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前回、「『夫婦間の気持ちの隙間』が、家計に現れる」というお話を、家計再生コンサルタントの横山光昭さんにうかがいました。
横山さんは苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させる中で、
「お金の不安を乗り越える」という永遠のテーマについても考え続けてきたといいます。今回は、そんなお話を伺ってみましょう。
■お金の不安はどこから来るの?
質問です。
●「なぜ、お金が欲しいのでしょうか?」
●「そして、欲しいと思っているお金の金額はいくらなのでしょうか?」
この質問に対して、すぐにハッキリとした
「お金が欲しい理由」と
「具体的な金額」を答えられる人は、意外と少ないかもしれません。「お金はあればあっただけ安心だから」。ただ、漠然と何となくそう思っている方が大半なのだと思います。
「
お金に安心を求めては、ダメです。不安を無くすには、お金ではなく自分を大切にすることです。生き方や貯め方が定まればお金は何とかなるものです」と、横山さんはいいます。
横山さんは、こんな人をたくさん見てきたといいます。
不安だからお金を貯める
↓
貯まったら、もっと不安にかられる
↓
さらに貯めなければと焦る
そんな一方で、あまりお金がなくても楽しくやっている人がいることをよく知っているそうです。そして「お金に安心を求めることは意味がないと確信するにいたった」(横山さん)そうです。
■その不安は、本当に「お金の不安」ですか?
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横山さんは、こうも言います。「「『お金の不安だと思っているもの』は、本当はお金の問題ではなくて、お金に表れた、いまの生活における
心のゆがみなのです」。
たとえば…。
食品の有機野菜や産地にこだわりお金をかける傾向のある人は、「保障」タイプの生命保険料にお金をかけている人と通じるところがあり、良いものを買っておけば安心と考えるタイプだと言います。ある意味、自分に自信がないとも言えます。
携帯電話代が高い人は、周囲の人への依存度が高いという傾向を感じるそうです。交際費や洋服代も膨らみやすく、断りきれないローンなどを抱えてしまうことも。
「漠然とした将来の不安」は、実は一緒に人生を歩む家族への不安であり、がんばっている自分を家族が認めてくれないことへの寂しさから来ているということもよくあるそうです
出典:『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』
「表面上は、お金の形を借りて現れたので、お金のことにとらわれてしまい、奥底にある
本質的な不安は自覚しにくいものです」(横山さん)
いま、みんなが焦っている、そんな風に感じたことがありませんか?
「私は収入が低いから。子どもがいるから。いや、いないから。退職金が出るかどうかわからないから。
年金だって…と。そして、挽回したい、追いつきたいと必死になってしまっている人も多くいるようです」(横山さん)。
■お金の不安をなくすための第1歩
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焦っている渦中にいると、自分ではどうにもならない気持ちになってきます。では、そんな私たちはどうしたら良いのでしょうか?
「最初にとりかかるべきは、目に見えるところです」(横山さん)
●お金の不安をなくすための第1歩(例)
不用品を処分して、家をスッキリ片づける。
豪華でなくても栄養を考えてきちんと三食料理する。
なんとなく買い物をせずに、どんなに小さなものでも納得して手に入れ、使い尽くす。
愛する家族との関係を大切に過ごしているか、自分に与えられた目の前の仕事がおろそかになっていないか、きちんと向き合う
出典:『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』
「
生活の足もとを固めるのです。毎日の暮らしを『自分はこれでいいんだ』と納得して生きていければ、その自信によって必要なお金はあとからついてきます。
そして自分の生活の一部として、自分なりのお金の『貯め方』が確立すれば、不安はよりつかなくなってくるでしょう。そのために「
消(ショウ)」「
浪(ロウ)」「
投(トウ)」も強い味方となるはずです」(横山さん)
■横山さん式のお金との付き合い方
「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」
お金と正しくつきあうということは、「自分なりに」お金と付き合うことを始めること。そうすると、「お金がなければ幸せになれない」という焦りからも抜け出せるのかもしれませんね。
当初は、「お金が貯まる財布になれば良いなぁ・・」と書き始めた本連載。書き終わったときは、自分を見つめる長い長い旅行に行っていたかのような気分になりました。
ママの生活は、本当に忙しいですよね。けれども、たまには、ふっと肩の力を抜いて、「節約ではない日々のお金のこと」と向き合ってみるのも、悪くないのかもしれません。お金の話といえども(お金の話だからこそ!?)、自分の心の中の「深いところ」に潜ってみると、自分の人生と向き合うことになるかもしれません。
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