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子どもから大人まで大人気のゲームソフト
「Minecraft(マインクラフト)」(通称マイクラ)がついに実写映画化! アメリカをはじめとする全世界の興行収入が8.7億ドルを突破、日本でも4月25日(金)の公開直後から大盛況! 早くも注目を集めています。
そして、マインクラフトは近年ゲームとしてだけではなく、
プログラミング思考や主体性を育むなど、
教育的観点からも熱い視線が向けられています。
そこで今回は、映画「マインクラフト/ザ・ムービー」公開にちなみ、マインクラフトを英語の授業に取り入れ、2019年に
“教育界のノーベル賞”といわれる
「グローバルティーチャー賞」で日本人小学校教員初となるトップ10に選ばれた
正頭英和(しょうとう ひでかず)先生に、
「なぜいま子どもの教育にゲームが有効なのか」お話を伺いました。

正頭英和(しょうとう ひでかず)立命館小学校教諭。大阪府出身。Minecraftを活用した授業が認められ、2019年のGlobal Teacher Prizeにおいて、世界150ヵ国以上、3万人のエントリーの中から、日本人小学校教員初となるTop10に選ばれ、「世界の優秀な教員10人」となる。その他には、桃鉄教育版のエデュテイメントプロデューサーなどもつとめている。主な著書に「世界トップティーチャーが教える子どもの未来が変わる英語の教科書(講談社)」などがある。
◆マイクラってなに? どうして教材として受け入れられているの?
2011年の発売以来、瞬く間に世界中でヒットしたマインクラフト。2023年には世界売上本数が3億本を超え、ゲームにはあまり詳しくないという人でも“マイクラだけは知っている”という声をよく聞きます。そして、教育的には好ましくないイメージがつきまとうゲームの中でも、“マイクラだけはやるのを許している”というご家庭が多いのも特徴的です。
「端的にいうと、マイクラは
レゴ(ブロック遊び)のデジタル版のようなもの。レゴだとスペース的に大きなものが作れないなど物理的な限界がありますが、マイクラなら無限に好きなものが作れるのでどこまでも自由に発想して作ることができます。

© Cloudy Design - stock.adobe.com
レゴって、子どもの自由な発想で創造できるものだから、感覚的に
知育にいいとわかるじゃないですか。マイクラもそれと同じ。
プログラミング的要素があるとか
非認知能力を伸ばすとか、詳しく説明すると知育にいいというデータは海外でもいくらでも出てくるのですが、保護者さんは
“ゲームをやるならマイクラがいい”というぐらいの解像度で大丈夫。ゲームの中でもハードルの低いものという捉え方でいいと思います」
マインクラフトは「サンドボックス(=砂場)」といわれるゲームジャンルのひとつで、これといったミッションやストーリーはなく、プレーヤーは与えられた世界観の中で自由に遊ぶことができます。その名のとおり、砂場遊びのように砂山を築いてもいいし、泥団子を作ってもいい。子どもたちは
自ら何をするのか目的を決め、試行錯誤しながら楽しみます。

© Memories Over Mocha - stock.adobe.com
この
主体性やプログラミングの考え方である
論理的思考、創造性といった教育効果が着目され、2016年には「教育版マインクラフト」が発売。
教材として学校でも取り入れられるようになりました。
その先駆けとなったのが、正頭先生のいる立命館小学校。担当する英語では
“マイクラをやるあいだは、グループ内の会話はすべて英語ですること”という条件で授業をおこないました。
「僕は英語教師ですが、マイクラの中に英語力が伸びる何かがあったわけではないんです。マイクラのスゴさは、
子どもたちの『モチベーション』になるだけの魅力があること。マイクラを授業でやるのはどうかと提案したら、子どもたちの反響がものすごかったんです。
そこで、英語力を伸ばしたいけれど“間違ったらどうしよう”“話すのが恥ずかしい”という障壁があったのを、マイクラのモチベーションを利用して超えさせたんです。マイクラをしたいがために、急に子どもたちが英語を話すようになり、間違った英語を直したりしていくなかで、結果的に英語力を伸ばすことができました」
◆なぜいま子どもたちの学びにゲームが必要なのか?
モチベーションとは言い換えれば、
やる気スイッチ。正頭先生は桃鉄教育版のプロデュースなど、
エデュテイメントプロデューサーとしても活動していますが、マインクラフトなどのゲームを活用した
エデュテイメント(=教育とエンターテイメントをかけ合わせた造語)が、子どものやる気スイッチを押す
ハードルを下げてくれると考えています。
「いまは身近にたくさんのコンテンツがあるので、わざわざ子どもたちがやってみたい! とやる気になるものってほとんどない。ひと昔前だと、映画でも“衝撃の結末!”という煽りコピーが人の心を動かしていたけれど、多忙になった現代社会では、無駄なお金も時間もなるべく使いたくないという心理が働き、ある程度ネタバレしていて
結果が予想できるものにしか子どもたちは反応しないんです。

© polkadot - stock.adobe.com
いくら親が“面白そうだからやってみなよ”と促しても、1度はやるかもしれないけれど、リスクを犯してまで2回目以降をやることはなく、面白いと約束されているYouTubeやTikTokに流れていく。だからこそ、エデュテイメントなんです。
“何か大きなお城を作ってみない?”といわれるより、“マイクラやらない?”の方がやる気のスイッチを押しやすい。いまの子どもたち、とくに
高学年になればなるほど“とりあえずやってみる”のハードルがものすごく高いので、楽しみながら学べるエデュテイメントで
“とりあえずやってみよう!”と思わせることが真の狙いです」