子育てのゴールは「自立」にあり。グローバル教育の第一人者が「根拠のない自信」を重視する理由

親として子どもの将来についてしっかり考えているつもりでも、日々の忙しさのなかでは、食事の準備や片づけ、子どもの送り迎えに健康管理、宿題のサポートなど、目の前のやるべきことに意識が向かいがちです。ただ、そんな子育てにもいずれ「ゴール」が訪れます。「ゴールをしっかり見据えておかないと、誤った子育てをしてしまいかねない」と指摘するのは、米ハワイ州でバイリンガルスクールを運営する教育家の船津徹さん。船津さんの考える「子育てのゴール」、そこに至るために必要なこととはどのようなことでしょうか。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)
目指すべきゴールは、子どもを「自立させる」こと
冒頭から大きな質問になりますが、みなさんは「子育てのゴール」をどう考えていますか?なかには、大学受験がゴールだと考えている人もいるでしょう。以前であれば、その考え方も正しいといえたかもしれません。
強い偏差値至上主義のなか、しっかり勉強をしていい大学に入れば、いい企業に就職できました。
そのまま年功序列制と終身雇用制に守られ、頑張って定年まで勤めあげれば、まずまずの人生を歩めたのです。
ところが、時代は大きく変わりました。そのきっかけのひとつは、バブル崩壊です。教育に携わる以前に金融機関に勤めていた私も、身をもってバブル崩壊を体験したひとりです。しかも、ちょうどそのタイミングで私にも子どもができたため、否が応でも子育てについて考えることになりました。
子育てに関しては、子どもが生まれた瞬間の状況だけを考えればいいわけではありません。将来的に子どもが社会できちんと活躍できるよう、想像力を働かせて20年先のことを考えながら行なわなければならないのが、子育てというものです。
当時の私が行き着いた答えは、「とにかく勉強だけさせておけばいいという時代ではなくなる」というものでした。
バブル崩壊により、「なにが起こるかわからない」という現実を突きつけられたからです。いい大学を出て就職した企業だって、いつ倒産してしまうかわからないのです。
そう考えると、子育てのゴールについてひとつの形が見えてきます。社会環境がどのように変化しようとも、自ら人生を切り開いていくことができる子どもに育てること。つまり、「自立させる」ことこそが、子育てのゴールだと思うのです。