なかなか踏ん切りがつかなかった卒乳は、とあるアクシデントで…【劔樹人の「育児は、遠い日の花火ではない」 第8話】


■妻を隔離して迎えた夜

娘は感染していないため、妻は寝室に隔離し、われわれはリビングで寝ることにした。

タミフルが処方されているため、どちらにしても母乳はあげられない。

「これは卒乳のいい機会かもしれない。ま、つるちゃんは大変だろうけど…」

確かに、娘の面倒はしばらく私一人のワンオペになる。

とはいえ、日頃から娘と多くの時間を過ごしているのは私の方だ。

妻が出張でいない夜にも慣れているし、ミルクでの寝かしつけもよくあることなので、そこまで深刻な事態ではないんじゃないかと思った。

なかなか踏ん切りがつかなかった卒乳は、とあるアクシデントで…【劔樹人の「育児は、遠い日の花火ではない」 第8話】

1日目の夜。


なかなか踏ん切りがつかなかった卒乳は、とあるアクシデントで…【劔樹人の「育児は、遠い日の花火ではない」 第8話】

娘はママを激しく求めた。

隣の部屋にママがいることもわかっている。

いつもと違う部屋で寝かされるのも違和感があったのかもしれない。

とりあえず、リビングで危険がないよう、私は余ったマットレスでバリケードを作り、娘を寝かしつけた。

2日目の夜。

なかなか踏ん切りがつかなかった卒乳は、とあるアクシデントで…【劔樹人の「育児は、遠い日の花火ではない」 第8話】

やはり、ママが恋しいしおっぱいも欲しい。

妻の熱はいまだに高い。これは長い戦いになるかもしれないと思った。

そして3日目の夜。


なかなか踏ん切りがつかなかった卒乳は、とあるアクシデントで…【劔樹人の「育児は、遠い日の花火ではない」 第8話】

娘は、おっぱいのことなどすっかりどうでもよくなっていた。

私にとってこの数日間のワンオペは大変だったような気もするが、正直あまり覚えていない。

とにかく、インフルにかこつけたら、卒乳はあっさり成功した。それだけははっきり記憶に残っている。

卒乳すると、程なくして妻のおっぱいは出なくなった。

長い育児の旅の、ひとつの終わりを感じた。


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