2017年7月12日 16:01|ウーマンエキサイト

セカオワに突きつけた主題歌の役割 『メアリと魔女の花』は制作者の本気が試された作品【後編】

『思い出のマーニー』(14)に続き、『メアリと魔女の花』(7月8日公開)で米林宏昌監督と2度目のタッグを組んだ西村義明プロデューサーにインタビュー。後編では、敢えて宮崎駿監督作『魔女の宅急便』と同じ“魔女”をモチーフにした理由や、杉咲花や神木隆之介の声優陣のキャスティング、SEKAI NO OWARIの主題歌「RAIN」の制作秘話などをお届けします。

宮崎駿監督の弟子たち・西村義明Pが感じる師匠への思い 『メアリと魔女の花』がついに公開!【前編】

目次

・セカオワに突きつけた主題歌の役割
・実直に声を選んでいるという自信
・子どもから教えられたものとやりがい


メアリと魔法の花

(C)2017「メアリと魔女の花」製作委員会


『メアリと魔女の花』の主人公は、明るくて天真爛漫だけど、自分の赤毛にコンプレックスを抱えた少女メアリ(声優:杉咲花)。彼女が、魔女の花「夜間飛行」を手にしたことで不思議な力を身につけ、大冒険へと繰り出します。


>>前編はこちら


西村プロデューサーは、最初に米林監督と「元気な女の子が動き回るファンタジーをやろう」と決め、メアリー・スチュアートの原作を監督に突きつけました。

「“魔女”の話なので、きっと嫌がるだろうと思いましたが、逆にそれはいいことだとも思いました。『魔女の宅急便』という強力な傑作があるから、それとは違う新しい魔女を描けばよいと、舵を切れますから。怖さを乗り越えて、誰かのために立ち向かう少女の物語を描くなら、作り手たち自身も大きな何かと対峙したほうがいい。

スマートなものではなく、ボコボコした映画にしようという話は最初からしていました。スムーズな映画より、ボコボコしていたほうが、映画って力を持っていたりするんですよね。とにかく米林監督と、ジブリ出身のクリエイターたちのすべてを出し尽くす熱をもった企画。

米林監督が得意とする最高速度のストレートを、ストライクゾーンのど真ん中に投げる。もしかしたら暴投になって、打ち返されるかもしれないけど、カーブや変化球を投げて打ち返されるより、ど真ん中で勝負すべきだと思っていました」

■セカオワに突きつけた主題歌の役割

西村プロデューサーは自身の仕事内容についてこう話してくれました。
「プロデューサーという肩書はあるけど、本当に映画の全部をやるのが僕のスタイルです。

企画して、出資を募って、環境も整えるし、完成したら告知活動もやります。監督が声優のキャスティングや音楽に思いを馳せる時間がないので、こちらがキャスティングや音方面の舵取りも担う。映画をよくするために自分ができることは何でもやりますね」

主題歌「RAIN」を手掛けたSEKAI NO OWARIとは、米林監督と共に何度も打ち合わせを重ねたそうです。

「SEKAI NO OWARIの方々が作る世界観や曲は僕もよく知っていますが、そうじゃなくて今回は『この映画の主題歌を作ってほしい』と伝えました。米林監督にも彼らと初めて会う時、『もし気に食わなかったらケンカしてもいいからね』と言ってありました。
セカオワに突きつけた主題歌の役割 『メアリと魔女の花』は制作者の本気が試された作品【後編】

西村義明プロデューサー/メアリと魔法の花


僕らは商業的なタイアップ曲なんて求めてはいないんです。そもそも映画に主題歌が必要なんて、誰が決めたわけでもないんだから。
『映画に主題歌が必要だとすれば、それは、映画の内容的主題を語るか、音楽的主題を使用するかの2つしかない。そのいずれでもなかったら、それは主題歌とは呼ばない』と、生意気にもお伝えしたりして。

作り手のみなさんにちょっとだけ背伸びをしながら歩いてほしくて。そうしないと1+1=2にしかならないので。みんなが少しやせ我慢しながらつま先だけで歩いていくと、もう少し高いところへ行けるし、いい化学反応が起きると思っているんです」


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