ライター、時々編集者、カメラマン。エリア情報誌、映画雑誌、映画サイトの編集者兼ライターを経てフリーに。映画やドラマのインタビューやコラムをメインに執筆。趣味は陽気にお酒を飲むこと、カオダス写真を撮ること。好きな映画と座右の銘は『ライフ・イズ・ビューティフル』。
瑛太主演で弘兼憲史の同名人気コミックを映像化した連ドラ 『ハロー張りネズミ』 (TBS系/毎週金曜22時~)がスタート。第1話の15分拡大版の平均視聴率は10.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)でした。 舞台は東京都・板橋区下赤塚駅にある「あかつか探偵事務所」。スケベだけど、人情に厚いゴローこと 七瀬五郎(瑛太) と、同じくスケベでガラが悪そうなのに涙もろくていい人のグレさんこと 木暮久作(森田剛) 。この凸凹探偵コンビが、誰も引き受けたがらないような面倒な案件を解決していきます。 瑛太は、ハイテンションの野太い声でカラオケを熱唱したり、若い女子のおっぱいをもんだり、土下座でHをせがんだりと、ゴールデンのドラマとしてはギリギリのラインを攻める役どころをノリノリに演じています。 ■ちょんまげウェービーヘア瑛太と凸凹コンビ森田剛に胸キュン 原作は1980年~1989年に同誌で連載されていた人気コミックで、何度か映像化もされています。 コミックのゴローとグレさんは10歳以上の年の差があり、たとえば1991年の実写映画では唐沢寿明がゴロー役で、ジョニー大倉がグレさん役、1996年のスペシャルドラマでは緒形直人がゴロー役、内藤剛志がグレさん役を演じました。 でも、今回のドラマ版の瑛太と森田剛は年の差はわずか4歳差。探偵といっても捜査内容はかなりむちゃぶりで何でもありなので、瑛太と松田龍平の便利屋バディもの 『まほろ駅前多田便利軒』 シリーズをほうふつさせるところもあります。 じつは、『ハロー張りネズミ』の脚本と演出を手掛けた大根仁監督は、連ドラ『まほろ駅前番外地』も担当。2作の差別化を図ってなのか、瑛太はひとまわりガタイを良くして、ちょんまげウェービーヘアで、ゴロー役に挑んでいます。森田剛との身長差も、凸凹コンビ感をアップしていて胸キュンでした。 ■ドラマや映画に出てくる探偵事務所は存在しない? 80年代に描かれた原作ですが、大根監督が手がけた脚本は、いまの時代を反映した内容にアレンジされています。ドラマ冒頭で 深田恭子 演じる本作のヒロイン、四俵蘭子(しだわららんこ)が訪ねたのは、システマチックに対応する、いまどきの大手調査会社「帝国リサーチ」。 探偵ものといえば、数多くの名作を生み出した手あかのついたジャンルですし、フィクションならではの浮世離れした探偵が登場しがちです。実際、「帝国リサーチ」の所長・片桐(矢島健一)は、蘭子に対して「いまどき、映画やドラマに出てくるような探偵事務所みたいなところはありませんし、そんな探偵ももういません」とさめた口調で忠告します。 視聴者が「うんうん。そうだよね」とうなずいた後、片桐は通常の調査会社が引き受けないような “ドブ板仕事” を受けてくれるところとして、あかつか探偵事務所を彼女に紹介します。嫌味ったらしく「ドブネズミのような連中がやっている」という補足付きで。 その後カメラは、THE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」をカラオケで熱唱するゴローをクローズアップ。ゴローが「ドブネズミみたいに美しくなりたい~~」と歌うくだりにシビレました! 原作コミックでは、寝ずに相手の尾行をするという “張リ寝ズ視(ハリネズミ)” という説明が入っていましたが、この導入部の「リンダリンダ」の一節が、五郎やグレさんのガッツや心意気、本作の世界観を端的に語っています ■いよいよ深キョンのミステリーが始動する!? 第1回は、1ヵ前に交通事故で亡くなった娘にそっくりな女の子を探し出し、瀕死(ひんし)の妻に会わせたいという父親(伊藤淳史)からの依頼にきちんと応えた五郎とグレさん。第2回目では、いよいよ蘭子があかつか探偵事務所を訪ねてきます。 蘭子が見せたのは「サンダー貿易副社長・自殺」を報じた25年前の新聞記事。彼女はその副社長の四俵乙吉(平田満)の娘で、父親の死因は飛び降り自殺ではなく、他殺だと主張します。ところが、危険な香りを察知したあかつか探偵事務所の 所長・かほる(山口智子) は、依頼を断ってしまいます。 美人にめっぽう弱く、情にほだされやすいゴローが蘭子をほおっておけるわけがありません。ゴローは蘭子から25年前に起こったサンダー貿易の贈収賄および詐欺事件に関する詳細を聞き、表は不良ジャーナリストだけど、実は大企業のトラブルを処理している「サンライズ出版」の 社長・南(リリー・フランキー) に接触していきます。 さて、ゴローたちは蘭子と共にどう事件に関わっていくのか? 第2回ではいよいよ主軸となる事件の捜査がスタートするのでワクワクしますね!
2017年07月20日おかえりなさい、 怪盗グルー一家とミニオン たち。シリーズ最新作『怪盗グルーのミニオン大脱走』がいよいよ7月21日(金)より全国公開されます。 本作を制作したのは、日本でも興行収入50億円超えのメガヒットとなった『SING/シング』(16)や『ペット』(16)を手掛けたスタジオ、イルミネーション・エンターテインメント。 同スタジオが手がけた第1作目が『怪盗グルーの月泥棒』(10)で、続編『怪盗グルーのミニオン危機一発』(13)も大ヒット。さらには『怪盗グルー』シリーズで大人気となった、謎の生物ミニオンたちが主役の『ミニオンズ』(15)は、全世界のアニメーション作品の歴代興行収入2位をマークしました。USJミニオンパークの人気も後押しし、今回もまた、日本でミニオン旋風が巻き起こりそうです。 怪盗ものやスパイものの娯楽作である『怪盗グルー』シリーズですが、これまで一貫して描かれてきたテーマは “家族” です。疑似家族から本当の家族へ、そして今回またまた新たな家族が登場します。それぞれに絆を深めてきたグルー一家の足跡を、あらためて振り返ってみましょう。 ■怪盗グルー、悪党からマイホームパパへシフト! 『怪盗グルーの月泥棒』 で初登場したグルーは、バナナが大好物で黄色くて背の小さい手下のミニオンを率いる大悪党でした。 皮肉屋で、盗みや嫌がらせなどをすることが大好きな困った大人。でも、じつは不器用なだけで、本当はやさしいところがある点がおいおいわかっていきます。 最初は子ども嫌いだった、いやそう思い込んでいたグルーですが、そんな彼のもとに飛び込んでいったのが、のちに家族となる 三姉妹 。グルーは怪盗・ベクターに盗まれた銃を取り戻すために、三姉妹を利用したのですが、それがきっかけで、三姉妹と共同生活を送ることに。 しっかり者で理屈屋の長女マーゴ、いたずらっ子の次女イディスに、愛らしくピュアな末っ子アグネス。とりわけアグネスになつかれたグルーに、ふつふつと 父性 が芽生え始め、いつしか4人で疑似家族を作っていきます。 もはやミッション遂行なんて二の次で、仕事よりも三姉妹を選ぼうとするグルー。最終的には本当の家族となり、悪徳稼業からも足を洗ったグルーは、良き マイホームパパ へとシフトしていきます。 ■新米ママ、ルーシーは子育て悩み中 すっかりやさしいマイホームパパとなったグルーですが、その腕を買われ、超極秘組織「反悪党同盟」に引き抜かれます。そこで相棒となったのが ルーシー 。末っ子アグネスのプッシュもあり、互いに惹かれあっていきます。 ところがふたりの名コンビにより事件が解決したのち、ルーシーはオーストラリアへの異動命令が…。大ショックを受けるルーシーだったのですが、その後、悪党エドアルドに拉致されてしまいました。 グルーはネファリオ博士の助けを借りて、見事ルーシーを救出。互いに気持ちを確かめあったふたりは無事にゴールイン。ここでグルーとルーシー、三姉妹はめでたく5人家族となりました。 『怪盗グルーのミニオン大脱走』では、 新米ママ であるルーシーの奮闘ぶりが描かれていきます。思春期を迎えた長女マーゴや、相変わらずやんちゃなイディス、ガン泣きすると大変なことになるアグネス。ルーシーはママとしてどう接したらいいのか、ときおり頭を抱えることもあるようで。 とはいえ「新米ママだもの」とめげずに、悩みながらも子どもたちに愛を注いでいくルーシー。一生懸命なルーシーのママぶりには、心からエールを贈りたくなります。 ■グルーに双子の兄弟が登場! え、髪がふさふさ? 『怪盗グルーのミニオン大脱走』では、なんとグルーの双子の兄弟だと名乗る ドルー が登場。ドルーはふさふさの金髪以外はすべてグルーそっくりで、まんざらウソでもなさそう。 父親は生まれてすぐに死んだと聞かされていたグルー。母親に確認すると、父親とはグルーたちが生まれてすぐに離婚し、兄弟はそれぞれに引き取られ、二度と会わないという約束を交わしたとのこと。 ドルーはブタ牧場を営む大金持ちだし、髪は豊かだし、とイジケモードに入るグルー。でもドルーに言わせると、彼らの父親は天下の大悪党で、ドルーではなく悪党だったグルーのことを誇りに思っていたとのことでした。 お互いの本音をさらけ出すことで、それぞれの胸の内をわかち合えたふたりは、最強の 敵バルタザール にどう立ち向かって行くのでしょうか? ■愉快なミニオンもファミリーの一員だったはずなのに シリーズの人気を支えるのが、解読不能なミニオン語をしゃべり、バナナが大好物な謎の生物 ミニオン たち。いわばグルーにとってファミリー同然の存在ですね。 彼らの願いはいつだって最強の悪党につかえること。とはいえ、今作では、いまや悪党ではなくなったグルーに愛想をつかし、最強最悪のボス探しの旅に出ます。 ところがミニオンたちは、不法侵入罪で刑務所送りに。もちろん、小回りがきき、知恵も回るミニオンたちですから、あの手この手で大脱走を図っていきます。 回を重ねるたびに、ますます深みを増していくキャラクターたちや、変化していく家族の形。『怪盗グルー』シリーズが、幅広い年代の映画ファンたちにこれだけ支持されている理由がわかる気がします。 『怪盗グルーのミニオン大脱走』 7月21日(金)公開 公式サイト: minions.jp/
2017年07月20日窪田正孝 ファンの方々、おまたせしました! 待望の窪田くん主演の連ドラ 『僕たちがやりました』 が7月18日(フジテレビ/毎週火曜22時~)よりスタート。さらに、彼が主演を務める人気コミックの実写化作品 『東京喰種 トーキョーグール』 も7月29日(土)に公開されます。 この2作で共通しているのは、ごく普通の学生生活を送っていた平凡な青年が、ある日突然、ものすごい逆境に突き落とされるという “巻き込まれ型” の主人公だという点です。守備範囲が広い役者、窪田正孝の魅力をがっつりおさえます。 ■美しい顔をゆがめ、葛藤する姿に萌え! 窪田正孝は、本当に役柄の守備範囲が広い。お茶の間の人気を獲得したNHKの朝ドラ 『花子とアン』 の朝市などのいちずな青年役から、ドラマ版『デスノート』の夜神月(やがみらいと)の追い詰められた白進の演技、『MARS~ただ、君を愛してる~』の桐島牧生などの狂気に走る役。また、キレキレのアクションも見事にこなしてきました。 藤原竜也主演ドラマ 『リバース』 の最終回では、同じ湊かなえ作品として放送された『Nのために』の成瀬慎司役として登場したときは、ネットでも騒然となり話題に。 いずれの役どころでも胸がキュンとなるのは、人懐っこい笑顔はもちろんのこと、とんでもない負荷が与えられたときに見せる苦渋の表情です。美しい顔をゆがめ、葛藤する姿が、萌えポイント。『僕たちがやりました』と『東京喰種 トーキョーグール』は、そんな窪田くんの魅力をがっつりおさえた作品です。 ■「もう許してあげて!」の負の連鎖『僕たちがやりました』 『僕たちがやりました』は、金城宗幸原作の人気コミックのドラマ化作品。窪田くんが演じるのは、平凡な草食系の高校生・ 増渕トビオ 役ですが、 実年齢28歳 とは思えないほど、制服がしっくりとなじんでいます。 ある日、トビオたちは、ヤンキー高校の不良グループに仲間をボコボコにされた腹いせに、ちょっとしたイタズラの復しゅう計画を立てます。ところがその決行日、とんでもない事態に! ヤンキー高校で大爆発が起こり、トビオたちは“爆破事件の容疑者”となってしまいます。 そこそこ平凡だったトビオの人生が一変し、罪悪感にさいなまれながらの逃亡生活がスタート。刑事や教師の追跡や、不良たちの報復、仲間割れ、大好きなあの子との別れなど「もう許してあげて!」といわんばかりの 負の連鎖 で、トビオはどんどん追い詰められていきます。でもその疲へい感がにじみ出た窪田くんの表情がなんともたまりません。 ■「心中、お察し申し上げます」の苦悩に。『東京喰種 トーキョーグール』 『東京喰種 トーキョーグール』は 石田スイ の人気コミックの実写版映画で、人の命を奪い、肉をくらって生き続ける “喰種” (グール)と人間の戦いを描く衝撃作です。 窪田くんが演じたのは、これまたごく普通のどこにでもいるような大学生・カネキこと 金木研 (かねきけん)役。ところが喰種に襲われて瀕死(ひんし)状態となり、その喰種の臓器を移植されたことで、半喰種となってしまいます! 『僕たちがやりました』と同じく、平凡だった人生は激変し、自分が喰種化したことに苦悩していきます。ちなみに喰種化したカネキのビジュアルは、喰種特有の“赫子(かぐね)”という殺傷能力のある捕食器官が生え、とってもクール。とはいえ、吸血鬼のように血を吸うだけではなく、人をバクバクむさぼるわけで、もう「心中、お察し申し上げます」という感じでしょうか…。 いずれにしても、両作とも窪田正孝の俳優力と、予断をゆるさないスリリングかつエキサイティングなストーリー展開にうなる快作となっております。 また、8月にはもう1本、窪田正孝が出演する映画シリーズ第2弾 『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』 (8月19日公開)も待機中。この夏は、窪田ファンなら狂喜乱舞しそうな“窪田正孝祭り”となりそうです。 『東京喰種 トーキョーグール』 出演:窪田正孝 清水富美加 鈴木伸之 桜田ひより 蒼井優 大泉洋 監督:萩原健太郎 原作:石田スイ 「東京喰種 トーキョーグール」 集英社「週刊ヤングジャンプ」連載 2017年7月29日 全国ロードショー 公式サイト: tokyoghoul.jp
2017年07月15日『カーズ』(06)でアート部門マネージャーを務め、最新作 『カーズ/クロスロード』 では共同プロデューサーを務めた アンドレア・ウォーレン にインタビューしました。 『カーズ』シリーズはファミリー映画としても人気を博してきましたが、アンドレアも一男一女の 母親 であり、本作には 「親目線からのメッセージ」 がたくさん込められていると話します。 物語の主人公はトップレーサーとして活躍してきたスポーツカー、 ライトニング・マックィーン 。しかし、レース中にまさかの大クラッシュ事故を起こし、自信を喪失してしまいます。そんななか出会うのが、女の子なのにマックィーンに憧れ、レーサーを目指していたという クルーズ 。 本作では、 人生の岐路(クロスロード) を迎えたマックィーンの葛藤や挫折からの再生はもちろん、新しい相棒となるクルーズをとおして夢を追うことの大切さも描かれていきます。 ■子育ての体験談が『カーズ』の物語に生きている! プロデューサーであるアンドレアもブライアン・フィー監督もお子さんがいます。そんな二人がタッグを組んだとき、子育てで起きる体験、そして子どもへのストレートな想いが込められたといいます。 「子どもたちには、将来に向けて大きな夢を抱いてほしいし、 何にでもなれる という自分の可能性を信じてほしい。私もブライアン・フィー監督にも子どもがいますが『子どもたちは 自分たちの限界 を定めてしまいがちだよね』という話になったことがあります。 たとえば監督がお嬢さんに『ギターをやってみない?』と提案したら、お嬢さんから『やらない。だって男子がやるものでしょ』と言われたそうです。彼女は頭の中で、女子はギターを弾かないと決めつけてしまっている。でも、クルーズの姿を見て、やりたいことがあれば、 男女関係なくチャレンジする という心意気を持ってほしいと思いました。 自分の夢をあきらめてしまう ことは確かにつらいこと。でも、恐れをのり超えて、自分の限界までやってみれば、きっとそこで何かが見えてくるのではないかしら」 アンドレアのお子さんはすでに本作を観て、とても喜んでくれたそう。「実際、親が直接子どもに何かを言うよりも、映画で同じことを言ってもらう方が伝わりやすいんです。子どもに 『夢を追いなさい』 と頭ごなしに言ってもダメ。そういうところを含め、 子育ての体験 が物語に反映されていると思います」 日本のアニメでは宮崎駿監督作が大好きで、なかでもいちばんのお気に入りが 『となりのトトロ』 (88)だとか。 「子どもと一緒に映画を観ることで、最高なのは子どもたちと いっしょに学べる ことです。長女が小さいとき、ビーチで波をとても怖がっていたのです。でも私が、『トトロのように叫ぼうよ』と言って『わ~』と叫んだら、娘はその怖さを乗り越えることができたんです。それからは、何か怖いことがあると、トトロのように叫ぶようになりました(笑)」 ■夢をあきらめない! いまも大切にしているものとは 『カーズ』では人生の岐路が描かれますが、アンドレアさんにとっても 「人生での選択」 というべき岐路はたくさんありました。 「私はピクサーで19年働いていますが、1つのプロジェクトから次のプロジェクトに移るときも岐路になります。もちろん、パートナーを選んだり、子どもを産んだりという選択もそうです。でも、もしかしたらいちばん大きかった岐路は、 『クリエイティブな仕事がやりたい!』 と決意して、カリフォルニアに出てきたことかもしれない」 アンドレアの地元サウスダコタ州は、映画業界とはかけ離れたアメリカ中部の農家が多い田舎町。彼女はクルーズのように意を決し、 自分の夢を追いかけ たわけです。 「いま思えば、当時は『やりたい!』という一心で動きました。引越した先には知り合いはほとんどいないし、やりたい仕事にも就けるわけでもなくて。でもあきらめず、少しでもつながりそうな方々の連絡先をアドレス帳に書いていきました。いまでもそのアドレス帳は大事にもっています。だって、当時の気持ちを忘れたくないから」 『カーズ』の主人公マックィーンも世間から見放され、自信喪失に。この挫折を終わりとするのか、始まりとするのか、どう立ち向かうべきかが描かれ、まさにアンドレアさんと物語もシンクロしていきます。 ■家族に届ける作品を作る「ディズニー/ピクサー」が大事にすること アンドレアは、大きな仕事を手がけ、はたから見るととても順風満帆の人生のようにみえます。しかしアンドレアにも、仕事を始め、結婚したあとは、仕事と家庭のバランスを取ることに悩んだ時期もあったと話します。 「私のような仕事の場合、制作が佳境になってくると、残業が増えていきます。ただ、 「ディズニー/ピクサー」 は 家族を大事にする会社 。だから、病院に行ったり、学芸会で子どもたちのお芝居を観たりする時間はみんながとても大切にしています。 なぜなら、私たちが作品を届けたいのは 家族 。だからこそ「ディズニー/ピクサー」は、家族の価値観をおざなりにはしません。仕事場が家族のために時間を取ることを許してくれる 応援体制 ができていることは、とてもありがたいです」 最後に日本でがんばる働くママにアドバイスをいただきました。 「私自身も初めての子育ては、とても悩みました。そのとき、サポートしてくれる人を複数見つけることが大事だと思ったんです。私の場合は、夫や遠く離れた親、子どもを送り迎えしてくれる人を頼って生活しています。 助けを借りること、 『助けて』 と言えること、そんな自分を受け入れてほしいと思います。じつはそこがとても難しいということは、私も実感しているんですが。 当時、私よりも先に子どもを授かった妹から『家をきれいに片付けるとか、時間どおりに全部こなすなんてことはできないからね』と言われました。あきらめるというと聞こえは悪いんですが、母親はまず 『何でも完璧にしたい』 という思いから 解き放たれる ことが必要なのかなと。 また、家でも仕事場でも、その場にいるときは、ソコに集中するようにしています。家にいるときは仕事の電話をしない。子どもと過ごすときは 『100%あなたたちのことを見ているよ』 とメッセージを送りながら過ごします。 大切なことは、 理想の半分 くらいしかできていなくても、『 自分はベストを尽くしている よね。これで足りているよね』と自分に言い聞かせることかしら」 『カーズ/クロスロード』 7月15日(土) 公開 主人公の天才レーサー“マックィーン”。ベテラン・レーサーになりつつある彼に待ち受けていたのは、最新テクノロジーを限界まで追求した新たな世代の台頭と、レース人生を揺るがす衝撃的な大クラッシュだった…。「いったい自分はいつまで走り続けるのか?」──誰もが直面する人生の大きな壁や、思いがけない挫折、そしてその先に見えてくる新たな道。自らの運命を左右する“人生の決断”が迫られる。 『カーズ/クロスロード』公式ホームページ
2017年07月15日週刊少年ジャンプで連載中の空知英秋の人気コミックを実写映画化した 『銀魂』 が、いよいよ7月14日(金)より公開されます。アニメシリーズも根強い人気を誇る『銀魂』ゆえに、実写版を観るファンの目はかなり厳しいはず。 そんな不安をよそに、すでに完成した映画を試写会で観たファンの方々や映画評論家陣からは高評価が! メガホンをとったのは「勇者ヨシヒコ」シリーズの福田雄一監督。なんといってもその魅力は、 小栗旬 はじめ主要キャスト陣が、自身のパブリックイメージを崩壊させるくらいに振り切った演技を見せているところにあります。 ■小栗旬、菅田将暉のイケメンビジュアル崩壊! 『銀魂』は江戸時代末期の物語なのに、高層ビルが立ち並び、宇宙船が飛び交っております。そう、舞台は「天人(あまんと)」と呼ばれる異星人たちの襲来を受けたという パラレルワールドの江戸 。 主人公は、廃刀令が出ても変わらない侍魂をもつ“銀さん”こと 坂田銀時(小栗旬) 。彼の仲間は、銀時の男気に惹かれ、彼が営む万事屋(よろずや)で働くことになる 新八(菅田将暉) や、夜兎(やと)族の 神楽(橋本環奈) 、巨大犬の定春などです。 主演は『花より男子』から『岳-ガク』『宇宙兄弟』『ルパン三世』に至るまで、かなりハードルの高い人気コミックの実写版をこなしてきた小栗旬。実写ならではのスピード感がたまらないキレキレのアクションも素晴らしいです。が! 今回はあの イケメンビジュアル崩壊 の変顔ぶりにうなります。 同じく『帝一の國』のヒットも記憶に新しいカメレオン俳優・ 菅田将暉 が演じる新八は、銀さんと神楽のツッコミ担当として、ビシバシと笑いのツボをついてきます。神楽にパンチを食らった顔の凹み具合には「大丈夫か! 菅田くん?」と心から心配になりました。 そんな2人に負けず劣らずのアプローチをしたのが、神楽役の 橋本環奈 です。『セーラー服と機関銃』の星泉役では勢いよく機関銃をぶっ放していた彼女。今回の神楽は怪力と俊敏性に優れた最強のヒロインに。 アクロバティックなアクションの見せ場がてんこ盛りですが、なんといっても度肝を抜くのが “鼻ほじり”シーン 。 変顔で豪快に鼻をほじるシーンは、何よりもすさまじい破壊力。しかも神楽には豪快なゲロ吐きシーンというもう1つの見せ場も待っています。 また、美人の変顔では、お色気担当・志村妙役の 長澤まさみ も鬼気迫る変顔を披露。それぞれが福田組をノリノリに楽しんでおります。 ■いい男キャラの岡田将生や堂本剛にメロメロ 岡田将生 は、“狂乱の貴公子”の異名をもつ桂小太郎役がドンピシャにハマり、そのなりきり姿がカッコよすぎます! もともとの美しい顔立ちがロン毛にベストマッチ。こちらのキレキレの殺陣もたまりません。 高杉晋助役の 堂本剛 は、ギャグ満載の本作では貴重なシリアス担当キャラ。その陰りには「攘夷志士のなかでもっとも過激で危険な男」という説得力があり、そこはかとなくかもし出されるセクシーさにメロメロ。 また、真選組の3人、土方十四郎役の 柳楽優弥 、沖田総悟役の 吉沢亮 、近藤勲役の 中村勘九郎 はそれぞれにキャラ立ちしていますが、なかでも天然ボケキャラの土方が、本作でいちばんの下ネタ担当としてはっちゃけております。 最高なのは、原作やアニメでも人気の高いエピソード “カブト狩り” のシーン。ふんどし一丁で全身にはちみつを塗りたくり、逃してしまった将軍のカブトムシを、みずからつかまえようとする近藤勲。歌舞伎界のプリンス・中村勘九郎は、もはや別次元のところへ行った感じのすさまじい熱演を見せます。もちろんお約束のモザイクつき。 ■サービスショットからナイスなツッコミまで そのほか、福田組の常連である平賀源外役の ムロツヨシ や、武市変平太役の 佐藤二朗 は、安定感あるオフビートなボケを入れ、来島また子役に挑んだ 菜々緒 もへそ出しミニスカのサービスショットにトライ。もはや、隅々まで『銀魂』のキャラになりきっている一体感がすばらしい。 個人的には、実写映画ではどうなるんだろう? と懸念していた、CGの巨大犬・定春と、謎の地球外生物もお気に入りです。定春は想像以上に愛らしく、とくに神楽と並んで歩く後ろ姿には胸キュンでした。 じつは予算や手間が意外とかかったのが、着ぐるみで作られたエリザベスだとか。ここでは、その質感を逆手にとって、「●バQみたいだな」と銀時たちにいじられるという、福田監督ならではのツッコミがナイスです。 とにかく隅々まで行き届いたナイスキャスティング。さらにはキャストすべてがキャラクターに徹しようという心意気が観客に伝わってきます。 映画『銀魂』 7月14日(金)公開 監督:福田雄一 原作:「銀魂」空知英秋(集英社「週刊少年ジャンプ」連載) 出演:小栗旬 菅田将暉 橋本環奈 柳楽優弥 新井浩文 吉沢亮 早見あかり ムロツヨシ 長澤まさみ 岡田将生 佐藤二朗 菜々緒 安田顕 中村勘九郎 堂本剛 公式サイト: gintama-film.com
2017年07月14日夏休み映画の目玉作品『メアリと魔女の花』の米林宏昌監督にインタビュー。後編では、スタジオジブリの制作部解散後の葛藤や、新天地・スタジオポノックでの奮闘をはじめ、恩師である宮崎駿監督や高畑勲監督とのエピソードについて語ってもらいました。 ■スタジオジブリ退社後、喫茶店で始めた脚本作り スタジオポノックを立ち上げたのは、『思い出のマーニー』(14)で米林監督と組んだ、元スタジオジブリの西村義明プロデューサーです。 >>前編はこちら 言わば戦友ともいえるおふたり。また次の作品を作りたいという情熱に駆られた米林監督は、再び西村プロデューサーとのタッグを選びました。 「『思い出のマーニー』制作中に、スタジオジブリの制作部が解散することが決まり、終わった後は何も見えない状態でした。でも、また映画を作ると決めてからは動くことができたんです。 メアリー・スチュアートの原作を見つけ、まだ、スタジオがないから、西村プロデューサーと喫茶店で脚本を練っていきました。西村プロデューサーは不動産も探しながらの作業で、その後、脚本家の坂口理子さん(『かぐや姫の物語』)が合流し、3人で喫茶店に長時間いすわって脚本を作っていきました」 ■宮崎駿監督作『魔女の宅急便』とはココが違う 宮崎駿監督作『魔女の宅急便』といえば、言わずと知れた傑作です。当然ながら“魔女”つながりで、『メアリと魔女の花』と比較されそうですが、米林監督は「根本的に違う作品」と言い切ります。 「『魔女の宅急便』は、魔女のキキが途中でスランプに陥り、魔法が使えなくなります。その後で復活し、魔女に戻るという話です。 『メアリと魔女の花』は全く逆で、普通の女の子が偶然魔法の力を手に入れますが、肝心なところで魔法の力がなくなってしまいます。つまり、普通の女の子に戻ってから何ができるのか?という話です」 自分の力で道を切り開いていくこと。米林監督は、メアリに自分たちを重ねたそうです。 「それがいちばんやりたかったことでした。スタジオジブリという魔法を使って映画を作っていた僕たちが、その魔法の力をなくしてしまった後、どんな映画を作れるのだろうかと。 誰もがみんな、仲間たちや信頼関係などの魔法の力を得て生きています。でも3.11以降、本当に信じていたものの信頼が地に落ちたり、価値観が大きく変わったりしました。 そんな中で自分が何をより所としていけばいいのかと考えるようになって。魔法の力を失った後、前へ一歩進もうとする勇気になってもらえたらいいなと思い、この作品を作りました」 ■宮崎駿監督や高畑勲監督への思い 本作を手がける前に、米林監督は宮崎監督のもとへ挨拶をしに行ったそうです。「『今度こういう作品をやろうと思っています』とお伝えした時、宮崎さんは『うれしいよ』と言って喜んでくださいました。そんなことを素直に言ってくださる人なんだと改めて感動した次第です。 その時はうれしかったと同時に、期待に応えなければいけないと、改めて身を引き締めました。『覚悟してやれ』とも言われたので、とにかくがむしゃらに作りました」 「高畑勲監督、宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサーのお三方にはものすごく感謝しています。宮崎さんは『大丈夫か?間に合うのか?』と心配してスタジオまで来て激励してくださいました。ありがたいことです。 高畑さんには、音楽面でアドバイスをいただきました。それがハンマー・ダルシマーという打弦楽器のアイデアです。 実際、これまで20年間ずっと感謝してきたという思いもあるし、この映画を作れたのはお三方の力があったからだと思っています」 その後、宮崎駿監督が76歳にして最後の長編アニメーション映画に取り組むという驚きのニュースが舞い込みました。 米林監督は「僕は本当に楽しみです。また、宮崎さんの作品が観られるなんて。もちろん作り上げること自体が相当大変だと思いますが、その覚悟をもって次に臨まれたのだから、心から尊敬します」と熱いエールを贈ります。 ■子どもに「こうしなさい」とつい言ってしまうパパ・ママたちへのメッセージも 最後に、『メアリと魔女の花』をお子さんと観るママたちにもメッセージをいただきました。 「この作品では、“変身”が1つのモチーフになっています。壮大な変身実験の物語だけではなく、メアリやピーターも自分を変えたい、変身したいと思っているので。 マダムやドクターたちは他者を変身させようとしますが、メアリたちは自分で変身したいと思っているんです。これは僕たち親と子どもとの関係に通じるところがある気がします。 親は子どもに『そうじゃなくてこうしなさい』と言って、自分の思い通りに操ろうとしがちです。でも、そうではなく、子どもの気持ちを尊重し、子どもにどう向き合うべきかと考えた方がいいのかなと。ということで、パパ、ママたちもぜひご覧になってください!」 >>西村プロデューサーのインタビューはこちら メアリと魔女の花 2017年7月8日(土) 全国東宝系にてロードショー 「メアリと魔法の花」公式ホームページ 監督・米林宏昌がスタジオジブリ退社後の第一作目として、満を持して発表する長編アニメーション映画『メアリと魔女の花』。監督が最新作に選んだ題材は、かつて師である宮崎駿監督が選んだ題材と同じ「魔女」。あらゆる世代の心を揺さぶる夏のエンターテインメント超大作が誕生! 【声の出演・スタッフ】 杉咲花 神木隆之介 / 天海祐希 小日向文世 / 満島ひかり 佐藤二朗 遠藤憲一 渡辺えり / 大竹しのぶ 原作:メアリー・スチュアート「The Little Broomstick」 脚本:坂口理子 脚本・監督:米林宏昌 音楽:村松崇継
2017年07月14日『借りぐらしのアリエッティ』(10)や『思い出のマーニー』(14)の米林宏昌監督が、スタジオジブリを退社後、新天地・スタジオポノックで手がけた映画が、『メアリと魔女の花』です。7月8日(土)公開の本作の全貌がようやく明らかになりました! 本作の主人公は明るくて天真爛漫だけど、自分の赤毛にコンプレックスを抱えた少女メアリ(声優:杉咲花)。ある日、メアリは森で7年に一度しか咲かない魔女の花「夜間飛行」を手に入れたことで、不思議な力を身につけ、そこから大冒険へと繰り出します。 本作は“静”ではなく“動”。冒頭からいきなりクライマックスのような怒涛の展開で心を鷲づかみ! 空を縦横無尽に飛ぶスリリングな飛行シーン、イマジネーションあふれる魔法の数々、メアリと少年ピーターの友情のドラマや成長劇など、新たな米林ワールドが全開です。 スタジオジブリファンのみなさん、ご安心ください。米林監督がジブリのDNAを引き継ぎながら、スタジオポノックの顔として挑んだ勝負作は、冒険ファンタジーのツボを押さえた快作に仕上がりました! 興奮冷めやらぬ今、本作を手掛けた米林監督にインタビューし、制作裏話はもちろん、宮崎駿監督、高畑勲監督への感謝の思いについてもたっぷり語ってもらいました。 >>後編はこちら ■乙女心がわかる監督が愛読していたのはあの少女漫画 『思い出のマーニー』の公開後、スタジオジブリの制作部門は解散。その後、同作で組んだ西村義明プロデューサーが立ち上げたスタジオポノックで、『メアリと魔女の花』は産声を上げました。米林監督は「本当に苦しい作品でした」と穏やかな表情で言葉をかみしめます。 「スタジオジブリにいる時は、たくさん優秀なスタッフ陣がいましたが、それを1から集めなければいけなかったので、制作は遅れに遅れました。しかも活劇だったので枚数もかかる。でも、内容は手を抜きたくなかった。本当に大変で、なんとか完成できたのは、いろんな方々のおかげだと感謝しています」 それにしても米林監督は男性なのに、前2作同様、思春期の少女の心のゆらぎを丁寧にすくい上げています。なぜこんなに乙女心がわかっていらっしゃるのか?と聞いてみると「少女漫画で育ったからだと思います」と言われ、大いに納得。 「妹が買っていた『りぼん』をずっと読んでいました。中でも池野恋さんの『ときめきトゥナイト』が好きでしたし、『耳をすませば』(柊あおい)もリアルタイムで読んでいました」とのこと。なんと、そういうことでしたか。 ■メアリの顔に影を入れた理由とは? 魔女の服といえば黒色の印象が強いですが、メアリは赤色ベースです。ピンクの衣装もよく似合っています。 「アリエッティもそうでしたが、自分の気持ちをどんどん前に進めていくような主人公なので、赤やピンクなどの暖色系の色が合うだろうと思いました」 今回、目の上に影がある点は、『千と千尋の神隠し』や『借りぐらしのアリエッティ』など、ジブリ作品でおなじみの作画監督・稲村武志のこだわりでした。 「今回新しい部分を入れていこうかなと。高畑勲監督が手がけたテレビアニメ『赤毛のアン』のアンの顔にも影がありましたが、西洋人の顔は彫りが深いから影ができるんです。また、今回は髪の毛もかなり立体的に描きました」 ■杉咲花、神木隆之介は、鉄板のキャスティング メアリ役の声優を務めた杉咲花のハマリ具合はもちろん、アフレコのスキルの高さにうなります。加えてピーター役は、すでにクオリティーはお墨付きの神木隆之介。2人とも米林監督作には2度目の参加となりました。 「メアリは明るくて朗らかだけど、ドジで、ウソをつくし、調子にのりやすい。声によっては嫌われる可能性がある女の子だと思ったので、そうならない声の人にやってほしくて。 杉咲さんは『思い出のマーニー』で東京から来た女の子・彩香役を、僕が想像していた斜め上くらいの声で演じてくれて、絶妙にハマったんです。それは声を入れてみて初めて発見した部分でもありました。 メアリの時も実際にテストをしてみたんですが、『あ!メアリだ!』と思ったんです。今回も前回と同様に予想以上のものになって、本当にうれしかったです」 ジブリ作品の声優では常連の神木隆之介について、米林監督は「もうベテランです」と太鼓判を押します。 「神木さんについては、『アリエッティ』以来7年ぶりのお仕事でしたが、もう安心感がありました。現在24歳ですが、今回12歳の少年をやってもらいましたが完璧でした。 実はピーターにも悩みがあり、メアリと同様に自分は変わりたいと思っている。その心の内を語るシーンも上手に演じてくれました」 >>西村プロデューサーのインタビューはこちら メアリと魔女の花 2017年7月8日(土) 全国東宝系にてロードショー 「メアリと魔女の花」公式ホームページ 監督・米林宏昌がスタジオジブリ退社後の第一作目として、満を持して発表する長編アニメーション映画『メアリと魔女の花』。監督が最新作に選んだ題材は、かつて師である宮崎駿監督が選んだ題材と同じ「魔女」。あらゆる世代の心を揺さぶる夏のエンターテインメント超大作が誕生! 【声の出演・スタッフ】 杉咲花 神木隆之介 / 天海祐希 小日向文世 / 満島ひかり 佐藤二朗 遠藤憲一 渡辺えり / 大竹しのぶ 原作:メアリー・スチュアート「The Little Broomstick」 脚本:坂口理子 脚本・監督:米林宏昌 音楽:村松崇継
2017年07月13日ディズニー/ピクサーの人気シリーズ最新作『カーズ/クロスロード』で、ヒロイン・クルーズ役の声優を務めた松岡茉優にインタビュー。子どものころからディズニー作品に慣れ親しんできた彼女は、今回のオファーを大喜びしたそうです。 本作では、トップレーサとして活躍してきたスポーツカー、ライトニング・マックィーンがレース中に大クラッシュ事故を起こしてしまいます。自信を喪失したマックィーンが出会うのが、彼に憧れていたというクルーズです。人生の岐路(クロスロード)に立たされたマックィーンは、どういう道を選択するのでしょうか? 本作は、夢をもつことの大切さはもちろん、仲間との友情や師弟愛、挫折からの再生などをテーマにした懐の深い作品に仕上がりました。 ■今回の声優抜擢は親孝行&親戚孝行 ――松岡さんはずっと親子でディズニー/ピクサー作品をご覧になってきたそうですが、『カーズ/クロスロード』に声優として参加されることが決まったとき、ご両親は驚かれましたか? はい。びっくりしていました。「あの『カーズ』でマックィーンの新しい相棒役!? ちょっとだけ出る役じゃなくて?」と言われました。その後、ちゃんとクルーズ役について説明したら「茉優ちゃんにできるの?」と少し引いてました(笑)。 自分としては親孝行というか親戚孝行ができたかなと。親戚に小さい子が多いので、いまから観てもらうのが楽しみです。 ――これまでのシリーズはもちろん、本作の見どころはどんなところだと思いますか? まずは1作目でとてもカッコいいマックィーンを観てもらい、2作目では友情に泣いてもらう。そして今回はまさかのクラッシュからのスタートです。「もうダメだ!」と最初に思い、心が揺さぶられると思うんですが、そこから新しい相棒のクルーズと出会ったり、最強のライバルが出現したりと、新キャラクターも豊かです。 今まで支えてくれた仲間たちも温かいし、マックィーンに指導してくれたドックの存在も大きいですし。これまでのシリーズが大好きな方も、初めて観る方も、人生をもう一度考えるような作品になっているかなと。私も大好きな作品です。 ■「勉強しろ」と言われたことがない人生 ――今回、マックィーンの師ともいえる存在ドック・ハドソンの回想シーンが胸を打ちます。松岡さんは、人生の岐路においてかけてもらった印象的な言葉はありますか? 父から「私が大学を卒業する年までに、いまのお仕事で自立できなければ、そこから大学へ行きなさい」と言われました。周りのみんながちょうど大学に進学するときだったので。 私自身は、4年で上手くいく自信がなくて「無理だ。どうしよう」と思っていたとき、母が「そんなの約束だけしちゃえばいいじゃない。もし、どうにもならなくなっても続ければいいじゃない」と言ってくれました。 それで「ああ、そうか」と。もし4年間頑張ってダメだったとしても、私が続けたいのなら続ければいいんだと思えました。 父は娘の将来を心配して言ってくれた言葉なんですが、実際は今もすごく応援してくれているし、母は母で自由に私を育ててくれました。私は「勉強しろ」と言われたことが人生で1回もなくて。好きな時間にテレビを観て、好きな時間に寝ていましたし、いつも「自分で選びなさい」という感じで育ててもらいました。そういう中で、俳優という仕事を選ぶことを決めさせてくれたのは母でした。 ■フィリップ王子と結婚したい! ――子どものころからディズニー作品がお好きだったそうですが、一番好きな作品を教えてください。 うーん。1作というのは選べませんが、王子だったら選べます。私は小さいころから母に「茉優ちゃん、結婚するなら(「眠れる森の美女」の)フィリップ王子みたいな人にしなさい」と言われ続けてきました。 フィリップ王子は、イバラの道を剣で切り裂き、ドラゴンに勝つんです。自分のために戦ってくれるので大好きです。だからフィリップ王子みたいな人と結婚しようと子どものころから思っております。 ――やはりディズニープリンセスに憧れますか? はい。私はディズニープリンセスになりたかったです。というか、きっと女の子ならみんながなりたいと思いますよね。 でも、フィリップ王子って何歳くらいの設定なんでしょう? そろそろ私の方が彼の年齢を越しちゃったのではないかと。私の父と母はもう私の年には出会っていたし、ちょうどいまの私と同じ年齢で結婚しているんです。 だから私にとって、今の年齢での結婚は全然早いとは思わないんですが、仕事のことを考えるとまだまだこれからです。というか、やっとスタートを切れたような状態なので、結婚というのは、あまり打っても響かない言葉ではあります。でも、やっぱりフィリップ王子みたいな人と結婚したいという乙女感は忘れずにいたいです。 ――これから親子で本作を観賞する方々にメッセージをお願いします。 私も母や父、おじいちゃん、おばあちゃんとずっとディズニー/ピクサー映画を観てきたので、今もその偉大さを感じています。 本作については、おとうさんやおかあさんの方がいろんなメッセージを受取りすぎちゃって、泣いちゃったりするのかなと思いますが、子どもたちがどんなふうに感じてくれるのかもすごく興味があるから「あそこはどう思ったの?」と会話をしながら帰ってもらえたらうれしいです。 『カーズ/クロスロード』 7月15日(土) 公開 主人公の天才レーサー“マックィーン”。ベテラン・レーサーになりつつある彼に待ち受けていたのは、最新テクノロジーを限界まで追求した新たな世代の台頭と、レース人生を揺るがす衝撃的な大クラッシュだった…。「いったい自分はいつまで走り続けるのか?」──誰もが直面する人生の大きな壁や、思いがけない挫折、そしてその先に見えてくる新たな道。自らの運命を左右する“人生の決断”が迫られる。 『カーズ/クロスロード』公式ホームページ
2017年07月13日永山絢斗 と 大森南朋 をW主演に迎えた深夜ドラマ 『居酒屋ふじ』 (テレビ東京/毎週土曜24:20~24:50)が7月からスタートしました。大森南朋をはじめ、豪華俳優陣が “本人役” で登場したり、舞台が東京・中目黒に実在する居酒屋「ふじ」だったりと、フィクションとリアルがミックスした作風がミソ。 視聴者が感情移入していくことになるのは、永山演じる若手俳優の西尾栄一。素朴な一般の若者の目線で、大森南朋ら芸能人や常連客と交流していきます。 ■「食べログ」評価なし居酒屋とインスタ掲載居酒屋 彼が『居酒屋ふじ』を訪れたのは、Instagramでチェックしている“kujira”という女の子が、同店の外観をアップしていたから。この設定がイマっぽいです。いかにも昭和な感じのお店に入ってみると、そこには俳優の大森南朋の姿が! 「大森南朋! 超しぶい」と西尾が興奮する姿は、まさに視聴者目線のリアクション。どこにでもいるような朴とつとした西尾役が、永山にはかなりハマっております。 西尾は出された料理を早速、ケータイで撮ってインスタにアップしようとするのも “若者あるある” 。「写真なんていいから」とあきれ顔の常連客たち。実際、常連客が多い「ふじ」は、 「食べログ」 にも書き込みはありません。 西尾は「ネットがない時代はどうやってお店を探してたんですか?」と聞くと、大森たちは「昔は足で探したもんだ」と、ネットのない80年代後半のバブル期の話に花を咲かせていきます。 「アッシー」「メッシー」などが飛び交うバブル期ネタは、40代オーバーの方々は「うんうん」とうなずくツボでは? 昭和の香りただよう居酒屋と癖のある常連客。そんななかに、イマドキの若者がどうなじんでいくのか。世代間ギャップがよく語られる時代に、このドラマにはひとつの溝の埋め方、コミュニケーション術がひそんでいるかもしれません。 ■泣ける鉄拳イラストで語られる「おやじ」 原作は、2014年に逝去された「居酒屋ふじ」の店主「おやじ」の半生を描いた、 栗山圭介 の同名小説。通常なら、時間軸を戻し、『深夜食堂』や『孤独のグルメ』のように「おやじ」を主人公にしたドラマにするのが正攻法だと思うのですが、このドラマではそうはしませんでした。だって、実店舗ではおやじ亡き後、おかみさんが1人で切り盛りしているから。 では、おやじの豪快な武勇伝や逸話は、どうするの? じつは、ここは 鉄拳 のイラストによって語られていきます。なるほど! 鉄拳といえば、 泣けるパラパラ漫画 の名手。ということは、波乱万丈なおやじの半生や熱い言葉、そして泣けるエピソードが今後展開する可能性も。そうすると、このイラストだけでもハンカチ片手に観る必要も出てくるかもしれませんね。 ■人生の縮図「居酒屋」に集う人々と胸に響く言葉 西尾はうだつの上がらない俳優で、近作といえばサスペンスの死体役でちらっと登場するのみ。「いい加減に、死体役は卒業したいな」とため息まじりでつぶやいています。 今回はふじで「俺、俳優やめます」と切り出し、自分に俳優は向いてないとイジける西尾に、大森がおやじのエピソードを振ります。 どうやら、「居酒屋ふじ」は、亡きおやじが、「小料理屋を開きたい」というおかみさんの夢をかなえたお店であることが判明。昭和7年生まれのおやじは、戦後の混乱期をたくましく生き抜き、奥さんと出会ってふじを開いたそうです。その紆余曲折ある半生を、鉄拳のイラストが雄弁に物語っていきます。 下手をすれば説教くさいドラマになりがちなところを、鉄拳のイラストと、いまや人間力もアップし、20年以上のキャリアのなか、酸いも甘いも演じ分けてきた大森が若者の受け手に回ることで、視聴者もおおいに共感ポイントがアップ。 そんなおやじのいい話を聞いても西尾は「時代が違いますから」とバッサリ。しかしじつは、大森自身も同じような悩みを持ち、亡きおやじに愚痴った過去が。 おやじは、「時代を言い訳にすんな。南朋ちゃん自身は死ぬほど頑張ったのか?」と真っ向から問われたそう。そのストレートなおやじの言葉に、大森自身も「死ぬほどは頑張ってないなと思って、(俳優を)やめるのをやめたんだよね」と、まだ売れなかった時代を振り返ります。 大森自身の体験談が響き、西尾は俳優を諦めずに続けていく決意を。「座んなよ。西尾くんの席」とボソッと話す大森の言葉に、とてもうれしそうな西尾の顔を見て、とてもほっこりしました。 ■篠原涼子、大杉漣らチラ出の大物ゲスト陣 毎回の豪華俳優陣のゲスト出演にもご注目。第1回目のゲストは 篠原涼子 。おかみさんが買い物に行って、大森が留守番をしているときに、こっそりやってきます。 何やら店内のサイン色紙をふたりで物色し始めますが、おかみさんが思ったよりも早く戻ってきて、タイムオーバー。篠原はそのまま店を出ていってしまい、第1話では登場シーンは終了。 はたして彼女は何のために、店を訪れたのか? これはきっと何かの伏線かと。後半では第2話でゲストだと聞いていた 大杉漣 もフライングで登場。ここらへんのチラ出し、侮れません! また、最後に“今日の一品”と題した、ふじのメニュー 「ふじ豆腐」 が登場。これは明太子(めんたいこ)とネギがトッピングされたお店の人気メニュー。温かい豆腐とプチっとした炒り明太子というめずらしい組み合わせ。 『居酒屋ふじ』は、常連客が集う 『深夜食堂』 や、実店舗のメニューが登場する 『孤独のグルメ』 、ゲストが本人役で登場する『バイプレイヤーズ ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』らのおいしいとこどりをした、ハイブリッドなドラマではないかと。 第2回放送では、西尾が思いを寄せているヒロイン鯨井麻衣役の飯豊まりえが登場。西尾の恋を応援すべく、常連たちがどう動いていくのか? そして、それにからめたおやじのどんなエピソードが登場するのか? ふじの客目線でチェックしていきたいところです。
2017年07月13日『思い出のマーニー』(14)に続き、『メアリと魔女の花』(7月8日公開)で米林宏昌監督と2度目のタッグを組んだ西村義明プロデューサーにインタビュー。後編では、敢えて宮崎駿監督作『魔女の宅急便』と同じ“魔女”をモチーフにした理由や、杉咲花や神木隆之介の声優陣のキャスティング、SEKAI NO OWARIの主題歌「RAIN」の制作秘話などをお届けします。 宮崎駿監督の弟子たち・西村義明Pが感じる師匠への思い 『メアリと魔女の花』がついに公開!【前編】 『メアリと魔女の花』の主人公は、明るくて天真爛漫だけど、自分の赤毛にコンプレックスを抱えた少女メアリ(声優:杉咲花)。彼女が、魔女の花「夜間飛行」を手にしたことで不思議な力を身につけ、大冒険へと繰り出します。 >>前編はこちら 西村プロデューサーは、最初に米林監督と「元気な女の子が動き回るファンタジーをやろう」と決め、メアリー・スチュアートの原作を監督に突きつけました。 「“魔女”の話なので、きっと嫌がるだろうと思いましたが、逆にそれはいいことだとも思いました。『魔女の宅急便』という強力な傑作があるから、それとは違う新しい魔女を描けばよいと、舵を切れますから。怖さを乗り越えて、誰かのために立ち向かう少女の物語を描くなら、作り手たち自身も大きな何かと対峙したほうがいい。 スマートなものではなく、ボコボコした映画にしようという話は最初からしていました。スムーズな映画より、ボコボコしていたほうが、映画って力を持っていたりするんですよね。とにかく米林監督と、ジブリ出身のクリエイターたちのすべてを出し尽くす熱をもった企画。 米林監督が得意とする最高速度のストレートを、ストライクゾーンのど真ん中に投げる。もしかしたら暴投になって、打ち返されるかもしれないけど、カーブや変化球を投げて打ち返されるより、ど真ん中で勝負すべきだと思っていました」 ■セカオワに突きつけた主題歌の役割 西村プロデューサーは自身の仕事内容についてこう話してくれました。「プロデューサーという肩書はあるけど、本当に映画の全部をやるのが僕のスタイルです。 企画して、出資を募って、環境も整えるし、完成したら告知活動もやります。監督が声優のキャスティングや音楽に思いを馳せる時間がないので、こちらがキャスティングや音方面の舵取りも担う。映画をよくするために自分ができることは何でもやりますね」 主題歌「RAIN」を手掛けたSEKAI NO OWARIとは、米林監督と共に何度も打ち合わせを重ねたそうです。 「SEKAI NO OWARIの方々が作る世界観や曲は僕もよく知っていますが、そうじゃなくて今回は『この映画の主題歌を作ってほしい』と伝えました。米林監督にも彼らと初めて会う時、『もし気に食わなかったらケンカしてもいいからね』と言ってありました。 僕らは商業的なタイアップ曲なんて求めてはいないんです。そもそも映画に主題歌が必要なんて、誰が決めたわけでもないんだから。『映画に主題歌が必要だとすれば、それは、映画の内容的主題を語るか、音楽的主題を使用するかの2つしかない。そのいずれでもなかったら、それは主題歌とは呼ばない』と、生意気にもお伝えしたりして。 作り手のみなさんにちょっとだけ背伸びをしながら歩いてほしくて。そうしないと1+1=2にしかならないので。みんなが少しやせ我慢しながらつま先だけで歩いていくと、もう少し高いところへ行けるし、いい化学反応が起きると思っているんです」 ■実直に声を選んでいるという自信 メアリ役の杉咲花や彼女と共に冒険をするピーター役の神木隆之介をはじめ、天海祐希、小日向文世、満島ひかり、佐藤二朗、遠藤憲一、渡辺えり、大竹しのぶと、声優陣のキャスティングが絶妙です。 西村プロデューサーが「現場を兼ねるプロデューサーは、企画や脚本から、キャスティングや音楽、音響まで、映画制作の全部に関わります。企画から始めている分、米林監督と考えが違うことは少ないです」と言うとおり、おふたりは二人三脚で映画作りをされていきました。 「キャスティングでは、声そのものがもっている人格や人生を探すんです。たとえば庭師のゼベディ役の遠藤憲一さんは、有名な役者さんだから頼むわけじゃない。冒頭、赤い館に引っ越して一週間しか暮らしていないメアリが、なぜか朴訥で無口なゼベディに親しみを感じています。ゼベディには、子どもがつい心を許してしまう魅力があるらしいのです。遠藤さんの声は、厳しさと渋さの裏に、よく聞くと可愛げというのがある。それは遠藤さんが人生を経て獲得した人間的魅力だと思いますし、ゼベディの声色そのものに、こどもを引きつける魅力が欲しかった。 マダム・マンブルチューク役の天海祐希さんもそうでした。魔法大学の学校長としての品格や優雅さ、厳しく冷徹で怖くもあり、一方で直情的な面も持つ。二面も三面も持った人物です。天海さんなら、そのすべてを演じていただけると思いましたが、困ったことに、マダムはコミカルな面もあった。決め手は、天海祐希さんがされた故・土井たか子さんのモノマネでした(笑)。このチャーミングさがマダムの声には必要だった。 芝居で演じるのではなく、その人の声がもっている人間性も出してもらいたい。杉咲花さんや神木隆之介さんの声も、登場人物の人間的な本質のところで合致している声かどうかということが大事でした。 映画はテレビアニメと違い、その人物を存分に説明する台詞量も時間も足りません。少ない台詞で登場人物に、リアリティや説得力を持たせるためには、抽象的に演じ分けられた声と演技ではなく、役者さんが持っている具体的な人間性が有用なことが多いんです。 相応しい声を探して見つけるまでは、長い時間がかかります。映画に描かれない登場人物の過去すら想像しつつ、映画のなかでポイントとなる台詞を思い浮かべて、それこそ実直に、様々なジャンルの色々な方の声を延々と聞き続けます。その作品に合った声しか欲しくないんでしょうね」 ■子どもから教えられたものとやりがい 最後に、『メアリと魔女の花』を親子で観るママへのメッセージをお願いしたら、西村プロデューサーは「映画のプロデュースというのは昼夜を問わない仕事でして、子育ては奥さんに全部まかせきりなので、迷惑をかけています。だから、ママへのメッセージといわれても、まともなことは言えないんですが」と前置きした後、こんなお話をしてくれました。 「ただ、僕は子どもが大好きで、子どもに教わった大事なことがあります。毎年サンタクロースになって子どもの枕元にクリスマスプレゼントを置くのですが、朝起きた当時4歳の娘が、さっそくプレゼントを見つけて喜んだ。そして、いきなり立ち上がってベランダの方にかけていって、そこから空に向かって『ありがとう、サンタさーん!』と大声で叫んだんです。そのとき、僕はこれがアニメーション映画の仕事の本質だと思いました。 誰かに大切な何かを伝えたいと、伝わればいいなと願って何年も費やすけれど、僕ら作り手は、最後にはひっそりと隠れていればいい。子どもたちが『ありがとうサンタさん』『がんばれメアリ』と笑ったり、大事な何かを受け取ってくれるなら、それは人生をかけるに値します。 今は年間100万人しか子どもが生まれていない。ぼくらのときは年間200万人でした。少子化で子どもの数が少なくなれば、子ども主人公の実写映画も作りにくくなるし、アニメーションもいつのまにか、大人たちが見て、ああでもない、こうでもないと、楽しむものに変わりました。大人のほうが圧倒的多数な社会で、効率とか経済合理性とか、そういうのは一旦横において、子どもたちには大切なことを伝えたいし、大人たちには子どもの未来に責任があるんだと伝えたい、そういう思いを込めて一本の映画を作りました。ぼくたちが作りたいのは、子どもと大人がいっしょに笑い、一緒に感動できる、そういう作品です。ぜひ親子で観ていただけたら嬉しいです」 メアリと魔女の花 2017年7月8日(土) 全国東宝系にてロードショー 「メアリと魔法の花」公式ホームページ 監督・米林宏昌がスタジオジブリ退社後の第一作目として、満を持して発表する長編アニメーション映画『メアリと魔女の花』。監督が最新作に選んだ題材は、かつて師である宮崎駿監督が選んだ題材と同じ「魔女」。あらゆる世代の心を揺さぶる夏のエンターテインメント超大作が誕生! 【声の出演・スタッフ】 杉咲花 神木隆之介 / 天海祐希 小日向文世 / 満島ひかり 佐藤二朗 遠藤憲一 渡辺えり / 大竹しのぶ 原作:メアリー・スチュアート「The Little Broomstick」 脚本:坂口理子 脚本・監督:米林宏昌 音楽:村松崇継
2017年07月12日高畑勲監督作『かぐや姫の物語』(13)の西村義明プロデューサーが、『思い出のマーニー』(14)に続き、再び米林宏昌監督と組んだ『メアリと魔女の花』が、いよいよ7月8日(土)より公開されました。 明るくて天真爛漫だけど、自分の赤毛にコンプレックスを抱えた少女メアリ(声優:杉咲花)が、7年に一度しか咲かない魔女の花「夜間飛行」を手にしたことで不思議な力を身につけ、大冒険へと繰り出します。 本作はスタジオジブリの作品ではなく、西村プロデューサーがジブリを退社後に立ち上げたスタジオポノックでの第1作目。公開を前にしたインタビューで今の心境を聞くと「ほっとしたの同時に、怖さを感じました」と神妙な面持ちをされました。 それは、ジブリ作品を愛してジブリに入社し、働いてきた西村プロデューサーだからこそ、ジブリ作品のクオリティーを誰よりも知っているからです。本作はジブリの制作部が解散した後、米林監督と二人三脚でゼロから始めた企画ということで、全身全霊で臨みました。 その渾身の映画『メアリと魔女の花』の制作秘話や、宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーから得たもの、また現役復帰宣言をされた宮崎監督への思いについてもうかがいました。 ■ジブリ退社後の苦労を激白 イベント登壇時、10kg痩せたと言っていた西村プロデューサーが、独立後の苦労を吐露しました。「ジブリのときは、ジブリという傘の下で守られていたんです。『かぐや姫の物語』は完成するのに8年かかりましたが、高畑さんが作りたいものを信じてやっていけばいいと思っていたし、『思い出のマーニー』は宮崎さんが大好きな原作を基に、最後はジブリ制作部の総力をあげて邁進するだけでよかった。 ジブリの制作部門が解散して、クリエイターが散り散りになりました。業界を去った方も多い。そんな中、子どもから大人まで楽しめる価値あるアニメーションは作り続けるべきだと思ったし、その火は絶やしてはいけないと思っていました。待ってても誰も始めてはくれないのなら、痩せ我慢でも自分が始めようと。今回は何の拠り所もないわけで、お金もなければ、スタッフも環境もない。でも、始めたからには責任があります。アニメーション映画は、人の数や期間がべらぼうにかかる。クリエイター400人だけではなく、製作委員会や映画館の方々も含め、その人生を費やしてくださるわけですから」 本作を手がける前に、西村プロデューサーは米林監督と共に高畑監督、宮崎監督、鈴木プロデューサーのもとにあいさつをしに行ったそうです。「その時に『覚悟をもってやれ』と言われましたが、覚悟なんて当たり前なんです。でも、その覚悟すら揺らぐことが多くあったし、肉体的にも精神的にもぎりぎりでしたね。ジブリじゃないってことが、ここまで苦しいとは思わなかったですよね。 ■映画では珍しい「感謝」のクレジットの意味とは? ジブリを退社後、鈴木プロデューサーの偉大さをかみしめたという西村プロデューサー。「ジブリを出た今だから言えますが、鈴木さんは、尊敬に値するプロデューサーです。ジブリ時代は常に鈴木さんに相談しながらやってきましたが、今回は自分の足で立っているわけだから、相談はしないと決めていたし、鈴木さんにもそう伝えました。 ただ、あいさつに行った時、帰りがけに鈴木さんが『お前、大変だと思うけど、ここぞというときは俺に言いに来いよ。なにか一個だけ協力してやるから』と言ってくれて。かっこいい人ですよね」 高畑監督は、本作の映画音楽に関してヒントをくれたそうです。「ハンマー・ダルシマーという楽器を具体的に提案してくれました。また『ジブリの制作部が解散した今、スタジオポノックはアニメーション映画の牙城になるかもしれませんね。何でも協力しますよ』と言ってくれて」 宮崎監督については「もしも映画を観て喜んでくれるんだったらもう現役じゃないのかもしれないです。彼はまだ現役ですから、観たら手厳しいことを言ってくれると思います」とどこかうれしそうに語ってくれました。 ■宮崎監督の現役復帰宣言に対しての思い 今年に入り、宮崎監督が新作長編の準備に入ったと報道され、日本中がざわめきました。西村プロデューサーは「ああ、作るんだ!と。だったら引退するなんて言わなければよかったのにと思いました」と苦笑い。 「ただ、『風立ちぬ』(13)で宮崎さんは体力の限界まですり減っていたことを、『メアリ』を作ったクリエイターはみんなわかっています。76歳でまた1本の映画を作ろうとするなんてすごいことです。 やれば自分がどうなるのかは、宮崎さんがいちばんわかっているはず。本当に命懸けになるかもしれない。僕はそこが心配です。 すごい覚悟をされて決断したんだろうなと。ただ、高畑さんは81歳で宮崎さんは76歳、その年齢でしか作れない映画があるし、作るべき作品があると僕は思います。一方で、今の宮崎さんに『天空の城ラピュタ』(86)や『魔女の宅急便』(89)みたいな冒険物語を求めてるのも酷です。もう過去に作ってきたわけだから。その年齢だからこそ作れる、作るべき作品があると僕は思っています」 後編では、敢えて宮崎駿監督作『魔女の宅急便』と同じ“魔女”がモチーフの映画にした理由や、杉咲花や神木隆之介ら声優陣のキャスティング、SEKAI NO OWARIの主題歌「RAIN」の制作秘話などをお届けします。 >>後編はこちら メアリと魔法の花 2017年7月8日(土) 全国東宝系にてロードショー 「メアリと魔女の花」公式ホームページ 監督・米林宏昌がスタジオジブリ退社後の第一作目として、満を持して発表する長編アニメーション映画『メアリと魔女の花』。監督が最新作に選んだ題材は、かつて師である宮崎駿監督が選んだ題材と同じ「魔女」。あらゆる世代の心を揺さぶる夏のエンターテインメント超大作が誕生! 【声の出演・スタッフ】 杉咲花 神木隆之介 / 天海祐希 小日向文世 / 満島ひかり 佐藤二朗 遠藤憲一 渡辺えり / 大竹しのぶ 原作:メアリー・スチュアート「The Little Broomstick」 脚本:坂口理子 脚本・監督:米林宏昌 音楽:村松崇継
2017年07月12日アーティスト活動だけではなく、俳優としても勢いを感じる「GENERATIONS from EXILE TRIBE」のメンバーたち。なかでも今、人気急上昇なのが、話題の少女コミックの実写映画 『兄に愛されすぎて困ってます』 でスクリーンデビューを果たす 片寄涼太 (かたよせりょうた)です。 片寄くんの役柄は、血のつながらない妹 せとか(土屋太鳳) をひそかに愛するイケメン兄貴・橘はるか役。クールでぶっきらぼうだけど、だれよりも妹思いのヤンキー系ツンデレ兄貴ぶりに女子はきっとイチコロです! いや、片寄くんだけではない。本作には、千葉雄大、草川拓弥(超特急)、杉野遥亮(すぎのようすけ)という3人の輝ける伏兵イケメンも控えております。「兄こま」は、イケメンたちがこぞってせとかに猛烈な恋のアタックをかけていくという、女子の妄想を具現化した現代版 「かぐや姫」 なんです。 ■壁ドン、アゴくい、女子の恋愛的願望オンパレード! 土屋太鳳演じるせとかは、告白した相手に12回連続で振られ続けてきましたが、ようやくここへ来て、人生最大のモテキに突入。これがまた、いずれもステキで頼れそうな兄系イケメンばかり! 原作は小学生から大人まで幅広いファンから支持されている 夜神里奈 の同名コミックです。ドラマ化もされましたが、ベーシックな壁ドン、アゴくいから、不意打ちのハグ、お姫様抱っこ、手つなぎ浴衣デートと、ありとあらゆる 女子の恋愛的願望 がオンパレードで映像化されています。 くわえて複数の男子から告白され、お互いに自分を取り合うという、究極のシチュエーション 「けんかをやめて」 状態のラブコメディ。これは“夢見る女子ホイホイ”になるのはおおいに納得できますね。 ■ツンデレ・片寄涼太とののしり王子・千葉雄大の2強対決 なかでも彼女が「お兄」と慕う兄・ はるか(片寄涼太) と、せとかの初恋の相手で超毒舌のセレブ系王子・ 芹川高嶺(千葉雄大) が2強。 兄はるかは、せとかに髪を洗ってもらったり、せとかを裸でハグしたりと、兄妹関係ギリギリのライン。いやラインを大幅にオーバーしたところを攻めてくるので終始ドキドキものです。 千葉雄大が演じる高嶺は、まさに“高嶺の花”で、4人の中でもいちばん頭が切れるセレブ系モテ男です。高嶺は連続壁ドン、いきなりキスに加え、「俺はせとかのはじめてがいい」と言った殺し文句のウルトラCもビシバシ決めていきます。 千葉くんは、本作と同じ松田裕子脚本の映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』では、心優しい白王子・白河タクミ役を演じていましたが、意外や意外、今回の ドS系ののしり王子 もしっくりハマっています。 ■スウィート男子・草川拓弥と塩顔男子・杉野遥亮も参戦 せとかをいつもお嬢様扱いしてくれるホスト系・ 美丘千秋 役を演じるのは、ティーンに大人気の超特急4号車のタクヤこと 草川拓弥 。おしゃれでスマートな魔性っぷりに、女子はきっと骨抜き状態に。 続いて、せとかと同級生で、おっとりしたヘタレ系・塩顔男子・ 芹川国光役 の 杉野遥亮 も、じつにチャーミングでかわいいです。国光は高嶺の弟でせとかとは幼なじみなので、彼女に対して恋愛感情はもっていないのですが、いつもせとかの心配をしてくれています。また、性格の良さやゆるいキャラから、人気の高いキャラクターになっています。 それにしても、相手にとって不足はないという感じのイケメンたちによる恋レース。最終的にせとかのハートを射止めるのはだれなのか? これでもか! というくらいに女子が喜ぶシチュエーションも存分に満喫していただきたい。 『兄に愛されすぎて困ってます』 原作:夜神里奈「兄に愛されすぎて困ってます」(小学館「Sho-Comi」連載中) 出演:土屋太鳳、片寄涼太 (GENERATIONS from EXILE TRIBE)、千葉雄大 、草川拓弥(超特急)、杉野遥亮 ほか 6月30日(金) 全国ロードショー 公式HP : anikoma-movie.jp
2017年06月29日先日、最新作 『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』 で来日し、いつもながらの手厚いファンサービスでファンを沸かせた ジョニー・デップ 。いよいよ『パイレーツ』の夏がやってきました! 人気の要は、なんといってもジョニー演じる海賊、キャプテン・ ジャック・スパロウ です。 ジャックといえば、けっして麗しいイケメンキャラではないし、だれもが憧れる正統派ヒーローでもない。つねにマイペースで、どちらかというとズルイところも多い自分本位のキャラクター。そんなジャックが、なぜここまで全世界中のファンから支持されているのでしょうか? ■ジョニー・デップのアイディアが盛られまくったキャラ 三角帽 に ドレッドヘア がトレードマークで、少~しおねえキャラも入っているジャック・スパロウ。ジョニー・デップによると、第1作目の台本に書かれていたキャラは、いまのジャック・スパロウとはかなり違うものだったようです。 ジョニー出演のドル箱映画といえば、『シザー・ハンズ』や『チャーリーとチョコレート工場 』、『アリス・イン・ワンダーランド』など、デフォルメしたキャラクターの作品が多いのが特徴。ジャック・スパロウのヘアやメイクも、ジョニーのアイデアにより、かなり盛られていったそうですよ。 キャラクターは、ジョニー自身が大ファンであるローリング・ストーンズのギタリスト、 キース・リチャーズ を意識して役作りをしたことは、超有名話。じつはキース以外にも、アニメ『ルーニー・テューンズ』のスカンク、ペペ・ル・ピューにも影響を受けたとか。 ジョニーの絶妙にキャラ立ちした演技が話題となり、第1作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』では、 アカデミー主演男優賞 にもノミネートされました。 ちなみにキース・リチャーズは、第3作目『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』で、ジャック・スパロウの父親ティーグ船長役で出演。ジョニーにとっても夢の共演となりました。 ■超打算的、大博打、最後のツメが甘い。でも憎めないキャラ ジャック・スパロウといえば、風のように自由きままで、基本は自分が得をする方向にしか動きません。でも、その打算的な行動が人助けに結びついたり、ときには大博打に出たりと、ドラマを面白い方へと転がしていく役割を担っています。 ちゃっかりしたところがあるのに、最後のツメが甘かったりするところもご愛きょう。今回は、大胆不敵にも仲間と銀行強盗をする際に、建物ごと盗んでしまおうというとんでもない珍作戦を実行します。 破天荒なアクションシーン は回を追うごとにコント化していますが、この映画はゲラゲラ笑ってみるのが正解。今回もこの建物ごとの大移動劇や、つかまってからのギロチンを飛び道具にしたヒヤヒヤもののアクションが超イケてます! ■最新作は、最恐の敵による復しゅう劇! 最新作では、海賊ジャックの過去を知る最恐の敵・ 海の死神サラザール が解き放たれ、すさまじい復しゅう劇が! でもじつはその原因を作ったのは、ジャック本人なんですよね…。 お酒におぼれやすいジャックですが、それを持つ人のもっともほしいものの方向を指すという 「北を指さないコンパス」 を、ラム酒とあっさり物々交換してしまうんですよ。え!? いいんですか? その結果、海の死神サラザールに狙われるはめに陥ってしまう。ダメダメすぎませんか…? ジョニー・デップはジャック・スパロウについて「まったく成長しないキャラクター」だと言い切っています。まぁ、ファンにしてみればその緩さやダメさ加減がジャックの愛すべきポイントでもあるんですけれどね。 結局のところ、ジャックが三枚目に回ることによって、脇のイケメンポジションにいる俳優陣の個性が際立っていきます。 オーランド・ブルーム 演じるかつてのウィル・ターナーはもちろん、本作の新進スター、ブレントン・スウェイツ演じる息子ヘンリー・ターナーなど、イケメンたちの見せ場がおいしいのは、ジャックのサポートがあるからこそでしょう。 さらに本作では、ファン垂涎の若く美しいジャック・スパロウの勇姿が初公開! ジャック・スパロウ誕生のエピソード はもちろん、きれいでピチピチのジョニーに、きっとファンはクギ付けになることでしょう。 これまでも作品を通して描かれてきた親子の絆なのですが、今回はクライマックスで涙腺攻撃という不意打ちをくらいそう。長く続く作品には、こういうファンを飽きさせない展開を用意することが大事ですね。ジャック・スパロウが初めて見せる憂いの表情は、絶対にお見逃しなく! 『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』 孤高の海賊ジャック・スパロウの過去を知る最恐の敵、“海の死神”サラザールが解き放たれた時、海賊全滅へのカウントダウンは始まった。ジャックVS海の死神の決戦の行方は? <最後の冒険>がついに幕を開ける! 7月1日(土)全国ロードショー 監督:ヨアヒム・ローニング、エスペン・サンドベリ 製作:ジェリー・ブラッカイマー 出演:ジョニー・デップ、ハビエル・バルデム、オーランド・ブルーム、ジェフリー・ラッシュ、ブレントン・スウェイツ、カヤ・スコデラリオ
2017年06月29日NHK連続テレビ小説 『あさが来た』 の 五代友厚 役で大ブレイク後、女性だけではなく男性からもその端正な顔立ち、たたずまい、骨太の演技が絶賛され、人気を誇るディーン・フジオカ。 「五代様」フィーバーの初期は、まるですい星のごとく現れた注目株というくくりでしたが、じつはすでにその時点で香港や台湾などアジアを股にかけるスターでした。しかも、俳優、ミュージシャン、モデル、映画監督として縦横無尽の活躍ぶりです。 そんなディーン・フジオカが、熟成されたワインのように芳香な色気をただよわせる主演映画 『結婚』 が6月24日(土)が公開されます。はちきれんばかりの彼の魅力を濃縮した1本を楽しむ前に、あらためて彼のヒストリーを振り返ってみましょう。 ■逆輸入型スター! ディーン・フジオカのギャップ萌え作品 ディーン・フジオカはいわば逆輸入型スターです。彼は 福島県出身 ですが、アメリカ留学後に香港へ渡り、そこでスカウトされて、モデルや俳優としての芸能活動を開始したようです。 それから台湾に拠点を移し、台湾のドラマを経た後、ヤンヤン・マク監督の香港映画 『八月の物語』 の主演に抜擢(ばってき)され、本作が各国の映画祭で上映されたことで、知名度を上げました。 日本では、「五代様」フィーバーの前に、監督・主演のほか、DEAN FUJIOKA名義で主題歌も手掛けたセンセーショナルな異色作 『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』 で、映画ファンの度肝を抜きました。 本作は、2007年に日本の千葉県市川市で起きた英会話学校講師殺人事件の犯人・市橋達也の逃亡生活を描くという問題作。さすがは五代様! 正直、この題材を主演も兼ねて初監督したディーンの勇気はおおいにたたえたいし、きっとあさも「びっくりぽん」でしょう。 市橋役のディーンのギラギラした鋭い眼光からは、底知れぬ心の闇がうかがわれ、思わず息をのみます。本作は麗しい五代様との ギャップ萌え作品 でもあり、ブレイク後に再びディーン・フジオカ渾身の初監督作としてスポットが当たりました。 ■『五代様』ロス、そして元ヤンマスター『ダメ恋』ロス! 『あさが来た』で五代様が天に召されてから、 「五代様ロス」 に陥ったディーンファンの方々。当然ながらその後に出演した、深田恭子主演のドラマ 『ダメな私に恋してください』 にファンたちは色めき立ちました。 深キョンが演じるのは、何のとりえも貯金もないという残念なヒロイン・ミチコ。ディーン・フジオカが演じるのはミチコの元上司で、脱サラした喫茶店のマスター黒沢歩役でした。 まあ、深キョンの見てくれはどこをどう見ても残念ではないのですが、たしかに中身はダメダメ女子で、彼女を絶妙にフォローしていく 元ヤンの頼れるマスター という絶妙な役どころは胸キュンもので。結果、再び『ダメ恋』ロスが起こってしまいました。 ■ディーンの色気をぎゅぎゅっと凝縮した『結婚』 いまや脂がのり、ますますいい男度がアップしたディーン・フジオカ。 『結婚』 は、そのディーンの男の色気がぎゅぎゅっと凝縮された、純度の高いディーン映画となっています。 彼が演じるのは結婚して妻もいるのに、ずっと 結婚詐欺 を続けている古海健児役。まあ、いわば女性の敵ですが、カモの女性たちは彼にメロメロ状態です。古海は 気品漂うやり手詐欺師 で、口八丁手八丁で、次々と美女たちを落としていきます。 ディーンは、 セクシーなベッドシーンやキスシーン も披露し、その大人の色気と妖艶な姿についつい息をのみそうになります。さらに何気ない果実を口に入れるシーンでさえもじつに艶めかしくて、ドキドキが止まりません! 古海は暗い過去をもつ男で、その陰りが色気をさらに引き出していきます。彼の頬から一筋涙が流れるシーンでは、長いまつ毛がぬれるのを見て、母性本能まで刺激。 俳優業やアーティスト活動だけではなく、この春から報道番組 「サタデーステーション」 で、不定期のインフルエンサーも務めているディーン。天は二物を与えずって本当でしょうか? 美貌、才能、知性を持ち合わせたディーン・フジオカ。いまや最強のスターではないでしょうか! 『結婚』 出演:ディーン・フジオカ 柊子 中村映里子 松本若菜 安藤玉恵 古舘寛治 萬田久子 貫地谷しほり 原作:井上荒野「結婚」(角川文庫刊) 監督:西谷真一 6月24日(土)ロードショー 公式サイト: kekkon-movie.jp
2017年06月23日最新作 『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』 を引っさげて来日した ジョニー・デップ 。いつもしっかりとファンサービスをするジョニーですが、今回も羽田空港に深夜到着時には神対応を! さらに6月20日に開催された夏祭りプレミアでは、詰めかけた2000人のファンたちを熱狂させました。 とくに今回は持ち前のユーモアを炸裂(さくれつ)させ、爆笑トークが展開! ジョニーのおちゃめなジョークやギャグ、大ボラを一挙ご紹介します。 ■ジョニー・デップのすべらないジョークが次々に投下! プレミアには、新星 ブレントン・スウェイツ やヒロインの カヤ・スコデラリオ 、日本語吹替版声優を務めた 栗山千明 、 中川大志 も登壇しました。ジョニーは登場するなり「コンニチハ」とあいさつ。しかも言ったあとで「意味はわかってないけどね」とすかさずジョークを。 『パイレーツ・オブ・カリビアン』の大ファンという中川くんは「いま、出演のお三方とこの場に並んでいることが夢を見ているような気持ちです」と興奮気味。そんな中川くんに対して、ジョニーは「これは全部、夢ですよ~」とツッコミを入れるオチャメぶり。会場は、ジョニーの次々に投下されるジョークに、ドカンと笑いが起きます。 ジョニーは、通訳の鈴木小百合さんが話す横で口パクをしたり、マイクをゴツンと床に落としたりと悪ふざけ。どれもこれもまったくすべることはなく、ファンは大喜びです。もちろんその後、鈴木さんについて「彼女とは24年前に初来日して以来のおつきあいなんです」と、感謝のハグまで。 栗山千明や中川大志にもハグやキスしまくり。会場から黄色い歓声が飛び交います。また、ことあるごとに「コンニチハ」、「イツモ、コンニチハ」と続け、会場を爆笑の渦に巻き込みました! ■『パイレーツ・オブ・カリビアン』は稼げていない? ジョニーは『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』について「この映画は小さなインディペンデント映画です」と切り出し、観客は目を丸くする。「予算もほとんどなく、私たちは愛だけで作りました。一銭も稼げていません。というのは全部ウソです。映画を楽しんでください」と笑いを取りました。 また、マスコミ陣をふくめ、会場には ジャック・スパロウ のコスプレをしたファンが多数つめかけていました。そんなコスプレファンを見たジョニーは、 「僕はもうリタイアします」 と切り出し、会場からは一瞬「え?」というどよめきが上がります。 ジョニーはすぐに「あとはみなさん(ジャック・スパロウのコスプレファン)にまかせます。でも、100人くらいのジャック・スパロウが出演する映画を撮ったら面白いかも。そうしたら僕も出してくださいね」と続け、ファンは笑いながらも安堵(あんど)しました。 ■生粋のエンターティナーの神髄! ジョニデの笑いのセンス 夏祭りプレミアということで、海賊の装いのよさこいチーム54名(早稲田大学“踊り侍”)が、本作のテーマ曲“彼こそが海賊”にあわせて熱いスペシャルパフォーマンスを披露しました。 ジョニーはよさこいについて「僕もレイクタホに住んでいたころは、しょっちゅう踊っていましたよ」と珍発言。「でも、くぎを踏んづけてからは踊っていないので、僕の代わりにブレントンとカヤが踊ります」と、若い共演者2人にむちゃぶり。 ブレントンは「今日は落としたコインを拾おうとするだけでズボンを破ってしまいそうだから、やめておきますね」とウィットに富んだ切り返しをしました。 でも、そんなことではジョニーは引き下がらない。「それならここで証明してみて」と食い下がり、また会場は大爆笑となりました。 ずっとごきげんだったジョニーは、最後に日本語で「アリガトウ、ジャパン!」とファンに礼を述べました。やっぱりジョニーは生粋の エンターテイナー ですね。 終始、笑いに包まれたプレミアで、いまさらながらジョニーのユーモアのセンスに脱帽させられました。もちろん、本編も爆笑必至のシーンが満載ですが、じつは今回感動のひと幕もありますので、お楽しみに! 『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』 7月1日(土)ロードショー 写真:山崎伸子
2017年06月21日ディズニーの大ヒットアニメーションシリーズ 『ちいさなプリンセス ソフィア』 は、ソフィアのかわいさに、小さな女の子が夢中になったアニメです。そんなソフィアの次に登場したのが、ディズニー初のラテン系 プリンセス・エレナ 。 エレナは 『アナと雪の女王』 のアナやエルサ、 『モアナと伝説の海』 のモアナなどの系統をいく、みずから道を切り開いていくエネルギッシュなヒロインです! ■エレナを助けたのはソフィアだった! 『ちいさなプリンセス ソフィア』は、普通の女の子が、母親の再婚によってプリンセスになるというシンデレラストーリーでした。本作がディズニーファンの心をつかんだのは、ソフィアのひたむきさはもちろん、ピンチに陥った時、歴代のプリンセスが助っ人として登場するというスペシャルな回です。 たとえば、白雪姫や『眠れる森の美女』のオーロラ姫、ラプンツェル、『リトル・マーメイド』のアリエルに、『アラジン』のジャスミンなど…。この豪華すぎる ゲストプリンセス とソフィアの共演シーンには、毎回胸が躍りました。 そして、じつはソフィアとエレナのエピソードはつながっているんです。エンチャンシア王国の王女となったソフィアが持っている 「アバローのペンダント」 。このペンダントは、もともとアバロー王国で代々継承されてきたものだったという伏線が! エレナは魔女シュリキに襲われたとき、魔法によりそのペンダントの中に閉じ込められてしまいました。その後、ペンダントの持ち主になったソフィアがそのことを知り、アバロー王国へエレナを救いに行ったのです。 無事に救出され、41年という長い眠りから目覚めたエレナは自国を取り戻し、女王になるために日々いろんなことを学んでいきます。今後ソフィアとの友情が絡むエピソードも登場予定で、なんとも気になりますね。 ■昨今は勇ましいディズニーヒロインが人気! ソフィアは好奇心いっぱいのほがらかなプリンセスでしたが、エレナはそれに輪をかけたおてんば娘のようです。 勇敢に剣をとって戦う姿は、もはや 王子様 なんて必要なし!? というくらいに頼もしい。そういえば大ヒット中の実写版 『美女と野獣』 のベルも、黄色いドレスを脱ぎ捨て、ペチコートで馬を駆るという勇ましい見せ場がありました。 自分の身は自分で守れそうな力強さが、いま求められているディズニーのヒロイン像なのでしょうか? 『モアナと伝説の海』のモアナも、果敢に世界を闇から守ろうとして、大海原へ冒険の旅に出ました。本作でも王子様的ポジションのキャラは見当たらず、相棒はファニーフェイスなマウイという半神半人でした。 王子様ではなく、愉快な仲間たちのヘルプが入るという作風も、近年のディズニー作品の特徴かもしれません。 ■エレナがPeople誌の「最も影響力のある女性25人」に! ディズニーのプリンセスはバラエティーにあふれてきましたが、ソフィアからバトンを受け取ったラテン系のエレナは外見も内面もじつにチャーミング。衣装もおしゃれで、情熱的な深紅のドレスはもちろん、戴冠式や舞踏会のときのめくるめくゴージャスなドレスには目移りしてしまいそう。 すでに全米で人気を博していますが、なんと2016年の スペイン版People誌 による「最も影響力のある女性25人」に、ディズニーのキャラクターとして初選出されました! ラテン系のプリンセスだから、劇中の音楽も、サンバ、ボサノバ、マリアッチなど、ノリノリのラテンミュージックというところがミソ。まさに梅雨のじめじめした空気を吹き飛ばしてくれそうなパワフルなナンバーになっています。 ますます魅力的かつ多様化するディズニーのプリンセスたち。そのニューフェイスとなるホットなラテン系プリンセス『アバローのプリンセス エレナ』にぜひ注目してみてください。 『アバローのプリンセス エレナ/はじまりの朝』 6月21日(水)DVD(デジタルコピー付き/2,800円+税)発売&デジタル配信開始
2017年06月20日NHK朝の連続テレビ小説 『ひよっこ』 の警官・ 綿引正義 役で人気急上昇の 竜星涼 。彼がなんとTBSのドラマ 『小さな巨人 』、サスペンス映画 『22年目の告白―私が殺人犯です―』 (6月10日公開)と、3作立て続けに警官役を演じています。しかも三者三様にきちんと演じ分け、それぞれの魅力が炸裂(さくれつ)しています! さわやかな笑顔、小顔、そして高身長という恵まれたルックスの竜星くん。ご存じスーパー戦隊シリーズ 『獣電戦隊キョウリュウジャー』 の桐生ダイゴことキョウリュウレッド役で人気を博し、『ひよっこ』で一気にブレイクしました。 ■“ザ・昭和の男”時々おちゃめなギャップ萌え『ひよっこ』竜星くん 『ひよっこ』の綿引は、主人公・谷田部みね子(有村架純演)の蒸発した父親・実(沢村一樹)の行方を探す巡査役です。律義そうな “ザ・昭和の男” という感じの七三ヘアが、誠実で清潔感あふれる綿引のキャラに絶妙にマッチ。 先日放送された回では、みね子たちと映画『ウエストサイド物語』を観たあとで、余韻に浸っていた綿引が、ひとりこっそり“なりきり”ダンスを披露。しかもそれをうっかりみね子たちに見られ、大慌てする姿がかわいかったです! 生真面目な警官ぶりと素顔のおちゃめさの ギャップ萌え がたまりません。 みね子親子と同じ茨城出身の綿引は、本来の実務ではなく、非番の日にも実を捜索してくれていました。しかし、実家の都合で巡査を辞め、地元に帰ることになってしまい…。ガガーン! どこかいい感じの雰囲気が漂っていたみね子と綿引だけになんとも残念! ちなみに6月からは、いまをときめく 竹内涼真 が、みね子の暮らす東京のアパート「あかね荘」の住人・ 島谷純一郎役で登場予定です。彼も 『仮面ライダードライブ』 出身ということで、みね子を巡る竜星くんとの元ヒーロー対決に、女子は鼻息が荒くなってしまいそうです! ■抱きしめたくなる母性本能を刺激! 『小さな巨人』竜星くん つづいて、 長谷川博己 が敏腕刑事・香坂真一郎役に扮し、『シン・ゴジラ』張りの統率力を発揮している 『小さな巨人』 での竜星くんは、忠誠心あふれる若手刑事・中村俊哉として奮闘していました。ビジュアル的には、3役の中でいちばんフラットです。 同ドラマでは、警視庁本庁と所轄の確執が描かれます。向上心と忠誠心が強いがゆえに、上司の犬となり、裏切り行為に走ってしまった中村。それが香坂たちにバレて、打ちひしがれた子犬状態だった中村・竜星くんは、見ていて思わず抱きしめたくなるほど愛おしかったです。 中村の人柄を知り抜いている香坂が、中村を裏切らせた上司・杉本(池田鉄洋)の方に怒りをぶつけ、中村の直属の上司だった渡部(安田顕)も、彼を一切責めませんでした。本当に良かった! 懐の深い上司たちの愛が身にしみたであろう中村のうれしそうな表情を見て、ファンは肩をなでおろしたはずです。 竜星くん、舞台が芝署から豊洲署に移ってからはレギュラー組から外れてしまいました。でも、またひと皮向けて成長した中村刑事が再登場し、香坂刑事の援護射撃をしてくれることを期待しています! ■ワイルドで熱いガッツある若手刑事!『22年目の告白』竜星くん 3つ目の警官役が、 藤原竜也 と 伊藤英明 が初共演した映画 『22年目の告白―私が殺人犯です―』 (6月10日公開)で演じた春日部信司役です。まるで役柄に食らいつくようにギラギラした野犬のような目つきの竜星くんは、かなり新鮮です! ガッツのある若手刑事ですが、直情型すぎるところがたまにキズ。ともに現代劇の刑事役を演じた『小さな巨人』と差別化してか、眉毛を短くそり上げ、 ワイルド系 が入っているところがビジュアル的な萌えポイントです。 本作は、時効となった後で、突如「私が犯人です」と名乗り出た殺人犯に翻弄(ほんろう)される人々を描くサスペンス。春日部刑事は伊藤英明演じる牧村刑事の直属の部下ですが、殺人犯の曾根崎雅人(藤原竜也)が毎回挑発的な態度を取るので、その度に威勢よくブチ切れる瞬間湯沸かし器的な役どころです。 伊藤英明と藤原竜也の胸を借りて、若者ならではの熱さや青さを爆発させている竜星くん。まだまだ伸びしろがあるだろうから、きっと現場でも2人から良い刺激をもらい、俳優としてさらにパワーアップできたのではないでしょうか? 気づけば3作続けての警官役を見事に演じ切った竜星くん。出世作の『キョウリュウジャー』もそうでしたが、正義を貫こうとする誠実な役どころは、精悍(せいかん)な彼の風貌にはぴったりです。ドラマ2作はもちろん、映画の最新作『22年目の告白―私が殺人犯です―』もチェックしてみてください。 『22年目の告白―私が殺人犯です―』 6 月10 日(土)全国ロードショー 公式サイト: www.22-kokuhaku.jp
2017年06月09日上戸彩 演じる普通の主婦が、 斎藤工 演じる既婚男性と道ならぬ恋に溺れていく様子を描き、社会現象にもなったドラマの劇場版 『昼顔』 が、6月10日(土)より公開されます。熟成期間を経て、映画ではドラマの3年後を描く、芳香な大人のラブストーリーに仕上がりました。今回は、連ドラファンもうなりそうな見どころ、そして恋の行方を占ううえでも重要なポイントを3つにわけてご紹介します。 映画冒頭で目にする、いまの2人の状況を示す1枚の合意書。3年前、道ならぬ恋に落ちた笹本紗和(上戸彩)と北野裕一郎(斎藤工)でしたが、2人は弁護士を交えた示談の後、別れざるを得なくなりました。 夫と離婚した紗和は、誰も知らない海辺の街へ引っ越し、レストランで見習いをしながらひっそりと暮らしています。北野は大学で非常勤講師を務めていますが、ある日、紗和の住んでいる街で蛍に関する講演をすることになり、そこで2人が再会! 運命に引き寄せられた紗和たちは、再び逢瀬を重ねていくようになります。 ■切なすぎ! “蛍”が道ならぬ恋の行方を暗示 ドラマと同様に、 人気脚本家・井上由美子 の熟達したストーリーテリングとモノローグにご注目。ドラマでは、北野の生物教師という役柄上、生物絡みの 名セリフ が多数登場しました。たとえば「昆虫は痛みを感じる必要がないぐらい命が短いから、痛覚がないと言われているんだ」といったセリフも話題になりました。 映画では 「蛍」 が2人の許されない愛のメタファーとして使われています。再会後に2人がよく会う場所も、蛍のいる清流。「鳴かぬ蛍が身を焦がす」(口に出さずに心の中深くで、相手のことを思っていること)ということわざは、まさに2人の 悲恋 そのもの。闇夜でしか存在感を示すことができない光は、蛍の生態うんちくも織り込みながら物語を盛りたてていきます。 たとえば日本の童謡の「ほたるこい」の歌詞「こっちのみずは、あまいぞ あっちのみずは、にがいぞ」も意味深に映画に登場。北野の講演に行くかどうかを迷っていた紗和は、“にがい水”があるとわかっていながら、あっちへ踏み出してしまうんです…。 さらに、この蛍、クライマックスでも大活躍! そこは観てからのお楽しみということで。 ■禁断の恋なのにプラトニック!? でもエロティシズム漂う! 最初は北野に会いに行くことをためらっていた紗和ですが、燃え盛る胸の炎を鎮められず、北野の下へ駆けつけます。 2人は蛍のいる清流で何度も会いますが、そこでは“アンタッチャブル”なまま。抱擁したり、唇を重ね合ったりすることはなく、前半はプラトニックのまま物語が進みます。でも、お互いに心から求め合っている空気感がそこはかとなく漂ってしまう。プラトニックなやりとりだからこそ、じつにそそられるのは、ドラマから続投の西谷弘監督による演出の妙ですね。 劇中で、上戸彩と斎藤工の 手と手が絡み合う 妄想めいたシーンがインサートされますが、こちらも手だけなのに、なんともいえないエロスが! 上戸の細い手と、その手を覆う少し武骨な斎藤の手のビジュアル的相性が抜群です。 美しい手の代表格、長谷川博己や豊川悦司の骨ばった長くて美しすぎる指の手とは違い、斎藤の手はどこか不器用な北野らしい手。手でキャスティングされたとは思えませんが、本当に役柄とぴったりです。 ■北野の妻・乃里子の嫉妬が炎上! さらに第三の男も出現 そして、ドラマファンのみなさま、朗報です! 紗和と北野の恋を阻んできた北野の 妻・乃里子(伊藤歩) の “恐妻力” は映画でも健在です(笑)。2人の姿を目撃し、車のクラクションを長押し…なんて序の口ですよ。後半の怒涛のような見せ場はさらにすごい! また、紗和が働く海辺のレストランを営むオーナーの杉崎尚人が、第三の男として登場。いかにもモテ男的という感じの手あかのついたイケメンではなく、野性味あふれるセクシーさを醸す 平山浩行 をもってきたところがナイスキャスティングです。この謎めいた男が、紗和と北野をおおいに揺さぶっていきます。 “禁断の恋”に対して反発的な世の中の風潮がありますよね。はたして紗和と北野には、いかなる未来が待ち受けているのでしょうか? その結末をしかと見届けていただきたい。 『昼顔』 出演:上戸彩 斎藤工 伊藤歩 平山浩行 監督:西谷弘 脚本:井上由美子 2017年6月10日 全国東宝系にてロードショー 公式サイト:
2017年06月07日沢尻エリカ主演の連続ドラマ 『母になる』 (日本テレビ 毎週水曜22時~)。本作では、生みの親と育ての親の両者の生々しい葛藤が丁寧に描かれていますが、同じようなテーマをつむいだ映画 『光をくれた人』 (2017年5月26日公開)も、多くの女性客から涙をしぼり取る内容となっています。 2作に登場する母親4人の共通項は、子どもを 心から愛している こと。そして 「母になりたい」 という切なる願いです。「母になる」ということはどういうことなのか? その言葉の重みをあらためて感じさせられます。 ■血のつながらない子どものために殺人を犯すことができるか? 『母になる』 『母になる』のヒロイン・結衣(沢尻エリカ)は、3歳のときに誘拐された息子・広(道枝駿佑)と再会し、ようやく一緒に暮らし始めました。そんな結衣たちに横やりを入れていくのが、9年間母として広を愛した育ての母・麻子(小池栄子)です。 第6話で、麻子の悲しい過去が明かされます。心ならずも子どもをおろした経験があった麻子。最後の可能性となる命を授かりますが、男には捨てられてしまい…。それでもシングルマザーとして育てる決意をしますが、流産という悲劇に見舞われます。 絶望のふちにいた麻子が、たまたまマンションの隣の部屋で虐待を受けていると思いこんだ広を見つけ、「私がこの子の母にある」と決意。さらに麻子は広をかばうために、 殺人 まで犯していたことが判明…! 真実が明るみに出てからは、納得して広を手放そうとした麻子でしたが、結局は諦めきれない様子。今週は麻子が結衣に「あなたより私の方が母親としてふさわしいことはわかっています」と強気の発言をし、2人は取っ組み合いになってしまいます。 ■過ちと知りつつ子どもを育てる夫婦×実の親の運命の物語 『光をくれた人』 映画 『光をくれた人』 は、M・L・ステッドマンのベストセラー小説「海を照らす光」の映画化作品。『スティーブ・ジョブズ』のマイケル・ファスベンダーが誠実な夫・トム役を、『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞に輝いたアリシア・ヴィキャンデルが妻・イザベル役を、『ナイロビの蜂』のレイチェル・ワイズが夫と娘を失った女性ハンナ役を演じています。 余談ですが、マイケルとアリシアは、この共演作の後、実生活でも交際をスタートさせたので、夫婦間のやりとりがなんともリアルで艶めかしいです。 トムを愛するイザベルは、心から彼の子どもを産むことを熱望しますが、『母になる』の麻子(小池栄子)と同じような地獄を味わうことに。麻子とは違い、トムとの夫婦愛が深いイザベルですが、度重ねる悲劇から立ち直れないでいました。 そんなとき、トムが小舟で流れついてきた男と赤ん坊を助けます。すでに天に召されていた男を埋葬し、赤ん坊はそのまま2人の実子として育てることに。 繰り返しますが、女性たちの願いはひとつ。「母になりたい」それだけです。立場は違えど、彼女たちの子を思う心はそれぞれに深く、その嘆きが痛いほど伝わってきます。 また、ドラマ『母になる』では結衣と並行し、仕事と家庭の両立に悩む結衣の親友・莉沙子(板谷由夏)の奮闘も描かれていきます。 第7話では、莉沙子の夫で教授の太治(浅野和之)が、妻を見て「母性本能なんて、社会が女性に対して都合よく作った幻想につきない」と吐き捨てますが、ここでもあらためて “母性本能” についても考えさせられますね。 ということで、女性ならきっと琴線だけではなく、涙腺をも刺激されるであろう『母になる』と『光をくれた人』。母の愛と多様性についての深いメッセージがきっと心に刺さります。 『光をくれた人』 5月26日(金)TOHOシネマズ シャンテ 他にて公開 配給:ファントム・フィルム
2017年05月24日波瑠主演の連続ドラマ 『あなたのことはそれほど』 (TBS系 毎週火曜22時~)の第5話が5月16日(火)に放送。波瑠演じる妻・美都の不倫が発覚しても「永遠の愛」を誓った、いや押し付けた涼太(東出昌大)でしたが、その嫉妬心が燃え上がり、いよいよ報復を開始します! ■鈍感力を誇る美都も気がついた! 私の夫は普通じゃない!? さすがの鈍感力を誇る美都も前週の結婚記念日のやりとりで、「私の夫は全然普通なんかじゃなかった」と気づきました。 何といっても、涼太の過剰な 笑顔攻撃 が恐ろしい。生気のない目をギラリと光らせるエイリアン系の涼太よりも、フルスロットルの笑顔の方が怖いなんて…。東出昌大、いい感じ。2人は相変わらずぎこちない仮面夫婦を続けていきます。 美都と有島(鈴木伸之)の逢瀬の口実に使われていた美都の親友・香子(大政絢)は、美都と同族に見えて、じつは意外と真面目だったことが判明。美都の不倫に猛反対で、涼太について「ただ気持ち悪い」と本音をぶちまける美都に「最低!」と怒りをぶつけます。 正直、多くの視聴者にとって香子の声が、気持ちを代弁している感じではないでしょうか。このドラマ、ヒロインに共感して「応援したい」なんて気持ちよりも、むしろ不倫されても家庭を守ろうとする涼太側にエールを送りたくなる気持ちもわかる気がします。 ■クレバーな良妻賢母、有島の妻・麗華のちくちく攻め 子宝に恵まれた有島の妻・麗華(仲里依紗)は、洞察力が強くクレバーないわゆる良妻賢母。一見、家庭は平和そうに見えますが、麗華が通っている陶芸教室が美都と同じだったことが判明し、そのやりとりで美都の嫉妬心が覚醒してしまいます。 なんと前半で、美都は陶芸仲間からの頼まれごとを装い、有島宅を直撃! この美都の奇襲攻撃には、さすがに賢い麗華もビビりました。 ただ、この件について、麗華は決して頭ごなしに有島を攻めたりはしません。ただ「自分はすべて お見通し 」という顔つきで、有島をちくちくとつついていきます。 ■能天気な有島に涼太が反撃! ここまではいちばん能天気に構えていたのは有島でした。ところがようや涼太の反撃で「まずい」と気づきます。なんと! 美都のケイタイから電話番号や住所をチェックした涼太が、公園に出かけた有馬ファミリーの下へお仕掛けるんです。 まさに「 柴犬の乱 」の火蓋が切られました! 最初は目の前に現れた涼太が、美都の夫だと気づかなかった有島ですが、とうとう涼太から「有島さん」と名前を呼ばれてしまい、驚がくします。 この直接対面の後、公園はいきなり豪雨に見舞われ、稲妻が! 涼太のいうところの「天罰」がくだったということでしょう。 いくえみ綾の原作コミックどおりに進むのであれば、この先、ますますの 修羅場 が待っていそうです。 皮肉にも涼太が美都を愛すれば愛するほど、美都の心は遠ざかっていきます。涼太は「押してもダメなら引いてみな」ということができないんですよね。ああ、じれったい。 いよいよ第6話では「柴犬の乱」で燃え盛る炎に息をのみます。怒りのあまり、赤ワインを振り回しながら半狂乱化する涼太! さすがにこれまで不倫しても反省もしなければ、涼太に対して悪いとも思っていないなど、あまりにクズすぎた美都は反省してほしいところ。だけれど、もはや後戻りはできない。そしてこの先、どんな制裁を受けるのか? 何とも気になるところです。 あなたのことはそれほど /いくえみ綾 (著)/祥伝社 文/山崎伸子
2017年05月17日だんだんW不倫のドロドロ度がいい感じにエスカレートしてきた波瑠主演の連続ドラマ「あなたのことはそれほど」(TBS系 毎週火曜22時~)の第4話が5月9日(火)に放送。 いくえみ綾の原作コミックでは、主人公の美都(波瑠)、夫の涼太(東出昌大)、イケメン有島(鈴木伸之)、有島の地味すぎる妻・麗華(仲里依紗)のキャラクターが最初からかなり掘り下げられていますが、回を追うごとにドラマの方もディープさを増してきました。 いまや一児のパパとなった有島は、奥さんが里帰り出産をしている間、パタパタ羽を伸ばしまくっておりましたが、どうやらそろそろ妻が戻ってくるようです。 有島との逢瀬にあたり、美都は毎回女友だちとの飲み会だと、下手くそなウソを重ねてきましたが、涼太は毎晩盗み見ていた美都のケイタイでとうとう決定的な証拠をつかんでしまいました。 涼太はいよいよ報復に出るのでしょうか!? 壁に耳あり障子に目あり、涼太の“妻レーダー”の感度はハンパなくいい。今回も帰宅途中で有島と電話をしているところをこっそりチェックしております。メガネの奥の目つきは氷のように冷たい! ちょっと「家政婦は見た」が入っておりますね。まあ、毎回思うことですが、美都はウソが下手なのではなく、“つけない”人なんじゃないかと確信してきました。 一方、有島にも知らぬ内にスパイが迫っております!こちらは最近引っ越してきた隣人・皆美(中川翔子)です。有島はもちろん彼女のことはノーマーク。 まさに壁に耳ありで、麗華の留守中に美都と電話をする有島を彼女がチェックしています。 中川翔子しかり、すでに美都の不倫を感知しているらしい美都の母・悦子役の麻生祐未しかり、脇のキャラクターたちもどんどんW不倫のサスペンスを盛り上げていきます。 今回の展開の目玉といえば、基本はこれまでディフェンダーだった美都が、フォワードにチェンジしてきた点でしょうか。 ひょんなことから、美都は有島とのベイビーを連れた麗華と遭遇してしまうわけです。 なんという運命のいたずら!麗華と有島とのベイビーを見て、美都の中にこれまで感じたことのないドス黒い嫉妬心が芽生えます。 波瑠の大きな黒目の奥の底知れぬ闇にご注目!美都は思わず「お父さん似ですか?可愛いですね」と毒を吐く。 それってストレートに言えば「お母さんとは違って可愛いですね」という意味なわけです……。 今後、フォワードにシフトした美都が、麗華のどっしりと構えたゴールキーパーをどう打ち崩していくかが見もの。 さて、なんだかんだ言いつつも、結婚1周年記念日を迎える美都と涼太。 美都は陶芸教室で作った作品を涼太に贈る予定だが、どうやら涼太は特別なプレゼントを考えていたようです。果たしてその中身とは!? 極めて“鈍感力”の高かった美都が今回ようやく気づきます。 「私の夫は全然普通なんかじゃなかった」ということを!? 遅い!遅すぎる!ということで、今後もずぶずぶ行くであろうW不倫の泥沼劇を見守っていきたい。 あなたのことはそれほど /いくえみ綾 (著)/祥伝社 文/山崎伸子 あなそれ3話「子ども欲しくない?」夫の発言に不倫妻は…東出昌大の怪演スイッチオン! 「あなたのことはそれほど」ついにW不倫が発覚!浮かれる妻に、夫がとったヤバい行動とは? 「あなたのことはそれほど」2番目に好きな男と結婚した女の衝撃トーク!
2017年05月10日いくえみ綾の同名コミックを波瑠主演で実写化したTBS系の連続ドラマ「あなたのことはそれほど」(毎週火曜22時~)の第3話が5月2日(火)に放送されました。 前回お互いに既婚者であることが判明し、晴れて(!?)割り切ったW不倫を続行させることにした主人公・渡辺美都(波瑠)と、不倫相手の有島光軌(劇団EXILEの鈴木伸之)。 どうやら今回、美都の夫・涼太(東出昌大)が、遂に妻の不倫の決定的な証拠をつかんだようです!? そこで今回は、涼太役の東出昌大の魅力をクローズアップ! “運命”“奇跡”“必然”“宿命”というキーワードが大好物の美都ですが、結婚相手に選んだのは二番目に好きな人・涼太でした。 「ぼくがみっちゃんを捕まえたんです。運命だった」と無邪気に言い切ってしまう涼太。胸中ではざわざわと嵐が吹き荒れているはずなのに、敢えて自分に言い聞かせるように言葉にする涼太が痛い……。 今回は美都のケイタイをチェック後、ガン見しておののく涼太の姿が!怪演のギアチェンジが見どころです。 このドラマの陰の主役はなんといっても涼太。原作コミックよりもすさまじい“鈍感力”を発揮している美都よりも、表では笑い、心の中で嫉妬の炎をメラメラさせている涼太がサスペンスを牽引していきます。 公私共々順風満帆感がある東出昌大が、ドロドロにぬかるんだW不倫のドラマをやるというギャップがミソですよね。 東出といえば、映画賞を総なめした青春群像劇『桐島、部活やめるってよ』で桐島の親友・菊池宏樹役で映画デビューし、キラリと光る存在感を見せました。 その後、NHKの朝ドラ「ごちそうさん」で大ブレイク。現在の奥様・杏と夫婦役を演じ、実生活でもゴールインしたのだからメモリアルなドラマです。 不良系映画『クローズEXPLODE』ではノッポのモデル体型を最大限に活かしたダイナミックなアクションにトライした一方で、『ヒーローマニア-生活-』ではそのでかい体を逆手にとったトホホなへっぴり腰を披露。 青春映画『アオハライド』やドラマ「問題のあるレストラン」などでは、ぶっきらぼうさが魅力のイケメン・ポジションで人気を博しました。 演技力が高く評価されたのは、29歳の若さで早逝した棋士・村山聖(さとし)の生涯を描いた『聖の青春』。聖役の松山ケンイチが20kg増量して役作りをしましたが、羽生善治役の東出もタッパは全然違うのに、仕草や表情を見事に完コピし、観客を驚嘆させました。 そんな東出が「あなそれ」の涼太役で、素の爽やかさとこれまで演じた役柄を総動員して臨んでいます。 料理も得意でニコニコした良い夫という外面では、持ち前のおおらかな笑顔を見せ、こっそり妻の同行を探る際には『デスノート Light up the NEW world』や『クリーピー 偽りの隣人』で演じた鋭い捜査官のようなねちっこい執念深さを発揮。 美都が寝てからむっくり起き上がり、ケイタイをチェックする凍りつくような目つきからは、『寄生獣』のパラサイト役で見せた生気のないヤバさが感じられます。 前回、有島の子どもが生まれたことが発覚しましたが、美都はどうやら涼太との子づくりに乗り気ではないらしい。というか、涼太との夜に全く萌えないということが、過去の美都の独白からもうかがえます。 その一方で涼太は「みっちゃん、子ども欲しくない?」と美都にプレッシャーをかけてしまう。 これって逆効果に他ならないのに……。今後美都がどう出ていくのか?東出昌大の怪演にも拍車がかかりそうで、そこにも期待しましょう! あなたのことはそれほど /いくえみ綾 (著)/祥伝社 文/山崎伸子 「あなたのことはそれほど」ついにW不倫が発覚!浮かれる妻に、夫がとったヤバい行動とは? 「あなたのことはそれほど」2番目に好きな男と結婚した女の衝撃トーク!
2017年05月03日菅田将暉、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大と、今をときめくイケメンがずらり顔を揃えた『帝一の國』がいよいよ4月29日(土)より公開された。 りりしい制服に身を包んだ紅顔の美青年たちが並んでいるが、本作はただの学園モノではない。 菅田たちはりりしいフンドシ姿で和太鼓を叩いたり、パンイチになったりと、かなりチャレンジングなシーンに挑んでいる。 菅田が演じる主人公の赤場帝一の夢は、総理大臣となって「自分の国」を作ること。 そのためには、日本一の名門校である海帝高校の生徒会長の座を狙うというのが一番の近道らしい。 帝一は自身の野望を実現させるためにいろんな策略を練り、着実に一歩ずつ階段を上っていくが、学校では予想外の罠や試練が待ち構えていた。 原作は古屋兎丸の同名人気コミック。ポスターや公式サイトなどを見ると、まさにコミックから飛び出したような血気盛んな若者たちのビジュアルが! 几帳面な七三でギラギラした野心を燃やす帝一役の菅田に、イケメンオーラ封印で三枚目のこずるい東郷菊馬になりきった野村。 高身長と爽やかさを兼ね備えた大鷹弾役の竹内に、お目々キラキラの端正な美貌を誇る氷室ローランド役の間宮、胸キュン乙女系キャラの榊原光明役の志尊。 能ある鷹は爪隠す的な知性派・森園億人役の千葉と、いずれも相手にとって不足はなし、という布陣。 さらにヒロインには『俺物語!!』、『ひるなかの流星』『ピーチガール』と、人気コミックの実写映画作品が続く売れっ子・永野芽郁、また、帝一の厳格な父・赤場譲介役に吉田鋼太郎と、隅々までドンピシャなハマリ具合だ。 これぞキャスティングの妙で、いわばオールスタームービーと言っても過言ではない。 菅田たち俳優陣が切磋琢磨し合いながら本作に臨んだであろうことは、完成した映像を観ても伝わってくる。 帝一たちがフンドシ姿で和太鼓をたたくシーンも圧巻だ。 観る側としてはちょっと気恥ずかしさもあるけど、彼らが放つパッションに酔いしれてしまう。 帝一たちは勝負に勝つための手段を選ばない。その徹底ぶりには感心しきりだ。時には上級生の犬となり、靴を舐めることさえ厭わない。 そこまでするの!?と思わずのけぞるが、そんな恥辱的な行動は、どうしても勝ち残りたいという強い意思に裏打ちされたものなのだ。 脚本は『ROOKIES』のいずみ吉紘で、原作の旨味を無駄なく抽出し、予想外の感動的な要素までをも盛り込んだところは実に素晴らしい。 監督はCM界で活躍し、『世界から猫が消えたなら』でも注目された永井聡。 まるで国盗り物語的な展開にドキドキハラハラできる、満足度の高いコメディ・エンターテインメントに仕上げてくれた。 とにかく菅田将暉たちの俳優魂に心揺さぶられる快作『帝一の國』。折しもGWということで、ぜひ劇場で観賞してみてほしい。 映画『帝一の國』公式サイト 文/山崎伸子
2017年05月01日沢尻エリカ主演の連続ドラマ「母になる」(日本テレビ 毎週水曜22時~)の3話が4月27日に放送された。 沢尻が切ない母親役で新境地を開拓したことでも話題のドラマだが、今後彼女と対峙していく役どころになりそうな小池栄子の目力にも注目したい!目力というか、大きな“目玉力”が今週も圧巻だった。 沢尻演じる主人公の柏崎結衣は、3歳の時に誘拐された息子・広(道枝駿佑)と9年ぶりに再会を果たす。今週は事件後に離婚した夫・陽一(藤木直人)と共に心機一転し、広との3人暮らしを始めていく。 そんな中、広を7年間育てていたというもう1人の母親・門倉麻子が遂に結衣の前に現れる! 広は、結衣から誕生日プレゼントとしてもらったケイタイで、麻子にこっそり連絡を取ったり、写真を送ったりしている。 広は麻子のことが大好きなようで、児童福祉司の木野愁平(中島裕翔)に「2年間俺を施設に預けたのは何か事情があったんです。俺は捨てられたわけじゃありません」と言い切る姿も印象的だった。 麻子は結衣と対面すると、当時広が虐待され、マンションに閉じ込められていたところを自分が救ったと説明する。麻子は「私は置き去りにされた子を救ったつもりでいました。あの時、私が助けなかったらあの子は死んでいました」と訴え、結衣も心を揺さぶられる。 この回では、なるべく平静を装い、凛とした立ち振る舞いを見せる麻子だったが、彼女の大きな眼は常に潤み、悲しみをたたえていた。 それにしても小池栄子って目玉自体が大きいのか、それとも白目の面積が大きいのか、その両方なのか?とにかく目は口ほどに物を言うという言葉どおり、澄んだ目玉から溢れる思いが伝わってくる。 小池栄子といえば、映画の代表作としてよく『接吻』が挙げられる。第30回ヨコハマ映画祭主演女優賞、第63回毎日映画コンクール女優主演賞など、数多くの主演女優賞に輝いた秀作だが、この映画のヒロインもかなりすさまじい内容だった。 会ったこともない猟奇犯罪者をテレビで観て強烈な恋愛感情を抱き、その後彼に会って獄中結婚をするというOL役。一見理解不能なヒロイン像も小池が演じることで生々しさと人間くさい魅力が加わり、どこか説得力を帯びていく。その分、ラストで味わう衝撃度もハンパない。 また、「母になる」と少し似た設定で、少女を誘拐した女と少女の逃避行を描く映画『八日目の蝉』では、ルポライターの安藤千草役を演じ、第35回日本アカデミー賞優秀助演女優賞や第85回キネマ旬報ベスト・テン助演女優賞を受賞。 この千草もエンジェルホームという特殊な施設で純粋培養されて育ったせいで、男性と接触したことがなく、上手く人と関われないという難解なヒロイン像だった。 また、小池は『パコと魔法の絵本』の強面ナースや『パーマネント野ばら』のフィリピンパブのママ役など、強烈な色ものの役どころでも存在感を発揮できるし、アクション映画や舞台では男顔負けのキレキレのスタントもこなせる。まさにマルチな活躍ぶりだ。 第3話の最後には、麻子が広に「もう会わない」と別れを告げ、結衣のことも「新しいお母さんじゃなくて本当のお母さんだよ」と念を押す。麻子が1人帰ったインターネットカフェの個室で、広との思い出の写真データをケイタイから削除する姿は何とも涙を誘う。 果たしてこのままフェイドアウトしてしまうのか。いや、そんなはずはない。きっとこの先、あの目玉力を駆使し、沢尻と火花を散らす展開が見られるに違いない。このドラマはその最終決戦に期待したい。 母になる|日本テレビ 文/山崎伸子 ※文章に一部誤りがありましたので修正しました。 2017年4月27日 15:50時点
2017年04月27日いくえみ綾の同名コミックを実写化したTBS系の連続ドラマ「あなたのことはそれほど」(毎週火曜22時~)の2話が4月25日に放送された。今回もW不倫に走った波瑠演じる主人公・渡辺美都のリアルな本音が炸裂! わかりやすく浮かれる妻の不倫を勘ぐる夫・涼太(東出昌大)の目はますますヤバくなっていく! 美都が寝静まった後、ホラーばりにむくっと目を見開き、闇の中でこっそりとケイタイをチェックする涼太。先週、うっかり「有島くん」と寝言を言ってしまった美都だが、遂にケイタイのリストに「有島光軌」が登場!おお~、 本名そのままかよ。一方の有島はちゃっかり美都の旧姓・三好をつけた「三好不動産」として登録しているのに。 有島はどうやら相当のやり手らしい。LINEで美都に「昨日の三好20点」と送る。それを見て怪訝な表情をする美都だが、スクロールしていくと「10点満点で。楽しかった」というオチが。 まあね、あの見てくれと清涼飲料水のような爽やかさだから、有島がモテないわけがないもんね。 まるで「私、恋してます」という看板をぶらさげているように浮足立っている美都。夜は料理上手の涼太が、旬なホワイトアスパラガスをスーパーではなく、わざわざ商店街まで行って手に入れて料理し、かいがいしく美都にふるまうが、彼女は全く上の空だ。 しかも、ケイタイを気にしているのが露骨にわかる。 続いて中学時代の旧友に会うというウソをつき、また有島との逢瀬を重ねる美都。なんと涼太はその日、美都の母親・悦子(麻生祐未)のスナックへ行き、美都の交流関係をリサーチしていた。 お前は刑事か!? 確かに美都の行動はわかりやすすぎて、いくらなんでも……とツッコミを入れたくなる視聴者に対しては、涼太の台詞がきちんとフォロー。 「みっちゃん、ウソが下手で。素直ないい子に育ててくれたお母さんに感謝ですよ」と、のろけに見せかけた意味深発言をする。目が笑ってないところがなんともホラーだ……。 そんな涼太の浮気捜査!?に全く気づいていない美都は、有島と花見を満喫中。「花を見て、心からきれいだなって思うようになったのは大人になってからかも。なんでかな」と言いながら桜の木を見上げる美都。 そこで有島が「あの頃は自分がピカピカ光っていたからじゃん?」と返す。 美都は「有島くんは今も光ってる。ホワイトアスパラガスより、アンデスの塩より、今は断然たこ焼きがおいしい」と独白。これはそのまま有島と涼太との関係性を端的に語った感想でもある。 帰宅後、美都の上着についていた桜の花びらを目ざとく見つけた涼太が、今度2人で花見に行こうと提案。さらに「豪華なお弁当を作ってさ。せっかくのお花見が露天のたこやきとか、悲しくなるよね」と美都の独白に呼応したような台詞を吐くのだ。 後日、美都と有島は温泉旅行に繰り出す。夜、有島のケイタイに、出産で里帰り中の妻(仲里依紗)に子どもが生まれたという連絡が入る。そこで有島は初めて自分が既婚者だと告白。 動揺する美都だったが「安心して。私も結婚しているから」と外していた指輪を差し出すのだった。 有島は「なんだ。良かった」といつもの爽やかな笑顔でリアクション。美都は「あれ?もしかして、有島くん、私より悪い人だった?」と独白。今頃、気づいたのか!? というわけで晴れてW不倫だったことが発覚。 回を追うごとに泥沼化していく展開に乞うご期待! あなたのことはそれほど /いくえみ綾 (著)/祥伝社 文/山崎伸子
2017年04月26日笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建との結婚を発表した女優・佐々木希が、4月19日にアキバシアターで開催された映画『光をくれた人』のトークイベントに登壇。記者から指輪について尋ねられた佐々木は「まだもらっていないんです。お互いに忙しくて」と笑顔で答えた。 結婚式の日程についても「本当に全く決まっておらずでございます。年内にはしたいですけど」とのこと。 子どもについては「全くなく。それは神様に。私は何人でも欲しいです。どちらも3人兄弟ですので」と前向きに語った。 さらに「今朝、行ってきますのキスはありましたか?」と質問されると「今日はしておりません(笑)。時間がバラバラでしたので、起こさないようにと」と新妻らしい心遣いを見せた。 イベントで佐々木は「自分に光をくれた人」について、渡部建ではなく「愛犬ですかね」と即答し「予想と違う言葉でごめんなさい」とはにかんだ。 「デビューして間もない頃、犬を飼いまして、そこから良い時も悪い時も過ごして9年間一緒にいるので、大変な時にも支えてくれました」と愛犬との絆を口にした。 理想の夫婦像については「どんなことがあっても味方というのが理想です。また、きちんとコミュニケーションを毎日図るというのは大事なこと。良いことも悪いことも乗り越えていけるような強い夫婦になれたら」と希望を語った。 『光をくれた人』は、M・L・ステッドマンのベストセラー小説「海を照らす光」の映画化作品。孤島の灯台守となった男と、美しく快活な妻の夫婦愛を描く。 『スティーブ・ジョブズ』(16)のマイケル・ファスベンダーと『リリーのすべて』(15)でアカデミー賞助演女優賞に輝いたアリシア・ヴィキャンデルが共演し、実際に恋仲になったことでも話題となった。 文/山崎伸子
2017年04月21日いくえみ綾の同名コミックを実写化したTBS系の連続ドラマ「あなたのことはそれほど」(毎週火曜22時~)の初回が4月18日に15分拡大版で放送された。 夫婦同士のW不倫を描く本作。第1回目では女子の赤裸々なトークや独白が炸裂し、思わずうなる女子も多かったのではないだろうか。 波瑠が演じる主人公・渡辺美都は“運命”“奇跡”“必然”“宿命”が大好物の26歳。これぞまさに泥沼化必須の昼メロのキーワードそのものだが、現実はそうはいかないわけで。 婚活中の美都だが、職場を見回しても、合コンやパーティ、友だちの結婚式に足を運んでも、なかなかお眼鏡にかなった相手は見つからず、いまだナンバー1は中学時代の初恋相手・有島光軌(劇団EXILEの鈴木伸之)だ。 美都は女子と男子の違いについて「男子とは恋の研究量が違う、努力が違う。女子は恋のアスリートよ」と啖呵を切る。 はい!決め台詞、ビシッと入りました~。美都はそう言いながらも、医療事務をしている眼科クリニックで出会った平々凡々なただのいい人・渡辺涼太(東出昌大)とつきあうことになる。 ある日涼太からプロポーズされるが全くときめかない。タイトル「あなたのことはそれほど」の“それほど”よりもかなりアベレージが低いのは気のせいか?さらに彼とのHの感想として「この感じ何だろう。(親友の大政絢演じる)香子の飼ってた柴犬に抱かれているみたい」と独白。ええ!?そこまで言っちゃうの……。 美都の結婚を後押ししたのは、少女時代に占い師から受けた「あなたは2番目に好きな人と結婚すれば幸せになれる」というアドバイス。涼太と結婚するかどうか悩んだ美都はタロット占いをしにいくが、なんとそこでも同じことを言われてしまう。 ということで、美都は腹をくくり結婚。結婚式で母親の悦子(麻生祐未)の放った言葉がなんだか刺さる。スナックのママで、男にだらしないシングルマザーだった悦子。 彼女はお客さんから「子育てで一番大切なことはね。結婚相手を選ぶ目をもたせること」と言われたと言う。なるほどねえ。「せいぜい幸せになりなさい」と捨て台詞を放って去る悦子。 さすがは元トレンディドラマの女王!もっていくなあとつくづく感心した。 後半では遂に美都が初恋の相手・有島光軌とご対面!演じる鈴木伸之の爽やかオーラがまぶしいぜ。2人は学生時代の懐かしトークと近況話に花を咲かせる。 お互いちゃんと相手がいるのに、そのことについてはアンタッチャブル。次週はきっとそれがバレ、ようやくドロッドロのW不倫が幕を開ける。 この2人に、涼太と仲里依紗演じる有島の妻・麗華がどう絡み合っていくのか?今週からすでにヤバイ系の気配をにおわせている真面目でマメすぎる涼太役の東出と、実際に子持ちの母である仲の揺さぶり具合に期待したい! ちなみに初回の11.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)をマーク。演出が「99.9 -刑事専門弁護士-」「逃げるは恥だが役に立つ」「カルテット」と高打率を誇る金子文紀ということで、右肩上がりに盛り上がることが期待されそうだ! 「あなたのことはそれほど」ついにW不倫が発覚!浮かれる妻に、夫がとったヤバい行動とは? あなたのことはそれほど /いくえみ綾 (著)/祥伝社 文/山崎伸子
2017年04月19日