、周りの評判を聞いても、順風満帆な1週間を経て、いよいよ2週目が始まりました。 1週目は、主人公てんの子役・新井美羽の愛くるしさにお茶の間の人々がほっこり。てんを演じたのは、NHK大河ドラマ 『おんな城主 直虎』 で直虎の幼少期を演じた名子役・新井美羽。第1週目はよく笑い、よく泣きました。 また、チラ出しも含めて絶妙だった 松坂桃李 と、はかない美青年キャラの 千葉雄大 のW効果で、『わろてんか』におけるイケメンのアベレージの高さを実感。2週目からはいよいよ 高橋一生 という最強の二番手が登場します! ■スタート週をおさらい! てんが運命の人・松坂桃李と出会う 京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女・てんは、朗らかで笑い上戸の女の子。ある日、家族同席で臨んだ父親の商談の場で大爆笑するという大失態を犯し、父・儀兵衛(遠藤憲一)から “笑い禁止令” を言い渡されてしまいます。 その事件以降、儀兵衛はストレスのために夜な夜な酒を飲んでいるようで…。てんは父の名誉挽回のため、幼なじみで丁稚の風太(鈴木福)と共に外国商を訪ねますが、その場で追い払われてしまいます。 大粒の涙を流すてんを見て儀兵衛は娘の心の内を知り、酒瓶の中身を全部捨て、てんへの笑い禁止令を解きます。 晴れて笑い解禁となったてんは、風太(鈴木福)と一緒に出かけた寄席で落語や芸に触れ、大笑いする人々の姿を見て大いに触発されます。そこで旅芸人の藤吉(松坂桃李)と 運命の出会い を果たし、てんの人生が大きく動き出します! ■てんが笑う理由は、兄・千葉雄大のためだった! 『わろてんか』の脚本を手がけているのは、連ドラ『美女か野獣』や『働きマン』、『学校のカイダン』や、大ヒット中の映画 『君の膵臓がたべたい』 の吉田智子。 第1週目では、老舗薬種問屋「藤岡屋」の商売の現状と藤岡家の人々のキャラクターを紹介。なかでもガンコ親父・儀兵衛役の遠藤憲一が出色で、てんたちは『アウトレイジ』ばりの強面・遠藤をまねた変顔を連打。儀兵衛のくしゃみで周りの人々がズッコケるという演出は、吉本新喜劇テイストの笑いへの愛にあふれていました。 また、てんが笑い上戸=ゲラになったのは、ぜん息持ちの心優しい兄・新一(千葉雄大)のためだったということが判明。これは笑いを通じて幸せになるという、ドラマの根幹にあるテーマを表す重要なエピソードです。 『わろてんか』の笑いは、笑ってくれる相手の顔が直接見えるという類の笑い。いまのようにテレビやパソコン、ケータイ、タブレットで楽しむ笑いではなく、もっと ダイレクトな血の通った笑い です。笑うことは本当に楽しいと、相手の笑顔を見て実感するわけです。 吉田智子もインタビューで「人は幸せだから笑う」のではなく、 「笑っているから幸せになれる」 と言われていますが、おおいに納得させられます。 ■「わろてんか」は愛の殺し文句だった! いよいよ高橋一生登場 「イケメン、しっかり出します」というアピールに色めき立ってしまう『わろてんか』。先週は、てんの将来の伴侶となる藤吉役の松坂桃李が、おちゃめな魅力を炸裂させました。 舞台でトホホなヘマをやらかしたり、口の周りをチョコレートで汚して“カールおじさん”と化したり、 「これからもその笑顔でずっとわろてんか」 という殺し文句でてんの心をわしづかみにしたりと、1週目からいい感じ。 また、ケホケホとせき込む病弱な美青年役がドハマリしている千葉雄大もポイント高し。この先、無理がたたりそうで、千葉くんファンの心配は募るばかりです。 2週目からは、てんの許嫁となる青年実業家・伊能栞(しおり)役の高橋一生が登場。栞は 「顔良し、見目よし、頭よし」 のナイスガイのようで、胸が高鳴ります。 ちなみに、主題歌は 松たか子 が伸びやかな歌声でつむぐ「明日はどこから」。「ありがとう」と言いたいあなたのために、「ごめんね」と言えないあなたのために、というサビの部分が心に響きます。 早速、2週目からロマンスの幕開けとなりました。歌詞が物語るように、てんや藤吉、栞、てんを思う幼なじみの風太らの素直になれない若者たちの恋模様が展開されていきそうな予感! これは楽しみです。
2017年10月11日映画、ドラマ、CMと、2017年はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍ぶりを見せている 高橋一生 。演技力はもとより、内面からかもし出される成熟した色気、ダンディな低音ボイスで、女性ファンはメロメロです。 そんな高橋さんが10月2日(月)より放映される朝の連続テレビ小説 『わろてんか』 に出演。葵わかな演じる主人公てんをバックアップする度量の広い役どころだそうで、今からワクワクします。 ■『わろてんか』では懐の深い青年実業家 『わろてんか』の主人公は、京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女・藤岡てん(葵わかな)。「人生には笑いが必要」と、常に周囲に笑いを振りまくてんが、旅芸人一座にいた北村藤吉(松坂桃李)と出会い、駆け落ち同然で藤吉と結婚します。その後、てんは夫婦二人三脚で笑いをビジネスにしようと大奮闘していきます。 朝ドラには欠かせない三角関係という要素ですが、なんと今回のてんは3人の男性から愛されます。演じる男は、松坂桃李、濱田岳、高橋一生の3人。 筆頭は、てんの夫となる北村藤吉役の松坂桃李。ヒロインの相手役としては『梅ちゃん先生』のノブ以来の一番手となります。人が良すぎてだまされやすい性格の藤吉は、詰めが甘い愛すべきキャラクターとなりそう。 続いて、てんの幼なじみで「藤岡屋」の使用人・武井風太役に濱田岳。幼い頃からずっと彼女のことが好きでしたが、てんの結婚後も終生彼女のために働いていくというなんともいじらしい男。けなげな片思い男子を演じさせたらピカイチの濱田くんにはピッタリな役どころです。 そして第三の男が、青年実業家・ 伊能栞(しおり) 役の高橋一生。栞は親同士が決めたてんの結婚相手でしたが、てんと藤吉が愛し合っていることを知り、彼女の後押しをするという懐の深い男です。 その後、実業家としててんをサポートしていくので、さながら『あさが来た』でディーン・フジオカの五代様的ポジションでしょうか? これはまた、高橋一生旋風が巻き起こること必至です。 ■下克上まで巻き起こす、高橋一生の魅力とは? 誤解を恐れずに言えば、高橋一生は二番手の役柄でこそ絶妙な輝きを発する気がします。記憶に新しいところだと、NHK大河ドラマ 『おんな城主 直虎』 。自分の心を押し殺し、生涯を直虎に捧げた小野但馬守政次の死は壮絶な切なさで “政次ロス” が起こりました。さらには、菅野よう子による「緊急特盤 鶴のうた」という追悼CDまでリリース。 ドラマ 『カルテット』 では、主演の松たか子、満島ひかり、松田龍平と4人で見事なアンサンブルを見せていた高橋さん。彼が演じた理屈っぽい男・家森諭高は、ふたを空けてみたら 「大人の男の魅力の手本」 というラベルを張りたくなるほど、セクシーでチャーミングでした。 家森はすずめ(満島ひかり)に思いを寄せているのに、最後まで告白せずに終わってしまう。回を追うごとにその切なさは倍々ゲーム化していき、ここでも“家森ロス”がささやかれました。本当に罪作りな俳優です(苦笑)。 そういえば、脇役としての下克上も。遠藤憲一と菅田将暉主演のドラマ 『民王』 で高橋が演じたのは、総理大臣の公設第一秘書・貝原茂平役。 クールで毒舌のやり手秘書・貝原役が人気を博し、スペシャルドラマ『民王スピンオフ~恋する総裁選~』を経て、ネット配信の番外編ドラマ『民王番外編 秘書貝原と6人の怪しい客』では主役にまで登りつめ、『民王 スピンオフBOOK【貝原編】』まで発売されました。 ■高橋一生の華麗すぎる多趣味。あのスターとの交流も! 高橋一生の人気をここまで押し上げたのは作品だけではなく、Instagramやバラエティ番組などで見せる素顔にもあると思います。音楽、登山、ボルタリング、バイク、料理などけっこう多趣味で、しかも突き詰めるタイプのようです。 もともとミュージシャンになりたかったという高橋さんですが、CMではブルースハープを見事に演奏していました。弟はロックバンド「never young beach」のヴォーカル安部勇磨だし、血は争えない感じですね。ちなみにCMでミスチルの歌を口ずさむ高橋さんも話題に。低音ボイスも彼の最強の武器です! また、登山も本格的にやってます。堀越学園高校の同級生で大の仲良しである 岡田准一 とも一緒に登山に行っているようで。まさに麗すぎる山男の2ショットです。 要するに、高橋一生は、俳優としてもひとりの男性としても深みがあるってことでしょうか。10月からは『わろてんか』と篠原涼子主演ドラマ 『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』 がスタートしますので、当分、高橋一生ファンのウハウハ状態は続くようです。
2017年09月28日Hey!Say!JUMPの 山田涼介 が主演を務める感動の群像劇 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 が9月23日より公開されます。本作の山田くんはスターのオーラを封印し、等身大の青年役でリアルなまなざしを見せています。 山田くんが演じるのは児童養護施設で育った 矢口敦也(山田涼介) 。ともに同施設で育った 小林翔太(村上虹郎) 、 麻生幸平(寛 一 郎) と共に、とある理由で女性起業家の家へ盗みに入ります。彼らの逃走先は、廃屋となっていたナミヤ雑貨店。誰も住んでいないはずのその家に、突然1通の手紙が届き、そこからいろんな人間関係が交錯していきます。 やがて過去と現在のエピソードがつながっていき、ある奇蹟が…。原作は 東野圭吾 による同名ファンタジーで、今回待望の映画化となりました。 ■端正な顔立ちの山田涼介が見せた生々しい表情 『金田一少年の事件簿』 の金田一一や 『暗殺教室』 の潮田渚など、2次元の実写版キャラクターも違和感なくハマっていた山田涼介。端正な顔立ちはもちろん、生まれながらの目力で、見る者をくぎづけにしてきました。 本作の後に控えている 『鋼の錬金術師』 (2017年12月1日公開)では、主人公エドワード・エルリックを演じます。いくら山田くんでもこの役はハードル高すぎでしょ!? と思っていたのですが、これまで築いてきた実績やその風貌により、いまから高い関心を集めています。 だからこそ『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のフラットな役柄はじつに新鮮! 山田くん自身が「引いた演技を心がけた」と語っていますが、たしかに生々しい無防備な表情が映し出されています。 ■山田涼介、村上虹郎、寛 一 郎と次世代スターが共演 層の厚いジャニーズの若手の中で頭角を現してきた山田涼介。今回は、村上虹郎や寛 一 郎など、フレッシュな次世代スターと共演し、作品に新風を注いでいます。 メガホンをとったのは、廣木隆一監督。『ヴァイブレータ』(03)や『さよなら歌舞伎町』(14)など、官能系の人間ドラマから、『ストロボ・エッジ』(15)や『オオカミ少女と黒王子』(16)、『PとJK』(16)などの青春ラブコメディまで、幅広いジャンルの映画で、役者からリアルな表情を引き出してきました。 若手俳優に愛のムチを与えることで知られる廣木監督。撮影前に彼ら3人を呼び出し、3日間かけて、全シーンのリハーサルをさせたとか。なるほど、だからあんなになじんだ幼なじみトリオができあがっていたんですね! なかでもクライマックスで感情がほとばしるシーンは、本作のハイライト。実際、山田くんは「この作品は学ぶことだらけでした。僕の成長過程のなかで、間違いなく大事な1ページになった作品だと思っています」としっかり手応えを口にしていました。 ■仕掛けが鮮やか! 西田敏行らのアンサンブルドラマに感涙 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は山田くんが主演ですが、共演も村上虹郎や寛 一 郎の他、西田敏行、尾野真千子、荻原聖人、成海璃子、門脇麦、林遣都、荻原聖人というそうそうたる顔ぶれ。その要となるのが、ナミヤ雑貨店の店主・ 浪矢雄治(西田敏行) です。 浪矢は当時、町の人々から手紙で悩み相談を受け、丁寧に返事を返していました。その時間軸が 1980年 。山田涼介演じる敦也たち3人が手紙を受け取るのが現代の 2012年 。いまや廃屋となった雑貨店にたまたま入った敦也たちが、時空を超えて相談者からの手紙を受け取ってしまったのです。 物語が進むにつれて、1980年と2012年という32年離れた時間軸が、その間に起こったいろんな出来事や人間関係により見事に埋められていきます。最後にはすべてがつながり、涙のクライマックスを迎えるという仕掛けがじつに鮮やか! まるで各パートでアンサンブルを奏でているような味わい深い群像劇。人生を変えるようなすてきな出会いが散りばめられたこの1作は、ぜひハンカチ必携で観に行ってください。 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 2017年9月23日(土)公開 公式サイト:
2017年09月22日やさしい夫がいて、その夫を愛しているのに、 セックス依存症 となってしまう妻。この病は男性が多いだろうと思われていますが、じつは声を出せないだけで女性にも多くいるのかもしれません。 幸せのはずの結婚生活のはずがなぜ地獄のような毎日へと一転してしまうのか。だれしもが起こりえる病なのか。本当の原因はどこにあるのか。そんなことを感じずにはいられないドラマが 『雨が降ると君は優しい』 です。 ■ドラマ『雨が降ると君は優しい』のあらすじは 玉山鉄二 と 佐々木希 共演によるHuluのオリジナル連続ドラマ『雨が降ると君は優しい』(全8話)の第1話と2話がいよいよ配信スタート。佐々木がセックス依存症の妻・彩役を演じる衝撃作。しかし第1・2話を見たかぎりでは、夫と深く愛し合い、ちゃんと性生活もある幸せな彩が、「なぜセックス依存症になってしまったのか?」という疑問がふつふつ湧いてきます。 第1話「悲劇的純愛編」では、自分がセックス依存症だと自覚している彩が、信夫に内緒で著名なカウンセラー・小早川志保(木村多江)のクリニックの戸をたたきます。 また、玉山鉄二演じる文芸誌副編集長・立木信夫の仕事ぶりもクローズアップ。信夫はいまや73歳となった大御所の老作家・小野田史郎(古谷一行)の連載を取ろうと、新人編集者の平川百合(奈緒)を伴って小野田の自宅を訪れます。 第2話「愛の苦悩編」では、自身の衝動にあらがえない彩が、 出会い系サイト で知り合った男と会うことに。しかしその男は、なんと夫の同僚・望月俊介(吉田ウーロン太)だと判明。その場から逃げ出してしまいます。 そのことが同僚たちの間でもバレてしまい、ショックを受ける信夫。さらに、彩が以前に一度だけHをした男がストーカーと化し、自宅に押し入って力づくで彩を押し倒します。そこへ帰ってきた信夫と鉢合わせし、 彩のしていることがバレてしまう という修羅場に! ■セックスへの衝動に駆られる瞬間 第1話から佐々木は、まるでジキルとハイドのように、天使すぎるピュアな一面と、男に抱かれずにはいられない悪女という相反するキャラクターを体当たりで演じています。 クリニックを訪ねてきた彩に、志保(木村多江)は「女性はあまり相談に来ないから珍しい」と感想を述べます。そしてセックス依存症は 性嗜好(しこう)障害という病気 だと説明したあとに「自分がそうだと思う根拠は?」と尋ねると、彩は「夫をとても愛しているんです。それなのに…」と抱えていた思いを吐露します。 彩は、昼間に性欲スイッチのようなものが入ることが多いよう。衝動が抑えられない彩は、真っ赤なセクシードレスと真っ赤な口紅をまとい、狩人となり、出会い系サイトで知り合った男とベッドを共にします。 彩は欲情したときの自分について、体の血管がムズムズしてきて、 ムカデみたいな赤い虫 が体中をはうようにうごめくと話します。そしてその衝動の最中は、二重人格となっているわけでも、また記憶をなくしているわけでもない。 しかし彩のこの衝動は、雨の日には起こらない。なぜ 「雨の日」 は大丈夫なのか。ここら辺にも心の奥底にある問題が埋まっているのかも。 ■夫にセックス依存症を告白できる? 彩は夫・信夫が自分一筋の真面目で優しい人だと志保に訴え、涙を流します。夫を愛していて、夫からも愛されている。そんな幸せな妻が、なぜこんな病になるのでしょうか? 彩はクリニックを訪ねても、自身のセックス依存症がすぐには改善されないことについて苛立ちを覚えます。「治りっこない。私なんて死んじゃえばいい」と自暴自棄になる彩。「なぜ、死なないの?」と穏やかに尋ねる志保に、 「夫が大好きだから離れたくない」 と言う彩の表情が何とも切ないです。 志保は治療には時間がかかると静かに彩を諭します。性嗜好障害には生い立ちや小さい頃のトラウマ、家族との関係性なども関係しているとのこと。依存症の治療は一番身近な人に話して一緒に立ち向かうことが必要だと話す志保だが、セックス依存症を夫に告白できる妻がどれだけいるのだろうか。 ■本当に夫は問題ない? じつは心に闇を抱えているのでは 玉山鉄二演じるセックス依存症の妻に苦悩する信夫。彩は夫には何も問題はなく、自分が問題だといいますが、それは本当なのでしょうか。 信夫は、どんなことがあってもずっと笑顔。彩には「 笑顔のお面 を貼り付けているよう」とまで言われています。その笑顔のうしろに見え隠れする闇が少しずつ姿を現していきます。 人気売れっ子作家・河野流星(柾木玲弥)が信夫に対してやりたい放題してもひたすら笑顔。さらに、彩を追ってきたストーカーを追い払った後、彩に向けたのもまさかの笑顔! 信夫が抱えているだろう闇のカギとなるのは、彼が以前書いたとされる小説。その小説にはいったいなにが書かれていたのか、隠された過去が気になります。 本作ではナレーションの代わりに、笛木優子演じる謎の女性作家・雫石奈美がストーリーテラーとして登場。彼女いわく彩と信夫の関係性は「カタストロフィ理論」だと説明。すなわち相手に対する信頼が深ければ深いほど、裏切られたショックが大きい」とのこと。 妻だけの問題と思われたセックス依存症。でも夫婦の間に横たわる大きな闇が結びついてくる可能性があるのでは。今後さらなる怒とうの展開を迎えそうな予感がします! この先、彩はセックス依存症を乗り越えることができるのか。そしてその事実を知った夫は、どう妻に接していくのか。「愛している」だけでは解決できない夫婦の問題に、ドラマが鋭く切り込んでいくことを期待したいところです。 Huluオリジナルドラマ 『雨が降ると君は優しい』 配信日: 9月16日(土) 1話・2話 配信 9月23日(土) 3話・4話 配信 9月30日(土) 5話・6話 配信 10月7日(土) 7話・最終話 配信 出演:玉山鉄二、佐々木希 ほか / 脚本:野島伸司
2017年09月21日松坂桃李 が10月2日(月)よりスタートする朝の連続テレビ小説 『わろてんか』 に出演。桃李くんが演じるのは、葵わかな演じるヒロイン・てんの夫、藤吉役で、妻と二人三脚でお笑いのビジネスに奮闘していくという役どころです。 てんは、京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女でしたが、旅芸人一座にいた北村藤吉と出会って駆け落ち同然の状態で結婚。そこから大阪を舞台にした人情喜劇が展開されていきます。 藤吉はすごく人間味にあふれた人のいいキャラクターのようですが、近年の桃李くんは、そういういい人キャラから、闇をたたえた ダークキャラ 、美貌とエロスを武器にした セクシーキャラ まで、役柄の振り幅の大きさに驚かされっぱなしです。 ■松坂桃李が正統派イケメン俳優に収まりきれないワケ 桃李くんといえば、長身で甘いマスクに加え、礼儀正しい謙虚な人柄についてもよく知られるところです。ただ、彼がパーフェクトな正統派イケメン俳優というカテゴリーに収まっていないのは、漫画が大好きで休日は家にこもる インドア派 。さらには、一人焼き肉などもよく目撃される “ぼっちキャラ” をいとわないタイプのせいでしょうか? 普通の紳士や平凡な男役も彼が演じると味が出ます。実写版 『パディントン』 では、紳士なクマ・パディントンの吹替えを務めていましたが、予想外にハマっていましたし、 『ゆとりですがなにか』 のやまじーこと山路一豊役では、“童貞あるある”を絶妙なラインで演じていました。 桃李くんにとって朝ドラ出演は、 『梅ちゃん先生』 で堀北真希が演じた梅子の夫・ノブ役以来ですが、今回演じる藤吉もノブ同様、人にだまされやすそうなスキのある普通の男のようで。意外とこういうフラットな役柄こそ、俳優としての真価が問われる気がします。 ■目で闇を物語れる松坂桃李の挑戦 モデルを経て 『侍戦隊シンケンジャー』 のシンケンレッド役で華麗な俳優デビューを遂げた松坂桃李。彼のようなイケメン新進俳優の場合、青春学園ものやラブコメディなどの胸キュンキャラを何本かこなしてから、チャレンジングな役柄にトライしていくのが正攻法な気がしますが、桃李くんの場合は少し勝手が違ったようで。 イケてるヒーローを演じた戦隊モノの映画が公開された同年、桃季くんは 『アントキノイノチ』 と 『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』 という2本の映画で、いきなりダークな役どころに挑戦しました。 瞳の奥に焦燥感や孤独感をたたえた 闇バージョンの桃李くん がこれまた良くて。決め手は目力ですね。個人的には、アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに落ちてダース・ベイダーになったくらいの振り幅を感じました。 その後も、舞台『娼年』で体を張ったコールボーイ役や、『ピース オブ ケイク』でのオカマ役、『エイプリルフールズ』のセックス依存症の外科医役など、「攻めすぎでは?」と思えるような大胆な役にトライし続け、いまに至る感じです。 ■『わろてんか』とは対局にある異色作を連打 2017年度も下半期となりましたが、今年も桃季くんは攻め続けていました。端正なマスクなので、超人的なキャラクターとのマッチング度も高いです。 『視覚探偵 日暮旅人』 では、視覚以外の感覚を無くした代わりに、それらすべての感覚を目に宿す、という探偵を演じ、「何それ??」という謎の設定に説得力を与えました。 映画 『キセキ -あの日のソビト-』 では、エッジのきいた役どころで美声を披露。その姿がセクシーすぎる!と話題沸騰でした。また、この秋も、質の高い重厚な作品が続きます。 くしくも同じ沼田まほかる原作のサスペンスを映画化した 『ユリゴコロ』 (9月23日公開)と 『彼女がその名を知らない鳥たち』 (10月28日公開)が連続公開。息詰まる展開を見せる2作は、サスペンスでありながら、愛とは何か? を問う、究極のラブストーリーでもあります。 さらに2018年は、新感覚サスペンス『不能犯』(2018年2月1日公開)や、極道系バイオレンス『孤狼の血』(2018年5月12日公開)も待機中。 笑いがちりばめられた「わろてんか」とは対局にある作品がめじろ押しで、そのコントラストが、俳優・松坂桃李の演技力を際立たせていきます。ずっと攻め続ける桃李くんを今後もウォッチングしていきましょう。
2017年09月20日玉山鉄二 と 佐々木希 共演によるHuluのオリジナル連続ドラマ 『雨が降ると君は優しい』 (9月16日配信スタート、全8話)の内容が発表されたとき、世間はざわめきました。当時、お笑いタレントのアンジャッシュ渡部建と結婚したばかりだった佐々木が、 セックス依存症 の妻役を演じると発表されたからです。野島伸司脚本による “悲劇的純愛” ということですが、題材が題材だけにすさまじい泥沼の愛憎劇が展開されそうです。 佐々木が演じるのは、玉山ふんする文芸誌副編集長・立木信夫の妻・彩。新婚ほやほやのカップルに待ち受けていたのは、壮絶な修羅場…。なぜならセックス依存症という心の病を抱える彩は、不特定多数の男と関係をもっていくからです。 実際に新妻である佐々木が逢瀬を重ねるという エロス 。そして、そのことに苦悩する夫役・玉山の 悶絶 。これはもう大人の視聴者にとって大好物なこと、間違いなしです! ■妻のセックス依存に対する罪悪感と夫の葛藤 野島伸司 はつねに手あかのついた題材を嫌い、 『高校教師』 (93)や 『家なき子』 (94)など、社会現象を巻き起こす衝撃作を多数放ってきました。そんな野島が「いま本当に描きたいドラマ」が本作だったようです。 野島によると「夫婦のラブストーリーを描こうと思いましたが、昨今はやりの浮気や不倫のドラマは私には興味がありません。 “妻のセックス依存に対する罪悪感” 、 “夫の理解しようとする葛藤” という、心と体の二律背反(にりつはいはん)を描くことで、夫婦の愛の絆を試す極限状態の磁場を敷きました」とのこと。 “セックス依存症”というモチーフは海外のゴシップや映画などでよく耳にしますが、じつは 「性嗜好(しこう)障害」 という深刻な病気のひとつなんです。さらにそれが夫婦間の性の話となると、かなりセンシティブな問題です。 地上波ドラマで扱うことは、スポンサーや視聴者とのコンプライアンスの関係でまず無理でしょう。でも、今回動画配信サービスでの放送でGOサインが出たということで、野島は水を得た魚のように大人のエロスを全開させたようです(笑) ■佐々木希、玉山鉄二の私生活とのギャップがキモとなるか? 第一話では、彩が性嗜好障害のひとつである“セックス依存症”に陥っていることがすでに明かされ、嫌悪感に苦しんだ挙げ句、著名なカウンセラー・小早川志保(木村多江)のもとを訪れます。そこでどんなカウンセリングを受けることになるのか、興味津々です。 第二話では、自身の衝動にあらがえない彩が、出会い系サイトで知り合った男と会いに出かけますが、なんと彼が夫の同僚・望月俊介(吉田ウーロン太)だったというとんでもない事態に。さらに過去に出会い系サイトでHをした男に待ち伏せされてしまい…。なんとまあ、前半からすでに修羅場のオンパレード! なんといっても、玉山と佐々木という主演ふたりの心意気が素晴らしい。かなりハードルが高い役どころながら、果敢に向き合ったといいます。私生活で順風満帆そうな2人だからこそ、劇中の ドロドロ感とのギャップ がキモとなりそうですね。 本作のプレミア完成披露試写会で玉山は、野島への信頼を口にしました。「クランクイン前は現場に行くのがとても怖かったのですが、野島さんが『俺にはもう玉山の中に信夫が見えているから、自信を持ってやってくれ』とおっしゃってくださったことに、とても勇気づけられました」 佐々木は「危うくてはかない彩を愛おしく思い、今回の役に挑戦させていただきました。この難しい役を演じ切ったとき、自分にとって大きなものになると思っていたので、撮影の終わったいまは本当に出演して良かったと思っています」と自身の手応えも語っています。 ■セックス依存症の相手となるのは、あの野島作品の役者か!? 気合十分の野島ワールドは、脇にも豪華な俳優陣が参戦。『愛しあってるかい!』(89)以来28年ぶりに野島作品に挑んだ陣内孝則は、アルコール依存に陥った文芸誌の編集長・倉田和馬役。一時代を築いたセクシー男優・古谷一行は、女性編集者を次々と食い物にしてきたとうわさされる大物作家・小野田史郎役。彼らが佐々木希とどう絡んでくるのか、妄想がふくらみます。 また、木村多江は、彩のカウンセリングを担当する臨床心理士・小早川志保役ですが、どうやら倉田と依存症の治療を通じての恋人関係に! そして、隠し玉は奥菜恵演じるファッション誌編集長・新城玲子で、公私ともに親しい信夫と彩にも言えない秘密を抱えている役どころだそうで、なんとも気になりますね。 モチーフがセックス依存症だけに、ラブシーンも逃げ場がない! 肝がすわったキャスト陣の熱演が楽しみです。さあ、みなさま、大人の野島ワールドをじっくりと堪能しませんか? Huluオリジナルドラマ 『雨が降ると君は優しい』 配信日: 9月16日(土) 1話・2話 配信 9月23日(土) 3話・4話 配信 9月30日(土) 5話・6話 配信 10月7日(土) 7話・最終話 配信 出演:玉山鉄二、佐々木希 ほか / 脚本:野島伸司
2017年09月14日『そして父になる』(13)の是枝裕和監督と 福山雅治 が2度目のタッグを組んだ映画 『三度目の殺人』 。前作で是枝監督としっかり信頼関係を築いた福山は、本作で俳優としての真価をみごとに発揮しました。 その立役者は、名優・ 役所広司 。この映画、個人的な感想を述べると 「福山雅治が役所広司に 精神的にいたぶられる映画 」 でした。 福山演じる敏腕弁護士・重盛が弁護するのは、殺人の前科がある三隅(役所広司)。彼は今回の事件では犯行を自供し、死刑が確実だと思われましたが、重盛はなんとか無期懲役に持ち込もうとします。 その後、被害者の娘・咲江(広瀬すず)が三隅を心から慕い、だれにも言えない秘密を彼にだけ打ち明けていたことが判明。重盛が、三隅は咲江のために殺人を犯したのではないかと思い始めた矢先に、三隅自身が供述を二転三転させていきます。 ■イケてるはずの福山雅治が役所広司に飲みこまれる!? 役所広司はサイコ・スリラー『CURE』(97)の刑事役で、萩原聖人演じる殺人犯に翻弄(ほんろう)されていく役どころを演じたことがありましたが、今回はその報復が福山に向けられたのでしょうか!? 役所は、大ヒット中の『関ヶ原』で演じたタヌキオヤジ家康と同一人物とは到底思えません(笑)。 福山は『そして父になる』でも鼻につくようなエリートを演じていましたが、今回も自信たっぷりの クールな弁護士役 です。彼は真実よりも依頼人の利益を優先させるリアリスト。そんなイケてる重盛が、三隅によって激しく揺さぶられていきます。 『三度目の殺人』の脚本も手がけた是枝監督はトークショーで 「福山さんは嫌なセリフを話す時のさげすんだ感じや語尾の雰囲気がうまい」 と言っていましたが、本作を見れば納得。 ドキュメンタリー出身の是枝監督が捉える役者の表情は毎回リアルです。今回の福山演じる重盛は、役柄上で完全に受け手で、 得体の知れないモンスター のような殺人犯と対峙(たいじ)していくという流れです。 日本映画界切っての名優・役所広司を敵に回したことで、福山の役者としての潜在能力がぐいぐいと引き出されていきます。それは是枝監督の狙いでもありました。主人公の心の揺れ幅は、『そして父になる』よりも大きく、役者としての深みもさらに増しています。 ■広瀬すずの目の奥に宿る闇オーラを浴びる福山! 被害者の娘・咲江役を演じるのは、 『海街diary』 (15)に続いて是枝組に参加した 広瀬すず 。スポ根青春映画や青春ラブコメディでは、持ち前の愛くるしさを炸裂(さくれつ)させている彼女ですが、やはり是枝監督作の彼女はひと味もふた味も違います。 咲江の目の奥には、底知れぬ闇が! 彼女は、是枝監督作を経て、渡辺謙らと共演した群像劇『怒り』(16)で李相日監督にも鍛えられ、女優として覚醒した感じを受けました。さらに広瀬のポテンシャルを知り尽くした是枝監督によって、息をのむようなすごみを引き出しています。 福山演じる重盛は、咲江の発言にも戸惑いを隠せません。福山はここでも、世代は違えどモンスター級の女優・広瀬すずと向き合い、受け手として彼女が放つ 暗黒のオーラ を浴びました。この相互作用が本作の妙味であり、俳優・福山雅治の吸収力や反射能力にもうなります。 ■福山雅治の苦渋に満ちた表情がキモ 通常の法廷サスペンスで追い求めるのは事件の真相、すなわち真実ですが、『三度目の殺人』では、少し勝手が違います。是枝監督が本作の脚本を手がけるにあたり、何人かの弁護士にリサーチして行き着いたのが 「法廷は真実を解明する場所ではない」 という着地点でした。 重盛自身も、三隅が二度目の殺人を犯したかどうかはわからずに弁護をしていきます。やがて彼は三隅の心情に寄り添おうとし、真実を知りたい、そして彼を死刑にさせたくないと心から思うようになりますが、なぜか三隅はそれを望んでいないようでした。 ここで三隅が、裁判官という職種について 「人の命を自由にできる」 と語っていたひと言がきいてきます。重盛の心の葛藤は観客にも連鎖し、 「人を裁くこととは何ぞや?」 という究極の問いをつきつけられることに…。はたして三隅に下された判決とは? そして 『三度目の殺人』の意味 とは? 『三度目の殺人』はジャンルとしては法廷サスペンスというよりはスリラーとか心理ドラマに近い。観終わった後のもやもや感やざわめきも、是枝監督にとっては「してやったり」なんでしょう。とにかく俳優陣の存在感が圧巻です。福山雅治ファンとしては、ドSな視点から彼がメンタル面でいたぶられていく表情を堪能してはいかがでしょうか? 『三度目の殺人』 9月9日(土)公開 公式サイト:
2017年09月06日大ヒット上映中の米林宏昌監督最新作 『メアリと魔女の花』 公開記念 「ガーデンサンドカフェ」 が、期間限定で8月4日(金)より表参道にオープンします。まるで魔法世界に迷い込んだようなカフェにおじゃまし、ワクワクするようなメアリにまつわるメニューをいただいてきました。 ■入口でお出迎えするのは、あの劇中シーンの再現 まず、入口で出迎えてくれるのは、魔法世界の最高学府「エンドア大学」の 「マダム噴水」 のオブジェ。そう、校長マダム・マンブルチュークが噴水のようになって現れ、メアリがびっくりするあの劇中シーンをほうふつさせます。 店内は、メアリが引っ越してきた赤い館のようにレンガ模様が施されていたり、窓際に美しい庭が広がっていたりして、緑あふれる空間になっています。 ■「ほうき」がトッピングされたメニューが愉快 メアリにまつわるメニューは見ているだけでウキウキ気分に。野菜とジューシーなチキンをサンドした 「ガーデンサンド チキン&たまご」 (1,340円・税別)や、 「サーモンといくらのクリームパスタ」 (1,340円・税別)、ボリュームたっぷりの 「まんぷくプレート」 (1,440円・税別)には、メアリが出会う「ほうき」がトッピングされています! ■魔法の花「夜間飛行」のスイーツ! あの猫もトッピング 劇中で登場する 魔法の花「夜間飛行」 を思わせるフルーツがトッピングされたデザート類も魅力的! 木いちごジャムとたっぷりクリームがついた 「ふわふわパンケーキ」 (1,480円・税別)や、食べ進むうちに味と食感が変わる 「にぎやかプリンパフェ」 (840円・税別)もおすすめ。それぞれに猫のティブやギブもちょこんと乗っています! また、カフェ限定グラスをお持ち帰りできるドリンク・メニュー 「スーベニアシルエットミルクティ」 (1,490円・税別)は、メアリや、ティブと夜間飛行のラテアートが施されていて、思わずほっこり。 さらに色が変わったり、虹が出てきたりする 「魔法のレインボーティーソーダ」 (690円・税別)という不思議なドリンクは、メアリのように魔法を使った気分になれるイチオシメニューです。 ■米林宏昌監督も感激「まるで作品の世界観!」 ちょうど今日は、『メアリと魔女の花』を手掛けた米林宏昌監督が来店し、その場でスラスラと、メアリとピーターのイラストを描いてくれました。これはすごい! こちらカウンター内に飾られているので必見です。 監督はカフェについて「かわいいですね。こうやって作品の世界観のなかにいられるのは不思議な気持ちです」と、とってもうれしそう。さらに監督は、外側の窓に描かれた美術監督・久保友孝の画にも感激されていました。 店内には、『メアリと魔女の花』のオリジナルグッズやカフェ限定グッズなどもたくさん販売されています。ちょうど夏休みということで、お子さんといっしょに映画を観た後で立ち寄って、その世界観にたっぷりと浸ってみてはいかがですか? メアリと魔女の花 ガーデンサンドカフェ 東京都渋谷区神宮前5-3-8 期間:8月4日(金)~9月2日(土) 営業時間:11:00~21:00(20:00ラストオーダー) ※日曜日と9月1日(金)、最終日のみ 18:30クローズ(17:30ラストオーダー) 定休日は施設に準ずる 予約専用サイト: 【『メアリと魔女の花』インタビュー】
2017年08月03日高校生が悪ふざけで仕掛けたイタズラが、テロまがいの爆発事件に発展! 窪田正孝主演 『僕たちがやりました』 (毎週火曜21時~/フジテレビ系)は、かなりエッジがきいたドラマだと評判。第2回は逃亡劇を企てるというスリリングな展開を見せる一方で、初々しいキスシーンも入り、青春ドラマの酸いも甘いも入ったドキドキと胸躍る回となりました。 爆発事件後、 トビオ(窪田正孝) 、 マル(葉山奨之) 、 伊佐美(間宮祥太朗) 、 パイセン(今野浩喜) たちに捜査の目が向けられます。 なかでも、いち早くトビオたちが犯人だとにらんでいるのが、刑事・飯室(三浦翔平)。長めの前髪からのぞく目のにらみが強烈! トビオはまるでヘビににらまれたカエル状態でかなりビビってます。同じフジテレビで放映中の連ドラ『警視庁いきもの係』での爽やかな刑事役との演じ分けもお見事! ■窪田正孝のぶっ飛んだ妄想劇に失笑 金でものを言わせるパイセンは、なんとトビオたちを1人 300万円の口止め料 で買収しようとします。いちばん冷静な態度で金を受け取った伊佐美は、3人とはもう会わないと宣言し、その場を静かに去ります。 マルはパイセンに「何でも金で解決するのは違うでしょ」と食い下がりますが、パイセンから「少年院で暮らしたいのか?」と言われ、はっとします。トビオは「みんなで黙ってればもとの生活に戻れますよね?」と自分に言い聞かせるようにして、結局マルと共に300万を受け取るのでした。 本作では、「ヤバイ! ヤバイ!」といったトビオの心の叫びがたくさん飛び交います。でも彼は妄想癖も激しく、その ムダに想像力が豊か すぎる点も失笑ものです。 たとえば、少年院に行った自分を思い浮かべるシーンでは、刑務所内で受刑者に襲われたり、出所してからは髪とヒゲがぼーぼー生えた姿の自分がいたりしますし、さらに妹から母親が自殺したことを告げられます。え? ちょっとエスカレートしすぎでは? また、 永野芽郁 演じる蓮子とつき合った後の自分を妄想するシーンもすさまじく未来へ行ってしまいます。蓮子と結婚し、なんとふたりの間にはすでに子どもが! 赤ちゃんを手にした蓮子に「あなた」と呼ばれる自分にときめくトビオ。いやいや、まだこの時点では蓮子とキスもしてませんけど…。 さらにパイセンからプーケットへ高飛びしようと誘われると、ここでもトビオの妄想が炸裂(さくれつ)。セクシーな水着女子に囲まれ、鼻を伸ばしているトビオは、プーケットでもマルや伊佐美似のタイ人とつるんでいます。これにはパイセンさながらに「なんでやねん」とツッコまずにはいられません。 ■窪田正孝と永野芽郁の初々しいキスシーンに胸キュン トビオの 「キスしない?」 という誘いを、蓮子はあっさり「いいよ」と快諾。やっぱりこのふたり、両思いでしたね。永野芽郁のフレッシュな表情がじつに愛らしい。 実年齢差11歳 とは思えない、ステキカップルの誕生です。 と、思いきや、爆発事件のことで頭がいっぱいのトビオは、蓮子に対しての思いやりに欠け、 童貞高校生 らしいあさましい行動に出てしまいました。「頼む!1回だけやらせて」という身もふたもないひと言に蓮子はガッカリ。「マジで好きだったのに」と言ってその場を去ります。 あーあ。やっちゃいましたね、トビオったら。例によって「やりすぎた! 最悪だ! 完全に終わった」と、トビオは心のなかで雄たけびを上げますがあとの祭りです。 ■え?間宮祥太朗演じる伊佐美が自殺!? トビオたち4人のなかで、いちばん落ち込んでいたのが伊佐美です。呆然(ぼうぜん)自失状態で、愛するボインの彼女・今宵からのLINEもスルー。そして最後にはひとりで首をつるという衝撃の映像が! ええ! 間宮祥太朗って第2回で終わりじゃないですよね? 伊佐美、まさか死なないですよね? と思わず目を疑いました。でももう、だまされませんよ(笑)。 そういえば、新田真剣佑演じる市橋も「死んだ」と伝えられましたが、ちゃんとしぶとく生きていたので、これも視聴者を驚かせるトラップですね。 とうとう警察に逮捕されてしまったパイセン。第3回でもトビオは逃亡を続けますが、ここへ来て想定外の人の裏切りが発覚! また、トビオは爆発事件に意外な真犯人がいるのではないか?と疑いはじめます。さらに復活した市橋の復しゅう心もメラメラと燃えさかっているようで。まだまだ予断を許さない第3回に乞うご期待!
2017年07月31日『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』の第1話が平均視聴率16.3%をマークし、「月9復活!」と注目されたフジテレビ。しかし、もう1本、関西テレビ&フジテレビが攻めの姿勢で臨んだ 窪田正孝 主演ドラマ 『僕たちがやりました』 (毎週火曜21時~/フジテレビ系)にも熱い視線が注がれています。 『僕たちがやりました』は、実写化困難だといわれていた 金城宗幸 の人気コミックのドラマ化作品。高校生が悪ふざけで仕掛けたイタズラが、テロまがいの爆発事件に発展するという、かなりキワドイ内容の青春コミックです。 第1回目ではド迫力の爆発シーンが披露され、第2回目からはいよいよ 若者たちの逃亡劇 が始まります。 コメディで味付けしてあるのでさほど重くはなりませんが、今後のダークな展開が、映画ではなくお茶の間で見るドラマとしてどう描かれていくのか、目が離せません! そこでこのドラマの見どころと、今後に期待したい点をピックアップ。 ■トホホな童貞くん窪田正孝らキャスティングが絶妙 第1話では、キャスティングの妙が光ってました。「そこそこでいい」という平凡な高校生・トビオ役に、実年齢28歳で挑んだ窪田正孝のトホホぶりが最高です。もんもんとした童貞のぼやきも原作どおりですが、まったく嫌味がありません。 同級生・伊佐美役の 間宮祥太朗 や、マル役の 葉山奨之 もそれぞれにイケメンオーラを封印し、へんてこなヘアスタイルにもトライ。いちばん原作の再現度が高いのは、高校の先輩で金持ちのパイセン役の 今野浩喜 。元お笑いコンビ、キングオブコメディのボケだけあり、小ネタでばっちり笑いを取っていきます。 トビオの幼なじみの蓮子役の 永野芽郁 は、ぶりっ子ではなく、同性からも愛される元気なヒロインを演じさせたらピカイチですし、伊佐美の彼女・今宵(こよい)役の 川栄李奈 も、男好きのする巨乳キャラでかなりイイ線をいってます。 また、「そう来ますか!」とうなったキャスティングが、トビオを目の敵にする不良・市橋役の 新田真剣佑 と、冷酷な刑事・飯室役の 三浦翔平 。きれいな顔でメンチを切る真剣佑くんのすごみと、「怒らせたらいちばん怖そう」という得体の知れない圧を感じさせる三浦さんにぐっと来ます。 ■これは映画か!? リアルな爆発シーンにビックリ 第1話では、マルがヤンキー高校の不良グループにボコボコにされたことにトビオたちが憤慨し、復しゅう計画を決行します。といっても、パイセン手作りのしょぼい爆弾をヤンキー高校に仕掛けるというほんのイタズラのはずでした。ところがそのなかの1つが大爆発! 演出は上川隆也主演ドラマ『ステップファザー・ステップ』の 新城毅彦監督 。この方、近年は広瀬すず×山崎賢人出演の『四月は君の嘘』や、永野芽郁主演映画『ひるなかの流星』など、ラブストーリーの映画でスマッシュヒットを飛ばしている映画畑の監督です。 なるほど。新城作品なら、ドラマの枠を超えた映画っぽいテイストに仕上がっているのもうなずけます。 ■ドラマは原作コミックの結末と異なる!? 第1話では、爆発シーンはもちろん、マルが不良グループからリンチを受けるバイオレンスシーンの容赦ない描写も強烈でした。 市橋たちに命令され、マルといじめられっ子の水前寺(加藤諒)が殴り合い、最終的には首まで締めてしまう。ただ、このバイオレンス描写に手をぬかなかったことで、 人間の心の闇 が浮き彫りにされました。 第2話では、爆発事件の規模のすごさを実感。あの爆発事故で市橋が死亡したと聞いて耳を疑います。「え!? 新田真剣佑は主要キャストですよね?」と、視聴者もびっくりでしょう。そこは見てのお楽しみです。 爆発事故の死者は6名だと報じられ、茫然自失のトビオたち。パイセンは金でけりをつけようとしますが、そんなことがうまく運ぶわけはなく。 原作は、人殺しとなってしまったトビオたちをシビアに見つめた、人間くさい物語です。フジテレビ側はすでに 原作とは違う結末 になると公表していますが、ここまで攻めていて、予定調和な美談にだけは落とし込んでほしくないと強く希望します。 この先には、窪田くんが制作発表のときに告白した「人生初のおしり丸出しシーン」もあるということで、予断を許さないドラマになっていることは確かのようですよ!
2017年07月24日スタジオジブリ作品といえば、毎回スクリーンからにおいがただよってきそうな 料理たち が登場しました。 『天空のラピュタ』の目玉焼きトーストや、大きなずんどう鍋で煮込むシチュー、『となりのトトロ』の手作りおはぎ、『崖の上のポニョ』で宗介の母リサが作ったハムののった即席麺、『ハウルの動く城』の厚切りベーコンエッグetc. 毎回登場人物がおいしそうに料理を味わう姿を見て、思わずおなかが鳴ってしまいそうになりませんか? ということで、これまでの ジブリ作品おすすめメニュー を振り返ってみましょう。 ■『魔女の宅急便』でみんな興味を持ったのは意外なパイ 宮崎駿監督作 『魔女の宅急便』 。本作で、主人公キキが配達を頼まれたのは、おばあちゃんが孫娘のために手間ひまかけて作った 「ニシンとかぼちゃのパイ」 。 キキはおばあちゃんの手伝いをしていっしょに作ったので、届けた孫娘から「私、このパイ嫌いなのよね」と言われたときは、かなりショックを受けていました。日本ではあまりなじみのないパイですが、「どんな味がするの?」と、興味を持った人も多かったのでは? 同作では、キキがジジと食べるトマトとソーセージが添えられたパンケーキ、キキを居候させてくれたおソノさんのパン屋に並ぶパン、キキが熱を出したときに、おソノさんが作ってくれたミルクがゆも、じつにそそられるメニューでした。 ■『風立ちぬ』や『崖の上のポニョ』にも登場のジブリ共通たべもの 『崖の上のポニョ』 では、ポニョがハムを大好きになるという設定からか、 ハムサンド が何度も登場します。 まだ魚の状態だったポニョが、宗介にもらったハムサンドのハムをぺろりと食べるシーンはインパクト大。母リサも運転しながら器用にサンドイッチをほおばっていましたね。 また、津波が起きたあと、ポニョが出会った子連れの女性に、サンドウィッチを分けてあげるシーンには思わずほっこりさせられました。 そういえば『風立ちぬ』に登場した、あんをはさんだ昭和のおやつサンド「シベリア」も公開当時、バカ売れしたそうです。 ■『千と千尋の神隠し』ではシンプルな食べ物に涙 異世界に迷い込む冒険ファンタジー 『千と千尋の神隠し』 には、たくさん食べるシーンが登場します。 千尋の両親がむしゃむしゃとほおばる 屋台料理 や、湯婆婆の双子の姉・銭婆が訪ねてきた千尋やカオナシたちに出したケーキ類、湯屋でゲストをもてなす料理の数々を見て思わずゴクリ。 でも、個人的にいちばん印象的だったのは、ハクが千尋のためににぎってくれた シンプルなおにぎり です。のりも巻いてありません。それを食べて大粒の涙を流す千尋を心からいとおしく感じました。 とはいえDVD発売時に、あのおにぎりが「ハクのおにぎりフィギュア」として特典になったときは思わずのけぞりましたが…。 現在、三鷹の森ジブリ美術館では、ジブリ作品に登場した料理のサンプルや食事を「作る」シーンにフォーカスをあてた厨房を再現した企画展「食べるを描く。」を開催中です。なぜジブリ飯はおいしそうに見えるのか、そのヒントがこの企画展にはあるかもしれませんね。 三鷹の森ジブリ美術館 企画展「食べるを描く。」 公式サイト: 期間: 2017年5月27日(土)~2018年5月(予定)
2017年07月21日