連載記事:細川珠生の「ママは政治1年生」

配偶者控除の103万円の壁が150万円の壁に変わったのはどうして?【第16回 細川珠生の「ママは政治1年生」】


配偶者控除は年収をコントロール、果たしてその結果は?

今回の改正のポイントは二つ。一つは、配偶者控除適用の年収要件を拡大することで、妻のパートなどの収入を少し増やすことができるようになるということ。もう一つは、夫の年収要件を設けることで、拡大する控除の財源が不足しないようにしようということです。

配偶者控除については、不要論と必要論が激しく対立しています。子育てや家事、介護などで働きたくても働けないという人も多い中、専業主婦という選択を否定するかのようにもとれるため、配偶者控除には一定の意義があるという考え方もあります。一方、子育てや家事、介護があっても、出来る範囲で働く(働いてもらう)ためには、年収をコントロールすることになる配偶者控除は不要であるという意見もあります。

今回の改正は、妻の年収は拡大しつつ、制度は残すという、いわば「折衷案」ともとれる内容となりました。人口減少社会の中で、労働力不足や税収不足の現実を考えると、誰もが納税者となる制度は大事かもしれません。
世帯単位で考える日本の税制も、未来永劫今のままでいいというわけでもないでしょう。

とはいえ、子育てや介護などで十分に働く環境がない人も多いし、そもそも子育てと仕事の両立はそう簡単なことではないのです。

そういうことを幅広く考えながら、どんな社会を作っていくのか、そのために必要な税制は何かを、これからは真剣に考えていく必要がありそうですね。 

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