「うちの子、なにか違うかも?」…多様な子どもたちの個性を伸ばす支援とは?



■「ママの心が平穏なら、大体のことはなんとかなる!」

本書の取材・執筆を担当された楢戸ひかるさんは、息子さんが保育園の年長時に広汎性発達障害と診断され、小学校時代に特別支援学級に通っていました。現在は高校生になった息子さんの子育てについて、楢戸さんにお話を聞きました。

――子どもを「育てづらいな」と悩んだとき、まずはどうされましたか?

まずは、図書館で発達障害関連の本を借りて読んでみました。10年以上前だったので、インターネットの情報が少ない時代だったことも大きいのですが、「いかに不確かな情報に振り回されないか?」どうかは、今も非常に重要だと思います。

――それから、相談に行かれたのでしょうか?

ある程度情報をストックをして、「心の準備」ができたら、いざ相談です。発達障害のことを最初に相談する相手は、発達障害についての知識がある人のほうがいいと思います。たとえば、ママ友に愚痴を言ってガス抜きをするのは私もよくやっていますし、とても大切なことですが、それはあくまで、「ガス抜き」でしかありません。

「うちの子、発達障害かも?」と気になっているのであれば、しかるべき相談窓口に行ったほうが、回り道をすることなく適切な対応策にたどりつけるのではないかと思います。

――子どもが学校に通っている時に、先生とはどうやってコミュニケーションをとっていましたか?

試行錯誤の繰り返しでしたね。
子どもが3人いるので、「先生にもいろいろなタイプの人がいる。教師経験の違いや発達障害についての知識や理解は人それぞれ」という現実は理解しています。だから、先生に発達障害についての知識や理解があまりない場合は、深追いはしませんでした。

一方で、「この先生だったら話を聞いてもらえるかも」という場合は、なるべく学校に顔を出して、自分からコミュニケーションをとることを心がけました。

わが子が定型発達の子より手がかかる」というのは事実だと割り切り、そこを忘れずに、相談やお願い事をすることが大切だと思います。また、学校の役員なども、できる範囲でなるべくお引き受けしました。「先生と顔を会わす機会が増えた方が、いろいろと話ができるかな?」という気持ちがありましたね。

――自分のお子さんが「他の子とは違うかも」と悩んでいるママに向けて、伝えたいことはありますか?

私は、「うちの子、他の子とは違うかも?」、「でも、大丈夫かもしれない」という無限のループを、頭の血管がすりきれるほど何年もグルグルと一人で考え続けていました。
今思うと、一人で抱えてグルグル考え続けていた時期が最もつらかったです。だから、最初にお伝えしたいことは、「一人で抱え込んで悩まず、しかるべき機関とつながることが、発達障害の子の子育ての第一歩」ということです。 

そして、とにかくママ自身がバテないこと! ママの心は子どもが育つ上での「胎盤」のようなものだと思います。「自分をケアする方法」や「助けてくれる人を探す」など、バテないための手札を増やすことを心がけてほしいと思います。メディアに登場するような「ステキなママ」でなくたって、大丈夫! ママの心が平穏なら、だいたいのことは何とかなりますよ

ここまで、子どもたちの個性を伸ばす方法について考えてきました。将来、子どもたちが自立できる力を身につけるために、今できる範囲でその子にあった支援をしていくことが重要なのでしょう。楢戸さんの言葉のように、まずはママ自身の心を平穏に、子どもたちと過ごしていけるよう、ヒントを探していきたいですね。

『子どものよさを引き出し、個性を伸ばす「教室支援」』
「うちの子、なにか違うかも?」…多様な子どもたちの個性を伸ばす支援とは?
(小学館/1800円(税別))
多様な子どもたちについて、症例別に4コマ漫画で、困り感と支援策を具体的にわかりやすく解説している。教師や教育実習生、さらには子どもの保護者まで、特別支援教育や発達障害への理解を深められる1冊。

取材・執筆を担当した楢戸さんのウーマンエキサイトの連載:「うちの子、発達障害かも!?」と思ったら

【記事内でご紹介した先生】
井上薫先生:心理士・特別支援教育士スーパーバイザー/東京都武蔵野市立井之頭小学校主任教諭。
麻生崇子先生:東京都武蔵野市立井之頭小学校主任教諭。担任経験が豊富。
久保田健夫先生:医学博士/聖徳大学大学院教職研究科/児童学部教授。

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