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連載 STEAM教育って何?

入試でも問われ始めた「STEAM教育」の重要性~ 子どもたちが今身につけるべき力とは?【STEAM教育って何? Vol.1】

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◆渋谷区の導入が話題! 日本のSTEAM教育


では、日本でのSTEAM教育の取り組みは、どうなっているのでしょうか。日本では、文部科学省によって2018年度から学習指導要項にSTEAM教育の推進が盛り込まれ、2020年からはその一貫として、小学校で「プログラミング教育」が必修科目となりました。

入試でも問われ始めた「STEAM教育」の重要性~ 子どもたちが今身につけるべき力とは?【STEAM教育って何?  Vol.1】

出典:探究ハンドブック初版 2024年3月 発行:渋谷区教育委員会 監修:信州大学名誉教授 東原義訓 編集:株式会社Barbara Pool


しかし、実際に子どもに公教育を受けさせている保護者の目線では、その実感がないという方も多いのではないでしょうか。

▼公教育でも進んできている?

「海外の切り替えスピードに比べると遅いかもしれませんが、徐々に公教育でSTEAM教育の探究学習を取り入れる地域は出てきています

私たちSTEAM JAPANで携わらせていただいている事例でいうと、東京都大田区で2022年から小学校5・6年生を対象とした“おおたの未来づくり”と題した独自教科で、子どもたちの創造的な資質・能力を育んでいます。

また2024年4月からは東京都渋谷区の全小・中学校で、午後の時間をすべて探究“シブヤ未来科”に充てるようになり、話題になりました」

▼子どもたちの反応は?

「どちらも子どもたちが楽しみながらやっているのが印象的です」と井上さん。

従来の授業は全員が同じ内容を同じペースで学ぶのに対し「シブヤ未来科」では午前中に学んだ国語・算数・理科・社会などの基礎教科をもとに、自分が興味のあることや暮らしの中で疑問に思ったことを、午後には教科の枠を取り払い各自のペースで探究していくという「探究STEAM教育」を取り入れています。

入試でも問われ始めた「STEAM教育」の重要性~ 子どもたちが今身につけるべき力とは?【STEAM教育って何?  Vol.1】

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このような取り組みを “自分の地域でも取り入れて欲しい”と思った方もいるかもしれません。教育現場でコーディネーターとして携わる井上さんは、保護者の声を自治体に届けることこそが大切だとアドバイスします。

▼保護者の声が教育現場を変える!

「保護者の方からの要望が、教育現場ではとても重要。STEAM教育に限らず、いろいろな側面から変えていこうと保護者の方が立ち上がることで実際に動くことも多いんです。日本がグローバルで生き残るためにも、一緒に声をあげていきましょう!」

◆やっぱり受験に支障がないかが不安…


しかし、保護者としてSTEAM教育の重要性を頭で理解できても、いざ子どもの座学時間が減ると不安になります。とくに受験を見据えた場合、探究学習に多くの時間を割いて大丈夫なのかという疑問が……。

「じつは受験自体も大きく変わってきていて、今までの受け身の学習だけでは通用しなくなっています

▼今のままではこれからの大学受験に通用しない?!

「大学受験ではAO入試という、学力試験だけでなく自己PRや面接なども含めた“総合型選抜”の割合が増えており、算数・英語に加え、探究という入試科目があるところも。

入試でも問われ始めた「STEAM教育」の重要性~ 子どもたちが今身につけるべき力とは?【STEAM教育って何?  Vol.1】

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たとえば、“過疎地域でどうやったら現状を変えていけるか自分でアイディアを考えて提案してください”という問題など、思考力・判断力・表現力などを問う入試も出てきているんです。

これらの力は他でもない“探究“のプロセスによって身に付いていくもの。文科省の調査データでも、総合的な学習・探究に積極的に取り組んでいる児童ほど、教科の平均正答率が高いという具体的な数値が出ており、実際に2021年から大分県で高校生向けに実施しているSTEAM教育プログラム“OITA STEAM PLATFORM”の参加者から、AO入試の推薦枠などで良い実績が出始めています」

「だからといって、これまでの基礎学習を疎かにしていいわけではない」と井上さんは続けます。

入試でも問われ始めた「STEAM教育」の重要性~ 子どもたちが今身につけるべき力とは?【STEAM教育って何?  Vol.1】

▼思考力を育むには何が必要?

「全部の一般入試が廃止されるわけではないですし、今までの語学や計算といった従来型の学習が得意というのも個性のひとつ。要は、これまで『学力試験』という軸で測っていたものが、それ以外の得意分野がある子の能力も多角的に測れるようになってきているということ。

『探究学習』は、教科で学んだ知識や技能を実社会にどう生かしていくかを鍛える場ですが、土台として必要なのはやはり語学や計算といった『基礎学習』それらの2つが両軸となって思考力や表現力が育まれていきます」

▼親の考え方がこのままではダメ…?

親世代は学力というと暗記や計算のテストで高得点をとる学びを連想しがちです。しかし、AI時代を生きるこれからの子どもたちに不可欠なのは、答えのない問いを自分なりに考え、創造していく力。

入試でも問われ始めた「STEAM教育」の重要性~ 子どもたちが今身につけるべき力とは?【STEAM教育って何?  Vol.1】

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そのために保護者側が、興味のあることを思うままに探究する「STEAM教育」を取り入れることが重要だという「マインドセット」が必要になってきているのですね。

第2回では、家庭で探究学習などのSTEAM教育を取り入れるにはどうしたらいいか、環境づくりや声かけのコツ、おうちでできるアクティビティについて井上さんに教わります。
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