コミックエッセイ:コソダテフルな毎日
どうか子どもの癖を否定しないで。爪噛みをしていた私が思うこと【コソダテフルな毎日 第69話】
そのころ、私の中指の爪が完全になくなりました……(本当に)。あまりのしんどさに、無意識のうちに爪を剥ぎ続けたようで、爪がなくなってしまったのです。
これに理由を与えるとしたら、「置き換え行為」のようなものだったように思います。妊娠できて喜びいっぱいうれしさいっぱいの反面、朝起きた瞬間から既にしんどいという絶望感を爪を剥ぐ痛みで紛らわしていたのだと思います。
ちなみに、子どものころの私の噛み癖について、唯一、気にとめてくれたのは小学校の保健室の先生でした。
高学年のころ、図工の時間に指を切り保健室で手当てしてもらった時、私の指を見て保健室の先生が一言言ったんです。
「あんまりやり過ぎちゃダメだよ」と。だって親指の皮が広範囲で剥けて、中指周辺もボロボロになっていましたから。
こんな指の状態の生徒を見かけたら、「何か不安なことはない?」とか「何か困ってることはない?」と聞く先生も多いのかもしれませんが、当時先生は何か突っ込んだことを聞いてくるわけでもなく、止めなさいよと言うわけでもなく、「ほどほどにしときなさいよ」ぐらいのテンションでした。
しかし、これが案外ありがたかったのです。この時、「なにやってるの!」とか「やめなさい!」「汚いよ!」なんて言われたら、きっと私は傷ついていたと思います。
子どもながらに、よくない癖だとは自覚していますし、やめなくちゃいけないことはよく分かっています。
分かっているけどやめられないものに、「やめなさい」と言われるよりも、「ほどほどにしときなさいよ」と言ってもらったことで自分を責める気持ちが和らぎ、「少しずつ我慢するようにしなくっちゃ」と思えるきっかけになったように思います。