■すぐに怒る子、怒るのには理由がある
次は、何かあるとすぐに怒ってしまって、周りを怖がらせてしまう子の特性と支援策についてです。何かあるたびにすぐ怒ってしまう子どもたち。怒ってしまうのはどんな理由からなのでしょうか。
出典:『子どものよさを引き出し、個性を伸ばす「教室支援」』(小学館)
▼すぐに怒るのは、独特な感覚とストレス反応のせいかも
そんなに怒ることでもないのに、
すぐに怒ってしまうと感じる場合には、もしかしたら「ASD(自閉スペクトラム症)」の傾向があるかもしれません。
その子からすると、ちょっとぶつかっただけなのに、なんで「ぶった」と言われるのだろうと感じているかも。独特な感覚を持っているがためにそうした行動に至っているだけで、本人には悪気が全くない可能性もあります。
また、一般的な感覚だと怖く感じるほどのオーバーリアクションを取ることもしばしばあります。しかし、そのリアクションの裏では、その子が
強いストレス反応をしていると読み取ることもできます。
「このタイプの子を理解するキーワードは、
『独特な感覚』と『ストレス反応』です。
音や接触など感覚過敏がひどいとストレスが多く、それだけで疲れ果ててしまっている子もいます。『ちょっと触っただけ』が引き金となって、強烈なストレス反応が出る子もいます」(井上先生)
▼周りに、本人の特性を理解してもらえるように働きかけよう
まずは、周りの人たちに、その子にとって
独自の感じ方があることをしっかりとわかってもらう必要性があるそうです。
「Dくんにとっては、突然、後ろから触られるのが、強い恐怖であるという、
独自の感じ方を周囲に説明する必要があります。一方で、Dくんには、『突然触られたら、
自分はとても怖いと伝えればいいんだよ』と、外的な言語を教えます」(麻生先生)
「
『嫌なことは人によって違う』という切り口で、独特な感覚について伝えましょう」(井上先生)
■自分の世界で生きている子は、集中力が抜群
次に取り上げるのは、
自分の世界で生きている一見マイペースなタイプの子どもたちです。いくら話しかけても全然聞いていないなという子どもたち、なぜ自分の世界に入り込んでしまうのでしょうか。
▼飽きずに、同じことが続けられる特性がある
自分の世界で生きるタイプの子どもたちは、とくに男の子に多いといいます。たとえば、休み時間に遊びに集中してしまい、
チャイムが鳴ったことにも気づかないということも。こうしたことが続くと、「なぜ気づかないの?」「無視しているの?」と思ってしまいますよね。
「よく言えば、
集中力が高いのです。この手の集中力は、物事を成し遂げるのに必要です。こういう子が、未来を変えていくのではないでしょうか?」(久保田先生)
▼大切なのは、気持ちの切り替え
大切なのは、子どもたちに
気持ちの切り替えをちゃんとさせてあげること。
「この場合、切り替えができないことが問題だと思うのです。たとえば授業の前に、学級全体で背筋を伸ばして、深呼吸をしてはいかがでしょう?
身体に触れながら声をかけると、
『聞く耳』のスイッチに切り替わることもあります」(久保田先生)
気持ちを切り替えてほしいタイミングで、体に触れながら声かけ、深呼吸やストレッチ、軽い体操などをすると効果的なのだそうです。